図1は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、セイコーエプソン株式会社製レーザープリンタLP−7000Cの露光ユニットを本発明にかかる光走査装置と同一構成を有する露光ユニット6に置き換えたものであり、いわゆる4サイクル方式のカラープリンタである。この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から印字指令がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11のCPU111からの印字指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御して複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに印字指令に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体2が図1の矢印方向(副走査方向)に回転自在に設けられている。また、この感光体2(潜像担持体)の周りにその回転方向に沿って、帯電ユニット3(帯電手段)、ロータリー現像ユニット4(現像手段)およびクリーニング部(図示省略)がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3には帯電制御部103が電気的に接続されており、所定の帯電バイアスを印加している。このバイアス印加によって感光体2の外周面が所定の表面電位に均一に帯電される。また、これらの感光体2、帯電ユニット3およびクリーニング部は一体的に感光体カートリッジを構成しており、感光体カートリッジが一体として装置本体5に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット3によって帯電された感光体2の外周面(被走査面)に向けて露光ユニット6(露光手段、光走査装置)から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像データに応じて光ビームLを感光体2上に露光して画像データに対応する静電潜像を形成する。なお、この露光ユニット6の構成および動作については後で詳述する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、マゼンタ用の現像器4M、シアン用の現像器4C、およびブラック用の現像器4Kを備えている。そして、エンジンコントローラ10の現像器制御部104からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体2と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44から感光体2の表面にトナーを付与する。これによって、感光体2上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72、73等に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。
また、ローラ72の近傍には、転写ベルトクリーナ(図示省略)、濃度センサ76(図2)および垂直同期センサ77(図2)が配置されている。これらのうち、濃度センサ76は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、中間転写ベルト71の外周面に形成されるパッチ画像の光学濃度を測定する。また、垂直同期センサ77は、中間転写ベルト71の基準位置を検出するためのセンサであり、中間転写ベルト71の副走査方向への回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号Vsyncを得るための垂直同期センサとして機能する。そして、この装置では、各部の動作タイミングを揃えるとともに各色のトナー像を正確に重ね合わせるために、装置各部の動作はこの垂直同期信号Vsyncに基づいて制御される。
そして、カラー画像をシートに転写する場合には、感光体2上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシート上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシート上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートは定着ユニット9および排出ローラ82を経由して装置本体5の上面部に設けられた排出トレイ部51に搬送される。また、シートの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートを排出ローラ82によりスイッチバック移動させる。これによってシートは反転搬送経路FRに沿って搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートの両面に画像を形成することができる。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像データを記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
