JP4276024B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば空気等の流体を圧縮するのに好適に用いられるスクロール式流体機械に関する。
一般に、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを互いに重ね合わせることにより複数の圧縮室を画成し、前記旋回スクロールを電動モータ等の駆動手段で旋回駆動することにより前記固定,旋回スクロール間に外部から吸込んだ空気等の流体を各圧縮室内で順次圧縮する構成としたスクロール式流体機械は知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−73972号公報
この種の従来技術によるスクロール式流体機械は、固定スクロールと旋回スクロールとの互いに対向する摺接面間にシール装置を設け、このシール装置により前記圧縮室内に発生した圧縮流体の圧力が両者の摺接面間から外部に漏洩するのを防ぐ構成としているものである。
この場合、前記シール装置は、前記固定スクロールと旋回スクロールの摺接面のうち一方の摺接面側に横断面がコ字形状をなすシール溝を設け、このシール溝内には、相手方の摺接面に対して摺動接触するフェイスシールと、該フェイスシールを相手方の摺接面に向けて弾性的に押圧するOリング等のバックアップリングとを配置する構成としている。
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械では、圧縮流体の圧力が外部に漏洩するのを防ぐためのシール装置を、シール溝内に配置したフェイスシールとOリング等のバックアップリングとにより構成している。そして、この場合のフェイスシールとOリングとは、弾性樹脂材料を用いて形成し、前記シール溝が設けられる旋回スクロール(固定スクロール)は、アルミニウム等の金属材料を用いて形成している。
しかし、スクロール式流体機械は、空気等の圧縮運転時に圧縮熱が発生する影響で各構成部品に熱膨張が生じる。そして、樹脂材料からなるフェイスシールとOリングとは、金属材料からなる固定スクロール、旋回スクロールに比較して熱膨張がより大きくなってしまう。
このため、シール溝内に配置したフェイスシールとOリングは、前記シール溝の壁面に対して熱膨脹時に強く接触し、該シール溝との間の摺動抵抗が大きくなるために、相手方の摺接面に対してフェイスシールを有効に押付けることができず、シール性能が低下するという問題がある。
また、バックアップリングであるOリングは、熱膨脹時に前記シール溝とフェイスシールとの間に挟まれて過剰に熱変形し易く、永久変形したときには弾性力を回復できなくなってしまう。このため、熱変形した状態のOリングは、相手方の摺接面に対してフェイスシールを有効に押付けることができず、シール性能が低下するという問題がある。
一方、このような熱膨脹を考慮して前記フェイスシールとOリングを予め小さく形成した場合には、圧縮運転を開始する初期段階で前記シール溝とフェイスシール、Oリングとの間等に隙間が形成されるため、シール性能が低下するばかりでなく、圧縮室内の流体圧が外部に漏洩しスクロール式圧縮機としての運転効率が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、流体圧力を受圧してシール機能を発揮することにより、熱膨脹等の影響でシール性能が低下するのを抑えることができ、圧縮運転時の効率等を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するため、請求項1の発明は、渦巻状のラップ部が互いに重なり合って圧縮室を形成する2つのスクロールと、該2つのスクロール間に外部から吸込んだ流体を前記圧縮室内で圧縮するため該2つのスクロールのうち一方のスクロールを他方のスクロールに対して旋回駆動する駆動手段と、前記2つのスクロールの間に設けられ前記圧縮室内の流体圧力が両者の摺接面間から外部に漏洩するのを防ぐシール装置とを備えたスクロール式流体機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記シール装置を、前記2つのスクロールの摺接面のうち一方の摺接面側に設けられたシール溝と、該シール溝内に配置され相手方の摺接面に接触して相対的に摺動する接触面および該接触面から離れた他方の端面側の外径側に形成された環状の凹窪部を有する摺動部材と、該摺動部材の前記凹窪部内に収容され、内径側が前記凹窪部の周壁と接触してシールすると共に外径側が前記シール溝の周壁に接触してシールする受圧部材とにより構成し、前記シール装置は、前記圧縮室内の圧力を前記摺動部材の内径側より前記シール溝の底部側から前記受圧部材に向けて導き、前記摺動部材を相手方の摺接面に押付けて該摺接面との間を軸方向でシールする構成としたことにある。
このように、環状の凹窪部を有する摺動部材と一緒にシール溝内に配置された受圧部材は、圧縮室内の流体圧力を受圧することにより、この圧力に応じた力で前記摺動部材の接触面を相手方の摺接面に押付けることができ、相手方の摺接面と摺動部材との間を軸方向で気密にシールすることができる。また、前記シール溝と摺動部材との間は、受圧部材が前記流体圧力を受圧して両者にそれぞれ接触することにより、両者の間を径方向でシール状態に保持することができる。
一方、請求項2の発明は、2つのスクロールのラップ部が重なり合って低圧段の圧縮室を形成する低圧段圧縮部と、2つのスクロールのラップ部が重なり合って高圧段の圧縮室を形成する高圧段圧縮部と、前記低圧段圧縮部を高圧段圧縮部と一緒に駆動する駆動手段と、前記高圧段圧縮部の各スクロール間に設けられ前記圧縮室内の流体圧力が両者の摺接面間から外部に漏洩するのを防ぐシール装置とを備えたスクロール式流体機械に適用される。
