以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るイオン発生装置100の外観斜視図であり、図2は本発明に係るイオン発生装置100の前面視の分解斜視図であり、図3は本体ベース30の分解斜視図であり、図4は本発明に係るイオン発生装置100の後面視の分解斜視図である。また、図5はケース40の平面図であり、図6は本体ベース30の平面図であり、図7は吸込グリル20の平面図である。
図2に示すように、イオン発生装置100は、一面が開口した箱状のケース40、ケース40に収容される一面が開口した箱状の本体ベース30、本体ベース30の上面(前面)に取り付けられる吸込グリル20、吸込グリル20の上面(前面)に取り付けられる空気案内板としての前面パネル10などを備えている。
イオン発生装置100の前面パネル10には、中央部に空気吸込口15を設けてあり、空気吸込口15と同一面上であって、空気吸込口15を囲むように、イオンを放出するための放出部としての空気吹出口11、12、13、14を設けてある。ここで、同一面とは、本実施の形態で例示するように、空気吸込口と空気吹出口とが同一平面にある場合のみならず、同一の屈曲面にある場合(例えば、空気吸込口の開口面の法線方向と空気吹出口の開口面の法線方向とが鋭角をなすようにお互いに傾いて設けられているような場合)、お互いに平行な平面にある場合(例えば、空気吸込口の開口面と空気吹出口の開口面とが段差を有して設けられている場合)などを含むものとする。空気吹出口11〜14は、空気吸込口15を囲んで長方形の略四隅に配置されている。なお、本実施の形態では、イオンを放出する放出部として、空気吹出口を例に挙げて説明するが、放出部はこれに限定されるものではなく、イオンを放出することができる構造であれば、空気とともに吹き出すものに限らず、どのような構成のものでもよい。
図2に示すように、吸込グリル20の前面(上面)には、空気吸込口15に対応する位置に略同寸法の吸込孔25を設けてあり、空気吹出口11〜14それぞれに対応する位置に略同寸法の吹出孔21、22、23、24を設けてある。
また、図3に示すように、本体ベース30には、イオン発生部としてのイオン発生素子31、32、羽根を備えたファン33、イオン発生装置100を制御する制御部35、複数のLEDを備える表示部36などを取り付けるようになっている。
図3に示すように、本体ベース30は、中央部にファン33を取り付けるように構成してある。本体ベース30の底面であって、ファン33が取り付けられる箇所は、外側から内側に向かって円形状に絞り込んだ椀状の絞り部37を形成してある。ファン33が動作することにより、空気吸込口15から吸い込まれた空気の流れが本体ベース30の底面に当たる際に、絞り部37を形成してあることにより、吸い込まれた空気が本体ベース30の底面に沿ってスムーズに流れ易くすることができ、空気流の乱れを生じさせることなく空気吹出口11〜14へ導くことができる。
本体ベース30の対向する1組の側壁同士は、前面(上面)に向かって拡がるように傾斜してあり、それぞれの側壁にイオン発生素子31、32を取り付けている。イオン発生素子31、32は、先端に係止部が形成された固定板34により側壁に押圧されて取り付けられる。なお、イオン発生素子31、32は、固定板34により着脱可能に取り付けられるようになっている。
イオン発生素子31は、矩形状の板状体であり、一方の端部近傍にマイナスイオンを発生させる電極部としての電極針31a、31bを適長離隔して設けてあり、他方の端部近傍にプラスイオンを発生させる電極部としての電極針31c、31dを適長離隔して設けてある。イオン発生素子31を取り付けた状態で、吹出孔21及び空気吹出口11の近傍には、マイナスイオンを発生するイオン発生電極部が配置され、吹出孔21及び空気吹出口11からはマイナスイオンを含む空気が吹き出される。また、吹出孔24及び空気吹出口14の近傍には、プラスイオンを発生するイオン発生電極部が配置され、吹出孔24及び空気吹出口14からはプラスイオンを含む空気が吹き出される。
