JP5130463B2 - 薄膜半導体素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜半導体素子の製造方法に関し、より具体的には、薄膜太陽電池やTFT液晶ディスプレイパネルなどの、例えば、気相成長法で作製されるシリコン半導体薄膜など、シリコンを主な構成元素とする半導体薄膜層をその動作領域とする薄膜半導体素子において、その気相成長法で作製された半導体薄膜層の電気的な特性を向上する熱的処理工程を具えてなる薄膜半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽電池やTFT液晶ディスプレイパネルなど、全体の素子面積をより大面積化が必要な素子に中心に、ガラスなど種々の材料からなる基板を利用し、その表面上に形成された半導体薄膜を動作領域とする薄膜半導体素子が実用に供されてきている。この薄膜半導体素子は、例えば、気相成長法を利用して、必要とする膜厚の半導体薄膜を、非半導体材料からなる基板上に成長したものを利用するため、半導体基板自体を利用する際のように、利用できる基板面積による制約もなく、加えて、高価な単結晶シリコンなどを使用しなくとも、所望の特性を有する半導体素子の製造を可能とするという利点がある。
【0003】
前記の用途に利用する、ガラスなど種々の材料からなる基板上に半導体薄膜を形成する手段として、種々の気相成長法が提案されているが、中でも、シリコン半導体薄膜など、シリコンを主な構成元素とする半導体薄膜に関しては、プラズマ化学的気相成長法(以下、PECVD)によって高品質の半導体薄膜を比較的高い生産性で製造することができる。
【0004】
シリコン半導体素子では、その動作領域には、導電性を有する半導体領域(あるいは層)を必要とし、通常、リン(5価)など、シリコン(4価)より価数の大きい不純物を添加して、n型伝導性を付与されたn型半導体、あるいは、ホウ素(3価)など、シリコン(4価)より価数の小さい不純物を添加して、p型伝導性を付与されたp型半導体、少なくとも、これらのいずれか一方を利用している。これら不純物を添加したシリコン半導体薄膜層(以下、ドープ層)を、PECVDを利用して堆積する際には、主成分の半導体元素(シリコン)の水素化物やハロゲン化物などの化合物ガスに加えて、前記リンやホウ素など、所望の伝導性の付与に利用する不純物元素の化合物ガスを少量、ドーパントガスとして、製膜容器に導入する。前記のドープ層、すなわち、n型半導体層、p型半導体層に加え、伝導性の制御に利用される不純物が添加されてない真性半導体(i型)の半導体薄膜、この三種の半導体薄膜を適切な順序に重ねて製膜することにより、例えば、pin接合、pn接合、nin接合など種々の接合を動作領域とする半導体接合素子を形成することができる。
【0005】
こうした異種基板上に気相成長法で堆積した半導体薄膜を利用する薄膜半導体素子に対して、薄膜の製膜後に加熱処理を施すことで、その性能の向上が図れることが報告されている。例えば、特開昭58−162075号公報には、真性非晶質シリコンを含む半導体接合素子を70℃以上で加熱処理する技術が記載されている。例えば、加熱処理技術を太陽電池に適用すると、フィルファクターの改善が達成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、気相成長法を利用して低温で異種基板上に堆積した半導体薄膜、例えば、ドープ層において、その電気伝導度の改善を図る上では、堆積後、半導体薄膜を加熱処理する手段が有効である。前記特開昭58−162075号公報に記載される例では、加熱処理温度を70℃以上としているが、現実には加熱処理温度を高くするほど、処理時間を飛躍的に短くできる。従って、半導体素子構造上、他に支障を生じさせない限り、半導体薄膜の加熱処理は、200℃ないし300℃を上限として、できるだけ高い処理温度で実施することが工程の効率化の観点でより望ましい。すなわち、気相成長法を利用するなどして、半導体薄膜を堆積する工程は低温で実施することが可能であるものの、多くの場合、その後に、半導体薄膜の電気的特性の向上を目的として、比較的に高温で加熱処理が行われる。
【0007】
この加熱処理工程を設ける場合には、基板などの部材には、かかる加熱処理の際にも、半導体薄膜との界面における応力などによる変形を起こさないような耐熱性が求められる。そのため、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート(PET)などの安価な高分子材料を基板に用いて、大面積化を図る、あるいは、材料コストの低減を図る際、前記高分子材料の耐熱性が、前記加熱処理を実施する上で障害となってくる。
【0008】
具体的には、半導体薄膜に対する加熱処理を実施する際、従前から利用されている雰囲気加熱手段を適用すると、半導体薄膜のみならず、半導体薄膜がその上に形成されている異種基板なども、処理温度に曝される。その状態では、高分子材料などを基板材料として利用すると、基板材料の耐熱性により、処理温度の上限に制限が加わり、例えば、前記の高分子材料製の基材を利用する際には、半導体薄膜の加熱処理温度を200℃や300℃のような高い温度領域に選択することができないことになる。
【0009】
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、薄膜半導体素子を作製する一連の工程における、異種基板上に気相成長法を利用するなどして、堆積された半導体薄膜に加熱処理を施す工程において、対象とする半導体薄膜に対しては、所望とする高い温度における処理と同等の加熱処理が可能であり、一方、半導体薄膜以外の部材、例えば、高分子材料製の基材など、半導体材料と比較して、耐熱性が大幅に劣る材料を利用する部材に対しては、加熱に伴う温度上昇を実質的に起こさない、部位選択的な加熱処理を行うことができる新規な手段を採用する薄膜半導体素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、薄膜半導体素子において、その動作領域として利用される半導体薄膜に対して、加熱処理を施す際、処理の対象となる半導体薄膜領域のみに、選択的に、10ミリ秒以下の時間、パルス状の熱的エネルギーを供給して、その部位のみを選択的に高い温度とし、そのパルスの終了後、休止期間を設ける間に、熱伝導により、供給された熱的エネルギーを排出する形態とすると、半導体薄膜以外の部材、例えば、高分子材料製の基材などでも、かかる熱伝導による温度上昇は僅かに引き起こされるものの、休止期間の間に冷却される結果、高分子材料製の基材などの半導体薄膜以外の部材では、温度上昇を実質的に起こさず、対象とする半導体薄膜領域のみを、部位選択的に所望の高い温度まで前記パルスの終了時に加熱することが可能となることを見出した。従って、高分子材料製の基材などの半導体薄膜以外の部材に、耐熱性の低い部材を使用した場合でも、かかる部材の損傷を招くことなく、対象とする半導体薄膜領域のみで、部位選択的な加熱処理が達成される。かかる知見に加えて、本発明者らは、前記のパルス状の熱的エネルギー供給と、その後の休止期間を1サイクルとし、複数サイクル反復実施して、積算した加熱期間が所定の時間に達すると、対象とする半導体薄膜領域では、対応する時間、高い温度で連続的に熱処理を施したと同等の電気的特性の向上効果が得られることをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係る薄膜半導体素子の製造方法は、
