本発明の一般式(1)で示されるチオウラシル誘導体において、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、R1とR2の少なくとも一方は水素原子である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のものが好ましく、メチル基、エチル基が最適である。
また、上記一般式(1)において、R3は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。該アルキル基としては、上記R1、R2と同様のものが例示できる。
R3のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のものが好ましい。
さらに、上記一般式(1)において、R 4 は以下に示される基から選ばれる2価の有機残基であれば何等制限されない。従って、アルキレン基の様な2価の鎖状または分枝を有する炭化水素基のみならず、主鎖中にエーテル結合、エステル結合、シロキサン結合もしくはフェニレン基を有する有機基も含まれる。
基R4 は、
で示される基から選ばれる2価の有機残基である。
一方、R5で表される基としては、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基であり、上記炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、このうち炭素数1〜3のアルキル基、特にエチル基が好適である。
本発明で用いられるチオウラシル誘導体を具体的に例示すれば下記のとおりである。
上記の一般式(1)で示されるチオウラシル誘導体の中でも、貴金属類に対する接着性の高さ、原料の入手し易さから、下記一般式(2)で示される化合物が特に好ましい。
(式中、R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R6とR7の少なくとも一方は水素原子であり、R8は水素原子またはアルキル基であり、nは1〜12の整数である。)
前記一般式(1)で示されるチオウラシル誘導体の製造方法は特に限定されるものではなく、如何なる方法を採用してもよい。工業的に好適な方法の一例を具体的に例示すれば次の通りである。前記一般式(1)を下記一般式(3)、(4)に分けて説明する。
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R
1とR
2の少なくとも一方は水素原子であり、R
3は水素原子、アルキル基、またはアリール基であり、R
4は
で示される基から選ばれる2価の有機残基であり、R
5は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
まず、一般式(3)で示されるチオウラシル誘導体の製造方法について説明する。即ち下記一般式(5)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R1とR2の少なくとも一方は水素原子である。)で示されるチオ尿素誘導体と、下記一般式(6)
(式中、R3は水素原子、アルキル基、またはアリール基である。)で示されるマロン酸誘導体とを縮合反応させ、下記一般式(7)
(式中、R1、R2およびR3は上記一般式における定義と同義である。)
で示されるカルボエトキシチオウラシル誘導体を得、その後に脱エステル化反応により下記一般式(8)
(式中、R1、R2およびR3は上記一般式における定義と同義である。)
で示されるカルボキシチオウラシル誘導体を得る。
一方、下記一般式(9)
(式中、Xはハロゲン原子であり、R
4は
で示される基から選ばれる2価の有機残基である。)
で示されるハロゲン化アルコール化合物と、下記一般式(10)
(式中、R5は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)で示されるオキセタン化合物とを反応させることにより、下記一般式(11)
(式中、R4およびR5は、上記一般式における定義と同義である。)
で示されるオキセタン基を有するアルコール化合物を得る。
得られたオキセタン基を有するアルコールと前記一般式(8)で示されるカルボキキシチオウラシル誘導体とを反応させることによって、前記一般式(3)のオキセタン基を有するチオウラシル誘導体が得られる。
上記一般式(5)で示したチオ尿素誘導体としては公知のものが制限なく用いられる。例えば、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、プロピルチオ尿素、ブチルチオ尿素等が好適に用いられる。
上記一般式(6)で示したマロン酸誘導体は、マロン酸ジエチルとオルト酸トリエチルとの反応により合成される。
オルト酸トリエチルとしては、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト安息香酸トリエチル等が例示される。さらに具体的には、一般式(6)で示したマロン酸誘導体は、マロン酸ジエチル1モルとナトリウムエトキシド2〜3モルを溶媒存在下で仕込み、オルト酸トリエチル1モルを徐々に滴下して反応させることにより得られる。
上記一般式(9)で示したハロゲン化アルコール化合物のハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が好適である。具体例を示せば、2−ブロモエタノール、3−ブロモ−1−プロパノール、1−ブロモ−2−プロパノール、4−ブロモ−1−ブタノール、6−ブロモ−1−ヘキサノール、8−ブロモ−1−オクタノール、8−クロロ−1−オクタノール、10−ブロモ−1−デカノール、10−クロロ−1−デカノール、p−ブロモメチルベンジルアルコール、2−(2−ブロモエトキシ)エタン−1−オール、1−(1−ブロモ−2−イソプロポキシ)プロパン−2−オール等が例示される。
また、上記一般式(10)で示したオキセタン化合物としては、3−エチル−ヒドロキシメチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−ブチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が例示される。
前記一般式(5)のチオ尿素誘導体と一般式(6)のマロン酸誘導体との縮合反応において、一般式(5)のチオ尿素誘導体に対する一般式(6)のマロン酸誘導体の反応モル比は0.5〜1.5モルが好ましい。
この時用いられる反応触媒としては公知のものが使用可能であり、ナトリウムエトキシド等が例示され、その添加量は一般式(5)のチオ尿素誘導体に対して0.5〜1.5倍モルが好ましい。
また、この反応に用いる溶媒としてはエタノール等が挙げられる。反応の温度は40〜80℃の範囲から選択することができ、好ましくは60〜80℃の範囲である。反応時間は特に限定されることはなく一般的には1〜10時間程度の範囲から選択できるが、反応温度との関連で決定されればよい。
反応後は析出した塩を水に溶解させ、酸を加えて溶液を酸性にすることにより、一般式(7)で示されるカルボエトキシチオウラシル誘導体が得られる。
ただし、一般式(5)のチオ尿素において、R1およびR2のいずれかがアルキル基の場合、一般式(7)のカルボエトキシチオウラシル誘導体はアルキル基のN原子上の置換位置による異性体の混合物として得られる。これらはカラムクロマトグラフィーにより分離精製することができる。
前記一般式(5)のチオ尿素誘導体と一般式(6)のマロン酸誘導体との反応で得られる一般式(7)のカルボエトキシチオウラシル誘導体の脱エステル化反応において、用いられる脱エステル化剤としては公知のものが使用できるが、カリウムターシャルブトキシドのジメチルスルホキシド溶液を用いるのが好ましい。また、脱エステル化剤の添加量は上記カルボエトキシチオウラシル誘導体に対して6〜20倍モルの範囲が好適であるが、12〜16倍の範囲がより好ましい。
