本発明は画像データに不正コピー防止パターンを重畳する機能(以下「不正コピー防止機能」と称する)を有する光書き込み装置、この光書き込み装置を備えた複写機、複写機能を有するデジタル複合機などの画像形成装置、ならびに前記光書き込み装置の動作をコンピュータで制御するためのプログラムに関する。
現在一般に使用されている複写機には不正コピー防止機能が搭載されている。この不正コピー防止機能とは、当該機能を有する画像処理装置(第1の画像処理装置と称する)が、画像データに対し不正コピー防止パターンを重畳した上で対応する画像を印刷する機能である。このように不正コピー防止パターンが重畳された画像が第2の画像処理装置を使用して読み取られる際、当該第2の画像処理装置により前記不正コピー防止パターンが認識される。その結果、当該第2の画像処理装置は当該画像を不正コピー防止画像として取り扱い、当該画像のコピーを行わない。この不正コピー防止機能が有効に活かされるためには、ある機種の第1の画像形成装置で印刷された、不正コピー防止パターンが重畳された画像が、他機種の第2の画像処理装置で読み取られた場合であっても、当該第2の画像処理装置により当該画像が不正コピー防止画像として確実に認識されることが要される。
特許文献1には以下の技術が開示されている。すなわち、熱エネルギにより発色状態と消色状態とを可逆的に変化させることにより可視情報の表示および消去が可能な熱可逆性記録層を有する熱可逆印刷媒体を使用する。そして当該熱可逆印刷媒体に書き込まれている、複写の可否、複写権限、機密期限、印刷媒体特性を含む埋め込み情報が複写時に読み出されて解析される。
また特許文献2乃至4は、複写禁止文書の不正複写を防止する機能を有する画像処理装置を開示している。
特開2004−237678号公報
特許第3078433号
特開平7−273984号公報
米国特許第5,647,010号
現在、画像形成装置として、いわゆるA0広幅機を使用して印刷を行う場合、感光体に静電像を形成する際、複数の発光素子を有するLEDプリントヘッド(LEDPrintHead、以下、LPHと略称する)を用いていること、さらにはその他のプロセス上の条件により、いわゆるLD書き込みを行う他機種の画像形成装置に比べ、1ドットのドット形状が全体的に大きく、縦長になる(図29(c)、図30(c)参照)。その結果印刷された不正コピー防止パターンが不正コピー防止パターンの規格を満たさなくなる場合が懸念される。その場合、当該広幅機を第1の画像処理装置として使用すると、当該第1の画像処理装置から出力された、不正コピー防止パターンが重畳された画像から、第2の画像処理装置により当該不正コピー防止パターンを認識する際の認識精度が低下するおそれが考えられる。その結果第2の画像処理装置では当該画像が不正コピー防止画像として認識されず、コピーがなされてしまうという事態が考えられる。なお、前記プロセス上の条件とは、現像ローラ径、現像方式、トナー粒系などの条件のことで、これらの条件がA0広幅機と、A3以下の機種とでは異なっている。
このような問題点を解決するため、広幅器で出力された不正コピー防止パターンを重畳した画像における、当該不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを細線化機能等で制御することで、印刷された不正コピー防止パターンが不正コピー防止パターンの規格が満たすようにすることが考えられる。しかしながら現状では横方向の細線化の効果は大きいものの、縦方向の細線化の効果は不十分であり、印刷された不正コピー防止パターンが不正コピー防止パターンの規格が満たすようにすることは困難と考えられる。また縦方向の制御を行おうとすると画像全体に影響が出てしまうため、これを行なうことが困難と考えられる。LPHが有する各発光素子自体の画素径は汎用部品で決まるため、これを変更することは困難と考えられる。またプロセス系の変更も副作用の影響を考慮するとこれを実際に行うことは困難と考えられる。このようなことから、現像ローラ径、現像方式、トナー粒系等を変更し、製品として他機種と同等のドット径を実現し、印刷された不正コピー防止パターンが不正コピー防止パターンの規格を満たすようにすることは困難と考えられる。
前記課題を解決するため、画像データに対して不正コピー防止パターンを重畳した後に不正コピー防止パターンを認識し、当該不正コピー防止パターンの各画素単位で画像データを補正して不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを制御した上で対応する画像を書き込むようにした。
画像データ上で不正コピー防止パターンを認識し、当該不正コピー防止パターンの各画素単位で画像データを補正して不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを制御することにより、印刷された画像に含まれる不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを精度よく制御し得る。その結果第1の画像処理装置によりこのようにして不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさが精度よく制御されて印刷された画像に含まれる不正コピー防止パターンは、第2の画像処理装置によって高精度で認識されるようになる。したがって第1の画像処理装置が有する不正コピー防止機能が効果的に活かされる。
実施例によれば、画像書き込み部においてラインメモリを用いて画像データから小さな画像マトリクスを順次抽出する。このようにして抽出された画像マトリクスを随時参照することで当該画像マトリクスから不正コピー防止パターンを認識する。画像マトリクスから不正コピー防止パターンが認識された場合、1画素単位で画素の光量を制御して不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドットパターン全体の大きさを制御する。ここでA0感光体は幅が広いため、感光体像高に応じたプロセス特性のばらつきがあり、その結果紙面上に形成されるドット径がばらつくことがある。そのような現象の一例を図26に示す。すなわち、A0感光体の左側、中央部、右側で図26に示したように1画素サイズが異なる場合がある。
A0感光体においてもドット径のばらつきを効果的に抑制し得、結果的に不正コピー防止パターンの認識精度を向上させるため、実施例の第1の手段は、画像データに対して不正コピー防止パターンを重畳し、発光素子アレイユニットを用いて感光体上に光書き込みを行う光書き込み装置において、前記画像データをnラインずつ蓄積する記憶手段と、前記記憶手段から読み出した画像データを使用してn×n(nは2以上の整数)の画像マトリクスを生成するマトリクス生成手段と、前記マトリクス生成手段によって生成された画像マトリクスごとに画像データの認識を行い、該当する不正コピー防止パターンが認識されたとき、不正コピー防止パターンの各画素単位で画像データを補正して不正コピー防止パターンの孤立ドットの大きさを制御する制御手段とを備える。前記制御手段は、主走査方向に画像領域を分割し、分割した領域ごとに個別に前記不正コピー防止パターンの孤立ドットの大きさを制御する。
第2の手段は、第1の手段において、A0の用紙サイズより短い幅の前記発光素子アレイユニットを複数主走査方向沿って一部重複して並べ、A0サイズの書き込み幅を設定して書き込みを行う場合、隣接する前記発光素子アレイユニットの繋ぎ目部の画像領域において前記不正コピー防止パターンの孤立ドットを印字する際、前記制御手段は前記繋ぎ目部では他の部分とは独立して前記孤立ドットの大きさを制御する。
第3の手段は、第2の手段において、前記制御手段が、前記繋ぎ目部以外の画像領域では、主走査方向に画像を分割して、それぞれの領域において他の領域とは独立して前記孤立ドットの大きさを制御する。
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記主走査方向に分割する分割画像領域の幅を外部から任意に設定する設定手段を備える。
第5の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記主走査方向に分割する分割画像領域の分割数を外部から任意に設定する設定手段を備える。
第6の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記マトリクス生成手段によって生成された画像マトリクスによってパターン認識を行う際に不正コピー防止パターンの孤立ドットであると認識する参照画素パターンを外部から任意に設定する設定手段を備える。
第7の手段は、第6の手段において、前記不正コピー防止パターンの孤立ドットの各画素の補正の態様を外部から調整する調整手段をさらに備える。