主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を少なくとも1層以上有し、前記半導体薄膜層を動作領域に利用する薄膜半導体素子を製造する方法であって、非半導体材料からなる基材上に、前記主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を気相成長法により堆積する工程と、
堆積された前記半導体薄膜層に対して、加熱処理を施す工程とを有し、
かかる加熱処理工程では、
(1)前記半導体薄膜層の選択される領域に対して、直接に、非接触手段を用いて、パルス状のエネルギー供給を行い、前記選択される領域内で、供給されたエネルギーを熱的エネルギーに変換して、温度上昇を行なう、パルス状のエネルギー投入過程、
(2)前記パルス状のエネルギー投入過程後、半導体薄膜層の前記選択される領域への直接的なエネルギー投入が休止される、エネルギー投入休止過程、
かかる二つの過程を相互に繰り返して、間欠的に半導体薄膜層の前記選択される領域の加熱を行い、
前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間を10ミリ秒以下の範囲に選択し、その間にパルス状に供給されるエネルギーから変換される熱的エネルギーの総量を、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度を、供給開始前の温度から所定の熱処理温度まで上昇させるに必要とする熱量に選択し、
また、前記(2)のエネルギー投入休止過程の時間を、前記熱量を熱伝導により拡散・排出して、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、前記供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択することを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法である。
【0012】
本発明に係る薄膜半導体素子の製造方法においては、前記気相成長法による半導体薄膜の堆積工程において、
化学的気相成長法を利用することを特徴とする方法とすることができる。その際、化学的気相成長法を利用した前記半導体薄膜の堆積工程において、
主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層堆積用の原料として、少なくとも1種の周期律表IV族(14族)元素の水素化物またはハロゲン化物、ならびに、III族(13族)元素またはV族(15族)元素のいずれかの元素の水素化物またはハロゲン化物、あるいは、水素の少なくともいずれか一方を使用することを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法とすることができる。
【0013】
一方、本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、
前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、電磁波を利用するエネルギー供給手段であることを特徴とする方法とすることができる。また、前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、直流電流または交流電流を利用するエネルギー供給手段であることを特徴とする方法とすることができる。
【0014】
また、前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、可視光または赤外光を利用するエネルギー供給手段であることを特徴とする方法とするこのもできる。
【0015】
加えて、前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程は、パルス状のエネルギー供給を1mW/mm2以上のパワー密度の光照射下で実施することを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法とすることも可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の薄膜半導体素子の製造方法は、例えば、耐熱性の低い部材を基材に利用し、その上に気相成長法を用い、低温で堆積された半導体薄膜をその動作領域とする薄膜半導体素子について、前記半導体薄膜の堆積後、かかる低温で作製された半導体薄膜の電気的特性を向上する目的で実施する加熱処理工程を、半導体薄膜の所定の領域に対して、選択的に加熱をする手法として、時間幅を10ミリ秒以下として、パルス的にエネルギーを投入する過程(パルス状のエネルギー投入過程)と、それに続く、エネルギー投入休止過程とを、交互に繰り返し行う工程(以下、間欠的エネルギー投入という。)として実施することで、加熱処理の対象とする半導体薄膜の所定の領域は、前記パルス状のエネルギー投入過程の間、高い温度とするものの、耐熱性の低い部材は、熱拡散・伝導により間接的に加熱を受けるのみであり、その温度上昇量を少なくでき、加えて、エネルギー投入休止過程をおくことで、十分な熱放散を行う。その結果、この間欠的エネルギー投入の手法を用いると、耐熱性の低い部材では、パルス的にエネルギーを投入される半導体薄膜の所定の領域は、そのパルス時間幅で高い温度に達した際にも、耐熱性の低い部材では、熱拡散・伝導過程による遅延作用のため、緩やかで、少ない温度上昇が起こるのみである。加えて、十分な熱放散が可能なエネルギー投入休止過程がおかれていることにより、このサイクルが繰り返される間に、サイクル毎の温度上昇が蓄積され、最終的に高い温度に達してしまうことも回避できている。つまり、この方法を用いることにより、耐熱性の低い部材を使用した場合でも、部材の損傷を招くことなく、一方、半導体薄膜は繰り返し、高い温度に達するので、全体として、所望の加熱処理を短時間で達成でき、かかる高温度の加熱処理がもたらす性能の改善が得られる。
【0017】
換言するならば、本発明の製造方法は、半導体薄膜自体の作製は、その基板部として、耐熱性の低い部材、例えば、高分子樹脂材料などを基材として、その上に、かかる耐熱性の低い部材に適合する、低温において気相成長法で堆積したものである際に、より有効な方法となる。具体的には、低温での半導体薄膜の堆積に適する気相成長法として、化学的気相成長法を採用して作製された半導体薄膜を対象とすると、より好適は方法となる。かかる化学的気相成長法を利用し、主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を堆積する場合、堆積用の原料として、例えば、シリコンなどの主成分用に、少なくとも1種の周期律表IV族(14族)元素の水素化物またはハロゲン化物、ならびに、ドーパント用に、III族(13族)元素またはV族(15族)元素のいずれかの元素の水素化物またはハロゲン化物、あるいは、ドーピングを実施しない際には、前記ドーパントに代えて、水素を使用することが一般的である。
【0018】
本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用されるエネルギー投入手段の一例として、パルス状の光を照射する方法がある。すなわち、パルス状の光を半導体薄膜表面から、加熱処理を施す領域に照射し、照射される光を熱的エネルギーに変換する方法である。
【0019】
