JP5135052B2 - エンジン及びスクータ型自動二輪車 - Google Patents

エンジン及びスクータ型自動二輪車 Download PDF

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Description

本発明はエンジンに関する。
従来のエンジンの中には、弁軸をバルブリフタを介してカムノーズによって直接押圧する形式がある。こうした直動式動弁機構においては、バルブリフタとカムノーズとの摺動面に対する潤滑を図らねばならない。その場合において、シリンダの軸線が略水平を向いたエンジンであると、バルブリフタとカムノーズとの摺動面がほぼ鉛直をなすため、摺動面に潤滑油を留まらせることができない。そこで、エンジン内にカムノーズを浸漬できるようなオイル溜めを形成する構造が提案された。その一例として、下記特許文献1を挙げることができる。
特開2002−21522公報(図7参照)
上記公報では、シリンダの軸線を挟んで上側に吸気側が、下側に排気側の動弁機構がそれぞれ配されている。上記した潤滑のための構造は、吸気側と排気側にそれぞれ配され、共にオイル溜めをカムキャップとシリンダヘッドとの間で構成している。カムキャップを含んでオイル溜めを構成すると、バルブクリアランス(カムとバルブリフタとの間のクリアランス)の測定作業は、オイル溜めとは反対側から行わざるを得ない。このため、吸気側のカムキャップは上方に開口部が形成されている。
ところで、上側に配されている吸気側のカムにおいてバルブリフタとの摺接部分に接線を引いた場合に、接線が上方へ向く側はカムキャップの開口部から遠ざかる方向となる。したがって、シックネスゲージを上記した接線に沿って挿入しようとする場合に、シックスネスゲージが挿入しにくくなる。そこで、このものにおいては、シリンダヘッドにおいてカムシャフトを軸支する面を、シリンダヘッドにおけるヘッドカバーとの合い面から外方へ突出させることで、カムとバルブリフタとの摺接面の位置をできるだけ、カムキャップの開口部に近づけるようにしている。
しかし、このような構造を採用すると、シリンダヘッドにおいてカムシャフトを軸支する面とヘッドカバーとの合い面とが段違いとなってしまう。すると、例えばこれら面に対する加工を同時に行いにくくなり、別途の加工作業となり勝ちである。このことは、加工工数及び加工時間の増加を意味し、シリンダヘッド全体の製造効率を低下させてしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シリンダヘッドを容易に加工することができるエンジンを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、軸線が略水平方向を向くシリンダブロックと、このシリンダブロックの端部に接続され、吸気ポートと排気ポートとが形成されたシリンダヘッドと、このシリンダヘッドの端面にガスケットを介して突き合わせて装着がなされ、この突合せ部位に跨ってオイル溜めが設けられる部位を含むヘッドカバーと、吸気ポートの開閉を制御する吸気用カムシャフトと、排気ポートの開閉を制御する排気用カムシャフトと、シリンダヘッドの突合せ面との間で、両カムシャフトのうちの少なくとも一方を回転可能に支持する軸支部材とを備え、シリンダヘッドは、端面と突合せ面とがほぼ同一平面で形成され、かつ、エンジンを車両に搭載した状態で、吸気用及び排気用のカムシャフト及びこの両カムシャフトによって吸気ポート及び排気ポートを開閉するよう動作される吸・排気弁がシリンダブロックの軸線を挟んで上下に配置されるとともに、吸・排気弁のうち上側に配置された弁の軸線が軸端部へ向けて上り勾配となるようにしてあり、カムシャフトには吸気弁あるいは排気弁の軸端部に摺接するカムが取付けられ、かつ吸気あるいは排気用のカムシャフトのうち上側に配置された側のカムは、オイル溜めに浸漬され、また、吸気あるいは排気用のカムシャフトのうち下側に配置された側のカムは、シリンダヘッドに対し同シリンダヘッドの突合せ面と対向する側から装着された軸支部材によって覆われるとともに、この軸支部材とシリンダヘッドとの間に亘って他のオイル溜めが形成され、かつ他のオイル溜めは軸支部材の外部へ連通するオーバーフロー用の開口が設けられて、他のオイル溜め内の油面高さが所定高さを越えたときに、軸支部材内のオイルを前記軸支部材の外へオーバーフローさせる構成となっている。
シリンダヘッドの突合わせ面と端面とが段違いに形成されている場合には、両面の段差に対応した加工を要求される。しかし、本発明のように突合せ面と端面とがほぼ同一平面で形成されるようにすれば、両面の段差を考慮せずにすむため、シリンダヘッド全体の加工を容易にすることができる。
加えて、吸気あるいは排気用のカムシャフトのうち下側に配置された側のカムは軸支部材内においてシリンダヘッドとの間に跨って形成される他のオイル溜め内のオイルに浸漬され、さらに他のオイル溜め内のオイルは油面が一定高さを越えるとオーバーフロー用の開口から軸支部材の外へ溢れ出るようになっている。したがって、軸支部材内のオイルを必要以上に貯留させずに済むから、オイルの総量を減らすことができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図10によって説明する。本実施形態では、水冷式4サイクル並列3気筒エンジンを搭載したスクータ型の自動二輪車を例示する。なお、以下の説明中、「右」「左」に関する呼称は、運転者から見た方向を基準としている。
図1は自動二輪車1の全体が示されており、自動二輪車1はハンドル2によって操向される前輪3、エンジンE、エンジンEの駆動力によって回転する後輪4及び着座用のシート5を備えている。シート5は、運転者が着座する前着座部5Aとその後方に配され同乗者が着座するタンデムシート5Bとからなっている。
