JP7449176B2 - 麺類の製造方法及び麺類の食感の改善方法 - Google Patents

麺類の製造方法及び麺類の食感の改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、澱粉分解酵素阻害物質を含有する麺類に関する。
過剰の栄養摂取はインスリンの大量分泌を誘導することによって間接的に代謝バランス崩壊の原因となり、耐糖能の低下(高血糖)、糖尿病、高脂血症、動脈硬化等につながる。特に、糖尿病患者ではインスリン作用が不足し耐糖能が低下しているので、食後の血糖値の上昇が著しく、毛細血管の損傷や動脈硬化などの合併症の原因となっている。これらの疾患の予防及び治療には、摂取した澱粉を糖に分解する澱粉分解酵素の活性を阻害する澱粉分解酵素阻害物質が有効であることが知られている。
特許文献1には、澱粉分解酵素阻害物質の一種であり、アミラーゼの活性を阻害するアミラーゼ阻害物質が添加された麺類が開示されている。また特許文献2には、従来生薬として使用されてきたニシキギ科(Celastrineae)に属する植物であるサラシア プリノイデス(Salacia prinoides)からの抽出物が、特異的にα-グルコシダーゼの活性を腸管レベルにおいて阻害する特性を有し抗糖尿病剤として有用であることが開示され、該抽出物をうどんなどの食品に添加することも開示されている。
特開平9-172999号公報 特開平11-29472号公報
麺類は、粘弾性や滑らかさなどに由来する独特の食感を持つ食品であり、麺類の食感の向上は本技術分野の主要な課題の1つである。特に近年は、茹で調理等がされた調理済み麺類が冷蔵又は冷凍状態で保存・流通・販売されることが普及しているところ、このような調理済み冷蔵又は冷凍麺類は食感の点で改善の余地がある。
本発明の課題は、冷蔵又は冷凍保存しても食感が良好な麺類を提供することである。
本発明者は、麺類の食感向上を課題として種々検討した結果、従来糖尿病等の疾病の予防及び治療に使用されてきた澱粉分解酵素阻害物質を麺類に配合することで、特に澱粉類とともに麺類に配合することで、粘弾性に優れ食感が良好で、冷蔵又は冷凍保存してもその良好な食感を維持し得る麺類が得られることを知見した。特許文献1,2には、澱粉分解酵素阻害物質(アミラーゼ阻害物質、サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質)が麺類の食感向上に有用であることは開示されていない。また本発明者は、麺類の食感向上に特に有用な澱粉分解酵素阻害物質として、サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質であるサラシノールを見出したが、サラシノールは有色(非白色)であるためこれを麺類に配合すると麺類の外観低下を招くことが懸念される。しかし本発明者は、内層及び外層を備える多層麺類における該内層にサラシノールを配合することで、斯かる懸念を払拭できることも知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、穀粉類を含有する生地原料を用いて生地を調製する工程を有する、麺類の製造方法であって、前記穀粉類は、小麦粉を20~85質量%及び澱粉を15~80質量%含有し、前記生地原料は、前記穀粉類に加えて更に、澱粉分解酵素阻害物質を含有する、麺類の製造方法である。
また本発明は、前記知見に基づきなされたもので、麺線の横断面視において、該麺線の表面を形成する外層と、該外層よりも内側に位置して該外層と隣接する内層とを有する、麺類の製造方法であって、穀粉類を含有する生地原料を用いて、前記外層及び前記内層それぞれの生地を調製する工程を有し、前記内層の生地原料は、前記穀粉類に加えて更に、サラシア属植物由来のαグルコシダーゼ阻害物質を含有し、前記内層の生地原料における前記サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量が、該生地原料に含有される前記穀粉類100質量部に対して0.0001質量部以上である、麺類の製造方法である。
本発明によれば、冷蔵又は冷凍保存しても食感が良好な麺類が提供される。
図1(a)~図1(k)は、それぞれ、本発明の製造方法によって製造され得る多層麺類の一実施形態の横断面を模式的に示す横断面図である。
本発明の麺類の製造方法は、穀粉類を含有する生地原料を用いて生地を調製する工程(生地調製工程)を有する。ここでいう「穀粉類」には、穀粉及び澱粉が含まれる。また、ここでいう「澱粉」は特に断らない限り、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指し、穀粉中に本来的に内在する澱粉とは区別される。
本発明は生地原料として、小麦粉及び澱粉をそれぞれ特定量含有する穀粉類と澱粉分解酵素阻害物質とを含有するものを使用する点で特徴付けられる。