このパルス状の光を照射する方法を適用する際、利用する照射光の強度は、その光波長(スペクトル)、照射されるスポット径、また、加熱処理の対象となる半導体薄膜の膜厚、その吸収スペクトル等に依存して、適宜選択すべきものである。従って、一律に決定することはできないものの、加熱処理の対象となる半導体薄膜の比熱C[ジュール/モル・K]、その密度ρ[g/cm3]、膜厚t[mm]、主成分の構成元素(原子)のモル質量M[g/モル]から計算される、下記式(1)のE:
【0020】
【数1】
E=Cρt/M[mJ/K・mm2] (1)
この単位面積当たり、1Kの温度上昇に要する熱量であるEの値の少なくとも100倍の1パルス当たりの投入エネルギー密度とすると、照射された光エネルギーが全て熱的エネルギーに変換されるならば、少なくとも100Kの温度上昇が達成される。実際には、表面での反射による未寄与分なども考慮して、照射を行う、加熱処理の対象となる半導体薄膜の選択される領域において、必要とする温度上昇を達成できる1パルス当たりの投入エネルギー密度を選択することができる。
【0021】
このような1パルス当たりのエネルギー密度を実現するための光源として、半導体レーザー(アレイ);例えば、0.8μm帯GaAs系半導体レーザー、YAGレーザー;例えば、Nd 3+ :YAGレーザー(基本波1.06μm)、Ho 3+ :YAGレーザ(基本波2.09μm)など、エキシマーレーザー;例えば、 KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)F2エキシマレーザー(157nm)など、炭酸ガスレーザー(10.6μm帯、9.4μm帯)、色素レーザー(可視光領域)などの各種レーザが好適に用いられる。また、キセノンランプやハロゲンランプ、その他各種の放電ランプをレンズや反射鏡等により集光して、所望のエネルギー密度を有するスポット光とした上で利用することもできる。なかでも、半導体薄膜自体のバンド間吸収が可能な波長の光源、例えば、可視光あるいは、波長1100nm以下の近赤外光の領域の光源を選択することが好適である。
【0022】
前記する各種の光源から発せられる光を、所望の時間幅でパルス的に照射を行うためには、光源自体をパルス発光させる方法、その他に、各種のシャッタを用いる方法がある。また、微小なスポットとして照射を行う際には、公知の方法によって、その照射位置あるいは半導体素子の少なくともいずれか一方を移動走査させることによって、実効的に、半導体素子上、照射をすべき半導体薄膜部分のそれぞれの位置に光が照射される時間を制御する方法も用いることができる。なお、前記移動走査の手段を利用する際には、光照射を施さない領域に対しては、高い反射率を有するマスクを施すなどして、連続的に発する光による照射に対する防護を施すことが可能である。
【0023】
光照射を利用する際には、例えば、半導体薄膜上に金属配線が形成された後では、その金属配線に覆われる領域に対しては、効果的な光照射を実施することが困難となる。従って、最終的に金属配線に覆われる領域に対しても、熱処理を施す必要性があるなど、熱処理により達成される効果の均一性を保証する上では、半導体薄膜の堆積後、前記の金属配線を形成する工程以前に、光照射を利用する加熱処理工程を実施することが望ましい。
【0024】
本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用されるエネルギー投入手段の他の一例として、交番電磁界を印加する方法を挙げることができる。より具体的には、半導体薄膜に対して、交番電磁界を印加することにより、その印加領域の半導体薄膜内に誘導電流を発生させ、結果的に、この誘導電流に起因するジュール熱として、熱的エネルギーに変換する方法などである。
【0025】
この交番電磁界の具体的な印加方法としては、図1に、幾つかの形態を模式的に示す。図1の(a)〜(c)は、半導体薄膜に対して、交番磁界を印加する手段の一例であり、(a)は、渦巻き状のアンテナ1を、半導体薄膜を利用している半導体素子2に対向して配置し、アンテナに高周波電流を流すことで、交番磁界を印加する方法、(b)は、各種のループ状アンテナ11を、半導体薄膜を利用している半導体素子12に対向して配置し、アンテナに高周波電流を流すことで、交番磁界を印加する方法、(c)は、コイル状のアンテナ21を、半導体薄膜を利用している半導体素子22に対向して配置し、アンテナに高周波電流を流すことで、交番磁界を印加する方法であり、その他、各種公知の形状のアンテナを設け、これらアンテナに高周波電流を流す方法を用いることもできる。また、図1の(d)と(e)は、半導体薄膜に対して、交番電界を印加する手段の一例であり、(d)は、一対の梯子状の電極(アンテナ)31a、31bを、半導体薄膜を利用している半導体素子32を挟んで互いに対向して設け、それら互いに対向する電極の間に高周波電圧を印加することで、交番電界を印加する方法、(e)は、一対の平板状の電極41a、41bを、半導体薄膜を利用している半導体素子42を挟んで互いに対向して設け、それら互いに対向する電極の間に高周波電圧を印加することで、交番電界を印加する方法であり、その他、各種公知の形状の電極(アンテナ)一対を、それら互いに対向する電極の間に高周波電圧を印加する方法を用いることもできる。
【0026】
なお、交番電界を印加する方法を利用する際に、印加する電界の方向は、加熱処理を施す半導体薄膜に対して、その膜面内方向またはそれに近い方向であればより効果的である。一方、交番磁界を印加する方法を利用する際に、印加する磁界の方向が、加熱処理を施す半導体薄膜に対して、その膜面に垂直またはそれに近い方向であればより効果的である。
【0027】
この交番電磁界を印加する方法を利用する場合、利用する電磁界発生装置のコスト、また、エネルギーの投入効率、具体的には、誘導電流の誘起効率などの要素をも勘案すると、利用する交番電磁界の周波数は、1kHz〜10GHzの範囲に選択することが好ましく、10kHz〜100MHzの範囲とすることがより好ましい。一方、マイクロ波調理器(いわゆる電子レンジ)用などの安価に供給されるマイクロ波発振器を用いることもできる。
【0028】
交番電磁界の印加を利用する際には、例えば、半導体薄膜上に金属配線が形成された後では、その金属配線に覆われる領域に対しては、効果的な電磁界印加を実施することが困難となる。従って、最終的に金属配線に覆われる領域に対しても、熱処理を施す必要性があるなど、熱処理により達成される効果の均一性を保証する上では、半導体薄膜の堆積後、前記の金属配線を形成する工程以前に、交番電磁界の印加を利用する加熱処理工程を実施することが望ましい。
【0029】
さらに、本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用されるエネルギー投入手段の他の一例として、半導体薄膜領域に直流または交流の電流を直接通電する方法を挙げることができる。より具体的には、半導体薄膜に対して、それと電気的に接続されている電極(配線)となる導体を利用して、あるいは、半導体薄膜自体に直接電流を注入して、直流または交流の電流を直接通電し、結果的に、この電流に起因するジュール熱として、熱的エネルギーに変換する方法などである。
【0030】