エンジンEは、詳細には図示されない車体フレームによって固定されている。このエンジンEの駆動力はシャフトドライブ方式の伝達装置によって後輪4に伝えられる。ドライブシャフト6は、車両の左側に配置されていて、車幅方向に延びるピボット軸7を中心として上下に揺動可能に支持されている。ドライブシャフト6の後端にはベベルギヤ(図示しない)が設けられ、後輪4の回転軸に取り付けられたベベルギヤ(図示しない)と噛み合っている。
自動二輪車の車体カバー8は、前輪の上方において車体の前方を覆うようにして形成されたフロントカウリング9と、運転者の両足の前方を覆うように形成されたレッグシールド10と、ハンドル2とシート5との間の位置で、車体の上方を覆うように形成されたセンターカバー11と、このセンターカバー11より下方側で車体の左右両側面を覆うようにして形成されたサイドカバー12と、このサイドカバー12の下方において、運転者の両足を載せる左右一対の平面を有して形成されたフットボード13とを含んで構成されている。
エンジンEのエンジンケースは、クランク軸14を収容するクランクケース15と、変速機を収容する変速機ケース16とを有している。このうち、クランクケース15の前方には車幅方向に延びるクランク室17が形成され、内部にはクランク軸14が収容されている。クランク室17の上方にはシリンダブロック18が前方に延びている。このシリンダブロック18の内部には、3つのシリンダボア(気筒)が車幅方向に並列して設けられ、それぞれにはピストン19が摺動可能に組み込まれている。シリンダブロック18は、各シリンダボアの軸線が車両の前後方向でかつ略水平方向を向くようにしてある。後に詳述するが、シリンダブロック18にはシリンダヘッド20、ヘッドカバー21が順に組付けられ、さらにヘッドカバー21内にはカムシャフト22A,22Bを軸支するためのカムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2も収容されている。
クランク軸14は、クランク軸14の軸芯に沿って延びるジャーナル部14Aと、ジャーナル部14Aの長さ方向の途中において軸芯と垂直な方向に延びる3対のクランクウェブ14Bと、対をなすクランクウェブ14B同士を接続するクランクピン14Cとを有している。各クランクピン14Cには、コンロッド19Aの下端が連結されている。
クランク軸14の両端部はクランク室17の左右両壁部分において軸支され、クランク室17の左右両壁は共にカバー部材24A,24Bによって覆われている。クランク軸14の左方端側はクランク室17の左壁部を貫通してさらに左方に延び出しており、その先端部にはクランク軸14の回転に応じて電力を発生させる発電機25が装着され、カバー部材24Aによって覆われている。クランク軸14の右方端側も、クランク室17の右壁部を貫通しており、その先端部分にはカバー部材24Bによって覆われた状態でスプロケット26が取り付けられている。このスプロケット26には吸気用・排気用のカムシャフト22A,22Bを駆動させるために、両カムシャフト22A,22Bの軸端に取り付けられた両スプロケット95A,95Bとの間にカムチェーン27が巻装されている。カムチェーン27は、シリンダブロック18、シリンダヘッド20、さらにはヘッドカバー21によって構成されたカムチェーン室28内に収容されている。クランク軸14の右方端部であって、右側のカバー部材24Bによって覆われた部分には、始動用のドリブンギヤ120が取り付けられている。このドリブンギヤ120はワンウェイクラッチを有するともに、セルモータによって回転されるアイドラーギヤと噛み合っている。
エンジンEは、クランク軸14から変速機29の駆動プーリ軸30への駆動力の伝達を接続・切断可能なクラッチ31を備えている。このクラッチ31はクランクケース15内に収容されている。クランクケース15において、クランク室17に隣接した位置には、クラッチ31を収容するクラッチ室32が形成されている。このクラッチ室32は、クランク室17の左側部分が後方へ張出すことによって形成されている。クラッチ室32の左方は、着脱可能なカバー部材33によって塞がれている。
本実施形態において、クラッチ31は多板クラッチである。クラッチ31は、クランク軸14と連動して常時回転するクラッチ上流部34と、このクラッチ上流部34と接続可能なクラッチ下流部35と、クラッチ下流部35と一体的に回転するクラッチ軸36と、クラッチ上流部34とクラッチ下流部35との接続・切断を制御するための押圧プレート37とを有している。
クラッチ上流部34の外周にはギヤ38が形成されている。このギヤ38は、クランク軸14において左端に位置するクランクウェブ14B対のうち、右側のクランクウェブ14Bの外周に形成されたギヤ39と噛み合っている。このため、クラッチ上流部34はクランク軸14が回転している間は、クランク軸14と連動して回転することになる。クラッチ上流部34は、車幅方向に所定間隔で配置された複数の上流側ディスク34Aを有している。クラッチ下流部35は、車幅方向に所定間隔で配置された複数の下流側ディスク35Aを有している。各下流側ディスク35Aと上流側ディスク34Aとは交互に配置されている。
押圧プレート37は、スプリング121によって右側へ付勢され、上流側ディスク34Aと下流側ディスク35Aとが圧接されて接続がされるようになっている。このクラッチ接続状態では、クラッチ上流部34、クラッチ下流部35及びクラッチ軸36が一体的に回転し、クランク軸14の回転駆動力がクラッチ軸36に伝達される。
押圧プレート37に接続された図示しないロッドが操作され押圧プレート37が左側へ移動すると、上流側ディスク34Aと下流側ディスク35Aとの接続が解除される。このクラッチ切断状態では、クラッチ上流部34のみが回転するため、クランク軸14の回転駆動力はクラッチ軸36に伝達されない。クラッチ31の接続状態と切断状態とを切り換えるための上記ロッドは、例えばクランク軸の回転速度等に応じて自動的に動作するようになっている。なお、このようにクラッチの切り替えが運転者の操作を伴わない方式に代えて、運転者がハンドルに設けられたクラッチレバー(図示しない)を操作することによって上記したロッドの動作がなされるような方式を採用してもよい。