イオン発生素子32は、イオン発生素子31と同様の構成をなす。イオン発生素子32を取り付けた状態で、吹出孔22及び空気吹出口12の近傍には、プラスイオンを発生するイオン発生電極部が配置され、吹出孔22及び空気吹出口12からはプラスイオンを含む空気が吹き出される。また、吹出孔23及び空気吹出口13の近傍には、マイナスイオンを発生するイオン発生電極部が配置され、吹出孔23及び空気吹出口13からはマイナスイオンを含む空気が吹き出される。
イオン発生素子31、32は、空気中の水蒸気をプラズマ放電によりイオン化することにより、プラスイオンとしてのH+ (H2 O)n (nは任意の自然数)と、マイナスイオンとしてのO2 - (H2 O)m (mは任意の自然数)とを発生する。そして、これらが化学反応することにより、活性種である過酸化水素(H2 O2 )及び/又は水酸基ラジカル(OH)が生成され、空気中の浮遊細菌や浮遊ウィルス等が除去される。
これにより、それぞれの空気吹出口11〜14は、独立にプラスイオンを含む空気、あるいはマイナスイオンを含む空気を吹き出すことができ、イオン発生装置100から吹き出した空気中のプラスイオンとマイナスイオンとが直ちに中和することを防止できる。そして、イオンの中和を防止することにより、イオンの拡散性を向上させることができる。
また、表示部36は、イオン発生装置100の動作状態を表示するための複数のLEDを備えている。例えば、表示部36は、イオン発生素子31、32が動作中(連続駆動中、間欠駆動中)であることを示す青色LED、空気吸込口15に取り付けられたフィルタの交換時期を通知するための赤色LED、ファン33の動作モードを示す青色・緑色・赤色の三色LEDなどを備えている。この場合、ファン33の回転数が高速(風量、風速が大に相当)である場合、三色LEDの青色が点灯し、回転数が中速(風量、風速が中に相当)である場合、三色LEDの緑色が点灯し、回転数が低速(風量、風速が小に相当)である場合、三色LEDは点灯しない。また、イオン発生素子31、32の交換時期を通知する場合には、三色LEDの青色及び緑色が点滅する。また、前面パネル10が外れている場合、あるいは、完全に装着されていない場合、表示部36のすべてのLEDが消灯する。
また、制御部35は、イオン発生装置100の全体の動作を制御するマイクロコンピュータ、イオン発生素子31、32、及びファン33の動作を制御する制御回路、前面パネル10の着脱を検出するためのマイクロスイッチ351などを備えている。制御部35の詳細は後述する。図4に示すように、前面パネル10の裏面側に立設した突起棒16がマイクロスイッチ351を押すことにより、マイクロスイッチ351はオンとなり、前面パネル10が装着されていることを検出する。一方、前面パネル10が外れた場合、突起棒16がマイクロスイッチ351から離れ、マイクロスイッチ351がオフして前面パネル10が離脱したことを検出する。前面パネル10が離脱した場合、マイクロスイッチ351がオフしてイオン発生装置100の動作は停止又は運転できない状態となる。
図4に示すように、吸込グリル20の裏面側(後面側)には、吸込孔25を挟むようにして本体ベース30の深さ寸法より短い寸法の深さ(高さ)を有する吹出方向設定部材としての吹出方向設定部材としての通気壁201、201を対設してある。すなわち、本体ベース30に吸込グリル20を取り付けた状態で、本体ベース30の底面内側と通気壁201との間は、ファン33で吸い込まれた空気が流れるのに必要な十分な隙間を設けてある。
通気壁201の吹出孔21〜24側の側壁は、深さ(高さ)方向に沿ってテーパー状になった吹出方向設定部材としての傾斜面(内壁)201aを有する。また、通気壁201の中央部には、通気壁201と略同寸法の深さ(高さ)を有し、吹出孔22、23に挟まれるように吹出方向設定部材としての通気板202を設けている。通気板202の吹出孔22、23側の側面は、深さ(高さ)方向に沿ってテーパー状になった吹出方向設定部材としての傾斜面(内壁)202a、202bを有する。なお、吹出孔21、24側の通気板202についても同様の構成である。
本体ベース30に吸込グリル20を取り付けた状態で、通気壁201、通気板202は、本体ベース30の内壁(底面内側、側面内側等)とともに、空気吸込口15と空気吹出口11〜14とを連通する通気路Rを形成する。そして、通気路Rには、ファン33の羽根の回転軸が空気吸込口15及び空気吹出口11〜14の面と直交するようにファン33を取り付けてある。