この半導体薄膜および/または電極(配線)となる導体に直流または交流の電流を直接通電する方法の具体的な形態は、電流は特定の導体または半導体層だけを流れるようにしてもよいし、あるいは、例えば、pn接合を構成している半導体薄膜に対して、そのp型半導体側の配線から、p型半導体、n型半導体、n型半導体側の配線へという経路で、pn接合に順方向電流を流す形態など、半導体素子を構成している半導体薄膜層の全部または一部の領域で、複数の半導体薄膜層をまたがって電流を流す形態を採ることもできる。さらには、電子銃などの放電電極を利用して、半導体薄膜層に電子を直接注入して、電流を通電する手段を利用することも可能である。
【0031】
この半導体薄膜領域に直流または交流の電流を直接通電する方法は、特に薄膜太陽電池に用いる半導体薄膜の加熱処理に適用すると有効である。薄膜太陽電池の製造工程で、かかる方法を利用して加熱処理を実施する場合には、堆積された半導体薄膜の表面に、TCO(透明・導電性酸化物)層を形成した後、このTCO層を利用して、電流を通電する形態で実施することが好ましい。加えて、TCO層に隣接して、不透明の集電電極の形成を行うが、TCO(透明・導電性酸化物)層を形成する工程後、前記集電電極の形成を行う工程前に、前記の加熱処理工程を実施することがより好ましい。
【0032】
本発明の薄膜半導体素子の製造方法においては、加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用されるエネルギー投入手段として、上記する三種の手段のいずれかを主に利用する形態が一般的であるものの、複数の手段を併用して、パルス状のエネルギー投入により、半導体薄膜内で変換される熱的エネルギーの総量を充足する形態で実施することもできる。
【0033】
加えて、本発明の薄膜半導体素子の製造方法では、加熱処理工程において、以上説明してきた、間欠的なエネルギーの投入過程に加えて、定常的または半定常的に光照射を補助的に行うこともできる。かかる補助的に行う、定常的または半定常的な光照射に起因して、半導体薄膜において、熱的エネルギーに変換され、温度上昇が起こる場合があるが、その温度は、高分子材料製の基材などの半導体薄膜以外の部材に、耐熱性の低い部材を使用した場合でも、かかる部材の損傷を招くことのない温度とすることが必要である。
【0034】
間欠的なエネルギーの投入過程に加えて、定常的または半定常的に光照射を補助的に行うことで、加熱処理の時間の短縮が可能となったり、あるいは、間欠的に投入するエネルギー量の低減が可能となる場合がある。例えば、上述する交番電磁界の印加を利用する方法や直接電流を通電する方法などでは、半導体薄膜中に存在している自由キャリアを利用して、誘導電流や電圧差に因る電流を生じさせているため、自由キャリア濃度が低い場合、有効なエネルギー投入方法として機能しない場合がある。その点を補うため、補助的な光照射によって、半導体薄膜中に光励起キャリアを発生させ、利用可能な自由キャリア濃度を増加させることで、熱的エネルギーへの変換効率を向上させる効果が得られる。この目的に利用する、補助的な光照射の光源は、かかる半導体薄膜を構成する半導体材料のバンド間吸収を起こさせ、光励起キャリアの発生が可能な波長成分含むものであれば特に制限はないが、かかる半導体材料のバンド間吸収による光吸収係数がより大きい波長成分を多く含む光源を用いることがより好ましい。例えば、半導体薄膜におけるバンド間吸収を生じさせる、可視光または波長1100nm以下の近赤外光を利用し、その照射密度を、1mW/mm2以上のパワー密度、なお、好ましくは、10mW/mm2を超えないパワー密度に選択することが望ましい。
【0035】
また、本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、上述するパルス状のエネルギー投入手段を利用する、半導体薄膜に対する加熱処理は、このパルス状のエネルギー投入に因る過渡的な温度上昇量は、300K程度を超えない範囲に選択すると好ましい。従って、三種のパルス状のエネルギー投入手段のいずれを採用する場合にも、投入されるパルス状のエネルギーのうち、熱的エネルギーに変換される量(密度)は、上記式(1)のEの300倍を超えない範囲に選択することが好ましい。投入されるパルス状のエネルギーのうち、熱的エネルギーに変換される比率は、個々の投入手段に依存して異なるものの、例えば、光照射を利用する手段を用いる際には、半導体薄膜材料自体の吸収係数、その膜厚、表面における反射率等に基づき、前記熱的エネルギーに変換される比率を概算した上で、必要な過渡的な温度上昇量に要する投入されるパルス状のエネルギー量(密度)を選択することが可能である。具体的には、エネルギーの有効利用の観点から、投入されるパルス状のエネルギーのうち、熱的エネルギーに変換される比率は、少なくとも10%以上となる条件、例えば、光照射を利用する手段を用いる際には、半導体薄膜材料自体の吸収係数、その膜厚、ならびに表面における反射率等に基づき、概算される実効的な光吸収比率が前記の条件を満たす波長を選択することが好ましい。かかる10%以上の利用効率となる条件を満たす範囲では、単位面積当たり投入されるパルス状のエネルギー量(パルス当たりの総量)は、上記式(1)のE値の6000倍を超えない範囲とすることができる。
【0036】
ただし、直流または交流の電流を直接通電する方法、あるいは、交番電磁界の印加を利用する方法では、投入されるパルス状のエネルギーは、ジュール熱として、熱的エネルギーに高い効率で変換されるため、より僅かなパルス状のエネルギー量(パルス当たりの総量)とすることが可能となる。加えて、かかる二種の手段を用いる際、補助的な光照射によって、半導体薄膜中に光励起キャリアを発生させ、利用可能な自由キャリア濃度を増加させることで、熱的エネルギーへの変換効率を向上させる場合、この補助的な光照射に付随して、若干量の定常的な光吸収による熱発生量を含め、(1)のパルス状のエネルギー投入過程間の投入されるエネルギー量の和が、上記の範囲となるように条件を選択することは勿論のことである。
【0037】
一般に、本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、上述するパルス状のエネルギー投入手段を利用する、半導体薄膜に対する加熱処理は、例えば、基材側の裏面電極として、金属層を形成されている半導体薄膜層に対して実施され、例えば、光照射を利用する手段を用いる際には、半導体薄膜層で吸収されず、前記金属層に達する一部の光があるものの、この金属層自体は、通常、高い光反射率を有するものであり、金属層面で反射される光が再度半導体薄膜層で吸収に与かるものとなる。それに付随して、裏面の金属層自体における直接的な加熱は大幅に抑制できる。
【0038】
先に説明した、三種のパルス状のエネルギー投入手段のいずれを採用する場合にも、加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程後に設ける(2)のエネルギー投入休止過程の時間は、前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程においてもたらされた熱量を熱伝導により拡散・排出して、その選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択する。従って、(2)エネルギー投入休止過程の時間幅は、前記の条件を満たす限り、いかようにも選択できるものの、不必要に長い時間幅とすることは、加熱処理工程に要する合計時間の延長となり好ましくない。すなわち、(1)のパルス状のエネルギー投入過程後、熱伝導による拡散・排出の速度により決まる、最適な時間幅の範囲が存在する。
【0039】
