JP5131542B2 - 導電性塗り床構造およびその施工法 - Google Patents
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特許文献1は、導電性繊維を分散させた仕上げ層と、その仕上げ層より長い繊維長を多く含む導電性繊維を分散させた下層とを備えた帯電防止塗り床について開示したものである。
すなわち、塗り床を施工する場合、現場施工となることから、例えば混入した比重の大きい金属などの導電粉が、塗り床の硬化速度によっては底に沈殿し、表面側に現れる導電粉が少なくなったり、導電粉にムラができて部分的なばらつきが生じ、導電性能が低下するという欠点があった。また、塗り床の施工上、表面が平らに均されていない場合には、凸部に導電粉が分布しにくいことから、凸部に靴底が接触しても静電気が導電層へ確実に逃がすことができないおそれがある。
また、確実な導電性をもたせるために薄塗りにすると耐久性が低下するおそれがあることから、塗り床に耐久性をもたせる場合には、できるだけ塗り床の厚さ寸法を大きくする対応がなされるが、この塗り厚寸法が大きくなるほど表面から導電層まで導電粉によって連続して繋がる確率が小さくなるという欠点があった。
このように塗り床の塗り厚寸法を薄くしなくても導電性を確保できるうえ、導電性シートの導電性繊維どうしの間に硬化材が隙間なく流れ込んで硬化し、強固に自立した状態となることから、作業員や資材、走行台車などによる上からの荷重に対する強度を高めることができる。
本発明では、複数の導電性繊維が下地材の上面に植え込まれた状態で一体形成されているので、塗り床の現場施工時における硬化材の流し込みによって導電性繊維が移動してその分布状態が変動することがない構造となっている。
本発明では、導電性シートの上面に複数の導電性繊維の上端部が露出しているので、その導電性繊維の上端部と作業員の靴底とが確実に接触し、人体の静電気を導電性シートを介して導電層へ確実に逃がすことができる。
図1は本発明の実施の形態による導電性塗り床を示す側断面図、図2(a)〜(c)は導電性塗り床の施工手順を示す工程説明図である。
本導電性塗り床1は、床基盤7の上面にカーボン導電層2(導電層)が設けられ、針状の軟質塩化ビニル樹脂4(導電性繊維)を上向きに多数植え込んで一体形成させた導電性塩ビシート3(導電性シート)をカーボン導電層2の上に敷設し、導電性塩ビシート3の軟質塩化ビニル樹脂4どうしの隙間に硬化材6を流し込んで硬化形成させた構成となっている。
図1に示すように、導電性塗り床1は、導電性塩ビシート3が複数の軟質塩化ビニル樹脂4、4、…を植え込んだ形状で一体形成されているので、現場施工により硬化材6を流し込んだときに、表面に形成される凹凸や硬化材6の硬化速度などの現場施工に影響して軟質塩化ビニル樹脂4が沈殿したり、部分的にばらつくといった不具合がなくなる。つまり、導電性塩ビシート3は、導電性塗り床1の現場施工時における硬化材6の流し込みによって、軟質塩化ビニル樹脂4が移動してその分布状態が変動することがない構造となっている。そのため、導電性塩ビシート3の上面からカーボン導電層2へ人体の静電気を確実に逃がすことが可能な帯電性に優れた導電性塗り床1を施工することができる。
とくに本実施の形態では、導電性塩ビシート3の上面に複数の軟質塩化ビニル樹脂4、4、…の上端部4aが露出しているので、その軟質塩化ビニル樹脂4の上端部4aと作業員の靴底とが確実に接触し、人体の静電気を導電性塩ビシート3を介してカーボン導電層2へ確実に逃がすことができる。
ここで、導電性塩ビシート3は、予めシート製作工場などで、下地材5に複数の針状の軟質塩化ビニル樹脂4、4、…を植え込ませた状態でシート状に形成しておく。なお、軟質塩化ビシート3の長さ寸法、幅寸法は導電性塗り床1を設ける電子機器の製造工場の床面積などに合わせて適宜設定すればよい。
そして、導電性塗り床1の塗り厚寸法を薄くしなくても導電性を確保できるとともに、導電性塩ビシート3の軟質塩化ビニル樹脂4どうしが硬化材6によって強固に自立した状態となって導電性塗り床1の強度が高められることから、上からの荷重に対する塗り床の耐久性の向上が図れる効果を奏する。
例えば、本実施の形態では導電性シートとして、複数の軟質塩化ビニル樹脂4、4、…(導電性繊維)を備えた導電性塩ビシート3を採用しているが、この材料に限定されることはなく、例えば導電性繊維としてナイロンやポリエチレンなどの材料を使用することができる。また、金属を細い繊維状にすることができれば、それを用いても良い。
また、導電性塩ビシート3の構造、すなわち軟質塩化ビニル樹脂4、4、…の長さ寸法、本数、植え込み間隔などは任意に設定することができる。
さらに、導電性塩ビシート3に流し込む硬化材6の塗り厚寸法、および塗布した硬化材6の上面から露出する軟質塩化ビニル樹脂4の上端部4aの長さ寸法は任意に設定することができる。
2 カーボン導電層(導電層)
3 導電性塩ビシート(導電性シート)
4 軟質塩化ビニル樹脂(導電性繊維)
4a 上端部
5 下地材
6 硬化材
7 床基盤
Claims (4)
- 針状の導電性繊維を上向きに多数植え込んで一体形成させた導電性シートを、床基板上に設けられる導電層の上に敷設し、
前記導電性シートの導電性繊維どうしの隙間に硬化材を流し込んで硬化形成させた構成であることを特徴とする導電性塗り床構造。 - 前記導電性シートは、薄膜状の下地材を有し、その下地材の上面から複数の前記導電性繊維を上方に向けて突出させていることを特徴とする請求項1に記載の導電性塗り床構造。
- 前記硬化材の塗り厚寸法は、前記導電性シートの導電性繊維の上端部が露出する状態となる寸法であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性塗り床構造。
- 床基板上に導電層を設置する工程と、
針状の導電性繊維を上向きに多数植え込んで一体形成させた導電性シートを前記導電層の上に敷設する工程と、
前記導電性シートの導電性繊維どうしの隙間に硬化材を流し込んで塗布する工程と、
を有することを特徴とする導電性塗り床構造の施工法。
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