JP2001342565A - 炭素被膜形成基体及び回転圧縮機 - Google Patents
炭素被膜形成基体及び回転圧縮機Info
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- JP2001342565A JP2001342565A JP2000165345A JP2000165345A JP2001342565A JP 2001342565 A JP2001342565 A JP 2001342565A JP 2000165345 A JP2000165345 A JP 2000165345A JP 2000165345 A JP2000165345 A JP 2000165345A JP 2001342565 A JP2001342565 A JP 2001342565A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 中間層21を介して炭素被膜22を基体20
上に形成した炭素被膜形成基体において、炭素被膜22
の密着性を向上させる。 【解決手段】 中間層21の厚さをTとしたとき、炭素
被膜22が形成される基体20表面の凹凸の最大高さR
yが、Tの100倍の基準長さにおいてT以下であるこ
とを特徴としている。
上に形成した炭素被膜形成基体において、炭素被膜22
の密着性を向上させる。 【解決手段】 中間層21の厚さをTとしたとき、炭素
被膜22が形成される基体20表面の凹凸の最大高さR
yが、Tの100倍の基準長さにおいてT以下であるこ
とを特徴としている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体上に中間層を
介して炭素被膜が形成された炭素被膜形成基体及び回転
圧縮機に関するものである。
介して炭素被膜が形成された炭素被膜形成基体及び回転
圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイヤモンド状炭素薄膜等の炭素
被膜は、機械的物性及び化学的安定性に優れているた
め、種々の分野においてコーティング材料として注目を
集めている。例えば、回転圧縮機に用いられる部品、電
気シェーバー等の刃、スクリーン印刷用マスク、オフィ
スオートメーション(OA)機器部品、その他摺動部品
等における耐摩耗性のコーティング薄膜、並びに太陽電
池、SAWデバイス等の電子デバイス、半導体デバイス
等における機能性薄膜等として用いられている。
被膜は、機械的物性及び化学的安定性に優れているた
め、種々の分野においてコーティング材料として注目を
集めている。例えば、回転圧縮機に用いられる部品、電
気シェーバー等の刃、スクリーン印刷用マスク、オフィ
スオートメーション(OA)機器部品、その他摺動部品
等における耐摩耗性のコーティング薄膜、並びに太陽電
池、SAWデバイス等の電子デバイス、半導体デバイス
等における機能性薄膜等として用いられている。
【0003】しかしながら、金属製基体上に直接炭素被
膜を形成した場合、基体と炭素被膜との間の密着性が良
くないため、炭素被膜が剥離するという問題を生じる。
このような問題を解消するため、基体上に中間層を形成
した後、炭素被膜を形成することにより密着性を改善す
る方法が知られている。
膜を形成した場合、基体と炭素被膜との間の密着性が良
くないため、炭素被膜が剥離するという問題を生じる。
このような問題を解消するため、基体上に中間層を形成
した後、炭素被膜を形成することにより密着性を改善す
る方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように中間層を介して基体上に炭素被膜を形成した場合
であっても、炭素被膜の密着性が良好な場合と、炭素被
膜の密着性が良好でない場合があった。
ように中間層を介して基体上に炭素被膜を形成した場合
であっても、炭素被膜の密着性が良好な場合と、炭素被
膜の密着性が良好でない場合があった。
【0005】本発明の目的は、中間層を介して炭素被膜
を基体上に形成した炭素被膜形成基体において、炭素被
膜の密着性に優れた炭素被膜形成基体を提供することに
あり、さらには密着性に優れた炭素被膜が形成された部
品を備える回転圧縮機を提供することにある。
を基体上に形成した炭素被膜形成基体において、炭素被
膜の密着性に優れた炭素被膜形成基体を提供することに
あり、さらには密着性に優れた炭素被膜が形成された部
品を備える回転圧縮機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、中間層を
介して炭素被膜を基体上に形成した炭素被膜形成基体に
おいて、密着性が良好な場合と密着性が良好でない場合
について鋭意検討した結果、中間層の厚さと、基体表面
の凹凸の最大高さRyが一定の関係を満足するときに、
炭素被膜の密着性が良好になることを見い出した。具体
的には、中間層の厚さをTとしたとき、炭素被膜が形成
される基体表面の凹凸の最大高さRyが、Tの100倍
の基準長さにおいてT以下であるときに、炭素被膜の密
着性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至
った。
介して炭素被膜を基体上に形成した炭素被膜形成基体に
おいて、密着性が良好な場合と密着性が良好でない場合
について鋭意検討した結果、中間層の厚さと、基体表面
の凹凸の最大高さRyが一定の関係を満足するときに、
炭素被膜の密着性が良好になることを見い出した。具体
的には、中間層の厚さをTとしたとき、炭素被膜が形成
される基体表面の凹凸の最大高さRyが、Tの100倍
の基準長さにおいてT以下であるときに、炭素被膜の密
着性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明は、基体上に中間層を介
して炭素被膜が形成された炭素被膜形成基体であって、
中間層の厚さをTとしたとき、炭素被膜が形成される基
体表面の凹凸の最大高さRyが、Tの100倍の基準長
さにおいてT以下であることを特徴とする炭素被膜形成
基体である。
して炭素被膜が形成された炭素被膜形成基体であって、
中間層の厚さをTとしたとき、炭素被膜が形成される基
体表面の凹凸の最大高さRyが、Tの100倍の基準長
さにおいてT以下であることを特徴とする炭素被膜形成
