JP5129772B2 - Sr−Ca−O焼結体 - Google Patents

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本発明は、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムを主成分とする焼結体およびその焼結体を用いたプラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材に関する。
大型化しやすい平面ディスプレイとして、放電発光現象を利用したプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という場合がある)の開発が進められている。透明電極をガラス誘電体で覆う構造である交流型(AC型)PDPでは、イオン衝撃のスパッタリングにより誘電体層表面が変質して放電電圧が上昇することを防止するために、誘電体上に保護膜が形成されている。
保護膜は、低い放電電圧を有し、耐スパッタリング性に優れていることが要求される。そのため、二次電子の放出係数が大きく、耐スパッタリング性に優れる絶縁体である酸化マグネシウム(MgO)膜を保護膜として用いることが多い。例えば、特許文献1には、酸化マグネシウム粉末粒子を成形焼成した蒸着材用酸化マグネシウム焼結体であって、前記焼結体が、Ca、Al、SiおよびFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満の範囲であり、かつ、相対密度が97.5〜99.5%の範囲であることを特徴とする蒸着材用酸化マグネシウム焼結体およびその蒸着材用酸化マグネシウム焼結体を使用し、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、またはスパッタリング法により製造した、プラズマディスプレイパネル保護膜が開示されている。
MgO膜以外のプラズマディスプレイパネル用の保護膜としては、MgOに比べて二次電子利得が高く、放電電圧を低下させることが可能な材料であるストロンチウムとカルシウムとの複合酸化物の保護膜を挙げることができ、この保護膜材料を用いた研究がされている。ストロンチウムとカルシウムとの複合酸化物の保護膜を用いたプラズマディスプレイパネルとして、例えば、特許文献2には、酸化マグネシウム、またはストロンチウム化合物とカルシウム化合物との混合物を保護膜とするプラズマディスプレイパネルが開示されている。
ストロンチウムとカルシウムとの複合酸化物の焼結体を得るための方法として、特許文献3には、ペレット状の蒸発材料を製造する方法であって、SrOとCaOを主成分とする混合粉末を加圧成型しペレット状の成型体とする工程と、前記成型体をSrCOの分解温度以上の温度で焼成して焼成体とする工程と、前記焼成体を冷却する工程とを有し、上記工程をそれぞれHO、COおよびCOを含まない雰囲気中において行う蒸発材料の製造方法が開示されている。また、この方法において、SrO粒子およびCaO粒子の平均粒径は、15〜100μmのものを用いることが好ましいことが開示されている。しかしながら、ストロンチウムとカルシウムとの複合酸化物の原料である酸化ストロンチウム(SrO)および酸化カルシウム(CaO)は吸湿性、炭酸ガス吸収性に富み、取り扱いが非常に困難であり、そのため、ストロンチウムとカルシウムとの複合酸化物の焼結体を得ることは容易ではない。
特開2007−138198 特開平11−25863 特開2007−100173
特許文献3に開示されたストロンチウムとカルシウムとの複合酸化物の焼結体を得るための製造方法においては、HO、COおよびCOなどの気体と、酸化ストロンチウム(SrO)粉末との反応性が高いため、酸化ストロンチウム粉末を取り扱うことが非常に困難である。その反応を抑制するためには、粒子径15〜100μmという粒子径の大きな原料の粉末を使用することが必要となる。粒子径がこのような大きさの場合には、粒子間の空間の体積が大きくなってしまうことおよび粒子の比表面積が小さいことから、高密度の焼結体を製造することができず、焼結体は低密度となる。このような低密度の焼結体は、耐湿性が劣り、プラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材として用いると、成膜の際にスプラッシュ発生などの問題を生じることとなる。また、特許文献3に開示された製造方法では、雰囲気制御を行うことが必要となるため、製造工程が非常に煩雑になるという問題がある。
このように、原料に酸化物を用いた場合、原料粉末の吸湿性、炭酸ガス吸収性が高く、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする高密度の焼結体を製造することが困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、耐湿性に優れ、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする高密度の焼結体およびその製造方法を得ることを目的とする。
本発明の酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体の製造方法では、原料として取り扱いが非常に困難な酸化ストロンチウムおよび酸化カルシウムを用いず、原料として炭酸ストロンチウム粉末と、炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを用いることに特徴がある。そのため、本発明の製造方法では、雰囲気制御を行うことが不要であり、焼結体の製造が簡単となる。また、原料の反応性が低いため、原料の粉末の平均粒径を小さくすることができ、従来得られなかったような高密度の焼結体の製造が可能である。
