JP5134906B2 - 車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置 - Google Patents

車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレールを連結するための連結装置に関する。
車両における車両用シートのパワースライド装置の従来技術としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1のパワースライド装置は、車両床面に固定した左右一対のロアレール7(固定レール)と、シートを支持すると共に左右のロアレール7に対してスライド可能な左右一対のアッパレール(可動レール)8と、左右のアッパレール8の前端部どうしを結合する左右方向に延びるクロスメンバー9と、左右のロアレール7の底面にそれぞれ固定した貫通雌ねじ孔を有する一対のナット部材17と、左右のナット部材17の貫通雌ねじ孔をそれぞれ貫通する左右一対のリードスクリュー(スクリューロッド)15と、共にクロスメンバー9に固定したモータ13及び左右のリードスクリュー15の前端部に連係することによりモータ13の動力を左右のリードスクリュー15に伝達するギヤユニット11、12と、を具備している。
モータ13が作動すると、モータ13の駆動力が左右のギヤユニット11、12を介して左右のリードスクリュー15に伝わり、左右のリードスクリュー15が自身の軸線回りに回転しながらロアレール7と一体化している左右のナット部材17に対して自身の軸線方向に相対移動する。すると、左右のリードスクリュー15と一緒に左右のアッパレール8及びシートが左右のロアレール7に対して前方または後方に相対スライドする。
特開2000−177440号公報
上記のような構成のパワースライド装置を組み立て方法の一例として、車両床面上に予めロアレール7、ナット部材17、リードスクリュー15、アッパレール8及びシートからなる床面固定側ユニットを組み立てておき、この床面固定側ユニットに、別の場所で予め組み付けておいたクロスメンバー9、ギヤユニット11、ギヤユニット12及びモータ13からなる連結用ユニット(連結装置)を後から組み付ける方法がある。
しかし、左右のロアレール7の車両床面に対する固定位置が設計値から僅かでもずれたり、ナット部材17のロアレール7への固定位置が設計位置から僅かでもずれると、左右のリードスクリュー15どうしの間隔が設計値からずれてしまう。
そのため、このような状態で連結用ユニットを床面固定側ユニットに組み付けようとすると、リードスクリュー15やギヤユニット11、12に無理な力が掛かったり、あるいは左右のギヤユニット11、12を左右のリードスクリュー15に接続できなくなる。
また、左右のロアレール7(及びアッパレール8)どうしの間隔は車種によって異なるので、従来においては連結用ユニットを車種毎に製造しなければならなかった。
本発明の目的は、車両用シートのパワースライド装置の一部をなす床面固定側ユニットの一対のスクリューロッドどうしの間隔が設計値から多少ずれていても、一対のアッパレールの端部どうしを無理なく容易に連結でき、かつ複数の車種の床面固定側ユニットに対応できる車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置を提供することにある。
本発明の車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置は、車両床面に固定した一対のロアレールに固定したナット部材にそれぞれ螺合し、かつ、シートを支持する一対のアッパレールとそれぞれ一緒に各ロアレールに対してスライドする一対のスクリューロッドを、その軸線回りに回転させる駆動手段と、該駆動手段の駆動力を上記各スクリューロッドにそれぞれ伝達する一対の動力伝達装置と、上記駆動手段及び上記動力伝達装置を支持し、かつ、上記動力伝達装置を上記一対のスクリューロッドにそれぞれ連係させた状態で上記一対のアッパレールの端部どうしを連結する連結ブラケットと、を備え、少なくとも一方の上記動力伝達装置に、少なくとも一方の上記アッパレールの一方の端部または該端部に固定した固定部材に形成したねじ孔に螺合するボルトが貫通する貫通孔を形成し、上記連結ブラケットに、該ボルトが上記一対のアッパレールの並び方向にスライド可能として貫通する調整用長孔を少なくとも一つ形成したことを特徴としている。