基体である。
【0008】本発明における基体表面の凹凸の最大高さ
Ryは、日本工業規格(JIS B0601−199
4)に定義されている。すなわち、本発明における最大
高さRyは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ
だけ抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間
隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイク
ロメートル(μm)で表したものである。なお、本発明
において基準長さは、中間層の厚さTの100倍の長さ
としている。最大高さRyは、表面粗さ計により測定す
ることができる。
Ryは、日本工業規格(JIS B0601−199
4)に定義されている。すなわち、本発明における最大
高さRyは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ
だけ抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間
隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイク
ロメートル(μm)で表したものである。なお、本発明
において基準長さは、中間層の厚さTの100倍の長さ
としている。最大高さRyは、表面粗さ計により測定す
ることができる。
【0009】本発明における炭素被膜には、ダイヤモン
ド薄膜、ダイヤモンド構造と非晶質炭素構造とを混合し
て有する炭素薄膜、及び非晶質炭素薄膜(ダイヤモンド
状炭素薄膜)が含まれる。
ド薄膜、ダイヤモンド構造と非晶質炭素構造とを混合し
て有する炭素薄膜、及び非晶質炭素薄膜(ダイヤモンド
状炭素薄膜)が含まれる。
【0010】本発明における炭素被膜の形成方法は、特
に限定されるものではなく、従来から公知の炭素被膜の
形成方法を採用することができる。例えば、プラズマ気
相合成法及びイオンビーム照射によるCVD法等により
形成することができる。また、原料ガスも、炭素被膜を
形成することができる原料ガスであればよく、メタン、
エタン、プロパン、ブタン、エチレン、及びアセチレン
などを用いることができる。
に限定されるものではなく、従来から公知の炭素被膜の
形成方法を採用することができる。例えば、プラズマ気
相合成法及びイオンビーム照射によるCVD法等により
形成することができる。また、原料ガスも、炭素被膜を
形成することができる原料ガスであればよく、メタン、
エタン、プロパン、ブタン、エチレン、及びアセチレン
などを用いることができる。
【0011】本発明において、炭素被膜は高い硬度を有
することが好ましく、例えば2500Hv以上の硬度を
有することが好ましい。本発明において、中間層は、基
体と炭素被膜との密着性を向上させることができるもの
であればその材質は特に限定されるものではないが、例
えば、Si、Ti、Zr、Ge、Ru、Mo、及びW並
びにこれらの酸化物、窒化物、及び炭化物からなるグル
ープより選ばれる少なくとも1種の材料から形成するこ
とができる。
することが好ましく、例えば2500Hv以上の硬度を
有することが好ましい。本発明において、中間層は、基
体と炭素被膜との密着性を向上させることができるもの
であればその材質は特に限定されるものではないが、例
えば、Si、Ti、Zr、Ge、Ru、Mo、及びW並
びにこれらの酸化物、窒化物、及び炭化物からなるグル
ープより選ばれる少なくとも1種の材料から形成するこ
とができる。
【0012】中間層は複数の異なる層を積層した構造を
有していてもよい。例えば、基板側に設けられる第1中
間層と、炭素被膜側に設けられる第2中間層を有してい
てもよい。この場合、第1中間層は、Si、Ti、Z
r、Ge、Ru、Mo、及びWからなるグループより選
ばれる少なくとも1種の材料から形成されていることが
好ましく、第2中間層は、Si、Ti、Zr、Ge、R
u、Mo、及びWの酸化物、窒化物、及び炭化物からな
るグループより選ばれる少なくとも1種の材料から形成
されていることが好ましい。第1中間層を上記の元素か
ら形成することにより、基体に対する密着性が良好とな
り、第2中間層を上記の元素の酸化物、窒化物、または
炭化物から形成することにより、炭素被膜との密着性が
良好となる。
有していてもよい。例えば、基板側に設けられる第1中
間層と、炭素被膜側に設けられる第2中間層を有してい
てもよい。この場合、第1中間層は、Si、Ti、Z
r、Ge、Ru、Mo、及びWからなるグループより選
ばれる少なくとも1種の材料から形成されていることが
好ましく、第2中間層は、Si、Ti、Zr、Ge、R
u、Mo、及びWの酸化物、窒化物、及び炭化物からな
るグループより選ばれる少なくとも1種の材料から形成
されていることが好ましい。第1中間層を上記の元素か
ら形成することにより、基体に対する密着性が良好とな
り、第2中間層を上記の元素の酸化物、窒化物、または
炭化物から形成することにより、炭素被膜との密着性が
良好となる。
【0013】中間層の膜厚は、特に限定されるものでは
ないが、炭素被膜の膜厚よりも薄いことが好ましい。ま
た、中間層の膜厚は、5μm以下であることが好まし
く、さらに好ましくは2μm以下である。
ないが、炭素被膜の膜厚よりも薄いことが好ましい。ま
た、中間層の膜厚は、5μm以下であることが好まし
く、さらに好ましくは2μm以下である。
【0014】中間層の形成方法は、特に限定されるもの
ではなく、例えば、スパッタリング法、CVD法、蒸着
法などにより形成することができる。本発明の回転圧縮
機は、回転するクランク軸の偏心部に取り付けられた、
外周面を有するローラと、ローラを収納し、ローラの外
周面に接して摺動する摺動面を内面に有するシリンダ
と、シリンダの内面に形成された溝内に収納され、先端
部がローラの外周面に接して摺動するベーンとを備え、
ベーン、ローラ、またはシリンダが、上記本発明の炭素
被膜形成基体であることを特徴としている。
ではなく、例えば、スパッタリング法、CVD法、蒸着
法などにより形成することができる。本発明の回転圧縮
機は、回転するクランク軸の偏心部に取り付けられた、
外周面を有するローラと、ローラを収納し、ローラの外