具体的には、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tと(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’とから計算されるデューティー比R=t/(t+t’)は、過大にすると、パルス的に投入されたエネルギーに由来する熱量が十分に放散されないうちに、次のパルス的なエネルギー投入が行われる結果、加熱処理工程を施している半導体薄膜の領域における温度は、そのサイクルを重ねる度にステップ的に上昇し、所望の処理温度とかけ離れて高いものとなる。それに付随して、高分子材料製の基材などの半導体薄膜以外の部材の温度もステップ的に上昇する結果、耐熱性の低い部材を使用した場合、かかる基材の熱的な変形を起こす。この二つの現象は、本発明がその回避を図ろうとする、加熱処理工程における悪影響に相当するものである。なお、デューティー比Rを過小にすると、例えば、(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’を不要に長くすると、加熱処理工程全体の所要時間が長くなり、生産性が低下する。
【0040】
具体的なデューティー比Rの最適な範囲は、エネルギー投入手段や冷却の方法等の条件により異なるものの、一般には、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tが10ミリ秒以下とする際、デューティー比Rを0.001以上0.5以下の範囲、好ましくは0.01以上0.25以下の範囲、より好ましくは、0.02以上0.1以下の範囲とすることが望ましい。
【0041】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。以下に示す実施例は、本発明の最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0042】
(実施例)
熱変形温度135℃のエチレン・シクロテトラドデセン共重合体(1辺50mmの正方形板状、厚さ1.1mm)を、基材とした。先ず、基板側電極として、この基材を50℃に加熱しながら、直流マグネトロンスパッタ法により約0.1nm/sの製膜速度で、膜厚約200nmの銀薄膜を形成した。次に、その基板側電極上に、バッファ層として、基材全体を100℃に加熱しつつ、直流マグネトロンスパッタ法により、約0.3nm/sの製膜速度で膜厚約40nmのガリウムドープ酸化亜鉛薄膜を積層した。
【0043】
さらに、バッファ層のガリウムドープ酸化亜鉛薄膜上に、下記する半導体薄膜層を堆積した。半導体薄膜層の堆積工程では、PECVD装置を利用し、水素およびシランを主たる原料がス、ホスフィンおよびジボランをドーパントガスとして用いて、微結晶シリコンからなる発電層;すなわち、n型半導体層(リンドープ、膜厚30nm)、i型半導体層(ドープなし、膜厚1800nm)、p型半導体層(ホウ素ドープ、膜厚30nm)を、この順で堆積し、pin構造の積層膜とした。まお、微結晶シリコン層の製膜中、基材の温度は100℃に保持した。
【0044】
最後に、前記微結晶シリコンからなる発電層表面のp型半導体層上に、表面電極を形成した。まず、基材全体を100℃に加熱しながら、高周波(13.56MHz)スパッタ法により、ITO(インジウム・スズ酸化物)透明電極層を1辺5mmの正方形に、互いに5mmの間隔をおいて16個所形成した。このITO透明電極層の膜厚は50nmとした。次いで、基材全体を50℃に加熱しながら、幅0.8mmの柵状の銀電極(総面積約5mm2)を、ITO透明電極層の直上に膜厚200nmで形成した。
【0045】
以上の表面電極の作製工程までを終え、半導体薄膜層の加熱処理工程を未実施の薄膜微結晶シリコン太陽電池(中間工程品)を、測定位置でAM1.5,1mW/mm2の出力に調整されたソーラーシミュレータの光を、前記ITO透明電極上面より発電層表面に照射しながら、半導体パラメータアナライザ(Hewlett Packard社製 HP4155A)により、電流の印加電圧依存性を1辺5mmの各々独立した素子について測定した。各素子について、それぞれの印加電圧条件に対して、印加電圧と出力電流の積を計算し、その積の最大値を最大出力(Pmax)とし、柵状電極の陰となる部分を除いた1素子あたりの有効面積(20.4mm2)に入射する光のパワー(20.4mW)でPmaxを割った値をその素子の変換効率とした。
【0046】
次に、図2に示すような、スポット光照射装置を用いて、下記する条件で、半導体薄膜層に対して、間欠的なエネルギーの投入を行って、加熱処理工程を実施した。具体的には、発振波長830ナノメートルの半導体レーザー51の光を光ファイバ52で導光し、その出射端から放射されたレーザー光を、2枚の凸レンズ53、54を用いて、スポット状に集光した。その際、2軸並進ステージ55上に載置した、薄膜微結晶シリコン太陽電池(中間工程品)56の表面において、スポット径12マイクロメートル、レーザー光パワー120ミリワットに集光した。半導体レーザー51をパルス幅50マイクロ秒で繰り返しパルス発光させながら、太陽電池(中間工程品)56を素子表面の面内方向に4マイクロメートルのステップで図2の矢印(イ)の方向に直線走査移動させた。走査のステップは、550マイクロ秒〜2950マイクロ秒の間隔とし、走査1ステップが完了するごとにレーザパルスが1回照射されるように制御した。前記の直線走査移動を計30回繰り返すごとに、その走査方向と垂直な方向(ロ)に太陽電池(中間工程品)56を4マイクロメートルのステップで移動させ、同様に直線走査移動を繰り返しつつ、パルス・レーザー光の照射を行った。以上の手順に従い、レーザー光で1辺5ミリメートルの正方形の1素子の表面全体をくまなく面照射した。その結果、間欠的なパルス・レーザー光の照射による、半導体薄膜層に対する加熱処理工程が施され、完成品の薄膜微結晶シリコン太陽電池を作製する一連の製造工程が終了した。
【0047】
この完成品の薄膜微結晶シリコン太陽電池に対しても、前記の条件・手順に従い、変換効率の評価を行った。
【0048】
(比較例1〜4)
実施例と同様の工程・条件で作製された薄膜微結晶シリコン太陽電池(中間工程品)について、その変換効率を、表面電極の作製工程までを終えた時点で、実施例と同様の評価方法で測定した。次いで、図3に示す装置を利用して、太陽電池(中間工程品)表面に周期的にエネルギー投入を行って、半導体薄膜層に対して、加熱処理工程を実施した。太陽電池(中間工程品)をターンテーブル62の中心から160mmの位置に載置して、ターンテーブル62を回転せしめながら、その太陽電池(中間工程品)の回転軌跡上に、2kWの集光型赤外線ランプ63の光(スポット径20mm)を集光させ、通過する太陽電池(中間工程品)を周期的に赤外線加熱した。赤外線ランプ63のスポット近傍以外では、ファン64を用いて、外気をターンテーブル62表面に吹き付ける構成とし、赤外線加熱を終えた太陽電池(中間工程品)をその表面から強制空冷を行った。ターンテーブル62を一定の回転数で回転させながら、赤外線ランプ63を点灯して、一定時間が経過させた後、かかる加熱処理工程を終えた太陽電池を取り外し、室内で15分間放冷した。前記の加熱処理工程を施され、全製造工程を終えた最終品に関しても、上記実施例と同様に、その変換効率の評価を行った。
【0049】
上記の図3に示す装置を利用する周期的な赤外線加熱においては、ターンテーブルの回転数をn(rpm)とすると、太陽電池(中間工程品)は、概ね
(1/31)×(60/n)の照射時間と、