少なくとも一方の上記動力伝達装置と上記連結ブラケットとに、該動力伝達装置を上記連結ブラケットに上記調整用長孔の長手方向にスライド可能として支持するスライド式支持手段を設けるのが好ましい。
上記スライド式支持手段は、例えば、上記連結ブラケットと動力伝達装置の一方に形成した、上記調整用長孔と平行な方向に延びる支持用長孔と、他方に形成した、上記支持用長孔にスライド可能に嵌合する支持用突部と、を備えるものとすることが可能である。
さらに、上記動力伝達装置が、頭部と、該頭部に連なる首部と、を有し、上記支持用長孔が、上記頭部及び首部が貫通可能な広幅部と、該広幅部と連通し、かつ上記シートのスライド方向の寸法が上記首部と同じまたは広く上記頭部より狭い狭幅部と、を有し、上記狭幅部に、該狭幅部に嵌合した上記首部が上記広幅部側に移動するのを規制する抜け止め用突部を形成するのが好ましい。
本発明では、連結ブラケットと動力伝達装置の一方に形成した調整用長孔に挿入したボルトは該長孔に対してスライド可能である。そのため、本連結装置をアッパレールの端部に接続する前の状態においては、動力伝達装置は連結ブラケットに対して調整用長孔の長手方向(一対のアッパレールの並び方向)に位置調整が可能である。
従って、車両床面に予め固定しておいたロアレール、ナット部材、スクリューロッド及びアッパレールを有する床面固定側ユニットの一対のスクリューロッドどうしの間隔が設計値から多少ずれていても、連結ブラケットに対する動力伝達装置の位置を調整することにより、連結ブラケット及び動力伝達装置を介して一対のアッパレールの端部どうしを無理なく容易に接続できる。
また、連結ブラケットに対する動力伝達装置の位置を調整可能なので、本発明の連結装置は複数の車種の床面固定側ユニットに対応できる。
請求項2のように構成すれば、連結ブラケットに動力伝達装置をスライド可能に仮保持できるので、連結装置による一対のアッパレールの連結作業が容易になる。
請求項3のように構成すれば、簡単な構造のスライド式支持手段が得られる。
請求項4のように構成すれば、動力伝達装置の首部を支持用長孔の狭幅部に嵌合すると、動力伝達装置の頭部によって動力伝達装置の支持用長孔からの脱落が阻止され、かつ首部が狭幅部に対してスライド可能になる。さらに、首部の広幅部側への移動が狭幅部に形成した抜け止め用突部によって規制されるので、一旦首部を狭幅部に嵌合すれば、首部及び頭部が不意に広幅側に移動して動力伝達装置が支持用長孔から脱落することはない。
以下、本発明の一実施形態を添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明中の前後方向と左右方向は図中に記載した矢線方向を基準とする。
車両内の床面(図示略)上には対をなす前側ブラケット11と後側ブラケット12が左右に並べて固定してあり、左右の前側ブラケット11及び後側ブラケット12の上面にはそれぞれロアレール13の下面の前端部と後端部がリベットR1、リベットR2によって固定してある。
図1に示すようにロアレール13は前後方向に直線的に延びる金属製のチャンネル材であり、その左右両側壁の上端からは水平な上片14が内向きに突出しており、左右の上片14の対向縁部からはそれぞれ垂下片15が下向きに突出している。
左右のロアレール13には、前後方向に延びる金属製のチャンネル材である左右一対のアッパレール17がそれぞれスライド可能に嵌合している。アッパレール17は断面下向きU字形をなす本体部18と、本体部18の左右両側部から一旦外側に延びた後に上方に延びる上向き嵌合片19と、を有している。アッパレール17は、その左右の上向き嵌合片19がロアレール13の側壁と垂下片15の間の空間内に位置し、かつその本体部18がロアレール13の左右の垂下片15の間に位置する状態で対応するロアレール13にスライド自在に嵌合している。さらに、左右のアッパレール17の上面にはそれぞれ左側シート用ブラケット20と右側シート用ブラケット21が複数のボルトB1とナットN1により固定してあり、左側シート用ブラケット20と右側シート用ブラケット21には図示を省略したシートの下面の左側部と右側部を固定してある。
図示するように、左右のロアレール13の底面の中央部より前寄りの部分には、前後一対のボルトB2によってナットユニット25が固定してある。このナットユニット25は、ブロック形状をなし、かつ、その下面に形成した前後一対の雌ねじ孔31にロアレール13の底部を貫通する前後一対のボルトB2がそれぞれ螺合する金属製ケース26と、金属製ケース26を前後方向に貫通する断面略円形の貫通孔の内周面にアウトサート成形(一体成形)した、その内周面が雌ねじ孔34となっている樹脂製ナット32と、を備えている。