周面に接して摺動する摺動面を内面に有するシリンダ
と、シリンダの内面に形成された溝内に収納され、先端
部がローラの外周面に接して摺動するベーンとを備え、
ベーン、ローラ、またはシリンダが、上記本発明の炭素
被膜形成基体であることを特徴としている。
【0015】ベーンが、上記本発明の炭素被膜形成基体
である場合には、ベーンの少なくとも先端部または側面
部の上に中間層を介して炭素被膜が形成される。すなわ
ち、中間層の厚さをTとしたとき、ベーンの少なくとも
先端部または側面部の表面の凹凸の最大高さRyが、T
の100倍の基準長さにおいてT以下となるように構成
される。
である場合には、ベーンの少なくとも先端部または側面
部の上に中間層を介して炭素被膜が形成される。すなわ
ち、中間層の厚さをTとしたとき、ベーンの少なくとも
先端部または側面部の表面の凹凸の最大高さRyが、T
の100倍の基準長さにおいてT以下となるように構成
される。
【0016】ローラが、上記本発明の炭素被膜形成基体
である場合には、ローラの外周面上に中間層を介して炭
素被膜が形成される。すなわち、中間層の厚さをTとし
たとき、ローラの外周面の凹凸の最大高さRyが、Tの
100倍の基準長さにおいてT以下となるように構成さ
れる。
である場合には、ローラの外周面上に中間層を介して炭
素被膜が形成される。すなわち、中間層の厚さをTとし
たとき、ローラの外周面の凹凸の最大高さRyが、Tの
100倍の基準長さにおいてT以下となるように構成さ
れる。
【0017】シリンダが、上記本発明の炭素被膜形成基
体である場合には、少なくともシリンダの溝の内面上に
中間層を介して炭素被膜が形成される。すなわち、中間
層の厚さをTとしたとき、シリンダの溝内面の凹凸の最
大高さRyが、Tの100倍の基準長さにおいてT以下
となるように構成される。
体である場合には、少なくともシリンダの溝の内面上に
中間層を介して炭素被膜が形成される。すなわち、中間
層の厚さをTとしたとき、シリンダの溝内面の凹凸の最
大高さRyが、Tの100倍の基準長さにおいてT以下
となるように構成される。
【0018】本発明の回転圧縮機におけるベーン、ロー
ラ、及びシリンダは、従来より公知の一般的な材質によ
り形成することができ、例えば、Fe系、Al系、また
はCu系の溶製材、焼結材、または複合材から形成する
ことができる。
ラ、及びシリンダは、従来より公知の一般的な材質によ
り形成することができ、例えば、Fe系、Al系、また
はCu系の溶製材、焼結材、または複合材から形成する
ことができる。
【0019】本発明の回転圧縮機において用いられる冷
凍油は、特に限定されるものではなく、従来より一般的
に用いられているものを用いることができ、例えば、ポ
リオールエステル、及びポリビニールエーテルなどを用
いることができる。
凍油は、特に限定されるものではなく、従来より一般的
に用いられているものを用いることができ、例えば、ポ
リオールエステル、及びポリビニールエーテルなどを用
いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、基体上に中間層を介して
炭素被膜を形成した炭素被膜形成基体を模式的に示す断
面図である。基体20の上には中間層21が形成されて
おり、中間層21の上に炭素被膜22が形成されてい
る。Tは中間層21の厚さであり、Ryは基体20の表
面の凹凸の最大高さである。図1においては、最大高さ
Ryが異なる基体表面領域D1 〜D4 を、1つの図面中
にまとめて表現している。D1 は最大高さRyが最も大
きな基体表面領域であり、D2 、D3 、D4 の順に最大
高さRyが小さな基体表面領域となっている。このよう
なD1 〜D4 の領域において、中間層21の厚さTの1
00倍の基準長さにおける最大高さRyが、中間層21
の厚さT以下となる部分が本発明に従う炭素被膜形成基
体となる。
炭素被膜を形成した炭素被膜形成基体を模式的に示す断
面図である。基体20の上には中間層21が形成されて
おり、中間層21の上に炭素被膜22が形成されてい
る。Tは中間層21の厚さであり、Ryは基体20の表
面の凹凸の最大高さである。図1においては、最大高さ
Ryが異なる基体表面領域D1 〜D4 を、1つの図面中
にまとめて表現している。D1 は最大高さRyが最も大
きな基体表面領域であり、D2 、D3 、D4 の順に最大
高さRyが小さな基体表面領域となっている。このよう
なD1 〜D4 の領域において、中間層21の厚さTの1
00倍の基準長さにおける最大高さRyが、中間層21
の厚さT以下となる部分が本発明に従う炭素被膜形成基
体となる。
【0021】本発明において規定する最大高さRyと中
間層の厚さTとの関係を満足させる方法としては、この
ような関係を満足する最大高さRyとなるように基体表
面を研磨加工等する方法、形成する中間層の厚さTを制
御する方法、並びにこれらの方法を併用する方法などが
挙げられる。
間層の厚さTとの関係を満足させる方法としては、この
ような関係を満足する最大高さRyとなるように基体表
面を研磨加工等する方法、形成する中間層の厚さTを制
御する方法、並びにこれらの方法を併用する方法などが
挙げられる。
【0022】図2は、本発明の実施例において用いる炭
素被膜形成装置を示す概略断面図である。図2に示すよ
うに、この炭素被膜形成装置においては、真空チャンバ
ー8の外側にプラズマ発生室4が設けられている。プラ
ズマ発生室4には、導波管2の一端が取り付けられてお
り、導波管2の他端には、マイクロ波供給手段1が設け
られている。導波管2とプラズマ発生室4との間には、
マイクロ波導入窓3が設けられている。プラズマ発生室
4には、原料ガスを導入するためのガス導入管5が設け
られている。また、プラズマ発生室4の周囲には、プラ
ズマ磁界発生装置6が設けられている。
素被膜形成装置を示す概略断面図である。図2に示すよ
うに、この炭素被膜形成装置においては、真空チャンバ
ー8の外側にプラズマ発生室4が設けられている。プラ
ズマ発生室4には、導波管2の一端が取り付けられてお
り、導波管2の他端には、マイクロ波供給手段1が設け
られている。導波管2とプラズマ発生室4との間には、
マイクロ波導入窓3が設けられている。プラズマ発生室
4には、原料ガスを導入するためのガス導入管5が設け