そして、請求項2の発明が採用する構成の特徴は、前記シール装置を、前記高圧段圧縮部の各スクロールの摺接面のうち一方の摺接面側に設けられたシール溝と、該シール溝内に配置され相手方の摺接面に接触して相対的に摺動する接触面および該接触面から離れた他方の端面側の外径側に形成された環状の凹窪部を有する摺動部材と、該摺動部材の前記凹窪部内に収容され、内径側が前記凹窪部の周壁と接触してシールすると共に外径側が前記シール溝の周壁に接触してシールする受圧部材とにより構成し、前記シール装置は、前記圧縮室内の圧力を前記摺動部材の内径側より前記シール溝の底部側から前記受圧部材に向けて導き、前記摺動部材を相手方の摺接面に押付けて該摺接面との間を軸方向でシールする構成としたことにある。
この場合も、環状の凹窪部を有する摺動部材と一緒にシール溝内に配置された受圧部材は、圧縮室内の流体圧力を受圧することにより、この圧力に応じた力で前記摺動部材の接触面を相手方の摺接面に押付けることができ、相手方の摺接面と摺動部材との間を軸方向で気密にシールすることができる。また、前記シール溝と摺動部材との間は、受圧部材が前記流体圧力を受圧して両者にそれぞれ接触することにより、両者の間を径方向でシール状態に保持することができる。
また、請求項3の発明によると、摺動部材は、ラップ部を径方向外側から取囲んで相手方の摺接面に面接触するリング体により構成している。これにより、ラップ部を径方向外側から取囲むリング体からなる摺動部材を、相手方の摺接面に軸方向で面接触させ、シール状態に保持することができる。
また、請求項4の発明によると、摺動部材は、シール溝に対し、内径側と外径側とに隙間をする構成としている。これにより、摺動部材が熱膨張したときにもシール溝内に隙間を確保でき、摺動部材を相手方の摺接面に軸方向で面接触させ、シール状態に保持することができる。
また、請求項5の発明によると、受圧部材は、摺動部材と共にラップ部を径方向外側から取囲むリング状のリップシールにより構成し、該リップシールは、圧縮室からの圧力を受圧してシール溝の外径側周壁と弾性的に接触する第1のリップ部と、前記摺動部材の前記凹窪部の周壁と弾性的に接触する第2のリップ部とを有してなる構成としている。これにより、受圧部材であるリップシールは、第1のリップ部をシール溝に径方向で弾性的に接触させ、第2のリップ部を前記凹窪部の周壁に接触させ、シール状態に保持することができる。
また、請求項6の発明によると、リップシールは、横断面がU字状またはY字状をなす構成としている。
これにより、横断面がU字状またはY字状をなし2個のリップ部を有するリップシールを、摺動部材の凹窪部内にシール溝との間で収容することができ、シール溝と摺動部材との間をシールすることができる。
また、請求項7の発明によると、リップシールは、2個のリップ部のうちシール溝に接触する第1のリップ部の方が摺動部材に接触する第2のリップ部よりも大なるリップ長を有する構成としている。
これにより、2個のリップ部のうち長い方のリップ部をシール溝の底部側に接触させ、例えばスクロール式流体機械の運転開始前にも、摺動部材を相手方の摺接面に押付ける力を、リップシールにより発生することができる。
また、請求項8の発明によると、シール溝内には、摺動部材を相手方の摺接面に向けて弾性的に押圧するバックアップ部材を設けてなる構成としている。この場合には、例えばスクロール式流体機械の運転開始前にも、摺動部材を相手方の摺接面に押付ける力を、バックアップ部材により発生することができる。
さらに、請求項9の発明によると、摺動部材には、相手方の摺接面と対面する部位に切欠部を設ける構成としている。この場合には、摺動部材が相手方の摺接面に接触するときの接触面積を、切欠部により小さく減じることができ、相手方の摺接面に対する摺動部材の摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減することができる。
上述の如く、請求項1に記載の発明によれば、シール装置を、2つのスクロールの摺接面のうち一方の摺接面側に設けられたシール溝と、該シール溝内に配置され相手方の摺接面に接触して相対的に摺動する接触面および該接触面から離れた他方の端面側の外径側に形成された環状の凹窪部を有する摺動部材と、該摺動部材の前記凹窪部内に収容され、内径側が前記凹窪部の周壁と接触してシールすると共に外径側が前記シール溝の周壁に接触してシールする受圧部材とにより構成し、前記シール装置は、前記圧縮室内の圧力を前記摺動部材の内径側より前記シール溝の底部側から前記受圧部材に向けて導き、前記摺動部材を相手方の摺接面に押付けて該摺接面との間を軸方向でシールする構成としている。これにより、前記受圧部材を前記摺動部材の凹窪部内にシール溝との間で収容することができ、シール溝と摺動部材との間を良好にシールすることができる。そして、シール溝内の受圧部材が圧縮室からの流体圧力を受圧して摺動部材と共にシール機能を発揮することができ、圧縮室内の流体圧力が2つのスクロールの摺接面間から外部に漏洩するのを防止できる。
また、シール装置のシール溝内には摺動部材を隙間をもって配置することにより、圧縮熱等の影響で摺動部材、受圧部材が、例えば金属材料からなるスクロールよりも大きく熱膨脹しても、シール装置のシール性能が低下することはなく、熱膨脹等の影響でシール性能が低下する等の問題を解消できると共に、スクロール式流体機械としての運転効率等を十分に確保でき、圧縮運転時等の性能、信頼性を向上することができる。
一方、請求項2に記載の発明にあっても、高圧段圧縮部の各スクロールの摺接面のうち一方の摺接面側にシール装置のシール溝等を設ける構成としているので、請求項1に記載の発明とほぼ同様の効果を得ることができ、高圧段の圧縮室から流体圧力が漏洩するのを良好に防ぐことができる。
また、請求項3に記載の発明によると、摺動部材は、ラップ部を径方向外側から取囲んで相手方の摺接面に面接触するリング体により構成しているので、ラップ部を径方向外側から取囲むリング体からなる摺動部材を、相手方の摺接面に面接触させ、シール状態に保持することができる。
また、請求項4に記載の発明によると、摺動部材は、シール溝に対し、内径側と外径側とに隙間をする構成としているので、摺動部材がシール溝内で熱膨張したときにも、摺動部材を相手方の摺接面に軸方向で面接触させ、シール状態に保持することができる。
