JP5128692B2 - U形シール - Google Patents
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Description
上述のような従来のU形シール41は、ロッドシールやピストンシールとして、ロッド軸心と平行な方向に凹溝43が開口し、さらに、横断面三角山型のリップ45,46を有している。
しかし、従来のこのようなU形シールを平面シール用として、スクロールコンプレッサ等に適用しようとしても、密封安定性に欠ける場合があり、また、早期摩耗を生じて適用が至難であることが判明した。
特に、スクロールコンプレッサのスクロール盤等は偏芯回転運動を行いつつ前記リップ45に摺接し、かつ、スクロール盤の被密封平面の切削加工ツールマークの方向と上記偏芯回転運動等の複雑な運動との組合せ等により密封性に悪影響が出やすい。
また、上記シール本体の上記側壁部の表面粗さは、算術平均粗さRaの表記で、 6.3a以下に形成されているものである。
図1に於て、本発明に係るU形シールS1 ,S2 が適用された密封構造を例示し、スクロールコンプレッサ2の偏芯回転運動Mを行うスクロール盤3と、固定ケーシング4の間の平面状微小間隙Gの密封を行う。
図2は図1のY部を拡大した詳細図であり、この図1と図2に示すように、一軸心L4 を中心として同心円状に大径・小径のU形シールS1 ,S2 が配設される。
そして、図3に大径側のU形シールS1 を例示し、図4に小径側のU形シールS2 を例示する。
さらに詳しく説明すれば、樹脂製シール本体10は、全体が円環状であって、図3ではラジアル内方向へ凹溝11が開口し、また、図4では、ラジアル外方向へ凹溝11が開口して、いずれも、底壁部13と一対の側壁部14,15とから成る横断面U形である。
図3(A),図4(A)は、凹溝11内に横断面U字状の薄板バネから成る弾性体20が装入された状態の組立構造としての自由状態を示し、底壁部13から開口端部16,17に向かって、両側壁部14,15が僅かに開脚状となる。言い換えると、高さ寸法Hがしだいに増加する。
また、各側壁部14,15の開口端部16,17には小鈎型に(開口内方に)折曲形成された係止突部18,18を有し、内装された弾性体20の離脱を防止する。
なお、この係止突部18は、図7,図8に示すように、両側壁部14,15の一方のみに形成するも好ましい場合がある。図7は図3に対応して、ラジアル内方向に凹溝11が開口した変形例であり、図8は図4に対応して、ラジアル外方向に開口した変形例を示す。係止突部18以外の構成は、図3,図4と同様であり、重複説明を省略する。
また、係止突部18の存在によって、微小間隙Gに開口端部16が、侵入して、挟まることを防止する。従って、係止突部18を含んだ開口端部16の厚さ寸法H16を、H16>Gのように設定する(図3参照)。
W1 <0.50・W0 の場合は、急激に密封性及び耐久性が低下する。
スクロールコンプレッサ2の密封に用いた場合、図1〜図8に於て、U形シールS1 ,S2 の内装弾性体20,20の弾発付勢力F20によって、スクロール盤3は(常時)微小間隙Gをもって浮き上った浮動状態を維持させる。
例えば、G=0.50mm,H8=2.60mmとすると、H3 =G+H8 =3.10mmとなる。これに対して、図3(A),図4(A)の組付け自由状態下のU形シールS1 ,S2 の高さ寸法H0 を、3.30mm〜3.80mmに設定する。
図5に於て、面圧グラフ図から判るように、なだらかで低い丘陵形を呈し、偏芯回転運動等の複雑な高速運動を行う被密封平面21に対して、摩耗が著しく低減できると共に、十分な密封性能を安定して発揮する。
即ち、図6(A)では、係止突部18の断面形状を台型とし、図6(B)では三角形として、いずれの場合も、凹溝11の内部から開口外方に向かって、開口寸法が減少する勾配面22を形成している。これによって、加工性、及び、内装弾性体20が不意に離脱しない作用効果は、上述した実施の形態と同程度である。
また、図6(D)では、係止突部18を、L字型として、内装弾性体20が一層離脱しにくくなる利点がある。この図6(D)の形状は、言い換えると、図3(B)又は図4(B)に示した小鈎型の係止突部18,18が相互に接近した開口端部を凹溝11内方へさらに折曲げて小折曲部24を連設したL字型である。
なお、図6(A)〜(D)の各変形例に於て、係止突部18は側壁部14,15の両者に付設されているが、これを側壁部14,15の一方にのみ付設するも、自由である(図7,図8参照)。
また、係止突部18の外端面18Aは、平坦面状の密封部位12に対して直角に形成されており、微小間隙Gに開口端部16が侵入して挟まることを、防いでいる。ここで、係止突部18を含んだ開口端部16の厚さ寸法H16を、H16>Gのように設定する(図3,図5,図7参照)。