反応の温度は室温〜80℃の範囲から選択することができるが、好ましくは室温〜40℃の範囲である。反応時間は特に限定されることはなく一般的には1〜24時間程度の範囲から選択できるが、反応温度との関連で決定されればよい。
反応後は、反応混合液に水を添加して、さらに酸を加えて溶液を酸性にすることにより、一般式(8)で示されるカルボキシチオウラシル誘導体が得られる。
なお、一般式(8)で示されるカルボキシチオウラシル誘導体においてR1、R2およびR3の全てが水素原子の場合、シグマアルドリッチ社より市販されている試薬(5−カルボキシ−2−チオウラシル)を使用することもできる。
前記一般式(9)のハロゲン化アルコール化合物と一般式(10)のオキセタン基を有するアルコール化合物との反応は、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の相間移動触媒の存在下、水酸化カリウム等のアルカリを含む水溶液中で反応させるのが一般的である。
この時、一般式(9)のハロゲン化アルコール化合物と一般式(10)で示されるオキセタン基を有するアルコール化合物とのモル比は、1〜5の範囲で反応させることができるが、より好ましくは1〜3の範囲がよい。
用いる相間移動触媒の添加量は、上記ハロゲン化アルコール化合物体に対して、0.01〜1倍モルの範囲が好ましい。
反応の温度は−20〜80℃の範囲から選択することができるが、好ましくは−10〜70℃の範囲である。反応時間は特に限定されることはなく一般的には1〜50時間程度の範囲から選択できるが、反応温度との関連で反応物が重合しない範囲で決定されればよい。
反応後は、蒸留やカラムクロマトグラフィー等を用いて分離精製することにより一般式(11)で示されるオキセタン基を有するアルコール化合物を得ることができる。
前記一般式(8)のカルボキシチオウラシル誘導体と前記一般式(11)のオキセタン基を有するアルコール化合物との反応において、一般式(8)のカルボキシチオウラシル誘導体に対する一般式(11)のアルコール化合物の反応モル比は1〜5の範囲で反応させることができるが、1〜3の範囲がより好ましい。
この時用いられるエステル化反応のエステル化触媒としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−2−ピリジルカーボネート等の縮合剤が挙げられる。また、これら反応触媒の添加量は上記カルボキシチオウラシル誘導体に対して0.1〜1倍モルの範囲が好ましい。
また、この反応に用いる溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン等が挙げられる。
反応の温度は室温〜80℃の範囲から選択することができるが、好ましくは室温〜70℃の範囲である。反応時間は特に限定されることはなく一般的には1〜50時間程度の範囲から選択できるが、反応温度との関連で反応物が重合しない範囲で決定されればよい。
反応後は、析出物をろ過し、溶媒を減圧留去後、その濃縮物を酢酸エチル等の不活性溶媒を展開溶媒としてカラムクロマトグラフィー等を用いて分離精製することにより純度の高い生成物が得られる。
次に、一般式(4)で示されるチオウラシル誘導体の製造方法について説明する。
即ち下記一般式(5)
(式中、R1、R2は前記に同じ。)
で示されるチオ尿素誘導体と、下記一般式(12)
(式中、R3は水素原子、アルキル基、またはアリール基である。)で示されるコハク酸誘導体を縮合反応させ、下記一般式(13)
(式中、R1、R2およびR3は上記一般式における定義と同義である。)で示されるカルボエトキシチオウラシル誘導体を得、その後に脱エステル化反応により下記一般式(14)
(式中、R1、R2およびR3は上記一般式における定義と同義である。)
で示されるカルボキシチオウラシル誘導体を得る。
得られる一般式(13)で示されるカルボキシチオウラシル誘導体と一般式(11)で示されるオキセタン基を有するアルコール化合物とを反応させることによって、前記一般式(4)のオキセタン基を有するチオウラシル誘導体が得られる。
上記一般式(5)で示したチオ尿素誘導体としては前記一般式(3)の製造の場合と同様に公知のものが制限なく用いられる。
上記一般式(12)で示したコハク酸誘導体は公知のものが制限なく用いられる。例えば、2−オキソコハク酸ジエチル、2−メチル−2’−オキソコハク酸ジエチル、2−エチル−2’−オキソコハク酸ジエチル、2−ブチル−2’−オキソコハク酸ジエチル等が好適に用いられる。
上記一般式(9)で示したハロゲン基を有するアルコールとしては、前記一般式(3)の製造の場合と同様のものが用いられる。
前記一般式(5)のチオ尿素誘導体と一般式(12)のコハク酸誘導体との縮合反応において、一般式(5)のチオ尿素誘導体に対する一般式(12)のコハク酸誘導体の反応モル比は0.5〜1.5モルが好ましい。
この時用いられる反応触媒としては公知のものが使用可能であり、ナトリウムエトキシド等が例示され、その添加量は一般式(5)のチオ尿素誘導体に対して0.5〜1.0倍モルが好ましい。
またこの反応に用いる溶媒としてはエタノール等が挙げられる。反応の温度は40〜80℃の範囲から選択することができ、好ましくは60〜80℃の範囲である。反応時間は特に限定されることはなく一般的には1〜10時間程度の範囲から選択できるが、反応温度との関連で決定されればよい。
反応後は析出した塩を水に溶解させ、酸を加えて溶液を酸性にすることにより、一般式(13)で示されるカルボエトキシチオウラシル誘導体が得られる。
ただし、一般式(5)のチオ尿素において、R1、R2のいずれかがアルキル基の場合、一般式(13)のカルボエトキシチオウラシル誘導体はアルキル基のN原子上の置換位置による異性体の混合物として得られる。これらはカラムクロマトグラフィーにより分離精製することができる。
前記一般式(5)のチオ尿素誘導体と一般式(11)のマロン酸誘導体との反応で得られる一般式(13)のカルボエトキシチオウラシル誘導体の脱エステル化反応は、前記一般式(7)で示されるカルボエトキシチオウラシル誘導体の場合と同様に行うことができる。
前記一般式(13)で示されるカルボキシチオウラシル誘導体と一般式(11)のオキセタン基を有するアルコール化合物とのエステル化反応は、前記一般式(8)のカルボキシチオウラシル誘導体と一般式(11)のオキセタン基を有するアルコール化合物との反応と同様な方法を用いることができる。
本発明において、一般式(1)で示されるチオウラシル誘導体は、次の方法により確認できる。元素分析により、本発明のチオウラシル誘導体を構成する元素(炭素、水素、窒素)を定量することができる。また、核磁気共鳴(NMR)の測定により、化学シフトやスピン−スピン結合の観測から、本発明のチオウラシル誘導体の分子構造を決定することができる。さらに、質量分析(MASS)により、本発明のチオウラシル誘導体の質量(分子量)を測定することができる。
本発明の前記一般式(1)で示されるチオウラシル誘導体は、および貴金属合金に対してオキセタンレジンを接着する場合の貴金属類用表面処理剤の接着性成分として好適に使用される。さらに、貴金属および貴金属合金に対して接着性を有する、オキセタンレジン系接着剤の接着性成分としても好適に使用される。
ここで、貴金属とは、金、銀や、白金、パラジウムなどの白金族元素等が挙げられる。貴金属合金としては、該貴金属を有意な量、好適には50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上で含有する合金に対して、本発明の優れた接着性の効果は発揮される。上記貴金属の中でも、特に、金に対して優れた接着性を有しており、こうした金や金合金からなる部材に対して効果が顕著に発揮される。
