JP5132711B2 - ベーン、ローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機、給湯機、および、ベーンの製造方法 - Google Patents
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Description
図1乃至7は実施の形態1を示す図で、図1は回転式圧縮機の縦断面図、図2はベーンとローリングピストンとの接触状態を示す断面図、図3はベーンの斜視図、図4はベーンの横断面図、図5はDLC−Siコーティングの説明図、図6は従来のコーティングとDLC−Siコーティングの特性を比較した図、図7は各種冷媒の特性を示す図である。
尚、膜に含有するSi濃度は10〜25%であることが望ましい。
た場合でも、面圧の高い部分のみが摩耗や剥離を起こし、面圧の高い状態が自動的に修復される。このため、広域の剥離によって突然に寿命を迎えることがなく、長期の信頼性を確保できる。
Claims (13)
- 密閉容器と、前記密閉容器内に設けられた圧縮要素と、前記密閉容器内に設けられ、前記圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備え、冷媒として炭酸ガスを使用し、前記圧縮要素による炭酸ガスの圧縮により、前記密閉容器内の炭酸ガスの圧力が所定の作動圧力となるローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機に用いられるベーンであって、ローリングピストンの外周面と摺動するベーンにおいて、
高速度工具鋼の基材と、
前記基材に窒化処理を施して形成された厚さ80μmの窒化拡散層と、
該窒化拡散層の上にDLC−Si(ダイヤモンドライクカーボン−シリコン)処理を施して形成された膜厚3μmのDLC−Siコーティング層と
を有し、
前記DLC−Siコーティング層に含有するSiの濃度は、10〜25%のうちDLC−Siコーティング層の表面硬度が2500HmvとなるようなSiの濃度であることを特徴とするベーン。 - 前記窒化拡散層は、前記窒化処理により基材の角部が膨らんだ状態で形成され、
前記DLC−Siコーティング層は、基材の角部が膨らんだ状態で形成された窒化拡散層の上、全面に、形成され、
前記ベーンは、前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部のDLC−Siコーティング層の面圧が、前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部以外のDLC−Siコーティング層の面圧より高くなり、面圧の高い前記ベーンの基材の角部のDLC−Siコーティング層の部分が面圧の低い前記ベーンの基材の角部以外のDLC−Siコーティング層の部分より先に摩耗し、前記DLC−Siコーティング層の部分的に面圧の高い状態が解消されて、前記DLC−Siコーティング層の摩擦係数が0.1以下となり、前記DLC−Siコーティング層が広域にわたって連鎖的に剥離することがなくなることを特徴とする請求項1記載のベーン。 - 前記ベーンは、前記ローリングピストンの外周面との摺動により面圧の高い部分が面圧の低い部分より先に摩耗し、
前記窒化拡散層は、前記窒化処理により基材の角部が膨らんだ状態で形成され、
前記DLC−Siコーティング層は、基材の角部が膨らんだ状態で形成された窒化拡散層の上、全面に、前記ローリングピストンの外周面との摺動により摩耗する厚さと基材の角部が膨らんだ厚さとを加算した以上の厚さに形成され、
前記ベーンは、前記ローリングピストンの外周面との摺動により、前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部のDLC−Siコーティング層の部分が前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部以外のDLC−Siコーティング層の部分より先に摩耗し、前記DLC−Siコーティング層の摩擦係数が0.1以下となり、さらに、前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部以外のDLC−Siコーティング層の部分が摩耗した後でも、前記DLC−Siコーティング層が全面に存在するベーンであることを特徴とする請求項1記載のベーン。 - 前記DLC−Siコーティング層は、前記ローリングピストンの外周面との初期摺動により0.5〜1μm程度摩耗することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のベーン。
- 前記密閉形圧縮機は、
内部に炭酸ガスを圧縮する圧縮室を形成するとともに、圧縮室の室内と密閉容器内とを連通する溝を有するシリンダと、前記ローリングピストンとを前記圧縮要素として有する密閉形圧縮機であり、
前記ベーンは、
前記ローリングピストンの外周面と摺動する円弧形状の接触部と、
前記シリンダの溝の摺動面と接触摺動する側面部と
を有する箱状であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のベーン。 - 圧縮要素として、
内部に炭酸ガスを圧縮する圧縮室を形成するとともに、圧縮室の室内と密閉容器内とを連通する溝を有するシリンダと、