また、請求項5に記載の発明によると、受圧部材は、摺動部材と共にラップ部を径方向外側から取囲むリング状のリップシールにより構成し、該リップシールは、圧縮室からの圧力を受圧してシール溝の外径側周壁と弾性的に接触する第1のリップ部と、前記摺動部材の前記凹窪部の周壁と弾性的に接触する第2のリップ部とを有してなる構成としているので、受圧部材であるリップシールは、第1のリップ部をシール溝に径方向で弾性的に接触させ、第2のリップ部を前記凹窪部の周壁に接触させ、シール状態に保持することができる。
また、請求項6に記載の発明によると、リップシールは、横断面がU字状またはY字状をなす構成としているので、横断面がU字状またはY字状をなし2個のリップ部を有するリップシールを、摺動部材の凹窪部内にシール溝との間で収容することができ、シール溝と摺動部材との間を良好にシールすることができる。
また、請求項7に記載の発明によると、リップシールは、2個のリップ部のうちシール溝に接触する第1のリップ部の方が摺動部材に接触する第2のリップ部よりも大なるリップ長を有する構成としているので、長い方の第1のリップ部をシール溝の底部側に弾性的に接触させることにより、例えばスクロール式流体機械の運転開始前にも摺動部材を相手方の摺接面に軸方向で押付ける力を、リップシールにより発生することができ、当該機械の運搬時等に摺動部材とリップシールがシール溝内で位置ずれしたりするのを防止できると共に、信頼性を高めることができる。
また、請求項8に記載の発明によると、シール溝内には、摺動部材を相手方の摺接面に向けて弾性的に押圧するバックアップ部材を設けてなる構成としているので、例えばスクロール式流体機械の運転開始前にも、摺動部材を相手方の摺接面に軸方向で押付ける力を、バックアップ部材により発生でき、位置ずれ等の発生を抑えることができる。
さらに、請求項9に記載の発明は、摺動部材が相手方の摺接面に対面する部位に切欠部を設ける構成としているので、相手方の摺接面に対する摺動部材の接触面積を切欠部により減じることができ、これにより両者の摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減できると共に、駆動手段の駆動トルクを小さくして消費電力を減らすことができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械を、ツインラップ型のスクロール式空気圧縮機に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1および図2は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を形成する筒状のケーシングで、該ケーシング1は、軸線O1 −O1 を中心として略円筒状に形成されたケーシング本体2と、該ケーシング本体2の右,左両端側にそれぞれ固着して設けられた右,左の軸受取付体3A,3Bとにより構成されている。そして、ケーシング1は後述の固定スクロール5A,5Bと共に固定側部材を構成するものである。
ここで、ケーシング本体2の一側(図1中の右側)に位置する軸受取付体3Aは、後述の固定スクロール5A、旋回スクロール21A等と共に低圧段圧縮部となる低圧スクロール部4Aを構成するものである。また、ケーシング本体2の他側(図1中の左側)に位置する軸受取付体3Bは、後述の固定スクロール5B、旋回スクロール21B等と共に高圧段圧縮部となる高圧スクロール部4Bを構成している。
なお、低圧スクロール部4Aと高圧スクロール部4Bとは、それぞれほぼ同一の構成要素を有しているので、以下の説明では、低圧段に符号「A」を付し、高圧段には符号「B」を付して説明する。また、低圧段と高圧段とで説明が重複するのを避けるため、主に低圧スクロール部4Aの構成要素について説明し、高圧スクロール部4Bの構成要素については、その説明を省略するものとする。
5Aはケーシング1の軸受取付体3A側に設けられた低圧段の固定スクロールで、該固定スクロール5Aは、中心がケーシング1の軸線O1 −O1 と一致するように配設された略円板状の鏡板6Aと、該鏡板6Aの表面に立設された渦巻状のラップ部7Aと、鏡板6Aの外周側から該ラップ部7Aを取囲むように軸方向に突出した筒部8Aと、該筒部8Aの外周側から径方向外向きに突出したフランジ部9Aとにより構成されている。
また、固定スクロール5Aは、後述の旋回スクロール21Aに対向する筒部8Aとフランジ部9Aとの端面が後述の鏡板22Aに対する摺接面10Aとなっている。そして、固定スクロール5Aは、フランジ部9Aの外周側が軸受取付体3Aの開口側にボルト等を介して着脱可能に取付けられている。
また、固定スクロール5Aの鏡板6Aには、例えば空気(外気)等の流体を後述の圧縮室24A内に吸込むための吸込口11Aが外周寄りの位置に設けられ、鏡板6Aの中心側(軸線O1 −O1 上)には圧縮空気の吐出口12Aが設けられている。なお、固定スクロール5A,5Bは、例えばアルミニウム合金等の金属材料を用いて形成されるものである。
13は低圧段の固定スクロール5Aと高圧段の固定スクロール5Bとの間に位置してケーシング本体2内に設けられた駆動手段となる電動モータで、該電動モータ13は、ケーシング本体2の内周側に固定して設けられた筒状のステータ14と、該ステータ14の内周側に回転可能に配設された筒状のロータ15等とにより構成されている。
ここで、電動モータ13は、ステータ14およびロータ15の軸線がケーシング1の軸線O1 −O1 と同一軸線上に配置されている。そして、電動モータ13は、ロータ15を回転させることにより後述の回転軸16を、軸線O1 −O1 を中心として回転駆動するものである。
16はケーシング1の右,左両側で軸受取付体3A,3Bの内周側に回転軸受17A,17Bを介して回転可能に設けられた段付筒状の回転軸で、該回転軸16は、電動モータ13のロータ15内に圧入等の手段を用いて嵌合された中空軸体からなり、軸線O1 −O1 を中心としてロータ15と一体に回転するものである。
そして、回転軸16は、電動モータ13のロータ15内を軸方向に貫通して設けられ、後述の旋回軸19と共に電動モータ13の出力軸を構成している。また、回転軸16の内周側は、ケーシング1等の軸線O1 −O1 に対して寸法δだけ偏心した段付きの偏心穴18となっている。
