JP5129671B2 - サラシア属植物の葉の粉砕物を配合した麺類 - Google Patents
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また、緑色は「安全」、「自然」をイメージさせるものであり、食品には必要な色調であり、特に、明るい黄緑色は食欲をそそる色調と言われている。したがって、茶蕎麦のみならず、天然色素を含有する物質を添加して緑色麺類を製造しようとする種々の試みがなされている。
しかしながら、植物葉を用いて麺類を製造した場合においては、従来、緑色麺類の安定な緑色を確保することと、良好な食感の麺類を得ることの二つの問題を同時に満足させるものが少なかった。
したがって、調理などの工程で、水洗、茹でなどの操作を行い、アルカリ度を低くする必要がある。また、植物葉の収斂性や苦みが強すぎる場合には、その混合量も抑えられるため着色料の添加が必要となるし、パサパサしすぎる場合には、麺類に歯ごたえを付与するためにツナギのためにさらに食品素材の添加が必要になる。
したがって、植物の葉の粉砕物を配合した場合であっても、植物の葉が有する緑色を維持し、緑色が美しく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類の提供が期待されている。
したがって、本発明は、植物葉以外の緑色色素を添加せずに緑色麺類を製造すること、および植物葉を高濃度含有する緑色麺類を製造することを可能にするものである。
すなわち、本発明は、サラシア属植物の葉を乾燥して、粉砕したものを麺原料に混合し、製麺することにより得られた緑色麺類である。
葉の粉砕物としては、微粉砕物であっても、荒粉砕物であってもよい。すなわち、微粉砕物は100メッシュの篩を通過するごく微粉末であり、荒粉砕物は目視で葉の切片が確認できる程度の、例えば、約10mm四方のものであり、本発明にあってはこの範囲内におけるどの粉砕物を使用しても、目的とする緑色麺類を製造することができる。
また、本発明において、サラシア属植物の葉とともに、サラシア属植物の根や幹などが混合していてもよい。
また、本発明の麺類は、生麺類、乾燥麺類、半乾燥麺類、茹麺類、蒸麺類、冷凍麺類などのいずれの形態であってもよい。
穀粉類として、より具体的には、小麦粉、蕎麦粉、未加工澱粉類、加工澱粉類、米粉、大麦粉、大豆粉等等を挙げることができる。小麦粉としては強力粉、中力粉、薄力粉のいずれであってもよいが、強力粉が好ましく使用される。
サラシア属植物葉の麺類への添加量は、麺類の原料に対して0.1重量%〜20重量%程度、特に、好ましくは全原料の0.5重量%から10重量%程度を配合するのがよい。
20重量%を超える添加では所望の麺類の物性が好ましいものではなく、また0.1重量%未満であると、目的とする緑色の着色が不十分となる。
なお、このサラシア属植物の微粉砕物を混合して麺類を製造したところ、茶葉などに比べて、麺のツナギがよくなり、いわゆる麺類の腰が強くなり、物性面でも嗜好性が向上することが判明した。
さらに、提供する着色麺が茹麺類や冷凍麺類である場合には、その茹で処理或いは冷凍処理は、従来から行われている方法で適宜行うことができる。
なお、下記に示す実施例は、本発明の理解のためであり、これらに限定されるものではない。
練り水(食塩:250g、乳酸ナトリウム:500g、酒精:1kg、水:8.5kg)を調製した。
一方、下記のレシピからなるパスタ材料を用いた。
(1)小麦粉 12.5kg
(2)強力粉 12.5kg
(3)サラシア レティキュラータ葉の粉砕物
(粉砕粒度40メッシュ以下) 1kg
(4)卵白粉 500g
(5)サラダ油 600g
この混合物に上記の練り水を添加して、ミキサーでよく混合攪拌して生地を調製した。得られた生地を、自動製麺機で圧延して麺帯とした。得られた麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色パスタを得た。
かくして調製された緑色パスタを熱湯で3分程度茹で上げた場合、茹で上げられた緑色パスタは、色が鮮やかであり、香味も、また歯ごたえも良好な、よい品質のパスタであった。
また、上記で切り出した緑色パスタをビニール製の袋に封入後、紫外線のもとに3週間静置したところ、変色は見られなかった。
小麦粉:100kgとサラシア レティキュラータ葉の粉砕物(40メッシュ以下)4kgを混合し、これに食塩3kg及び水33kgから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、自動製麺機で圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどんを得た。
