JP5128072B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents
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Description
第一の理由として、安全上の問題が挙げられる。即ち、水素が残留した配管系や燃料電池本体内部の空間に外部から空気が侵入した場合、燃焼や爆発が起こる虞があるためである。
第二の理由としては、燃料電池の劣化防止が挙げられる。燃料電池が、内部に水素及び空気が残留した状態で無負荷状態に置かれると、燃料極と空気極の間には開回路電圧に近い電位差が生じる。この際、空気極は高電位となるため、空気極側の触媒やガス拡散層等の電池構成部品の腐食が進行してしまう。
しかしながら、この方法では不活性ガスを貯蔵しておくための高圧ガスボンベやその付帯設備を必要とするため、発電装置全体の容積の増加が避けられない。また、不活性ガスの充填や高圧ボンベの交換を定期的に実施する必要があるため、コストがかかるとともに、取扱いに慣れた人員の配置が必要となる。このため、近年注目されている車載用燃料電池等、移動体または可搬体用としての利用や、家庭用小型燃料電池等での利用には適さない。
不活性ガスのパージを実施しない燃料電池発電システムにおいては、起動操作及び停止操作中に、短時間ではあるものの、アノード電極上にH2/空気の二分領域が存在するのと同時に、カソード電極上に空気領域が存在するという時間帯が生じる。このような現象について、図16を用いて以下に説明する。
アノード103上に水素と空気の両方が存在すると、その水素存在領域(図17中の符号133)と、空気存在領域(図17中の符号132)との間で、電池として短絡することになり、以下(1)式及び(2)式に示すような反応が進行する。
[1]水素存在領域133における反応: H2→2H++2e− ・・・(1)
[2]空気存在領域132における反応: O2+4H++4e→2H2O ・・・(2)
これらの関係より、アノード103、カソード102、及び電解質101の平面方向の電位状態は、図18に示すような関係になり、結果として、カソード102の領域121b側(図17参照)の電位(カソード102と電解質101との電位差)は、局部的な電解質電位の低下に伴って大きく上昇することが推定される。特許文献1によれば、この領域121b側のカソード電位(カソード102と電解質101との電位差)が約1.5から1.8ボルト程度に上昇すると報告されている。この、顕著に上昇したカソード電位によって、特にカソード102の領域121b側の触媒層104中の炭素担持体材料とカソード触媒の急速な腐食が生じ、電池性能が大幅に減衰してしまう。
また、頻繁な始動及び停止を伴うような長寿命用途の燃料電池システムにおいては、前記水素/空気の二分領域発生時間を0.05秒間、またはそれを下まわるような量のアノード燃料ガス(水素リッチガス)を、起動時に導入することが必要であると報告されている。
少なくとも燃料電池発電システム内に供給されるガスの内、前記酸化剤ガス及び前記燃料ガス以外の非反応性ガスを、前記アノード側のガス流路に供給するガス供給手段が備えられ、燃料電池発電システムの起動の際に、前記ガス供給手段によって、前記アノード側のガス流路に所定量の前記非反応性ガスが供給され、該非反応性ガスに次いで前記燃料ガスが供給されることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池発電システムは、前記アノード側のガス流路に供給される前記非反応性ガスの量が、少なくとも前記アノード側のガス流路の容積相当以上であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池発電システムは、原料ガスを浄化するガス清浄部と、該ガス清浄部で浄化された原料ガスを用いて前記燃料電池本体に供給する燃料ガスを生成する燃料改質処理系と、該燃料改質処理系に水蒸気を供給する水蒸気供給系とを備え、前記アノード側のガス流路に供給される前記非反応性ガスが、前記水蒸気供給系で生成された水蒸気である構成としても良い。
また、本発明の燃料電池発電システムは、原料ガスを浄化するガス清浄部と、該ガス清浄部で浄化された原料ガスを用いて前記燃料電池本体に供給する燃料ガスを生成する燃料改質処理系と、該燃料改質処理系に水蒸気を供給する水蒸気供給系とを備え、前記アノード側のガス流路に供給される前記非反応性ガスが、前記燃料改質処理系から排気される燃焼排ガスである構成としても良い。
また、本発明の燃料電池発電システムは、前記アノード側のガス流路の容積、水素(H2)及び酸素(O2)の拡散速度、前記燃料電池本体内の降温に伴う前記アノード側のガス流路の減少容積の各数値を用いて、前記燃料電池本体への燃料ガスの供給が遮断されてから外部の空気が前記アノード側のガス流路に侵入するまでの所要見込み時間を算出するガス流路演算制御手段を備え、該ガス流路演算制御手段は、前記燃料電池本体への燃料ガスの供給が遮断されてから前記所要見込み時間が経過するまでの間に、前記アノード側のガス流路に残留した燃料ガスをパージするものである構成としても良い。
