JP5127268B2 - 圧電体、圧電体素子、圧電体素子を用いた液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents

圧電体、圧電体素子、圧電体素子を用いた液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧電体、圧電体素子、圧電体素子を用いた液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
近年、圧電アクチュエーターは、モータ構造の微細化、高密度化が可能であるという点で、電磁型モータに代わる新しいモータとして、携帯情報機器分野および化学、医療分野で注目されている。圧電アクチュエーターはその駆動に際して電磁ノイズを発生させず、また他からのノイズの影響も受けない。さらに、圧電アクチュエーターは、マイクロマシンに代表されるような、サブミリメートルクラスの大きさの機器を作る技術として注目されており、その駆動源として微小な圧電素子が求められている。
一般に圧電体素子は、圧電体に一対の電極を接続した構成を有する。圧電体は、熱処理を施したバルク材の焼結体や単結晶体等の圧電特性を有する材料を、切削、研磨等の加工技術によって所望の大きさ、厚さに微細成形して製造するのが一般的である。また、微小な圧電体素子を形成する上では、金属やシリコンなどの基板上の所定位置に、印刷法などの方法を用いて、グリーンシート状の圧電体を塗布・焼成し、圧電体素子を直接形成する手法が一般的ある。このようなグリーンシートからの成形体は、厚みが数十μm〜数百μm程度であり、圧電体の上下には電極が設けられており、電極を通じて電圧が印加されるようになっている。
従来、液体吐出ヘッドに用いるような小型の圧電体素子に使用する圧電体も、上述した材料を上記のように切削、研磨等の加工技術によって微細成形したり、もしくはグリーンシート状の圧電体を用いて製造されたりしていた。このような圧電体素子を用いた装置としては、例えばユニモルフ型の圧電体素子構造を有する液体吐出ヘッドがある。液体吐出ヘッドは、インク供給室に連通した圧力室とその圧力室に連通したインク吐出口とを備え、その圧力室に圧電素子が接合もしくは直接形成された振動板が設けられて構成されている。このような構成において、圧電体素子に所定の電圧を印加して圧電素子を伸縮させることにより、たわみ振動を起こさせて圧力室内のインクを圧縮することによりインク吐出口からインク液滴を吐出させる。
上述した圧電体の機能を利用したカラーのインクジェットプリンタが現在普及しているが、かかる圧電方式のプリンターに対してもその印字性能の向上、特に高解像度化および高速印字が求められている。そのため液体吐出ヘッドを微細化したマルチノズルヘッド構造を用いて高解像度および高速印字を実現する事が試みられている。液体吐出ヘッドを微細化するためには、インクを吐出させるための圧電体素子を更に小型化することが必要になる。更に、最近、液体吐出ヘッドを配線直描等の工業用途に応用する試みも活発である。その際、より多様な特性をもつ液体吐出ヘッドの更なる吐出圧発生素子構造パターンの微細化及び高性能化が求められている。
近年、マイクロマシン技術の発達により、圧電体を薄膜として形成し、半導体で用いられてきた微細加工技術を駆使してより高精度な超小型圧電素子を開発する研究がなされている。特に、スパッタリング法、化学気相合成法、ゾルゲル法、ガスデポジション法、パルスレーザーデポジション法等の薄膜法により形成される圧電膜の厚みは、圧電アクチュエーター用途の場合、一般に数百nm〜数十μm程度である。この圧電膜に電極が接続されており、この電極を通じて電圧が印加されるようになっている。
一方、圧電体素子の小型化に伴い、より大きな圧電特性を示す高性能な圧電体材料の研究も活発である。近年注目されている圧電体材料としては、一般式ABO3で表わされるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物材料がある。この材料は、例えばPb(ZrxTi1-x)O3(ジルコン酸チタン酸鉛:PZT)に代表されるように、優れた強誘電性、焦電性、圧電性を示す。PZT材料としては、例えば、非特許文献1に説明されているような材料がある。