第8の手段では、第7の手段において、前記調整が前記孤立ドットパターンの各画素に対応する発光素子の出力を制御する出力制御手段により行われる。
第9の手段では、第7の手段において、前記調整が前記孤立ドットパターンの各画素に対応する発光素子への画像データの転送速度を制御する転送速度制御手段により行われる。
第10の手段では、第7の手段において、前記孤立ドットパターンの各画素に対応する発光素子の出力を制御する出力制御手段、前記孤立ドットパターンの各画素に対応する発光素子への画像データの転送速度を制御する転送速度制御手段、および前記各制御手段を選択する選択手段を備え、前記選択手段は2値モードか多値モードかに基づいて前記出力制御手段および前記転送速度制御手段のいずれかを選択して前記調整を行わせる。
第1ないし第10のいずれかの手段に係る光書き込み装置を画像形成装置が備える。
第11の手段によれば、画像データに対して不正コピー防止パターンを重畳し、発光素子アレイユニットを用いて感光体上に光書き込みを行う光書き込み方法において、ラインメモリを用いて画像データから小さな画像マトリクスを生成するマトリクス生成工程と、前記マトリクス生成工程で生成された画像マトリクスを随時参照して不正コピー防止パターンを認識するパターン認識工程と、前記パターン認識工程で前記不正コピー防止パターンが認識されたとき、1画素単位で画素の光量を制御して不正コピー防止パターンの孤立ドット全体の大きさを制御する制御工程とを備え、前記制御工程で主走査方向に画像領域を分割し、分割した領域ごとに個別に前記不正コピー防止パターンの孤立ドットの大きさを制御する。
第12の手段によれば、画像データに対して不正コピー防止パターンを重畳し、発光素子アレイユニットを用いて感光体上に光書き込みを行う光書き込み方法において、前記画像データをnラインずつ記憶手段に蓄積する蓄積工程と、前記蓄積工程で蓄積された画像データを前記記憶手段から読み出し、その読み出した画像データを用いてn×n(nは2以上の整数)の画像マトリクスを生成するマトリクス生成工程と、前記マトリクス生成工程で生成された画像マトリクスごとに画像データの認識を行い、該当する不正コピー防止パターンが認識されたとき、不正コピー防止パターンの各画素単位で画像データを補正して不正コピー防止パターンの孤立ドットの大きさを制御する制御工程とを備え、前記制御工程で主走査方向に画像領域を分割し、分割した領域ごとに個別に前記不正コピー防止パターンの孤立ドットの大きさを制御する。
第13の手段によれば、第11又は第12の手段において、前記分割した領域が、A0の用紙サイズより短い幅の前記発光素子アレイユニットを複数主走査方向沿って一部重複して並べ、A0サイズの書き込み幅を設定して書き込みを行う場合の隣接する前記発光素子アレイユニットの繋ぎ目部の画像領域である。
第14の手段によれば、第13の手段において、前記繋ぎ目部以外の画像領域では、主走査方向に画像を分割して、それぞれの領域において他の領域とは独立して前記孤立ドットの大きさを制御する。
ここで前記発光素子アレイユニットはLPH1(503−1),LPH2(503−2),LPH3(503−3)の各々に対応する。記憶手段はラインメモリ501−21に対応する。マトリクス生成手段は画像マトリクス生成部501−32に対応する。制御手段はCPU302−1(図1B参照)、パターン認識および出力画像生成部501−33に対応する。外部から任意に設定する設定手段は操作部400およびシステム制御装置302に設けられたCPU302−1および同システム制御装置302に設けられたRAM302−3によって実現され得る各種レジスタに対応する。出力制御手段はLPH制御回路502に対応する。転送速度設定手段は遅延制御・LPH転送部502−3に対応する。選択手段は前記CPU302−1に対応する。
実施例によれば、主走査方向に画像領域を分割し、分割した領域ごとに個別に前記不正コピー防止パターンの孤立ドットの大きさを制御するので、孤立ドットの大きさを揃えることが可能となり、これにより不正コピー防止パターンの認識精度を向上させることができる。
以下、図面を参照し、各実施例につき詳細に説明する。
図1Aは実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施例に係る画像形成装置は、原稿を読み取る読み取り手段としての原稿読み取り部100、読み取られた原稿の画像情報を記憶する記憶手段としての画像情報記憶部300、記憶された画像情報を転写紙に複写するための一連のプロセスを実行する複写装置200、複写する際に画像を書き込む書き込み部500、これらを制御するシステム制御装置302、およびこのシステム制御装置にキー入力を行う操作手段としての操作部400等を有する。また図1Bはシステム制御装置302の内部構成の例を示すブロック図である。図示の如く、システム制御装置302は各種の演算処理を実行するためのCPU302−1,CPU302―1によって使用される各種情報、プログラム等を格納するROM302−2およびRAM302−3を有する。
図2は実施例1に係る画像形成装置の機械的構成を示す図である。画像形成装置は複写装置200と画像読み取り部100とを有し、画像読み取り部100は複写装置200の上部に装着され、これらは一体となっている。なお、複写装置200では、下部に給紙部が、その上部に作像部が、それぞれ配置されている。
オペレータが原稿を画像読み取り部100の挿入口10から挿入すると、原稿は、ローラ21の回転により密着センサ(すなわちCIS(Contact Image Sensor))101と白色ローラ23との間を通して搬送される。搬送中の原稿には、密着センサ101に取り付けられているLED素子により光が照射され、その反射光が密着センサ101に結像されて原稿画像情報が読み取られる。
図1Aに示すように、密着センサ101は結像された原稿画像をアナログの電気信号に変換し,この電気信号は画像増幅回路102で増幅される。A/D変換回路103は画像増幅回路102で増幅された画像信号を画素ごとに多値デジタル画像信号に変換する。このデジタル画像信号はA/D変換回路103で同期制御回路106から出力されるクロックに同期して出力される。その後デジタル画像信号が有するデジタル画像情報はシェーディング補正回路104で処理され、前記LED素子の光量ムラ、密着センサ101の感度ムラ等による歪が補正される。シェーディング補正回路104で補正されたデジタル画像情報は、画像処理回路105でデジタル記録画像情報に変換された後、画像情報記憶部300内の記憶手段としての画像メモリ部301に書き込まれる。また、読み取り制御回路107は読み取り部100内の同期制御回路106などを制御する。スキャナ駆動回路108は読み取り部100内のローラ21、白色ローラ23などを回転させるモータ等を駆動制御する。
システム制御装置302は書き込み部500および複写装置200を制御し、画像メモリ部301に書き込まれた画像情報により転写紙に画像を形成するための一連のプロセスを制御する。書き込み部500は後述する如く複写装置200に対して画像の光書き込みを行う機能を有する。さらに詳しくは、システム制御装置302は、本画像形成装置の全体制御を司り、読み取り制御回路107、同期制御回路106、画像メモリ部301、画像変換部501およびLPH制御回路502による画像データ転送動作および画像データ処理動作を制御する。またシステム制御装置302は、駆動制御回路505に対してスキャナ駆動回路108、プリンタ駆動装置303を介してモータ等を駆動させて原稿および転写紙搬送を円滑に制御する。なお、画像遅延メモリ504はLPH制御回路502が制御の際に使用する遅延メモリである。ここでシステム制御装置302は上記の如くCPU302−1を有する。このCPU302−1は、同じく例えばシステム制御装置302自身が有する、コンピュータが読取可能な情報記録媒体であるROM302−2或いはRAM302−3に書き込まれたプログラムを実行することにより、上記した制御動作を含む制御動作を実行する。
CPU302−1による制御動作には、画像メモリ部301等を制御することで複写装置200により印刷される画像を表現する画像データに不正コピー防止パターンを重畳するための制御動作が含まれる。不正コピー防止パターンを重畳するための制御動作は、例えば公知の技術であるマル秘ナンバリング機能により複写禁止パターンとしての不正コピー防止パターンを画像データに重畳する動作を実現するための制御動作である(特許文献2の段落0024参照)。ここで不正コピー防止パターンを画像データに重畳する動作は、外部からのレジスタの設定等により、これを実際に行うか行わないかの設定が可能とされる。また不正コピー防止パターンを画像データに重畳する動作を実現するために必要な構成としては例えば上記公知の技術を利用可能であり、ここでの詳細な説明を省略する。更にCPU302−1による制御動作には、後述する不正コピー防止パターン補正部501−3等により実行される、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットを認識し、これを補正するための制御動作も含まれる。