図3は図1の画像形成装置に装備された露光ユニット(光走査装置、露光手段)の構成を示す副走査断面図である。また、図4は図1の画像形成装置に装備された露光ユニット(光走査装置、露光手段)の構成を示す主走査断面図である。また、図5は露光ユニット(光走査装置、露光手段)の光学構成を展開した副走査断面図である。以下、これらの図面を参照しつつ、露光ユニットの構成および動作について詳述する。
この露光ユニット6は露光筐体61を有している。そして、露光筐体61に単一のレーザー光源62(光源)が固着されており、レーザー光源62から光ビームを射出可能となっている。このレーザー光源62は、露光制御部102と電気的に接続されている。露光制御部102には、後に詳述するように、画像データに基づいて生成されたビデオ信号(露光信号)のパルス幅を補正して得られる補正ビデオ信号(補正露光信号)が与えられる。よって、露光制御部102がレーザー光源62をON/OFF制御することで、レーザー光源62から画像データに対応して変調された光ビームが射出される。かかるレーザー光源62のON/OFF制御は、1/16画素単位で行うことが可能である。図6は、1/16画素単位でのレーザー光源のON/OFF制御を示す図である。つまり、本実施形態では、図6(1)に示すよう1画素を主走査方向Xに16分割するとともに、1/16画素単位でスポットを照射することができる。したがって、例えば図6(2)の斜線に示すように16個に分割された1画素のうち最も左に位置する1/16画素に対してのみスポットを照射したり(1/16画素左寄せ)、また図6(3)の斜線に示すように16個に分割された1画素のうち左から連続して5個の1/16画素に対してのみスポットを照射したり(5/16画素左寄せ)することができる。また、逆に図6(4)の斜線に示すように16個に分割された1画素のうち最も右に位置する1/16画素に対してのみスポットを照射したり(1/16画素右寄せ)、また図6(5)の斜線に示すように16個に分割された1画素のうち右から連続して5個の1/16画素に対してスポットを照射したり(5/16画素右寄せ)することができる。ここで、本明細書において「左」とは主走査方向Xの第2方向(−X)を指すとともに、「右」とは「主走査方向Xの第1方向(+X)を指すものとする。また、本明細書において「T/16画素左寄せ」(T:整数)とは16分割された1画素のうち左から連続してT個の1/16画素に対してスポットを照射することを指すものとし、「T/16画素右寄せ」とは16分割された1画素のうち右から連続してT個の1/16画素に対してスポットを照射することを指すものとする。さらに、本明細書において単に「左寄せ」と称した場合はは対象画素に対して0/16画素左寄せ〜15/16画素左寄せのいずれかを行うことを意味するものとし、単に「右寄せ」と称した場合は対象画素に対して0/16画素右寄せ〜15/16画素右寄せのいずれかを実行するものとする。
また、この露光筐体61の内部には、レーザー光源62からの光ビームを感光体2の表面に走査露光するために、コリメータレンズ63、シリンドリカルレンズ64、偏向器65、第1走査レンズ66、折り返しミラー67および第2走査レンズ68が設けられている。すなわち、レーザー光源62からの光ビームは、コリメータレンズ63により適当な大きさのコリメート光にビーム整形された後、図5に示すように副走査方向Yにのみパワーを有するシリンドリカルレンズ64に入射される。そして、このコリメート光は副走査方向Yにのみ収束されて偏向器65の偏向ミラー面651付近で線状結像される。
この偏向器65は半導体製造技術を応用して微小機械を半導体基板上に一体形成するマイクロマシニング技術を用いて形成されるものであり、共振振動する偏向ミラーで構成されている。すなわち、偏向器65では、共振振動する偏向ミラー面651により光ビームを主走査方向Xに偏向可能となっている。より具体的には、偏向ミラー面651は主走査方向Xとほぼ直交する振動軸(ねじりバネ)周りに振動自在に軸支されるとともに、作動部(図示省略)から与えられる外力に応じて振動周りに正弦振動する。この作動部は露光制御部102のミラー駆動部(図示省略)からのミラー駆動信号に基づき偏向ミラー面651に対して静電気的、電磁気的あるいは機械的な外力を作用させて偏向ミラー面651をミラー駆動信号の周波数で振動させる。なお、作動部による駆動方式は静電吸着、電磁気力あるいは機械力などのいずれの方式を採用してもよく、それらの駆動方式は周知であるため、ここでは説明を省略する。