一般に、バルク体単結晶の圧電体の自発分極方向に電界を印加すると、高い圧電特性が得られると考えられているが、近年、圧電体材料の圧電性向上のひとつの手段として、ドメインエンジニアリングと言われるドメイン制御を行う研究が行われている。例えば{Pb(Mg1/3Nb2/3)O31-x−(PbTiO3x(マグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛:PMN−PT)や、{Pb(Zn1/3Nb2/3)O31-x−(PbTiO3x(亜鉛酸ニオブ酸チタン酸鉛:PZN−PT)に代表されるようなリラクサ系単結晶材料は、特に優れた圧電性を示す。例えば、特許文献1においては、PMN−PTをフラックス溶融により合成する方法が示されている。このような合成法によりバルク状単結晶体が得られ、1%を超える大きな歪量の材料が得られたことが報告されている。また、例えば、非特許文献2においては、PZN−PTでエンジニアード・ドメイン構造と呼ばれるドメイン制御を行うことで、自発分極方向の圧電定数d33の30倍以上(2500−2800pC/N)の圧電定数が得られることが報告されている。しかしながら、このようなバルク状の圧電体は上記のように切削、研磨等の技術によって微細成形する必要があり、より高精度な超小型圧電素子への適用は困難である。
そこで、このような圧電体を、スパッタリング法、化学気相合成法、ゾルゲル法、ガスデポジション法、パルスレーザーデポジション法等の薄膜法を用いて、膜として形成することが検討されている。しかしながら、現在のところ、上記のような圧電性の高い材料であっても、それを用いて薄膜成膜法で圧電体(圧電膜)を形成した場合、本来期待されるほど高い圧電性の実現には至っていない場合が多く、その差は非常に大きい。
なお、リラクサ系材料を、スパッタリング法、化学気相合成法、ゾルゲル法、ガスデポジション法、パルスレーザーでポジション法等の薄膜法を用いて、圧電膜を形成することが検討されている。例えば、非特許文献3においては、PLD法によりPMN-PT薄膜を成膜したことが報告されている。
更に、ドメインエンジニアリングと言われるドメイン制御のその他の方法として、電界に対し水平でないドメイン(例えば略垂直方向に分極を持つドメイン)の分極方向の回転に基づいて、材料が本来有する分極変位より大きな圧電変位を得る試みも研究されている。この分極方向の回転は、一般に90°ドメインスイッチングと呼ばれる。例えば、<100>配向の圧電膜において、[100]配向のドメインが膜厚方向への電界印加により[001]配向のドメインへとスイッチングする現象が存在する。しかし、このような圧電変位を発現させるには非常に高いエネルギーが必要であると同時に、電界印加によりすべての[100]配向のドメインが[001]配向へとスイッチングすることは困難であった。
非特許文献2には、更に、ドメイン制御を行うことで圧電性を向上させる一つの方向として、ドメインサイズを小さくすることが有効である旨の報告がある。ドメインエンジニアリングを用いることにより、電界印加に伴う結晶の相変態や、電界に対し水平でないドメイン(例えば略垂直方向に分極を持つドメイン)の分極方向の回転に基づいて、材料が本来有する分極変位より大きな圧電変位を得ることが出来る。しかし、このような圧電変位を発現させるには非常に高いエネルギーが必要である。このため、ドメインエンジニアリングを適用した圧電材料における圧電変位のエネルギーを低下させるには、結晶の相変態やドメインの回転が圧電材料中で誘発されるようなドメイン構造が重要である。
ところで、本発明者らは、圧電膜が双晶を持つことで圧電性が向上し、かつ、圧電膜と下部電極もしくは上部電極との密着性がよくなることを特許文献2において示している。我々はこの理由の一つの考察として、例えば、圧電膜が双晶を持つことにより、種々の製法で材料が作製される際に生じる内部応力を、双晶構造によって緩和できるのではないかと考えている。このためバルク材料を用いて得られた圧電体に近い圧電性が示され、かつ、圧電膜と下部電極もしくは上部電極との密着性が良い圧電素子が得られるのではないかと考えている。
特許3397538号明細書 特開2004−249729号公報 「セラミック誘電体工学」,第4版、1992年6月1日発行、学献社、p.333 セラミックス Vol40(8)2005 P.600 Applications of Ferroelectrics, 2002. ISAF 2002. Proceedings of the 13th IEEE International Symposium P133-136