すなわち、本発明は、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体の製造方法であって、平均粒径0.01〜15μmの炭酸ストロンチウム粉末と、平均粒径0.01〜15μmの炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを混合し、加圧し、相対密度50%以上の成型体を形成する工程と、成型体を、1200〜2400℃の温度範囲で焼結することにより焼結体を形成する工程とを含む、焼結体の製造方法である。好ましくは、炭酸ストロンチウム粉末の平均粒径が、5.0μm以下である、焼結体の製造方法である。また、好ましくは、成型体を形成する工程において、酸化イットリウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化クロム粉末からなる群から選択される少なくとも一つ以上の焼結助剤をさらに混合する、焼結体の製造方法である。また、好ましくは、焼結体を形成する工程において、成型体を、大気雰囲気中または窒素雰囲気中で焼結する、焼結体の製造方法である。
また、本発明は、相対密度85%以上の、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体である。好ましくは、焼結体の酸化ストロンチウム(SrO)および酸化カルシウム(CaO)の含有モル比率SrO:CaOが、20:80〜80:20の範囲である焼結体である。
また、本発明は、上記の製造方法によって得られる焼結体または上記の焼結体を用いたプラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材である。
本発明によって、耐湿性に優れ、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする高密度の焼結体およびその製造方法を得ることができる。
本発明は、相対密度85%以上の、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体に関する。本発明の焼結体は、従来のものより高密度の焼結体であるので、プラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材として好適に用いることができる。また、本発明は、上記の酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体の製造方法に関する。本発明の焼結体の製造方法により、相対密度85%以上の、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体を容易に得ることができる。
なお、本明細書において、「酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体」とは、不可避的に混入する不純物および必要に応じて添加される微量(5質量%以下)添加物ならびに後述する焼結助剤を除き、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとからなる焼結体のことをいう。また、この焼結体のことを「Sr−Ca−O焼結体」ともいう。
また、本明細書において、焼結体の「相対密度」とは、実際の焼結体の密度(焼結体のかさ密度〔g/cm〕)と、この焼結体と同一組成の材料の理論密度との比(百分率)で表した比率を意味する。
本発明のSr−Ca−O焼結体の製造には、原料として、炭酸ストロンチウム粉末と、炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを用いる。これらの粉末は、HO、COおよびCOなどの気体との反応性に乏しいため、特殊な雰囲気中で取り扱う必要はなく、また必要に応じて大気中での焼成が可能なので、本発明のSr−Ca−O焼結体の製造は容易である。
本発明のSr−Ca−O焼結体の製造では、まず、原料となる炭酸ストロンチウム粉末と、炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを、所定量となるように計り取る。炭酸ストロンチウム粉末と、炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末との仕込み量を適宜選択することにより、焼結体の酸化ストロンチウムおよび酸化カルシウムの含有モル比率を、任意の比率とすることが可能である。具体的には、上記仕込み量を適宜選択することにより、焼結体の酸化ストロンチウム(SrO)および酸化カルシウム(CaO)の含有モル比率を、SrO:CaO=20:80〜80:20の範囲とすることが可能である。
高い相対密度の焼結体を得るために、原料の炭酸ストロンチウム粉末の平均粒径の上限は、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。また、炭酸ストロンチウム粉末の平均粒径の下限は、特に限定されないが、粉末取り扱いの容易性の点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。なお、「平均粒径」は、レーザ回折式粒度測定装置(商品名:HIRA、日機装(株)製)により50%粒子径を測定し、50%粒子径の値を平均粒径とすることによって得ることができる。
同様に、高い相対密度の焼結体を得るために、原料のカルシウム化合物粉末(炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末)の平均粒径の上限は、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。また、カルシウム化合物粉末の平均粒径の下限は、炭酸ストロンチウム粉末の場合と同様に特に限定されないが、粉末取り扱いの容易性の点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。