偏向ミラー面651により偏向された光ビームは、第1走査レンズ66及び第2走査レンズ68からなる走査光学系により感光体2の外周面(被走査面)に導光される。かかる走査光学系はarc−sin特性を有するとともに、図4中の1点鎖線をその光軸OAとするように構成されている。また、上述の通り偏向ミラー面651は、振動軸周りに正弦振動する。したがって、光ビームは感光体2Yの表面に主走査方向Xの第1方向(+X)または該第1方向(+X)と逆の第2方向(-X)に等速往復走査されることとなる。そして、このように走査される光ビームが、帯電ユニット3により予め一様に帯電された感光体2の表面(被走査面、潜像担持体表面)をスポット状に照射する。これにより、該スポットにおける電荷が取り除かれてスポット潜像が形成される。なお、かかるスポット潜像は、形成すべき画像に応じて複数形成される。また、走査方向(+X)の上流側において走査光ビームの走査経路の端部を折り返しミラー69により水平同期センサ60に導いている。かかる水平同期センサ60は、主走査方向Xに往復走査される光ビームの1周期毎に光ビームを検出し、水平同期信号Hsyncを出力する。そして、該水平同期信号Hsyncに基づいて潜像形成動作が制御されることとなる。
そして、上述の露光ユニット6により各色の画像データに対応して感光体2の表面に形成されたスポット潜像は、該画像データに応じた色のトナーを内蔵する現像器4K,4Y,4M,4Cによりトナー現像されて、ドットが形成される(図1,2)。つまり、例えばブラックKの画像データに対応して感光体2の表面にスポット潜像が形成された場合は、ブラックトナーを有する現像器4Kが該スポット潜像を所定の現像位置でトナー現像して、感光体2の表面にブラックのドットを形成する。なお、他の色(シアンC,マゼンタM,イエローY)のドットも同様の手順で形成されたスポット潜像を、それぞれ対応する色の現像器4C,4M,4Yでトナー現像することで形成される。
次に、本実施形態の画像形成装置において実行される信号処理について説明する。図7は、本実施形態の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。また、図8は、本実施形態の画像形成装置の信号処理を示すフローチャートである。また、図9は、本実施形態の画像形成装置の信号処理の動作を示す図である。この画像形成装置では、ホストコンピュータ100などの外部装置から画像データが入力されると、メインコントローラ11がその画像データに対し所定の信号処理を施す。メインコントローラ11は、色変換部113、画像処理ユニット115、2種類のラインバッファ116A,116B、方向切換部116Cおよびパルス変調ユニット117などの機能ブロックを備えている。なお、これらの各機能ブロックは、ハードウェアに構成されてもよく、またCPU111、101により実行されるソフトウェアによって実現されても良い。
ホストコンピュータ100から画像データが与えられたメインコントローラ11では、色変換部113がその画像データに対応する画像内の各画素のRGB成分の階調レベルを示したRGB階調データを、対応するCMYK成分の階調レベルを示したCMYK階調データ(画像階調データ)へ変換する。この色変換部113では、入力RGB階調データは1画素1色成分あたり8ビット(つまり256階調を表す)であり、出力CMYK階調データも同様に1画素1色成分あたり8ビット(つまり256階調を表す)である。そして、色変換部113から出力されるCMYK階調データは画像処理ユニット115に入力される。
画像処理ユニット115は、入力されるCMYK階調データ(画像階調データ)に対してハーフトーン処理を行う(ステップS1)。かかるハーフトーン処理では、1画素1色成分あたり8ビットの多段階で表されたCMYK階調データを、感光体2の表面(被走査面、潜像担持体表面)のいずれの位置に光ビームをスポット状に照射するかを示すハーフトーン階調データ(パターンデータ)に変換する。このようなハーフトーン処理としては、従来から提案されている様々な手法を用いる事ができ、例えば、ドット集中型ディザ法またはドット分散型ディザ法等を用いる事ができる。これらはいずれも、階調値の増大に伴って所定の増大パターンで単位面積あたりにおけるドットの面積率を変化させることで階調を再現している。より具体的には、かかる増大パターンを規定するディザマトリックスを有するとともに、互いに隣接する複数の画素から構成されるセルを感光体2の表面に仮想的に配列する。そして、CMYK階調データとディザマトリックスとをセル毎に比較して、セルの何れの位置に光ビームを照射するかを示すハーフトーン階調データ(パターンデータ)を生成する。これにより、階調値が低い場合はセルに対して形成されるドットの面積率が低くなる一方、階調値が高い場合はセルに対して形成されるドットの面積率が高くなり、階調再現が実現される。このように、本実施形態では画像処理ユニット115が、本発明における「ハーフトーン処理手段」として機能している。なお、本実施形態では、構成の簡素化のため、全てのセルに対して同一のディザマトリックスを用いている。
