JP4835121B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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この発明は、副走査方向に駆動される潜像担持体表面に光ビームを副走査方向に対してほぼ直行する主走査方向に走査して画像を形成する画像形成装置に関するものである。
この種の画像形成装置は、潜像担持体、潜像形成部および現像部を有するとともに、次のようにして潜像担持体上にトナー像を形成する。すなわち、この画像形成装置では、潜像担持体表面に形成すべきトナー像に関連する画像データに対して階調再現処理などの画像処理を加えて画像信号が形成され、潜像形成部に与えられる。この潜像形成部では、該画像信号に基づき光源からの光ビームが変調されるとともに、該変調光ビームが偏向器により主走査方向に走査される。そして、走査光ビームは画像データに対応して潜像担持体表面にスポット状に照射されてスポット潜像を形成する。なお、この明細書では潜像担持体表面に光ビームが照射されて該表面に形成されるスポット領域を単に「スポット」と称する。
こうして潜像担持体表面へのスポット形成によってスポット潜像が形成され、さらに現像部により現像されて該スポット潜像位置にドットが形成されてトナー像が形成される。このように画像形成装置では、複数の画素により画像を構成しているが、画像データに応じて複数の画素のうち全部または一部についてのみスポット潜像が潜像担持体表面に形成されて画像データに対応する潜像が形成される。
また、偏向器の小型化および高速化を図るべく、偏向ミラーを振動させて偏向器として用いることが従来より提案されている(特許文献1参照)。すなわち、この装置では、トーションバーにより支持された偏向ミラーを振動させるとともに、光源から照射される光ビームを該偏向ミラーにより反射して潜像担持体表面上に往復走査させている。
特開2002−182147号公報(第3頁および図9、10)
このような画像形成装置においては、光源からの光ビームを主走査方向の往路および復路の両方向において潜像担持体上に走査させることができる。しかしながら、このように偏向ミラーを用いて往路および復路の両方に光ビームを走査させる装置において、ディザマトリックスを用いて階調再現を実行するにあたって次のような問題があった。すなわち、ディザマトリックスを用いた階調再現では、複数の画素を用いて1つのセルを構成するともに、ディザマトリックスに従って、セルが有する複数の画素のうち階調値に応じた画素にのみスポット潜像形成および現像を行ってトナー像を形成する(以下、1画素に対して形成されるトナー像を「微小ドット」と呼ぶ)。これにより、セル面積のうち微小ドットが占める面積の比率(微小ドット面積率)を階調値に応じて変化させて階調を実現している。つまり、階調レベルが低い場合は微小ドット面積率を低くするとともに、階調の増加に伴って微小ドット面積率を増加させ、階調レベルが高い場合は微小ドット面積率を高くする。このように、微小ドット面積率により実現される階調レベルが決まることとなる。
しかしながら、上述のような画像形成装置では、副走査方向に駆動される潜像担持体表面に対して光ビームをスポット状に結像しながら主走査方向の両方向に走査させているため、副走査方向における互いに隣接する走査線の間の距離(走査ピッチ)は一定でなく、副走査方向におけるスポットの重なりの程度にばらつきが生じることとなる。ここで、走査線とは潜像担持体表面を含む面における光ビームの軌跡の略中心線を指す。つまり、副走査方向の走査ピッチの狭いところでは、副走査方向のスポットの重なりは大きくなるのに対し、副走査方向の走査ピッチの広いところでは、副走査方向のスポットの重なりは小さくなる。よって、副走査方向に互いに隣接する2つの画素それぞれに対してスポット潜像形成及び現像を実行して微小ドットを形成した場合、走査ピッチの狭いところでは副走査方向に隣接する2つの微小ドットからなるトナー像は比較的小さい一方、走査ピッチの広いところではトナー像は比較的大きい。その結果、同じ階調に対応するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、トナー像が形成される位置における走査ピッチが、広いか狭いかによって微小ドット面積率が変動してしまう。よって、後に詳述するように、副走査方向に4以上の偶数画素のセルを使用した場合、同じ階調レベルの中間調を形成しているにもかかわらず、主走査方向の両端間で濃度差ができるという画像弊害が発生する場合があった。そして、このような画像弊害は、特に低濃度領域での階調再現に大きな影響を及ぼす。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、副走査方向に駆動される潜像担持体表面に光ビームをスポット状に照射しながら偏向ミラー面により主走査方向の往復走査して潜像を形成する画像形成装置において、副走査方向に4以上の偶数画素のセルに対してディザマトリックスを用いて階調再現を行う場合であっても上記低濃度領域における画像弊害を抑制して、良好な階調再現を実現する技術を提供することを目的としている。
この発明に係る画像形成装置は、上記目的を達成するために、表面が副走査方向に駆動する潜像担持体と、振動する偏向ミラー面によって光源からの光を副走査方向とほぼ直交する主走査方向に走査可能に構成され、光を潜像担持体に照射して潜像を形成する潜像形成部と、潜像の現像を行う現像部とを備え、副走査方向にn個の画素(nは4以上の偶数)を有し且つ主走査方向にm個の画素を有するn行m列のn×mセルを潜像担持体に仮想的に配列するとともに、各セル毎に該セルを構成する複数の画素のうちいずれの画素に対して潜像形成及び現像を行なうかを、該セルに再現する階調値と複数の画素それぞれに対応する閾値を有するディザマトリックスの数値とを対比することにより決定する画像処理部を備え、偏向ミラー面によって光を主走査方向の第2の方向及び第2の方向とは逆の方向の複数の方向に走査して潜像を形成する手段と、画像処理部による決定結果に基づいて、セルを構成する複数画素のうち階調値に応じた画素にのみ潜像形成部による潜像形成及び現像部による現像を行うことで階調再現を実行する手段とを備え、画像処理部は、セルの各画素に対応するように、n×m個の閾値を副走査方向に対応する行方向にn個且つ主走査方向に対応する列方向にm個の行列状に配列して構成されるn行m列のn×mマトリックスである第1ディザマトリックスと、第1ディザマトリックスのn×m個の閾値の全てを行方向に奇数行だけ循環的にシフトして構成されるn行m列のn×mマトリックスである第2ディザマトリックスとを有し、潜像担持体上における光の軌跡の略中心線である走査線の主走査方向における振幅中心より第2の方向側に位置する第1セルと第1ディザマトリックスとを対比する一方、振幅中心より第2の方向とは逆の方向側に位置する第2セルと第2ディザマトリックスとを対比することで、各セルを構成する複数の画素のうちいずれの画素に対して潜像形成及び現像を行うかを決定することを特徴としている。