(30/31)×(60/n)の照射休止(空冷)時間と
からなる、周期的な赤外線加熱を繰り返し施されることになる。様々な条件での予備検討を行い、ターンテーブルの回転数と、加熱処理を行う延べ時間を、比較例1では、7.5rpm、100秒とし、比較例2では、7.5rpm、200秒とし、比較例3では、8.0rpm、100秒とし、比較例4では、8.0rpm、500秒とし、以上4種の条件で周期的な赤外線加熱による加熱処理工程を施され、最終品の薄膜微結晶シリコン太陽電池を製造した。
【0050】
(比較例5〜7)
実施例と同様の工程・条件で作製された薄膜微結晶シリコン太陽電池(中間工程品)について、その変換効率を、表面電極の作製工程までを終えた時点で、実施例と同様の評価方法で測定した。次いで、太陽電池(中間工程品)全体を、真空排気しながら恒温器に保管して、一定温度に維持することで、半導体薄膜層に対して、加熱処理工程を実施した。具体的には、器内温度を一定に保った恒温器に、太陽電池(中間工程品)を投入し、真空排気しながら所定の時間保管した後、再び取り出し、室温の大気中で15分冷却した。前記の加熱処理工程を施され、全製造工程を終えた最終品に関しても、上記実施例と同様に、その変換効率の評価を行った。
【0051】
恒温器の温度と保管時間を、比較例5では、120℃、1時間とし、比較例6では、120℃、10時間とし、比較例7では、140℃、1時間として、雰囲気加熱による、半導体薄膜層に対して、加熱処理工程を実施した。
【0052】
表1に、実施例、比較例1〜7おいて用いた、加熱処理条件と、その処理を終えた後に評価した変換効率の測定結果を併せて示す。また、加熱処理後、製造された薄膜微結晶シリコン太陽電池の外観等を観察した結果も、表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0005130463
なお、比較例2ならびに比較例5において発生している半導体薄膜の破断は、用いた熱変形温度135℃のエチレン・シクロテトラドデセン共重合体製基材が高温に加熱せられて可塑化し、その結果、半導体薄膜を保持する能力を失ったことが原因と推定される。
【0054】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明の薄膜半導体素子の製造方法において用いる半導体薄膜層の加熱処理工程、すなわち、1回あたり10ミリ秒以下の時間幅で間欠的なエネルギー投入を繰り返し行うことによって、加熱処理を施す手法を用いると、耐熱性の低い部材、この場合、前記共重合体製基材の熱的変形等の悪影響を起こさずに、半導体薄膜層の電気的特性の改善が達成できている。
【0055】
本実施例では、出力の比較的小さい半導体レーザを使用し、必要とするエネルギー密度を達成するため、小径スポットに集光しているため、大面積を走査するためには時間を要するものとなっているが、より大出力でスポット径の大きいYAGレーザや、複数の半導体レーザを帯状に集積したアレイなど利用して、適当なパワー密度となるように集光または分散させて使用する形態とすると要する時間を大幅に短縮できる。さらには、高周波電磁界などの大面積への高密度のエネルギー投入が容易な手段を利用すれば、例えば、大面積の太陽電池の性能を向上を図る、半導体薄膜の加熱処理工程を実施する際に要する時間を大幅に短縮できることは明らかである。
【0056】
【発明の効果】
本発明の薄膜半導体素子の製造方法は、例えば、耐熱性の低い部材を基材に利用し、その上に気相成長法を用い、低温で堆積された半導体薄膜をその動作領域とする薄膜半導体素子について、前記半導体薄膜の堆積後、かかる低温で作製された半導体薄膜の電気的特性を向上する目的で実施する加熱処理工程を、半導体薄膜の所定の領域に対して、選択的に加熱をする手法として、時間幅を10ミリ秒以下として、パルス的にエネルギーを投入する過程(パルス状のエネルギー投入過程)と、それに続く、エネルギー投入休止過程とを、交互に繰り返し行う工程として実施することで、加熱処理の対象とする半導体薄膜の所定の領域は、前記パルス状のエネルギー投入過程の間、高い温度とするものの、耐熱性の低い部材は、熱拡散・伝導により間接的に加熱を受けるのみであり、その温度上昇量を少なくできる。加えて、エネルギー投入休止過程をおくことで、十分な熱放散を行う結果、耐熱性の低い部材では、パルス的にエネルギーを投入される半導体薄膜の所定の領域は、そのパルス時間幅で高い温度に達した際にも、耐熱性の低い部材では、熱拡散・伝導過程による遅延作用のため、緩やかで、少ない温度上昇が起こるのみである。加えて、十分な熱放散が可能なエネルギー投入休止過程がおかれていることにより、このサイクルが繰り返される間に、サイクル毎の温度上昇が蓄積され、最終的に高い温度に達してしまうことも回避できている。従って、本発明の方法は、例えば、大面積の薄膜太陽電子など、半導体薄膜の堆積を行う基板部に、耐熱性の低い高分子材料製の基材を使用した薄膜半導体素子の製造に適用することで、かかる耐熱性の低い部材の損傷を招くことなく、一方、半導体薄膜は繰り返し、高い温度に達するので、全体として、所望の加熱処理を短時間で達成でき、かかる高温度の加熱処理がもたらす素子性能の改善が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜半導体素子の製造方法において、パルス状のエネルギー投入過程に利用されるエネルギー投入手段の一例を示し、(a)〜(c)は、半導体薄膜に対して、交番磁界を印加する手段の一例を、(d)と(e)は、半導体薄膜に対して、交番電界を印加する手段の一例を模式的に示す図である。
【図2】2軸並進ステージを具えたスポット光照射装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】ターンテーブル型試料固定台を利用する、周期的な赤外線加熱用装置の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 渦巻き状のアンテナ
2、12、22、32、42 半導体薄膜を利用している半導体素子
11 ループ状アンテナ
21 コイル状のアンテナ
31a、31b 梯子状の電極(アンテナ)
41a、41b 平板状の電極
51 半導体レーザー
52 光ファイバ
53,53 凸レンズ
55 2軸並進ステージ
56 太陽電池(中間工程品)
61 赤外線加熱装置
62 ターンテーブル
63 集光型赤外線ランプ
64 ファン

Claims (5)

  1. 主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を少なくとも1層以上有し、前記半導体薄膜層を動作領域に利用する薄膜半導体素子を製造する方法であって、
    非半導体材料からなる基材上に、前記主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を気相成長法により堆積する工程と、
    堆積された前記半導体薄膜層に対して、加熱処理を施す工程とを有し、
    かかる加熱処理工程では、
    (1)前記半導体薄膜層の選択される領域に対して、直接に、非接触手段を用いて、パルス状のエネルギー供給を行い、前記選択される領域内で、供給されたエネルギーを熱的エネルギーに変換して、温度上昇を行なう、パルス状のエネルギー投入過程、
    (2)前記パルス状のエネルギー投入過程後、半導体薄膜層の前記選択される領域への直接的なエネルギー投入が休止される、エネルギー投入休止過程、