クラッチ軸36は、車幅方向に沿いながらクランク軸14と平行に配置されており、クランクケース15に対して回転可能に支持されている。クラッチ室32の左側を塞ぐクラッチカバー40の内面には、スリーブ41が突出形成されている。スリーブ41は内向きに開口する円筒状に形成され、ここには押圧プレートの軸芯に軸受け43を介して水平に支持されたロッド42の左端側が軸方向へ移動可能に突っ込まれている。ロッド42の右端側はクラッチ軸36の右端面から軸芯に沿って形成された軸孔へ軸方向へ移動可能に挿通されている。
クラッチ室32の右壁部には、クラッチ軸36の中途部分を軸支するクラッチ軸中央軸支部44が設けられている。クラッチ室32の右方側にはクランク室17の後方側の壁の一部がさらに後方へ延び出してクラッチ軸36の右端部を軸支するクラッチ軸右側軸支部45が形成されている。
図3に示すように、クランク室17の下方であって、クランクケース15の底部の一部には、潤滑用オイルを貯留するクランクケース側オイルパン46が形成されている。潤滑用オイルは、クランクケース15内のクランク室17やクラッチ室32から重力によって流れ落ち、クランクケース側オイルパン46内に溜められる。このクランクケース側オイルパン46の後方であって、クランクケース15の底部の他の一部には、クランクケース側オイルパン46から移送された潤滑オイルを貯留するオイルタンク47が形成されている。
エンジンEは、オイルタンク47から潤滑用オイルを吸い上げてエンジンの各所に潤滑用オイルを供給するためのオイルポンプ48を、クランクケース15内に備えている。オイルポンプ48は、クラッチ上流部34と連動するようにしてあり、クラッチの接続・切断に拘わらず、クランク軸14が回転している間は常時駆動する。
なお、このオイルポンプ48は、スカベンジポンプとしての機能とフィードポンプとしての機能を備えて一体的に構成されている。スカベンジポンプとして機能する部分にはクランクケース側オイルパン46内に収容されたストレーナ49が接続され、ここから潤滑用オイルを吸い上げてオイルタンク47へと流入させる。フィードポンプとして機能する部分は、オイルタンク47内に収容されたストレーナ50が接続され、ここから潤滑用オイルを吸い上げ、クランク室やシリンダ部分に対して潤滑用オイルを供給することができる。
オイルポンプ48のうちフィードポンプとして機能する部分とクランクケース15の前方部分に取り付けられたオイルフィルタ51との間には、オイルポンプ48から吐出された潤滑用オイルをオイルフィルタ51内に流入させるためのフィルタ流入路52が形成されている。オイルフィルタ51にはオイルクーラ51Aが付設されている。オイルクーラ51Aは図示しない水冷ジャケットを有しており、オイルフィルタ51へ流入するオイル及びオイルフィルタ51から流出するオイルを冷却することができる。
クランクケース15のうち、クランク室17の下方部分には車幅方向に延びるオイル主流路53が形成され、このオイル主流路53とオイルフィルタ51との間にもフィルタ流出路54が形成されている。したがって、オイルポンプ48によってオイルタンク47からオイルフィルタ51を通って濾過された潤滑用オイルは、フィルタ流出路54を介してオイル主流路53内に流入する。オイル主流路53内に流入したオイルの一部は、クランク軸14の各ジャーナル部14Aを軸支する各軸支部に形成されたオイル噴射流路55へとそれぞれ通じている。各オイル噴射流路55からは対応するピストンの裏側に向けてオイルが噴射される。
オイル主流路53は、クラッチカバー40に形成された第1流路57と連通するように形成され、クラッチ31に対して潤滑オイルが供給されるようになっている。オイル主流路はさらに分岐してカムチェーン室28の内壁側を構成する、シリンダブロック18及びシリンダヘッド20の壁面を縦方向に貫く第2流路59と連通している。
変速機ケース16の内部には、変速機29を収容する変速機室58が形成されている。変速機室58は、前方側部分がクランクケース15のクラッチ室32の右方に配置され、後方部分はクランクケース15より後方へ延びている。変速機室58の前方部分には、駆動プーリ軸30によって回転可能に支持された駆動プーリ60が収容されている。駆動プーリ軸30はクラッチ軸36と同軸上に配置されるとともに、駆動プーリ軸30の左方端とクラッチ軸36の右方端とはスプライン結合されている。
駆動プーリ60は、車幅方向内側に配置され駆動プーリ軸30と一体に形成された駆動側固定シーブ60Aと、車幅方向外側に配置される駆動側可動シーブ60Bとを有している。駆動側可動シーブ60Bは駆動プーリ軸30に沿って移動可能に取り付けられている。駆動側可動シーブ60Bの移動に伴って駆動側可動シーブ60Bと駆動側固定シーブ60Aとの距離が変化し、その結果、駆動プーリ60のうち金属製ベルト61が掛けられている部分の直径が変化する。
なお、駆動プーリ軸30において駆動用可動シーブ60Bの右方には駆動側蓋部62が取り付けられ、この駆動側蓋部62と駆動用可動シーブ60Bとの間には駆動側オイル収容部63がほぼ密封された状態で形成されている。駆動側オイル収容部63内へは図示しない油圧制御装置からの指令にしたがってオイルが出入りし、それに伴い駆動用可動シーブ60Bの移動量が制御される。
変速機室58のうち、駆動プーリ軸30の後方には従動プーリ軸64が平行に、つまり車幅方向に沿って配置されている。従動プーリ軸64は変速機ケース16に対して回転可能に支持され、その外周には従動プーリ65が取り付けられている。従動プーリ65は、車幅方向外側に配され、従動プーリ軸64と一体に形成された従動側固定シーブ65Aと、車幅方向内側に配され従動プーリ軸64に沿って移動可能な従動側可動シーブ65Bとを備えている。