られている。また、プラズマ発生室4の周囲には、プラ
ズマ磁界発生装置6が設けられている。
【0023】真空チャンバー8内には、基体ホルダー7
が設けられている。基体ホルダー7は、支持棒12によ
って支持されており、支持棒12は、回転中心部12a
を中心として回転し得るように設けられている。従っ
て、基体ホルダー7は、図2に実線で示す位置と、点線
で示す位置の2つの位置状態が実現し得るように構成さ
れている。基体ホルダー7上に保持された基体の上に炭
素被膜を形成する場合には、プラズマ発生室4側に向い
た実線で示すような位置に設定される。また、中間層を
スパッタリング法により形成する場合には、図2に点線
で示すような、ターゲット11側に向かう位置に設定さ
れる。ターゲット11には、高周波電源13が接続され
ている。
が設けられている。基体ホルダー7は、支持棒12によ
って支持されており、支持棒12は、回転中心部12a
を中心として回転し得るように設けられている。従っ
て、基体ホルダー7は、図2に実線で示す位置と、点線
で示す位置の2つの位置状態が実現し得るように構成さ
れている。基体ホルダー7上に保持された基体の上に炭
素被膜を形成する場合には、プラズマ発生室4側に向い
た実線で示すような位置に設定される。また、中間層を
スパッタリング法により形成する場合には、図2に点線
で示すような、ターゲット11側に向かう位置に設定さ
れる。ターゲット11には、高周波電源13が接続され
ている。
【0024】プラズマ発生室4と真空チャンバー8の間
には、プラズマ発生室4で発生したプラズマ中のイオン
を加速するためのグリッド9が設けられている。上記装
置を用い、炭素被膜は以下のようにして形成される。
には、プラズマ発生室4で発生したプラズマ中のイオン
を加速するためのグリッド9が設けられている。上記装
置を用い、炭素被膜は以下のようにして形成される。
【0025】マイクロ波供給手段1で発生したマイクロ
波は、導波管2及びマイクロ波導入窓3を通って、プラ
ズマ発生室4に導かれる。マイクロ波による高周波磁界
と、プラズマ磁界発生装置6からの磁界を作用させるこ
とにより、プラズマ発生室4内に高密度の電子サイクロ
トロン共鳴(ECR)プラズマが発生する。
波は、導波管2及びマイクロ波導入窓3を通って、プラ
ズマ発生室4に導かれる。マイクロ波による高周波磁界
と、プラズマ磁界発生装置6からの磁界を作用させるこ
とにより、プラズマ発生室4内に高密度の電子サイクロ
トロン共鳴(ECR)プラズマが発生する。
【0026】プラズマ発生室4で発生したプラズマ中の
イオンは、グリッド9によって加速され、真空チャンバ
ー8内に引き出される。このとき、グリッド9に印加さ
れる電圧の大きさにより、イオンの加速エネルギーが制
御される。このようなプラズマ中のイオンを、基体ホル
ダー7上の基体に照射することにより、炭素被膜を形成
することができる。
イオンは、グリッド9によって加速され、真空チャンバ
ー8内に引き出される。このとき、グリッド9に印加さ
れる電圧の大きさにより、イオンの加速エネルギーが制
御される。このようなプラズマ中のイオンを、基体ホル
ダー7上の基体に照射することにより、炭素被膜を形成
することができる。
【0027】中間層を形成する場合、上述のように、基
体ホルダー7の位置を、図2に点線で示すような位置に
設定した後、高周波電源13からの高周波電力をターゲ
ット11に印加し、基体ホルダー7上の基体とターゲッ
ト11の間にプラズマを発生させ、ターゲット11をス
パッタリングすることにより、基体の上に中間層を形成
する。ターゲット材料を変えることにより中間層の材質
を変えることができる。また、真空チャンバー8内に流
すガス中に、O2(酸素)、N2(窒素)、CH 4(メタ
ン)等を含有させることにより、それぞれターゲット材
料の酸化物、窒化物、炭化物等の中間層を形成すること
ができる。
体ホルダー7の位置を、図2に点線で示すような位置に
設定した後、高周波電源13からの高周波電力をターゲ
ット11に印加し、基体ホルダー7上の基体とターゲッ
ト11の間にプラズマを発生させ、ターゲット11をス
パッタリングすることにより、基体の上に中間層を形成
する。ターゲット材料を変えることにより中間層の材質
を変えることができる。また、真空チャンバー8内に流
すガス中に、O2(酸素)、N2(窒素)、CH 4(メタ
ン)等を含有させることにより、それぞれターゲット材
料の酸化物、窒化物、炭化物等の中間層を形成すること
ができる。
【0028】(実験1)上記の炭素被膜形成装置を用い
て、図3に示すようにベーン30の上に、中間層31及
び炭素被膜32を形成した。基体となるベーンとして
は、表1に示すように、表面の凹凸の最大高さRyが、
5μm、2μm、1μm、及び0.5μmの4種類のも
のを用意し、その表面上に厚さ1μmのSiからなる中
間層を形成し、さらにその上に厚さ約5μmのダイヤモ
ンド状炭素薄膜を形成した。
て、図3に示すようにベーン30の上に、中間層31及
び炭素被膜32を形成した。基体となるベーンとして
は、表1に示すように、表面の凹凸の最大高さRyが、
5μm、2μm、1μm、及び0.5μmの4種類のも
のを用意し、その表面上に厚さ1μmのSiからなる中
間層を形成し、さらにその上に厚さ約5μmのダイヤモ
ンド状炭素薄膜を形成した。
【0029】まず、ターゲット11としてシリコンター
ゲットを用い、基体ホルダー7の上に基体であるベーン
を設置した後、図2に点線で示す位置に基体ホルダー7
を設定する。次に、真空チャンバー8内を10-5〜10
-7Torrとなるように排気した後、Arガスを真空チ
ャンバー8内に供給して、5.7×10-4Torrとす
る。ターゲット11に高周波電源13からの高周波電力
を印加し、ターゲット11と基体ホルダー7との間にA
rプラズマを発生させ、プラズマ中のイオンにより、タ
ーゲット11をスパッタリングし、基体ホルダー7上の
基体上にSi中間層を形成した。
ゲットを用い、基体ホルダー7の上に基体であるベーン
を設置した後、図2に点線で示す位置に基体ホルダー7
を設定する。次に、真空チャンバー8内を10-5〜10
-7Torrとなるように排気した後、Arガスを真空チ
ャンバー8内に供給して、5.7×10-4Torrとす
る。ターゲット11に高周波電源13からの高周波電力