本実施形態では主走査方向Xに4画素で該主走査方向Xに略直交する副走査方向に4画素の4×4セルを用いるとともに、かかる4×4セルを感光体2の表面に仮想的に複数配列している。そして、4×4セルに対応した4行4列のディザマトリックスを用いてハーフトーン処理を実行して、例えば、図9上段の「ハーフトーン階調データ」欄に示すようなハーフトーン階調データ(パターンデータ)を生成する。ここで、同図の「パターンデータ欄」において、太線の正方形は4×4セルを、細線の正方形は1画素を示している。また、斜線部は光ビームをスポット状に照射する領域(照射領域)を示すとともに、斜線が施されていない領域は、光ビームを照射しない領域、すなわち非照射の領域を示している。また、同図斜線部のうち、同図左上から右下に伸びる斜線と同図右上から左下に伸びる2種類の斜線で2重斜線が施されている領域(以下、単に「2重斜線部」と称する)は、照射領域のうち特に後述するパルスA,Bに対応する照射領域である。
上述した露光制御部102は、パルス変調ユニット117からの補正ビデオ信号(補正露光信号)を受けて露光ユニット6のレーザー光源62をON/OFF制御する。そして、かかる補正ビデオ信号は、パルス変調ユニット117によって、画像処理ユニット115から出力されるハーフトーン階調データ(パターンデータ)を用いて、エンジン部EGのレーザー光源62から射出される光ビームをパルス幅変調するために作成されるものである。一方、上述の通り本実施形態では共振振動する偏向ミラー面651により光ビームを主走査方向Xに往復走査している。つまり、光ビームは、互いに走査方向が逆である往路と復路とを交互に往復走査されることとなる。したがって、パルス変調ユニット117にハーフトーン階調データを入力するにあたっては、光ビームの走査方向の違いに応じてパルス変調ユニット117に入力するハーフトーン階調データの入力順序を変える必要がある。そこで、本実施形態では順方向ラインバッファ116Aと逆方向ラインバッファ116Bとを設けている。
そして、こうして出力されるハーフトーン階調データは方向切換部116Cに入力され、方向切換信号に基づき、一方のラインバッファから出力されるハーフトーン階調データのみが適当なタイミングで方向切換部116Cからパルス変調ユニット117に出力される。つまり、光ビームが順方向に走査される際には、方向切換信号として順方向信号が方向切換部116Cに与えられ、順方向ラインバッファ116Aからのハーフトーン階調データがパルス変調ユニット117へ向けて出力される。一方、光ビームが逆方向に走査される際には、方向切換信号として逆方向信号が方向切換部116Cに与えられ、逆方向ラインバッファ116Aからのハーフトーン階調データがパルス変調ユニット117へ向けて出力される。
パルス変調ユニット117は、露光信号生成部1171(露光信号生成手段)と露光信号補正部1172(露光信号補正手段)とを有する。そして、パルス変調ユニット117に入力されたハーフトーン階調データは、露光信号生成部1171において、ビデオ信号(露光信号)に変換される(露光信号生成工程、ステップS2)。かかる変換の一例を示したものが図9中段の「ビデオ信号」欄である。かかる「ビデオ信号」欄は、「ハーフトーン階調データ」欄に示すハーフトーン階調データの同図上から2段目の主走査方向Xに配列された値を、ビデオ信号に変換した場合を表している。このように、ビデオ信号(露光信号)は、光ビームの照射領域(2重斜線部)の主走査方向Xへの幅に対応した時間幅Wa,Wbを持つパルスを、ハーフトーン階調データ(パターンデータ)が有する光ビームの照射/非照射を示す値の主走査方向Xへの並びに対応させて時間軸上に配列させたパルス列として生成される。
次に、このようにして露光信号生成部1171で生成されたビデオ信号は、露光信号補正部1172に入力される。この露光信号補正部1172では、ビデオ信号を構成するパルス各々のパルス幅を必要に応じて補正して補正ビデオ信号(補正露光信号)を生成する(露光信号補正工程、ステップS3)。露光信号補正工程では、まず、ビデオ信号の各パルスに対応する照射領域が属するセルの階調値が50%濃度に対応する階調値未満か否かを判断する。なお、セルに対して全く光ビームを照射しない場合の濃度を0%濃度と、セル全域に対して光ビームを照射する場合を100%濃度とする。よって、50%濃度とは、セルの半分の領域に光ビームを照射する場合に対応する。また、上述のとおり、本実施形態ではCMYK階調データは0〜256階調で表されているため、50%濃度に対応する階調値は階調値128であるとともに、100%濃度に対応する階調値は階調値256となる。