本発明で使用する澱粉分解酵素阻害物質としては、澱粉を糖に分解する酵素の活性を阻害し得る食用の物質であればよく、例えば、アミラーゼの活性を阻害する作用を有するアミラーゼ阻害物質、α-グルコシダーゼの活性を阻害する作用を有するα-グルコシダーゼ阻害物質などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明で使用する澱粉分解酵素阻害物質は、併用される穀粉類とは別体のものであり、併用される穀粉類に内在され得る澱粉分解酵素阻害物質(例えば小麦アルブミン)は除かれる。
アミラーゼ阻害物質の具体例として、小麦アルブミン、特に小麦アルブミンの一種である、配列番号2で表されるサブユニット2個からなる蛋白質(以下「0.19AI」とも言う。)が挙げられる。0.19AIの調製法については、本出願人の先の出願に係る特開平7-41499号公報に具体的に記載されている。特許文献1に記載されているアミラーゼ阻害物質を用いることもできる。
α-グルコシダーゼ阻害物質の具体例として、サラシア属植物由来のもの(サラシノール、コタラノールなど)、グァバ葉ポリフェノール、桑葉エキス(ELM)、ギンナリンA、トウチエキス、ケルセチンなどが挙げられる。特許文献2に記載されているα-グルコシダーゼ阻害物質を用いることもできる。
澱粉分解酵素阻害物質として特に好ましいもの、すなわち麺類の食感向上に特に有効なものはα-グルコシダーゼ阻害物質であり、その中でも特にサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質が好ましく、とりわけサラシノールが好ましい。本発明では澱粉分解酵素阻害物質として、サラシア属植物から抽出された組成物であってサラシノールを含有するもの(以下、「サラシア抽出物」とも言う。)が好ましく用いられる。
生地原料における澱粉分解酵素阻害物質の含有量は、澱粉分解酵素阻害物質による作用効果(麺類の食感向上効果)が確実に奏されるよう、澱粉分解酵素阻害物質の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
澱粉分解酵素阻害物質がα-グルコシダーゼ阻害物質(例えばサラシア属植物由来のもの、具体的にはサラシノール)である場合、生地原料におけるα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量は、該生地原料に含有される穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.0005質量部以上、更に好ましくは0.0009質量部以上である。生地原料におけるα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量の上限については特に制限されないが、効果とコストとのバランスの観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。特にα-グルコシダーゼ阻害物質としてサラシア抽出物を用いる場合は、サラシア抽出物による麺類の色調への影響を最小限に抑える観点から、生地原料におけるサラシア抽出物の含有量の上限として、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
澱粉分解酵素阻害物質がアミラーゼ阻害物質(例えば小麦アルブミン)である場合、生地原料におけるアミラーゼ阻害物質の含有量は、該生地原料に含有される穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上である。生地原料におけるアミラーゼ阻害物質の含有量の上限については特に制限されないが、効果とコストとのバランスの観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
生地原料として使用される穀粉類に含まれる小麦粉としては、本技術分野で使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉、ふすま粉などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい小麦粉として、強力粉、中力粉、デュラム粉、全粒粉が挙げられる。
生地原料として使用される穀粉類に含まれる澱粉としては、本技術分野で使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、甘藷澱粉などの未加工澱粉;未加工澱粉を加工(例えば、架橋、リン酸化、アセチル化、エーテル化、酸化、α化など)した加工澱粉が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい澱粉として、タピオカ澱粉及びこれを加工した加工タピオカ澱粉が挙げられ、とりわけ加工タピオカ澱粉が好ましい。好ましい加工タピオカ澱粉の具体例として、タピオカ澱粉にアセチル化、エーテル化及び架橋からなる群より選択される1種以上の加工を施してなる加工タピオカ澱粉が挙げられる。ここで好ましいとされる澱粉は、特に高い老化耐性を有し、冷蔵又は冷凍保存に起因する麺類の食感低下を効果的に抑制し得るため、併用される澱粉分解酵素阻害物質による作用効果と相俟って、冷蔵又は冷凍保存しても食感が良好な麺類の提供という課題を一層確実に実現し得る。