書き込み部500では、画像メモリ部301から、同期クロック信号により転送された画像信号を画像変換部501で受け取りそのままLPH制御回路502に渡す。あるいは画像信号は密度変換がなされた上でLPH制御回路502に渡される。LPH制御回路502では受け取った画像信号が有する画像データをLPH1(503−1)用、LPH2(503−2)用およびLPH3(503−3)用に分割する。またLPH制御回路502は受け取った画像信号が有する画像データに対し必要部分の画像補正を行う。LPH1(503−1)〜LPH3(503‐3)は同画像データを赤外光に変換して出力する。このようにして赤外光に変換されて出力された画像データは複写装置200に供給される。・
次に複写装置200の構成につき図2とともに説明する。図2に示す帯電装置24は、像担持体としてのドラム状感光体25を−2500Vに一様に帯電させるグリッド付きのスコロトロンチャージャと呼ばれる帯電装置である。感光体感光体25は図示しないモータにより回転駆動される。LPH503はLPH―1、LPH2,LPH3(503−1,50−2,503−3)を一次元に配列し、複数個のLED素子を主走査方向にアレイ状に並べたものである。LPH制御回路502からの画像情報に基づいてLPH1〜3(503−1〜3)のLEDが発光してその光を光学素子であるセルフォックレンズアレイを介して感光体25に照射する。
感光体25はLPH1〜3(503−1〜3)からデジタル画像情報に基づいた光が照射されると、光導電現象で表面の電荷がアースに流れて消滅する。ここで、LPH1〜3(503−1〜3)は、原稿の画像濃度の淡い部分ではLED素子が弱く発光し、原稿の画像濃度が濃い部分ではLED素子が強く発光するように制御される。これにより、感光体25上の光照射部には原稿画像の濃淡に対応した静電潜像が形成される。この感光体25上の静電潜像は現像装置27によって現像されてトナー象となる。現像装置27では内部のトナーが撹拌により負に帯電されており、バイアスが−700V印加されている。このため、感光体25上の光照射部分だけにトナーが付着する。
一方、シート状記録媒体としての転写紙は3つの給紙台28,29,30および手差し部から選択的にレジストローラ31に給送され、レジストローラ31により所定のタイミングで送り出されて感光体25の下部を通過する。このときに転写手段としての転写チャージャ32により感光体25上のトナー像が転写された転写紙は、次に分離チャージャ33により感光体25から分離され、搬送ベルト34により定着装置35に送られる。そして、定着装置35によってトナーが転写紙上に定着される。トナーが定着された転写紙は排紙ローラ36,37により機外に排紙される。
図3は書き込み部500の画像データの流れを示すブロック図である。同図において、書き込み部500は画像変換部501、LPH書き込み制御部502、LPH1(503−1)、LPH2(503−2)、LPH3(503−3)(以下単にLPHと称する)、およびSDRAM504から構成されている。
この書き込み部500における画像データの置換と流れは以下の通りである。
1)まず、画像情報記憶部301から偶数番目の画素(以下EVENと称する)および奇数番目の画素(以下ODDと称する)の画像データ301−1が同時に送られてくる。
2)転送された画像データは、画像変換部501で、パターン認識(パターンマッチングとも称する、以下同様)の結果を受け、必要に応じて画像補正が施される。
3)次にLPH制御回路502にて、画像変換部501から出力された画像データ(この場合主走査方向のラインデータ)は、画像データRAM部のA群SRAM(502−1A)3個に1ライン分のデータが分割されて、書き込まれる。
4)次に、A群のSRAM(502−1A)3個に書き込まれた1ライン分の画像データが同時に読み出される。
5)SRAM A群(502−1A)から読み出されている最中に、次の2ライン目は、SRAM B群(501−1B)に書き込まれる。すなわちいわゆるトグル動作がなされる。このようなSRAM群502−1の選択制御はアドレス制御部502−2によって実行される。
6)SRAM502−1から読み出された各LPHの画像データは、SDRAM502−4に一度転送され、再度読み出される。ここでLPH1〜3が機械的なレイアウト上、副走査方向にずれている。すなわち、いわゆる千鳥状に配置されている(図21,図22参照)。このため、LPH1(503−1)を基準として、LPH2(503−2),LPH3(503−3)の画像データを各LPHのズレ量に相当する時間遅延させて読み出す。この読み出し制御は遅延制御・LPH転送部502−3によって行われる。従って、図1Aにおける画像遅延メモリ504が図3ではSDRAMに対応している。
7)最終的に遅延制御・LPH転送部502−3からLPH1,2,3へと画像データは転送される。
画像変換部501は、図4のブロック図に示すようにGATEコントロール部501−1、メモリコントロール部501−2、画像認識部(不正コピー防止パターン補正部)501−3、密度変換処理部501−4、主副トリム処理部501−5から構成されている。画像変換部501の各密度変換モード(すなわち画像出力モード)はレジスタdense_r[2:0]によって外部から任意に設定され得る。dense_r[2:0]の設定による各密度変換モードおよびモードごとの、後述する画像マトリクスのサイズは図5に示した通りである。密度変換モードは「画像処理を行わないスルーモード」(通常出力モード)、「単密度モード」、「2倍密度モード」、「3倍密度モード」、「1.5倍密度モード」を有する。
GATEコントロール部501−1は画像情報記憶部300に渡すLSYNC_0を生成する。このLSYNC_0は、上記密度変換モードが「通常出力モード」か、「1.5倍密度」以外の「単密度モード」、「2倍密度モード」または「3倍密度モード」か、あるいは1.5倍密度の密度変換モードかの各々の場合につき個別に設定されている。また、画素密度を変換するモードでは画像情報記憶部300からのLSYNCが間引かれる。このため、LPH画像書き込み制御部502にLSYNCを渡す際に補間を行う必要がある。GATEコントロール部501−1ではそのための処理が行われる。またダミーFGATEの生成もGATEコントロール部501−1で行われる。
メモリコントロール部501−2は、選択される密度変換モードに応じて画像マトリクスの副走査方向のライン群を生成する。メモリコントロール部501−2の主な機能は以下の通りである。
(a)マスクデータ(すなわち画素値が「0」のデータ、以下同様)のライト(すなわちメモリへデータを書き込むこと、以下同様)およびラインメモリ501−21からのリード(すなわちメモリからデータを読み出すこと、以下同様)、同メモリへのライトを、EVENおよびODDの2画素を並列して行う。
・1ラインの画素数21600の画像データを、アドレス0〜10799、幅5bitのラインメモリ501−21に、PLSYNC_Nごとで書き込む。
・PFGATE_NおよびPLGATE_Nのアサートが無い場合、ラインメモリ501−21へマスクデータを書き込む。
・PLGATE_NのアサートがPLSYNC_Nから32クロックまでに発生しない場合、強制的にラインメモリ501−21へのライトを開始する。
これによって、PFGATE_Nアサート前に、8本のラインメモリ501−21をマスクデータ(=0)で埋め尽くしておく。
(b)画像データライト
PFGATE_NおよびPLGATE_Nのイネーブル期間、マスクを解除して、画像データをメモリに書き込む。
(c)データリード、画像マトリクス生成
plsync_n(PLSYNC_Nを補間処理して600dpi間隔にしたもの)ごとに、ラインメモリ501−21からデータを読み出す。
なお、各変換密度(すなわち倍率)モードで使用される画像マトリクスのサイズは前記図5の通りである。
プリンタ出力時(すなわち上記単密度モード)および通常画像出力時(すなわち上記スルーモード)においては、7×7画素の画像マトリクスに使用するライン群をメモリコントロール部501−2の画像マトリクス生成部501−22で生成する。後述する不正コピー防止パターン補正機能が有効になっている場合は、上記ライン群は次のブロックである不正コピー防止パターン部501−3に送られる。そうでない場合は同ライン群は密度変換処理部501−4に渡される。また、1.5倍密度モード時は図5に示したように3種類のパターン(2×2,6×2,4×3)の画像マトリクスを生成する。その後、各モードにおいて必要な分の画像マトリクスを参照する。