接着対象の部材としては、電子材料、精密機械、歯科材料、医療材料、および宝飾等多くの分野において種々使用される、こうした貴金属および貴金属合金からなる部材が制限なく挙げられる。特に、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジなど歯科の修復材料が好ましくこれらに対して接着性組成物を接着する際に予め塗布する表面処理剤や該接着性組成物の接着性成分として適用するのが好ましい。
本発明のチオウラシル誘導体を貴金属類用表面処理剤の接着性成分として使用する場合には、上記チオウラシル誘導体を有機溶媒に溶解して使用するのが好ましい。
本発明の貴金属類用表面処理剤において、かかるチオウラシル誘導体の濃度は特に限定されないが、接着強度及び過剰使用防止の観点から0.001〜20重量%の範囲内であることが好適である。上記チオウラシル誘導体濃度のさらに好ましい濃度範囲は、0.005〜10重量%である。
また、本発明で使用する有機溶媒は、チオウラシル誘導体を溶解するものであれば、一般の有機溶剤が何等制限なく使用できるが、揮発性を有する有機溶媒を使用した場合には、チオウラシル誘導体濃度が低くても良好な接着が得られるので、揮発性の有機溶媒を使用するのが好適である。
本発明で好適に使用できる上記有機溶剤を具体的に例示すれば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、蟻酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のハイドロカーボン系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒;トリフルオロエタノール等のフッ素系溶媒等が挙げられる。これらの中で、溶解性および保存安定性等の理由で、アセトン、トルエン、エタノール等が特に好ましく使用される。
上記の有機溶剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、本発明の貴金属類用表面処理剤には接着力を低下させない範囲で必要に応じて、重合開始剤や重合禁止剤を添加することもできる。
前記の各成分を混合し、貴金属類用表面処理剤を調整する方法については特に制限がなく、例えば前記チオウラシル誘導体、有機溶媒、その他の任意成分を所望の割合で容器に秤り採り、均一になるまで攪拌混合すればよい。
本発明の貴金属類用表面処理剤の使用方法は特に限定されないが、貴金属類とオキセタンレジンを良好に接着するためには、本発明の貴金属類用表面処理剤を貴金属類の表面に塗布した後、該貴金属類表面にオキセタンレジンを盛って、さらに該オキセタンレジンを硬化させる方法が好適に採用できる。
上記方法において、処理後の貴金属類表面に盛られるオキセタンレジンとしては、公知のオキセタン化合物と重合開始剤とから成るオキセタンレジンが何等制限なく使用できる。
当該オキセタン化合物を具体的に例示すると、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,2−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]エタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]プロパン、1,4−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ブタン、1,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ペンタン、1,6−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ヘキサン、1,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]ヘプタン、1,8−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ]オクタン、1,4−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシメチル]ベンゼン、4,4′−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシメチル]ビフェニール、2,2′−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシメチル]ビフェニール、ジエチレングリコールビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、トリチレングリコールビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、テトラエチレングリコールビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、トリメチロールプロパントリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、あるいは下記に示す化合物
が挙げられる。
さらに、オキセタン基としては、下記式(16)
(式中、Arは、置換基を有していても良いアリール基であり、R23は、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基である。)
で示される基として含まれるものが、該オキセタン基を有する化合物を後述する(II)エポキシ化合物と組み合わせて使用した際に、より硬化速度が速く、低重合収縮であることから特に好ましい。上記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等があげられる。その置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル等の炭素数3〜8のシクロヘキシル基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基等の炭素数1〜3のアルキル基が好適である。アリール基に置換している、これら置換基の数は4個以下、より好適には2個以下であるのが好ましい。
このようなオキセタン基を有する化合物としては、
等が挙げられる。このうち下記一般式(b)
(式中、R24は、酸素原子、または炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、nは0または1の整数である)
で示される化合物が特に好ましく、R24が酸素原子、または炭素数1〜5の2価のアルキレン基であるものが最も好ましい。
本発明において、これらオキセタン化合物は、複数種のものを併用しても良い。
また、本発明の組成物を歯科用途に用いる場合には、揮発性、組成物の操作性の観点から官能基当量が150〜500g/molものが好適に利用され、更に常温で液状のものがより好適に利用できる。
重合開始剤としては、カチオン重合機構により上述のエポキシ化合物を重合しうる公知のカチオン重合開始剤が制限なく使用される。このようなカチオン重合開始剤としては、ルイス酸或いはブレンステッド酸、又は加熱や光照射によりルイス酸或いはブレンステッド酸を生じる化合物などが知られている。前述した特性のため、光照射によりルイス酸或いはブレンステッド酸を生じる、所謂、光酸発生剤を採用することが特に好適である。
当該光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、およびハロメチル置換−S−トリアジン誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、ジアリールヨードニウム塩系化合物およびスルホニウム塩系化合物が、重合活性が特に高い点で優れている。