従動プーリ軸64において従動側可動シーブ65Bの左方には従動側蓋部66が取り付けられ、この従動側蓋部66と従動側可動シーブ65Bとの間には従動側オイル収容部67がほぼ密封された状態で形成されている。この従動側オイル収容部67は内へは図示しない油圧制御装置からの指令にしたがってオイルが出入りし、それに伴い従動側可動シーブ65Bの移動量が制御され、その結果、従動プーリ65の有効径を変化させることができる。
変速機ケース16内において、従動プーリ軸64の後方には同従動プーリ軸64と平行に出力軸68が配置され、回転可能に支持されている。出力軸68は軸方向の途中で2軸に分割されており、相互の連結部分には左右双方の軸部に跨って円筒状の係合部材69が装着されている。この係合部材69の外周に形成された突出部分には図示しないロッドが取り付けられ、このロッドが操作されることによって係合部材69を、出力軸68のうちの左側の軸部側にのみ位置するよう、移動させることができる。これにより、出力軸68を構成する左右の軸部同士の連結を解除して分離することができ、左側の軸部を右側の軸部と独立して回転させることができる。
出力軸68の右端部にはギヤ70が取り付けられ、従動プーリ軸64の右方端部に装着されたギヤ71と噛み合っている。変速機ケース16内には、出力軸68の左端部の左方から後方へ延出する連結軸72が回転可能に軸支された状態で収容されている。この連結軸72は、出力軸68とドライブシャフト6とを中継する。連結軸72の前端には出力軸68の左端部に取り付けられたベベルギヤ73と噛み合うベベルギヤ74が取り付けられている。連結軸72の後端には、ドライブシャフト6の前端を回動自在に連結するためのユニバーサルジョイント用のヨーク75が取り付けられている。
さて、エンジンEは、クランクケース15の前部にシリンダブロック18及びシリンダヘッド20が順に積層されており、これらはボルトによって締結されている。本実施形態のエンジンEは、前述した通り、水冷式4サイクル並列3気筒エンジンである。エンジンEは、車体フレームに搭載された状態で、各気筒の気筒軸S(シリンダボアの中心軸)が前方かつ略水平方向へ向くようにしてある。シリンダヘッド20及びヘッドカバー21内には、吸気・排気弁76,77が各気筒毎にそれぞれ2本ずつ設けられている。各吸気・排気弁76,77は、気筒軸を挟んで上側に各吸気弁76が配され、下側に各排気弁77がそれぞれ配されている。
図4は、シリンダヘッド20をヘッドカバー21側から視た平面図である(但し、各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2は取り外してある)。シリンダヘッド20の右側部(図4では左側部)にはカムチェーン室28が形成されている。カムチェーン室28は、シリンダブロック18を縦向きに貫いてクランク室17へと通じ、前記したカムチェーン27を収容している。シリンダヘッド20には各気筒毎に、点火プラグ118の先端側を収容するためのヘッド側プラグ収容筒78が気筒の並び方向に沿って計3箇所に配されている。各ヘッド側プラグ収容筒78は各気筒とほぼ同軸で形成されており、点火プラグ118はその奥部に固定されている。各ヘッド側プラグ収容筒78の先端側はヘッドカバー21側へ向けて開口しており、シリンダヘッド20にヘッドカバー21を装着すると、ヘッドカバー21側の対応位置に形成された各カバー側プラグ収容筒79と整合するようになっている。各カバー側プラグ収容筒79には点火プラグ118を含む点火ユニット119がそれぞれ収容されている。この実施形態における点火ユニット119は、点火プラグ118と、点火プラグ118に接続されたイグニッションコイル部とを備えている。
各気筒毎に2つずつ設けられた排気弁開口82は、一つの排気ポート83に合流するように連通した後、シリンダヘッド20の下方へ導かれ図示しない排気管へと通じている。同様に、各気筒毎に2つずつ設けられた吸気弁開口84は、一つの吸気ポート85に合流しつつヘッドカバー21側へ向けて導出されている。吸気ポート85の外部接続端面には図示しない吸気マニホールドが接続されている。なお、各吸気ポート85の外部接続端面は、シリンダヘッド20におけるヘッドカバー21と突き合わされる端面(合い面P:図8に示されるPを含む平面)よりシリンダブロック18側に引っ込んだ高さ位置に形成されている。
上記した吸気・排気弁76,77は所定のバルブ挟み角をなしており、それぞれはバルブスプリング76A,77Aによって吸気弁開口84あるいは排気弁開口83を閉じるように付勢されている。吸気弁76及び排気弁77の軸端(前端)にはそれぞれ吸気弁リフタ86及び排気弁リフタ87が装着されている。吸気弁リフタ86と排気弁リフタ87は、シリンダヘッド20においてバルブ挟み角に対応して形成された吸気・排気弁リフタガイド孔88,89内を軸線方向に沿って摺動可能に挿入されている。吸気弁リフタ86と排気弁リフタ87とは、シリンダヘッド20との合い面P(ヘッドカバー21と突き合わされる端面)から内方へ引っ込んで位置している。図8に示すように、車両側方から視た場合に、吸気弁リフタ86及び排気弁リフタ87の先端面は各弁軸に対しほぼ直角をなすようにして形成されている。
図8に示すように、吸・排気弁76,77を開閉動作させる形式として、直動式動弁機構が使用されている。すなわち、各吸気弁76及び各排気弁77は、吸気・排気カムシャフト22A,22Bの複数個所に設けられたカム90A,90Bが吸気・排気弁リフタ86,87を直接押圧することによって開閉動作を行うことができる。
吸気・排気カムシャフト22A,22Bに対する支持は、カムチェーン室28寄りの端部を除き、各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2とシリンダヘッド20側との間でカムシャフト22A,22Bを直接挟み込んで支持されている。但し、両カムシャフト22A,22Bのカムチェーン室28寄りの端部についてだけは、カムキャップ23A−1,23B−1とシリンダヘッド20側との間に軸受け92を介在させて支持されている。