左右のアッパレール17の本体部18の前端部には、側面視L字形をなす金属製の支持ブラケット37(固定部材)の水平嵌合片38が本体部18の天井面に当接する状態で挿入してある。水平嵌合片38の左右幅は本体部18の左右両側壁の対向面間距離と等しく、さらに水平嵌合片38の上面に突設した突起39が本体部18の天井部に穿設した嵌合孔22に嵌合しているので、水平嵌合片38(支持ブラケット37)の本体部18(アッパレール17)に対する(上下方向の軸回りの)回転は規制されている。また、水平嵌合片38の前端部から上方に延びる垂直片41にはねじ孔42が穿設してある。
さらに、支持ブラケット37の水平嵌合片38には荷重伝達部材45が一体的に設けてある。この荷重伝達部材45は、上方に向かって延出するねじ部46と、ねじ部46の下端に連なる水平当接片47と、水平当接片47の下面から下方に延びる下方突出部48と、を備えており、下方突出部48には下方突出部48を前後方向に貫通するスクリューロッド挿通孔49が穿設してある。荷重伝達部材45のねじ部46は、アッパレール17の本体部18の天井部に穿設した円形孔23、及び左側シート用ブラケット20に穿設した貫通孔を下方から上方に貫通しており、水平当接片47は水平嵌合片38の下面に当接している。そして、左側の荷重伝達部材45のねじ部46の左側シート用ブラケット20より上方に突出した部分にはナットN2が螺合し、かつ該ナットN2が左側シート用ブラケット20の上面に接触しているので、左側の荷重伝達部材45は左側の支持ブラケット37、左側のアッパレール17及び左側シート用ブラケット20と一体化している。さらに、右側の荷重伝達部材45のねじ部46の右側シート用ブラケット21より上方に突出した部分にはナットN2が螺合し、かつ該ナットN2が右側シート用ブラケット21の上面に接触しているので、右側の荷重伝達部材45は右側の支持ブラケット37、右側のアッパレール17及び右側シート用ブラケット21と一体化している。
左右のロアレール13に固定したナットユニット25の樹脂製ナット32の雌ねじ孔34には、前後方向に延びると共に断面円形をなす金属製のスクリューロッド50を挿通させてある。スクリューロッド50の後端部をなす後端軸受部51と、スクリューロッド50の前端部近傍をなす小径雄ねじ部52と、スクリューロッド50の前端部をなす前端セレーション部53はその他の部分に比べて小径である。後端軸受部51と小径雄ねじ部52の間に位置する部分は樹脂製ナット32の雌ねじ孔34と螺合するナット螺合用雄ねじ部54であり、小径雄ねじ部52と前端セレーション部53の間に位置する部分は荷重伝達部材45のスクリューロッド挿通孔49を貫通する中間大径雄ねじ部55である。
左右のスクリューロッド50の後端軸受部51は、左右のアッパレール17の後端部に固定した後端軸受部材56の軸受用凹部57によって相対回転可能かつ相対スライド可能に支持されている。
図示するように、左右のスクリューロッド50の中間大径雄ねじ部55には、荷重伝達部材45を前後から挟むようにしてナットN3とナットN4が螺合してある。これらのナットN3及びナットN4はかしめることにより中間大径雄ねじ部55に固定してある。荷重伝達部材45の前後両面はナットN3とナットN4の対向面にそれぞれ接触しているので、荷重伝達部材45はスクリューロッド50に対して相対回転可能であるが、スクリューロッド50に対する相対スライドは規制されている。即ち、ナットN3とナットN4が荷重伝達部材45を前後から挟持することにより、スクリューロッド50とアッパレール17は前後方向に一緒に移動するようになっている。
さらに、左右のスクリューロッド50のナット螺合用雄ねじ部54には、ナットユニット25の後方に位置するナットNSが螺合してあり、このナットNSをかしめることによりナット螺合用雄ねじ部54に固定している。
以上説明した構成要素からなる部分が、パワースライド装置10の一部をなす床面固定側ユニットFUである。
次に、パワースライド装置10の残りの部分を構成するユニット体である連結用ユニット(連結装置)CUについて説明する。