を印加し、ターゲット11と基体ホルダー7との間にA
rプラズマを発生させ、プラズマ中のイオンにより、タ
ーゲット11をスパッタリングし、基体ホルダー7上の
基体上にSi中間層を形成した。
【0030】中間層を形成した後、基体ホルダー7の位
置を、図2に実線で示す上側の位置に戻し、真空チャン
バー8内を再び10-5〜10-7Torrとなるように排
気し、次にプラズマ発生室4内に3.0×10-4Tor
rとなるように、原料ガスであるCH4ガスをガス導入
管5から導入した。マイクロ波供給手段1からマイクロ
波をプラズマ発生室4に導入し、ECRプラズマを発生
させ、グリッド9に600Vの電圧を印加し、プラズマ
中のイオンを、基体ホルダー7上の基体に照射すること
により、ダイヤモンド状炭素薄膜を形成した。
置を、図2に実線で示す上側の位置に戻し、真空チャン
バー8内を再び10-5〜10-7Torrとなるように排
気し、次にプラズマ発生室4内に3.0×10-4Tor
rとなるように、原料ガスであるCH4ガスをガス導入
管5から導入した。マイクロ波供給手段1からマイクロ
波をプラズマ発生室4に導入し、ECRプラズマを発生
させ、グリッド9に600Vの電圧を印加し、プラズマ
中のイオンを、基体ホルダー7上の基体に照射すること
により、ダイヤモンド状炭素薄膜を形成した。
【0031】最大高さRyの異なる各ベーンについて、
それぞれサンプルを50個作製し、ビッカース圧子によ
る押し込み試験により、炭素被膜の密着性を評価した。
なお、押し込みの際の荷重は1kgとした。
それぞれサンプルを50個作製し、ビッカース圧子によ
る押し込み試験により、炭素被膜の密着性を評価した。
なお、押し込みの際の荷重は1kgとした。
【0032】各サンプル50個中において炭素被膜が剥
離した個数を剥離個数として、表1に示した。
離した個数を剥離個数として、表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】Si中間層の厚さTは1μmであるので、
最大高さRyが1μm及び0.5μmのものが本発明の
範囲内のものとなる。表1に示すように、最大高さRy
が1μm及び0.5μmのものは、剥離個数が0個であ
り、炭素被膜の密着性に優れていることがわかる。
最大高さRyが1μm及び0.5μmのものが本発明の
範囲内のものとなる。表1に示すように、最大高さRy
が1μm及び0.5μmのものは、剥離個数が0個であ
り、炭素被膜の密着性に優れていることがわかる。
【0035】(実験2)実験1で用いた、最大高さRy
=0.5μmのベーンを基体として用い、グリッドに印
加する加速電圧を、200V、400V、600V、8
00V、及び1000Vとそれぞれ変化させて炭素被膜
を形成する以外は、上記実験1と同様にしてSi中間層
及び炭素被膜を形成した。形成したダイヤモンド状炭素
薄膜のビッカース硬度を測定し、図4にその結果を示し
た。図4から明らかなように、加速電圧を200V以上
に設定することにより、炭素被膜のビッカース硬度を2
500Hv以上とすることができることがわかる。
=0.5μmのベーンを基体として用い、グリッドに印
加する加速電圧を、200V、400V、600V、8
00V、及び1000Vとそれぞれ変化させて炭素被膜
を形成する以外は、上記実験1と同様にしてSi中間層
及び炭素被膜を形成した。形成したダイヤモンド状炭素
薄膜のビッカース硬度を測定し、図4にその結果を示し
た。図4から明らかなように、加速電圧を200V以上
に設定することにより、炭素被膜のビッカース硬度を2
500Hv以上とすることができることがわかる。
【0036】(実験3)次に、中間層として、基体側の
Tiからなる第1中間層と炭素被膜側のSiからなる第
2中間層の2層構造の中間層を形成する以外は、実験1
と同様にして、ベーン上に中間層及びダイヤモンド状炭
素薄膜を形成した。第1中間層及び第2中間層の厚さ
は、それぞれ0.5μmとし、中間層全体の合計の厚さ
を1μmとした。Ti中間層は、ターゲットとしてチタ
ンを用いること以外は、実験1のSi中間層と同様にし
て形成した。
Tiからなる第1中間層と炭素被膜側のSiからなる第
2中間層の2層構造の中間層を形成する以外は、実験1
と同様にして、ベーン上に中間層及びダイヤモンド状炭
素薄膜を形成した。第1中間層及び第2中間層の厚さ
は、それぞれ0.5μmとし、中間層全体の合計の厚さ
を1μmとした。Ti中間層は、ターゲットとしてチタ
ンを用いること以外は、実験1のSi中間層と同様にし
て形成した。
【0037】荷重を2kgとする以外は、実験1と同様
にしてビッカース圧子による押し込み試験により、炭素
被膜の密着性を評価した。評価結果を表2に示す。
にしてビッカース圧子による押し込み試験により、炭素
被膜の密着性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】表2に示す結果から明らかなように、最大
高さRyが1μm及び0.5μmである基体上に形成し
た炭素被膜は良好な密着性を示している。
高さRyが1μm及び0.5μmである基体上に形成し
た炭素被膜は良好な密着性を示している。
【0040】(実験4)次に、中間層として、基体側の
Tiからなる第1中間層と炭素被膜側のSiCからなる
第2中間層の2層構造の中間層を形成する以外は、実験
1と同様にして、ベーン上に中間層及びダイヤモンド状
炭素薄膜を形成した。第1中間層及び第2中間層の厚さ
は、それぞれ0.5μmとし、中間層全体の合計の厚さ
を1μmとした。Ti中間層は、ターゲットとしてチタ
ンを用いること以外は、実験1のSi中間層と同様にし
て形成した。SiCからなる第2中間層を形成する際に
は、シリコンターゲットを用い、真空チャンバー内にA
rガスを5.7×10-4Torr、CH4ガスを1.0
×10-4Torrとなるように供給した。
Tiからなる第1中間層と炭素被膜側のSiCからなる
第2中間層の2層構造の中間層を形成する以外は、実験
1と同様にして、ベーン上に中間層及びダイヤモンド状
炭素薄膜を形成した。第1中間層及び第2中間層の厚さ
は、それぞれ0.5μmとし、中間層全体の合計の厚さ
を1μmとした。Ti中間層は、ターゲットとしてチタ
ンを用いること以外は、実験1のSi中間層と同様にし
て形成した。SiCからなる第2中間層を形成する際に
