JP5135546B2 - 表面処理金属およびその製造方法と金属表面処理液 - Google Patents

表面処理金属およびその製造方法と金属表面処理液 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理金属およびその製造方法と金属表面処理液に関するものである。
鉄に代表される金属は、熱的、化学的な外乱要因からの保護や、意匠性などの機能付与を目的として塗装を施した塗装金属として使用される場合が多い。
金属の塗装は、使用する部品形状に加工した後で塗装を施すポストコート法と、薄板製品、すなわち金属材料をコイルやシートの状態で塗装を施し、その後の工程で所定のサイズや形状に加工して使用するプレコート法に大別する事ができる。特にプレコート法は、安定した品質の塗装金属板を安価で大量に製造することが可能であり、品質、生産性に優れる方法である。その一方で、プレコート法で製造される塗装金属材料は、塗装の後で加工が施されることから、通常の要求性能である耐久性や意匠性に加え、加工性や塗料密着性といった性能が要求されることや、使用する金属材料の剛性や加工性を確保するため、使用する金属材料の機械特性に悪影響のない温度で塗膜の焼き付け・固化を行う必要がある等、ポストコート法には無い制約がある。このため、プレコート法で使用する塗料には、塗装条件及び製品性能両方を満足する事が要求される。
ところで、塗装金属に要求される機能として、一般的耐食性、耐汚染性、耐熱性などが挙げられるが、このうち、耐熱性に対する要求が近年高まりつつある。耐熱性が必要とされる用途としては、自動車および自動二輪車の排気系部品、加熱調理器具、空調機器、暖房機器等があげられる。これらの用途では、通常300℃から400℃の耐熱性が必要とされ、また、自動車等の排気系部品に対しては500℃以上の耐熱性が要求される場合がある。
こうした耐熱性を有する塗装金属をプレコート法により製造する技術については、これまでにも、特に塗料を中心に多くの検討がなされている。
例えば、プレコート鋼板用塗膜を構成する樹脂のうち、耐熱性を有するものとしてシリコーン樹脂が知られている。シリコーン樹脂塗膜の耐熱性は、シリコーン樹脂に導入される有機基の種類や含有量によって大きく変化するため、塗膜の耐熱性と加工性、密着性のバランスを取り、所望の性能を得るために、これまでに種々の検討が行われてきた(特許文献1〜7)。
また、プレコート鋼板は一般的には200〜250℃程度で塗膜の硬化を行うため、予備加熱等を行わずに300℃以上の高い温度で使用する場合、使用する温度域によっては、反応が進行して塗膜の性能が低下したり、塗膜の熱分解によって異臭を伴うガスが発生したりする場合がある。この解決策として、特定のシリコーン樹脂を主成分とし、添加物を添加する方法が提案されている(特許文献8〜11)。
発明者らも、自動車や自動二輪車などの排気系部品や加熱調理器具、空調機器、暖房機器用として好適に用いられる、耐熱性に優れた表面処理金属について開示している(特許文献12〜14)。これらの表面処理金属表面には、ケイ素の酸化物を主成分とし、かつ炭素数1以上12以下のアルキル基、アリール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基からなる群の少なくとも1種の有機基を含む化合物を主成分とする被覆層を有している。これらの表面処理金属は、プレコート鋼板と同様の条件で製造することが可能であり、薄板形状で性能を比較した場合、プレコート鋼板と同等以上の加工性と密着性を有している。また、500℃を超える耐熱性を有しており、自動車等の排気系部品として、また暖房機器用等として好適に使用することができるものである。
特開昭63−172640号公報 特開平2−265742号公報 特開平8−10701号公報 特開平8−245922号公報 特開2002−234109号公報 特開2002−307606号公報 特開2002−80974号公報 特開2003−213210号公報 特開2004−52000号公報 特開2004−50772号公報 特開2005−131981号公報 特開2005−325440号公報 特開2006−116876号公報 特開2006−192717号公報
しかしながら、上記で提案されている耐熱性を有する表面処理金属においても、特に高温で長い時間にわたって使用した場合、使用する温度域によって表面の被覆層にひび割れが発生するという問題と、また使用する条件によっては十分な耐食性が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、耐熱性、耐食性および皮膜密着性が向上した表面処理金属およびその製造方法と金属表面処理液を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、水の接触角が特定値の被覆層を有し、該被覆層が特定性状の架橋皮膜に添加物を配合することで課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。具体的には、以下の通りである。