ここで、軸受取付体3A,3Bの内周側で回転軸16を回転可能に支持する回転軸受17A,17Bのうち、例えば低圧スクロール部4A側の回転軸受17Aは、回転軸16に働く径方向のラジアル荷重と軸方向のスラスト荷重とを共に受承可能な軸受により構成されている。また、高圧スクロール部4B側の回転軸受17Bは、回転軸16に働く径方向のラジアル荷重を受承可能な軸受により構成されている。
19は回転軸16の偏心穴18内に相対回転可能に設けられた旋回軸で、該旋回軸19は、中実な段付きの軸体として形成され、ケーシング1等の軸線O1 −O1 に対して寸法δだけ偏心した偏心軸線O2 −O2 上に配置されている。そして、旋回軸19は、回転軸16の偏心穴18内で旋回軸受20A,20Bを用いて回転軸16内に相対回転可能に取付けられ、回転軸16と共に電動モータ13の出力軸を構成している。
また、旋回軸19の軸方向両端側は、回転軸16(偏心穴18)の両端から軸方向に突出し、その突出端側には後述の旋回スクロール21A,21Bが右,左に離間して設けられている。そして、旋回軸19は、回転軸16の回転に追従して旋回スクロール21A,21Bに旋回運動を与えるものである。
また、回転軸16の偏心穴18内で旋回軸19を回転可能に支持する旋回軸受20A,20Bのうち、例えば低圧スクロール部4A側の旋回軸受20Aは、旋回軸19に働くラジアル荷重とスラスト荷重とを共に受承可能な軸受により構成されている。また、高圧スクロール部4B側の旋回軸受20Bは、旋回軸19に働く径方向のラジアル荷重を受承可能な軸受により構成されている。
21Aは固定スクロール5Aと対面してケーシング1内に旋回可能に設けられた低圧段の旋回スクロールで、該低圧段の旋回スクロール21Aは、略円板状に形成された鏡板22Aと、該鏡板22Aの表面に立設された渦巻状のラップ部23Aとにより大略構成されている。また、高圧段の旋回スクロール21Bも、略円板状に形成された鏡板22Bと渦巻状のラップ部23Bとにより大略構成されている。
ここで、低圧段,高圧段の旋回スクロール21A,21Bは、鏡板22A,22Bの背面側中央部が旋回軸19の両端側にそれぞれボルト等を用いて一体に固定され、電動モータ13からの駆動力によって旋回軸19と一緒に旋回動作を行うものである。また、旋回スクロール21A,21Bは、ラップ部23A,23Bが固定スクロール5A,5Bのラップ部7A,7Bと所定角度(例えば180度)だけずらして重なり合うように配設されている。
そして、低圧段の固定スクロール5Aと旋回スクロール21Aは、両者のラップ部7A,23A間に外周側から内周側にわたって低圧段の圧縮室24A,24A,…をそれぞれ画成している。また、高圧段の固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bは、両者のラップ部7B,23B間に外周側から内周側にわたって高圧段の圧縮室24B,24B,…をそれぞれ画成している。
また、旋回スクロール21Aの鏡板22Aは、固定スクロール5Aの摺接面10Aに対向する端面が摺接面25Aとなり、高圧段の旋回スクロール21Bにも同様の摺接面25Bが形成されている。そして、高圧段の固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bとの間には、両者の摺接面10B,25B間に後述のシール装置31が設けられている。なお、旋回スクロール21A,21Bは、例えばアルミニウム合金等の金属材料を用いて形成されるものである。
26,26は旋回スクロール21Aの自転を防止する自転防止機構としての補助クランクで、該各補助クランク26は、低圧スクロール部4A側に位置してケーシング1の軸受取付体3Aと旋回スクロール21Aの鏡板22Aとの間に設けられている。また、高圧スクロール部4B側にもケーシング1の軸受取付体3Bと旋回スクロール21Bの鏡板22Bとの間に同様の補助クランク(図示せず)が設けられるものである。
27は低圧スクロール部4A側に設けた吸込フィルタで、該吸込フィルタ27は、低圧段の固定スクロール5Aの吸込口11Aに着脱可能に設けられ、吸込口11Aから圧縮室24A内に向けて吸込まれる外気(空気)等を清浄化すると共に、空気の吸込音等を低減化する消音器としても機能するものである。
28は低圧段の圧縮室24Aと高圧段の圧縮室24Bとを連通させる連通路としての導管で、該導管28は、ケーシング1の外側に位置して低圧段の固定スクロール5Aと高圧段の固定スクロール5Bとの間に設けられている。そして、導管28は、一方の端部28Aが固定スクロール5Aの吐出口12Aに接続され、他方の端部28Bは、固定スクロール5Bの吸込口11Bに接続されている。
31は高圧段の圧縮室24Bから圧縮空気が外部に漏洩するのを防ぐシール装置で、該シール装置31は、例えば図2に示すように、旋回スクロール21Bの鏡板22Bに形成され横断面がコ字形状をなして摺接面25B側に開口したシール溝32と、後述の弾性リング33およびリップシール34とにより構成されている。
ここで、シール装置31のシール溝32は、固定スクロール5Bのラップ部7Bと旋回スクロール21Bのラップ部23Bとを径方向外側から取囲むように環状の凹溝として形成されている。そして、シール溝32は、一側が旋回スクロール21Aの摺接面25B側に開口し、他側は底部32aとなって閉塞されているものである。
33はシール溝32内に径方向と軸方向の隙間をもって配置された摺動部材としての弾性リングで、該弾性リング33は、例えば耐熱性と自己潤滑性を有するナイロン等の弾性樹脂材料を用いて横断面が長方形状をなすリング体として成形され、その軸方向の長さ寸法および径方向の厚さ寸法は、シール溝32の溝深さおよび溝幅寸法よりも小さく形成されている。これにより、弾性リング33は、図2に示す如くシール溝32に対し、その内径側と外径側とに隙間を有している。
この場合、弾性リング33の外周側には、図2に示す如くシール溝32の周壁との間に径方向の隙間Sが全周にわたって形成されるものである。そして、弾性リング33は、一方の端面が相手方となる固定スクロール5Bの摺接面10Bに面接触する平坦な接触面33aとなっている。