本発明の目的は、上記問題点を解決し、大きな圧電性を有する圧電体と、これを用いた圧電体素子を提供することにある。本発明の更なる目的は、大きな圧電歪が主原因になる電極剥がれや、基板上に圧電体素子を直接形成する際の剥がれ等を回避できる好適な圧電体素子を提供することにある。本発明の更なる目的は、高い吐出性能を安定して得ることができ、圧電体素子等の、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子を構成する構造パターンの微細化が可能である液体吐出ヘッドおよびこれを有する液体吐出装置を提供することにある。
本発明の圧電体の一態様は、
少なくとも正方晶を有する<100>配向のエピタキシャル酸化物からなる圧電体において、
一般式ABO3で表されるペロブスカイト複合酸化物から成り、
互いに結晶方位のずれを有する[100]配向のC、D及びEのドメインを少なくとも有し、
Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度ずれが5°以下であり、
Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが5°以下であり、
Cドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0.3°以下であり、
Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0.3°以上であり、
Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上であり、
Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である、
ことを特徴とする圧電体である。
本発明の圧電体素子は、上記構成の圧電体と、該圧電体に接する一対の電極と、を有することを特徴とする圧電体素子である。
本発明の液体吐出ヘッドは、吐出口と、該吐出口に連通する液室と、該液室に対応して設けられた圧電体素子と、前記液室と前記圧電体素子との間に設けられた振動板とを有し、前記圧電体素子により生じる前記液室内の容積変化によって前記液室内の液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、前記圧電体素子が上記の圧電体素子であることを特徴とする液体吐出ヘッドである。
本発明の液体吐出装置は、上記構成の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出装置である。
ドメインエンジニアリングと言われるドメイン制御のその他の方法として、電界に対し水平でないドメイン(例えば略垂直方向に分極を持つドメイン)の分極方向の回転に基づいて、材料が本来有する分極変位より大きな圧電変位を得ることができる。この分極方向の回転は、一般に90°ドメインスイッチングと呼ばれる。しかし、このような圧電変位を発現させるには非常に高いエネルギーが必要であると同時に、電界印加によりすべての[100]配向のドメインが[001]配向へとスイッチングすることは困難であった。一般に90°ドメインスイッチングと呼ばれる現象において、より低い電界印加によりより多くの割合の[100]配向のドメインを[001]配向へとスイッチングさせることができる。つまりより大きな圧電変位が得られる。
一方、本発明の新規ドメイン構造を有する圧電体においては、数百kV/cm(膜厚数μmの圧電体に対し100V以下の印加電圧)という実用的な電界印加によりより多くの割合の[100]配向のドメインを[100]配向へとスイッチングさせることができる。つまりより大きな圧電変位が得られることを確認した。本発明の新規ドメイン構造を有することにより、新規ドメイン構造を有しない場合と比較して圧電性の大きな圧電体素子及びそれに用いる圧電体を提供することができる。更に、この圧電体素子を用いることで、均一で高い吐出性能を示し、更なる吐出圧発生素子構造パターンの微細化が可能な液体吐出ヘッドおよびこれを有する液体吐出装置を得ることが出来る。
(圧電体素子の構成)
本発明の圧電体素子の構成について以下説明する。本発明の圧電体素子は、本発明の圧電体と、該圧電体に接する一対の電極とを有する。図1に、本発明の圧電体素子の実施形態の一例の断面模式図を示す。圧電体素子10は、少なくとも、第1の電極膜6、本発明に係る圧電体7および第2の電極膜8を有する。図1に示した実施形態の圧電素子においては、圧電体素子10の断面形状は矩形で表示されているが、台形や逆台形であってもよい。圧電体素子10は基板5上に形成されるが、圧電体素子10を構成する第1の電極膜6および第2の電極膜8はそれぞれ下部電極、上部電極どちらとしても良い。この理由はデバイス化の際の製造方法によるものであり、どちらでも本発明の効果を得る事が出来る。また基板5と第1の電極膜6の間にバッファー層9があっても良い。圧電体素子10は、少なくとも基板5上又は基板5上に形成されたバッファー層9上に第1の電極膜6を形成し、次に圧電体7をその上に形成し、更に第2の電極膜8を形成することによって製造することができる。