ラインメモリ501−21のリードライト動作はラインメモリ制御部(ライト・リード・ブロック切替)501−23によって行われる。図6に示すように、8つのラインメモリのうちから1つ(図6の場合にはラインメモリ3)に対してライト動作を行う。それ以外のライト動作に係らないメモリ7つから、ラインデータを読み出して副走査方向7ライン分の画像マトリクスの用の画像データを確保する。このメモリリードライトのタイミングチャートの詳細を図7Aおよび図7Bに示す。
図8は不正コピー防止パターン補正部501−3の詳細を示すブロック図である。不正コピー防止パターン補正部501−3は、画像マトリクス生成部レジスタ(hcopyset[1:0]、外部から任意に設定可)を参照することにより、不正コピー防止パターン補正機能の使用の有無、および2値モードか多値モードかの別が判断される。その結果不正コピー防止パターン補正機能を使用すると判断された場合、画像データに含まれた不正コピー防止パターンを認識する。すなわち前段の画像マトリクス生成部501−22から得た1〜7ライン分のライン群を用いて画像マトリクスを生成する。次に同画像マトリクスに対しパターン認識を実施する。パターン認識の結果不正コピー防止パターンが発見された場合、同不正コピー防止パターンの画像に対して補正が行われる。この場合の補正の詳細については後述する。またその際の動作の流れについては図28とともに後述する。不正コピー防止パターン補正部501−3は、ラインごとに3つのFFが設けられた7つのラインからなる遅延部501−31と、遅延部501−31で遅延されたデータが入力される画像マトリクス生成部501−32と、パターン認識および出力画像生成部501−33と、主走査カウンタ501−34とを備える。
前記画像マトリクス生成部レジスタ(hcopyset[1:0])のレジスタ設定の内訳を図9に示す。なおこれら各種レジスタは例えば前記システム制御装置302が有するRAM302−3によって実現される(以下同様)。図9から分かるように、画像マトリクス生成部レジスタであるhcopyset[1:0]の値を「1」とする設定は、画像データに対する不正コピー防止パターン補正機能を使用しない場合の設定である。同値を「2」とする設定は、不正コピー防止パターン補正機能を使用する設定であり、また2値モードである場合の設定である。同値を「3」とする設定は、不正コピー防止パターン補正機能を使用する場合の設定であり、多値モードの場合の設定である。
ことを示す。
ここで、7×7画素の画像マトリクスの生成の詳細につき以下に述べる。図8に示すように、ラインメモリ501−21の出力であるEVEN/ODD2画素分のデータを遅延部501−31のそれぞれのFFでラッチすることで各3回遅延させる。図8中、「1ライン目1ラッチデータ」が、1ライン目のデータが一回遅延されて得られたデータを示す。同様に「1ライン目2ラッチデータ」が、1ライン目のデータが2回遅延されて得られたデータを示す。同様に「1ライン目3ラッチデータ」が、1ライン目のデータが3回遅延されて得られたデータを示す。その結果現在参照中の2画素と併せて合計8画素のデータを参照することが可能になる。ラインメモリ501−21からの出力は7ライン分なので、結果的に合計7×8画素のデータを一度に参照可能となる。不正コピー防止パターン補正機能では、実際には画像マトリクス生成部501−32で生成される前記7×8画素の画像マトリクスを用いて不正コピー防止パターンの補正を行う。すなわちここで使用する画像マトリクスは7×7画素の画像マトリクスであるが、本実施例においては上記の如く、EVEN画素およびODD画素の2画素を並列して処理する。このため、上記の如く、7×8画素の画像マトリクスが得られる。そして当該7×8画素の画像マトリクス中、主走査方向前側の7画素(すなわち7列)を有する7×7画素の画像マトリクスを抽出し、同7×7画素の画像マトリクスを参照してその中心の注目画素を補正する。その後前記7×8画素の画像マトリクス上で主走査方向に1画素分移動して主走査方向後側の7画素(すなわち7列)を有する7×7画素の画像マトリクスを抽出し、当該7×7画素の画像マトリクスを参照してその中心の注目画素を補正する。図10は上記7×8画素の画像マトリクス生成時のタイミングチャートである。
本実施例におけるパターン認識は以下のようにして行われる。
まず、主走査方向に画像分割を行う場合の制御について説明する。図8の下段に示すdiv_set[14:0]レジスタ(例えば前記システム制御装置302が有するRAM302−3により実現され、外部から任意に設定可)によって主走査分割画像領域幅、分割画像領域数を設定する。書き込み最大幅を主走査21600[画素]と考え、div_set[14:0]に設定した値が主走査画像領域分割領域幅とすると、主走査画像領域分割数は、
主走査画像領域分割数=21600/div_set[14:0]・・・(1)
となる。すなわち、分割数は(1)式によって設定され、割り切れる場合はその商を分割数として得、割り切れない場合はその商を切り上げて得た値を分割数として得る。
図11は主走査方向に画像分割の例を示す図である。同図では、分割数は5であるが、本実施例においては最大分割可能数は16である。
不正コピー防止パターン補正部501−3の出力画像生成部501−33で行われるパターン認識は、前段の画像マトリクス生成部501−32で作成された画像マトリクスに対し、図12に示すように、マッチングパターン(すなわち参照画素パターン、以下同様)として、レジスタinpat1−1[4:0]〜inpat1−49[4:0](例えば前記システム制御装置302が有するRAM302−3により実現され、外部から任意に設定可)において設定されている合計10通りのマッチングパターンを使用して行われる。図12下段に示すように、上記計49個のレジスタInpat1−1〜inpat1−49の個々のレジスタが、画像マトリクス生成部501−32で生成される7×7画素の画像マトリクスの各画素に、それぞれ対応する。図12下段に、当該7×7画素の画素マトリクスを示し、同マトリクスは同図の通し番号が示される如く、要素1〜49を有する。これらの要素1〜49がそれぞれ当該画像マトリクスに含まれる画素に対応し、それらの画素に対応する画素値が、それぞれ、上記49個のレジスタInpat1−1〜inpat1−49に設定される。そして上記49個のレジスタのセットが計10セット用意される。その結果、合計10通りのマッチングパターンが用意される。これら10セットのレジスタに、注目画素を中心として、不正コピー防止パターンの孤立ドットのドットパターンの考え得るパターンを計10通り、それぞれ設定しておく。その結果、画像データで表現される画像の全体ではなく、同画像に重畳されている不正コピー防止パターンのみを補正することが可能になる。
また、現在パターン認識の対象の画像マトリクスが上記10通りのマッチングパターンの何れかに一致するか否か、すなわちマッチングしたか否かの判断は、図8に示されるパターン認識部501−33が行う。その後、注目画素は、そのマッチングの結果に応じた出力画像が得られるように、変換がなされる。その際、常に主走査カウンタ501−34が、現在の注目画素が主走査ライン上の何番目の画素かをカウントする。その結果、現在の注目画素が属する分割領域(すなわち図11に示す分割領域、以下同様)を参照しておく。そして現在与えられている7×7画素の画像マトリクスが前記レジスタinpat1−1[4:0]〜inpat1−49[4:0]に設定してあるマッチングパターンに一致した場合、前記分割領域の各領域にて用意されているマッチングパターンと対に設定されている図13ないし図16に示す出力レジスタoutpat1−1[4:0]〜outpat16−10[4:0](例えば前記システム制御装置302が有するRAM302−3により実現され、外部から任意に設定可)の値に基づいた画素のデータをそれぞれ代わりに出力する。ここで出力レジスタoutpat1−1[4:0]〜outpat16−10[4:0]は計160個(16×10)用意されている。例えば一番目の出力レジスタoutpat1−1は、現在の注目画素が分割領域の第1番目の領域に属し、10通りのマッチングパターンのうちの第1番目のマッチングパターンが一致した場合の出力画素の画像データを設定する。同様に最後の出力レジスタoutpat16−10は、現在の注目画素が分割領域の第16番目の領域に属し、10通りのマッチングパターンのうちの第10番目のマッチングパターンが一致した場合の出力画素の画像データを設定する。