また、図4及び図7に示すように、吹出孔22の裏側には、空気の吹き出し方向を設定するための吹出方向設定部材としての整流板204、204を傾斜面202aと略平行に適長離隔して設けている。吹出孔24の裏側にも、同様に空気の吹き出し方向を設定するための整流板204、204を傾斜面202aと略平行に適長離隔して設けている。
図8及び図9は空気の通気路Rの概略を示す模式図である。図8はイオン発生装置100の長手方向から見た状態を示し、図9はイオン発生装置100の短手方向から見た状態を示す。図8に示すように、ファン33を動作させることにより、空気吸込口15から空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ファン33を介して通気路Rを通り、空気吹出口13、14(空気吹出口11、12は図8では不図示)から吹出される。なお、図8において矢印は空気の流れを示す。空気吹出口13から吹き出される際に、イオン発生素子32のマイナスイオン発生電極部で発生したマイナスイオンが空気に含まれ、マイナスイオンを含む空気が吹き出される。また、空気吹出口14から吹き出される際に、イオン発生素子31のプラスイオン発生電極部で発生したプラスイオンが空気に含まれ、プラスイオンを含む空気が吹き出される。
また、通気路Rの内壁である傾斜面201aにより、空気吹出口13、14から吹き出される空気は、傾斜面201aに沿った方向(傾斜面201aと平行な方向)へ拡散する。なお、傾斜面201aと空気吹出口13、14の面とのなす角度は、例えば、45度程度が好ましいが、これに限定されるものではなく、30度〜60度程度でもよい。
また、図9に示すように、ファン33を動作させることにより、空気吸込口15から空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ファン33を介して通気路Rを通り、空気吹出口12、13(空気吹出口11、14は図9では不図示)から吹出される。なお、図9において矢印は空気の流れを示す。空気吹出口12から吹き出される際に、イオン発生素子32のプラスイオン発生電極部で発生したプラスイオンが空気に含まれ、プラスイオンを含む空気が吹き出される。
また、通気路Rの内壁である傾斜面202a、202bにより、空気吹出口12、13から吹き出される空気は、それぞれ傾斜面202a、202bに沿った方向(傾斜面202a、202bと平行な方向)へ拡散する。なお、傾斜面202a、202bと空気吹出口12、13の面とのなす角度は、例えば、45度程度が好ましいが、これに限定されるものではなく、30度〜60度程度でもよい。なお、図8及び図9では、整流板204を省略している。
図10は前面パネル10の正面図であり、図11は空気吹出口11の要部断面図である。図10に示すように、前面パネル10の空気吹出口11は、開口部112に複数の吹出方向設定部材としての仕切板111を並置したスリット状をなしている。これにより、空気吹出口11は、空気案内板としての機能を有する。また、図11に示すように、仕切板111は、空気吹出口11の吹出方向に沿って傾斜してあり、傾斜した仕切板111により、図11の矢印に示すように、空気の吹出方向を設定することができる。例えば、仕切板111を空気吹出口11が設けられた面に対して直角に設けるのではなく、当該面に対して所要の傾斜角(例えば、45度等)で傾斜させることでイオンを含む空気の吹出方向を仕切板111の傾きに応じて空気吹出口11から斜めにすることができる。これにより、イオンの拡散性をさらに高めることができる。他の空気吹出口12〜14についても同様の構成を有する。
図12は本発明に係るイオン発生装置100の空気吹き出し方向の一例を示す説明図である。図12において、矢印は、空気吹出口11〜14からの空気の吹き出し方向を示す。空気吹出口11については、通気壁201の内壁としての傾斜面201a、通気板202の傾斜面202b、及び空気吹出口11に設けられた仕切板の傾きにより、イオン発生装置100の長手方向外側(図12で左方向)に向かってマイナスイオンを含む空気が拡散される。
また、空気吹出口12については、通気壁201の内壁としての傾斜面201a、通気板202の傾斜面202a、整流板204、204及び空気吹出口12に設けられた仕切板の傾きにより、イオン発生装置100の短手方向外側(図12で上方向)に向かってプラスイオンを含む空気が拡散される。