このように構成された発明では、潜像担持体表面に振動する偏向ミラー面によって光ビームを、主走査方向の第2の方向及び第2の方向とは逆の方向に往復走査させている。さらに、該潜像担持体表面は副走査方向に駆動されている。従って、潜像担持体表面に対して走査線は図5に示す一点鎖線のようになる。ここで、図5は、走査線と潜像担持体表面との関係を示す模式図である。まず、走査ピッチの副走査方向おける変動に注目すると、図5の左端部及び右端部のいずれにおいても、狭い走査ピッチ(狭ピッチ)と広い走査ピッチ(広ピッチ)とが交互に現れる。次に、走査ピッチの主走査方向における変動に注目する。ここで、同図中の主走査方向に伸びる矢印Drに注目すると、同図の左端部では広ピッチである走査ピッチが矢印Dr方向に進むに連れて狭くなっていき、同図の右端部では狭ピッチとなる。したがって、例えば、副走査方向に4画素で主走査方向に4画素の4×4セルを用いて中間調のトナー像を形成する場合、次に示すような画像弊害が発生する場合がある。
図7は、本発明の課題の説明図であり、2つの微小ドットにより中間調を形成する場合を示している。また、同図の左右に並ぶセルは、それらの副走査方向における位置は同じである。さらに、図5またはX2の左右に伸びる主走査方向において、一方は左端部に他方は右端部に位置するセルにそれぞれ対応する。潜像担持体表面を走査する走査線には、図5を用いて説明したような性質があるため、左端部のセルを構成する画素を走査する走査線の走査ピッチが、副走査方向に向いて「狭ピッチ」「広ピッチ」「狭ピッチ」の順に並んでいる場合、右端部のセルを構成する画素を走査する走査線間の走査ピッチは、副走査方向に向いて「広ピッチ」「狭ピッチ」「広ピッチ」の順に並ぶこととなる。よって、図7の「潜像形成」欄に示すように、副走査方向に互いに隣接する2つの画素に対してスポット潜像を形成した場合、左端部では2つのスポット潜像の重なりが比較的小さい一方、右端部では2つのスポット潜像の重なりが比較的大きい。そして、このようなスポット潜像を現像することで、図7の「微小ドット形成」欄に示すような微小ドットが得られる。「微小ドット形成」欄に示すように、スポット潜像の重なりに応じて、左端部のセルでは微小ドット面積率が比較的高い一方、右端部のセルでは微小ドット面積率が比較的低くなる。その結果、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害が発生する場合がある。そして、このような画像弊害は、特に低濃度領域での階調再現に大きな影響を及ぼす。
これに対して本発明における画像処理部は、セルの各画素に対応するように、n×m個の閾値を副走査方向に対応する行方向にn個且つ主走査方向に対応する列方向にm個の行列状に配列して構成されるn行m列のn×mマトリックスである第1ディザマトリックスと、第1ディザマトリックスのn×m個の閾値の全てを行方向に奇数行だけ循環的にシフトして構成されるn行m列のn×mマトリックスである第2ディザマトリックスとを有している。そして、潜像担持体上における光の軌跡の略中心線である走査線の主走査方向における振幅中心より第2の方向側に位置する第1セルと第1ディザマトリックスとを対比する一方、振幅中心より第2の方向とは逆の方向側に位置する第2セルと第2ディザマトリックスとを対比することで、各セルを構成する複数の画素のうちいずれの画素に対して潜像形成及び現像を行うかを決定する。つまり、図5において、振幅中心より左側と右側で第1と第2ディザマトリックスを使い分けている。よって、図7を用いて上述したような、副走査方向におけるスポット潜像の重複程度が異なることに起因した、左端部と右端部とでの微小ドット面積率の差を防止できる。したがって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。この理由について次に詳述する。
図8は、本発明が奏する効果の説明図である。同図では、説明の簡単のため、副走査方向に4画素で主走査方向に4画素の4×4セルを用いている。また、該4×4セルの各画素に対応して、4×4=16個の閾値を行方向に4個且つ列方向に4個の行列状に配列して構成される4行4列の4×4マトリックスである第1および第2ディザマトリックスを用いている。そして、これらのディザマトリックスにより階調値2の中間調を再現した場合を表している。また、同図の「ディザマトリックス」欄に示すように、走査線の振幅中心より第1方向側の左端部では第1ディザマトリックスを用いるとともに、走査線の振幅中心より第2方向側の右端部では第2ディザマトリックスを用いている。そして、第2ディザマトリックスは、第1ディザマトリックスの16個の閾値の全てを行方向に1行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成されている。したがって、同図の「潜像形成」欄に示すように、右端部のスポット潜像は左端部のスポット潜像と比較して副走査方向と逆方向に1画素だけずれて形成される。その結果、左端部のスポット潜像の重複程度と右端部のスポット潜像の重複程度は略同じとなる。そして、同図の「微小ドット形成」欄に示すように、これらのスポット潜像を現像して形成される微小ドットの面積率も右端部と左端部で略同一となる。よって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。