ここで、図9を例示して説明すると、ビデオ信号のパルスAに対応する照射領域とは同図の照射領域A(2重斜線部)を指す。また、照射領域Aが属するセルとは、セルCLaを指す。そして、該セルCLaの階調値が50%濃度に対応する階調値未満か否かを判断する。また、パルスBについても同様に、ビデオ信号のパルスBに対応する照射領域とは同図の照射領域B(2重斜線部)を指す。そして、該照射領域Bが属するセルCLbの階調値が50%濃度に対応する階調値未満か否かを判断する。そして、このような判断を各パルスについて行なって、対応するセルの階調値が、50%濃度に対応する階調値以上と判断されたパルスはパルス幅の変更を行なわないとともに、50%濃度に対応する階調値未満と判断されたパルスはパルス幅を変更する(露光信号補正工程、ステップS3)。このように、本実施形態では50%濃度に対応する階調値未満の階調範囲が、本発明における「所定の階調範囲」に対応している。
図9下段の「補正ビデオ信号」欄は、同図中段に示すビデオ信号のパルスA,Bについて上述の判断を行なって生成された補正ビデオ信号(補正露光信号)を示している。まず、パルスAについては対応するセルCLaの階調値は50%濃度に対応する階調値以上と判断して、パルス幅はWaから変更しない。一方、パルスBについては対応するセルCLbの階調値は50%濃度に対応する階調値未満と判断してパルス幅はWbからWb+Δに変更されている。つまり、パルスBについてはパルス幅が補正量Δだけ長くなるように補正されている。そして、かかる補正において補正量Δは、次に示す変換パターンにより決定される。
図10は、本実施形態で用いる変換パターンを示す図である。図10の横軸は、パルスに対応する照射領域が属するセルの位置と走査光学系(第1走査レンズ66、第2走査レンズ68)の光軸OAとの主走査方向Xにおける距離である。また、縦軸は補正量Δを表している。このように本実施形態では、走査光学系OAとセルとの主走査方向Xにおける距離の増大にともなって、補正量Δを大きくしている。そして、このようにして生成された補正ビデオ信号(補正露光信号)は、図示を省略するビデオインターフェイスを介してエンジンコントローラ10に出力される。そして、補正ビデオ信号を受けた露光制御部102に入力されるは、露光ユニット6(光走査装置)のレーザー光源62をON/OFF制御することで変調された光ビームをレーザー光源62から射出させる(ビーム変調工程)。このように本実施形態では、露光制御部102が本発明における「ビーム変調手段」として機能している。
上述してきたように、本実施形態にかかる画像形成装置は、レーザー光源62(光源)から射出された光ビームを正弦振動する偏向ミラー面651により偏向するとともに該偏向光ビームをarc−sin特性を有する走査光学系(本実施形態では「第1走査レンズ66」と「第2走査レンズ68」から構成されている)により感光体2の表面に導光することで、光ビームを感光体2の表面(被走査面、潜像担持体表面)の主走査方向Xに走査して該表面にスポット状に照射する露光ユニット6(光走査装置、露光手段)を用いている。かかる場合、感光体2の表面に対する光ビームの入射角は主走査方向位置により異なる。その結果、感光体2の表面等の被走査面に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値が主走査方向位置によって異なるという光走査不良が発生する場合があった。
図11は、主走査方向位置における光量分布の差異を示す図である。また、図11に示すように、感光体2の表面に照射されるスポットの光量分布は、走査光学系の光軸OAの付近に比べて、光軸OAから離れた位置では主走査方向Xに広がっている。その結果、スポットの有する光量分布のピーク値は光軸OAの付近では比較的高いのに対して、光軸OAから離れた位置では比較的低くなるという光走査不良が発生する場合があった。そして、このような光走査不良が発生した状態で感光体2の表面に対して光走査動作を実行すると、次のような静電潜像が形成される。
図12は、図11の光量分布を有するスポットにより形成されるスポット潜像の電位分布を示す図である。より具体的には、図12は、感光体2の表面を帯電ユニット3により所定の電位V0に一様帯電させた後、光軸OA付近および光軸OAから離れた位置のそれぞれにスポットを照射して形成されるスポット潜像の電位分布を比較した図である。図12から判るように光軸OAの付近のスポット潜像のピーク値ΔV1に対して、光軸OAから離れた位置におけるスポット潜像のピーク値ΔV2は小さい。ここで、「ピーク値」とは、電位分布のピークと所定電位V0との差の絶対値とした。つまり、図12は、光軸OAから離れるに連れてスポット潜像のピーク値が減少することを示している。