また、空気吹出口13については、通気壁201の内壁としての傾斜面201a、通気板202の傾斜面202b、及び空気吹出口13に設けられた仕切板の傾きにより、イオン発生装置100の長手方向外側(図12で右方向)に向かってマイナスイオンを含む空気が拡散される。
また、空気吹出口14については、通気壁201の内壁としての傾斜面201a、通気板202の傾斜面202a、整流板204、204及び空気吹出口14に設けられた仕切板の傾きにより、イオン発生装置100の短手方向外側(図12で下方向)に向かってプラスイオンを含む空気が拡散される。
このように、イオン発生装置100は、空気吹出口11〜14を空気吸込口15と同一平面であって空気吸込口15の回りに複数設けてある。これにより、中央部に配置された空気吸込口15から吸い込まれた空気は、イオン発生装置100の内部でイオンを含む空気となって、空気吸込口15の回りに設けられた複数の空気吹出口11〜14より吹き出されるので、イオンの拡散性を向上させることができる。特に、イオン発生装置100を室内の天井や壁に取り付けた場合であっても、複数の空気吹出口11〜14を設けてあるので、イオンを室内に効率的に拡散することができる。
また、マイナスイオンを含む空気の吹出口11(又は13)とプラスイオンを含む空気の吹出口14(又は12)とを独立させる(別個に離隔させる)ことにより、プラスイオンとマイナスイオンとが中和することを避けて、イオンの拡散性を高めることができる。
また、各空気吹出口11〜14の近傍にイオン発生電極部を備えている。例えば、マイナスイオンを含む空気を吹き出す空気吹出口11、13の近傍には、マイナスイオンを発生させるための電極部(例えば、電極針)を設けるとともに、プラスイオンを含む空気を吹き出す空気吹出口12、14の近傍には、プラスイオンを発生させるための電極部(例えば、電極針)を設ける。これにより、例えば、空気吹出口11〜14に至るまでの通気路R内でイオンが消滅することを防止し、発生させたプラスイオン及びマイナスイオンを空気吹出口11〜14から吹き出すことができ、イオンを一層効率的に拡散させることができる。
また、図12に示すように、プラスイオンを含む空気を吹き出す空気吹出口とマイナスイオンを含む空気を吹き出す空気吹出口それぞれを交互に周状に配置してある。例えば、空気吹出口を長方形の各四隅の位置に配置した場合、プラスイオン用の空気吹出口とマイナスイオン用の空気吹出口とが順番に並ぶように配置する。この場合、対角線上の空気吹出口のイオンの極性は同じ極性となる。これにより、プラスイオンとマイナスイオンとを均等に拡散させることができるとともに、空間へのイオン分布が良くなりイオンの中和を避けることができる。
また、空気吹出口11〜14を空気吸込口15と同一平面に設けてあるので、例えば、イオン発生装置100を天井や壁に設置する場合に、空気吹出口11〜14及び空気吸込口15を天井面や壁面と同一面にすることができ、イオン発生装置が天井面や壁面から飛び出した状態で設置しなければならないという制約を排除することができ、見た目も良くなる。
また、図12に示すように、各空気吹出口11〜14から吹き出された空気の前記同一平面に沿った吹出方向をそれぞれ均等に異なる方向へ設定することができる。図12の例では、一例として、空気吹出口11〜14を長方形の各四隅の位置に配置し、各空気吹出口11〜14から吹き出す空気の方向を隣接する空気吹出口からの吹出方向と略直角をなすようにする。これにより、イオン発生装置100の空気吹出口11〜14の取り付け面から四方に均等にイオンを拡散することができる。
また、イオン発生装置100は、空気吹出口11〜14及び空気吸込口15の面と直交する軸回りに回転する羽根を有するファン33を通気路に内設している。ファン33を作動させることにより、空気吸込口15から吸い込まれた空気は通気路Rを通って空気吹出口11〜14から吹き出される。そして、羽根の回転方向(図12の矢印方向)と一致する向きに各空気吹出口11〜14からの吹出方向を設定してある。例えば、図12に示すように、ファン33の回転方向が反時計回りである場合、各空気吹出口11〜14からの吹出方向が反時計回りになるように吹出方向を設定する。これにより、ファン33の回転により生じる渦状の空気の流れに逆らうことなく、イオンを含む空気を吹き出すことができ、イオンの拡散性を向上させることができる。