ここで多値モードの場合、画像データに対し、上記出力レジスタに設定された値に対応する階調の画像データをLPHまで転送する。他方2値モードの場合、いわゆる擬似多値モードの手法によって補正を行う。この疑似多値モードの手法とは、注目画素を副走査方向に位置をずらせた1ライン目と2ライン目とで計2度書き込み(以下副走査2度打ちと称する)、当該副走査2度打ちで書き込まれる計2個の画素値の組み合わせによって、当該画素の見かけ上の階調を変化させる手法である。この場合、当該2個の画素の各々の値が0,1の2通りであるため、その組み合わせは4通りとなる。したがって画素値として4値を表現する必要がある。画像データとしては多値モードの場合に備えてビット数が多いデータ構造を有するが、2値モードの際には画像データの下位2ビットを参照してパターン認識を行う。
図17下段に示される如く、上記出力レジスタの設定値が00の場合、上記副走査2度打ち時、副走査方向に位置をずらせた1ライン目、2ライン目ともに実際には書き込みを行わない。出力レジスタの設定値が01の場合、1ライン目のみ書き込み(すなわち画素値が1)2ライン目は書き込まない(画素値が0)。出力レジスタの設定値が10の場合、1ライン目は書き込まず(画素値が0)に2ライン目を書き込む(画素値が1)。出力レジスタの設定値が11の場合、1ライン目、2ライン目ともに書き込む(それぞれ画素値が1)。2値モードの場合にはこのようにして注目画素を補正することで不正コピー防止パターンの補正を行う。
図17は本実施例における不正コピー防止パターンの補正動作につき、実例を挙げて説明するための図である。図17の上段には、画像データが表現する画像のうち、副走査方向1〜7ライン、主走査方向0〜23画素の範囲を示す。同範囲の画像中、黒丸は黒画素(すなわち画素値が1、以下同様)を示し、白丸は白画素(画素値が0、以下同様)を示す。そして同範囲の画像中、同図に示す如く、3×3画素の黒画素の集合が、夫々孤立して4個、横方向に並んでいる。これら4個の黒画素の集合が、それぞれ不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットに該当する。このような不正コピー防止パターンとしては、例えば周知の地紋(例えば特許文献2の図2に示される複写禁止パターン)等が挙げられる。そして同図の状態は、画像データ中、副走査方向1〜7ライン、主走査方向0〜6画素の範囲の画像マトリクス(上記の如く7×7画素の画像マトリクス、以下同様)が抽出され、同画像マトリクスの内容が上記パターン認識において上記10通りのマッチングパターンのうちの一のマッチングパターンと一致した状態を示す。そして同時に同図の状態は、画像データ中、副走査方向1〜7ライン、主走査方向7〜13画素の範囲の画像マトリクスが抽出され、同画像マトリクスの内容が上記パターン認識において上記10通りのマッチングパターンのうちの他のマッチングパターンと一致した状態を示す。さらに同時に同図の状態は、画像データ中、副走査方向1〜7ライン、主走査方向14〜20画素の範囲の画像マトリクスが抽出され、同画像マトリクスの内容が上記パターン認識において上記10通りのマッチングパターンのうちのさらに他のマッチングパターンと一致した状態を示す。さらに同時に同図の状態は、画像データ中、副走査方向1〜7ライン、主走査方向21〜27画素の範囲の画像マトリクスが抽出され、同画像マトリクスの内容が上記パターン認識において上記10通りのマッチングパターンのうちのさらに他のマッチングパターンと一致した状態を示す。図17では説明の便宜上、このようにマッチングパターンとの一致が4箇所同時に生じたかの如く示されている。しかしながら本実施例の場合パターン認識は、実際には、画像データから順次画像マトリクスを抽出し、その都度マッチングパターンと比較して行う(図28参照)。このため、同時にマッチングパターンとの一致が生じるのは一箇所のみである。
また図17に示す如く、画像データの補正は、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットに含まれる一画素ごとである。補正される画素は注目画素であり、図17に示される如く、注目画素は画像マトリクスに含まれる7×7画素のうちの丁度中心に位置する画素である。図17上段中、注目画素には「注」と記してある(以下同様)。画素の補正は、図17の場合、上記3×3の黒画素の集合である不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットに含まれる黒画素のうち、外縁部分に位置する画素の階調を見かけ上変化させることで行っている。図17の例の場合このような補正により、図29,図30とともに後述する如く、当該不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを小さくし、規格に納めるようにする。具体的には、図17の上部に示された画像の範囲のうち、副走査方向4ライン、主走査方向3画素目が注目画素の場合、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの左上の隅の画素、すなわち外縁部分に位置する画素に該当する。したがって図17下段に示される如く、上記副走査2度打ちで書き込まれる注目画素のうち、2ライン目の画素は実際には書き込まれないように制御される。
2値モードの場合及び多値モードの場合の不正コピー防止パターンの補正について、更にそれぞれ図18および図19とともに説明する。これらの図では、上記マッチングパターンとして、図18に示す2値モードの場合、上記レジスタinpat1−25〜27、inpat1−32〜34、inpat1−39〜41を1に設定され、それ以外には全て0が設定される。このようにして設定されたマッチングパターンでは、図18上段に示される如く、7×7画素の画像マトリクスの25〜27番目、32〜34番目、39〜41番目(図12下段参照)に対応する画素が黒画素とされ、それ以外の画素が白画素とされる。また図18の例では、図示の如く、画像データの画像マトリクスのうち、副走査方向4〜6、主走査方向3〜5の範囲に3×3の黒画素を有する不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットが存在する。すなわちマッチングパターンと一致する。その結果、画像マトリクスが図18の上段に示す、副走査方向1〜7ライン、主走査方向0〜6画素の範囲のものであった場合、画像マトリクスとマッチングパターンとが一致する。その結果、画像マトリクスの中心に存在する注目画素、すなわち副走査方向4ライン目、主走査方向3番目の画素が補正される。図19の場合も同様である。但し図19の場合多値モードであるため、マッチングパターンを実現するレジスタinpat1−25〜27、inpat1−32〜34、inpat1−39〜41が1fに設定され、それ以外には全て0が設定される。補正後の画素値を設定する出力レジスタとしては、注目画素が属する主走査分割画像領域に対応するものが適用される。図18,図19から明らかなように、本実施例では、画像データ中、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットに対してのみドットの大きさを制御することが可能になる。
不正パターン防止コピー補正部501−3の後段の密度変換処理部501−4は、スムージング処理部、1.5倍密度変換処理部、画像セレクタ、フォーマット変換部(いずれも図示を省略)を備えている。密度変換処理部501−4は該当する設定に応じて各密度変換モードを選択し、それに応じた処理を画像データに対し行う。すなわち、まず、スルーモードが選択された場合には単純に画像をスルーさせて出力する。また単密度、1.5倍密度、2倍密度、3倍密度のそれぞれの密度変換モードが選択された際は、画像データに対し、選択された密度変換モードに応じた密度変換処理を行う。
密度変換処理部501−4のさらに後段にある主・副走査トリム部501−5は、画像データに対して主・副方向にマスク処理を行う。主・副方向の画像データに対するマスク処理の際のマスク量に関してはレジスタに設定されている値を参照して画像データに対し、同設定値に見合ったマスクをかける処理を行う。ここでマスク処理とは、例えば用紙の上下左右端の余白部分に対する印刷がなされないようにする目的で、該当する部分の画素の画像データを0とする処理を言う。
上述の如く、本実施例は以下のような効果を奏する。