    かかる二つの過程を相互に繰り返して、間欠的に半導体薄膜層の前記選択される領域の加熱を行い、
    前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tを10ミリ秒以下の範囲に選択し、その間にパルス状に供給されるエネルギーから変換される熱的エネルギーの総量を、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度を、供給開始前の温度から所定の熱処理温度まで上昇させるに必要とする熱量に選択し、
    また、前記(2)のエネルギー投入休止過程の時間幅t’を、前記熱量を熱伝導により拡散・排出して、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、前記供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択し、
    その際、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tと(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’とから計算されるデューティー比R=t/(t+t’)は、0.02以上0.10以下の範囲に選択され、
    前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射を利用するエネルギー供給手段であり、
    前記波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射では、照射される光を集光して、微小なスポットに光照射がなされ、
    前記気相成長法による半導体薄膜の堆積工程において、
    堆積される半導体薄膜は、微結晶シリコン膜である
    ことを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法。
  2. 主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を少なくとも1層以上有し、前記半導体薄膜層を動作領域に利用する薄膜半導体素子を製造する方法であって、
    非半導体材料からなる基材上に、前記主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を気相成長法により堆積する工程と、
    堆積された前記半導体薄膜層に対して、加熱処理を施す工程とを有し、
    かかる加熱処理工程では、
    (1)前記半導体薄膜層の選択される領域に対して、直接に、非接触手段を用いて、パルス状のエネルギー供給を行い、前記選択される領域内で、供給されたエネルギーを熱的エネルギーに変換して、温度上昇を行なう、パルス状のエネルギー投入過程、
    (2)前記パルス状のエネルギー投入過程後、半導体薄膜層の前記選択される領域への直接的なエネルギー投入が休止される、エネルギー投入休止過程、
    かかる二つの過程を相互に繰り返して、間欠的に半導体薄膜層の前記選択される領域の加熱を行い、
    前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tを10ミリ秒以下の範囲に選択し、その間にパルス状に供給されるエネルギーから変換される熱的エネルギーの総量を、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度を、供給開始前の温度から所定の熱処理温度まで上昇させるに必要とする熱量に選択し、
    また、前記(2)のエネルギー投入休止過程の時間幅t’を、前記熱量を熱伝導により拡散・排出して、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、前記供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択し、
    その際、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tと(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’とから計算されるデューティー比R=t/(t+t’)は、0.02以上0.10以下の範囲に選択され、
    前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射を利用するエネルギー供給手段であり、
    前記波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射では、照射される光を集光して、微小なスポットに光照射がなされ、
    前記気相成長法による半導体薄膜の堆積工程において、
    化学的気相成長法を利用し、
    堆積される半導体薄膜は、微結晶シリコン膜である
    ことを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法。
  3. 主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を少なくとも1層以上有し、前記半導体薄膜層を動作領域に利用する薄膜半導体素子を製造する方法であって、
    非半導体材料からなる基材上に、前記主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を気相成長法により堆積する工程と、
    堆積された前記半導体薄膜層に対して、加熱処理を施す工程とを有し、
    かかる加熱処理工程では、
    (1)前記半導体薄膜層の選択される領域に対して、直接に、非接触手段を用いて、パルス状のエネルギー供給を行い、前記選択される領域内で、供給されたエネルギーを熱的エネルギーに変換して、温度上昇を行なう、パルス状のエネルギー投入過程、
    (2)前記パルス状のエネルギー投入過程後、半導体薄膜層の前記選択される領域への直接的なエネルギー投入が休止される、エネルギー投入休止過程、
    かかる二つの過程を相互に繰り返して、間欠的に半導体薄膜層の前記選択される領域の加熱を行い、
    前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tを10ミリ秒以下の範囲に選択し、その間にパルス状に供給されるエネルギーから変換される熱的エネルギーの総量を、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度を、供給開始前の温度から所定の熱処理温度まで上昇させるに必要とする熱量に選択し、
    また、前記(2)のエネルギー投入休止過程の時間幅t’を、前記熱量を熱伝導により拡散・排出して、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、前記供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択し、
    その際、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tと(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’とから計算されるデューティー比R=t/(t+t’)は、0.02以上0.10以下の範囲に選択され、