生地原料として使用される穀粉類における小麦粉の含有量は、該穀粉類の全質量(合計質量)に対して20~85質量%、好ましくは30~75質量%、より好ましくは40~70質量%である。
生地原料として使用される穀粉類における澱粉の含有量は、該穀粉類の全質量(合計質量)に対して15~80質量%、好ましくは25~70質量%、より好ましくは30~60質量%である。
生地原料として使用される穀粉類における小麦粉及び澱粉の含有量が前記の特定範囲から外れると、食感が良好な麺類の提供が困難になるおそれがある。
本発明で使用する生地原料には、前述した小麦粉、澱粉及び澱粉分解酵素阻害物質以外の他の原料を含有させてもよい。他の原料としては、本技術分野で使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、小麦粉以外の穀粉(米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦粉、ライ麦粉など);小麦蛋白、小麦グルテン、大豆蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、膨張剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、アルコール、保存剤、酵素剤、食物繊維、デキストリン(難消化性含む)、増粘剤、保水剤、pH調整剤、酸化還元剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る生地調製工程は、前述した生地原料を用いて常法に従って行うことができる。生地調製工程は典型的には、生地原料に加水した後、該生地原料を公知のミキサー等を用いて混捏することにより行われ、そうすることで目的の生地が得られる。生地原料に対する加水量は特に制限されず、製造する麺の種類等に応じて適宜調整することができるが、通常は、生地原料100質量部に対して25~55質量部程度である。
本発明の麺類の製造方法は、典型的には、生地調製工程で得られた生地を、一方向に長い形状を有する麺線に製麺する工程(製麺工程)を有する。本発明に係る製麺工程において、生地の製麺方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。本発明で採用可能な製麺方法の一例として、圧延製麺、ロール製麺、押出製麺などの各種製麺法により、生地に圧力をかけて伸ばして麺帯を得、該麺帯を切り出して麺線を得る方法が挙げられる。本発明で採用可能な製麺方法の他の一例として、生地に圧力をかけて押出製麺する方法が挙げられる。押出製麺は、パスタ製造用の一軸押出製麺機や二軸押出製麺機等を用いて常法に従って行うことができ、その際、押出製麺機の麺線の押出部に所望の形状の孔を有するダイスを設置して押出し成形することで、その孔に対応した形状の麺線が得られる。麺線の横断面の形状は特に限定されず、円形、方形、楕円形、三角形などの何れの形状であってもよい。
本発明の製造方法の製造目的物である麺類は、調理後にチルド状態又は冷凍状態とされて保存、流通及び/又は販売されるものであり得る。その場合、本発明の麺類の製造方法は、典型的には、製麺工程で得られた麺線を調理して調理済み麺類を得る工程(調理工程)と、該調理済み麺類をチルド状態又は冷凍状態にする工程とを有する。
本発明に係る調理工程に供される麺線は、生麺でも乾麺でもよい。生麺としては、製麺工程で得られた麺線をそのまま用いることができ、乾麺としては、製麺工程で得られた麺線を熱風乾燥等の公知の乾燥方法によって乾燥したものを用いることができる。
麺線(生麺又は乾麺)の調理方法は特に制限されず、典型的には、水分存在下での加熱処理(α化処理)であり、具体的には例えば、茹で処理、蒸し処理が挙げられる。
前記の「チルド状態」とは、調理済み麺類が好ましくは0℃超10℃以下の温度で冷蔵されている状態を指す。また、前記の「冷凍状態」とは、調理済み麺類が好ましくは凍結されている状態を指す。調理済み麺類をチルド状態又は冷凍状態とすることは、常法に従って行うことができる。
本発明の製造方法で製造する麺類には、麺線の横断面視、すなわち麺線の長手方向と直交する方向に沿う断面視において単一の層からなるもの(以下、「単層麺類」とも言う。)と、麺線の横断面視において複数の層からなるもの(以下、「多層麺類」)とも言う。)とが包含される。単層麺類の製造方法は前述したとおりである。以下、多層麺類の製造方法について、単層麺類の製造方法と異なる点を中心に説明する。多層麺類の製造方法について特に説明しない点は、前述した製造方法についての説明が適宜適用される。