1)主走査方向に画像領域を分割し、分割した領域ごとに個別に不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを変更するので、感光体の位置による画素のばらつきを補正して書込みを行うことが可能となる。これにより、出力された画像から不正コピー防止パターンを認識する際の認識率を向上させることができる。このばらつきを補正した場合の例を図27に示す。同図から明らかなように、上述した図26の場合のようにA0幅の感光体の長手方向の位置で画素サイズがばらついていたものが、図27の場合、領域に応じて補正を行った結果、画素サイズが長手方向に一によらず揃った状態となっている。
2)上記の如く主走査方向に分割する分割画像領域の幅を外部から任意に設定することができる。このため感光体上の位置によるドットの大きさの差をより細かく補正することが可能となる。これにより、出力した画像から不正コピー防止パターンを認識する際の認識率を向上させることができる。
3)上記の如く主走査方向に分割する分割画像領域の分割数を外部から任意に設定することができる。このため感光体の位置によるドットの大きさの差をより細かく補正することが可能となる。これにより、出力した画像の不正コピー防止パターンの認識率を向上させることができる。
4)ラインメモリを用いて形成した画像マトリクスを使用してパターン認識を行う際に不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドットパターンか否かを判断するためのマッチングパターンを外部から任意に設定することが可能である。さらに2値モードの場合であっても多値モードの場合であっても対応が可能である。その結果不正コピー防止機能の使用を選択した際に画像データに重畳される不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドットパターンの変更に対する対応が可能である。
5)不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドットパターンの補正の態様を指定する出力レジスタの設定を外部から任意に設定することができる。さらに2値モードの場合であっても多値モードの場合であっても対応が可能である。したがって不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドットパターンに含まれる各画素の補正の度合いを外部から調整することが可能である。その結果機械間の差異や環境によって変化するドット形状の違いを考慮して適切に補正を行うことができる。
6)さらに画像形成装置が多値のシステムであって多値のLPHを有する場合、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドットパターンに含まれる各画素に対応する発光素子の発光制御により同孤立ドットの大きさを制御することが可能である。
7)また画像形成装置が2値のシステムで2値のLPHを有する場合、以下の方法を使用することが可能である。すなわち、通常状態において画像データを発行素子アレイユニットに所定の転送速度xで転送する場合、同所定の転送速度xのm(mは正の整数)倍の転送速度mxで画像データを転送することにより、各画素を副走査方向に位置を異ならせてm度書き込む方法により、上記疑似多値モードの手法を使用することが可能となる。その結果、副走査方向に擬似的に多値化して画素を書き込むことが可能となる。当該疑似多値モードの手法を使用することで、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを制御することができる。
8)2値モードか、多値モードかの別に応じて不正コピー防止パターン補正機能における補正方法を選択可能とすることができる。その結果、画像形成装置が2値のシステムの場合か多値のシステムの場合かの別に関わらず、適切に不正コピー防止パターンを補正することが可能になる。その結果異なる機種間で同一の不正コピー防止パターン補正機能を共有することができる。
実施例2は、上記の実施例1に対し、LPHを複数本繋いでA0の用紙サイズ幅の書き込みを行う場合において、隣接するLPHの繋ぎ目部におけるドット径のばらつきによる、出力された画像上の不正コピー防止パターンの認識精度の低下に対処する構成を有する。画像形成装置の構成は基本的に実施例1と同等なので、実施例1と異なる点についてのみ説明する。
図20は本実施例における不正コピー防止パターン補正部501−3の詳細を示すブロック図である。この実施例2では、実施例1に対し、パターン認識および出力画像生成部501−33と主走査カウンタ501−34との間に領域認識部501−36を設ける。
本実施例においては、この図20に示す回路を前提として以下のようなパターン認識が行われる。
まず、主走査方向に画像を分割する制御では、図20下段に示すdiv_set[2:0]レジスタ(例えば前記システム制御装置302が有するRAM302−3により実現され、外部から任意に設定可)によって、各LPHが受け持つ分割領域数を設定する。それぞれのLPH503−1,2,3が受け持つ範囲が図21に示すように7680画素の場合、7680/div_set[2:0]で得られる数の画素ごとに各LPHL503−1,2,3の領域の分割が行われる。なお、図21は、div_set[2:0]=4とした際の分割の例を示す。
図21に示されるように、結果的に、画像は、LPH1が受け持つ各分割領域、LPH2が受け持つ各分割領域、LPH3が受け持つ各分割領域、左繋ぎ目部領域(領域13)および右繋ぎ目部領域(領域14)の各領域を含む。
また、これらの繋ぎ目部領域及び各分割領域の認識は以下の通りになされる。すなわち、上記7680/div_set[2:0]ごとに、それぞれのLPH1,2,3(503−1,2,3)ごとの領域を主走査カウンタ値にて認識して分割する。LPH1(503−1)およびLPH2(LPH503−2)の各々の最後の部分は、左繋ぎ目部領域および右繋ぎ目部領域のそれぞれの指定アドレスtunagiL[15:0]およびtunagiR[15:0](図22下段)をみて、各々の繋ぎ目部領域を認識する。最終的にLPH1が受け持つ各分割領域(領域1,2,3,4,)、LPH2が受け持つ各分割領域(領域5,6,7,8)、LPH3が受け持つ各分割領域(領域9,10,11,12)、左繋ぎ目領域(領域13)および右繋ぎ目領域(領域14)の各領域の認識がなされる。
さらに図22および図23を用いて繋ぎ目部領域に関しより詳しく述べる。本実施例では、図22に示すように上記tunagiL[15:0]とそれ以降3画素の計4画素を左繋ぎ目画素、tunagiR[15:0]とそれ以前3画素の計4画素を右繋ぎ目画素そのものとして認識する。また本実施例では図23に示されるように、これら4列の繋ぎ目画素の前後2列の範囲内に注目画素が位置する領域を含め、それぞれ左繋ぎ目領域、右繋ぎ目領域として認識する。
ここで図23において、網点で示される楕円が、それぞれ左あるいは右継ぎ目画素を示す。図23中、パターン1は画像マトリクス中、右端の2列に繋ぎ目画素が掛かっている。同様にパターン2は画像マトリクス中、右端の3列に繋ぎ目画素が掛かっている。すなわちパターン2はパターン1に対し、画像マトリクスとして抽出する画像データの範囲が、1画素分主走査方向にシフトしている。同様に図23のパターン3〜8は、画像マトリクスとして抽出する画像データの範囲が、順次1画素ずつ主走査方向にシフトした状態を示す。すなわち図23のパターン1〜8は、注目画素が4列の繋ぎ目画素の領域の2画素手前に位置する状態(すなわちパターン1)から、同繋ぎ目画素の領域を通過し(パターン3〜6)、同繋ぎ目画素の領域を通り過ぎて(パターン7)、同繋ぎ目画素の領域から2画素目に至る(パターン8)迄の状態を示す。
本実施例においてパターン認識は以下のようにして行われる。
ここでパターン認識の説明に際し、まずLPH1〜3(503−1〜3)の繋ぎ目部領域以外の分割領域につき説明する。パターン認識は前段で作成した画像マトリクスに対して、実施例1の図12に示したようにマッチングパターンとしてレジスタinpat1−1[4:0]〜inpat1−49[4:0]にて10通り設定してあるマッチングパターンを使用してパターン認識を行う。
図12に示すように、これらのレジスタinpat1−1〜inpat1−49が、画像マトリクスの各画素(1〜49)に、それぞれ対応する。このレジスタに、注目画素を中心として、不正コピー防止パターンの孤立ドットのドットパターンとして考え得るパターンを設定しておく。これにより、画像全体ではなく、不正コピー防止パターンのみを補正することが可能になる。