ジアリールヨードニウム塩系化合物の具体例を例示すれば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p−フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなるジアリールヨードニウム塩系化合物が挙げられる。
これらのなかでも、重合性単量体に対する溶解性の点から、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネートをアニオンとして有する化合物が好適に使用でき、また、求核性が低く、光照射を行わなければ重合性単量体との混合物として安定に保存できる点で、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレートをアニオンとして有する化合物が好適に使用できる。
また、スルホニウム塩系化合物としては、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,7−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,8−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p−トリルジフェニルスルホニウム、p−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンとからなるスルホニウム塩系化合物が挙げられる。
これら光酸発生剤は必要に応じて、1種または2種以上混合して用いても何等差し支えない。これら光酸発生剤の使用量は、光照射により重合を開始しうる量であれば特に制限されることはないが、適度な重合の進行速度と得られる硬化体の各種物性(例えば、耐候性や硬度)を両立させるために、一般的にはカチオン重合性単量体100質量部に対し、0.001〜10質量部を用いればよく、好ましくは0.05〜5質量部を用いるとよい。
上記のような光酸発生剤は通常、近紫外〜可視域には吸収の無い化合物が多く、重合反応を励起するためには、特殊な光源が必要となる場合が多い。そのため、近紫外〜可視域に吸収をもつ化合物を増感剤として、上記光酸発生剤に加えてさらに配合することが好ましい。
このような増感剤として用いられる化合物は、例えばアクリジン系色素、ベンゾフラビン系色素、アントラセン、ペリレン等の縮合多環式芳香族化合物、フェノチアジン等が挙げられる。
これら増感剤のなかでも、重合活性が良好な点で、縮合多環式芳香族化合物が好ましく、さらに、少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が縮合多環式芳香族環と結合した構造を持つ縮合多環式芳香族化合物が好適である。
このような少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が縮合多環式芳香族環と結合した構造を持つ縮合多環式芳香族化合物を具体的に例示すると、1−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、アセナフテン、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン、ベンゾ[f]フタラン、ベンゾ[g]クロマン、ベンゾ[g]イソクロマン、N−メチルベンゾ[f]インドリン、N−メチルベンゾ[f]イソインドリン、フェナレン、4,5−ジメチルフェナントレン、1,8−ジメチルフェナントレン、アセフェナントレン、1−メチルアントラセン、9−メチルアントラセン、9−エチルアントラセン、9−シクロヘキシルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエチルアントラセン、9,10−ジシクロヘキシルアントラセン、9−メトキシメチルアントラセン、9−(1−メトキシエチル)アントラセン、9−ヘキシルオキシメチルアントラセン、9,10−ジメトキシメチルアントラセン、9−ジメトキシメチルアントラセン、9−フェニルメチルアントラセン、9−(1−ナフチル)メチルアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−(1−ヒドロキシエチル)アントラセン、9,10−ジヒドロキシメチルアントラン、9−アセトキシメチルアントラセン、9−(1−アセトキシエチル)アントラセン、9,10−ジアセトキシメチルアントラセン、9−ベンゾイルオキシメチルアントラセン、9,10−ジベンゾイルオキシメチルアントラセン、9−エチルチオメチルアントラセン、9−(1−エチルチオエチル)アントラセン、9,10−ビス(エチルチオメチル)アントラセン、9−メルカプトメチルアントラセン、9−(1−メルカプトエチル)アントラセン、9,10−ビス(メルカプトメチル)アントラセン、9−エチルチオメチル−10−メチルアントラセン、9−メチル−10−フェニルアントラセン、9−メチル−10−ビニルアントラセン、9−アリルアントラセン、9,10−ジアリルアントラセン、9−クロロメチルアントラセン、9−ブロモメチルアントラセン、9−ヨードメチルアントラセン、9−(1−クロロエチル)アントラセン、9−(1−ブロモエチル)アントラセン、9−(1−ヨードエチル)アントラセン、9,10−ジクロロメチルアントラセン、9,10−ジブロモメチルアントラセン、9,10−ジヨードメチルアントラセン、9−クロロ−10−メチルアントラセン、9−クロロ−10−エチルアントラセン,9−ブロモ−10−メチルアントラセン、9−ブロモ−10−エチルアントラセン、9−ヨード−10−メチルアントラセン、9−ヨード−10−エチルアントラセン、9−メチル−10−ジメチルアミノアントラセン、アセアンスレン、7,12−ジメチルベンズ(a)アントラセン、7,12−ジメトキシメチルベンズ(a)アントラセン、5,12−ジメチルナフタセン、コラントレン、3−メチルコラントレン、7−メチルベンゾ(a)ピレン、3,4,9,10−テトラメチルペリレン、3,4,9,10−テトラキス(ヒドロキシメチル)ペリレン、ビオランスレン、イソビオランスレン、5,12−ジメチルナフタセン、6,13−ジメチルペンタセン、8,13−ジメチルペンタフェン、5,16−ジメチルヘキサセン、9,14−ジメチルヘキサフェン等が挙げられる。
また上記以外の縮合多環式芳香族化合物としては、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ナフタセン、ベンズ[a]アントラセン、ピレン、ペリレン等が挙げられる。
これら縮合多環式芳香族化合物のなかでも、生体に対する為害性を考慮すると可視光で重合を励起することが可能となる、可視域に吸収を有する化合物が好ましく、可視域に極大吸収を有する化合物がより好ましい。また、これら縮合多環式芳香族化合物は必要に応じて複数の化合物を併用しても良い。
縮合多環式芳香族化合物の添加量も、組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、通常は前期した光酸発生剤1モルに対し、縮合多環式芳香族化合物が0.001〜20モルであり、0.005〜10モルであることが好ましい。
さらに、上記縮合多環式芳香族化合物に加えて、酸化型の光ラジカル発生剤を配合すると、より一層重合活性が向上し好ましい。酸化型の光ラジカル発生剤とは、光照射により励起してラジカルを発生する化合物であって、励起により水素供与体から水素を引き抜いてラジカルを生成するいわゆる水素引き抜き型のラジカル発生剤、励起により自己開裂を起こしてラジカルを発生し(自己開裂型ラジカル発生剤)、次いで該ラジカルが電子供与体から電子を引き抜くタイプのもの、及び光照射により励起して電子供与体から直接電子を引き抜いてラジカルとなるもの等の、光照射による励起によって活性ラジカル種を発生させる機構が酸化剤的な作用による(自らは還元される)ものである光ラジカル発生剤である。これら酸化型の光ラジカル発生剤は特に制限されず、公知の化合物を用いれば良いが、光照射を行った際の重合活性が他の化合物に比してより高い点で、水素引き抜き型の光ラジカル発生剤が好ましく、なかでも、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物又はケトクマリン化合物が特に好ましい。