<第1実施形態>
図1は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、潜像担持体としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の感光体2Y、2M、2C、2Kを装置本体5内に並設している。そして、各感光体2Y、2M、2C、2K上のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。すなわち、この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から印字指令がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11のCPU111からの印字指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御して複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートSに印字指令に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、4つの感光体2Y、2M、2C、2Kのそれぞれに対応して帯電ユニット、現像ユニット(現像部)、露光ユニット(潜像形成部)およびクリーニング部が設けられている。このように、各トナー色ごとに、感光体、帯電ユニット、現像ユニット、露光ユニットおよびクリーニング部を備えて該トナー色のトナー像を形成する画像形成手段が設けられている。なお、これらの画像形成手段(感光体、帯電ユニット、現像ユニット、露光ユニットおよびクリーニング部)の構成はいずれの色成分についても同一であるため、ここではイエローに関する構成について説明し、その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
感光体2Yは図1の矢印方向(副走査方向)に回転自在に設けられているとともに、該矢印方向に駆動される。このように駆動される感光体2Yの周りにその回転方向に沿って、帯電ユニット3Y、現像ユニット4Yおよびクリーニング部(図示省略)がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3Yは例えばスコロトロン帯電器で構成されており、帯電制御部103からの帯電バイアス印加によって感光体2Yの外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。そして、この帯電ユニット3Yによって帯電された感光体2Yの外周面に向けて露光ユニット6Yから光ビームLyが照射される。これによって印字指令に含まれるイエロー画像データに対応する静電潜像が感光体2Y上に形成される。そして、露光ユニット6Yは、露光制御部102Y(図4)からの制御指令に応じて動作する。
図3は図1の画像形成装置に装備された露光ユニットの構成を示す主走査断面図ある。以下、図2、3を参照しつつ、露光ユニット6の構成および動作について詳述する。なお、露光ユニット6の構成はいずれの色成分についても同一であるため、ここではイエローに関する構成について説明し、その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
この露光ユニット6Y(6M,6C,6K)は露光筐体61を有している。そして、露光筐体61に単一のレーザー光源62Y(光源)が固着されており、レーザー光源62Yから光ビームを射出可能となっている。このレーザー光源62Yは、図2に示す露光制御部102Yの光源駆動部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、後述するように画像信号に応じて光源駆動部がレーザー光源62YをON/OFF制御してレーザー光源62Yから画像データに対応して変調された光ビームが射出される。
露光筐体61の内部には、レーザー光源62Yからの光ビームを感光体2Yの表面(図示省略)に走査露光するために、コリメータレンズ631、シリンドリカルレンズ632、偏向器65、走査レンズ66が設けられている。すなわち、レーザー光源62Yからの光ビームは、コリメータレンズ631により適当な大きさのコリメート光にビーム整形された後、副走査方向Yにのみパワーを有するシリンドリカルレンズ632に入射される。そして、シリンドリカルレンズ632を調整することでコリメート光は副走査方向Yにおいて偏向器65の偏向ミラー面651付近で結像される。このように、この実施形態では、コリメータレンズ631およびシリンドリカルレンズ632がレーザー光源62Yからの光ビームを整形するビーム整形系63として機能している。
この偏向器65は半導体製造技術を応用して微小機械を半導体基板上に一体形成するマイクロマシニング技術を用いて形成されるものであり、共振振動する振動ミラーで構成されている。すなわち、偏向器65では、共振振動する偏向ミラー面651により光ビームを主走査方向Xに偏向可能となっている。より具体的には、偏向ミラー面651は主走査方向Xとほぼ直交する揺動軸(ねじりバネ)周りに揺動自在に軸支されるとともに、作動部(図示省略)から与えられる外力に応じて揺動軸周りに正弦揺動する。この作動部は露光制御部102のミラー駆動部(図示省略)からのミラー駆動信号に基づき偏向ミラー面651に対して静電気的、電磁気的あるいは機械的な外力を作用させて偏向ミラー面651をミラー駆動信号の周波数で揺動させる。なお、作動部による駆動方式は静電吸着、電磁気力あるいは機械力などのいずれの方式を採用してもよく、それらの駆動方式は周知であるため、ここでは説明を省略する。