(1)基材表面に、20℃における水の接触角が85°以上であり、かつ、300℃に加熱後の20℃における水の接触角が、80°以上である被覆層を有する表面処理金属であって、該被覆層が、シロキサン結合を主骨格とし、メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を側鎖に含み、かつ、主骨格と側鎖のどちらか一方、又は双方に、Si−O−M結合、M−O−M結合(ここで、MはSi以外の2価以上の金属元素である。)、エーテル結合又はアミノ結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む架橋樹脂と、平面方向の粒子径が25μm以下であり、かつ、平面方向の平均粒子径を厚さ方向の平均粒子径で除して得た値が25以上である平板状の添加物と、を含有することを特徴とする、表面処理金属
)前記平板状の添加物の含有量が、被覆層全体に対する質量%で、0.05〜40%である(1)に記載の表面処理金属。
)前記平板状の添加物がマイカ粒子であることを特徴とする(1)または(2)に記載の表面処理金属。
)前記基材が、めっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材又はアルミニウム合金材である(1)〜()のいずれかに記載の表面処理金属。
)メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を有するアルコキシシラン又はこれらの加水分解物と、テトラアルコキシシラン又はその加水分解物と、平面方向の粒子径が25μm以下であり、かつ、平面方向の平均粒子径を厚さ方向の平均粒子径で除して得た値が25以上である平板状の添加物と、を含有し、前記テトラアルコキシシランの含有量が、それ以外のアルコキシシランの合計量に対して、モル比で0.8以下であることを特徴とする、金属表面処理液
)アルコキシシラン以外の金属アルコキシド又はその加水分解物を含有する(5)に記載の金属表面処理液。
)前記平板状の添加物がマイカ粒子であることを特徴とする(5)または(6)に記載の金属表面処理液。
)基材表面に、()〜()のいずれかに記載の金属表面処理液を塗布した後、150〜300℃の温度で焼き付けることを特徴とする表面処理金属の製造方法。
本発明によれば、加熱時に発生する被覆層のひび割れが抑制され、加えて耐食性が改善されることにより、結果として耐熱性、皮膜密着性および耐食性の向上した表面処理金属を容易に得ることができる。また、この表面処理金属を好適に製造するための方法とそれに用いる金属表面処理液を得ることができる。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、表面に被覆層を有する表面処理金属であって、500℃以上の耐熱性を有し、更に、絞り加工や折り曲げ加工などが可能な表面処理金属とその製造方法、及びそれを好適に製造するための金属表面処理液に関するものである。すなわち、例えば耐熱性が必要とされる自動車や自動二輪車などの排気系部品として、また加熱調理器具、空調機器、暖房機器用として好適に用いられる表面処理金属とその製造方法及び金属表面処理液に関するものである。
本発明の表面処理金属は、表面の被覆層に特徴があり、該被覆層は、シロキサン結合を主骨格とし、メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を側鎖に含む架橋樹脂を主成分とすることを特徴としている。シロキサン結合とは、Si原子とO原子が交互に結合して鎖式構造を形成しているものをいい、これが被覆層の主成分である架橋樹脂の主骨格を構成している。シロキサン結合を主骨格に有することで、当該架橋樹脂またはこれを主成分とする被覆層に耐熱性が発現する。ここで被覆層の主成分とは、被覆層の50質量%以上を占める成分である。また、樹脂の主骨格とは樹脂の主鎖を形成する結合数のうち30%以上を占める結合を有する構造である。
一方、架橋樹脂の側鎖には、メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を含むことを特徴としている。これらの有機基を含んでいることで、架橋樹脂に適度な加工性が付与され、被覆層を有する金属が変形、加工を受けた場合にも被覆層が金属の変形に充分に追従し、金属との密着性が確保されることとなる。
このように、本願発明の被覆層は、耐熱性と皮膜密着性の両方を有するものであるが、側鎖の有機基の含有量によって耐熱性と加工性、密着性のバランスを制御する必要がある。例えば、側鎖の有機基の含有量が十分でない場合には、耐熱性は優れるが、加工性と加工時の密着性は劣化する。一方、主骨格に対する側鎖の有機基が過剰な場合には、耐熱性が低下するものの、加工性、密着性に優れた被覆層が得られることとなる。耐熱性と加工性、密着性いずれも満足するために、本発明で用いる架橋樹脂の有機基の含有量としては、メチル基、エチル基など有機基全体として1単位とみた場合、例えば、Si1原子に対して有機基0.1〜2.2単位とする。より好ましくは有機基を0.2〜2.0単位、さらに好ましくは有機基を0.5〜1.5単位とすると、耐熱性と密着性に優れた被覆層の主成分となる架橋樹脂が得られる。