また、画像マトリクスとマッチングパターンとが一致したか否かの判断は、図20に示すようにパターン認識および出力画像生成部501−33が行う。そしてパターン認識および出力画像生成部501−33からは、そのパターン認識結果に応じた画像データが出力される。すなわち不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさが適宜補正された状態の画像データに置き換えられる。この画像データの置き換えを画像データの変換とも称する。この画像データの変換時には、常に主走査カウンタ501−34にて現在の画素数がカウントされ、現在注目画素が属している領域がどの分割領域かを認識する。そして注目画素を中心とした7×7画素の画像マトリクスがレジスタinpat1−1[4:0]〜inpat1−49[4:0]に設定してあるマッチングパターンに一致した場合、出力レジスタoutpat1−1[4:0]〜outpat16−10[4:0]の値に基づいた画像データが出力される。ここで出力レジスタoutpat1−1[4:0]〜outpat16−10[4:0]の値は前記実施例1における図13〜図16に示されたものであって、各分割画像領域ごとに個別に設定されており、マッチングパターンに対応するように設定されている。
多値モードの場合、画像データに対しこれらの出力レジスタに設定された値をそのまま対応する階調に変換して、LPHまで転送する。2値モードの場合、上記の如く、画素を副走査方向に2度打ちして行う擬似多値モードの手法を使用して補正を行う。その場合画像データは最大4値のデータとなる。画像データは多値モードに備えてビット数が多いデータ構造を有するが、2値モードの際には画像データの下位2ビットを使用する。
補正後の画像データは実施例1の図17に示すように、出力レジスタの設定値が00の場合は副走査方向の2度打ち時、1ライン目、2ライン目ともに書き込みを行わない。出力レジスタの設定値が01の場合、1ライン目のみ書き込む。出力レジスタの設定値が10の場合、2ライン目のみ書き込む。出力レジスタの設定値が11の場合、1ライン目、2ライン目ともに書き込む。この計4通りの書き込みによって見かけ上の階調を変化させることにより、不正コピー防止パターンの補正を行う。
次に繋ぎ目部領域について説明する。本実施例では図22に示す如く、3本のLPH1〜3(503−1〜3)を千鳥状に配置している。このため、LPH2の発光制御において、LPH1およびLPH3の各々との間の繋ぎ目部領域につき、補正を行う。まず、左繋ぎ目部領域(領域13)を例にとり説明を行う。
左繋ぎ目部領域におけるパターン認識は以下の如くに行う。すなわち、図23に示すように、左繋ぎ目部領域に注目画素が掛かる状態は、上記4列の繋ぎ目画素が7×7画素の画像マトリクス中のどの部分に位置するかにより、計8通り考えられる。この8通りの各々に対し、対応する出力レジスタの設定が個別になされる。すなわち図24Aおよび図24Bに示すように、レジスタinpat1−1[4:0]〜inpat1−49[4:0]に設定された上記10通りのマッチングパターンのいずれと一致したかの別に対し、ならびに、注目画素の繋ぎ目画素に対する相対的位置が上記8通りの状態のいずれの状態にあるのかの別に対し、個別に対応する出力レジスタの設定がなされる。したがって対応する出力レジスタの設定、すなわち注目画素の補正後(すなわち変換後)の画素値の設定は、10×8=80通りとなる。これら80通りの設定が、図24A,図24Bに示す、対応する80個の出力レジスタoutpatL1−1[4:0]〜outpatL8−10[4:0]のそれぞれを使用してなされる。
以上左繋ぎ目部領域(領域13)について説明したが、右繋ぎ目部領域(領域14)についても同様である。すなわち10通りのマッチングパターンのいずれと一致したかの別に対し、ならびに、注目画素の繋ぎ目画素に対する相対的位置が上記8通りの状態のいずれの状態にあるのかの別に対し、個別に80通りの出力レジスタの設定がなされる。右繋ぎ目部領域についての出力レジスタの設定、すなわち注目画素の補正後(すなわち変換後)の画素値の80通りの設定が、図25A,図25Bに示す、対応する80個の出力レジスタoutpatR1−1[4:0]〜outpatR8−10[4:0]のそれぞれを使用してなされる。
また、左右繋ぎ目部領域おける不正コピー防止パターンの補正に関し、画像全体の不正コピー防止パターンの補正とは独立に、レジスタhcopyLsetおよびhcopyRset(各々、例えば前記システム制御装置302が有するRAM302−3により実現され、外部から任意に設定可)が設けられ、これらのレジスタを使用して不正コピー防止パターンの補正「あり」、「なし」の別、ならびに「2値」、「多値」のそれぞれのモードを、選択可能である。
2値モードの場合と多値モードの場合との不正コピー防止パターンの補正の方法の相違については、前記した実施例1における図18および図19とともに説明した内容と同様である。すなわちマッチングパターンとして、2値モードの場合、レジスタinpat1−25〜27,inpat1−32〜34,inpat1−39〜41の各々に1を設定し、それ以外の全てに0を設定する。多値モードの場合、レジスタinpat1−25〜27,inpat1−32〜34,inpat1−39〜41の各々に1fを設定し、それ以外の全てに0を設定する。出力レジスタの設定値は、注目画素が主走査分割画像領域(LPH1,2,3の各々が受け持つ分割領域ならびに左右繋ぎ目部領域)のいずれの領域に属するかの別に対応し、設定される。
このように、本実施例においても画像データ中、不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットに対してのみドットの大きさを制御することが可能になる。
その他、特に説明しない各部は実施例1と同等に構成され、同等に機能するので、重複する説明を省略する。
以上のように本実施例は上記した実施例1の効果に加え、以下のような効果を奏する。
1)画像データに不正コピー防止パターンを重畳する場合、感光体上の像高位置、LPHばらつきを考慮し、A0幅を複数の領域に分割し、それぞれの領域ごとに1画素辺りの印字に使用する光量を制御する。その結果A0幅のどの点でも不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドット径を安定させて印字させることが可能となる。その結果不正コピー防止パターンが重畳された印刷物から当該不正コピー防止パターンを認識する際の認識制度を向上させることができる。
2)各LPHの繋ぎ目部の画像領域において不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットを印字する際に、繋ぎ目部領域においては他の領域とは独立した補正を行う。その結果、繋ぎ目部領域における不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットのドット径を、他の印字領域におけるドット径とは独立して調整することができる。
3)繋ぎ目部領域以外の各LPHの画像領域において、主走査方向に画像を分割し、それぞれの領域において独立した補正を行う。その結果、A0印字の際にこのようにして分割された各印字領域の各出力ドット径を個別に独立して調整することができる。
図28は、図8等に示される上記実施例1の画像形成装置における不正コピー防止パターン補正部501−3あるいは図20等に示される上記実施例2の画像形成装置における不正コピー防止パターン補正部501−3において実行される、不正コピー防止パターンの補正動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図28中、ステップS1にて画像マトリクス生成部501−32が、ラインメモリ501−21から得られる画像データを使用して画像マトリクスを生成する。ここでは注目画素を中心とした画像マトリクスを抽出する。ステップS2にて、パターン認識および出力画像生成部501−33が、レジスタに設定されたマッチングパターンを使用し、上記画像マトリクスとのパターン認識を行う。その結果いずれかのマッチングパターンと一致した場合(ステップS2のYes)、ステップS3にて、注目画素の画像データを、一致したマッチングパターンがいずれのマッチングパターンかの別ならびに注目画素がいずれの分割領域あるいは繋ぎ目部領域に属するかの別に応じた補正後の画像データに補正する。その後ステップS4に移行する。なおステップS2におけるパターン認識の結果画像マトリクスがいずれのマッチングパターンとも一致しなかった場合、ステップS3をスキップして直接ステップS4を実行する。
ステップS4では、注目画素が、当該注目画素が属するラインの最後の画素か否かを判定する。最後の画素であった場合(Yes),ステップS6にて、注目画素が、画像データが有する最後のラインに属する画素であるか否かを判定する。最終ラインに属する画素であった場合(Yes)、当該画像データに対する処理を終了する。