図13は制御部35の構成を示すブロック図である。制御部35は、イオン発生装置100全体を制御するためのマイクロコンピュータ350、マイクロスイッチ351、電源回路38から所要の電圧を生成するための制御用供給回路(5V)352及びPCI(イオン発生素子)用供給回路(12V)353、所定の情報を記憶するメモリ354、リモコン受光部355、イオン発生素子31の駆動を制御するPCI制御回路356、イオン発生素子32の駆動を制御するPCI制御回路357、ファン33の動作を制御するファン制御回路358、表示部36を制御する表示部制御回路359などを備えている。
制御用供給回路(5V)352は、直流5Vを生成し、マイクロコンピュータ350、メモリ354等に直流5Vを供給する。また、制御用供給回路(12V)353は、直流12Vを生成し、PCI制御回路356、357、ファン制御回路358などに直流12Vを供給する。
リモコン受光部355は、リモコン(不図示)からの赤外光を受光し、受光した光から信号を抽出する。リモコン受光部355では、例えば、イオン発生装置100の運転開始、運転停止、動作モードの設定などの信号を受け付ける。動作モードには、例えば、ファン33の回転数が高速(風量、風速が大)、中速(風量、風速が中)、低速(風量、風速が小)の3つの動作状態がある。なお、イオン発生装置100を他の装置、例えば、照明装置などに組み込む場合には、他の装置を制御するための信号を受け付けるリモコン受光部と共用することもできる。
PCI制御回路356、357それぞれは、マイクロコンピュータ350からの指令を受けて、イオン発生素子31、32の駆動、停止を制御する。例えば、イオン発生素子31、32を連続駆動(連続にイオンを発生させる)し、あるいは、イオン発生素子31、32を間欠駆動(所定の間隔でオン/オフを繰り返すことで、間欠的にイオンを発生させる)する。なお、イオン発生素子31、32を間欠駆動する場合には、一方のイオン発生素子を駆動する場合、他方のイオン発生素子を停止する。
ファン制御回路358は、PWM(パルス幅変調)回路を備え、マイクロコンピュータ350からの指令を受けて、ファン33の回転数を調整するとともに、ファン33の回転数を検出してマイクロコンピュータ350へ出力する。ファン制御回路358は、ファン33の回転数が高速(例えば、3000回/分で風量又は風速が大の状態)、中速(例えば、2700回/分で風量又は風速が中の状態)、低速(例えば、2400回/分で風量又は風速が小の状態)の3つの動作モードでファン33を動作させる。なお、動作モードは、あくまで一例であって、回転数を3段階に分ける構成のみならず、さらに多くの他段階に分けてよく、あるいは、ファン33の回転数を連続的に可変するように構成することもできる。
図14はイオン発生素子の間欠駆動の例を示す説明図である。図14(a)は1個のイオン発生素子(A)を備える場合を示し、図14(b)は2個のイオン発生素子(A)、(B)を備える場合を示し、図14(c)は3個のイオン発生素子(A)、(B)、(C)を備える場合を示す。図14(a)に示すように、1個のイオン発生素子(A)を備える場合、間欠駆動は、イオン発生素子のオン/オフを所定の間隔(例えば、オン時間及びオフ時間がそれぞれ0.5秒、1.0秒、1.5秒など)で繰り返す。
また、図14(b)に示すように、2個のイオン発生素子(A)、(B)を備える場合、間欠駆動は、各イオン発生素子のオン/オフを所定の間隔(例えば、オン時間及びオフ時間がそれぞれ0.5秒、1.0秒、1.5秒など)で繰り返す。そして、一方のイオン発生素子がオンである時、他方のイオン発生素子をオフにする。
また、図14(c)に示すように、3個のイオン発生素子(A)、(B)、(C)を備える場合、間欠駆動は、各イオン発生素子のオンを所定の間隔(例えば、0.5秒、1.0秒、1.5秒など)で繰り返す。そして、一方のイオン発生素子がオンである時、他の2つのイオン発生素子をオフにする。なお、本実施の形態のイオン発生装置100は、2個のイオン発生素子31、32を備える構成を示すが、イオン発生素子の個数は2個に限定されるものではない。