偏向ミラー面651により偏向された光ビームは、走査レンズ66を介して感光体2Yの表面に走査される。また、上述の通り偏向ミラー面651は、遥動軸周りに正弦遥動する。したがって、光ビームは感光体2Yの表面に主走査方向Xの第1方向(+X)または該第1方向(+X)と逆の第2方向(-X)に往復走査されることとなる。そして、このように走査される光ビームが感光体表面(潜像担持体表面)をスポット状に照射することで、該スポットにスポット潜像が形成される。かかるスポット潜像は、形成すべき画像に応じて複数形成される。また、走査方向(+X)の上流側において走査光ビームの走査経路の端部を折り返しミラー69により水平同期センサ60に導いている。かかる水平同期センサ60は、主走査方向に往復走査される光ビームの1周期毎に光ビームを検出し、水平同期信号Hsyncを出力する。そして、該水平同期信号Hsyncに基づいて潜像形成動作が制御されることとなる。
図1,2に戻って説明を続ける。上述の露光ユニット6Yにより形成されたスポット潜像は、現像ユニット4Y(現像部)によってトナー現像される。この現像ユニット4Yはイエロートナーを内蔵している。そして、現像器制御部104から現像バイアスが現像ローラ41Yに印加されると、現像ローラ41Y上に担持されたトナーが感光体2Yの表面各部にその表面電位に応じて部分的に付着する。その結果、感光体2Y上のスポット潜像がイエローのトナー像として顕像化される。なお、現像ローラ41Yに与える現像バイアスとしては、直流電圧、もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したもの等を用いることができるが、特に感光体2Yと現像ローラ41Yとを離間配置し、両者の間でトナーを飛翔させることでトナー現像を行う非接触現像方式の画像形成装置では、効率よくトナーを飛翔させるために直流電圧に対して正弦波、三角波、矩形波等の交流電圧を重畳した電圧波形とすることが好ましい。
現像ユニット4Yで現像されたイエロートナー像は、一次転写領域TRy1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。また、イエロー以外の色成分についても、イエローと全く同様に構成されており、感光体2M、2C、2K上にマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成されるとともに、一次転写領域TRm1、TRc1、TRk1でそれぞれ中間転写ベルト71上に一次転写される。
この転写ユニット7は、2つのローラ72、73に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ72を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向R2に回転させるベルト駆動部(図示省略)とを備えている。また、中間転写ベルト71を挟んでローラ73と対向する位置には、該ベルト71表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接・離間移動可能に構成された二次転写ローラ74が設けられている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、一次転写タイミングを制御することで各トナー像を重ね合わせてカラー画像を中間転写ベルト71上に形成するとともに、カセット8から取り出されて中間転写ベルト71と二次転写ローラ74との間の二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。一方、モノクロ画像をシートSに転写する場合には、ブラックトナー像のみを感光体2Kに形成するとともに、二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にモノクロ画像を二次転写する。また、こうして画像の2次転写を受けたシートSは定着ユニット9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に向けて搬送される。
なお、中間転写ベルト71へトナー像を一次転写した後の各感光体2Y、2M、2C、2Kは、不図示の除電手段によりその表面電位がリセットされ、さらに、その表面に残留したトナーがクリーニング部により除去された後、帯電ユニット3Y、3M、3C、3Kにより次の帯電を受ける。
また、ローラ72の近傍には、転写ベルトクリーナ75、および垂直同期センサ77(図2)が配置されている。これらのうち、クリーナ75は図示を省略する電磁クラッチによってローラ72に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ72側に移動した状態でクリーナ75のブレードがローラ72に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。また、垂直同期センサ77は、中間転写ベルト71の基準位置を検出するためのセンサであり、中間転写ベルト71の副走査方向への回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号Vsyncを得るための垂直同期センサとして機能する。そして、この装置では、各部の動作タイミングを揃えるとともに各色のトナー像を正確に重ね合わせるために、装置各部の動作はこの垂直同期信号Vsyncに基づいて制御される。また、ローラ72,73の間には、色ずれセンサ78が配置されており、各色のトナー像の色ずれ量を検出する。
なお、図2において、符号110はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像データを記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
次に、本発明にかかる画像形成装置において実行される信号処理について説明する。図4は、本発明にかかる画像形成装置の信号処理を示す図である。この画像形成装置では、ホストコンピュータ100などの外部装置から画像信号が入力されると、メインコントローラ11がその画像信号に対し所定の信号処理を施す。メインコントローラ11は、色変換部113、画像処理ユニット115、2種類のラインバッファ116A,116B、方向切換部116Cおよびパルス変調部117などの機能ブロックを備えている。なお、これらの各機能ブロックはハードウェアにより構成されてもよく、またCPU111、101により実行されるソフトウェアによって実現されてもよい。