は、シリコンターゲットを用い、真空チャンバー内にA
rガスを5.7×10-4Torr、CH4ガスを1.0
×10-4Torrとなるように供給した。
【0041】荷重を2kgとする以外は、実験1と同様
にしてビッカース圧子による押し込み試験により、炭素
被膜の密着性を評価した。評価結果を表3に示す。
にしてビッカース圧子による押し込み試験により、炭素
被膜の密着性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3に示す結果から明らかなように、最大
高さRyが1μm及び0.5μmである基体上に形成し
た炭素被膜は良好な密着性を示している。
高さRyが1μm及び0.5μmである基体上に形成し
た炭素被膜は良好な密着性を示している。
【0044】(実験5)次に、中間層として、基体側の
Tiからなる第1中間層と炭素被膜側のSiNからなる
第2中間層の2層構造の中間層を形成する以外は、実験
1と同様にして、ベーン上に中間層及びダイヤモンド状
炭素薄膜を形成した。第1中間層及び第2中間層の厚さ
は、それぞれ0.5μmとし、中間層全体の合計の厚さ
を1μmとした。Ti中間層は、ターゲットとしてチタ
ンを用いること以外は、実験1のSi中間層と同様にし
て形成した。SiNからなる第2中間層を形成する際に
は、シリコンターゲットを用い、真空チャンバー内にA
rガスを5.7×10-4Torr、N2ガスを3.0×
10-4Torrとなるように供給した。
Tiからなる第1中間層と炭素被膜側のSiNからなる
第2中間層の2層構造の中間層を形成する以外は、実験
1と同様にして、ベーン上に中間層及びダイヤモンド状
炭素薄膜を形成した。第1中間層及び第2中間層の厚さ
は、それぞれ0.5μmとし、中間層全体の合計の厚さ
を1μmとした。Ti中間層は、ターゲットとしてチタ
ンを用いること以外は、実験1のSi中間層と同様にし
て形成した。SiNからなる第2中間層を形成する際に
は、シリコンターゲットを用い、真空チャンバー内にA
rガスを5.7×10-4Torr、N2ガスを3.0×
10-4Torrとなるように供給した。
【0045】荷重を2kgとする以外は、実験1と同様
にしてビッカース圧子による押し込み試験により、炭素
被膜の密着性を評価した。評価結果を表4に示す。
にしてビッカース圧子による押し込み試験により、炭素
被膜の密着性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】表4に示す結果から明らかなように、最大
高さRyが1μm及び0.5μmである基体上に形成し
た炭素被膜は良好な密着性を示している。以上のよう
に、本発明に従う炭素被膜形成基体は、炭素被膜の密着
性に優れている。
高さRyが1μm及び0.5μmである基体上に形成し
た炭素被膜は良好な密着性を示している。以上のよう
に、本発明に従う炭素被膜形成基体は、炭素被膜の密着
性に優れている。
【0048】図5は、本発明に従う回転圧縮機の一例を
示す概略断面図である。図5に示すように、密閉容器6
1内の中心部には、図示されない電動機によって駆動さ
れるクランク軸62が設けられている。クランク軸62
の偏心部には、ローラ40が取り付けられている。ロー
ラ40は、モニクロ鋳鉄から形成されている。
示す概略断面図である。図5に示すように、密閉容器6
1内の中心部には、図示されない電動機によって駆動さ
れるクランク軸62が設けられている。クランク軸62
の偏心部には、ローラ40が取り付けられている。ロー
ラ40は、モニクロ鋳鉄から形成されている。
【0049】ローラ40は、円筒状シリンダ63内に収
納されている。この円筒状シリンダ63は、鋳鉄から形
成されている。円筒状シリンダ63の内周面には、ベー
ン30が往復運動するためのシリンダ溝50が形成され
ている。このシリンダ溝50内には、ベーン30が収納
されている。このベーン30は、円筒状シリンダ63内
の空間を高圧部と低圧部に仕切るためのものでる。ベー
ン30は、高速度工具鋼(SKH51)から形成されて
いる。
納されている。この円筒状シリンダ63は、鋳鉄から形
成されている。円筒状シリンダ63の内周面には、ベー
ン30が往復運動するためのシリンダ溝50が形成され
ている。このシリンダ溝50内には、ベーン30が収納
されている。このベーン30は、円筒状シリンダ63内
の空間を高圧部と低圧部に仕切るためのものでる。ベー
ン30は、高速度工具鋼(SKH51)から形成されて
いる。
【0050】ベーン30は、バネ64により、ローラ4
0側に付勢されている。密閉容器61には、円筒状シリ
ンダ63内に冷媒を供給するための吸入管65及び、円
筒状シリンダ63内部で圧縮された圧力及び温度が上昇
した冷媒を圧縮機外部に吐出させるための吐出管66が
形成されている。
0側に付勢されている。密閉容器61には、円筒状シリ
ンダ63内に冷媒を供給するための吸入管65及び、円
筒状シリンダ63内部で圧縮された圧力及び温度が上昇
した冷媒を圧縮機外部に吐出させるための吐出管66が
形成されている。
【0051】上記回転圧縮機に用いる冷凍油としては、
ポリオールエステルまたはポリビニールエーテルが好ま
しい。上記の回転圧縮機では、電動機によってクランク
軸62が駆動され、クランク軸62の偏心部に取り付け
られたローラ40は、円筒状シリンダ63内をその内周
面に沿って回転する。ベーン30は、バネ64により付
勢を受けているため、ローラ40の回転に伴って、ロー
ラ40の外周面と常時接触しながら、シリンダ溝50内
を往復運動する。
ポリオールエステルまたはポリビニールエーテルが好ま
しい。上記の回転圧縮機では、電動機によってクランク
軸62が駆動され、クランク軸62の偏心部に取り付け
られたローラ40は、円筒状シリンダ63内をその内周
面に沿って回転する。ベーン30は、バネ64により付
勢を受けているため、ローラ40の回転に伴って、ロー
ラ40の外周面と常時接触しながら、シリンダ溝50内
を往復運動する。
【0052】この往復運動を連続的に繰り返すことによ
って、円筒状シリンダ63内へ、吸入管65を介して冷
媒が吸い込まれ、吸い込まれた冷媒は円筒状シリンダ6
3内で圧縮され、圧力及び温度が上昇した後、吐出管6
6を通り回転圧縮機の外部に吐出される。
って、円筒状シリンダ63内へ、吸入管65を介して冷