ジアリールケトン化合物を具体的に例示すると4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9−フルオレノン、3,4−ベンゾ―9−フルオレノン、2―ジメチルアミノ―9−フルオレノン、2−メトキシ―9―フルオレノン、2−クロロ―9−フルオレノン、2,7−ジクロロ―9―フルオレノン、2−ブロモ―9―フルオレノン、2,7−ジブロモ―9―フルオレノン、2−ニトロ−9−フルオレノン、2−アセトキ−9−フルオレノン、ベンズアントロン、アントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ジメチルアミノアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,5−ジクロロアントラキノン、1,2−ジメトキシアントラキノン、1,2−ジアセトキシ−アントラキノン、5,12−ナフタセンキノン、6、13−ペンタセンキノン、キサントン、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、9(10H)−アクリドン、9−メチル−9(10H)−アクリドン、ジベンゾスベレノン等を挙げることができる。
α−ジケトン化合物の具体例を例示すれば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等が挙げられる。
またケトクマリン化合物としては、3−ベンゾイルクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)7−メトキシ−3−クマリン、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3,3’−クマリノケトン、3,3’−ビス(7−ジエチルアミノクマリノ)ケトン等を挙げることができる。
これら酸化型の光ラジカル発生剤は単独または2種類以上を混合して用いて使用できる。また、添加量も組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、通常は前記した光酸発生剤1モルに対し、光ラジカル発生剤が0.001〜20モルであり、0.005〜10モルであることが好ましい。
次に、本発明のチオウラシル誘導体は、貴金属および貴金属合金に対して接着性を有するオキセタンレジン系接着性組成物の接着性成分として使用することもできる。
本発明のオキセタンレジン系接着性組成物は、上記チオウラシル誘導体、オキセタン化合物および重合開始剤からなる。
本発明の接着性組成物において、前記一般式(1)で示されるチオウラシル誘導体の配合量は特に制限されるものではないが、接着強度の観点から、オキセタン化合物100重量部に対し、好ましくは0.005〜30重量部の範囲内であり、より好ましくは0.01〜10重量部であり、特に好ましくは0.05〜5重量部である。該オキセタン基を有するチオウラシル誘導体の配合量が多すぎても少なすぎても貴金属および貴金属合金に対する接着強度が小さくなる傾向がある。
本発明の接着性組成物には、オキセタン化合物が配合される。該オキセタン化合物は特に制限されず、公知のオキセタン化合物を用いることができる。
一般に好適に使用されるオキセタン化合物を具体的に例示すると、上述のオキセタンレジンで使用されるものが挙げられる。
上述のオキセタン化合物は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明の接着性組成物には、さらに重合開始剤が配合される。該重合開始剤は特に制限されず、公知の重合開始剤を用いることができる。
一般に好適に使用される重合開始剤を具体的に例示すると、上述の重合開始剤が挙げられる。
これら重合開始剤は単独で、あるいはその複数を組み合わせて用いることが可能である。重合開始剤の配合量は、特に制限されるものではないが、オキセタン化合物100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部の配合がより好ましい。
本発明の接着性組成物には、重合速度を向上させる目的で、さらにエポキシ化合物を配合させることが好ましい。
該エポキシ化合物の具体例としては、1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、ブタジエンモノオキサイド、2−メチル−2−ビニルオキシラン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、2−メチルグリシドール、メチルグリジジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、グリシジルプロピルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、シクロオクテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、シクロドデカンエポキシド、エキソ−2,3−エポキシノルボルネン、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、リモネンオキサイド、スチレンオキサイド、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジル2−メチルフェニルエーテル、4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、4−クロロフェニルグリシジルエーテル、グリシジル4−メトキシフェニルエーテル等のエポキシ官能基を一つ有するもの、また、1,3−ブタジエンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンメタノールジグリシジルエーテル、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、ジグリシジルスベレート、ジグリシジルアゼレート、ジグリシジルセバケート、2,2−ビス[4−グリシジルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−グリシジルオキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド、リモネンジエポキシド、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)グルタレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピメレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)スベレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ゼレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)セバケート、1,4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシメチル)ビフェニル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)スルホン、メチルビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]フェニルシラン、ジメチルビス[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メチル]シラン、メチル[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メチル][2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]シラン、1,4−フェニレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、1,2−エチレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]シラン、1,3−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2,5−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン、1,6−へキシレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)エチル]]シラン等のエポキシ官能基を二つ有する化合物、或いはグリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、更に
等のエポキシ官能基を三つ以上有するものが挙げられる。これらエポキシ化合物は、複数種のものを併用しても良い。
本発明の接着性組成物には、さらにフィラーを配合することが本発明の接着性組成物の硬化体の機械的強度、耐水性を向上させるという観点から好ましい。また、フィラーを配合することにより、接着性組成物の粘度や流動性を調節することができる。このフィラーとしては、公知の有機フィラー、無機フィラーを限定なく使用することができる。
有機フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルメタクリレート共重合体、架橋型ポリメチルメタクリレート、架橋型ポリエチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の有機高分子からなる粒子が挙げられる。
無機フィラーを具体的に例示すると、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の無機粒子が挙げられる。また、有機−無機複合フィラーとしては、これら無機粒子と重合性単量体を予め混合し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合粒子が挙げられる。なお、無機フィラーとして、ジルコニア等の重金属を含むものを用いることによってX線造影性を付与することもできる。
これらフィラーの形状は特に限定されず、通常の粉砕により得られる様な不定形フィラー、あるいは球状フィラーでもよい。フィラーの粒子径は、特に制限されるものではないが、操作性の点で100μm以下のものが好適に使用される。
本発明の接着性組成物に上記フィラーを配合する場合の配合量は、所望される粘度や機械的強度等に応じて適宜決定される。特に、接着性組成物の硬化体強度が必要な場合には、前記オキセタン化合物100重量部に対し、該フィラーを100〜1200重量部添加するのが好ましく、さらには300〜1000重量部添加するのがより好ましい。
本発明の接着性組成物において、その性能を低下させない範囲で、必要に応じて公知の他の成分が配合されていてもよい。
このような成分としては、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料、有機溶媒や増粘剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明の接着性組成物の包装形態は特に制限されるものではなく、その目的や保存安定性を考慮して適宜決定すればよい。例えば、カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を配合した際には、本発明の接着性組成物を構成する全ての成分を遮光状態で一つの包装とすればよい。一方、光照射を行わずとも室温でカチオン重合を開始できるような成分を重合開始剤として用いる場合には、保存中に重合。硬化してしまわないように、2つ以上の包装に分割しておき、使用直前に両者を混合するような形態が好ましい。
本発明の接着性組成物を硬化させる手段としては、用いたカチオン重合開始剤の重合開始機構に従い適宜、公知の重合手段を採用すればよく、具体的には、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、蛍光灯、太陽光、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の光源による光照射、或いは加熱重合器等を用いた加熱、またはこれらを組み合わせた方法等が何等制限なく使用される。光照射により重合させる場合には、その照射時間は、光源の波長、強度、硬化体の形状や材質によって異なるため、予備的な実験によって予め決定しておけばよいが、一般には、照射時間が5〜60秒程度の範囲になるように、各種成分の配合割合を調整しておくことが好ましい。同様に加熱時間及び加熱温度も予備的な実験によって予め決定しておけばよい。
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。
実施例1
窒素雰囲気下、8−ブロモ−1−オクタノール(6.27g、30mmol)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(1.74g、15mmol)、および50wt%水酸化カリウム水溶液(50g)を200ml三つ口フラスコに入れ、さらにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(1g)を加え、0℃で24時間攪拌した。反応終了後、エーテル(100ml)および水(100ml)を加え、エーテル層を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、8−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]−1−オクタノールを得た。
次いで得られた8−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]−1−オクタノール(2.44g、10mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.27g、11mmol)、5−カルボキシ−2−チオウラシル(1.72g、10mmol)およびテトラヒドロフラン(50ml)を200ml三つ口フラスコに入れて溶解し、室温で3日間攪拌を続けた。反応するに従い白色沈殿物が生成するが、反応終了後、該白色沈殿物をろ過した。得られたろ液からテトラヒドロフランを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに添加した。酢酸エチル、ヘキサンの混合溶媒を展開溶媒として用いることにより、10−ブロモデカン 2−チオウラシル−5−カルボキシレートを分離精製して、下記式で表されるオキセタン基を有するチオウラシル誘導体[A](3.38g、8.5mmol)を得た。NMR(d6DMSO)、MASSおよび元素分析の結果を以下に示す。
●NMR(δ、ppm);
0.85〜0.95(3H、CH3CH2)
1.3〜1.7(12H、−O−CH2 (CH 2 ) 6 CH2−OCO)
1.65〜1.80(2H、CH3CH 2 )
3.4〜3.5(2H、−O−CH 2 −)