また、弾性リング33には、図2に示すように、接触面33aから離れた他方の端面側の外径側に横断面がL字形状をなす凹窪部33bが形成され、この凹窪部33b内には、シール溝32の周壁との間に位置して後述のリップシール34が収容されるものである。
34は弾性リング33と一緒にシール溝32内に配置された受圧部材としてのリップシールで、該リップシール34は、例えば耐熱性と柔軟性をもったフッ素系の弾性樹脂材料等を用いて横断面がU字状またはY字状をなす環状のシール部材として形成され、シール基部34aと、該シール基部34aから二又状に分岐して延びた2つのリップ部34b,34cとにより構成されている。
そして、リップシール34は、リップ基部34aの基端側端面が弾性リング33の凹窪部33bに例えば接着等の手段で固定され、リップ部34b,34cと共にシール溝32の周壁と凹窪部33bとの間に収容されている。このとき、リップシール34は、その内径側となる第2のリップ部としての一方のリップ部34bが凹窪部33bの周壁に対し僅かに弾性変形した状態で接触し、外径側となる第1のリップ部としての他方のリップ部34cは、シール溝32の周壁に対し僅かに弾性変形した状態で接触している。
また、リップシール34は、圧縮室24B内の圧力Pが図2中に矢印で示す方向に導かれると、この圧力Pをリップ部34b,34c等が受圧することによって、リップ部34b,34cが互いに離間する方向(シール溝32の径方向)に撓み変形される。このため、リップシール34のリップ部34bは、このときの圧力Pに対応した力で凹窪部33bの周壁に径方向で押付けられ、他方のリップ部34cは、シール溝32の周壁に径方向で同様に押付けられる。
さらに、リップシール34は、シール溝32と弾性リング33との間の前記隙間Sに相当する面積分だけ大なる受圧面積をもってシール溝32内の圧力Pを受圧し、これによりリップシール34は、弾性リング33を相手方の摺接面10Bに向けて軸方向に押付けるものである。
本実施の形態によるツインラップ型のスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、電動モータ13のステータ14側に通電してロータ15を回転駆動すると、該ロータ15と一体となった筒状の回転軸16は、軸線O1 −O1 を中心としてロータ15と一体に回転する。
そして、回転軸16の回転により、軸線O2 −O2 上に配置された旋回軸19は、回転軸16の偏心穴18内で寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行なう。これにより、旋回軸19の両端側に設けた旋回スクロール21A,21Bが、固定スクロール5A,5Bに対して寸法δの旋回半径をもった旋回動作を行うものである。
このため、低圧スクロール部4A側では、固定スクロール5Aの外周側に設けた吸込口11Aから吸込フィルタ27を介して外気を吸込みつつ、この空気を各圧縮室24A内で順次圧縮する。そして、低圧段の固定スクロール5Aと旋回スクロール21Aとの間の圧縮室24A内で、例えば0.3〜0.4MPa程度の圧力まで圧縮された圧縮空気は、固定スクロール5Aの中心部に設けた吐出口12Aから導管28内に向けて吐出される。
また、高圧スクロール部4B側では固定スクロール5Bの吸込口11Bに、このときの圧縮空気が導管28を通じて供給される。そして、高圧段の固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bとの間では、このときの圧縮空気を各圧縮室24B内でさらに圧縮し、例えば1.0MPa程度の圧力まで圧縮された圧縮空気が、固定スクロール5Bの中心部に設けた吐出口12Bから外部に向けて吐出され、例えば空気タンク(図示せず)等に貯留される。
ところで、高圧スクロール部4B側では、例えば0.3〜0.4MPa程度の圧力まで低圧スクロール部4A側で圧縮された圧縮空気が固定スクロール5Bの吸込口11Bに供給される。このため、高圧段の圧縮室24B内には、その最外周側の圧縮室24B内においても、例えば0.3〜0.4MPa程度の圧力が発生し、この圧力(圧縮空気)は固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bとの摺接面10B,25B間から外部に漏洩しようとする。
然るに、本実施の形態にあっては、高圧段の固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bとの間にシール装置31を設け、このシール装置31を、例えば旋回スクロール21Bの摺接面25B側に形成された環状の凹溝からなるシール溝32と、該シール溝32内に配置された弾性リング33およびリップシール34とにより構成している。
そして、当該シール装置31のリップシール34は、例えば圧縮室24B内の圧力Pが図2中に矢印で示す方向に導かれることより、リップ部34b,34cがこの圧力Pを受圧して互いに離間する方向(シール溝32の径方向)に撓み変形することができる。
このため、リップシール34のリップ部34bを、このときの圧力Pに対応した力で凹窪部33bの周壁に径方向で押付けることができ、他方のリップ部34cをシール溝32の周壁に同様に径方向で押付けることができる。また、リップシール34は、このときにシール溝32の内,外で図2に示す径方向の隙間Sに相当する受圧面積差をもってシール溝32内の圧力Pを受圧するので、弾性リング33を相手方の摺接面10Bに向けて軸方向で押付けることができる。
この結果、弾性リング33の接触面33aを相手方の摺接面10Bに摺動接触させ、固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bとの摺接面10B,25B間を弾性リング33により軸方向でシールできると共に、シール溝32の径方向ではリップシール34のリップ部34b,34cにより、弾性リング33の凹窪部33bとシール溝32の周壁との間を径方向でシールすることができる。