本発明の金属表面の被覆層は、20℃における水の接触角が例えば85°以上であることが好ましい。接触角を85°以上とすることで被覆層の疎水性が向上し、水又は水蒸気が存在する腐食環境下であっても、水分の表面への付着や被覆層中への浸入が抑制され、結果として耐食性が向上すると考えられる。
この被覆層の接触角は、架橋樹脂の側鎖に含まれる有機基の量を調整することによって実現することができる。本願発明で使用するメチル基、エチル基、フェニル基などの有機基は、通常、疎水性であるため、これらの含有量を多くすることで、架橋樹脂中に含まれる疎水性有機基、ひいては被覆層の表面近傍の架橋樹脂に含まれる有機基が多くなり、また、水酸基の量が減少するため、被覆層の表面がより疎水性となる。ここで、水の接触角を85°以上とするためには、有機基の含有量を前述の耐熱性と加工性、皮膜密着性を満足させるために示した有機基の含有量とすることが望ましい。
尚、前述した有機基の含有量のうち、含有量が特に少ない場合には所望の接触角を得ることが困難な場合がある。その場合には、撥水性をもたらす効果が高いフッ素を含む有機基を使用することで、所望の接触角を得ることができる。フッ素を含む有機基、例えばフルオロアルキル基などを用いる場合のほか、フッ素原子を直接Si原子に結合させることもでき、同様の効果を得ることができる。
また、本発明の目的のひとつは、加熱後であっても優れた耐食性を有する表面処理金属を提供することである。この目的を達成するためには、加熱後の被覆層の水の接触角も重要な因子である。本発明においては、300℃加熱後の水の接触角が80°以上であれば、加熱前と同じく撥水性となり、良好な耐食性が得られることがわかった。300℃加熱後の水の接触角は、当該温度で10分間加熱した後に、室温で測定することにより求めることができる。これは、10分間加熱後であれば、300℃未満の低温で揮散する成分の揮散が完了し、ほぼ平衡状態となっていると考えられるためである。300℃で80°以上の接触角は、これまで述べてきたのと同じく有機基を添加することによって実現できる。加熱を行っていない状態の水に対する接触角が85°以上、300℃で加熱した後の水の接触角を80°以上とすることで(いずれも20℃で測定)、本発明の目的のひとつである加熱後の耐食性を高いレベルで満足する表面処理鋼板を得ることができる。
表面の被覆層は、シロキサン結合を主骨格とする架橋樹脂を主成分としているが、シロキサン結合以外の結合として、主骨格と側鎖のどちらか一方、又は双方に、≡Si−O−M≡、≡M−O−M≡(Mは系内に含有する可能性があるTi、ZrなどSi以外の金属元素(上記の式では4価で示しているが、2価以上の金属元素であって、必ずしも4価に限られない。))で表される無機の結合、−CH−CH(CH)−O−CH−のようなエーテル結合または第2または第3アミンとなるようなアミノ結合などを含んでいてもよい。また、シロキサン結合を主骨格とする架橋樹脂以外にも、無機の網目構造と有機の網目構造とがSi−C結合を介して連結され、無機と有機の網目が相互に貫入しあった無機−有機複合樹脂を含んでいてもよい。
また、被覆層には必須成分としてSiが含まれているが、Si以外の元素を含んでいてもよい。例えば、B、Al、Ge、Ti、Y、Zr、Nb、Ta等から選ばれる一種以上の元素が挙げられ、このうちAl、Ti、Nb、Taは、シロキサン結合を主成分とする架橋樹脂を低温・短時間で固化させるための触媒的な働きが期待できる。また、Zrを添加した場合には、樹脂の耐アルカリ性が顕著に改善されるため、特に耐アルカリ性が必要とされる用途に好適に用いられる。
本発明で用いる被覆層は、上記の架橋樹脂に平板状の添加物を添加することを特徴としている。この添加物の効果は必ずしも明らかにできていないものの、添加物が被覆層中に分散していることで、ひび割れの原因となるき裂の進展を効果的に抑制することができ、優れた耐食性を確保することができると考えている。
この平板状添加物(例えば、平薄板形状の添加物)は、被覆層全体に対する質量割合で、例えば、0.05〜40%の範囲で添加されていることが好ましく、より好ましくは0.1〜40%の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜35%の範囲である。添加量が上記の範囲より少ない場合、ひび割れの抑制や耐食性に対する十分な効果が得られず、逆に上記の範囲を超えて多すぎる場合、皮膜を構成するマトリックスに対して添加物粒子が多すぎるため、良好な外観の皮膜が得られず、また密着性や硬さ、強度などの皮膜特性も不十分なものとなる。