制御部35は、ファン33の回転数(風量、風速にも相当する)が所定値より小さい場合、イオン発生素子31、32の間欠駆動の間隔を所定間隔よりも短くすべく制御する。例えば、ファン33の回転数が高速、中速、低速の3つの動作モードがある場合に、中速を所定値としたときに、検出したファン33の回転数が中速より小さい低速である場合、イオン発生素子31、32のオン/オフの間欠駆動の間隔を所定間隔(例えば、1.0秒の都度のオン/オフを基準とする)よりも短く(例えば、0.5秒の都度のオン/オフ)にする。ファン33の回転数を下げることで、騒音低下と省電力化が図れるとともに、イオン発生素子31、32の間欠駆動の間隔を短くして風量の低下を補って放出するイオンの量(イオン濃度)を均一にすることができる。また、イオン発生素子31、32を間欠駆動するので、連続駆動する場合に比べて長寿命化を図ることができる。
なお、この場合、制御部35は、一方のイオン発生素子31(又は32)がオンしている間、他方のイオン発生素子32(又は31)がオフするように制御する。これにより、ファン33の回転数を下げることで、騒音低下と省電力化が図れるとともに、イオン発生素子31、32の間欠駆動の間隔を短くして風量の低下を補って放出するイオンの量(イオン濃度)を均一にすることができる。また、イオン発生素子31、32を間欠駆動するので、連続駆動する場合に比べて長寿命化を図ることができる。また、イオン発生素子31、32を複数備えることにより、高いイオン濃度を確保することができる。
制御部35は、ファン33の回転数(風量、風速にも相当する)が所定値より大きい場合、イオン発生素子31、32を連続駆動する。例えば、ファン33の回転数が高速、中速、低速の3つの動作モードがある場合に、中速を所定値としたときに、検出したファン33の回転数が中速より大きい高速である場合、イオン発生素子31、32の間欠駆動に代えて連続駆動を行う。ファン33の風量を上げる場合には、イオンの量(イオン濃度)を多くする必要性が高いと考えられるので、必要とするイオン量を確保することを優先することができる。なお、連続駆動に代えて、イオン発生素子31、32の間欠駆動の間隔を所定間隔(例えば、1.0秒の都度のオン/オフ)よりも長く(例えば、1.5秒の都度のオン/オフ)することにより、イオンの量を均一にすることもできる。
図15はイオン濃度とファン33の回転数との関係を示す説明図である。図15において、横軸はファン速、すなわち、ファン33の回転数、風速、風量に相当する数値を示し、縦軸はイオン濃度(イオンの量)を比率で示す。また、図15は1個のイオン発生素子から放出されるイオン濃度を示す。また、図中、上側の線分は、イオン発生素子を連続駆動した場合を示し、下側の線分は、イオン発生素子を間欠駆動した場合を示すとともに、オン/オフの間隔がそれぞれ0.5秒、1.0秒、1.5秒の時のイオン濃度の変動幅を示す。なお、イオン濃度は、プラスイオンの濃度とマイナスイオンの濃度との平均値である。また、イオン濃度測定時の環境は、温度が25〜27℃、湿度は35〜40%である。
イオン発生素子を連続駆動した場合に、ファン33の回転数が中速でのイオン濃度を100%(例えば、プラスイオンは1231000個/cm3 、マイナスイオンは1302000個/cm3 )とすると、回転数が高速では、イオン濃度は106.6%であり、回転数が低速では、イオン濃度は94.4%である。
また、イオン発生素子を1.0秒間隔で間欠駆動した場合に、ファン33の回転数が中速ではイオン濃度は71.8%であり、回転数が高速では、イオン濃度は76.1%であり、回転数が低速では、イオン濃度は66.9%である。
また、イオン発生素子を0.5秒間隔で間欠駆動した場合に、ファン33の回転数が中速ではイオン濃度は84.0%であり、回転数が高速では、イオン濃度は88.6%であり、回転数が低速では、イオン濃度は77.2%である。
また、イオン発生素子を1.5秒間隔で間欠駆動した場合に、ファン33の回転数が中速ではイオン濃度は59.4%であり、回転数が高速では、イオン濃度は65.5%であり、回転数が低速では、イオン濃度は56.6%である。