従って、本実施の形態によれば、シール溝32内のリップシール34が圧縮室24Bからの圧力を受圧して弾性リング33と共にシール機能を発揮することができ、圧縮室24B内の圧縮空気が固定スクロール5Bと旋回スクロール21Bとの摺接面10B,25B間から外部に漏洩するのを防止することができる。
また、当該シール装置31のシール溝32内には弾性リング33を隙間S等をもって配置しているので、圧縮熱等の影響で弾性リング33、リップシール34が、金属材料からなる旋回スクロール21B(固定スクロール5B)よりも大きく熱膨脹しても、シール装置31のシール性能が低下することはなく、熱膨脹等の影響でシール性能が低下する等の問題を解消できると共に、圧縮機としての運転効率等を十分に確保でき、圧縮運転時等の性能、信頼性を向上することができる。
次に、図3は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、リップシールの2個のリップ部のうちシール溝に接触するリップ部を、弾性リングに接触するリップ部よりも大なるリップ長に形成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は本実施の形態で採用したシール装置で、該シール装置41は、第1の実施の形態で述べたシール装置31と同様に、シール溝32、弾性リング33および後述のリップシール42により構成されている。しかし、この場合のシール装置41は、リップシール42の形状が異なっているものである。
42は受圧部材としてのリップシールで、該リップシール42は、第1の実施の形態で述べたリップシール34と同様に、シール基部42aと2つのリップ部42b,42cとにより構成されている。しかし、この場合のリップシール42は、一方のリップ部42bよりも他方のリップ部42cが大なるリップ長に形成され、このリップ部42cは、その先端側がシール溝32の底部32aに常に弾性変形状態で接触する構成としている。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、熱膨脹等の影響でシール性能が低下する等の問題を解消することができる。
そして、本実施の形態では、リップシール42の長い方のリップ部42cをシール溝32の底部32a側に弾性変形状態で接触させることにより、例えばスクロール式空気圧縮機の運転開始前にも、弾性リング33の接触面33aを相手方の摺接面10Bに軸方向で押付ける力をリップシール42によって発生でき、例えば当該圧縮機の運搬時等に弾性リング33とリップシール42がシール溝32内で位置ずれしたりするのを防ぐことができる。
次に、図4および図5は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、摺動部材としての弾性リングを相手方の摺接面に向けて弾性的に押圧するバックアップ部材をシール溝内に設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態で採用したシール装置で、該シール装置51は、第1の実施の形態で述べたシール装置31とほぼ同様に、シール溝32、弾性リング33およびリップシール34等により構成されている。しかし、この場合のシール装置51は、後述のバックアップリング52を備えている点で異なるものである。
52はシール溝32内に配置されたバックアップ部材としてのバックアップリングで、該バックアップリング52は、シール溝32内に隙間をもって挿入可能なリングであり、例えば図5に示す如く弾性を有する薄い金属リングを波形状に湾曲させてなるウェーブワッシャ等を用いて形成されている。
そして、バックアップリング52は、図4に示すように弾性リング33の凹窪部33b側に位置する端面とシール溝32の底部32aとの間に弾性変形状態で配置され、弾性リング33の接触面33aを相手方の摺接面10B側に向けて比較的弱い力で付勢するものである。
また、バックアップリング52は、弾性リング33の凹窪部33b内に位置してシール溝32との間に収容したリップシール34を、図4に示す如くシール溝32の底部32a側から覆い、リップシール34が凹窪部33b内で位置ずれするのを防ぐ機能も有している。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、熱膨脹等の影響でシール性能が低下する等の問題を解消することができる。
そして、本実施の形態では、バックアップリング52が弾性リング33を相手方の摺接面10B側に向けて付勢することにより、例えばスクロール式空気圧縮機の運転開始前にも、弾性リング33の接触面33aを相手方の摺接面10Bに軸方向で押付ける力を発生でき、例えば当該圧縮機の運搬時等に弾性リング33とリップシール34がシール溝32内で位置ずれしたりするのを防ぐことができる。
次に、図6は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、摺動部材としての弾性リングが相手方の摺接面と対面する部位に切欠部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61は本実施の形態で採用したシール装置で、該シール装置61は、第1の実施の形態で述べたシール装置31とほぼ同様に、シール溝32、リップシール34および後述の弾性リング62により構成されている。しかし、この場合のシール装置61は、後述の弾性リング62に切欠部62cを形成している点で異なるものである。
62は摺動部材としての弾性リングで、該弾性リング62は、第1の実施の形態で述べた弾性リング33とほぼ同様に構成され、接触面62aおよび凹窪部62bを有している。しかし、弾性リング62の内周側には、相手方の摺接面10Bと対面する接触面62a側に位置して横断面がL字状をなす切欠部62cが全周にわたって形成されている。
このため、弾性リング62は全体としてクランク状をなす横断面形状を有し、相手方の摺接面10Bに対面する接触面62aの接触面積は、前記各実施の形態で用いた弾性リング33に比較して約1/2程度まで小さくなっているものである。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態にあっては、弾性リング62が相手方の摺接面10Bに接触するときの接触面積を、切欠部62cにより小さく減じることができ、相手方の摺接面10Bに対する弾性リング62の摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減できると共に、電動モータ13(図1参照)の消費電力を低減することができる。