図7には、カムチェーン室28寄りの端部を除いた、カムシャフト22A,22Bに対する軸支構造が示されている。これによれば、シリンダヘッド20におけるヘッドカバー21側の端面であって、各気筒における吸気弁リフタガイド孔86対あるいは排気弁リフタガイド孔87対の間にはヘッド側カム軸受け91Aが形成されている。各ヘッド側カム軸受け91Aの前端面は、奥方(シリンダブロック18側)へ向けて半円弧状をなして凹み形成され、対応するカムシャフト22A,22Bのほぼ半周分(後半周分)に適合し、カムシャフト22A,22Bの回転に伴って周方向に沿って摺接する。一方、各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2におけるカムシャフト22A,22Bの軸線方向に沿った端部には、半円弧状に凹むキャップ側カム軸受け91Bが形成されている。したがって、各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2の装着に伴ってキャップ側カム軸受け91Bは、ヘッド側カム軸受け91Aと共にカムシャフト22A,22Bを全周から挟み込み、回転可能に支持する。
なお、カムシャフト22A,22Bのカムチェーン室28寄り端部の軸支構造は、キャップ側カム軸受け91B及びヘッド側カム軸受け91Aが共に上記した箇所よりも大径にしてあり、これらとカムシャフト22A,22Bの外周面との間に軸受け92を介在させるだけのスペースが保有されるように形成されている。
一方、カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2は吸気用カムシャフト22A及び排気用カムシャフト22Bに対しそれぞれ2個ずつが装着されている。本実施形態では、図5に示すように、排気側の両カムキャップ23B−1,23B−2は排気側カムシャフト22Bの全てのカム90Bを覆っている。しかし、吸気側の両カムキャップ23A−1,23A−2は、吸気側の各カム90Aのうち、各気筒毎に一方のカムのみを覆い、他方のカムを露出させるようにしている。
図7に示すように、各ヘッド側カム軸受け91Aにおいて、両カムシャフトを軸線と直交する方向から挟んだ両端部には、それぞれ一対ずつヘッド側突合せ面93Aが形成されている。各ヘッド側突合せ面93Aは、図7に示すように、カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2の内面の対応位置に形成されたキャップ側突合せ面93Bにそれぞれ突き当てられ、その状態でカムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2側から一対ずつ締着用ボルト94をヘッド側突合せ面93Aへと締め込むことによって各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2の固定がなされている。
各ヘッド側突合せ面93Aは、ガスケット122を介してシリンダヘッド20にヘッドカバー21を突き合わせて装着するときの合い面Pと同一平面をなすようにして形成されている。すなわち、シリンダヘッド20の端面において、その外周縁20A、各ヘッド側プラグ収容筒78の開口端面、ヘッド側固定筒80の開口端面、後述するヘッド側オイル溜め壁111Aの端面、そして各ヘッド側突合せ面93Aは同一平面をなすように形成されている。したがって、シリンダヘッド20に対してヘッドカバー21が装着されるときには、これら同一平面をなしている各端面が合い面Pとなる。
次に、両カムシャフト22A,22Bに設けられた各カム90A,90Bと対応する吸気弁リフタ86あるいは排気弁リフタ87に対する潤滑構造を説明する。
前述したように、オイル主流路53はシリンダブロック18及びシリンダヘッド20の壁面を縦方向に貫く第2流路59と連通している。この第2流路59の終端は、シリンダヘッド20におけるヘッドカバー21側との端面において吸気側と排気側の二箇所に開口している。具体的には、両開口は図4に示すように、吸気側及び排気側の各ヘッド側突合せ面93Aのうち、共に、カムチェーン室28寄りの端部に位置し、かつ内側に位置するものに隣接した位置となっているる。
一方、吸気・排気側における各2つのカムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2のうち、カムチェーン室28寄りに位置するもの23A−1,23B−1の上面には、第2流路59の開口に向けて連絡管96A,96Bが斜めに突出している。この連絡管96A,96Bの一端側は上記した第2流路59の開口に連通し、他端側は軸受92と両カムシャフト22A,22Bの外周面との間に形成された環状油路97に連通している。
カムシャフト22A,22Bには軸芯に沿ってオイル通路98A,98Bが貫通して形成されており、その両端はキャップ99によって封止されている。カムシャフト22A,22Bにおいて、軸受92によって支持されている部分の外周面であって環状油路97に対応した部位には、カムシャフト22A,22B内のオイル通路98A,98Bに連通する流入路100が、周方向に沿って複数個所(一箇所でもよい)に貫通して形成されている。
図7に示すように、両カムシャフト22A,22Bが、ヘッド側カム軸受け91Aとキャップ側カム軸受け91Bとで軸支されている各部位には、オイル通路98A,98Bへと通じる流出路101が径方向に沿って貫通して形成されている。カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2の内面であって、流出路101の開口と対向可能な位置には周方向の所定角度範囲に亘って凹溝102が形成されている。かくして、流出路101の開口から凹溝102へ向けて噴出された潤滑用のオイルは、カムシャフト22A,22Bとその軸支部位との間の潤滑を行うと共に、ヘッド側カム軸受け91Aとキャップ側カム軸受け91Bとの相互の突合せ面間から漏れ出て、次述するオイル溜め内に溜められる。