左右の支持ブラケット37(アッパレール17)を連結するための部材である金属製の連結ブラケット60の左右両端部はチャンネル形状をなしている。即ち、連結ブラケット60の左右両端部に形成した端部前壁61の上部からは略水平な天井壁62が後方に向かって延びており、天井壁62の後部からは後部壁63が垂下している。さらに、端部前壁61及び後部壁63には互いに前後方向に対向しかつ左右方向に延びる調整用長孔64と調整用長孔65が穿設してあり、天井壁62には左右方向に延びる支持用長孔(スライド式支持手段)66が穿設してある。この支持用長孔66は、広幅部67と、広幅部67より前後寸法が短い狭幅部68とからなるものである。
連結ブラケット60の左右の支持用長孔66には左右一対のギヤボックス(動力伝達装置)70をそれぞれ取付可能である。
ギヤボックス70にはギヤボックス70の上部を前後方向に貫通する断面円形の貫通孔71と、ギヤボックス70の下部を前後方向に貫通するウォームホイル収納孔72と、ウォームホイル収納孔72の直上部分を左右方向に貫通するウォーム収納孔73が穿設してあり、ウォームホイル収納孔72とウォーム収納孔73はギヤボックス70の内部において互いに連通している。
さらに、左右のギヤボックス70のウォームホイル収納孔72の内部には、前後方向に延びる軸線を有し、かつその後面に前方に向かって延びるセレーション溝付凹部75aが凹設された樹脂製のウォームホイル(動力伝達装置)75が、該軸線回りに回転可能かつスライド不能として収納してある。一方、ウォーム収納孔73の内部には、左右方向に延びる軸線を有する樹脂製のウォーム(動力伝達装置)76が、該軸線回りに回転可能かつ該軸線方向に相対スライド不能として収納してある。これらウォームホイル75とウォーム76はギヤボックス70の内部において互いに噛合している。
さらに、ウォームホイル75及びウォーム76を収納している本体部77の上端部には本体部77より前後寸法及び左右寸法が短い断面矩形の首部(スライド式支持手段)(支持用突部)78が連設してあり、かつ首部78の上端部には首部78より前後寸法及び左右寸法が長い断面矩形の頭部(スライド式支持手段)(支持用突部)79が連設してある。図3及び図4に示すように、この頭部79の前後寸法及び左右寸法は支持用長孔66の広幅部67より小寸であるが、その前後寸法は狭幅部68より長い。一方、首部78の前後寸法及び左右寸法は支持用長孔66の広幅部67より短い。さらに、首部78の前後寸法は狭幅部68と同じであり、かつ首部78の左右寸法は狭幅部68より短い。また、ギヤボックス70の本体部77の前後寸法は端部前壁61と後部壁63の間隔より狭い。
従って、左右のギヤボックス70は左右の端部前壁61と後部壁63の間に下方から挿入可能であり、その頭部79を支持用長孔66の広幅部67を通して天井壁62の上方に突出させ(図4の仮想線及び図2参照)、そのまま外側(左側のギヤボックス70は左側、右側のギヤボックス70は右側)にスライドさせると首部78が狭幅部68に嵌合する。このように首部78が狭幅部68に嵌合すると、狭幅部68より前後寸法が大きい頭部79の下面が天井壁62の上面に当接するので、左右のギヤボックス70が連結ブラケット60の左右両端部に左右方向にスライド可能に支持(仮保持)される。
さらに、連結ブラケット60の後面の中央部よりやや左側には、その軸線が左右方向に延びるモータ(駆動手段)80が固定してある。モータ80に内蔵された左右方向の軸線回りに回転する出力回転軸(図示略)の左端部には、柔軟な金属材からなるフレキシブルシャフトFS1の右端部が同軸的に固着してあり、該出力回転軸の右端部には、フレキシブルシャフトFS1と同じ金属材からなると共にフレキシブルシャフトFS1より長いフレキシブルシャフトFS2の左端部が同軸的に固着してある。
フレキシブルシャフトFS1の左端部は左側のギヤボックス70に収納したウォーム76に相対回転不能かつ相対スライド可能に接続しており、フレキシブルシャフトFS2の右端部は右側のギヤボックス70に収納したウォーム76に相対回転不能かつ相対スライド可能に接続している。また、フレキシブルシャフトFS2の周囲には、その左端部をモータ80の右端面に固定すると共にその右端部を右側のギヤボックス70の左側面に固定した可撓性材料からなるパイプ状カバー部材69が位置している。
以上説明した連結ブラケット60、パイプ状カバー部材69、ギヤボックス70、ウォームホイル75、ウォーム76、モータ80、フレキシブルシャフトFS1及びフレキシブルシャフトFS2を備える連結用ユニットCUは、一対のボルトB3によって床面固定側ユニットFUの左右の支持ブラケット37に固定される。