ホストコンピュータ100から画像信号が与えられたメインコントローラ11では、色変換部113がその画像信号に対応する画像内の各画素のRGB成分の階調レベルを示したRGB階調データを、対応するCMYK成分の階調レベルを示したCMYK階調データへ変換する。この色変換部113では、入力RGB階調データは1画素1色成分当たりの階調値を示した多値データであり、出力CMYK階調データも同様に1画素1色成分当たりの階調値を示した多値データである。そして、色変換部113から出力されるCMYK階調データは画像処理ユニット115に入力される。
画像処理ユニット115(画像処理部)は、入力されるCMYK階調データに対してハーフトーン処理を行う。第1実施形態におけるハーフトーン処理では、互いに隣接する複数の画素により構成されるセルを感光体表面(潜像担持体表面)に対して仮想的に複数配列する。そして、各セルに対して、ディザマトリックスにしたがってセルが有する複数の画像のうち階調値に応じた画素にのみスポット潜像形成および現像を行う。これにより、各セルに対して階調値に応じた微小ドットが形成されることとなる。つまり、第1実施形態におけるハーフトーン処理では、セル面積のうち微小ドットが占める面積の比率(微小ドット面積率)を階調値に応じて変化させて階調再現を実現している。そして、第1実施形態におけるハーフトーン処理では、次に詳述するように、セルの配列位置により対比するディザマトリックスを使い分けている。
図5は、第1実施形態での走査線と感光体2の表面(潜像担持体表面)との関係を示す図である。また、図6は第1実施形態におけるハーフトーン処理において使用するディザマトリックスを示す図である。第1実施形態では、セルとして副走査方向Yに4画素で主走査方向Xに4画素の4行4列の4×4セルを用いることとする。そして、第1実施形態では、走査線の主走査方向Xにおける振幅中心ACより主走査方向Xの第1方向(+X)側(左端部)に位置する4×4セルを第1セルと定義するとともに、振幅中心ACより主走査方向Xの第2方向(−X)側(右端部)に位置する4×4セルを第2セルと定義する。そして、第1セルに対しては、図6の第1マトリックスMTX44-11(第1ディザマトリックス)を用いる一方、第2セルに対しては、図6の第2マトリックスMTX44-21(第2ディザマトリックス)を用いる。図6に示すように、第1マトリックスMTX44-11及び第2マトリックスMTX44-11は、いずれも4×4=16個の閾値を行方向に4個且つ列方向に4個の行列状に配列して構成される4行4列の4×4マトリックスである。また、第2マトリックスMTX44-21(第2ディザマトリックス)は、第1マトリックスMTX44-11(第1ディザマトリックス)の4×4=16個の閾値の全てを行方向(矢印方向)に1行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成されている。
上述のようにして定義された第1セルまたは第2セルのCMYK階調データと、第1マトリックスMTX44-11または第2マトリックスMTX44-21の閾値とを1画素毎に比較する。そして、CMYK階調データが閾値以上である場合は、対応する画素に対してスポット潜像を形成するとともに該スポット潜像を現像して微小ドットを形成すると決定する。一方、CMYK階調データが閾値未満である場合は、対応する画素に対してスポット潜像形成および微小ドットの形成は行わないと決定する。
第1実施形態では、上述の第1マトリックスMTX44-11、第2マトリックスMTX44-21を用いたハーフトーン処理を全てのCMYK階調データに対して実行する。そして、全ての画素の各々に対してスポット潜像形成・微小ドット形成を行うか否かを示すデータとしてハーフトーン階調データを求める。
再び図4に戻って説明を続ける。上述のようにして求められたハーフトーン階調データは、順方向ラインバッファ116Aおよび逆方向ラインバッファ116Bに入力される。これらのラインバッファ116A,116Bは画像処理ユニット115から出力されるハーフトーン階調データを走査線1ライン分だけ記憶するものである点で共通するが、階調データの読出し順序が相違する。すなわち、順方向ラインバッファ116Aは走査線1ライン分のハーフトーン階調データを先頭から順方向に出力するものであるのに対し、逆方向ラインバッファ116Bは最後から逆方向に出力するものである。ここで、走査線とは、感光体表面(潜像担持体表面)を含む面における光ビームの軌跡の略中心線を指す。また、走査線1ライン分のハーフトーン階調データとは、1回の往路走査または復路走査の間に出力されるハーフトーン階調データを言う。このような2種類のラインバッファ116A,116Bを設けた理由は次のとおりである。
上述した露光制御部102Yの光源駆動部は、パルス変調部117からのビデオ信号を受けて露光ユニット6Yのレーザー光源62YをON/OFF制御する。そして、かかるビデオ信号は、パルス変調部117によって、画像処理ユニット115から出力されるハーフトーン階調データを用いて、エンジン部EGの各色画像の露光レーザーパルスをパルス幅変調するために作成されるものである。一方、上述の通り、第1実施形態では共振振動する偏向ミラー面651により光ビームを主走査方向Xに往復走査している。つまり、光ビームは、互いに走査方向が逆である往路と復路とを交互に往復走査されることとなる。したがって、パルス変調部117にハーフトーン階調データを入力するにあたっては、光ビームの走査方向の違いに応じてパルス変調部117に入力するハーフトーン階調データの入力順序を変える必要がある。そこで、第1実施形態では順方向ラインバッファ116Aと逆方向ラインバッファ116Bとを設けている。
そして、こうして出力されるハーフトーン階調データは方向切換部116Cに入力され、方向切換信号に基づき、一方のラインバッファから出力されるハーフトーン階調データのみが適当なタイミングで方向切換部116Cからパルス変調部117に出力される。つまり、光ビームが順方向に走査される際には、方向切換信号として順方向信号が方向切換部116Cに与えられ、順方向ラインバッファ116Aからのハーフトーン階調データがパルス変調部117へ向けて出力される。一方、光ビームが逆方向に走査される際には、方向切換信号として逆方向信号が方向切換部116Cに与えられ、逆方向ラインバッファ116Aからのハーフトーン階調データがパルス変調部117へ向けて出力される。そして、このようにパルス変調部117に入力されたハーフトーン階調データはビデオ信号に変換された後、図示を省略するビデオインターフェイスを介してエンジンコントローラ10に出力される。