さらに高い相対密度の焼結体を得るために、原料に対して焼結助剤をさらに加えることが好ましい。焼結助剤は、酸化イットリウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化クロム粉末からなる群から選択される少なくとも一つ以上であることが好ましい。焼結助剤の添加量は、例えば、酸化イットリウム粉末を焼結助剤として用いる場合、ストロンチウムとカルシウムとの合計量を酸化物換算したものに対して酸化イットリウム粉末を50〜100000ppm、好ましくは100〜50000ppm、さらに好ましくは500〜10000ppmとすることができる。また、その他の焼結助剤についても、酸化イットリウム粉末と同様に、50〜100000ppm、好ましくは100〜50000ppm、さらに好ましくは500〜10000ppmの添加量とすることができる。
次に、所定量の原料の粉末を、アルコール、粉砕助剤液およびバインダーなどとともに、ナイロンボールを入れた樹脂製ポットなどの容器に入れ、1〜24時間、一例として8時間粉砕・混合を行うことにより、混合スラリーを得ることができる。この混合スラリーを樹脂製バットなどの乾燥用皿に入れて乾燥し、篩を用いて造粒をすることによって、造粒した混合粉末を得ることができる。
次に、この造粒した混合粉末を、所定の金型に入れる。所定の金型に挿入した混合粉末を、プレス機で500kgf/cm(49MPa)以上の圧力を印加することによって、相対密度50%以上の成型体を形成することができる。プレス機および金型は、上記の条件で成型体を形成することができるものであれば特に限定されない。具体的には、プラズマディスプレイパネル用の保護膜形成用ターゲットして必要な形状および大きさ(例えば、厚さ3.0mm程度の円盤、円柱および角柱状など)に成型できるプレス機および金型を用いることができる。
プレス機による圧力印加により成型した成型体の厚さは、0.1〜10.0mmとすることができる。成型体の厚さが、このような値であると、焼結を好適に行うことができ、また、焼結終了後に得られる焼結体を、ターゲットとして好適に用いることができる。
プレス機による圧力印加により成型した相対密度50%以上の成型体を、電気炉などの加熱炉を用いて大気雰囲気中等の所定の雰囲気中で焼成し、焼結することにより、Sr−Ca−O焼結体を得ることができる。高密度の焼結体を得るための焼結温度は、1200〜2400℃であり、好ましくは1400〜1800℃である。また、焼結時間は、1〜20時間であり、好ましくは5〜15時間である。焼結温度の具体例は1640℃であり、そのときの好ましい焼結時間の具体例は、12時間である。
本発明のSr−Ca−O焼結体の原料の焼結は、取り扱いが容易な大気雰囲気中で行うことができる。また、必要に応じて、原料の焼結は、窒素雰囲気中またはその他の不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。特に、大気雰囲気中で焼成したものと比べてさらに高い相対密度および優れた耐湿性を有するSr−Ca−O焼結体を得るためには、窒素雰囲気中で原料を焼成し、焼結することが好ましい。
相対密度50%以上の成型体を電気炉などの加熱炉を用いて焼成し、焼結する際に、成型体をMgOセッターの上に載せて行うことが好ましい。また、この場合のMgOセッターを構成するMgO材料は、高純度MgOであることがより好ましい。成型体を焼成し、焼結する際に、一般的に常用されているアルミナ等の窯道具を使用すると、成型体と窯道具が反応、溶解、破損してしまうという問題点があるため、上記のMgOセッターを用いることが好ましい。
相対密度50%以上の成型体を、上記の所定の条件で焼成し、焼結することにより、相対密度85%以上という高密度のSr−Ca−O焼結体を得ることができる。本発明の高密度のSr−Ca−O焼結体は、空気中の水分吸収量が極めて少なく、耐湿性に優れていることに特徴がある。具体的には、本発明のSr−Ca−O焼結体は、焼結終了後に温度20℃、湿度50%の恒温恒湿器に48時間保管後の水分吸収による重量増加率が1%未満である。
本発明のSr−Ca−O焼結体は、相対密度85%以上、好ましくは相対密度90%以上という高密度の焼結体であり、かつ空気中の水分吸収量は極めて少ないため、プラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材として用いた場合には、成膜の際にスプラッシュ発生などの問題を生じることがない。そのため、本発明のSr−Ca−O焼結体は、プラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材として好適に用いることができる。
参考例1および2ならびに比較例1および2のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
表1に示す所定の炭酸ストロンチウム粉末とカルシウム化合物粉末の割合を、ストロンチウム(Sr)元素およびカルシウム(Ca)元素のモル換算で、Sr:Ca=50mol%:50mol%になるように計り取った。次に、計り取った原料の粉末を、アルコール、粉砕助剤液およびバインダーとともに、ナイロンボールを入れた樹脂製ポットに入れ、8時間粉砕・混合を行うことによって、混合スラリーを得た。この混合スラリーを樹脂製バットに入れて乾燥し、篩を用いて造粒をすることによって、造粒した混合粉末を得た。この造粒した混合粉末を、直径9.2mmの円柱状の金型に入れ、プレス機で500kgf/cm(49MPa)の圧力を印加することによって、相対密度50%以上、厚み3.0mmである成型体を形成した。この成型体を、MgOセッターに載せ、電気炉を用いて大気雰囲気中、温度1640℃で12時間焼成し、原料粉末のいずれもが平均粒径15μm以下である参考例1および2ならびに原料粉末の少なくとも1種の平均粒径が15μmより大きい比較例1および2のSr−Ca−O焼結体を得た。