(圧電体の構成)
圧電体7は、少なくとも正方晶を有する<100>配向のエピタキシャル酸化物からなり、この酸化物は一般式ABO3で表されるペロブスカイト複合酸化物である。これは、正方晶のペロブスカイト複合酸化物は分極方向が[001]であるのに対して、本発明の圧電体が少なくとも正方晶を有する<100>配向であることで、一般に90°ドメインスイッチングと呼ばれるドメインエンジニアリングを用いた圧電向上に適した構造になると考えられる為である。つまり、圧電体素子に電界を印加した際に、圧電体を構成するドメインの大部分の分極方向を膜厚方向にそろえることが可能になると考えられる。
本発明における<100>配向とは、膜厚方向に<100>単一の結晶方位をもち、かつ、膜面内方向に単一の結晶方位をもつことを指す。また、本発明におけるエピタキシャル膜とは、基板もしくは下層膜(例えば下電極膜)の結晶性を利用して、膜厚方向および膜面内方向に単一の結晶方位をもった膜のことを指す。つまり、面内方向がランダム配向ではないことで本発明の複雑な結晶構造が得られる。例えば、ペロブスカイト型構造のSRO(ルテニウム酸ストロンチウム)とPZTは格子定数が4Å程度と近い。そこで、下電極膜として<100>配向のSROを形成した上に、圧電体としてPZTやPTOを形成すると、成膜条件により<100>配向のPZTやPTOを形成することが可能になる。このように下層膜(例えば下電極膜)の結晶性を利用して、膜厚方向および膜面内方向に単一の結晶方位をもった膜がエピタキシャル膜である。本発明のエピタキシャル酸化物も上述した単一結晶方位を有するものである。
(圧電体の材料)
本発明における圧電体は、一般式ABO3で表わされるペロブスカイト複合酸化物から成る。材料としては、本発明で目的とする圧電体を構成できるものであれば良い。このような材料としては、例えば、PbTiO3(チタン酸鉛:PTO)に代表される強誘電性、焦電性、圧電性を示す強誘電材料がある。また、例えばPb(ZnxNb1-x)O3(亜鉛酸ニオブ酸鉛:PZN)に代表される、優れた圧電性を示すリラクサ系電歪材料がある。特に、これらの材料の中にはMPBと呼ばれる結晶相境界を持つ場合があり、一般的にMPB領域の圧電性は特に良好であることが知られている。このような材料としては、例えば、以下に示す式で表わされるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、亜鉛酸ニオブ酸チタン酸鉛(PZN−PT)、マグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)などの強誘電材料、リラクサ系電歪材料がある。
・PZT:Pb(ZrxTi1-x)O3
・PZN−PT:{Pb(Zn1/3Nb2/3)O31-x−(PbTiO3x
・PMN−PT:{Pb(Mg1/3Nb2/3)O31-x−(PbTiO3x
ここで、例えばチタン酸鉛をPbTiO3と表記しているが、各元素の組成は成膜における若干の組成ずれがあっても良い。例えばPb1.2TiO2.7のような組成ずれがある場合でも、圧電体が一般式ABO3で構成されるペロブスカイト複合酸化物から成るエピタキシャル膜であれば構わない。またXは1以下の0以上の数である。MPB領域は、例えばPZTの場合はXが0.4〜0.7、PZN−PTの場合はXが0.05〜0.3、PMN−PTの場合はXが0.2〜0.4の範囲に一般に存在する。さらに本発明における圧電体は上述の鉛系以外の材料でも良い。鉛系以外の材料としては、例えばBaTiO3(チタン酸バリウム:BTO)、LiNbO3(ニオブ酸リチウム:LNO)などがある。さらに、BiFeO3(鉄酸ビスマス)やBiCoO3(コバルト酸ビスマス)など、近年注目されている非鉛材料なども含まれる。また、例えばPMN−PTのZrがTiに代替されて含まれたPMN−PZTや、例えば上述の材料に微量の元素をドーピングした(Pb,La)(ZrxTi1-x)O3(PLZT)のような材料であっても良い。
