JP5129710B2 - トルクセンサ - Google Patents
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Description
そこで、このような外乱の影響を廃することのできるトルクセンサとして、本発明者は、先に行った特許出願(特願2007-113770)において、トーションバーの捻れ量に応じて開口面積が変化する窓を通過させた磁束の位相変化より、トーションバーに加わるトルクを検出するトルクセンサを開示した。
そこで、本発明は、外乱の影響や回転速度に対する依存性を排して、精度良くトルクを検出することのできるトルクセンサを提供することを課題とする。
ここで、このようなトルクセンサは、前記トーションバーを、前記計測回路の接地レベルに電気的に接続することも好ましい。
このようにすることにより、トーションバーの回転に依存した誤差の発生を、より抑制できるようになる。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るトルクセンサの構成を示す。
ここで、図1aはトルクセンサの正面を、図1bはトルクセンサの左側面を、図1cはトルクセンサの右側面を、図1dはトルクセンサの断面を、それぞれ模式的に表している。
図示するように、本トルクセンサは、測定対象のトルクが入力側(図1a、dにおける右方)端と出力側(図1a、dにおける左方)端との間の捻れ方向の力として加えられるトーションバー10と、トーションバー10に当該トーションバー10の入力側で固定された入力側筒21と、トーションバー10に当該トーションバー10の出力側で固定された出力側筒22と、第1駆動コイル31と、第2駆動コイル32と、第1検出コイル41と、第2検出コイル42と、測定回路50とを有している。なお、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32とは直列に接続されている。
次に、入力側筒21は、非磁性導電体を用いて形成されており、同軸入れ子状に間隔をあけて配置された二つの両底面の無い中空の円筒形状部である内筒部と外筒部をトーションバー10の出力側端で連結した形状を有する。そして、入力側筒21の内側の円筒形状部である内筒部がトーションバー10の入力側に固定されている。また、入力側筒21は、出力側筒22の内側に、出力側筒22と同軸入れ子状に配置されるように設けられている。
また、第1駆動コイル31は、入力側筒21の内筒部と外筒部の間に、トーションバー10の回転軸と同軸状に巻き回した形態で、第1検出コイル41に、入力側筒21の外筒部と出力側筒22の側壁を介して対面するように配置され、第2駆動コイル32は、入力側筒21の内筒部と外筒部の間に、トーションバー10の回転軸と同軸状に巻き回した形態で、第2検出コイル42に、入力側筒21の外筒部と出力側筒22の側壁を介して対面するように配置されている。
なお、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32は、トルクセンサの全体すなわち静止系に対して固定的に設けてもよいし、入力側筒21と共に回転するように入力側筒21に対して固定して設けるようにしてもよい。また、第1検出コイル41と第2検出コイル42も、静止系に対して固定的に設けてもよいし、出力側筒22と共に回転するように出力側筒22に対して固定して設けるようにしてもよい。
すなわち、図2aに示すように、出力側筒22の側壁には、複数の周方向に並んだスリットである基準スリット61が設けられている。
また、図2bに示すように入力側筒21の外筒部の、第1駆動コイル31が第1検出コイル41と対面する部分には周方向に並んだスリットである第1検出用スリット62が、第2駆動コイル32が第2検出コイル42と対面する部分には周方向に並んだスリットである第2検出用スリット63が設けられている。
すなわち、図4aに示すように、測定回路50は、発振回路51と、第1差動増幅器52と、第2差動増幅器53と、位相差検出回路54とを有している。そして、発振回路51は、交流の駆動信号を生成して、直列に接続された第1駆動コイル31と第2駆動コイル32に印加して一次磁束を発生し、第1差動増幅器52は第1検出コイル41に誘起起電力によって生じる検出信号を増幅し、第2差動増幅器53は第2検出コイル42に誘起起電力によって生じる検出信号を増幅する。
図5a、bに、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32との発生磁束の方向を同じとしたときと、逆方向としたときの比較実験結果を示す。
この比較実験結果は、トーションバー10にトルクを加えることなく回転させたときに、位相差検出回路54が検出した位相差出力を、トーションバー10に加えたトルクとトーションバー10の捻じり角とが比例する範囲内の最大トルクを加えた場合の位相差出力FSに対する比率%で表したものである。なお、図5aと、図5bとは、入力側筒21の外筒部と出力側筒22の側壁との間隔とが異なる場合についてのものである。なお、この比例実験は、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32の駆動周波数を20kHzとし、スリット数を15、スリット長を6mm、スリット幅を2mmとし、入力側筒21の材質をアルミニウム合金(A5056)、厚みを2mmとし、出力側筒22の材質をアルミニウム合金(A5056)、厚みを2mmとし、入力側筒21と出力側筒22の間隔を0.5mm、入力側筒21と出力側筒22との間の間隙の中央位置までの回転中心軸からの距離(半径)を50mmとして行った。