図13は、このような光量分布及びスポット潜像のピーク値を模式的に表した図である。同図(A)において、横軸は主走査方向位置を、縦軸はスポットの光量分布のピーク値を表すとともに、縦軸と横軸の交点に光軸OAが位置している。また、同図(B)において、横軸は主走査方向位置を、縦軸はスポット潜像のピーク値を表すとともに、縦軸と横軸の交点に光軸OAが位置している。つまり、同図(A)に示すように、上述した構成を有する露光ユニット6(光走査装置、露光手段)を用いた画像形成装置では、感光体2の表面に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値は、光軸OAから離れるにしたがって連続的に減少という光走査不良が発生する。そして、同図(B)に示すように、このようなスポットが照射されることにより形成されるスポット潜像のピーク値も、光軸OAから離れるにしたがって連続的に減少することとなる。その結果、このようなスポット潜像を現像して得られるドットの大きさは、光軸OAから離れるに連れて減少する。
ところで、上述したように、本実施形態にかかる画像形成装置では、単位面積あたりのドット面積率を変化させることで階調再現を実現している。よって、このように光軸OAから離れるに連れてドットの大きさが減少すると、形成される画像濃度が光軸OAから離れるに連れて減少するという画像弊害を発生することとなる。そして、このような画像弊害は、低濃度画像であるハイライト像を形成した場合に特に顕著となる。これに対して本発明は、図9に示すように、ビデオ信号(露光信号)を構成するパルスが属するセルの階調値が50%濃度に対応する階調値未満である場合は、図10の変換パターンに従ってパルス幅を変更する。そして、かかる変換パターンは、走査光学系OAとセルとの主走査方向Xにおける距離の増大にともなって、補正量Δが大きくなるように構成されている。よって、50%濃度に対応する階調値以下のセルに属するパルスのパルス幅は、走査光学系OAとセルとの主走査方向Xにおける距離の増大にともなって増大するように補正ビデオ信号(補正露光信号)を生成している。よって、感光体2の表面(被走査面、潜像担持体表面)に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値の主走査方向位置における変化を緩和して、良好な光走査動作が実行可能となる。そして、かかる良好な光走査動作が実行可能な光走査装置により画像形成を実行することで、上述したような画像濃度の主走査方向位置による差異を抑制して、良好なハイライト像の形成が可能となる。
ところで、上記実施形態では、図10に示すような、セルと光軸との距離にのみ依存して補正量が変化する変換パターンを用いて露光信号補正工程を実行した。しかしながら、上述した光走査不良は、階調値が小さくなるほど顕著になる。そこで、変換パターンを、更にパルスが属するセルの階調値に応じても補正量Δが変化するように構成しても良い。図14は、本発明にかかる光走査装置及び該装置を用いた画像形成装置の別の実施形態を示す図である。図14に示すように、これから説明する実施形態における変換パターンは、光軸OAとセルとの主走査方向距離の増大に伴う補正量Δの増大パターンが互いに異なる2つの補正量曲線1,2から構成されている。また、補正量曲線2は、補正量曲線1と比較して光軸OAとセルとの主走査方向距離の増大に対してより大きく補正量Δを増大させるように構成されている。そして、これら2つの補正量曲線1,2を次のように使い分けている。
つまり、パルスが属するセルの階調値が50%濃度に対応する階調値未満であった場合は、さらに、該セルの階調値が25%濃度に対応する階調値未満か、または、25%濃度に対応する階調値以上であるかを判断する。そして、パルスが属するセルの階調値が25%濃度に対応する階調値未満である場合は補正量曲線2を用いて補正ビデオ信号を生成する一方、パルスが属するセルの階調値が25%濃度に対応する階調値以上である場合は補正量曲線1を用いて補正ビデオ信号を生成するように構成している。これにより、より低い階調値に対応するパルスは、そのパルス幅がより大きくなるように補正されることとなる。よって、階調値が小さい範囲においてより確実に光走査不良の発生を抑制することが可能となり好適であるとともに、かかる良好な光走査動作に基づいて画像形成動作を実行することで階調値がより小さい範囲においても良好な画像形成が可能となり好適である。
ところで、図10、14に示す変換パターンは、露光ユニット6(光走査装置、露光手段)または画像形成装置の個体差により、それぞれが規定する補正量の増大パターンの最適パターンが異なる。よって、変換パターンの最適パターンは、工場出荷時に固体毎に求めておいてもよい。しかしながら、かかる最適パターンは、同一の固体であっても周囲温度等の環境の変化により異なる場合がある。そこで、次に示すようにして変換パターンを求めても良い。