他方、ステップS4の判定の結果が、注目画素がラインの最後画素でなかった場合(No)、ステップS5にて、注目画素として、同じライン上の次の画素、すなわち主走査方向に一画素分ずれた位置にある画素を抽出する。その後当該新たな注目画素に対し、ステップ上記したS1以降の処理を行う。ステップS6の判定の結果が、注目画素が最終ラインの画素でなかった場合(No)、ステップS7にて、注目画素として、次のライン、すなわち副走査方向に一ラインずれたライン上の最初の画素を抽出する。その後当該新たな注目画素に対し、ステップ上記したS1以降の処理を行う。このようにして、画像データから順次画像マトリクスを抽出する(ステップS1)ことで、画像データが表現する画像全体を主走査方向および副走査方向に走査する(ステップS5,S7)。そして抽出された画像マトリクスを使用してパターン認識(ステップS2)を行うことで、当該画像データに重畳された不正コピー防止パターンを検出する。検出された不正コピー防止パターンの孤立ドットに対し、その画素ごとに補正を行う(ステップS4)。
図29、図30はこのような不正コピー防止パターンの孤立ドットの補正につき例を挙げて説明するための図である。図29は2値モードの場合について説明するための図である。図29(a)は同孤立ドットを補正無しに印字した状態を示す。当該孤立ドットは図示の如く、3行3列の画素により形成されている。すなわち3×3画素のドットである。図29(b)はこのようにして印字された孤立ドットが不正コピー防止パターンの規格内の大きさである場合の例を示し、図29(c)は印字された孤立ドットが不正コピー防止パターンの規格を外れて大きすぎた場合の例を示す。なお図29(b)、(c)では、図29(a)における3×3画素による表現と異なり、孤立ドットが一の円形あるいは楕円形として表現されている。これは図29(b)、(c)において説明の便宜上分かりやすい表現方法を採ったことによる(以下同様)。
図29(d),(e)は、図29(a)、(c)の状態に対し、上記不正コピー防止パターン補正部501―3による補正を施した場合の状態を説明するための図である。すなわち、図29(d)では、上記疑似多値モードの手法を使用し、図29(a)の孤立ドットに含まれる各画素を印字する際、副走査方向に位置をずらせて2度打ちすることで、擬似的に階調を変化させて補正を行った状態を示す。具体的には、例えば図29(a)に孤立ドットの左上隅の画素が、図29(d)では図示の如く、副走査方向に並んだ2個の白画素に補正(あるいは変換、以下同様)されている。同様に中央上側の画素は、副走査方向に並んだ、白画素と黒画素とに補正されている。このようにして3×3画素の孤立ドットを形成している計9個の画素のうち、外縁部の画素が補正される。その結果実際に印字される際、図29(e)に示される如く、当該孤立ドットの大きさが縮小される。その結果不正コピー防止パターンの規格に収まるように不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを調整することが可能となる。
図30は多値モードの場合の不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの補正の例を、図29の場合と同様に示す。図30(a)、(b)、(c),(e)はそれぞれ図29(a)、(b)、(c),(e)と同様であり、重複する説明を省略する。図30(d)の例では、上記疑似多値モードの手法を使用して各画素を印字する際、副走査方向に位置をずらせて2個の画素を書き込む。その結果図29(d)の場合同様、元の3×3画素の孤立ドットが3×6画素のドットとなり、当該ドットは計18個の画素で形成される。図30(d)の場合、多値モードを使用しているため、これら18個の各画素の階調を変化させることができる。具体的には、例えば図30(a)に孤立ドットの左上隅の画素が、図30(d)では図示の如く、副走査方向に並んだ白画素およびグレーの画素に補正(あるいは変換、以下同様)されている。同様に中央上側の画素は、副走査方向に並んだ、白画素とグレーの画素とに補正されている。このようにして3×3画素の孤立ドットを形成している計9個の画素のうち、外縁部の画素が補正される。その結果実際に印字される際、図30(e)に示される如く、当該孤立ドットの大きさが縮小される。その結果不正コピー防止パターンの規格に収まるように不正コピー防止パターンに含まれる孤立ドットの大きさを調整することが可能となる。尚上記グレーの画素とは、白画素および黒画素の中間の階調を有する画素を意味する。
本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図1A中、システム制御装置302のブロック構成例を示す図である。
実施例1に係る画像形成装置の機械的構成を示す図である。
図1Aにおける書き込み部の画像データの流れを示すブロック図である。
書き込み部の構成を示すブロック図である。
倍率とマトリクスサイズとの関係を示す図である。
ラインメモリのリードライト動作の制御構成を示す図である。
図6のメモリリードライトのタイミングの詳細を示すタイミングチャート(その1)である。
図6のメモリリードライトのタイミングの詳細を示すタイミングチャート(その2)である。
不正コピー防止パターン補正部の詳細を示すブロック図である。
画像マトリクス生成部レジスタ(hcopyset)の設定の内訳を示す図である。
不正コピー防止パターン補正部での画像マトリクス生成時のタイミングを示すタイミングチャートである。
実施例1における主走査方向の画像分割の例を示す図である。
パターン認識および出力画像生成部で行われるパターン認識のマッチングパターンの例を示す図である。
入力パターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その1)を示す図である。
入力パターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その2)を示す図である。
入力パターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その3)を示す図である。
入力パターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その4)を示す図である。
不正コピー防止パターンの補正動作の説明図である。
2値の場合の不正コピー防止パターンの補正のイメージを示す図である。
多値の場合の不正コピー防止パターンの補正のイメージを示す図である。
実施例2における不正コピー防止パターン補正部の詳細を示すブロック図である。
実施例2において、書き込み領域がLPH1各分割領域、LPH2各分割領域、LPH3各分割領域、左繋ぎ目部領域、右繋ぎ目部領域に分割された例を示す図である。
図21における繋ぎ目部分の詳細を示す図である。
繋ぎ目部におけるパターンマッチングのパターンを示す図である。
繋ぎ目部におけるパターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その1)を示す図である。
繋ぎ目部におけるパターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その2)を示す図である。
繋ぎ目部におけるパターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その3)を示す図である。
繋ぎ目部におけるパターンにマッチングした場合の各画像領域にて用意されている出力レジスタの例(その4)を示す図である。
感光体上の位置によってドット径がばらつく例を概念的に示す図である。
感光体上の位置によってドット径がばらついた場合に、領域に分けて補正したときの状態を概念的に示す図である。
不正コピー防止パターンの補正動作の流れを説明するためのフローチャートである。
不正コピー防止パターンの補正動作の具体例を説明するための図(その1)である。
不正コピー防止パターンの補正動作の具体例を説明するための図(その2)である。
符号の説明
100 読み取り部
200 複写装置
300 画像情報記憶部
301 画像メモリ部
302 システム制御装置
302−1 CPU
302−2 ROM
302−3 RAM
400 操作部
500 書き込み部
501 画像変換部
501−2 メモリコントロール部
501−21 ラインメモリ
501−22 画像マトリクス生成部
501−23 ラインメモリ制御部
501−3 不正コピー防止パターン補正部
501−31 遅延部
501−32 画像マトリクス生成部
501−33 パターン認識および出力画像生成部
502 LPH制御回路
503−1,2,3 LPH
505 駆動制御回路