圧電体としてのエピタキシャル酸化物の主成分はチタン酸鉛もしくはジルコン酸チタン酸鉛であることが好ましい。これは、一般式ABO3で構成されるペロブスカイト複合酸化物の中では、一般にPTOやPZTのような強誘電材料の方が、例えばPZN−PTのようなリラクサ系電歪材料より、正方晶格子の歪みが大きい為である。(ここで、格子の歪とは、結晶格子のa軸とc軸の比c/aのことである。)このため、90°ドメインスイッチングと呼ばれるドメインの回転を利用した大きな圧電変化を生み出しやすく、かつ、圧電体素子が作製される際に生じる内部応力の緩和が容易となる。例えば、PTOは正方晶のa軸とc軸の比c/aが1.06程度である。MPBと呼ばれる結晶相境界付近のPZTは正方晶のa軸とc軸の比c/aが1.03程度である。BaTiO3(チタン酸バリウム)は正方晶のa軸とc軸の比c/aが1.01程度である。さらに例えばBiCoO3(コバルト酸ビスマス)は正方晶のa軸とc軸の比c/aが1.25程度と大きいため、大変優れた圧電体である。
(ドメインの構造)
一般に、バルク体単結晶の圧電体の自発分極方向に電界を印加すると、高い圧電特性が得られると考えられている。これに対して、本発明の圧電体素子が優れた特徴を有するのは、90°ドメインスイッチングと呼ばれるドメインの回転を利用したドメインエンジニアリングを利用している為である。ドメインの回転を利用した圧電変位は結晶のa軸とc軸の長さの比c/a程度の変位を生じるため、自発分極方向に電界を印加するドメイン変位より理論的には10倍以上の圧電変位も期待できる。しかしながら、圧電変位のエネルギーは非常に高く、また、どの程度のドメインが回転に寄与するかなどの課題がある。尚、本発明におけるドメインとは圧電体中に存在する格子定数と結晶方位を同じくする微小な結晶領域のことを指す。本発明の圧電体の構造とは図2のようなイメージである。つまり、互いに結晶方位のずれを有する[100]配向のC、D及びEのドメインを少なくとも有する。更に、C、D及びEドメインに加えて、互いに結晶方位のずれを有する[001]配向のA及びBのドメインを少なくとも有することが好ましい。
ここで、2つのドメイン間の結晶方位の角度ずれは以下のとおりである。
・Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度ずれが5°以下である。
・Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが5°以下である。
・Cドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0.3°以下である。
・Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0.3°以上である。
・Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。
・Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。
更に、Aドメインの[001]方位とBドメインの[001]方位との角度ずれが5°以下であることが好ましい。
また、以下の(1)〜(3)の場合における「角度ずれ」は0°は含まない。
(1)Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度ずれ。
(2)Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれ。
(3)Aドメインの[001]方位とBドメインの[001]方位との角度ずれ。
これは、少なくとも上記ドメインは指定の方位において角度ずれを有している為であり、概ね0.4°以上の角度ずれを有していることが好ましい。
なお、ここでドメインの「A」及び「B」は2種のドメインを区別するための記号であり、ペロブスカイト複合酸化物の構成を示す一般式ABO3における「A」成分及び「B」成分を意味するものではない。
本発明の圧電体にはこのような複雑な構造が存在するが、各ドメインの関係について更に説明を加える。[100]配向のC、D及びEのドメインにおいて、おおよそ膜厚方向にその方位をもつ[100]方位の関係を見た場合、2つのドメイン間の結晶方位の角度ずれは以下のとおりである。
・Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれは0.3°以上5°以下である。
・Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度ずれは5°以下である。
・Cドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれは0.3°以下である。つまり、複雑な構造を有するものの、<100>軸は膜厚方向から5°程度しか傾かない為、ドメインエンジニアリングを発現させるに結晶方位の乱れという点で不足が無い。これは[001]配向のA及びBドメインにおいて、おおよそ膜厚方向にその方位をもつAドメインの[001]方位とBドメインの[001]方位との角度ずれが5°以下であることも同様である。さらに、[100]方位と垂直の関係にある[001]方位(およそ膜面内方向にその方位をもつ)を見た場合、2つのドメイン間の結晶方位の角度ずれは以下のとおりである。
・Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。
・Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。つまり、EドメインはC,Dドメインに対し、面内に若干の回転をもつ。
基板上での成膜においては、形成される膜が、その形成メカニズムに起因した基板からの応力を受ける。この応力により90°ドメイン構造を意図的に形成できるが、一方で、この応力がドメインの回転を妨げることになると考えられる。本発明の圧電体素子が高い圧電性を有する第一の理由は、本発明の圧電体のC、D及びEのドメインの[100]方位の角度ずれや[001]方位ドメインの回転を有することで、膜が基板から受ける応力をほどよく緩和できているためと考えられる。この応力緩和により、90°ドメインスイッチングを利用した圧電変位を引き起こすエネルギーが低下したためではないかと考えられる。
同時に、本発明の圧電体素子が優れた特徴を有するのは、結晶配向性をもった圧電体に複雑な構造が存在する為であると考えられる。前述の非特許文献2には、更に、ドメイン制御を行うことで圧電性を向上させる一つの方向として、ドメインサイズを小さくすることが有効である旨の報告がある。ドメインサイズが小さくなれば、ドメインが微小なゆらぎをもつことが可能になり、ドメインエンジニアリングによる圧電変位のエネルギーが低下する。特に、膜応力や格子欠陥の多い薄膜において、ドメインエンジニアリングを適用して大きな圧電変位を得るためには、ドメインをこのような微小な揺らぎをもつ状態に制御することが重要であると考えられる。つまり、本発明の圧電体素子が高い圧電性を有する第二の理由は、上述のような小さいドメインサイズを有する構造が、本発明の圧電体において実現できる為ではないかと考えられる。本発明の圧電体が有する複雑な構造とは、あるドメインに対して非常に小さな結晶方位のずれを有するドメインが複数存在する構造である。このドメインの存在により、90°ドメインスイッチングと呼ばれるドメインの回転が圧電体中で誘発していくことが可能になり、ドメインエンジニアリングによる圧電変位のエネルギーが低下し、高い圧電性を有することが可能になる。
本発明の圧電体は、A、B、C、D及びEドメインが正方晶であり、少なくとも前記B、C、D及びEドメインの格子定数が一致することが好ましい。さらに好ましくは前記B、C、D及びEドメインの格子定数が同組成のバルク体の格子定数と一致する場合である。圧電体がこのような構造を有する場合、膜の形成メカニズムに起因した基板からの応力はほぼ取り除かれた状態であると推察される。更に、本発明の圧電体は、BドメインとDドメインが双晶の鏡像関係を有し、前記双晶の双晶面が{110}であり、かつ、CドメインとEドメインが双晶の鏡像関係を有し、前記双晶の双晶面が{110}であることが好ましい。これも圧電体がこのような構造を有する場合、膜の形成メカニズムに起因した基板からの応力はほぼ取り除かれた状態であると推察されるからである。また更に、本発明の圧電体は、厚さ0.6μm以上の膜であることが好ましい。膜厚が0.6μm以上であれば、本発明の複雑な双晶構造を容易に得ることが出来る。材料や基板の種類にも依存するが、特に0.6μm未満の膜厚では、本発明の複雑な双晶構造を形成する前述のBドメインとDドメインとEドメインを得ることが難しい。
(双晶)
本発明の圧電体を構成するドメインが双晶を有するのは以下のような理由ではないかと考えられる。本発明の圧電体は、少なくともB、C、D及びEドメインの格子定数が一致し、かつ同組成のバルク体の格子定数と一致することが好ましい。これは少なくともB、C、D及びEドメインが、膜の形成メカニズムに起因した基板からの応力を受けていない状態であることを意味している。逆にいえば本発明の圧電体が上記の複雑な構造をとることで応力をほどよく緩和できていると考えられる。緩和するにはドメイン同士が若干のずれを有することが必要になるが、本発明の圧電体においては双晶欠陥により生じる格子のずれを利用した緩和が起こっていると考えられる。