添加する平薄板形状粒子は、例えば、粘土鉱物、黒鉛及び黒鉛化カーボンブラックのうちから選択することが望ましい。添加する粒子は一種類であってもよく、二種類以上の粒子を組み合わせて添加することも可能である。ここで、粘土鉱物とは、層状ケイ酸塩鉱物全般を指し、例えば、マイカ、カオリン、パイロフィライト、スメクタイト、バーミキュライト、ハイドロタルサイト類などが知られている。このうち、本発明の平薄板形状の添加物としては、マイカ粒子が特に好適に用いられる。マイカは、XY2−3(Si、Al)10(OH、F)[X=K、Ca、Naなど、Y=Mg、Al、Li、Fe、Mn、Tiなど]の化学組成を有する層状アルミノケイ酸塩であり、白雲母、黒雲母、金雲母などが広く知られている。
これらの添加物のうち、平薄板形状の添加物については、平薄板形状の特徴を最大限に発揮し、ひび割れの原因となるき裂の進展を効果的に抑制することができることから、平面方向の平均粒子径を厚さ方向の平均粒子径で除して得た値が25以上の薄片状粒子である。添加物粒子の粒子径は、著しく大きくなければ使用可能であるが、後述する被覆層の好ましい厚さから考えると、平面方向の粒子径が25μm以下である。この性状の平板状添加物が被覆層中で層状に積層することで発生するひび割れが分散し、また水の浸透を防ぐことによって耐食性が確保されることとなる。
ここで、「平面方向の平均粒子径」とは、平板面の面積から円相当径に換算した値の平均値であり、平薄板形状の粒子を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。一方、「厚さの平均値」とは、平薄板形状粒子の厚さの平均値であり、同じく電子顕微鏡で観察することで求めることができる。
被覆層全体に対する平薄板形状の添加物の好ましい添加量は、上記で述べたとおりであるが、被覆層として焼付け、固化するときに、処理液に含まれる溶剤、または樹脂中の揮発成分が揮散して質量が減少するため、あらかじめ減少する量を計算した上で添加量を決定することが必要である。
基材となる金属の種類または形状は、特に限定されるものではなく、いかなるものも好適に使用することができる。例えば、めっき鋼材、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などが、また厚板、薄板、管(パイプ)、形鋼などの成形品、棒、線材などが用いられる。なかでもめっき鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などの鋼板が特に好適に用いられる。めっき鋼板としては、例えば、鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛−クロム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板、アルミニウム−シリコン合金めっき鋼板、亜鉛めっきステンレス鋼板、アルミニウムめっきステンレス鋼板等があげられる。
ステンレス鋼板としては、例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板、フェライト系ステンレス鋼板等があげられる。ステンレス鋼板の厚さとしては、数十mm程度の厚いものから、圧延により10μm程度まで薄くした、いわゆるステンレス箔までがあげられる。ステンレス鋼板およびステンレス箔の表面は、例えば、ブライトアニール、バフ研磨などの表面処理を施してあってもよい。
アルミニウム合金板としては、例えば、JIS1000番系(純Al系)、JIS2000番系(Al−Cu系)、JIS3000番系(Al−Mn系)、JIS4000番系(Al−Si系)、JIS5000番系(Al−Mg系)、JIS6000番系(Al−Mg−Si系)、JIS7000番系(Al−Zn系)等があげられる。
本発明の表面処理金属は、基材である金属表面の少なくとも一部に、直接被覆層が形成されている場合はもちろんであるが、他の皮膜が存在する金属基材に形成され、複層化されている状態であってもよい。例えば、クロメート処理を施し、クロメート皮膜が形成された金属基材やクロメート以外の公知の化成処理(例えばリン酸塩処理等)やクロメート代替処理として市販されているノンクロメート系塗装下地処理などがなされている金属表面に、本発明で用いる添加物を含有する被覆層が形成されている場合などがあげられる。
本発明の表面処理金属は、材料として用いることも可能であるが、部品に加工した状態でも好適に用いることができる。部品としては特に限定されるものではなく、家電製品、自動車用部品、建材用等に用いることができる。なかでも、表面の皮膜が特に耐熱性と加工性に優れていることを利用して、耐熱性が必要とされる家電製品等に特に好適に用いることができる。代表的な例としては、例えば、オーブンレンジ、ガスレンジ等の加熱調理器具、テーブルコンロ、ビルトインコンロ、レンジフード等の厨房機器類、ファンヒーター、エアコン等の暖房機器、空調機器等があげられる。また、自動車用部品としても好適に用いることができ、特にマフラー等の排気系部品として好適に用いることができる。