「燃料電池発電システム」
図1は、本発明の一実施形態である燃料電池発電システム20の基本構成を示す概略図である。
この燃料電池発電システム20は、外部より原料ガスの供給を受けて該原料ガスを水素リッチな改質ガスに改質する改質器30と、該改質器30で改質された改質ガス中の一酸化炭素を低減して燃料ガスを生成するシフト反応器33及びCO選択酸化部34とを有する燃料改質処理系Aと、燃料ガスと空気との供給を受けて電気化学反応により発電する燃料電池本体10と、該燃料電池本体10の冷却水と貯湯槽44の低温水との熱交換を行なう熱交換器42と、燃料電池本体10からの直流電力の電圧及び電流を調整して所望の直流電力に変換するDC/DCコンバータ52と、該DC/DCコンバータ52で変換された直流電力を、商用電源(系統)と同位相の交流電力に変換して商用電源(系統)に電力を供給するインバータ54とから概略構成されている。
CH4+H2O→CO+3H2 ・・・(3)
CO+H2O→CO2+H2 ・・・(4)
また、ガス供給手段としては、前記燃料改質処理系Aや水蒸気供給系B等を用いる構成には限定されず、例えば、図4に示すような脱硫器28出口側と燃料電池本体10とを接続する配管を設けた構成とする等、適宜選択して採用することができる。
燃料電池本体10は、図2の模式図に示すような燃料電池の単セル1が積層されて構成されるものであり、カソード電極(以下、カソードと記載する場合がある)2と、アノード電極(以下、アノードと記載する場合がある)3と、カソード2及びアノード3の間に挟持された電解質膜(以下、電解質と記載する場合がある)4と、カソード2の外側に配置された酸化剤ガス流路(カソード側ガス流路)5aを有する酸化剤配流板(セパレータ)5と、アノード3の外側に配された燃料流路(アノード側ガス流路)6aを有する燃料配流板(セパレータ)6とを有してなる単セル1が複数積層され、固体高分子型の燃料電池として構成されている。
また、DC/DCコンバータ52の出力側から分岐した電力ラインには、燃料電池発電システム20で停止操作が実行された際に発電される余剰電極を消費するための補機動力56、及び、調節弁28、38のアクチュエータや昇圧ポンプ26、28、空気ブロア41、ポンプ46等の補機に直流電力を供給する直流電源として機能するバッテリー57が接続されている。
以下に、上述のように構成された燃料電池発電システム20で実行される起動操作の一例について、図1、2及び図6を参照しながら説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態の燃料電池発電システムで実行される起動操作を示すフローチャートである。
そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当未満の量であり、且つ、外部から侵入した空気と燃料ガスとを遮断できる量の原料ガスが供給された後、調節弁38が開かれ、改質器30に水蒸気が供給される。
この際、アノード側ガス流路6aに供給される原料ガスの量は、アノード側ガス流路6aの全容積の80〜100%程度の量とすることが好ましい。
原料ガスの供給量が、アノード側ガス流路6aの全容積に対して80%未満だと、短時間ではあるが、カソード2の局部(アノード側ガス流路6aの出口側)の電位を1.2V程度まで上昇させる虞がある。
原料ガスの供給量が、アノード側ガス流路6aの全容積に対して100%を超えると、アノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気と燃料ガスを遮断するのに必要とする量以上となり、経済的に無駄となる。
ここで、燃料ガスと外部から侵入した空気との間は、少なくとも非反応性ガスで遮断された状態であれば良いため、アノード側ガス流路6aに非反応性ガスとして供給する原料ガスの量は、燃料ガスと外部から侵入した空気とを遮断できる量であれば、少量でも構わない。
この場合には、起動時の昇温過程において、前記各機器が所定温度に到達し、燃料ガス導入操作に移行した際、遮断弁61を開いて原料ガスを燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給し、燃料電池発電システム21の停止中にアノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気を押し出す。
そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当未満の量であり、且つ、外部から侵入する空気と燃料ガスとを遮断できる量の原料ガスが供給された後、調節弁28及び調節弁38が開かれ、改質器30に原料ガスと水蒸気が供給される。
この結果、改質器30、シフト反応器33及びCO選択酸化器34の機器においては、(3)式に示す水蒸気改質反応、(4)式に示すシフト反応、及び選択酸化反応が起きるので、燃料電池本体10のアノード3に水素リッチな燃料ガスがされる。