媒が吸い込まれ、吸い込まれた冷媒は円筒状シリンダ6
3内で圧縮され、圧力及び温度が上昇した後、吐出管6
6を通り回転圧縮機の外部に吐出される。
【0053】上記の回転圧縮機において、ベーン30、
ローラ40、及びシリンダ溝50に本発明を適用するこ
とができる。図3及び実験1〜実験5において示したよ
うに、ベーン30の上に、中間層31を介して炭素被膜
32を形成し、このときのベーン30の表面の凹凸の最
大高さRyを、中間層31の厚さT以下とすることによ
り、本発明に従う回転圧縮機とすることができる。
ローラ40、及びシリンダ溝50に本発明を適用するこ
とができる。図3及び実験1〜実験5において示したよ
うに、ベーン30の上に、中間層31を介して炭素被膜
32を形成し、このときのベーン30の表面の凹凸の最
大高さRyを、中間層31の厚さT以下とすることによ
り、本発明に従う回転圧縮機とすることができる。
【0054】同様に、図6に示すように、ローラ40の
外周面上に中間層41を介して炭素被膜42を形成し、
このときのローラ40の外周面の凹凸の最大高さRy
を、中間層41の厚さT以下とすることにより、本発明
の回転圧縮機とすることができる。
外周面上に中間層41を介して炭素被膜42を形成し、
このときのローラ40の外周面の凹凸の最大高さRy
を、中間層41の厚さT以下とすることにより、本発明
の回転圧縮機とすることができる。
【0055】同様に、図7に示すように、シリンダ溝5
0の内面上に中間層51を介して炭素被膜52を形成
し、このときのシリンダ溝50内面の凹凸の最大高さR
yを、中間層51の厚さT以下とすることにより、本発
明の回転圧縮機とすることができる。
0の内面上に中間層51を介して炭素被膜52を形成
し、このときのシリンダ溝50内面の凹凸の最大高さR
yを、中間層51の厚さT以下とすることにより、本発
明の回転圧縮機とすることができる。
【0056】本発明に従う回転圧縮機では、ベーン、ロ
ーラ、またはシリンダ溝の上に形成された炭素被膜の密
着性が向上し、長期間安定して使用することが可能な回
転圧縮機とすることができる。
ーラ、またはシリンダ溝の上に形成された炭素被膜の密
着性が向上し、長期間安定して使用することが可能な回
転圧縮機とすることができる。
【0057】本発明の炭素被膜形成基体は、上記の回転
圧縮機における摺動部品に限定されるものではなく、そ
の他の摺動部品に適用することができるものである。例
えば、電気シェーバー等の刃にも適用することができ、
さらにはスクリーン印刷用マスク、OA機器部品などに
も適用することができる。さらには、太陽電池、SAW
デバイス等の電子デバイス、半導体デバイスにも適用す
ることができるものである。
圧縮機における摺動部品に限定されるものではなく、そ
の他の摺動部品に適用することができるものである。例
えば、電気シェーバー等の刃にも適用することができ、
さらにはスクリーン印刷用マスク、OA機器部品などに
も適用することができる。さらには、太陽電池、SAW
デバイス等の電子デバイス、半導体デバイスにも適用す
ることができるものである。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、中間層を介して炭素被
膜を基体上に形成した炭素被膜形成基体において、炭素
被膜の密着性に優れた炭素被膜形成基体とすることがで
きる。
膜を基体上に形成した炭素被膜形成基体において、炭素
被膜の密着性に優れた炭素被膜形成基体とすることがで
きる。
【0059】また、本発明の回転圧縮機によれば、ベー
ン、ローラ、またはシリンダの表面に形成された炭素被
膜の密着性を向上させることができる。
ン、ローラ、またはシリンダの表面に形成された炭素被
膜の密着性を向上させることができる。
【図1】中間層を介して炭素被膜を基体上に形成した炭
素被膜形成基体を示す模式的断面図。
素被膜形成基体を示す模式的断面図。
【図2】本発明に従う実施例において用いる炭素被膜形
成装置を示す模式的断面図。
成装置を示す模式的断面図。
【図3】本発明に従う回転圧縮機の実施例におけるベー
ンを示す斜視図。
ンを示す斜視図。
【図4】炭素被膜を形成する際のイオンの加速電圧と炭
素被膜のビッカース硬度との関係を示す図。
素被膜のビッカース硬度との関係を示す図。
【図5】本発明に従う回転圧縮機の実施例を示す模式的
断面図。
断面図。
【図6】本発明に従う回転圧縮機の実施例におけるロー
ラを示す部分断面図。
ラを示す部分断面図。
【図7】本発明に従う回転圧縮機の実施例におけるシリ
ンダ溝を示す模式的断面図。
ンダ溝を示す模式的断面図。
1…マイクロ波供給手段 2…導波管 3…マイクロ波導入窓 4…プラズマ発生室 5…ガス導入管 6…プラズマ磁界発生装置 7…基体ホルダー 8…真空チャンバー 9…グリッド 11…ターゲット 12…支持棒 12a…支持棒の回転中心部 13…高周波電源 20…基体 21…中間層 22…炭素被膜 30…ベーン 31…中間層 32…炭素被膜 40…ローラ 41…中間層 42…炭素被膜 50…シリンダ溝 51…中間層 52…炭素被膜 60…回転圧縮機 61…密閉容器 62…クランク軸 63…円筒状シリンダ 64…バネ 65…吸入管 66…吐出管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04C 18/356 F04C 18/356 K 29/00 29/00 U (72)発明者 樽井 久樹 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 3H029 AA04 AB03 BB31 CC03 CC05 CC38 4K029 BA01 BA11 BA17 BA34 BA35 BA43 BA46 BA48 BA55 BA56 BA58 BA60 BB02 BD04 FA07 4K030 BA01 BA09 BA12 BA18 BA20 BA22 BA28 BA29 BA36 BA37 BA38 BA40 BA42 BA44 BA46 BB05 BB12 FA02 LA23
Claims (9)
- 【請求項1】 基体上に中間層を介して炭素被膜が形成
された炭素被膜形成基体であって、中間層の厚さをTと
したとき、炭素被膜が形成される基体表面の凹凸の最大
高さRyが、Tの100倍の基準長さにおいてT以下で