本発明の表面処理金属の表面被覆層の厚さは、必要とされる特性または用途によっても異なるが、例えば、0.05μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上25μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上25μm以下である。被覆層厚さがこれらの範囲を超えて薄い場合、均一厚さの被覆層を形成して所定の特性を発現することが困難であり、一方で、被覆層が上記範囲を超えて厚すぎる場合には、本発明の平薄板添加物を添加したものであっても、なおひび割れが発生しやすかったり、耐食性が不十分であったりする場合が多い。
続いて、以下に、本発明の表面処理金属を好適に製造するために用いられる表面処理液について述べる。
本発明の表面処理液は、メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を有するアルコキシシランまたはその加水分解物を含有し、さらに、平薄板形状の添加物を含有することを特徴とする。
このうち、メチル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが、エチル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。また、フェニル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどがあげられる。ここで、例えばジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどの2官能のモノマーを使用した場合には、例えばメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシランなどの3官能のモノマーを使用する場合よりも、水の接触角が大きい、撥水性の高い被覆層が得られやすい。
この表面処理液には、上記のアルコキシシランのほかに、これらの加水分解生成物またはその重合物、縮合物を含んでいてもよい。さらに、必要に応じてアルコキシシラン以外の2価以上の金属のアルコキシドまたはその加水分解物を添加物として用いることもできる。例えば、Al、Ti、Nb、Taから選ばれる少なくとも1種の金属アルコキシド、または酢酸をはじめとする酸は、加水分解及び重縮合反応の触媒として広く用いられている。
本発明の表面処理液は、さらに必要に応じてテトラアルコキシシランまたはその加水分解物を含んでいることを特徴としている。含有するテトラアルコキシシランの代表例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラノルマルプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランなどが挙げられる。4官能のテトラアルコキシシランを添加することで樹脂中の架橋密度を増加させることができるため、硬度が高く耐熱性に優れた被覆層を得ることができる。テトラアルコキシシランの含有量は、必要とする被覆層の性状に応じて決めることができるが、一般的にはテトラアルコキシシラン以外のアルコキシシランとの合計量に対して、モル比で0.8以下とすると水の接触角が85°以上の被覆層が得られやすい。
本発明の表面処理液には、被覆層の意匠性、耐食性、耐摩耗性、触媒機能等を向上させることを目的として、着色顔料、耐湿顔料、触媒、防錆顔料、金属粉末、高周波損失剤、骨材等を添加することも可能である。顔料としては、例えば、Cu、Fe、Mn、Cr、Coよりなる群から選ばれた1種または2種以上の元素を構成成分とする酸化物などがあげられる。これら以外にもTi、Al等の酸化物や複合酸化物、Zn粉末、Al粉末等の金属粉末などが挙げられる。防錆顔料を添加する場合には、環境汚染物質を含まないモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム等の非クロム酸顔料を用いることが好ましい。触媒機能が向上できる例としては、酸化チタン等の光触媒を添加することで、汚染物質を分解するセルフクリーニング機能が向上する例があげられる。また、高周波損失剤としてはZn−Niフェライトなどがあげられる。
また、添加剤として、例えば、レベリング効果剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、ワックス、添加型紫外線安定剤などを混合して用いることができる。また必要に応じて、被覆層の耐熱性等を損なわない範囲でフッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂系塗料を含んでもよい。これら添加剤は1種のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いることもできる。また、必要に応じて、無機または金属粒子、着色顔料や染料を添加することができる。