3.6(2H、−CH 2 −O−)
4.14(2H、−O−CH2(CH2)4 CH 2 −OCO)
4.4〜4.5(4H、−O−CH 2 −オキセタン環)
7.93(1H、−N−CH=C−)
12.7(2H、−NH−)
●MASS(M+1)+=399
●元素分析;C19H30N2O5S1
C H N
計算値 55.14 7.03 7.57
実測値 55.34 7.13 7.41
実施例2
窒素雰囲気下、10−ブロモ−1−デカノール(7.11g、30mmol)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(1.39g、12mmol)、および50wt%水酸化カリウム水溶液(50g)を200ml三つ口フラスコに入れ、さらにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(1g)を加え、0℃で24時間攪拌した。反応終了後、エーテル(100ml)および水(100ml)を加え、エーテル層を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、10−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]−1−デカノールを得た。
得られた10−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]−1−デカノール(2.72g、10mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.27g、11mmol)、5−カルボキシ−2−チオウラシル(1.72g、10mmol)およびテトラヒドロフラン(50ml)を200ml三つ口フラスコに入れて溶解し、室温で3日間攪拌を続けた。反応するに従い白色沈殿物が生成するが、反応終了後、該白色沈殿物をろ過した。得られたろ液からテトラヒドロフランを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに添加した。酢酸エチル、ヘキサンの混合溶媒を展開溶媒として用いることにより、10−ブロモデカン 2−チオウラシル−5−カルボキシレートを分離精製して、下記式で表されるオキセタン基を有するチオウラシル誘導体[B](3.38g、8.5mmol)を得た。NMR(d6DMSO)、MASSおよび元素分析の結果を以下に示す。
●NMR(δ、ppm);
0.85〜0.95(3H、CH 3 CH2)
1.3〜1.7(16H、−O−CH2 (CH 2 ) 8 CH2−OCO)
1.65〜1.80(2H、CH3CH 2 )
3.4〜3.5(2H、−O−CH 2 −)
3.6(2H、−CH 2 −O−)
4.14(2H、−O−CH2(CH2)4 CH 2 −OCO)
4.4〜4.5(4H、−O−CH 2 −オキセタン環)
7.93(1H、−N−CH=C−)
12.7(2H、−NH−)
●MASS(M+1)+=427
●元素分析;C21H34N2O5S1
C H N
計算値 59.15 7.98 6.57
実測値 59.35 7.89 6.60
実施例3
窒素雰囲気下、ナトリウムエトキシド(13.6g、0.2mol)のエタノール溶液(200ml)の入った1リットルの3つ口フラスコにマロン酸ジエチル(16.0g、0.1mol)のエタノール溶液(50ml)を滴下ロートを用いて室温でゆっくり滴下した。滴下終了後、加熱還流させた。引き続き、オルトプロピオン酸トリエチル(17.6g、0.1mol)のエタノール溶液(100ml)を滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。室温まで放冷し、エタノールを減圧留去し、残査に200mlの水を加えてエーテル抽出(3回)した。エーテル層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残査を減圧蒸留し、1−エトキシ−1−エチルメチレンマロン酸ジエチル(17.5g)を得た。
窒素雰囲気下、ナトリウムエトキシド(3.4g、0.05mol)のエタノール溶液(50ml)の入った500mlの3つ口フラスコに1−エトキシ−1−エチルメチレンマロン酸ジエチル(12.2g、0.05mol)のエタノール溶液(50ml)を滴下ロートを用いて室温でゆっくり滴下した。滴下終了後、加熱還流させた。引き続き、チオ尿素(3.8g、0.05mol)のエタノール溶液(50ml)を滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流させた。室温まで放冷し、反応混合物を水(200ml)の入ったビーカーに添加した。得られた溶液に濃塩酸を加えたところ、淡黄色固体が析出した。析出した固体をろ過することにより、エチル 6−エチル−2−チオウラシル−5−カルボキシレート(7.2g)を得た。
カリウムターシャルブトキシド(43.7g、389mmol)とジメチルスルホキシド(400ml)を2リットルナス型フラスコに入れて溶解し、この溶液にエチル 6−エチル−2−チオウラシル−5−カルボキシレート(5.70g、25.0mmol)をゆっくり滴下し、1時間室温で反応させた。反応終了後、反応混合液にメタノール(500ml)を添加し、析出した沈殿物をろ過した。得られた沈殿物を水に溶解させ、この水溶液に塩酸を加え、淡黄色固体5−カルボキシ−6−エチル−2−チオウラシル(3.10g)を得た。
窒素雰囲気下、実施例1と同様な方法で得られた8−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]−1−オクタノール(2.44g、10mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.27g、11mmol)、5−カルボキシ−6−エチル−2−チオウラシル(2.00g、10mmol)およびテトラヒドロフラン(50ml)を200ml三つ口フラスコに入れて溶解し、室温で3日間攪拌を続けた。反応するに従い白色沈殿物が生成するが、反応終了後、該白色沈殿物をろ過した。得られたろ液からテトラヒドロフランを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに添加した。酢酸エチル、ヘキサンの混合溶媒を展開溶媒として用いることにより、下記式で表されるオキセタン基を有するチオウラシル誘導体[C](3.54g、8.3mmol)を得た。NMR(d6DMSO)、MASSおよび元素分析の結果を以下に示す。
●NMR(δ、ppm);
0.85〜0.95(6H、CH 3 CH2)
1.3〜1.7(12H、−O−CH2 (CH 2 ) 6 CH2−OCO)
1.65〜1.80(2H、CH3 CH 2 )
3.4〜3.5(2H、−O−CH 2 −)
3.6(2H、−CH 2 −O−)
4.14(2H、−O−CH2(CH2)4 CH 2 −OCO)
4.4〜4.5(4H、−O−CH 2 −オキセタン環)
7.93(1H、−N−CH=C−)
12.7(2H、−NH−)
●MASS(M+1)+=427
●元素分析;C19H34N2O5S1
C H N
計算値 53.52 7.96 6.57
実測値 53.42 7.89 6.60
実施例4
窒素雰囲気下、ナトリウムエトキシド(13.6g、0.2mol)のエタノール溶液(200ml)の入った1リットルの3つ口フラスコに2−メチル−2’−オキソコハク酸ジエチル(40.4g、0.2mol)のエタノール溶液(100ml)を滴下ロートを用いて室温でゆっくり滴下した。滴下終了後、加熱還流させた。引き続き、メチルチオ尿素(18.0g、0.2mol)のエタノール溶液(100ml)を滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流させた。室温まで放冷し、反応混合物を水(500ml)の入ったビーカーに添加した。得られた溶液に濃塩酸を加えたところ、淡黄色固体が析出した。析出した固体をろ過し、カラムクロマトグラフィーを用いて分離精製することにより、エチル 3,5−ジメチル−2−チオウラシル−6−カルボキシレート(16.2g)を得た。