イオン発生装置100の動作を決定付けるために、まず基準となる動作条件を予め設定しておく。すなわち、図15において、点S1で示す動作条件を基準動作状態として設定する。この動作状態S1では、ファン33の回転数は中速であり、イオン発生素子は、1.0秒の都度オン/オフを繰り返す間欠駆動である。この動作状態で放出することができるイオン濃度(71.8%)を所要のイオン濃度(基準値)である70%を下回らないように設定する。
そして、ファン33の騒音低減、あるいは省電力化のためにファン33の回転数を低速にした場合には、ファン33の回転数の減少により放出するイオン濃度の低下を補うべく、イオン発生素子を1.0秒間隔の間欠駆動から0.5秒間隔の間欠駆動に変更する。これにより動作状態はS1からS2へ移り、イオン濃度は77.2%程度を維持することができ、基準値(70%)を下回ることなくイオン濃度をほぼ均一にすることができる。
一方、ファン33の騒音や省電力化よりもイオン濃度を速やかに高めることを優先した場合には、ファン33の回転数を高速にするとともに、イオン発生素子を間欠駆動から連続駆動に変更する。これにより、動作状態は図中S3で示す点に移り、イオン濃度は106.6%に増やすことができる。
なお、ファン33の回転数を高速にした場合、イオン濃度をできるだけ均一にするために、イオン発生素子を1.5秒間隔の間欠駆動に変更してもよい。この場合、イオン濃度は65.5%程度を維持することができ、イオン濃度をほぼ均一にすることができる。なお、この場合にイオン濃度を基準値以上にするためには、1.5秒間隔よりも短い間隔で間欠駆動を行えばよい。
図15の例では、1個のイオン発生素子が放出するイオン濃度について説明したが、本実施の形態のように、2個のイオン発生素子を用いる構成の場合には、イオン濃度をさらに高めることができる。例えば、2個のイオン発生素子を連続駆動した場合、ファン33の回転数が中速では、イオン濃度は129.6%であり、回転数が高速では、イオン濃度は141.1%であり、回転数が低速では、イオン濃度は120.9%である。また、2個のイオン発生素子を1.0秒間隔で交互に間欠駆動した場合に、ファン33の回転数が中速ではイオン濃度は122.4%であり、回転数が高速では、イオン濃度は135.8%であり、回転数が低速では、イオン濃度は111.7%である。
次に、本発明に係るイオン発生装置100の動作について説明する。図16及び図17は制御部35の処理手順を示すフローチャートである。制御部35は、電源オンされたか否かを判定し(S11)、電源オンされていない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続ける。電源オンされた場合(S11でYES)、制御部35は、前面パネル10が閉じているか否かを判定し(S12)、閉じていない場合(S12でNO)、すなわち、前面パネルが外れている場合、あるいは、完全に装着されていない場合、前面パネルが「開」の情報(例えば、LEDの消灯)を出力し(S13)、ステップS12以降の処理を続ける。
前面パネル10が閉じている場合(S12でYES)、制御部35は、ファン33の動作モードを取得し(S14)、タイマをオンする(S15)。この場合、動作モードは、メモリ354に記憶されたものを使用することができるが、リモコンからの信号を受信した場合には、受信した信号から動作モードを取得してもよい。
制御部35は、取得した動作モード(例えば、低速、中速、高速など)でファン33を駆動し(S16)、各イオン発生素子31、32を連続駆動する(S17)。制御部35は、タイマをオンしてから所定時間(例えば、1時間)経過したか否かを判定し(S18)、所定時間経過していない場合(S18でNO)、ステップS16以降の処理を続ける。
所定時間経過した場合(S18でYES)、制御部35は、動作モードを判定する(S19)。この際に、リモコン受光部355でリモコンからの信号を取得するようにしてもよい。ファン33の回転数が中速である動作モードの場合(S19で中速)、制御部35は、各イオン発生素子31、32を交互に1秒間隔でオン/オフする間欠駆動する(S20)。ファン33の回転数が低速である動作モードの場合(S19で低速)、制御部35は、各イオン発生素子31、32を交互に0.5秒間隔でオン/オフする間欠駆動する(S21)。ファン33の回転数が高速である動作モードの場合(S19で高速)、制御部35は、各イオン発生素子31、32を連続駆動する(S22)。