特に自動車や自動二輪車の排気系部品に対しては、黒色に着色して使用される場合が多い。このような場合には、黒色の顔料を添加して使用することができる。特に好適に用いられる黒色顔料としては、Cu、Fe、Mn、Cr、Coよりなる群から選ばれた1種または2種以上の元素を構成成分とする酸化物、カーボンブラック、黒鉛粉末、または黒鉛化処理を施したカーボンブラックである。これらの顔料のうちで、耐熱性が必要とされる場合には酸化物を用いることが好ましく、特にCu、Mn、FeまたはCu、Cr、Mnの複酸化物が好適に用いられる。また、スポット溶接などを行うことを目的として被覆層の電気抵抗を下げたい場合には、黒鉛粉末または黒鉛化処理を施したカーボンブラックを使用すると被覆層の抵抗値が減少する可能性が高い。
上記の表面処理液を基材である金属表面に塗布、150〜300℃の温度で焼き付けることによって、当該金属表面にシロキサン結合を主骨格とし、メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を側鎖に含む架橋樹脂を主成分とし、平薄板形状の添加物を含有する被覆層を有する表面処理金属を製造することができる。焼付け温度が150℃未満の場合、十分な架橋密度の樹脂が得られないため、被覆層の固さが不十分であったり、密着性が良くなかったりする場合があり得る。一方、焼付け温度を300℃超とした場合、プレコート金属に対しては焼付け温度が高すぎるため、設備上対応できない場合や塗装する金属材料の機械特性やめっき等の表面性状への悪影響も懸念される。
基材である金属への塗装は、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法などによって行われる。本発明で用いられる表面皮膜は、前述の各種基材に対して特に前処理を行わなくても良好な密着性を示すが、必要に応じて塗布前に前処理を行うこともできる。代表的な前処理としては、例えば、酸洗、アルカリ脱脂、クロメート処理、ノンクロメート系処理等の化成処理、研削、研磨、ブラスト処理等があり、必要に応じてこれらを単独でまたは組み合わせて行うことができる。
こうして得られた本発明の表面処理金属は、耐熱性、皮膜密着性、耐食性に優れるだけでなく、被覆部分が腐食性ガス、熱、摩擦、酸素、水、水蒸気、各種薬品などから保護され、外部環境の影響を受けにくい、という特性も有し、幅広い用途への適用が期待できる。
以下に本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
(実施例1)
メチルトリエトキシシラン(MTES)、フェニルトリエトキシシラン(PhTES)、ジメチルジエトキシシラン(DMDES)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)を第1表に示した割合で混合し、十分に撹拌を行った後、エタノールで希釈した蒸留水を用いて酢酸酸性下で加水分解を行った。ここに、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を加え、さらに蒸留水/エタノール混合溶液を用いて加水分解を行い、シロキサン結合と有機基を含む樹脂溶液を調製した。加水分解には十分な量の水を使用し、処理液は150℃で乾燥させたときの残分(固形分)濃度が20質量%になるように調整した。この処理液に第1表に示した量の平薄板形状の添加物を添加し、添加物を含有する表面処理液を作製した。
第1表には、Si1原子に対する有機基の数を示した。MTES、PhTESはSi1原子に対して有機基が1個、DMDESは2個、GPTES、APTESと後述のテトラエトキシシラン(TEOS)については、アルコキシ基のみで有機基を含んでいないため0として計算した。
この表面処理液を有機シリカ系の化成処理(日本パーカライジング社製化成処理液試作品を使用)を行ったフェライト系ステンレス鋼板(YUS432、板厚0.6mm)にバーコータで塗布後、50秒後に板温が250℃となるような昇温条件で最高温度250℃で乾燥、焼付けを行うことにより、添加物を含む被覆層が形成された表面処理金属板を得た。断面観察に基づいて測定した被覆層の厚さは、いずれも約5μmであった。第1表に示した本発明例5、本発明例10、及び本発明例15は、それぞれ本発明例2、本発明例8、及び本発明例14と同じ組成の表面処理液について、有機シリカ系化成処理を行わずに被覆層を形成したものである。
また、比較例として、(i)TEOSのみを出発原料とし、これを加水分解して得た溶液に平薄板形状の添加物を添加したもの、(ii)上記実施例と同様の手順により作製した樹脂溶液(平薄板形状の添加物を添加していない処理液)、をそれぞれ調整し、これらを上記と同じ手順で塗布、乾燥、焼付けを行い、被覆層を有する表面処理金属板を作製した。比較例で形成した被覆層の厚さは、実施例と同様、いずれも約5μmであった。