前記電動要素の駆動によりシリンダ内で偏心回転することにより、シリンダ内に低圧の炭酸ガスを吸入し吸入した炭酸ガスを前記作動圧力になるまで圧縮し圧縮した炭酸ガスを前記密閉容器内へ吐出するローリングピストンと、
前記請求項1〜5いずれかに記載のベーンであって、ローリングピストンの偏心回転に伴ってシリンダの溝内を往復運動するとともに、前記密閉容器内へ吐出された炭酸ガスの作動圧力がかかることにより前記ローリングピストンの外周面に押し付けられて前記ローリングピストンの外周面と摺動するべーンとを備え、
前記圧縮要素は、前記シリンダと前記ローリングピストンと前記べーンとをそれぞれ一つのみ有することを特徴とするローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機。 - 前記密閉容器内の炭酸ガスの作動圧力が約10MPa又は最大14MPaであることを特徴とする請求項6に記載のローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機。
- 請求項6または7記載のローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機を、炭酸ガス(CO2)冷媒を使用する冷凍サイクルに使用したことを特徴とする給湯機。
- 密閉容器と、前記密閉容器内に設けられた圧縮要素と、前記密閉容器内に設けられ、前記圧縮要素の駆動源となる電動要素とを備え、冷媒として炭酸ガスを使用し、前記圧縮要素による炭酸ガスの圧縮により、前記密閉容器内の炭酸ガスの圧力が所定の作動圧力となるローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機に用いられるベーンの製造方法であって、ローリングピストンの外周面と摺動するベーンの製造方法において、
高速度工具鋼により一つの側面が円弧形状の凸曲面を有する箱状の基材を形成する工程と、
前記基材に窒化処理を施して厚さ80μmの窒化拡散層を形成する工程と、
該窒化拡散層の上にDLC−Si(ダイヤモンドライクカーボン−シリコン)処理を施して膜厚3μmのDLC−Siコーティング層を形成する工程と
を有し、
前記DLC−Siコーティング層を形成する工程は、前記DLC−Siコーティング層に含有するSiの濃度を10〜25%のうちDLC−Siコーティング層の表面硬度が2500HmvとなるようなSiの濃度にすることを特徴とするベーンの製造方法。 - 前記窒化拡散層を形成する工程は、前記窒化処理により基材の角部が膨らんだ状態で前記窒化拡散層を形成し、
前記DLC−Siコーティング層を形成する工程は、基材の角部が膨らんだ状態で形成された窒化拡散層の上、全面に、前記DLC−Siコーティング層を形成し、
前記ベーンの製造方法は、さらに、
ベーンを初期摺動させ、面圧の高い前記ベーンの基材の角部のDLC−Siコーティング層の部分を面圧の低い前記ベーンの基材の角部以外のDLC−Siコーティング層の部分より先に摩耗させ、前記DLC−Siコーティング層の部分的に面圧の高い部分を取り去り、前記DLC−Siコーティング層の摩擦係数を0.1以下とする初期摺動工程を有することを特徴とする請求項9記載のベーンの製造方法。 - 前記ベーンの製造方法は、さらに、
前記DLC−Siコーティング層を形成する工程の後、前記ベーンを前記ローリングピストンの外周面と摺動させる初期摺動工程を有し、
前記窒化拡散層を形成する工程は、前記窒化処理により基材の角部が膨らんだ状態で前記窒化拡散層を形成し、
前記DLC−Siコーティング層を形成する工程は、基材の角部が膨らんだ状態で形成された窒化拡散層の上、全面に、前記ローリングピストンの外周面との摺動により摩耗する厚さと基材の角部が膨らんだ厚さとを加算した以上の厚さのDLC−Siコーティング層を形成し、
前記初期摺動工程は、前記ベーンと前記ローリングピストンの外周面との摺動により、前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部のDLC−Siコーティング層の部分を前記ローリングピストンの外周面に対する前記ベーンの基材の角部以外のDLC−Siコーティング層の部分より先に摩耗させ、DLC−Siコーティング層の全面において面圧が高い部分をなくし、前記DLC−Siコーティング層の摩擦係数を0.1以下としたベーンを形成することを特徴とする請求項9記載のベーンの製造方法。 - 前記初期摺動工程は、前記DLC−Siコーティング層を、前記ローリングピストンの外周面との初期摺動により0.5〜1μm程度摩耗させることを特徴とする請求項10または11記載のベーンの製造方法。
- ローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機のローリングピストンの外周面と摺動するベーンにおいて、
高速度工具鋼の基材と、
前記基材に窒化処理を施して形成された厚さ80μmの窒化拡散層と、
該窒化拡散層の上にDLC−Si(ダイヤモンドライクカーボン−シリコン)処理を施して形成された膜厚3μmのDLC−Siコーティング層と
を有し、
前記DLC−Siコーティング層に含有するSiの濃度は、10〜25%のうちDLC−Siコーティング層の表面硬度が2500HmvとなるようなSiの濃度であることを特徴とするベーン。
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