オイル溜めは、排気側ではカムキャップ23B−1,23B−2内においてシリンダヘッド20との間に亘って形成されるが、吸気側ではカムキャップ23A−1,23A−2外において、シリンダヘッド20とヘッドカバー21との間に亘って形成される(図8参照)。
排気側の各オイル溜めにおけるシリンダヘッド20側の構造は、図4に示すようになっている。すなわち、各気筒における両ヘッド側突合せ面93Aのうち、下側に位置するもの(シリンダヘッド20の外周縁20A寄りに位置するもの)を左右方向に挟んだ位置であって、排気用のカム90Bにそれぞれ対応した位置には、一対のヘッド側受け樋102が配されている。ヘッド側受け樋102は、それぞれ排気用のカム90Bに向けて開口するチャンネル状に形成され、排気弁リフタガイド孔89の開口縁の下部側からカムキャップ23B−1,23B−2側へ延出して形成され、その端面はヘッド側突合せ面93Aとほぼ同一平面をなすように形成されている。排気側の両カムキャップ23B−1,23B−2がシリンダヘッド20に装着されると、カムシャフト22Bに対する軸支部を左右方向に挟んだ両側には、ヘッド側受け樋102とカムキャップ23B−1,23B−2の内壁面とに跨って形成される排気側オイル溜め103が、各気筒毎に一対ずつ区画形成される。
また、排気側の両カムキャップ23B−1,23B−2における前面壁の下部には、各排気側オイル溜め103内の油面高さが所定高さを越えたときに、オイルをカムキャップ23B−1,23B−2の外へオーバーフローさせるための溢れ窓104がそれぞれ一対ずつ開口している。本実施形態の場合、各ヘッド側受け樋10の側面にも溢れ口123が形成され、溢れ窓104とほぼ同じ高さレベルに形成されている。通常時(エンジン始動時も含む)において、排気側オイル溜め103には溢れ窓104及び各溢れ口123の下縁よりやや低位にまでオイルが溜められていて、カムシャフト22Bの回転によってカムノーズがオイル内に浸漬されるようになっている。本実施形態の場合、排気弁リフタの下部側の一部もオイル内に浸漬されるようになっている。
各ヘッド側受け樋102の下壁面とシリンダヘッド側の対向する壁面(シリンダヘッドの下部内壁面)との間には、排気側オイル溜め103からオーバーフローしたオイルを溜めておくためのスペース105が保有されている。このスペース105内において、各気筒間に位置する部位にはオーバーフロー分のオイルを回収するための排気側回収口106が、二箇所に開口している。両回収口106は、シリンダヘッド20の下壁面において同壁面の傾斜に沿って縦向きに形成された二条のオイル戻し路107の上端部を開口させて形成したものであり、両オイル戻し路107は、詳細には図示されないが、シリンダブロック18、さらにはクランク室17の壁内を通って前記したオイルパン46へと通じている。
排気側の両カムキャップ23B−1,23B−2は、カムシャフトに対する軸支部分を除いて上縁側(点火プラグ118が配されている側)が開口し、それぞれゲージ挿通口108となっている。ヘッドカバー21が取り外された状態では、各ゲージ挿通口108は、排気側カム90Bと対応する排気弁リフタ87との間の隙間を測定する際のシックネスゲージを挿通可能である。
吸気側の両カムキャップ23A−1,23A−2は、カムシャフト22Aに対する軸支部分を除き、上面側及び下面側が共に開口して形成されている。したがって、これら上下の開口は、いずれも前記したシックネスゲージを挿通するためのゲージ挿通口として機能することができる。特に、下面側の開口109は、ヘッド側カム軸受け91Aとキャップ側カム軸受け91Bとの間から漏れ出た潤滑用オイルを吸気側オイル溜め110へと流下させる役割も果たす。
吸気側オイル溜め110は、吸気側カムキャップ23A−1,23A−2の外側において、シリンダヘッド20とヘッドカバー21との両者に跨った状態で形成されている。吸気側オイル溜め110におけるシリンダヘッド20側の構造は、図4に示すようになっている。すなわち、各気筒における両吸気側カム90A対のそれぞれの下側位置には、ヘッド側オイル溜め壁111Aが設けられている。両ヘッド側オイル溜め壁111Aは、一端側がヘッド側プラグ収容筒78の外面に連結され、そこから左右方向へ延びてオイル溜め110の底面を形成した後、カムシャフト22A側に起立しオイル溜め110の側面としてのヘッド側起立部115Aを形成している。また、各気筒間で隣接する位置にあるヘッド側起立部115A同士はヘッド側連結部116Aによって連結されている。
一方、ヘッドカバー21の内面において吸気側・排気側の各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2のボルト受け筒112と対応する位置には、吸気側・排気側のそれぞれに計三箇所ずつボルト差込み孔113が貫通している。かくして、各ボルト差込み孔113に対しヘッドカバー21の外面側からボルト114が差し込まれ、対応するカムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2へとゴムグロメット124を介してねじ込まれることによって、ヘッドカバー21と共に各カムキャップ23A−1,23A−2,23B−1,23B−2の取り付けの安定化が図られている。