表面被覆層の水の接触角は、協和界面科学株式会社製接触角計(型式:CA−A)を用いて測定した。各実施例について、被覆層を形成したままのもの、および300℃で10分間加熱したサンプルについて、それぞれ20℃において5回測定し、その平均値を求めた。
また、表面処理金属の皮膜密着性、耐熱性及び耐熱耐食性の効果の検証は、以下の方法によって行った。まず、(i)被覆層を形成した段階での密着性をT曲げ試験によって測定した。(ii)耐熱性は、300℃及び400℃で200時間加熱後の被覆層のひび割れの有無を顕微鏡で観察した。(iii)耐熱耐食性は、耐熱試験後に塩水噴霧試験を行い、発銹及び被覆層の剥離の状況を観察した。試験結果の評価は第2表に示す評価基準に従い、◎→○→△→×の4段階とし、○以上のレベルを合格とした。
結果を第3表に示した。実施例1で試験を行った鋼板は、表面の被覆層の20℃における水の接触角が85°以上であり、またいずれも優れた耐熱性及び耐熱耐食性を有していることがわかる。また、T曲げ試験で評価した被覆層の密着性も良好であった。さらに、化成処理を行わない場合でも(本発明例5、本発明例11、本発明例16)、表面の被覆層の20℃における水の接触角が85°以上であり、T曲げ試験で評価した被覆層の密着性は、化成処理を行った発明例と全く同じで極めて良好であった。また、いずれも優れた耐熱性及び耐熱耐食性を有していることがわかった。
一方、TEOSのみを出発原料とし、加水分解を行って作製した処理液で形成した被覆層が形成された表面処理金属板(比較例1、比較例2)は、実施例と比較して水の接触角が著しく低かった。また、被覆層の密着性は良好であったが、耐熱試験後にひび割れが発生し、十分な耐熱耐食性が得られなかった。また、添加物を含有しない被覆層が形成された表面処理金属板(比較例3、比較例4)は、加熱を行っていない被覆層の密着性は良好であるものの、耐熱性試験では、比較例4の300℃加熱材を除いてひび割れが発生し、不十分なレベルであった。また、耐熱耐食性試験でも発銹が認められ、合格レベルに達していないことがわかった。
Figure 0005135546
Figure 0005135546
Figure 0005135546
(実施例2)
メチルトリエトキシシラン(MTES)、フェニルトリエトキシシラン(PhTES)、ジメチルジエトキシシラン(DMDES)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)を第4表に示した割合で混合し、ここにチタニウムテトラエトキシド0.2モルを加え十分に撹拌を行った後、エタノールで希釈した蒸留水を用いて酢酸酸性下で加水分解を行った。ここに、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を加え、さらに蒸留水/エタノール混合溶液を用いて加水分解を行い、シロキサン結合と有機基を含む樹脂溶液を調製した。加水分解には十分な量の水を使用し、処理液は150℃で乾燥させたときの残分(固形分)濃度が20質量%になるように調整した。この処理液に第4表に示した量の平薄板形状の添加物を添加し、添加物を含有する表面処理液を作製した。
第4表には、実施例1と同様にSi1原子に対する有機基の数を示した。計算方法は実施例1に示したものと同じである。この表面処理液を有機シリカ系の化成処理(日本パーカライジング社製化成処理液試作品を使用)を行ったアルミニウムめっき鋼板(めっき付着量:片面40g/m、板厚0.6mm)にバーコータで塗布後、50秒後に板温が250℃となるような昇温条件により最高温度250℃で乾燥、焼付けを行うことで、添加物を含む被覆層が形成された表面処理金属板を得た。断面観察に基づいて測定した被覆層の厚さは、いずれも約5μmであった。第4表に示した本発明例21、本発明例26は、それぞれ本発明例17、本発明例25と同じ組成の表面処理液について、有機シリカ系の化成処理を行わずに被覆層を形成したものである。
また、比較例として、上記実施例と同様の手順により作製した樹脂溶液(平薄板形状の添加物を添加していない処理液)を調整し、これらを上記と同じ手順で塗布、乾燥、焼付けを行い、被覆層を有する表面処理金属板を作製した。比較例で形成した被覆層の厚さは、実施例と同様、いずれも約5μmであった。
表面被覆層の水の接触角、および表面処理金属による耐熱性及び耐食性の効果の検証は、実施例1と同じ手順で行った。試験結果の評価基準は、第2表に示したものと同じである。
結果を第5表に示した。実施例2で試験を行った鋼板は、T曲げ試験で評価した被覆層の密着性が良好であり、また表面の被覆層の20℃における水の接触角が85°以上であり、いずれも優れた耐熱性及び耐熱耐食性を有していることがわかる。さらに、被覆層を形成する前に化成処理を行わない場合でも(本発明例21、本発明例26)、表面の被覆層の20℃における水の接触角が85°以上であり、T曲げ試験で評価した被覆層の密着性は、化成処理を行った発明例と全く同じで極めて良好であった。また、いずれも優れた耐熱性及び耐熱耐食性を有していることがわかった。