上述のビデオ信号を受けた露光制御部102Yの光源駆動部(図示省略)は、露光ユニット6(潜像形成部)のレーザー光源62YをON/OFF制御する。そして、レーザー光源からの光ビームが走査されるとともに、該光ビームが感光体表面にスポット状に照射されてスポット潜像が形成される。さらに、このように形成された静電潜像が現像ユニット4(現像部)により現像されて各画素に対して微小ドットが形成される。
上述したように、第1実施形態では、走査線の振幅中心ACより第1方向(+X)側(左端部)に位置する第1セルと、走査線の振幅中心ACより第2方向(−X)側(右端部)に位置する第2セルとで使用するディザマトリックスを使い分けている。つまり、第1セルに対しては第1マトリックスMTX44-11を用いる一方、第2セルに対しては第2マトリックスMTX44-21を用いている。そして、第2マトリックスMTX44-21は、第1マトリックスMTX44-11の4×4=16個の閾値の全てを行方向(矢印方向)に1行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成されている。したがって、振動する偏向ミラー面により光ビームを往復走査させる画像形成装置における低濃度領域での画像弊害を防止することができる。この理由について次に説明する。
第1実施形態においては、感光体表面(潜像担持体表面)に振動する偏向ミラー面651によって光ビームを主走査方向Xに往復走査させるとともに、該感光体表面(潜像担持体表面)は副走査方向Yに駆動されている。従って、感光体表面(潜像担持体表面)に対して走査線は図5に示す一点鎖線のようになる。まず、走査ピッチの副走査方向Yにおける変動に注目すると、同図の左端部及び右端部のいずれにおいても、狭い走査ピッチ(狭ピッチ)と広い走査ピッチ(広ピッチ)とが交互に現れる。次に、走査ピッチの主走査方向Xにおける変動に注目する。ここで、同図中の主走査方向Xに伸びる矢印Drに注目すると、同図の左端部では広ピッチである走査ピッチが矢印Dr方向に進むに連れて狭くなっていき、同図の右端部では狭ピッチとなる。したがって、従来のように単一のディザマトリックスを用いたハーフトーン処理では、次に示すような画像弊害が低濃度領域で発生する場合がある。
説明の簡単のため、第1セルと第2セルとで使用するディザマトリックスを使い分けず、全てのセルに対して第1マトリックスMTX44-11を用いて階調値2の画像を主走査方向Xの両端(つまり図5中の左端部と右端部)に形成する場合を考える。この場合、4×4マトリックスMTX44-11の閾値1,2に対応する画素に対してスポット潜像が形成されるとともに、該スポット潜像が現像されて微小ドットが形成される。
図7は本発明の課題の説明図であり、上述の様子を具体的に示した図である。ここで、図7の左右に並ぶ4×4セル(図7中の破線)は、それらの副走査方向Yにおける位置は同じであるとともに、図5または7の左右に伸びる主走査方向Xにおいて、一方は左端部に他方は右端部に位置する4×4セルCL44にそれぞれ対応する。感光体表面(潜像担持体表面)を走査する走査線(図7中の1点鎖線)には、図5を用いて説明したような性質があるため、左端部のセルを構成する画素を走査する走査線の走査ピッチが、副走査方向Yに向いて「狭ピッチ」「広ピッチ」「狭ピッチ」の順に並んでいる場合、右端部のセルを構成する画素を走査する走査線間の走査ピッチは、副走査方向Yに向いて「広ピッチ」「狭ピッチ」「広ピッチ」の順に並ぶこととなる。よって、図7の「潜像形成」欄に示すように、副走査方向Yに互いに隣接する2つの画素に対してスポット潜像を形成した場合、左端部では2つのスポット潜像の重なりが比較的小さい一方、右端部では2つのスポット潜像の重なりが比較的大きい。そして、このようなスポット潜像を現像することで、図7の「微小ドット形成」欄に示すような微小ドットが得られる。「微小ドット形成」欄に示すように、スポット潜像の重なりに応じて、左端部のセルでは微小ドット面積率が比較的高い一方、右端部のセルでは微小ドット面積率が比較的低くなる。その結果、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害が発生する場合がある。そして、このような画像弊害は、特に低濃度領域での階調再現に大きな影響を及ぼす。
これに対して本発明では、第1マトリックスMTX44-11(第1ディザマトリックス)と、第1マトリックスMTX44-11の4×4個の閾値の全てを行方向に1行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成される第2マトリックスMTX44-21(第2ディザマトリックス)とを有している。そして、感光体表面(潜像担持体表面)を含む面における光ビームの軌跡の略中心線である走査線の主走査方向Xにおける振幅中心ACより第1方向(+X)側(左端部)に位置する第1セルと第1マトリックスMTX44-11とを対比する一方、振幅中心ACより第2方向(−X)側(右端部)に位置する第2セルと第2マトリックスMTX44-21とを対比することで、各セルを構成する複数の画素のうちいずれの画素に対して潜像形成及び現像を行うかを決定する。つまり、図5において、振幅中心ACより左側と右側で第1と第2マトリックスを使い分けている。よって、図7を用いて上述したような、副走査方向におけるスポット潜像の重複程度が異なることに起因した、左端部と右端部とでの微小ドット面積率の差を防止できる。したがって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。この理由について次に詳述する。