制御部35は、イオン発生素子31、32の駆動積算時間が所定の閾値(例えば、2万時間など)以上であるか否かを判定し(S23)、閾値以上である場合(S23でYES)、イオン発生素子の交換を促す情報(例えば、LEDの点滅など)を出力する(S24)。駆動積算時間が閾値以上でない場合(S23でNO)、制御部35は、ステップS24の処理を行わずにステップS25の処理を行う。
制御部35は、電源がオフされたか否かを判定し(S25)、電源がオフされていない場合(S25でNO)、ステップS19以降の処理を続け、電源がオフされた場合(S25でYES)、処理を終了する。
上述のように、運転開始の指示としての電源オンがされた場合、イオン発生素子31、32を所定時間(例えば、30分、1時間、2時間など)連続駆動し、その後、動作モードが低速であれば、イオン発生部のオン/オフの間欠駆動の間隔を0.5秒とし、動作モードが中速であれば、イオン発生部のオン/オフの間欠駆動の間隔を1.0秒とし、動作モードが高速であれば、イオン発生部のオン/オフの間欠駆動の間隔を1.5秒(あるいは、連続駆動でもよい)とする。これにより、運転開始時には、イオンを十分に放出することができ、一層早くイオン効果(例えば、空気清浄、脱臭、除菌など)を発揮しつつ、省電力化、長寿命化及び必要なイオン量を確保することができる。
なお、空気吹出口11〜14からの空気の吹出方向は、図12の例に限定されるものではなく、他の方向であってもよい。図18は本発明に係るイオン発生装置100の空気吹き出し方向の他の例を示す説明図である。図18において、矢印は、空気吹出口11〜14からの空気の吹き出し方向を示す。図18に示すように、空気吹出口11〜14からの空気の吹き出し方向は、ファン33の中心から半径方向に沿って4方向となる。なお、この場合、例えば、空気吹出口11〜14の仕切板の平面視の向きを変更することにより、空気の吹き出し方向を図18の例のように設定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ファンの回転数を下げた場合でもイオン発生素子のオン/オフ時間を変更することにより、イオン濃度の低下を最小限に留めイオン濃度を均一化するとともに、イオン発生素子の通電時間を削減することでイオン発生素子の長寿命化を図ることができる。また、ファンにより発生する騒音低減と省電力化を実現することができる。
上述の実施の形態では、動作モードとしてファンの回転数を3段階に分けた構成を示したが、これに限定されるものではなく、ファンの回転数の高低により4段階以上の他段階に動作モードを分けることもできる。また、ファンの回転数を連続に変化させることで、イオン発生素子のオン/オフの時間間隔も連続的に変更することもできる。
上述の実施の形態において、イオン発生素子のオン/オフの時間間隔(0.5秒、1.0秒、1.5秒等)は、一例であってこれに限定されるものではなく、イオン発生素子の個数、空気吹出口の形状、大きさ、配置等によって適宜変更することができる。
イオン発生装置100を他の装置、例えば、照明装置と一体化することにより、例えば、照明装置を天井又は壁などに取り付けた場合、床面などに別個のイオン発生装置を設置する必要がなく、室内の省スペース化を図ることができる。また、照明装置に調光機能などの複雑な機能が備えられ、これらの機能をマイクロコンピュータ等で制御するような場合、照明装置とイオン発生装置100とでマイクロコンピュータを共用することができる。また、照明装置とイオン発生装置100とで電源回路などを共用化することもできる。また、イオン発生装置100に具備したファン33によりケース40が放熱フィンの役割を果たして照明装置内で発生する熱を放熱することもでき、発光ダイオード等の長寿命化を図ることも可能となる。さらに、一体化により施工性が向上する。また、イオン発生装置単体で天井(天井埋め込みを含む)や壁などに取り付けることができ、あるいは卓上又は床置きでもよい。また、照明装置に限定されず、空気調和機、除湿器、加湿器等の電気機器に取り付けることもできる。
上述の実施の形態において、イオン発生素子は、矩形状をなすものであったが、イオン発生素子の形状や電極部の構成は、これに限定されるものではなく、空気吹出口の位置、寸法等に応じて適宜変更することができる。