図9(A)(B)(C)は係止突部18が2個か1個かの相違、及び、1個の場合に(図の)上下のいずれに有るかの相違を示す。図10(A)(B)(C)も同様である。そして、図11に於て、装着使用状態の作用を示している。
この図9と図10及び図11に示したように、シール本体10は、スクロール盤3等の運動する部材の摺動平面211 に接触する第1密封部位121 の形状が、リップを省略して平坦面状とした第1側壁部141 を備えているが、シール溝8の溝底面8Aから成る静止平面213 に(静的に)接触する第2密封部位123 の形状が、横断面三角山型等のリップ146 を有する。
言い換えると、図2〜図8の既述の実施の形状では、一対の密封部位12,12はリップを省略した平坦面状であったのに対して、図9〜図11では、摺動平面211 と接触(摺接)するところの第1密封部位121 のみが、リップを省略した平坦面状である。
さらに、上記第1側壁部141 の開口端部16には係止突部18を有し、該係止突部18を含んだ開口端部16の厚さ寸法H16は、上記微小間隙Gよりも大きく設定されている。即ち、図3,図4にて述べた実施の形態の側壁部14,15の開口端部16の厚さ寸法H16は、図9,図10に示した第1側壁部141 にもそのまま適用される。
しかしながら、第2側壁部152 の外面(下面)には、リップ146 を突設して、静止平面213 に静的に対応(接触)させる。
図11から明らかとなったように、摺動平面211 と静止平面213 とを区別して、平坦面状の第1密封部位121 と、リップ146 を有する第2側壁面152 の第2密封部位123 とを、併用した図9〜図11 の参考例は、U形シールとして、全体の耐久性及び密封性能(シール性)に、優れているといえる。
また、上記側壁部14,15の開口端部16,17の少なくとも一方には係止突部18を有し、該係止突部18を含んだ開口端部16の厚さ寸法H16は、上記微小間隙Gよりも大きく設定されているので、微小間隙Gに開口端部16が、侵入して挟まることを防止できる。
また、上記側壁部141 の開口端部16には係止突部18を有し、該係止突部18を含んだ開口端部16の厚さ寸法H16は、上記微小間隙Gよりも大きく設定されているので、微小間隙Gに開口端部16が、侵入して挟まることを防止できる。
3 スクロール盤
8 シール溝
8A 溝底面
10 シール本体
11 凹溝
12 密封部位
121 第1密封部位
123 第2密封部位
13 底壁部
14,15 側壁部
141 第1側壁部
146 リップ
152 第2側壁部
16,17 開口端部
18 係止突部
20 内装弾性体
21 被密封平面
211 摺動平面
213 静止平面(固定平面)
H16 厚さ寸法
S1 ,S2 U形シール
G 微小間隙
P3 ,P8 面圧分布
W0 ,W1 幅寸法
Claims (2)
- 底壁部(13)と一対の側壁部 (14)(15) とから成る横断面形状がU形の樹脂製シール本体(10)と、該シール本体(10)の凹溝(11)内に装入された金属製内装弾性体(20)と、から成るU形シールに於て、
スクロールコンプレッサ(2)の密封に用いられて、被密封平面(21)(21) の一方がシール溝(8)の溝底面(8A)であり、他方が偏芯回転運動するスクロール盤(3)であり、上記内装弾性体(20)の弾発付勢力(F 20 )によって該スクロール盤(3)が微小間隙(G)をもって浮き上った浮動状態を維持させているU形シールであって、
上記シール本体(10)の上記一対の側壁部 (14)(15) の各々の外面を平坦面状に形成して上記被密封平面 (21)(21) に対応させるように構成し、上記シール本体(10)の各々の該側壁部 (14)(15) が上記被密封平面 (21)(21) に接触する密封部位 (12)(12) の形状が、リップを省略した平坦面状であり、
さらに、横断面に於て、上記側壁部 (14)(15) の幅寸法をW 0 とし、上記密封部位(12)の幅寸法をW 1 とすると、
0.50・W 0 ≦W 1 <1.0 ・W 0
なる数式が成立するように構成し、
上記側壁部 (14)(15) の開口端部 (16)(17) の少なくとも一方には、上記金属製内装弾性体(20)の離脱防止及び上記開口端部 (16)(17)が上記微小間隙(G)へ侵入するのを防止するための係止突部(18)を有し、該係止突部(18)を含んだ開口端部 (16)(17) の厚さ寸法(H 16 )は、上記微小間隙(G)よりも大きく設定されていることを特徴とするU形シール。 - 上記シール本体(10)の上記側壁部(14)(15)の表面粗さは、算術平均粗さRaの表記で、 6.3a以下に形成されている請求項1記載のU形シール。
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