図8は、本発明が奏する効果の説明図である。同図では、階調値2の中間調を再現した場合を表している。同図の「ディザマトリックス」欄に示すように、走査線の振幅中心ACより第1方向(+X)側の左端部では第1マトリックスMTX44-11(第1ディザマトリックス)を用いるとともに、走査線の振幅中心ACより第2方向(−X)側の右端部では第2マトリックスMTX44-21(第2ディザマトリックス)を用いている。そして、第2マトリックスMTX44-21は、第1マトリックスMTX44-11の16個の閾値の全てを行方向に1行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成されている。したがって、同図の「潜像形成」欄に示すように、右端部のスポット潜像は左端部のスポット潜像と比較して副走査方向と逆方向に1画素(奇数画素)だけずれて形成される。その結果、左端部のスポット潜像の重複程度と右端部のスポット潜像の重複程度は略同じとなる。そして、同図の「微小ドット形成」欄に示すように、これらのスポット潜像を現像して形成される微小ドットの面積率も右端部と左端部で略同一となる。よって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。
<第2実施形態>
図9は、本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態において使用するディザマトリクスを示す図である。第2実施形態では、第1セルに対して第1マトリックスMTX44-12(第1ディザマトリックス)を用いるとともに、第2セルに対しては第2マトリックスMTX44-22(第2ディザマトリックス)を用いる。第1マトリックスMTX44-12、第2マトリックスMTX44-22は、ともに副走査方向Yに4画素で主走査方向Xに4画素のセルに対応する4×4マトリックスである。
第2実施形態では、第2マトリックスMTX44-22は、第1マトリックスMTX44-12の16個の閾値の全てを行方向に3行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成されている。よって、図7を用いて上述したような、副走査方向におけるスポット潜像の重複程度が異なることに起因した、左端部と右端部とでの微小ドット面積率の差を防止できる。したがって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。この理由について図9を用いて次に詳述する。
図9では、階調値4の中間調を再現した場合を表している。同図の「ディザマトリックス」欄に示すように、走査線の振幅中心ACより第1方向(+X)側の左端部では第1マトリックスMTX44-12(第1ディザマトリックス)を用いるとともに、走査線の振幅中心ACより第2方向(−X)側の右端部では第2マトリックスMTX44-22(第2ディザマトリックス)を用いている。したがって、同図の「潜像形成」欄に示すように、右端部のスポット潜像は左端部のスポット潜像と比較して副走査方向と逆方向に3画素(奇数画素)だけ循環的にずれて形成される。その結果、左端部のスポット潜像の重複程度と右端部のスポット潜像の重複程度は略同じとなる。そして、同図の「微小ドット形成」欄に示すように、これらのスポット潜像を現像して形成される微小ドットの面積率も右端部と左端部で略同一となる。よって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。
<その他>
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。上記実施形態では、副走査方向Yに4画素で主走査方向Xに4画素の4×4セルと感光体表面に配列するとともに、該セルに対応して4×4マトリックスをディザマトリックスとして使用している。しかしながら、本発明が適用可能なセル及びディザマトリックスの種類はこれに限られるものではなく、要求される分解能や階調再現性に応じて変更可能である。例えば、ハーフトーン処理において、副走査方向Yに6画素で主走査方向Xに6画素の6×6セルを用いる場合、次に示すようなディザマトリックスを用いてもよい。
図10は、上記実施形態とは異なるディザマトリックスの一例である。同図に示すように、第1マトリックスMTX66-11(第1ディザマトリックス)及び第2マトリックスMTX66-21(第2ディザマトリックス)はともに、6行6列の6×6マトリックスである。また、第2マトリックスMTX66-21は、第1マトリックスMTX66-11の36個の閾値の全てを行方向に5行(奇数行)だけ循環的にシフトして構成されている。よって、図7を用いて上述したような、副走査方向におけるスポット潜像の重複程度が異なることに起因した、左端部と右端部とでの微小ドット面積率の差を防止できる。したがって、同じ階調値を有するトナー像を形成しようとしているにもかかわらず、左右それぞれに形成されるトナー像間で濃度差ができるという画像弊害の発生を防止でき、良好な階調再現を実現できる。
また、当然のことながら本発明が適用可能なセルは、副走査方向Yに4画素且つ主走査方向Xに4画素の4×4セルや、副走査方向Yに6画素且つ主走査方向Xに6画素の4×4セルに限られるものではなく、例えば、副走査方向Yに4画素且つ主走査方向Xに6画素の4×6セルや、副走査方向Yに6画素且つ主走査方向Xに5画素の6×5セル等を用いてもよい。また、使用するセルに応じてディザマトリックスの種類を適宜選択可能であることはいうまでも無い。
また、上記実施形態では、1つの感光体2(潜像担持体)に対して1つの露光ユニット6を設けて潜像形成を実行していたが、例えば、特開2003−131154号公報に示すように、1つの感光体2(潜像担持体)に対して複数の露光ユニット6を設けて潜像形成を実行する画像形成装置に対しても本発明を適用可能である。
図11は、1つの感光体2に対して露光ユニット6を3つ用いて潜像形成を実行する装置の模式図である。該装置においては、感光体2に対向する3つの露光ユニット6が主走査方向Xに配列されている。そして、3つの露光ユニット6は、感光体2の表面(潜像担持体表面)の第1走査領域、第2走査領域、第3走査領域に対して光ビームを照射してスポット潜像を形成する。なお、露光ユニット6としては、図3に示したような振動する偏向ミラー面651により光ビームを走査する露光ユニットを用いるものとする。