このような構成とすることにより、既存の配管構成を用いた場合と全く同様に、アノード3上で水素と空気の二分領域が生じるのを防止することが可能となる(図3(a)参照)。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、起動操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、上述のように構成された燃料電池発電システム20で起動操作が実行される他の例について、図1、2及び図7を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態の燃料電池発電システムで実行される起動操作を示すフローチャートである。
次いで、前記各機器が所定温度に到達した後、燃料ガス導入操作に移行する。まず、調節弁38を開いて改質器30に水蒸気を供給する。ここで、水蒸気は、改質器30で改質反応することなく改質器30、及びCO選択酸化部34を通過し、燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給され、燃料電池システム20の停止中にアノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気を押し出す。
そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当未満の量であり、且つ、外部から侵入した空気と燃料ガスとを遮断できる量の水蒸気が供給された後、調節弁28が開かれ、改質器30に原料ガスが供給される。
この際、アノード側ガス流路6aに供給される水蒸気の量は、アノード側ガス流路6aの全容積の80〜100%程度の量とすることが好ましい。
水蒸気の供給量が、アノード側ガス流路6aの全容積に対して80%未満だと、短時間ではあるが、カソード2の局部(アノード側ガス流路6aの出口側)の電位を1.2V程度まで上昇させる虞がある。
水蒸気の供給量が、アノード側ガス流路6aの全容積に対して100%を超えると、アノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気と燃料ガスを遮断するのに必要とする量以上となり、経済的に無駄となる。
また、本例では、既存の配管構成を用いたガス供給手段とすることにより、起動操作において、アノード3に、水素リッチな燃料ガスが供給される前に水蒸気が供給される燃料電池発電システムを例に説明したが、図4に示す例のように、遮断弁62を介して蒸発器37の下流から燃料電池本体10のアノード側ガス流路6a入口に接続する配管構成のガス供給手段としても、同様の作用を得ることができる。
この場合には、起動時の昇温過程において、前記各機器が所定温度に到達し、燃料ガス導入操作に移行した後、遮断弁62を開いて水蒸気を燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給し、燃料電池発電システム20の停止中にアノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気を押し出す。
そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当未満の量であり、且つ、外部から侵入した空気と燃料ガスとを遮断できる量の水蒸気が供給された後、調節弁28、38が開かれ、改質器30に原料ガス及び水蒸気が供給される。この際の、アノード側ガス流路6aに供給される水蒸気の好ましい量は、上述と同様であり、省略する。
このような構成とすることにより、既存の配管構成を用いた場合と全く同様に、アノード3上で水素と空気の二分領域が生じるのを防止することが可能となる(図3(a)参照)。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、起動操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、本発明の燃料電池発電システムで起動操作が実行される他の例について、図2、5及び図8を参照しながら説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態の燃料電池発電システムで実行される起動操作を示すフローチャートである。また、図5は、本実施形態の起動操作を実行する燃料電池発電システム22の構成を示す概略図である。
そして、前記各機器が所定温度に到達した後、燃料ガス導入操作に移行する。まず、遮断弁64を閉めるとともに、遮断弁60、63を開くことにより、燃焼部32の燃焼排ガスを燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給し、燃料電池システム10の停止中にアノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気を押し出す。
アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当未満の量であり、且つ、外部から侵入した空気と燃料ガスとを遮断できる量の燃焼排ガスが供給された後、遮断弁64が開かれるとともに、遮断弁60、63が締められることにより、燃焼排ガスが遮断弁64側に導かれる。そして、調節弁28、38が開かれ、改質器30に原料ガスが供給される。
この際、アノード側ガス流路6aに供給される燃焼排ガスの量は、アノード側ガス流路6aの全容積の80〜100%程度の量とすることが好ましい。
燃焼排ガスの供給量が、アノード側ガス流路6aの全容積に対して80%未満だと、短時間ではあるが、カソード2の局部(アノード側ガス流路6aの出口側)の電位を1.2V程度まで上昇させる虞がある。
燃焼排ガスの供給量が、アノード側ガス流路6aの全容積に対して100%を超えると、アノード側ガス流路6aに外部から侵入した空気と燃料ガスを遮断するのに必要とする量以上となり、経済的に無駄となる。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第4の実施形態について説明する。本実施形態においては、停止操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、上述した構成の燃料電池発電システムで停止操作が実行される一例について、図1、2及び図11を参照しながら説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態の燃料電池発電システム20で実行される停止操作を示すフローチャートである。
そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量の原料ガスが供給された後、調節弁28が閉じられ、原料ガスのアノード側ガス流路6aへの供給が停止される。
そして、遮断弁66を閉じて燃焼部32への燃焼空気の供給を停止し、燃焼部32内のバーナー32aの燃焼を失火させ、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
この場合には、停止操作において、カソード側ガス流路5aへの空気供給が停止されて燃料電池本体10の出力電圧が低下し、該出力電圧が下限値に到達した際、図示略の制御系が燃料電池本体10の負荷を遮断し、次いで調節弁28と調節弁38を閉じることにより、改質器30への原料ガスと水蒸気の供給を停止する。また、これと同時に遮断弁63を閉じ、且つ遮断弁61を開くことにより、原料ガスを燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給し、該アノード側ガス流路6aに残留する水素リッチな燃料ガスを外部へ押し出す。
そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量の原料ガスが供給された後、遮断弁61が閉じられ、原料ガスのアノード側ガス流路6aへの供給が停止される。そして、遮断弁66を閉じて燃焼部32への燃焼空気の供給を停止し、燃焼部32内のバーナー32aの燃焼を失火させ、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
このような構成とすることにより、既存の配管構成を用いた場合と全く同様に、アノード3上で水素と空気の二分領域が生じるのを防止することが可能となる。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第5の実施形態について説明する。本実施形態においては、停止操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、燃料電池発電システムで停止操作が実行される他の例について、図1、2及び図12を参照しながら説明する。
図12は、本発明の第5の実施形態の燃料電池発電システムで実行される停止操作を示すフローチャートである。
次いで、遮断弁28を閉じることにより、改質器30への原料ガスの供給が停止される。一方、水蒸気は、改質器30に供給される状態が保持されているので、改質反応することなく、改質器30及びCO選択酸化部34を通過して燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給され、該アノード側ガス流路6a内に残留する水素リッチな燃料ガスを外部へ押し出す。この際、アノード側ガス流路6a出口から燃焼部32への水素リッチな燃料ガスの供給が途切れると、燃焼部32内のバーナー32aは失火に移行する。そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量の水蒸気が供給された後、調節弁38が閉じられ、水蒸気のアノード側ガス流路6aへの供給が停止される。その後、遮断弁66を閉じて燃焼部32への燃焼空気の供給を停止し、燃焼部32内のバーナー32aの燃焼を失火させ、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