次に、図7は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、シール装置71のシール溝72を固定スクロール5B側に設ける構成としたことにある。
ここで、本実施の形態によるシール装置71は、第1の実施の形態で述べたシール装置31と同様に、シール溝72、弾性リング73およびリップシール74により構成されている。しかし、この場合のシール装置71は、シール溝72、弾性リング73およびリップシール74が固定スクロール5B側に設けられている点で異なるものである。
そして、シール溝72は、相手方となる旋回スクロール21Bの摺接面25Bに対向する位置で開口し、摺接面25Bから離れた部位が底部72aとなって閉塞されている。また、弾性リング73は、相手方の摺接面25Bに接触する接触面73aと凹窪部73bとを有している。さらに、リップシール74は、シール基部74aと2つのリップ部74b,74cとより構成されている。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、熱膨脹等の影響でシール性能が低下する等の問題を解消することができる。
次に、図8は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、受圧部材としてのリップシールとシール溝との間にバックアップ部材を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、81は本実施の形態で採用したシール装置で、該シール装置81は、第1の実施の形態で述べたシール装置31とほぼ同様に、シール溝32、弾性リング33およびリップシール34等により構成されている。しかし、この場合のシール装置81は、後述のバックアップリング82を備えている点で異なるものである。
82はシール溝32内に配置されたバックアップ部材としてのバックアップリングで、該バックアップリング82は、図5に例示したバックアップリング52とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合のバックアップリング82は、弾性リング33の凹窪部33bとシール溝32との間に隙間をもって挿入できるように細幅なリングとして形成されている。
そして、バックアップリング82は、弾性リング33の凹窪部33b内でリップシール34のリップ部34b,34cとシール溝32の底部32aとの間に弾性変形状態で配置され、リップシール34全体を凹窪部33b内に向けて軸方向(旋回スクロール21Bの軸方向)に押圧すると共に、弾性リング33の接触面33aを相手方の摺接面10B側に向けて付勢するものである。
また、バックアップリング82は、弾性リング33の凹窪部33b内に収容したリップシール34をシール溝32の底部32a側から覆い、リップシール34が凹窪部33b内で位置ずれするのを防ぐ機能も有している。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、熱膨脹等の影響でシール性能が低下する等の問題を解消することができる。
そして、本実施の形態では、バックアップリング82が凹窪部33b内に向けてリップシール34を押圧すると共に、弾性リング33を相手方の摺接面10B側に向けて付勢することにより、例えばスクロール式空気圧縮機の運転開始前にも、弾性リング33の接触面33aを相手方の摺接面10Bに軸方向で押付ける力を発生でき、例えば当該圧縮機の運搬時等に弾性リング33とリップシール34がシール溝32内で位置ずれしたりするのを防ぐことができる。
なお、前記第2〜第4の実施の形態では、シール装置41,51,61を旋回スクロール21Bの摺接面25B側に設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第5の実施の形態で述べたように、例えば固定スクロール5Bの摺接面10B側にシール装置を設ける構成としてもよいものである。そして、この点は前記第6の実施の形態についても同様である。
また、前記各実施の形態では、図1に例示するように回転軸受17A,17Bのうち一方の回転軸受17Aを、回転軸16に作用するラジアル荷重とスラスト荷重とを受承可能な軸受により構成し、他方の回転軸受17Bをラジアル荷重を受承可能な軸受により構成するものとして説明した。
しかし、本発明はこれに限らず、例えば回転軸受17Bをラジアル荷重とスラスト荷重とを受承可能な軸受により構成し、回転軸受17Aをラジアル荷重を受承可能な軸受により構成してもよい。また、回転軸受17A,17Bを共にラジアル荷重とスラスト荷重とを受承可能な軸受により構成してもよい。そして、これらの点は、旋回軸受20A,20Bについても同様である。
また、前記各実施の形態では、ケーシング1と固定スクロール5A,5Bとを別体として形成し、ケーシング1の両端側にボルト等を用いて固定スクロール5A,5Bを固定する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばケーシング1と固定スクロール5A,5Bとを予め一体に形成し、これにより固定側部材を構成してもよい。
また、前記各実施の形態では、ツインラップ型である2段のスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば特開2000−73972号公報、特開2003−65264号公報等に記載された従来技術のように、単一段のスクロール式空気圧縮機に適用してもよい。また、多風量を得るために、2台の一段圧縮機を並列に接続する構成としたものでもよく、3段以上の多段スクロール式圧縮機に適用してもよいものである。
さらに、前記各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