<Sr−Ca−O焼結体の評価>
表1に、Sr−Ca−O焼結体の原料の平均粒径および得られたSr−Ca−O焼結体の相対密度を示す。「平均粒径」の測定は、レーザ回折式粒度測定装置(商品名:HIRA、日機装(株)製)により50%粒子径を測定し、その値を平均粒径とすることによって得た。
次に、参考例1および2ならびに比較例1および2の焼結体を、温度20℃、湿度50%の恒温恒湿器に48時間保管し、焼結直後および保管試験後の焼結体重量を比較することにより、水分吸収による重量増加率を測定した。この結果を表1に示すように、参考例1および2のSr−Ca−O焼結体では、焼結終了後48時間保管試験後の重量増加率は1%未満だった。これに対して、比較例1および2のSr−Ca−O焼結体の場合には、焼結終了後48時間保管試験後の重量増加率は10%を超えた。したがって、参考例1および2のSr−Ca−O焼結体は、比較例1および2の焼結体と比べ、耐湿性に優れていることが明らかとなった。
また、表1に示すように、参考例1および2のSr−Ca−O焼結体は、相対密度が90%以上の高密度が得られた。すなわち、本発明の製造方法により、従来、製造することが困難であった相対密度85%以上のSr−Ca−O焼結体を得ることができることが明らかとなった。これに対し、比較例1および2のSr−Ca−O焼結体の場合には、相対密度が70%以下と低かった。これは、参考例1および2においては、すべての原料化合物の平均粒径が15μm以下であったのに対し、比較例1では炭酸カルシウム粉末の平均粒径が15μmより大きかったため、得られた焼結体の相対密度が67.8%と低かったものと考えられる。また、比較例2では、原料化合物がストロンチウムおよびカルシウムの酸化物粉末であり、また平均粒径も15μmより大きいかったため、得られた焼結体の相対密度が68.8%と低かったものと考えられる。
また、参考例1および2の原料である炭酸ストロンチウム粉末の平均粒径が5μm以下であったことから、炭酸ストロンチウム粉末の平均粒径が、5μm以下である場合に、90%以上の高い相対密度の焼結体を確実に得ることができるといえる。また、さらに高い相対密度の焼結体を得るためには、同様に、炭酸カルシウム粉末および水酸化カルシウム粉末の平均粒径についても、さらに小さい平均粒径であることが必要となると推測できる。
以上のことから、本発明のSr−Ca−O焼結体の原料として、炭酸ストロンチウム粉末と、炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを用い、原料化合物粉末の平均粒径の範囲を適正なものとすることにより、高い相対密度かつ耐湿性の良好なSr−Ca−O焼結体を得ることができることが明らかとなった。
<実施例3のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
所定の炭酸ストロンチウム粉末とカルシウム化合物粉末(炭酸カルシウム)の割合を、ストロンチウム(Sr)元素およびカルシウム(Ca)元素のモル換算で、Sr:Ca=50mol%:50mol%になるように計り取り、さらに焼結助剤である酸化イットリウム粉末を、ストロンチウムとカルシウムとの合計量を酸化物換算したものに対して500ppmになるように計り取った。次に、計り取った原料の粉末を、アルコール、粉砕助剤液および焼結助剤をバインダーとともに、ナイロンボールを入れた樹脂製ポットに入れ、8時間粉砕・混合を行うことによって、混合スラリーを得た。この混合スラリーを樹脂製バットに入れて乾燥し、篩を用いて造粒をすることによって、造粒した混合粉末を得た。この造粒した混合粉末を、直径9.2mmの円柱状の金型に入れ、プレス機で500kgf/cm(49MPa)の圧力を印加することによって、相対密度50%以上、厚み3.0mmである成型体を形成した。この成型体を、MgOセッターに載せ、電気炉を用いて大気雰囲気中、温度1640℃で12時間焼成し、Sr−Ca−O焼結体を得た。また、参考例1等と同様に、原料の平均粒径、Sr−Ca−O焼結体の相対密度および水分吸収による重量増加率等の測定を行った。なお、実施例4〜10および13、参考例11および12についても同様の測定を行った。
<実施例4のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤である酸化イットリウム粉末の添加量を、ストロンチウムとカルシウムとの合計量を酸化物換算したものに対して5000ppmになるように計り取った以外は実施例3と同じようにして、Sr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例5のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤である酸化イットリウム粉末の添加量を、ストロンチウムとカルシウムとの合計量を酸化物換算したものに対して10000ppmになるように計り取った以外は実施例3と同じようにして、Sr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例6のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤として酸化セリウム粉末を用いた以外は実施例3と同じようにしてSr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例7のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤として酸化ジルコニウム粉末を用いた以外は実施例4と同じようにしてSr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例8のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤として酸化スカンジウム粉末を用いた以外は実施例4と同じようにして、Sr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例9のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤として酸化アルミニウム粉末を用いた以外は実施例4と同じようにしてSr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例10のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