あることを特徴とする炭素被膜形成基体。 - 【請求項2】 前記炭素被膜がプラズマ気相合成法また
はイオンビーム照射により形成されていることを特徴と
する請求項1に記載の炭素被膜形成基体。 - 【請求項3】 前記炭素被膜の硬度が2500Hv以上
であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素
被膜形成基体。 - 【請求項4】 前記中間層が、Si、Ti、Zr、G
e、Ru、Mo、及びW並びにこれらの酸化物、窒化
物、及び炭化物からなるグループより選ばれる少なくと
も1種の材料から形成されていることを特徴とする請求
項1〜3のいずれか1項に記載の炭素被膜形成基体。 - 【請求項5】 前記中間層が、基体側に設けられる第1
中間層と、炭素被膜側に設けられる第2中間層とを有し
ており、前記第1中間層がSi、Ti、Zr、Ge、R
u、Mo、及びWからなるグループより選ばれる少なく
とも1種の材料から形成されており、前記第2中間層が
Si、Ti、Zr、Ge、Ru、Mo、及びWの酸化
物、窒化物、及び炭化物からなるグループより選ばれる
少なくとも1種の材料から形成されていることを特徴と
する請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素被膜形成
基体。 - 【請求項6】 回転するクランク軸の偏心部に取り付け
られた、外周面を有するローラと、 前記ローラを収納し、前記ローラの外周面に接して摺動
する摺動面を内面に有するシリンダと、 前記シリンダの内面に形成された溝内に収納され、先端
部が前記ローラの外周面に接して摺動するベーンとを備
え、 前記ベーンが請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素
被膜形成基体であり、前記ベーンの少なくとも先端部ま
たは側面部の上に中間層を介して炭素被膜が形成されて
いることを特徴とする回転圧縮機。 - 【請求項7】 回転するクランク軸の偏心部に取り付け
られた、外周面を有するローラと、 前記ローラを収納し、前記ローラの外周面に接して摺動
する摺動面を内面に有するシリンダと、 前記シリンダの内面に形成された溝内に収納され、先端
部が前記ローラの外周面に接して摺動するベーンとを備
え、 前記ローラが請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素
被膜形成基体であり、前記ローラの外周面上に中間層を
介して炭素被膜が形成されていることを特徴とする回転
圧縮機。 - 【請求項8】 回転するクランク軸の偏心部に取り付け
られた、外周面を有するローラと、 前記ローラを収納し、前記ローラの外周面に接して摺動
する摺動面を内面に有するシリンダと、 前記シリンダの内面に形成された溝内に収納され、先端
部が前記ローラの外周面に接して摺動するベーンとを備
え、 前記シリンダが請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭
素被膜形成基体であり、前記シリンダの溝の内面上に中
間層を介して炭素被膜が形成されていることを特徴とす
る回転圧縮機。 - 【請求項9】 前記ベーン、前記ローラ、または前記シ
リンダが、Fe系、Al系、またはCu系の溶製材、焼
結材、または複合材であることを特徴とする請求項6〜
8のいずれか1項に記載の回転圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000165345A JP2001342565A (ja) | 2000-06-02 | 2000-06-02 | 炭素被膜形成基体及び回転圧縮機 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000165345A JP2001342565A (ja) | 2000-06-02 | 2000-06-02 | 炭素被膜形成基体及び回転圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001342565A true JP2001342565A (ja) | 2001-12-14 |
Family
ID=18668825
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000165345A Pending JP2001342565A (ja) | 2000-06-02 | 2000-06-02 | 炭素被膜形成基体及び回転圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001342565A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007162613A (ja) * | 2005-12-15 | 2007-06-28 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 表面平滑化皮膜を有する回転機械 |
JP2007327350A (ja) * | 2006-06-06 | 2007-12-20 | Tocalo Co Ltd | 真空ポンプ用部材及びその製造方法 |
JP2010049050A (ja) * | 2008-08-22 | 2010-03-04 | Hitachi Chem Co Ltd | 透明樹脂積層体及びその製造方法 |
JP2010196711A (ja) * | 2010-04-23 | 2010-09-09 | Mitsubishi Electric Corp | ベーン、ローリングピストン式単段型回転式の密閉形圧縮機、給湯機、および、ベーンの製造方法 |
-
2000
- 2000-06-02 JP JP2000165345A patent/JP2001342565A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2010049050A (ja) * | 2008-08-22 | 2010-03-04 | Hitachi Chem Co Ltd | 透明樹脂積層体及びその製造方法 |
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