本発明の第1の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 図1中の矢示II部分を拡大して示すシール装置の断面図である。 第2の実施の形態によるシール装置を示す図2と同様位置の断面図である。 第3の実施の形態によるシール装置を示す図2と同様位置の断面図である。 図4中のバックアップリングを単体で示す斜視図である。 第4の実施の形態によるシール装置を示す図2と同様位置の断面図である。 第5の実施の形態によるシール装置を示す図2と同様位置の断面図である。 第6の実施の形態によるシール装置を示す図2と同様位置の断面図である。
符号の説明
1 ケーシング(固定側部材)
4A 低圧スクロール部(低圧段圧縮部)
4B 高圧スクロール部(高圧段圧縮部)
5A 低圧段の固定スクロール(スクロール)
5B 高圧段の固定スクロール(スクロール)
6A,6B,22A,22B 鏡板
7A,7B,23A,23B ラップ部
13 電動モータ(駆動手段)
14 ステータ
15 ロータ
16 回転軸(出力軸)
17A,17B 回転軸受
19 旋回軸(出力軸)
20A,20B 旋回軸受
21A 低圧段の旋回スクロール(スクロール)
21B 高圧段の旋回スクロール(スクロール)
24A 低圧段の圧縮室
24B 高圧段の圧縮室
26 補助クランク(自転防止機構)
27 吸込フィルタ
28 導管(連通路)
31,41,51,61,71,81 シール装置
32,72 シール溝
32a,72a 底部
33,62 弾性リング(摺動部材)
33b,62b 凹窪部
34,42,74 リップシール(受圧部材)
34b,34c,42b,42c,74b,74c リップ部
52,82 バックアップリング(バックアップ部材)
62c 切欠部

Claims (9)

  1. 渦巻状のラップ部が互いに重なり合って圧縮室を形成する2つのスクロールと、該2つのスクロール間に外部から吸込んだ流体を前記圧縮室内で圧縮するため該2つのスクロールのうち第1のスクロールを他方のスクロールに対して旋回駆動する駆動手段と、前記2つのスクロールの間に設けられ前記圧縮室内の流体圧力が両者の摺接面間から外部に漏洩するのを防ぐシール装置とを備えたスクロール式流体機械において、
    前記シール装置は
    記2つのスクロールの摺接面のうち一方の摺接面側に設けられたシール溝と、
    該シール溝内に配置され相手方の摺接面に接触して相対的に摺動する接触面および該接触面から離れた他方の端面側の外径側に形成された環状の凹窪部を有する摺動部材と、
    該摺動部材の前記凹窪部内に収容され、内径側が前記凹窪部の周壁と接触してシールすると共に外径側が前記シール溝の周壁に接触してシールする受圧部材とにより構成し
    前記シール装置は、前記圧縮室内の圧力を前記摺動部材の内径側より前記シール溝の底部側から前記受圧部材に向けて導き、前記摺動部材を相手方の摺接面に押付けて該摺接面との間を軸方向でシールする構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 2つのスクロールのラップ部が重なり合って低圧段の圧縮室を形成する低圧段圧縮部と、2つのスクロールのラップ部が重なり合って高圧段の圧縮室を形成する高圧段圧縮部と、前記低圧段圧縮部を高圧段圧縮部と一緒に駆動する駆動手段と、前記高圧段圧縮部の各スクロール間に設けられ前記圧縮室内の流体圧力が両者の摺接面間から外部に漏洩するのを防ぐシール装置とを備えたスクロール式流体機械において、
    前記シール装置は
    記高圧段圧縮部の各スクロールの摺接面のうち一方の摺接面側に設けられたシール溝と、
    該シール溝内に配置され相手方の摺接面に接触して相対的に摺動する接触面および該接触面から離れた他方の端面側の外径側に形成された環状の凹窪部を有する摺動部材と、
    該摺動部材の前記凹窪部内に収容され、内径側が前記凹窪部の周壁と接触してシールすると共に外径側が前記シール溝の周壁に接触してシールする受圧部材とにより構成し
    前記シール装置は、前記圧縮室内の圧力を前記摺動部材の内径側より前記シール溝の底部側から前記受圧部材に向けて導き、前記摺動部材を相手方の摺接面に押付けて該摺接面との間を軸方向でシールする構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  3. 前記摺動部材は、前記ラップ部を径方向外側から取囲んで前記相手方の摺接面に面接触するリング体により構成してなる請求項1または2に記載のスクロール式流体機械。
  4. 前記摺動部材は、前記シール溝に対し、内径側と外径側とに隙間をする構成としてなる請求項1,2または3に記載のスクロール式流体機械。
  5. 前記受圧部材は、前記摺動部材と共に前記ラップ部を径方向外側から取囲むリング状のリップシールにより構成し、該リップシールは、前記圧縮室からの圧力を受圧して前記シール溝の外径側周壁と弾性的に接触する第1のリップ部と、前記摺動部材の前記凹窪部の周壁と弾性的に接触する第2のリップ部とを有してなる請求項1,2,3または4に記載のスクロール式流体機械。
  6. 記リップシールは、横断面がU字状またはY字状をなす構成としてなる請求項5に記載のスクロール式流体機械。
  7. 前記リップシールは、2個のリップ部のうち前記シール溝に接触する第1のリップ部の方が前記摺動部材に接触する第2のリップ部よりも大なるリップ長を有する構成としてなる請求項6に記載のスクロール式流体機械。
  8. 前記シール溝内には、前記摺動部材を相手方の摺接面に向けて弾性的に押圧するバックアップ部材を設けてなる請求項1,2,3,4,5,6または7に記載のスクロール式流体機械。
  9. 前記摺動部材には、相手方の摺接面と対面する部位に切欠部を設ける構成としてなる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載のスクロール式流体機械。
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