図1(a)~(k)には、本発明の製造方法で製造され得る多層麺類の麺線の一実施形態の横断面が示されている。本発明の製造方法で製造する多層麺類は、麺線の横断面視において、該麺線の表面を形成する外層1と、該外層1よりも内側に位置して該外層1と隣接する内層2とを有する。
図1(a)~(e)に示す多層麺類は、それぞれ横断面視において、相対向する二層の外層1,1の間に1又は複数の内層2が介在された積層構造を有する。図1(a)及び(c)~(e)に示す多層麺類は三層構造であるのに対し、図1(b)に示す多層麺類は、二層の外層1,1の間に二層の内層2,2が介在され、更にこの二層の内層2,2の間に一層の中央層3が介在された五層構造である。中央層3は、典型的には、外層1と組成が同じである。これら積層構造の多層麺類のうち、図1(a)~(b)に示す多層麺類は、横断面視において内層2の厚みがその全長にわたって略一定であるのに対し、図1(c)~(e)に示す多層麺類は、横断面視において内層2の厚みが麺線の中央から外方に向かうに従って漸次減少し、且つ麺線の表面で内層2の厚みが最小となっている。
図1(f)~(k)に示す多層麺類は、それぞれ横断面視において、1又は複数の内層2と、該内層2を包囲する外層1とを有し、該外層1は連続している。
本発明の多層麺類の製造方法は、穀粉類を含有する生地原料を用いて、内層及び外層それぞれの生地を調製する工程(生地調製工程)を有する。生地調製工程で得られた生地は、製麺工程で麺線とされる。
図1(a)~(e)に示す積層構造の多層麺類を得るための製麺方法は、例えば、内層及び外層それぞれの生地を圧延する工程と、圧延された複数の生地を複合(積層)して麺帯を形成する工程と、該麺帯を麺線へ切り出す工程とを備える。
図1(f)~(k)に示す多層麺類を得るための製麺方法は、例えば、生地に圧力をかけて麺線に押し出す工程を備える。
本発明の多層麺類の製造方法は、前述した、麺線の調理工程及び調理済み麺類をチルド状態又は冷凍状態にする工程を有していてもよい。
内層の生地原料は、穀粉類に加えて更に、サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質を含有する。サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質としてはサラシノールが特に好ましい。
内層の生地原料におけるサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量は、該生地原料に含有される穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.0005質量部以上、更に好ましくは0.0009質量部以上である。内層の生地原料におけるサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量の上限については特に制限されないが、前述した澱粉分解酵素阻害物質の含有量の上限と同様の理由から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。
内層の生地原料として使用される穀粉類における小麦粉の含有量は、該穀粉類の全質量(合計質量)に対して、好ましくは20~85質量%、より好ましくは30~75質量%、更に好ましくは40~70質量%である。
内層の生地原料として使用される穀粉類における澱粉の含有量は、該穀粉類の全質量(合計質量)に対して、好ましくは15~80質量%、より好ましくは25~70質量%、更に好ましくは30~60質量%である。
一方、外層の生地原料については、穀粉類に加えて更に、サラシノールに代表されるサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質を含有させてもよいが、これを含有させることで懸念される、麺類の白色度合いの低下に伴う外観の低下を防止する観点から、含有させないことが好ましい。ここでいう、「サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質を含有させない」とは、麺類(多層麺類)を外部から観察した場合の色調が実質的に変化しない程度の少量のサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼを含有させることを許容する趣旨である。斯かる趣旨の下、外層の生地原料におけるサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量は、該生地原料に含有される穀粉類100質量部に対して、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