なお、前記調節弁28及び調節弁38を閉じたタイミングで、燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aへの水素リッチな燃料ガスの供給が停止されるため、燃焼部32内のバーナー32aへの燃料ガスの供給も遮断され、失火状態となる。燃焼部32の停止により、蒸発器37における、アノード側ガス流路6aの容積相当の水蒸気生成が困難な場合には、燃料電池発電システム起動時の改質器30の昇温操作時と同様に、図示しない配管を介して原料ガスを燃焼部32に供給し、燃焼部32(バーナー32a)の燃焼を継続することで、アノードへの水蒸気供給を継続することが可能になる。
この場合には、停止操作において、カソード側ガス流路5aへの空気供給が停止されて燃料電池本体10の出力電圧が低下し、該出力電圧が下限値に到達した際、図示略の制御系が燃料電池本体10の負荷を遮断し、次いで調節弁28及び調節弁38を閉じることにより、改質器30への原料ガス及び水蒸気の供給を停止する。また、これと同時に遮断弁62を開くことにより、水蒸気を燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給し、該アノード側ガス流路6a内に残留する水素リッチな燃料ガスを押し出す。そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量の水蒸気が供給された後、遮断弁62が閉じられ、水蒸気のアノード側ガス流路6aへの供給が停止される。
その後、遮断弁66を閉じて燃焼部32への燃焼空気の供給を停止し、燃焼部32内のバーナー32aの燃焼を失火させ、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
このような構成とすることにより、既存の配管構成を用いた場合と全く同様に、アノード3上で水素と空気の二分領域が生じるのを防止することが可能となる(図3(b)参照)。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第6の実施形態について説明する。本実施形態においては、停止操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、燃料電池発電システムで停止操作が実行される他の例について図2、5及び図13を参照しながら説明する。
図13は、本発明の第6の実施形態の燃料電池発電システムで実行される停止操作を示すフローチャートである。
また、燃料電池発電システムの停止指令が実行されてから、カソード側ガス流路5aへの空気供給が停止され、燃料電池本体10の出力電圧が低下し、該出力電圧が下限値に到達した際に、図示略の制御系が燃料電池本体10の負荷を遮断する過程については、第4の実施形態(図11参照)と同様である。
次いで、本実施形態では、遮断弁28及び遮断弁38を閉じることにより、改質器30への原料ガス及び水蒸気の供給を停止する。なお、これと同時に、燃料電池発電システム起動時の改質器30の昇温操作時と同様、原料ガスを、配管を介して燃焼部32に供給することにより、燃焼部32の燃焼を継続することができる。
次いで、遮断弁64を閉め、遮断弁60、63を開くことにより、燃焼部32の排ガスを燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aに供給し、アノード側ガス流路6a内に残留する水素リッチな燃料ガスを外部へ押し出す。そして、アノード側ガス流路6aに、該アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量の燃焼排ガスが供給された後、遮断弁64が開かれ、遮断弁60、63が閉じられることにより、燃焼排ガスが遮断弁64側に導かれる。
その後、遮断弁66及び燃焼部32への図示略の原料ガス供給弁を閉じ、燃焼部32への燃焼空気及び原料ガスの供給を停止することにより、燃焼部32内のバーナー32aの燃焼を失火させ、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第7の実施形態について説明する。本実施形態においては、停止操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、燃料電池発電システムで停止操作が実行される他の例について図2、9及び図14を参照しながら説明する。
図14は、本発明の、第7の実施形態の燃料電池発電システムで実行される停止操作を示すフローチャートである。また、図9は、本実施形態の停止操作を実行する場合の燃料電池発電システム23の構成を示す概略図である。