ここで、このように、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32との巻き線の巻き方向を逆方向とすることにより、トーションバー10の回転に依存した誤差を抑制できるのは、トーションバー10の回転による電磁気的影響などの、トーションバー10の回転によって増幅される、第1駆動コイル31と第1検出コイル41を含んで構成される第1の磁気回路と第2駆動コイル32と第2検出コイル42を含んで構成される第2の磁気回路との二つの磁気回路間のアンバランスが、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32との発生磁束の方向を逆方向とすることにより解消されることによるものと考えられる。
なお、以上で説明してきた実施形態では、第1駆動コイル31と第2駆動コイル32を出力側筒22の外周側に設け、第1検出コイル41と第2検出コイル42を入力側筒21の内筒部と外筒部の間に配置するようにしてもよい。また、基準スリット61を入力側筒21に、第1検出用スリット62と第2検出用スリット63を出力側筒22に設けるように構成してもよい。また、入力側筒21をトーションバーの出力側に、出力側筒22をトーションバーの入力側に固定するようにしてもよい。
図2g1は、トーションバー10の捻れの如何によらず、第1検出用スリット62と第2検出用スリット63が、径方向に見て基準スリット61と重ならないように構成した場合を示しており、この場合には、トーションバー10に捻れに応じて、図2g2に示すように、第1検出用スリット62の基準スリット61に対する周方向の距離と、第2検出用スリット63基準スリット61に対する周方向の距離とに異なった変化が現れる。
したがって、このようにした場合でも、第1検出コイル41で検出される前述した第1磁束成分の強度と第2磁束成分の強度と第3磁束成分の強度との組み合わせと、第2検出コイル42で検出される第1磁束成分の強度と第2磁束成分の強度と第3磁束成分の強度との組み合わせは、トーションバー10に捻れ量に応じて異なったものとなるので、このようにしても測定回路50において、トーションバー10に捻れ量を検出できることになる。
ここで、トーションバー10を測定回路50の接地レベルへの接続は、たとえば、図6aに示すように、トーションバー10の両端側でトーションバー10を回動可能に支持する、潤滑材として導電性グリースが用いたベアリング110を設けて、トーションバー10とベアリングの外輪を導電させると共に、このベアリング110の外輪を測定回路50の接地レベルに接続することにより実現することができる。または、図6bに示すように、トーションバー10に対してスリップリング120を設け、スリップリング120を介してトーションバー10の電位レベルを接地レベルに接続するようにしてもよい。
ここで、このように、トーションバー10を測定回路50の接地レベルに接続することにより、トーションバー10の回転に依存した誤差を抑制できるのは、やはり、トーションバー10の回転による電磁気的影響などの、トーションバー10の回転によって増幅される、第1駆動コイル31と第1検出コイル41を含んで構成される第1の磁気回路と第2駆動コイル32と第2検出コイル42を含んで構成される第2の磁気回路との二つの磁気回路間のアンバランスが、トーションバー10の電位レベルを測定回路50の接地レベルに接続することにより解消されることによるものと考えられる。
Claims (3)
- トーションバーと、
前記トーションバーの一端に固定された、前記トーションバーと同軸状に配置された、非磁性導電体で形成した第1円筒と、
前記トーションバーの他端に固定された、前記第1円筒に挿入された形態で、前記トーションバーと同軸状に配置された、非磁性導電体で形成した第2円筒と、
測定部とを有し、
前記第1円筒と前記第2円筒とのうちの一方には基準スリットが設けられており、
前記第1円筒と前記第2円筒とのうちの前記基準スリットが設けられていない方には、軸方向の位置を異ならせて配置した第1検出用スリットと第2検出用スリットとが設けられており、
前記測定部は、
前記第2円筒の内周側と前記第1円筒の外周側とのうちの一方側に、前記トーションバーの回転軸と同軸状に配置した駆動コイルと、
前記第2円筒の内周側と前記第1円筒の外周側とのうちの前記駆動コイルが配置されていない方側に、前記トーションバーの回転軸と同軸状に配置した検出コイルと、
前記駆動コイルを交流駆動する駆動回路と、
計測回路とを有し、
前記第1検出用スリットと前記第2検出用スリットとは、各々前記基準スリットと軸方向位置が少なくとも一部重なるように配置され、かつ、前記第1検出用スリットと軸方向位置が重なる基準スリットの部分に対する前記第1検出用スリットの周方向の配置と、前記第2検出用スリットと軸方向位置が重なる基準スリットの部分に対する前記第2検出用スリットの周方向の配置とは異なっており、
前記駆動コイルは、軸方向の位置を異ならせて配置した第1駆動コイルと第2駆動コイルとより構成され、
前記検出コイルは、軸方向の位置を異ならせて配置した第1検出コイルと第2検出コイルとより構成され、
前記第1駆動コイルと前記第1検出コイルとは軸方向位置が前記第1検出用スリットと少なくとも一部重なるように配置され、前記第2駆動コイルと前記第2検出コイルとは軸方向位置が前記第2検出用スリットと少なくとも一部重なるように配置され、
前記計測回路は、前記第1検出コイルに誘起された電圧信号と前記第2検出コイルに誘起された電圧信号の位相差を検出し、
前記第1駆動コイルと前記第2駆動コイルとは、相互に発生磁束の方向が相互に逆方向となっていることを特徴とするトルクセンサ。 - 請求項1記載のトルクセンサであって、
前記基準スリットは、軸方向位置を異ならせて配置した、前記第1検出用スリットと軸方向位置が少なくとも一部重なる第1基準スリットと、前記第2検出用スリットと軸方向位置が少なくとも一部重なる第2基準スリットとより構成されていることを特徴とするトルクセンサ。 - 請求項1または2記載のトルクセンサであって、
前記トーションバーは、前記計測回路の接地レベルに電気的に接続していることを特徴とするトルクセンサ。
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