    前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射を利用するエネルギー供給手段であり、
    前記波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射では、照射される光を集光して、微小なスポットに光照射がなされ、
    化学的気相成長法を利用した前記半導体薄膜の堆積工程において、
    主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層堆積用の原料として、少なくとも1種の周期律表IV族(14族)元素の水素化物またはハロゲン化物、ならびに、III族(13族)元素またはV族(15族)元素のいずれかの元素の水素化物またはハロゲン化物、あるいは、
    水素の少なくともいずれか一方を使用することにより、
    堆積される半導体薄膜は、微結晶シリコン膜である
    ことを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法。
  4. 主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を少なくとも1層以上有し、前記半導体薄膜層を動作領域に利用する薄膜半導体素子を製造する方法であって、
    非半導体材料からなる基材上に、前記主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を気相成長法により堆積する工程と、
    堆積された前記半導体薄膜層に対して、加熱処理を施す工程とを有し、
    かかる加熱処理工程では、
    (1)前記半導体薄膜層の選択される領域に対して、直接に、非接触手段を用いて、パルス状のエネルギー供給を行い、前記選択される領域内で、供給されたエネルギーを熱的エネルギーに変換して、温度上昇を行なう、パルス状のエネルギー投入過程、
    (2)前記パルス状のエネルギー投入過程後、半導体薄膜層の前記選択される領域への直接的なエネルギー投入が休止される、エネルギー投入休止過程、
    かかる二つの過程を相互に繰り返して、間欠的に半導体薄膜層の前記選択される領域の加熱を行い、
    前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tを10ミリ秒以下の範囲に選択し、その間にパルス状に供給されるエネルギーから変換される熱的エネルギーの総量を、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度を、供給開始前の温度から所定の熱処理温度まで上昇させるに必要とする熱量に選択し、
    また、前記(2)のエネルギー投入休止過程の時間幅t’を、前記熱量を熱伝導により拡散・排出して、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、前記供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択し、
    その際、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tと(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’とから計算されるデューティー比R=t/(t+t’)は、0.02以上0.10以下の範囲に選択され、
    前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、パルス的に、波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射が可能なレーザ光源であり、
    前記パルス的な波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射では、照射される光を集光して、微小なスポットに光照射がなされ、
    化学的気相成長法を利用した前記半導体薄膜の堆積工程において、
    主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層堆積用の原料として、少なくとも1種の周期律表IV族(14族)元素の水素化物またはハロゲン化物、ならびに、III族(13族)元素またはV族(15族)元素のいずれかの元素の水素化物またはハロゲン化物、あるいは、水素の少なくともいずれか一方を使用することにより、
    堆積される半導体薄膜は、微結晶シリコン膜である
    ことを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法。
  5. 主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を少なくとも1層以上有し、前記半導体薄膜層を動作領域に利用する薄膜半導体素子を製造する方法であって、
    非半導体材料からなる基材上に、前記主成分としてシリコンを含有する半導体薄膜層を気相成長法により堆積する工程と、
    堆積された前記半導体薄膜層に対して、加熱処理を施す工程とを有し、
    かかる加熱処理工程では、
    (1)前記半導体薄膜層の選択される領域に対して、直接に、非接触手段を用いて、パルス状のエネルギー供給を行い、前記選択される領域内で、供給されたエネルギーを熱的エネルギーに変換して、温度上昇を行なう、パルス状のエネルギー投入過程、
    (2)前記パルス状のエネルギー投入過程後、半導体薄膜層の前記選択される領域への直接的なエネルギー投入が休止される、エネルギー投入休止過程、
    かかる二つの過程を相互に繰り返して、間欠的に半導体薄膜層の前記選択される領域の加熱を行い、
    前記(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tを10ミリ秒以下の範囲に選択し、その間にパルス状に供給されるエネルギーから変換される熱的エネルギーの総量を、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度を、供給開始前の温度から所定の熱処理温度まで上昇させるに必要とする熱量に選択し、
    また、前記(2)のエネルギー投入休止過程の時間幅t’を、前記熱量を熱伝導により拡散・排出して、前記選択される領域を占める半導体薄膜材料の温度が、前記供給開始前の温度と実質的に等しい温度に降下するに要する時間以上に選択し、
    その際、(1)のパルス状のエネルギー投入過程の時間幅tと(2)エネルギー投入休止過程の時間幅t’とから計算されるデューティー比R=t/(t+t’)は、0.02以上0.10以下の範囲に選択され、
    前記加熱処理工程において、(1)のパルス状のエネルギー投入過程に利用される、主たるエネルギー投入手段は、パルス的に、波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射が可能なレーザ光源であり、
    前記パルス的な波長830nm以下の近赤外、可視光領域の光照射では、照射される光を集光して、微小なスポットに光照射がなされ、
    前記気相成長法による半導体薄膜の堆積工程において、
    化学的気相成長法を利用し、
    堆積される半導体薄膜は、微結晶シリコン膜である
    ことを特徴とする薄膜半導体素子の製造方法。
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