一方、比較例として試験を行った添加物を含有しない被覆層を形成した表面処理金属板(比較例5、比較例6)は、加熱を行っていない被覆層の密着性は良好であるものの、耐熱性試験ではいずれの試験片においてもひび割れが発生し、不十分なレベルであった。また、耐熱耐食性試験でも発銹が認められ、合格レベルに達していないことがわかった。
Figure 0005135546
Figure 0005135546
(実施例3)
実施例2で示した8水準の実施例及び2水準の比較例と同じ表面処理液を作製した。この表面処理液を、CT−E300N化成処理(日本パーカライジング社製)を行った溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量:片面90g/m、板厚0.6mm)にバーコータで塗布後、50秒後に板温が250℃となるような昇温条件により最高温度250℃で乾燥、焼付けを行うことで、添加物を含む被覆層を形成した表面処理金属板を得た。断面観察によって被覆層の密度を計算し、それに基づいて付着量から計算した被覆層の厚さは、いずれも約8μmであった。
表面被覆層の水の接触角、および表面処理金属による耐熱性及び耐食性の効果の検証は、実施例1、実施例2と同じ手順で行った。ただし、耐熱性、耐熱耐食性については、300℃加熱試験のみ行った。試験結果の評価基準は、第2表に示したものと同じである。
結果を第6表に示した。実施例3で試験を行った鋼板は、実施例2と同様、T曲げ試験で評価した被覆層の密着性が良好であり、また表面の被覆層の20℃における水の接触角が85°以上であり、いずれも優れた耐熱性及び耐熱耐食性を有していることがわかる。一方、比較例として試験を行った添加物を含有しない被覆層を形成した表面処理金属板(比較例7、比較例8)は、加熱を行っていない被覆層の密着性は良好であるものの、耐熱性試験ではいずれの試験片においてもひび割れが発生し、不十分なレベルであった。また、耐熱耐食性試験において顕著な発銹が認められ、合格レベルに達していないことがわかった。
Figure 0005135546
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (8)

  1. 基材表面に、20℃における水の接触角が85°以上であり、かつ、300℃に加熱後の20℃における水の接触角が、80°以上である被覆層を有する表面処理金属であって、
    該被覆層が、
    シロキサン結合を主骨格とし、メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を側鎖に含み、かつ、主骨格と側鎖のどちらか一方、又は双方に、Si−O−M結合、M−O−M結合(ここで、MはSi以外の2価以上の金属元素である。)、エーテル結合又はアミノ結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む架橋樹脂と、
    平面方向の粒子径が25μm以下であり、かつ、平面方向の平均粒子径を厚さ方向の平均粒子径で除して得た値が25以上である平板状の添加物と、
    を含有することを特徴とする、表面処理金属。
  2. 前記平板状の添加物の含有量が、被覆層全体に対する質量%で、0.05〜40%であることを特徴とする、請求項に記載の表面処理金属。
  3. 前記平板状の添加物がマイカ粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面処理金属。
  4. 前記基材が、めっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材又はアルミニウム合金材であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の表面処理金属。
  5. メチル基、エチル基、フェニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の有機基を有するアルコキシシラン又はこれらの加水分解物と、テトラアルコキシシラン又はその加水分解物と、
    平面方向の粒子径が25μm以下であり、かつ、平面方向の平均粒子径を厚さ方向の平均粒子径で除して得た値が25以上である平板状の添加物と、
    を含有し、
    前記テトラアルコキシシランの含有量が、それ以外のアルコキシシランの合計量に対して、モル比で0.8以下であることを特徴とする、金属表面処理液。
  6. アルコキシシラン以外の金属アルコキシド又はその加水分解物を含有することを特徴とする、請求項に記載の金属表面処理液。
  7. 前記平板状の添加物がマイカ粒子であることを特徴とする、請求項5または6に記載の金属表面処理液。
  8. 基材表面に、請求項のいずれかに記載の金属表面処理液を塗布した後、150〜300℃の温度で焼き付けることを特徴とする、表面処理金属の製造方法。
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