図15は、変換パターンの設定を実行する電気的構成を示すブロック図である。また、図16は、変換パターンの設定手順を示すフローチャートである。また、図17は、変換パターンの設定において形成するパッチ潜像の形成位置を示す図である。なお、図15に示す電気的構成は、パルス変調ユニット117及び濃度センサ76A,76B以外については、図7に示す電気的構成と同様であるので、重複部分については説明を省略し、特徴部分だけを説明する。まず、パッチ潜像形成工程を実行して、上述した露光ユニット6(光走査装置、露光手段)に光走査動作を実行させて、感光体2の表面にハイライト像に対応する2個のパッチ潜像PL1,PL2を形成する(ステップS1)。このとき、図17上段の「パッチ潜像形成」に示すように、パッチ潜像PL1を走査光学系の光軸OA上に形成する一方、パッチ潜像PL2を光軸OAから主走査方向Xの第1方向(+X)に離れた位置に作成する。このように本実施形態では、これら2個のパッチ潜像PL1,PL2は、光軸OAに対して主走査方向Xにおいて互いに非対称な位置に形成される。
次に、パッチ現像工程を実行して、現像ユニット4によりパッチ潜像PL1,PL2を現像してハイライト像PV1,PV2を形成する(ステップS2)。そして、このように形成されたハイライト像PV1,PV2を中間転写ベルト71の表面に一次転写する。かかる中間転写ベルト71の表面は、主走査方向Xと略直交する方向D71に循環移動しているため、ハイライト像PV1,PV2も中間転写ベルト表面に伴って方向D71に移動することとなる。その結果、ハイライト像PV1,PV2は、これらハイライト像PV1,PV2の移動方向の延長線上に中間転写ベルト71表面に対向して設けられた濃度センサ76A,76Bにより濃度検出される(濃度検出工程、ステップS3)。そして、濃度検出工程において検出されたハイライト像PV1,PV2の濃度はパルス変調ユニット117の補正量算出部1173に出力されるとともに、該補正量算出部1173にてこれらの検出結果に基づいて変換パターンの最適パターンが求められる(パターン生成工程、ステップS4)。そして、このように求められた変換パターンに基づいて露光信号補正部1172において補正ビデオ信号(補正露光信号)が生成されて、光走査動作が実行されることとなる。
このように、図16,17に示す光量パターン設定を実行して、感光体2の表面に形成されたハイライト像の濃度を検出することで、感光体2の表面に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値の主走査方向Xにおける変化を高精度に検出することが可能となる。よって、かかる検出結果から、スポットが有する光量分布のピーク値の主走査方向への変化に基づいて、変換パターンを最適化することが可能となる。その結果、感光体表面(被走査面、潜像担持体表面)に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値が主走査方向位置により異なるという光走査不良の発生をより抑制することが可能となり、上述したような画像濃度の主走査方向位置による差異を抑制してより良好なハイライト像の形成が可能となり好適である。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上述の実施形態では、いわゆる4サイクル方式のカラープリンタに本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、中間転写ベルトの移動方向に複数の画像形成ステーションを配列した、いわゆるタンデム方式のカラープリンタに対しても適用可能である。また、単色印字のみを行なうモノクロプリンタに対しても本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、本発明の「所定の階調範囲」を50%濃度に対応する階調著範囲未満、すなわち階調値0〜128の階調範囲としたが、かかる所定の階調範囲はこれに限られるものではない。ただし、上述したような画像弊害はハイライト像で特に顕著に現れるので、「所定の階調範囲」は、ハイライト像に対応する階調範囲又は、該ハイライト像に対応する階調範囲を含む範囲とするのが好適である。
また、上記実施形態におけるハーフトーン処理では、全てのセルに対して同一のディザマトリックスを用いているが、ディザマトリックスの個数は1個に限られるものではなく、複数のディザマトリックスを必要に応じて使い分けるように構成しても良い。ただし、構成の簡素化という観点からは、全てのセルに対して同一のディザマトリックスを用いることが好適である。
また、図9において、ビデオ信号を構成するパルスの立ち上がりエッジと補正ビデオ信号の立ち上がりエッジを一致させているが、これらの立ち上がりエッジを一致させるか否かは必要に応じて変更可能である。
また、図10,14の変換パターンでは、セルと光軸OAとの距離の増大に対して補正量Δを連続的に増大させているが、補正量Δの増大のさせ方としてはこれに限られるものではなく、ステップ状に増大させても良い。