得られた緑色うどんを熱湯で4分程度茹で上げた場合、色が鮮やかで、香味も、歯ごたえもよい品質のうどんが調製された。
また、上記で切り出した緑色麺線を乾燥して乾麺を得た。この乾麺を1ヶ月貯蔵したところ褪色はほとんど認められなかった。
さらにこの乾麺を、熱湯で5分間茹で上げた場合、茹で上がったうどんは、鮮やかな緑色呈しており、その食感も良好なものであった。
そば粉30kg、小麦粉70kg及びサラシア レティキュラータ葉の微粉末(80メッシュ以下)3kgをよく混合し、そこに水26kgを徐々に加え、よく捏ねる常法での処理し付し、麺帯を調製した。この麺帯を常法により麺線に切り出し緑色生そばを得た。
得られた緑色生そば、色が鮮やかであり、熱湯で2.5分程度茹で上げた場合、香味も、歯ごたえもよい品質を有するそばに茹で上がった。
特に、小麦粉そば粉に対してつなぎの役割を果たしているが、サラシア属植物の葉を添加することによって、そばの歯触りがさらに向上し、パサパサ感が一層改善された。この緑色生そばを7日間冷蔵庫に保管したところ褪色は殆どなく、さらにこの生そばを熱湯で3.5分茹で上げた場合の食感も良好であった。
サラシア レティキュラータ葉および茶葉を粉砕し、それぞれ40メッシュ以下の粉砕物を得、それぞれ以下の配合で緑色そばを製造し、製造時の色調の安定性を評価した。
(1)サラシア レティキュラータ葉配合の緑色そば
そば粉125g、サラシア レティキュラータ葉5gを混合し、湯100mLを加えながら混合物を捏ねて麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、緑色そば(サラシア植物葉)を得た。
(2)茶葉配合の緑色そば
そば粉125g、茶葉5gを混合し、湯100mLを加えながら混合物を捏ねて麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、緑色そば(茶葉)を得た。
特に、混合粉末を捏ねた後、茶葉混合そば粉は色調の変化が激しく、15分で、さらに色が濃くなり、褐色に近づいていった。しかし、サラシア植物葉混合そば粉の色調は変化せず、明るい緑色のままであった。
両者をそれぞれ圧延して麺帯とし、この麺帯を常法により麺線に切り出し緑色生そばを得た。得られた緑色そば(サラシア植物葉)は明るい緑色のそばであったが、緑色そば(茶葉)は色調がやや褐色を帯びており、さらにその傾向が強まった。
サラシア レティキュラータ葉および茶葉を粉砕し、それぞれ40メッシュ以下の粉砕物を得、それぞれ以下の配合で緑色うどんを製造し、製造時の色調の安定性を評価した。
(1)サラシア レティキュラータ葉配合の緑色うどん
小麦後(中力粉)100g、サラシア レティキュラータ葉5g、これに食塩5g及び水52mLから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどん(サラシア植物葉)を得た。
(2)茶葉配合の緑色うどん
小麦後(中力粉)100g、茶葉5g、これに食塩5g及び水54mLから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどん(茶葉)を得た。
サラシア植物葉配合うどんは捏ねている間も、色調の変化が見られなかったが、茶葉配合うどんはどんどん色調が変化し、明るい緑色、濃緑食、褐色がかった緑色と変化していった。
また、緑色うどん(サラシア植物葉)は、食する際、4分熱湯で茹でても色調の変化がなく明るい緑色だった。また、香りもおだやかで、味も支障はなかった。しかしながら、緑色うどん(茶葉)は、食する際、4分熱湯で茹でると明るい緑色から濃緑食に色調が変化した。また、茶の香りが強く、渋みが感じられた。
したがって、本発明により、食感に優れた種々の緑色麺類が提供され、味の収斂性が高濃度でも弱く、麺類生地がパサパサにならないこと等の利点を有するものであることから、嗜好家の要望を満足させるものである。
Claims (3)
- サラシア属植物の葉を120℃以下で乾燥させ、粉砕して得たサラシア属植物の葉の粉砕物を、麺類の原料に対して0.1重量%〜20重量%配合したことを特徴とする緑色麺類。
- サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であることを特徴とする請求項1に記載の緑色麺類。
- 麺類が、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の緑色麺類。
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