焼結助剤として酸化クロム粉末を用いた以外は実施例4と同じようにしてSr−Ca−O焼結体を得た。
参考例11のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
電気炉を用いた焼成を、窒素雰囲気中で行った以外は参考例1と同じようにして、Sr−Ca−O焼結体を得た。
参考例12のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
電気炉を用いた焼成を、窒素雰囲気中で行った以外は参考例2と同じようにして、Sr−Ca−O焼結体を得た。
<実施例13のSr−Ca−O焼結体の製造方法>
電気炉を用いた焼成を、窒素雰囲気中で行った以外は実施例4と同じようにして、Sr−Ca−O焼結体を得た。
参考例1および2、実施例3〜10、参考例11および12、実施例13ならびに比較例1および2の結果を表1に示す。これらの結果から、焼結助剤として、酸化イットリウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化クロム粉末からなる群から選択される一つを用いた実施例3〜9および13の場合には、参考例1および2のSr−Ca−O焼結体よりさらに高い92.9%以上の相対密度のSr−Ca−O焼結体を得ることができることが明らかとなった。また、実施例3〜9および13の場合には、参考例1および2のSr−Ca−O焼結体と少なくとも同程度に、耐湿性に優れていることが明らかとなった。上述の焼結助剤を用いることによって優れた性質を有するSr−Ca−O焼結体を得ることができたので、上述の焼結助剤を複数種類組み合わせて用いる場合にも、同様な優れた性質を有するSr−Ca−O焼結体を得ることができるものと推測できる。
また、本発明のSr−Ca−O焼結体の製造工程において、窒素雰囲気のような不活性雰囲気中で焼結を行った場合(参考例11および12、実施例13)でも、大気雰囲気中で焼成したものと比べて高い相対密度および優れた耐湿性を有するSr−Ca−O焼結体を得ることができた。
以上のことから、本発明のSr−Ca−O焼結体の原料として、炭酸ストロンチウム粉末と、炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを用い、原料化合物粉末の平均粒径の範囲を適正なものとし、さらに、所定の焼結助剤を用い、所定の雰囲気で焼成し、焼結することにより、さらに高い相対密度かつ耐湿性の良好なSr−Ca−O焼結体を得ることができることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体の製造方法であって、
    平均粒径0.01〜15μmの炭酸ストロンチウム粉末と、平均粒径0.01〜15μmの炭酸カルシウム粉末および/または水酸化カルシウム粉末とを混合し、加圧し、相対密度50%以上の成型体を形成する工程と、
    成型体を、1200〜2400℃の温度範囲で焼結することにより焼結体を形成する工程と
    を含む、焼結体の製造方法であって、
    成型体を形成する工程において、酸化イットリウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化クロム粉末からなる群から選択される少なくとも一つ以上の焼結助剤をさらに混合し、
    焼結助剤の混合量が、ストロンチウムとカルシウムとの合計量を酸化物換算したものに対して50〜100000ppmである、製造方法
  2. 炭酸ストロンチウム粉末の平均粒径が、5.0μm以下である、請求項1記載の焼結体の製造方法。
  3. 焼結体を形成する工程において、成型体を、大気雰囲気中または窒素雰囲気中で焼結する、請求項1または2記載の焼結体の製造方法。
  4. 相対密度85%以上の、酸化ストロンチウムと酸化カルシウムとを主成分とする焼結体であって、
    酸化イットリウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化スカンジウム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化クロム粉末からなる群から選択される少なくとも一つ以上の焼結助剤をさらに混合し、焼結した焼結体であり、
    焼結助剤の混合量が、ストロンチウムとカルシウムとの合計量を酸化物換算したものに対して50〜100000ppmである、焼結体
  5. 焼結体の酸化ストロンチウム(SrO)および酸化カルシウム(CaO)の含有モル比率SrO:CaOが、20:80〜80:20の範囲である、請求項記載の焼結体。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載の製造方法によって得られる焼結体または請求項または記載の焼結体を用いたプラズマディスプレイパネル保護膜形成用ターゲット材。
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