前述したように、ヘッドカバー21の内面には、各気筒の並び方向に沿って3つのカバー側プラグ収容筒79が突設されている。これら各ヘッド側プラグ収容筒79の外面から左右方向に張り出すようにして、カバー側オイル溜め壁111Bが突出形成されている。各カバー側オイル溜め壁111Bは、対応するヘッド側オイル溜め壁と整合可能に形成されている。したがって、ヘッドカバー21がシリンダヘッド21に装着されると相互の端面同士がガスケット122を介して突き当てられ、ヘッド側・カバー側の両オイル溜め壁によって吸気側オイル溜め110が形成される。また、各気筒毎のカバー側オイル溜め壁111Bも、ヘッド側オイル溜め壁111Aと同様、左右両側にカバー側起立部115Bを有している。また、隣接するカバー側起立部115B同士がカバー側連結部116Bによって連結されている点も、ヘッド側と同様である。カバー側オイル溜め壁111Bの端面も各カバー側プラグ収容筒79の開口面、及びヘッドカバー21の外周縁によって構成される、シリンダヘッド21側との合い面Pと同一平面をなすようにして形成されている。また、各カバー側オイル溜め壁111Bは各カバー側プラグ収容筒79同士を連結するため、各カバー側プラグ収容筒79に対する補強壁としての機能も果たす。
各吸気側オイル溜め110からオーバーフローしたオイルは、ヘッド側・カバー側の起立部115A,115Bを越えて、ヘッド側・カバー側連結部116A,116Bの上方に形成された二箇所のオイル回収部117へと流れ込むようになっている。両オイル回収部117の奥部には図示しない回収口がそれぞれ開口し、排気側の両オイル戻し路107へと連通するようになっている。かくして、吸気側の各オイル溜め110からオーバーフローしたオイルは、両オイル回収部117内に流れ込み、オイル戻し路107内において排気側のオーバーフロー分と合流して排気側オイルパン46へと戻される。
なお、この実施形態において「気筒軸Sが略水平」とは、気筒軸が水平に近い所定の角度範囲を言い、吸気側及び排気側のカム90A,90Bのカムノーズ先端が最下点にある状態で、カムノーズの先端から半分の高さ位置で仮想のオイル面を想定したときに、このオイル面がシリンダヘッドとヘッドカバーとの間を跨いでオイル面が形成される角度範囲を言う。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を説明する。本実施形態によれば、カムシャフト22A,22Bを軸支するための各ヘッド側突合せ面93Aが、シリンダヘッド20にヘッドカバー21をガスケット122を介在させた状態で突き合わせて装着するときの合い面P(具体的には、外周縁20A、各ヘッド側プラグ収容筒78の開口端面、ヘッド側固定筒80の開口端面、ヘッド側オイル溜め壁111Aの端面等のシリンダヘッド20の端面)と同一平面をなすようにして形成されている。この点、従来であれば、ヘッド側突合せ面93Aがシリンダヘッド20の他の合い面と段違いになっていた。したがって、従来に比較して、例えばシリンダヘッド20の成形型の型構造が簡単であり、またシリンダヘッド20の端面を加工する場合も、一度の加工作業で済み、加工作業を簡易に行うことができる。
吸気側では、カムキャップ23A−1,23A−2に下面側開口109が形成され、シリンダヘッド20とヘッドカバー21とが相互に突き合わされる部位に跨ってオイル溜め110が設けられている。したがって、カム90Aと吸気弁リフタ86との間のバルブクリアランスを測定する際のシックネスゲージの挿入作業をカムキャップの下面側からも行うことができ、作業方向を上下選択することもできる。もっとも、本実施形態のように、吸気側を気筒軸Sを境に上側に配置し、かつ吸気弁76の軸線が斜め上向きとなるように配置したものでは、吸気弁リフタ86とカム90Aとの摺動部分に引いた接線の向きが、下方では合い面Pに徐々に近づくのに対し、上方では合い面Pから徐々に奥方へ遠ざかる。したがって、シックネスゲージの進入方向としては、カムキャップ23A−1,23A−2の下面側開口109を通して行った方が作業がしやすい。
なお、排気側では吸気側とは上記した接線の方向が逆であるため、カムキャップ23B−1,23B−2の上方に開口するゲージ挿通口108を通して行った方が作業上有利である。
また、吸気・排気側双方のオイル溜め103,110に対するオイルの供給は、カムシャフト22A,22B内のオイル通路98A,98Bを通して行うようにしている。つまり、カムシャフト22A,22Bという既存構造を利用してオイル溜め103,110へのオイル供給がなされているため、潤滑構造の簡素化を図ることができる。しかも、カムシャフト22A,22B内のオイル通路98A,98Bは流出路101を介してカムシャフト22A,22Bに対する軸支部分に通じるようにし、軸支部分からオイル溜め103,110へと流れるようにしている。したがって、カムシャフト22A,22Bの軸支部分における潤滑とオイル溜め103,110へのオイルの供給を併せて行うことができるため、潤滑構造の一層の簡素化を図ることができる。
吸気側のオイル溜め110においては、起立部115A,115Bを設けて各気筒毎に区画するようにしている。また、排気側オイル溜め103は各カム90B毎に区画されている。したがって、オイル溜め103,110を全ての気筒にわたって連通するような形態をとる場合に比較してオイル溜め103,110内のオイル総量を減らし、必要最小限のものに留めることができる。
各気筒間を間仕切る起立部115A,115Bは、シリンダヘッド20あるいはヘッドカバー21と別体で形成することもできるが、一体構造にした方が構成も簡素であり、特にヘッドカバー20側のように、カバー側プラグ収容筒79を連結させることから、補強効果も得られる。
よく知られるように、スクータ型自動二輪車においては、エンジンの上下方向の高さを抑制することが強く望まれている。本実施形態のように、シリンダの軸線が略水平方向を向くことを前提としたエンジンであれば、この要請によく応えることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)吸気側のカムキャップ23A−1,23A−2は、必ずしも吸気側のカム90Aを覆う必要はなく、単にカムシャフト22Aに対する軸支を行うだけであってもよい。
(2)本実施形態では、気筒軸を挟んで上側を吸気側、下側を排気側としたが、逆の配置であってもよい。