具体的には、まず連結用ユニットCUの左右両端部の調整用長孔65を床面固定側ユニットFUの左右の支持ブラケット37の直前に位置させる。そして、左右のスクリューロッド50の前端セレーション部53と左右のギヤボックス70のウォームホイル収納孔72が同軸をなすようにし、ウォームホイル収納孔72の前端開口を通してウォームホイル75のセレーション溝付凹部75aに左右のスクリューロッド50の前端セレーション部53をセレーション嵌合する(相対回転不能かつ相対スライド可能に嵌合する)。
しかし、左右いずれかのロアレール13(前側ブラケット11、後側ブラケット12)の車両床面に対する固定位置が設計位置からずれている場合は、左右のロアレール13どうしの間隔が設計値からずれるので、左右のスクリューロッド50どうしの間隔も設計値からずれてしまう。従って、このような場合は左右の前端セレーション部53と左右のウォームホイル75(セレーション溝付凹部75a)を同時に同軸的に対向させることはできない。
そのため、このような場合は左右いずれか(または双方)のギヤボックス70を支持用長孔66に対して左右にスライドさせて、左右のウォームホイル収納孔72(ウォームホイル75)が左右の前端セレーション部53とそれぞれ同軸をなすようにする。このようにギヤボックス70の左右方向の位置調整を行えば、左右のウォームホイル75のセレーション溝付凹部75aに左右の前端セレーション部53を無理なく容易にセレーション嵌合できる。
左右のウォームホイル75のセレーション溝付凹部75aに左右の前端セレーション部53をセレーション嵌合すると、左右のギヤボックス70の貫通孔71と左右の支持ブラケット37のねじ孔42が共に同軸をなすので、連結ブラケット60の前方から左右の調整用長孔64、貫通孔71及び調整用長孔65にボルトB3を挿通し、かつ左右のボルトB3を支持ブラケット37のねじ孔42に螺合する。
このように連結ブラケット60の左右両端部を左右の支持ブラケット37に固定することにより、左右の支持ブラケット37(アッパレール17)が連結ブラケット60を介して互いに連結される。
以上構成のパワースライド装置10の動作は次の通りである。
車両の室内(例えば、スライドさせようとするシートの側面)には、OFF位置(中立位置)から第1ON位置(前方スライド位置)と第2ON位置(後方スライド位置)とに移動可能なスライドスイッチ(図示略)が設けてあり、例えばこのスライドスイッチをOFF位置から第1ON位置側に移動させると、図示を省略したバッテリからモータ80に電流が流れモータ80が正転する。すると、モータ80の回転出力軸と一体化しているフレキシブルシャフトFS1及びフレキシブルシャフトFS2が図2において時計方向に回転する。すると、左右のギヤボックス70内においてウォーム76が同方向に回転し、さらにウォーム76と噛合しているウォームホイル75及びスクリューロッド50が前方から見て反時計方向に回転する。このようにスクリューロッド50が回転すると、スクリューロッド50がナットユニット25(樹脂製ナット32)に対して回転しながら前方に移動するので、左右のアッパレール17及びシートが左右のロアレール13(車両床面)に対して前方に移動する。アッパレール17及びシートは、ナットNSが金属製ケース26の後端面に当接するまでロアレール13に対して前方にスライド可能である。スライドスイッチを第1ON位置からOFF位置に復帰させれば、バッテリからモータ80への電流の供給が遮断されるので、アッパレール17及びシートのスライド動作は停止する。
一方、スライドスイッチを第2ON位置側に移動させると、バッテリからモータ80に電流が流れモータ80が逆転するので、ウォームホイル75及びスクリューロッド50が前方から見て時計方向に回転する。すると、スクリューロッド50がナットユニット25(樹脂製ナット32)に対して回転しながら後方に移動するので、左右のアッパレール17及びシートが左右のロアレール13(車両床面)に対して後方に移動する。アッパレール17及びシートはナットN4が金属製ケース26の前面に当接するまでロアレール13に対して後方にスライド可能である。スライドスイッチを第2ON位置からOFF位置に復帰させれば、バッテリからモータ80への電流の供給が遮断されるので、アッパレール17及びシートのスライド動作は停止する。
以上説明したように本実施形態のパワースライド装置10は、連結ブラケット60に対する左右のギヤボックス70の左右位置を調整しながら、連結用ユニットCUを車両床面に予め固定してある床面固定側ユニットFUに結合できる。従って、仮に左右のスクリューロッド50どうしの間隔が設計値から多少ずれていても、連結ブラケット60を介して左右のアッパレール17の前端部(支持ブラケット37)どうしを無理なく容易に接続できる。