カリウム ターシャルブトキシド(43.7g、389mmol)とジメチルスルホキシド(400ml)を2リットルナス型フラスコに入れて溶解し、この溶液にエチル 3,5−ジメチル−2−チオウラシル−6−カルボキシレート(5.70g、25.0mmol)をゆっくり滴下し、1時間室温で反応させた。反応終了後、反応混合液にメタノール(500ml)を添加し、析出した沈殿物をろ過した。得られた沈殿物を水に溶解させ、この水溶液に塩酸を加え、淡黄色固体の6−カルボキシ−3,5−ジメチル−2−チオウラシル(2.88g)を得た。
窒素雰囲気下、実施例1と同様な方法で得られた8−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]−1−オクタノール(2.44g、10mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.27g、11mmol)、6−カルボキシ−3,5−ジメチル−2−チオウラシル(2.00g、10mmol)およびテトラヒドロフラン(50ml)を200ml三つ口フラスコに入れて溶解し、室温で3日間攪拌を続けた。反応するに従い白色沈殿物が生成するが、反応終了後、該白色沈殿物をろ過した。得られたろ液からテトラヒドロフランを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに添加した。酢酸エチル、ヘキサンの混合溶媒を展開溶媒として用いることにより、下記式で表されるオキセタン基を有するチオウラシル誘導体[D](3.62g、8.5mmol)を得た。NMR(d6DMSO)、MASSおよび元素分析の結果を以下に示す。
●NMR(δ、ppm);
0.85〜0.95(3H、CH 3 CH2)
1.3〜1.7(12H、−O−CH2 (CH 2 ) 6 CH2−OCO)
1.65〜1.80(2H、CH3CH 2 )
2.35(3H、−C=C−CH 3 )
3.4〜3.5(2H、−O−CH 2 −)
3.6(2H、−CH 2 −O−)
3.68(3H、N−CH 3 )
4.14(2H、−O−CH2(CH2)4 CH 2 −OCO)
4.4〜4.5(4H、−O−CH 2 −オキセタン環)
12.7(2H、−NH−)
●MASS(M+1)+=427
●元素分析;C19H34N2O5S1
C H N
計算値 53.21 6.75 8.59
実測値 53.22 6.80 8.60
次に、以下の実施例中で使用した化合物の略称または構造を下に示す。
(1)略称または構造
1.チオウラシル誘導体
2.(メタ)アクリル系の貴金属類接着性モノマー
3.オキセタン化合物
4.重合開始剤
(2)貴金属類用表面処理剤を用いた純金に対する接着強さ
被着体である純金板(10×10×3mm)を#1500の耐水研磨紙で研磨し、その処理面に接着面積を固定するために3mmφの穴を開けた接着テープを貼り付けた。さらに4mmΦ×深さ3mmの穴の開いたワックスを同心円上に貼り付けた。接着面に実施例または比較例の貴金属類用表面処理剤をそれぞれ筆で塗布し、溶媒を風乾させた。1分後、以下の組成からなるオキセタンレジン系接着剤を上記ワックス内に充填し、可視光線照射器(ホワイトライト、タカラベルモント社製)にて60秒間光照射し、該接着剤を硬化させた。接着試験片を37℃水中に浸漬し、24時間後、水中より取り出し、該接着剤面にあらかじめ研磨した8mmφ×18mmのSUS304製丸棒を瞬間接着剤で接着した。次いで、島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード2mm/分)を用いて引張接着強さを測定した。各々6個の試験片の測定値を平均し、測定結果とした。
使用したオキセタンレジン系接着剤
OX−1 100重量部
IMDPI 1.5重量部
DMBAn 0.2重量部
CQ 0.6重量部
(3)オキセタンレジン系接着剤を用いた純金に対する接着強さ
被着体である純金板(10×10×3mm)を#1500の耐水研磨紙で研磨し、その処理面に接着面積を固定するために3mmφの穴を開けた接着テープを貼り付けた。さらに4mmΦ×深さ3mmの穴の開いたワックスを同心円上に貼り付けた。実施例または比較例のエポキシレジン系接着剤を上記ワックス内に充填し、可視光線照射器(ホワイトライト、タカラベルモント社製)にて10秒間光照射し、該接着剤を硬化させた。接着試験片を37℃水中に浸漬し、24時間後、水中より取り出し、該接着剤面にあらかじめ研磨した8mmφ×18mmのSUS304製丸棒を瞬間接着剤で接着した。次いで、島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード2mm/分)を用いて引張接着強さを測定した。各々6個の試験片の測定値を平均し、測定結果とした。
実施例5
0.05gのチオウラシル誘導体[A]を9.95gのアセトンに溶解させ、これを貴金属類用表面処理剤とした。上記試験方法に従い、該貴金属類用表面処理剤の純金板に対する接着効果を調べた。その結果、純金板に対して、21.5MPaの接着強度を示した。
比較例1
実施例1において、貴金属類用表面処理剤の塗布なしに接着強度を評価したところ、その接着強度は7.8MPaであった。
比較例2、3
実施例1において、チオウラシル誘導体[A]のかわりにメタアクリル系の貴金属類接着性モノマー[E]および[F]を用いて同様にその接着効果を調べた。その結果、貴金属類接着性モノマー[E]を用いた場合の接着強度は8.5MPaであり、[F]を用いた場合の接着強度は9.2MPaであった。
実施例1と比較例1、2および3の結果より、本発明の貴金属類用表面処理剤の効果が確認された。すなわち、本発明のチオウラシル誘導体は貴金属類に対する接着性成分として有効であることが確認された。
実施例6〜9
表1に記載のチオウラシル誘導体および有機溶媒からなる貴金属類用表面処理剤を調整し、実施例1と同様に、その接着効果を調べた。
その結果、いずれの実施例においても比較例1、2および3に比べて良好な接着強度が得られ、各実施例の貴金属類用表面処理剤の効果が確認できた。
実施例14
オキセタン化合物OX−1、100質量部に対して、1重量部のチオウラシル誘導体[A]、1.5重量部のIMDPI、0.2重量部のDMBAnおよび0.6重量部のCQを加えて均一溶液になるまで攪拌した。このオキセタンレジン系接着剤の純金板に対する接着性を評価した。その結果、純金板に対して、20.3MPaの接着強度を示した。
比較例4
実施例18において使用した接着剤において、チオウラシル誘導体を含まない接着剤の純金板に対する接着強度を評価したところ、その接着強度は3.2MPaであった。
比較例5、6
実施例18において、チオウラシル誘導体[A]のかわりにメタアクリル系の貴金属類接着性モノマー[E]および[F]を用いて同様にその接着効果を調べた。その結果、貴金属類接着性モノマー[E]を用いた場合の接着強度は3.1MPaであり、[F]を用いた場合の接着強度は4.7MPaであった。
実施例18と比較例4、5および6の結果より、本発明の接着性組成物の効果が確認された。すなわち、本発明のチオウラシル誘導体は貴金属類に対する接着性成分として有効であることが確認された。
実施例15〜19
表2に記載のオキセタンレジン系接着剤を調整し、実施例14と同様に、純金板に対する接着効果を調べた。
その結果、いずれの実施例においても比較例4、5および6に比べて良好な接着強度が得られ、各実施例の接着剤の効果が確認できた。