(3)本実施形態では3気筒エンジンを示したが、気筒数は必ずしも限定されるべきものではない。また、後輪への駆動力の伝達方式としてシャフトドライブ方式を示したが、チェーンを用いた伝達方式を用いてもよい。さらに、エンジンを支持する方式としては、いわゆるユニットスイング式を採用することも可能である。
自動二輪車の側面図 エンジンの断面図 エンジンの左側面図 ヘッドカバー及びカムキャップを取り外した状態でのシリンダヘッドの平面図 カムキャップを装着した状態でのシリンダヘッドの平面図 カムシャフト周辺を示す断面図 カムシャフトの軸支部分を示す側断面図 オイル溜め部分を示す側断面図 ヘッドカバーの裏面図 潤滑用オイルの流れ状況を示す説明図
符号の説明
18…シリンダブロック
20…シリンダヘッド
21…ヘッドカバー
22A,22B…カムシャフト
23A−1,23A−2,23B−1,23B−2…カムキャップ(軸支部材)
46…オイルパン
48…オイルポンプ
83…排気ポート
85…吸気ポート
90A,90B…カム
93A…ヘッド側突合せ面
93B…キャップ側突合せ面
98A,98B…オイル通路
101…流出路
110…吸気側オイル溜め
115A…ヘッド側起立部
115B…カバー側起立部
117…オイル回収部
118…点火プラグ
119…プラグコード
P…合い面(端面)

Claims (8)

  1. 軸線が略水平方向を向くシリンダブロックと、
    このシリンダブロックの端部に接続され、吸気ポートと排気ポートとが形成されたシリンダヘッドと、
    このシリンダヘッドの端面にガスケットを介して突き合わせて装着がなされ、この突合せ部位に跨ってオイル溜めが設けられる部位を含むヘッドカバーと、
    前記吸気ポートの開閉を制御する吸気用カムシャフトと、
    前記排気ポートの開閉を制御する排気用カムシャフトと、
    前記シリンダヘッドの突合せ面との間で、前記両カムシャフトのうちの少なくとも一方を回転可能に支持する軸支部材とを備え、
    前記シリンダヘッドは、前記端面と前記突合せ面とがほぼ同一平面で形成され
    かつ、エンジンを車両に搭載した状態で、前記吸気用及び排気用のカムシャフト及びこの両カムシャフトによって前記吸気ポート及び前記排気ポートを開閉するよう動作される吸・排気弁が前記シリンダブロックの軸線を挟んで上下に配置されるとともに、前記吸・排気弁のうち上側に配置された弁の軸線が前記軸端部へ向けて上り勾配となるようにしてあり、
    前記カムシャフトには前記吸気弁あるいは排気弁の軸端部に摺接するカムが取付けられ、かつ前記吸気あるいは排気用のカムシャフトのうち上側に配置された側の前記カムは、前記オイル溜めに浸漬され、
    また、前記吸気あるいは排気用のカムシャフトのうち下側に配置された側の前記カムは、前記シリンダヘッドに対し同シリンダヘッドの前記突合せ面と対向する側から装着された前記軸支部材によって覆われるとともに、この軸支部材と前記シリンダヘッドとの間に亘って他のオイル溜めが形成され、かつ前記他のオイル溜めは前記軸支部材の外部へ連通するオーバーフロー用の開口が設けられて、前記他のオイル溜め内の油面高さが所定高さを越えたときに、前記軸支部材内のオイルを前記軸支部材の外へオーバーフローさせることを特徴とするエンジン。
  2. 前記両カムシャフトのうちの少なくとも一方は、前記オイル溜めにオイルを供給するためのオイル通路を有することを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  3. 前記両カムシャフトのうちの少なくとも一方において、前記軸支部材と前記シリンダヘッドとで挟まれて軸支される部分の外周面には、前記オイル通路から貫通する流出路が開口していることを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
  4. 前記シリンダヘッドには、前記カムシャフトの軸線方向に沿って複数個の気筒が並列して設けられ、かつ前記各気筒の並び方向に隣接する前記オイル溜め同士の間には、前記オイル溜めの底面から起立した起立部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  5. 前記起立部は、前記シリンダヘッド側から起立するヘッド側起立部と前記ヘッドカバーから起立するカバー側起立部との相互の端面同士を、ガスケットを介して突き合わせて連続させることによって形成されていることを特徴とする請求項4に記載のエンジン。
  6. オイルを貯留するオイルパンと、このオイルパンから吸い上げられたオイルを前記オイル溜めへ供給するポンプとを有し、
    前記オイル溜めの外側には、前記ヘッド側起立部を越えてオーバーフローした前記オイル溜め内のオイルを、前記オイルパンへ返送するための回収部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のエンジン。
  7. 前記シリンダヘッドには、前記両カムシャフトの軸線方向に沿って複数個の気筒が並列して設けられかつ車両に搭載した状態で前記吸気用及び排気用のカムシャフト及び吸気弁あるいは排気弁が前記軸線を挟んで上下に配置されるとともに、前記シリンダヘッドにおいて前記吸気用及び排気用のカムシャフトの間に挟まれた位置には、点火プラグを含む点火ユニットが各気筒毎に配置されたエンジンであって、
    前記ヘッドカバーの内面には、前記点火ユニットが取り付けられる複数の収容筒部が、前記両カムシャフトの軸線方向に沿って並列しつつ一体に突出して形成され、
    かつ各収容筒部同士は前記ヘッドカバーの内面から一体に突出し前記オイル溜めを構成する部位によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載のエンジンを搭載してなるスクータ型自動二輪車。
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