しかも、支持用長孔66、首部78、及び頭部79を利用することにより左右のギヤボックス70を連結ブラケット60の両端部にスライド可能に支持(仮保持)しているので、このような支持手段がない場合に比べて、連結ブラケット60による左右のアッパレール17(支持ブラケット37)の連結作業をより容易に行うことが可能である。
さらに、一般的にロアレール13どうしの間隔は車種によって異なるので、左右のスクリューロッド50どうしの間隔も車種によって異なることになる。しかし、本実施形態の連結用ユニットCUはギヤボックス70の左右方向位置を調整可能なので複数の車種に対応可能である。
以上、上記実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態以外の態様で実施することも可能である。
図5及び図6は一つの変形例を示している。この変形例では連結ブラケット60の左右両端部の支持用長孔66の狭幅部68の広幅部67側の端部に前後一対の抜け止め用突部68aを突設してある。また、狭幅部68における抜け止め用突部68aに隣接する部分には係合凹部68bが凹設してある。
一方、左右一対の樹脂製のギヤボックス90(ギヤボックス70と同様に貫通孔71、ウォームホイル収納孔72及びウォーム収納孔73を備えている)の上端部近傍には平面視長方形の当接部91が設けてあり、当接部91の上部には首部92が突設してある。図示するように首部92の前後両面の中央部には係合突部93が凹設してある(前側の係合突部93のみ図示している)。さらに、首部92の上部には頭部79と同じ形状の頭部94が突設してある。
ギヤボックス90の頭部94が支持用長孔66の広幅部67を通して天井壁62の上方に突出し、かつ当接部91の上面が天井壁62の下面に接触した状態で、ギヤボックス90全体をそのまま内側(左側のギヤボックス90は右側、右側のギヤボックス90は左側)にスライドさせると、首部92が狭幅部68内に移動し、かつ前後の係合突部93が前後の抜け止め用突部68aを乗り越えて前後の係合凹部68bに係合する。図6に示すように、前後の係合突部93の端部同士の前後方向距離は前後の抜け止め用突部68aの前後間隔より長いので、前後の係合突部93が前後の抜け止め用突部68aにそれぞれ係合すると、ギヤボックス90の支持用長孔66に対するスライド範囲が係合凹部68bと係合突部93によって制限される。従って、意図的にギヤボックス90を外側(左側のギヤボックス90は左側、右側のギヤボックス90は右側)にスライドさせない限り、首部92が広幅部67側に移動してギヤボックス90が支持用長孔66から下方に脱落することはない。
また、上記実施形態及び変形例では連結ブラケット60の左右両端部に調整用長孔64、調整用長孔65、及び支持用長孔66を穿設しているが、左右一方のみに調整用長孔64、調整用長孔65、及び支持用長孔66を穿設し、一方のギヤボックス70(ギヤボックス90)のみを連結ブラケット60に対して左右方向に位置調整可能としてもよい。さらに、支持用長孔66を連結ブラケット60の端部前壁61や後部壁63に形成してもよい。
さらに、ギヤボックス70(ギヤボックス90)側に支持用長孔66に相当する孔を形成し、連結ブラケット60側に首部78及び頭部79(首部92、頭部94)に相当する支持用突部を形成してもよい。
また、支持ブラケット37にねじ孔42を形成する代わりに、アッパレール17の前端部にねじ孔42に相当するねじ孔を形成してもよい。
さらに、挟幅部68の前後寸法を首部78、92より広くしてもよい。
本発明の一実施形態のパワースライド装置の前方から見た分解斜視図である。 左側のロアレール、アッパレール、及びこれらの周辺部材の縦断側面図である。 連結ブラケットの左端部とその周辺部材の分解斜視図である。 連結ブラケットの左端部の平面図である。 変形例の連結ブラケットの右端部とその周辺部材の分解斜視図である。 変形例の連結ブラケットの右端部のギヤボックスの首部を通る平面で横断した平面図である。
符号の説明
10 パワースライド装置
11 前側ブラケット
12 後側ブラケット
13 ロアレール
14 上片
15 垂下片
17 アッパレール
18 本体部
19 上向き嵌合片
20 左側シート用ブラケット
21 右側シート用ブラケット
22 嵌合孔
23 円形孔
25 ナットユニット