また、図14において、変換パターンを2つの補正量曲線1,2から構成したが、変換パターンを構成する補正量曲線の個数は2つに限られるものではなく、必要に応じて変更可能である。
また、上述の実施形態のパッチ潜像形成工程では、2つのパッチ潜像PL1,PL2のうちパッチ潜像PL1を光軸OA上に形成したが、パッチ潜像PL1の形成位置は光軸OA上に限られない。また、このとき、2つのパッチ潜像PL1,PL2を光軸OAに対して主走査方向Xにおいて互いに非対称な位置に形成しているが、パッチ潜像の形成位置はこれに限られるものではない。しかしながら、パッチ潜像PL1,PL2の形成位置を光軸OAに対して主走査方向Xにおいて互いに非対称な位置に形成した場合、上記光走査不良の画像濃度への影響をより抑制して、より良好なハイライト像の形成が可能となり好適である。この理由について次に説明する。
本実施形態でも示したとおり、上述のような光走査装置は、走査光学系の光軸OAに対して対称に構成されることが多い。このような場合、パッチ潜像形成工程及びパッチ現像工程を実行して形成される2個のハイライト像PV1,PV2それぞれの位置が、走査光学系の光軸OAに対して主走査方向Xに対称な位置であると、これら2個のハイライト像PV1,PV2の濃度は略同値となる。これに対して、パッチ潜像形成工程を、2個の静電潜像PL1,PL2を走査光学系OAの光軸に対して主走査方向Xにおいて互いに非対称な位置に形成した場合、パッチ潜像形成工程及びパッチ現像工程を実行して形成される2個のハイライト像の濃度は、装置構成の対称性に依存することなく互いに異なる。よって、被走査面に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値の主走査方向における変化を高精度に検出することができる。よって、変換パターンをより最適化することが可能となり、その結果、上述したような画像濃度の主走査方向位置による差異をより高精度に抑制して、より良好なハイライト像の形成が可能となり好適である。
また、本実施形態のパッチ潜像形成工程では、2つのパッチ潜像PL1,PL2を形成したが、形成するパッチ潜像の個数はこれに限られるものではなく、複数個形成することで、上述したような、感光体2の表面に照射されるスポットが有する光量分布のピーク値の主走査方向Xにおける変化を抑制することができる。
また、本実施形態の濃度検出工程は、中間転写ベルト71の表面に一次転写された後のハイライト像PV1,PV2の濃度を検出したが、濃度検出工程の構成はこれに限られるものではなく、例えば感光体2に形成されたハイライト像PV1,PV2の濃度を検出するように構成しても良いし、また、シートSに定着後のハイライト像PV1,PV2の濃度を検出するように構成しても良い。
また、本実施形態のパターン生成工程では、濃度検出工程での検出結果から変換パターンのみを求め、変換パターンによりパルス幅を変更するか否かの判断基準である本発明における「所定の階調範囲」は階調値0〜128のまま変更していない。しかしながら、パターン生成工程において、濃度検出工程での検出結果から「所定の階調範囲」の最適範囲を求めるように構成しても良い。この場合、最適な「所定の階調範囲」で光走査動作を実行する事が可能となり、光走査不良の発生をより確実に抑制できるため好適である。
また、上記実施形態では、振動する偏向ミラー面651をマイクロマシニング技術を用いて形成しているが、偏向ミラー面の製造方法はこれに限定されるものではなく、振動する偏向ミラー面を用いて光ビームを偏向して潜像担持体上に光ビームを走査させる、いわゆる画像形成装置全般に本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、中間転写ベルトなどの中間転写媒体に一時的にカラー画像を形成した後に該カラー画像をシートSに転写する画像形成装置に対して本発明を適用しているが、各トナー像を直接シート上で重ね合わせてカラー画像を形成する装置に対しても適用可能である。
また、上記実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置より与えられた印字指令に基づき該印字指令に含まれる画像を転写紙、複写紙などのシートSに印字するプリンタを用いて説明しているが、本発明はこれに限られず、複写機やファクシミリ装置などを含む電子写真方式の画像形成装置全般に適用することができる。
2…感光体、 6…露光ユニット(光走査装置、露光手段)、 62…レーザー光源(光源)、 65…偏向器、 66…第1走査レンズ(走査光学系)、 68…第2走査レンズ(走査光学系)、 101…CPU、 651…偏向ミラー面、、 L…光ビーム、 X…主走査方向、 Y…副走査方向、 OA…光軸、 PL,PL1,PL2…パッチ潜像、 PV1,PV2…ハイライト像