図12は、1つの感光体2に対して露光ユニット6を3つ用いて潜像形成を実行する場合の動作を示す図である。3つの露光ユニット6は、それぞれ感光体2(潜像担持体)の表面の第1走査領域、第2走査領域、第3走査領域に対して光ビームを主走査方向Xに往復走査する。また、感光体2の表面は副走査方向Yに駆動されている。よって、感光体2の表面(潜像担持体表面)を含む面における光ビームの軌跡の略中心線である走査線は、同図の1点鎖線のようになる。但し、図示の簡便のため第1走査領域における走査線のみを示したが、他の第2・第3走査領域においても同様に走査線を定義できる。また、同図中において第1走査領域における走査線は、該第1走査領域を主走査方向Xにはみ出して記載されているが、実際に該走査線がスポット潜像を形成する領域は第1走査領域のみである。
同図に示すように、3つの露光ユニット6によって光ビームを感光体2の表面に走査する場合においても、図5を用いて説明した場合と同様に、両端部において「広ピッチ」と「狭ピッチ」が交互に現れる。したがって、図7を用いて説明した場合と同様に、副走査方向Yに隣接するスポット潜像の重なりの程度が、左端部と右端部とで異なることに起因した画像弊害が発生する。
そこで、このような複数の露光ユニット6を用いて感光体2の表面を走査する装置においても、本発明を適用しても良い。つまり、同図に示すように、第1〜3走査領域のそれぞれにおいて、走査線の主走査方向Xにおける振幅中心ACより第1方向(+X)側(左端部)に位置する第1セルと、走査線の振幅中心ACより第2方向(−X)側(右端部)に位置する第2セルとで使用するディザマトリックスを使い分けてもよい。つまり、第1セルに対しては第1マトリックスMTX44-11や第1マトリックスMTX66-11等の第1ディザマトリックスを用いる一方、第2セルに対しては第2マトリックスMTX44-21や第2マトリックスMTX66-21の第2ディザマトリックスを用いてハーフトーン処理を実行しても良い。このようにハーフトーン処理を実行した場合、副走査方向Yに隣接するスポット潜像の重なりの程度が、左端部と右端部とで異なることに起因した画像弊害の発生を、低濃度領域について防止することが可能となる。よって、良好な階調再現を実現することが可能となり好適である。
また、上記実施形態では、カラー画像を形成する画像形成装置を用いて説明したが、単色印字のみを行う画像形成装置においても本発明を適用可能である。
本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。 図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。 図1の画像形成装置における露光ユニットの構成を示す主走査断面図。 図1の画像形成装置における信号処理ブロックを示す図。 走査線と感光体の表面との関係を示す図。 第1実施形態において使用するディザマトリックスを示す図。 本発明の課題の説明図。 本発明が奏する効果の説明図。 第2実施形態において使用するディザマトリクスを示す図。 本発明に使用可能なディザマトリックスの一例を示す図。 本発明を適用可能な他の装置の構成を示す模式図。 図14に示す装置における潜像形成動作を示す図。
符号の説明
2Y,2M,2C,2K…感光体(潜像担持体)、 4,4Y,4M,4C,4K…現像ユニット(現像部)、 6,6Y,6M,6C,6K…露光ユニット(潜像形成部)、 60…水平同期センサ、 62…レーザー光源、 71…中間転写ベルト、 651…偏向ミラー面、 Ly,Lm,Lc,Lk…走査光ビーム、 11…メインコントローラ、 115…画像処理ユニット(画像処理部)、 CMYK…CMYK階調データ、 X…主走査方向、 Y…副走査方向、 MTX44-11,MTX44-21,MTX44-12,MTX44-22,MTX66-11,MTX66-21…ディザマトリックス、 AC…振幅中心

Claims (1)

  1. 表面が副走査方向に駆動する潜像担持体と、振動する偏向ミラー面によって光源からの光を前記副走査方向とほぼ直交する主走査方向に走査可能に構成され、前記光を前記潜像担持体に照射して潜像を形成する潜像形成部と、前記潜像の現像を行う現像部とを備え、
    前記副走査方向にn個の画素(nは4以上の偶数)を有し且つ前記主走査方向にm個の画素を有するn行m列のn×mセルを前記潜像担持体に仮想的に配列するとともに、各セル毎に該セルを構成する複数の画素のうちいずれの画素に対して潜像形成及び現像を行なうかを、該セルに再現する階調値と前記複数の画素それぞれに対応する閾値を有するディザマトリックスの数値とを対比することにより決定する画像処理部を備え、
    前記偏向ミラー面によって前記光を前記主走査方向の第2の方向及び前記第2の方向とは逆の方向の複数の方向に走査して前記潜像を形成する手段と、
    前記画像処理部による決定結果に基づいて、前記セルを構成する複数画素のうち階調値に応じた画素にのみ前記潜像形成部による潜像形成及び前記現像部による現像を行うことで階調再現を実行する手段とを備え、
    前記画像処理部は、
    前記セルの各画素に対応するように、n×m個の前記閾値を副走査方向に対応する行方向にn個且つ主走査方向に対応する列方向にm個の行列状に配列して構成されるn行m列のn×mマトリックスである第1ディザマトリックスと、
    前記第1ディザマトリックスの前記n×m個の前記閾値の全てを前記行方向に奇数行だけ循環的にシフトして構成されるn行m列のn×mマトリックスである第2ディザマトリックスとを有し、
    前記潜像担持体上における前記光の軌跡の略中心線である走査線の前記主走査方向における振幅中心より前記第2の方向側に位置する第1セルと前記第1ディザマトリックスとを対比する一方、前記振幅中心より前記第2の方向とは逆の方向側に位置する第2セルと前記第2ディザマトリックスとを対比することで、各セルを構成する複数の画素のうちいずれの画素に対して潜像形成及び現像を行うかを決定する
    ことを特徴とする画像形成装置。
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