26 金属製ケース
32 樹脂製ナット
34 雌ねじ孔
37 支持ブラケット(固定部材)
38 水平嵌合片
39 突起
41 垂直片
42 ねじ孔
45 荷重伝達部材
46 ねじ部
47 水平当接片
48 下方突出部
49 スクリューロッド挿通孔
50 スクリューロッド
51 後端軸受部
52 小径雄ねじ部
53 前端セレーション部
54 ナット螺合用雄ねじ部
55 中間大径雄ねじ部
56 後端軸受部材
57 軸受用凹部
60 連結ブラケット
61 端部前壁
62 天井壁
63 後部壁
64 65 調整用長孔
66 支持用長孔(スライド式支持手段)
67 広幅部
68 狭幅部
68a 抜け止め用突部
68b 係合凹部
69 パイプ状カバー部材
70 ギヤボックス(動力伝達装置)
71 貫通孔
72 ウォームホイル収納孔
73 ウォーム収納孔
75 ウォームホイル(動力伝達装置)
75a セレーション溝付凹部
76 ウォーム(動力伝達装置)
77 本体部
78 首部(スライド式支持手段)(支持用突部)
79 頭部(スライド式支持手段)(支持用突部)
80 モータ(駆動手段)
90 ギヤボックス(動力伝達手段)
91 当接部
92 首部(スライド式支持手段)(支持用突部)
93 係合突部
94 頭部(スライド式支持手段)(支持用突部)
B1 B2 B3 B4 ボルト
CU 連結用ユニット(連結装置)
FU 床面固定側ユニット
FS1 FS2 フレキシブルシャフト
N1 N2 N3 N4 NS ナット
R1 R2 リベット

Claims (4)

  1. 車両床面に固定した一対のロアレールに固定したナット部材にそれぞれ螺合し、かつ、シートを支持する一対のアッパレールとそれぞれ一緒に各ロアレールに対してスライドする一対のスクリューロッドを、その軸線回りに回転させる駆動手段と、
    該駆動手段の駆動力を上記各スクリューロッドにそれぞれ伝達する一対の動力伝達装置と、
    上記駆動手段及び上記動力伝達装置を支持し、かつ、上記動力伝達装置を上記一対のスクリューロッドにそれぞれ連係させた状態で上記一対のアッパレールの端部どうしを連結する連結ブラケットと、を備え、
    少なくとも一方の上記動力伝達装置に、少なくとも一方の上記アッパレールの一方の端部または該端部に固定した固定部材に形成したねじ孔に螺合するボルトが貫通する貫通孔を形成し、
    上記連結ブラケットに、該ボルトが上記一対のアッパレールの並び方向にスライド可能として貫通する調整用長孔を少なくとも一つ形成したことを特徴とする車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置。
  2. 請求項1記載の車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置において、
    少なくとも一方の上記動力伝達装置と上記連結ブラケットとに、該動力伝達装置を上記連結ブラケットに上記調整用長孔の長手方向にスライド可能として支持するスライド式支持手段を設けた車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置。
  3. 請求項2記載の車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置において、
    上記スライド式支持手段が、
    上記連結ブラケットと動力伝達装置の一方に形成した、上記調整用長孔と平行な方向に延びる支持用長孔と、
    他方に形成した、上記支持用長孔にスライド可能に嵌合する支持用突部と、を備える車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置。
  4. 請求項3記載の車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置において、
    上記動力伝達装置が、頭部と、該頭部に連なる首部と、を有し、
    上記支持用長孔が、上記頭部及び首部が貫通可能な広幅部と、該広幅部と連通し、かつ上記シートのスライド方向の寸法が上記首部と同じまたは広く上記頭部より狭い狭幅部と、を有し、
    上記狭幅部に、該狭幅部に嵌合した上記首部が上記広幅部側に移動するのを規制する抜け止め用突部を形成した車両用シートのパワースライド装置におけるアッパレール連結装置。
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