外層の生地原料として使用される穀粉類における小麦粉の含有量は、該穀粉類の全質量(合計質量)に対して、好ましくは30~100質量%、より好ましくは40~90質量%、更に好ましくは50~85質量%である。
外層の生地原料として使用される穀粉類における澱粉の含有量は、該穀粉類の全質量(合計質量)に対して、好ましくは0~70質量%、より好ましくは10~60質量%、更に好ましくは15~50質量%である。
図1を参照して、外層1の厚みD1と内層2の厚みD2との比率は、麺類の食感及び外観(色調)の向上等の観点から、前者(D1)/後者(D2)として、好ましくは0.25~2/1、より好ましくは0.35~1.5/1である。麺線の表面を形成する外層1とこれに隣接する内層2とを通る仮想直線を引いた場合に、該仮想直線における該外層1との重複部分の長さが「厚みD1」、該仮想直線における該内層2との重複部分の長さが「厚みD2」である。
例えば図1(d)に示すように、麺線の横断面視において厚みD1,D2が一定でない場合は、厚みD2が最大となる部分を前記仮想直線が通るときに、厚みD1,D2の比率が前記範囲内となることが好ましい。また、製麺工程後で且つ未調理、未冷蔵、未冷凍の状態において、厚みD1,D2の比率が前記範囲内となることが好ましい。
本発明には、澱粉を含有する麺類の食感の改善方法であって、該麺類に澱粉分解酵素阻害物質を配合する、麺類の食感の改善方法が包含される。本発明の麺類の食感の改善方法については、前述した本発明の麺類の製造方法についての説明が適宜適用される。
本発明の麺類の食感の改善方法の好ましい一実施形態として、小麦粉を20~85質量%及び澱粉を15~80質量%含有する穀粉類と、澱粉分解酵素阻害物質(好ましくはサラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質、より好ましくはサラシノール)とを含有する生地原料を用いて、生地を調製する工程を有するものが挙げられる。
本発明が適用可能な麺類の種類は特に限定されず、例えば、中華麺、つけめん、焼きそば、素麺、冷麦、うどん、そば、パスタ等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例1及び3は参考例である。
〔実施例1~6、比較例1~4、対照例1~4:単層麺類の製造〕
表1~2に示す配合で生地を調製し、その生地を用いて単層麺類であるうどんを製造した。具体的には、穀粉類及びグルテンの混合物に、食塩及び澱粉分解酵素阻害物質が添加された水を加え、市販のミキサーでミキシングして生地を調製した。次に、得られた生地を、製麺ロールを用いて圧延・複合して単層構造の麺帯を作製し、該麺帯を切り刃(♯10角)で麺線に切り出して、厚み3mmの単層構造の生麺線を製造した。次に、得られた生麺線を沸騰水で10分間茹で調理し、湯から取り出して水道水で水洗冷却して調理済み麺類を得た。得られた調理済み麺類を水切りした後、庫内温度10℃の冷蔵庫に24時間保存して、調理済みチルド麺類を得た。
前記の麺類の製造で使用した主な原材料の詳細は下記のとおり。
・小麦粉:中力小麦粉、日清製粉株式会社製、商品名「雀」
・アセチルタピオカ澱粉:株式会社J-オイルミルズ製、商品名「A700」
・エーテルタピオカ澱粉:松谷化学工業株式会社製、商品名「ゆり」
・アセチル架橋タピオカ澱粉:松谷化学工業株式会社製、商品名「バラ」
・小麦アルブミン:特許文献1の[0034]~[0040]の記載に準じて調製したアルブミン製剤(0.19AIの含有量30~32質量%)
・サラシア抽出物:タカノ株式会社製、サラシアエキス粉末(サラシノールの含有量約0.3質量%)
〔実施例7~9、対照例5~7:多層麺類の製造〕
表3に示す配合で生地を調製し、その生地を用いてうどんを製造した。実施例8~10は図1(a)に示す三層構造の多層麺類、対照例4~6は単層麺類とした。多層麺類及び単層麺類ともに、生地は、穀粉類に、食塩及び澱粉分解酵素阻害物質が添加された水を加え、減圧(-0.093MPa)下で混捏し、その混捏物を圧延することで調製した。
多層麺類の場合、内層用生地及び外層用生地ともに厚みを8mmとした。2枚の外層用生地の間に1枚の内層用生地を配置・積層し、更に圧延して、外層と内層との厚みの比率が外層/内層/外層=1/1/1の三層構造の麺帯を作製し、該麺帯を切り刃(♯10角)で麺線に切り出して、厚み3mmの三層構造の生麺線を製造した。
単層麺類の場合、生地の厚みを8mmとした。生地を、製麺ロールを用いて圧延・複合して単層構造の麺帯を作製し、該麺帯を切り刃(♯10角)で麺線に切り出して、厚み3mmの単層構造の生麺線を製造した。
次に、得られた生麺線を沸騰水で10分間茹で調理し、湯から取り出して水道水で水洗冷却して調理済み麺類を得た。得られた調理済み麺類を水切りした後、庫内温度10℃の冷蔵庫に24時間保存して、調理済みチルド麺類を得た。
〔評価試験〕