次いで、遮断弁28及び遮断弁38を閉じることにより、改質器30への原料ガス及び水蒸気の供給を停止する。また、この動作と同時に、燃焼部32への燃焼空気供給を停止して燃焼部32の燃焼を失火させる。次に、アノード側ガス流路6a入口に接続された遮断弁63を閉じ、且つ、遮断弁68を開き、更にブロワー67を稼動させる操作を行う。この結果、燃料電池本体10のアノード側ガス流路6aのガスの流れは、通常の発電時とは逆の方向になり、アノード側ガス流路6a内に残留している水素リッチの燃料ガスがブロワー67を介して排気され、続いて、燃焼部32よりも下流の燃焼排ガス(つまり、蒸発器37側の燃焼排ガス)は、燃焼部32内のバーナー32aから吸引され、アノード側ガス流路6a内に導かれる。
そして、アノード側ガス流路6aに、バーナー32aから吸引される前記燃焼部32よりも下流の燃焼排ガスが、アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量で供給された後、ブロワー67が停止され、遮断弁68が閉じられることにより、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
以下、本発明の燃料電池発電システムの第8の実施形態について説明する。本実施形態においては、停止操作以外の燃料電池発電システム及び燃料電池本体の基本構成については第1の実施形態と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
以下に、燃料電池発電システムで停止操作が実行される他の例について図2、10及び図15を参照しながら説明する。
図15は、本発明の第8の実施形態の燃料電池発電システムで実行される停止操作を示すフローチャートである。また、図10は、本実施形態の停止操作を実行する場合の燃料電池発電システム24の構成を示す概略図である。
次いで、遮断弁28及び遮断弁38を閉じることにより、改質器30への原料ガス及び水蒸気の供給を停止する。また、この動作と同時に、燃焼部32への燃焼空気供給を停止し、燃焼部32内のバーナー32aの燃焼を失火させる。その後、燃料電池発電システム24は降温状態に移行するが、燃料電池本体10のアノード側ガス流路6a内に残留する水素は、電解質1の拡散に伴うカソード残留酸素との直接反応による消費、更には降温に伴う体積収縮等により、アノード側ガス流路6a内の減圧現象が進行する。この減圧現象により、外部空気が、アノード出口ラインからアノード側ガス流路6a内に引き込まれるので、予め、燃料電池発電システム24に備えられたガス流路演算制御手段70が、配管容積、各種ガスの物性値等を用いて、外部空気がアノード側ガス流路6a内に侵入するまでの時間を算出し、その算出時間以内に空気ブロワー41(酸化剤ガス供給系)を稼動し、遮断弁69を開くように制御する。これにより、アノード側ガス流路6a入口側から該アノード側ガス流路6a内に、空気ブロワー41からの空気が供給される。
そして、アノード側ガス流路6aに、空気ブロワー41から供給される空気が、アノード側ガス流路6aの容積相当以上の量で供給された後、空気ブロワー41が停止され、遮断弁69が閉じられることにより、最終的に燃料電池発電システムの停止に移行する。
Claims (2)
- 電解質と、該電解質を挟むアノード及びカソードを構成する一対の電極と、前記アノード側に水素を含む燃料ガスを供給させるとともに、前記カソード側に酸素を含有する酸化剤ガスを供給させるガス流路が設けられた一対のセパレータとを具備した燃料電池本体を有する燃料電池発電システムにおいて、
少なくとも燃料電池発電システム内に供給されるガスの内、前記酸化剤ガス及び前記燃料ガス以外の非反応性ガスを、前記アノード側のガス流路に供給するガス供給手段と、
原料ガスを浄化するガス清浄部と、
該ガス清浄部で浄化された原料ガスを用いて前記燃料電池本体に供給する燃料ガスを生成する燃料改質処理系と、
該燃料改質処理系に水蒸気を供給する水蒸気供給系と、
が備えられ、
燃料電池発電システムの起動の際に、前記ガス供給手段によって、前記アノード側のガス流路に前記非反応性ガスが前記アノード側のガス流路の全容積の80〜100%の量で供給され、該非反応性ガスに次いで前記燃料ガスが供給され、
前記アノード側のガス流路に供給される前記非反応性ガスが、前記水蒸気供給系で生成された水蒸気又は前記燃料改質処理系から排気される燃焼排ガスであることを特徴とする燃料電池発電システム。 - 請求項1に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記アノード側のガス流路に供給される前記非反応性ガスが、前記燃料改質処理系から排気される燃焼排ガスである場合、前記アノード側のガス流路の出口側が前記燃料改質処理系に備えられた燃焼部のバーナーに接続されているとともに、前記アノード側のガス流路の入口側に吸気装置が接続されており、
該吸気装置は、燃料電池発電システムが停止されて前記燃料電池本体への燃料ガスの供給が遮断された際に吸気稼動を行い、前記アノード側のガス流路に残留した燃料ガスを外部に排気するとともに、前記燃焼部に残留した燃焼排ガスを前記バーナーから吸引して前記アノード側のガス流路に導入するものであることを特徴とする燃料電池発電システム。
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