各実施例、比較例及び対照例の調理済みチルド麺類を、沸騰水で10分間茹で調理して喫食可能な状態とした上で、10名の専門パネラーに食してもらい、その際の食感を下記の評価基準に従って評価してもらった。結果を10名の評価点の平均値として下記表1~3に示す。
<食感の評価基準>
表1、3については、AないしC群それぞれにおいて対照例と実施例又は比較例とを比較し下記の評価基準で評価した。表2については、表2中の対照例と実施例とを比較して下記の評価基準で評価した。
5点:対照例よりも粘弾性に優れる。
4点:対照例よりもやや粘弾性に優れる。
3点:対照例と同等の粘弾性を有する。
2点:対照例よりもやや粘弾性に劣る。
1点:対照例よりも粘弾性に劣る。
Figure 0007449176000001
表1のA群において、各比較例が対照例に比べて食感に優れていたことから、澱粉分解酵素阻害物質がチルド状態の調理済み麺類の食感の向上に有効であることがわかる。表1のB群及びC群は、生地原料にアセチルタピオカ澱粉が含有されている点で表1のA群と異なるが、傾向としてはA群と同じであった。しかし、表1のC群の実施例は、表1のB群の比較例に比べて食感に優れていたことから、穀粉類における小麦粉の含有量は90質量%未満が好ましく、穀粉類における澱粉の含有量は10質量%を超える範囲が好ましいことがわかる。
Figure 0007449176000002
表2に示すとおり、各実施例は生地原料に澱粉分解酵素阻害物質が含有されているため、これを満たさない対照例に比べて食感に優れていた。また、表2中の実施例のうち、澱粉分解酵素阻害物質としてサラシア抽出物(サラシノール)を用いたものが特に高評価であったことから、麺類の食感向上にはサラシノールが特に有用であることがわかる。
Figure 0007449176000003
表3のAないしC群の何れにおいても、多層麺類である実施例は、単層麺類である対照例に比べて食感に優れていた。また単層麺類は、サラシア抽出物の影響で白色度合いが低下して外観の点で難があったが、多層麺類は、サラシア抽出物が内層のみに含有され、外層には含有されていないため、白色度合いの低下が抑制され外観も良好であった。
1 外層
2 内層
3 中央層

Claims (10)

  1. 穀粉類を含有する生地原料を用いて生地を調製する工程を有する、麺類の製造方法であって、
    前記穀粉類は、小麦粉を20~85質量%及び澱粉を15~80質量%含有し、
    前記生地原料は、前記穀粉類に加えて更に、澱粉分解酵素阻害物質を含有し、
    前記澱粉分解酵素阻害物質はα-グルコシダーゼ阻害物質である、麺類の製造方法。
  2. 前記α-グルコシダーゼ阻害物質は、サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質を含有する、請求項に記載の麺類の製造方法。
  3. 前記サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質は、サラシノールを含有する、請求項に記載の麺類の製造方法。
  4. 前記生地原料における前記α-グルコシダーゼ阻害物質の含有量が、該生地原料に含有される前記穀粉類100質量部に対して0.0001質量部以上である、請求項又はに記載の麺類の製造方法。
  5. 麺線の横断面視において、該麺線の表面を形成する外層と、該外層よりも内側に位置して該外層と隣接する内層とを有する、麺類の製造方法であって、
    穀粉類を含有する生地原料を用いて、前記外層及び前記内層それぞれの生地を調製する工程を有し、
    前記内層の生地原料は、前記穀粉類に加えて更に、サラシア属植物由来のαグルコシダーゼ阻害物質を含有し、
    前記内層の生地原料における前記サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質の含有量が、該生地原料に含有される前記穀粉類100質量部に対して0.0001質量部以上である、麺類の製造方法。
  6. 前記内層の生地原料は、小麦粉を20~85質量%及び澱粉を15~80質量%含有する、請求項に記載の麺類の製造方法。
  7. 前記外層の生地原料は、サラシア属植物由来のα-グルコシダーゼ阻害物質を含有しない、請求項又はに記載の麺類の製造方法。
  8. 前記外層の厚みと前記内層の厚みとの比率が、前者/後者として0.25~2/1である、請求項の何れか1項に記載の麺類の製造方法。
  9. 前記麺類は、調理後にチルド状態又は冷凍状態とされて保存、流通及び/又は販売されるものである、請求項1~の何れか1項に記載の麺類の製造方法。
  10. 澱粉を含有する麺類の食感の改善方法であって、該麺類に澱粉分解酵素阻害物質を配合し、
    前記澱粉分解酵素阻害物質はα-グルコシダーゼ阻害物質である、麺類の食感の改善方法。
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