ここで双晶面が{110}となる双晶の鏡像関係をもつドメイン同士は次のような関係を持つ。まず、正方晶であるBドメインとDドメインが双晶の鏡像関係を有し、双晶面が(101)である場合について説明する。BドメインとDドメインは図3のような関係になる。おおよそ膜厚方向にその方位をもつBドメインの[001]方位と、おおよそ膜厚方向にその方位をもつDドメインの[100]方位の関係を見た場合、これらの結晶方位のずれは次のとおりである。すなわち、Bドメインの[001]方位とDドメインの[100]方位は、Bドメイン及びDドメインの結晶格子のa軸長さとc軸長さとの正接の関係にある角度の2倍から90°を引いた程度の大きさのずれをもつ。
次に、正方晶であるCドメインとEドメインが双晶の鏡像関係を有し、双晶面が(101)である場合について説明する。CドメインとEドメインは図4のような関係になる。おおよそ膜面内方向にその方位をもつCドメインの[001]方位と、おおよそ膜面内方向にその方位をもつEドメインの[100]方位の関係を見た場合、これらの結晶方位のずれは次のとおりである。すなわち、Cドメインの[001]方位とEドメインの[100]方位は、Cドメイン及びEドメインの結晶格子のa軸長さとc軸長さとの正接の関係にある角度の2倍から90°を引いた程度の大きさのずれをもつ。ここで図3、図4中の矢印は[001]軸の方向である。
一般式ABO3で表わされるペロブスカイト複合酸化物、特に鉛系のペロブスカイト複合酸化物の正方晶のa軸長さとc軸長さの比は一般的に小さい。公知の材料として比較的a軸長さとc軸長さの比が大きいものはPTOであるが、PTOは正方晶のa軸とc軸の比c/aが1.06程度である。この値より前述のずれを求めるとおよそ3.5°程度となる。一方、非鉛系の圧電材料まで考えた場合、例えばBiCoO3(コバルト酸ビスマス)は正方晶のa軸とc軸の比c/aが1.25程度と大きい。このためずれは10°を超える値になることが予想される。また、BドメインとDドメイン、およびCドメインとEドメインが上述のような双晶の鏡像関係をもつことにより、以下の関係を満たすことをより容易にしていると思われる。
・Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0.3°以下である。
・Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。
ここで、以下の(イ)及び(ロ)の点は上述の双晶の鏡像関係に起因している為、上限としてはPTOでは5°以下が好ましく、もっともずれが大きいと予想されるBiCoO3においても15°以下が好ましく、5°以下が一層好ましいといえる。
(イ)Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。
(ロ)Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.0°以上である。
(体積分率について)
本発明のA、B、C、D及びEドメイン全体におけるA及びBドメインの割合は、基板の熱膨張係数αsub、エピタキシャル酸化物膜の熱膨張係数αfilm、成膜温度Ts、エピタキシャル酸化物膜のキュリー温度Tcにより決まっている。更に、σ=(Ts−Tc)×(αfilm−αsub)とおいた場合、Vcはσの一次の関数であらわされる。これにより、Vcはエピタキシャル酸化物膜が受ける基板からの熱応力により制御できることが分かる。
(結晶配向の確認方法)
本発明における<100>配向は、X線回折を用いて簡単に特定することができる。例えば、正方晶<100>配向のPZTの場合、X線回折の2θ/θ測定での圧電体に起因するピークは{100}、{200}等の{L00}面(L=1、2、3、・・・、n:nは整数)のピークのみが検出される。これに加えて、{110}非対称面の極点測定をした際に、図5のように矢印で示した圧電体の膜厚方向からの傾きが約45°に該当する円周上の90°毎の位置に各結晶の{110}非対称面の極点が4回対称のスポット状のパターンとして測定される。この場合の「膜厚方向」とは、圧電体の結晶の{L00}面の法線方向である。
(結晶配向の定義)
ここで、<100>とは[100]や[010]や[001]等で一般に表される計6方位を総称した表現である。例えば[100]と[001]は結晶系が立方晶の場合は同意であるが、正方晶や菱面体晶の場合は区別しなければならない。しかし、ペロブスカイト複合酸化物の結晶は、正方晶や菱面体晶であっても立方晶に近い格子定数を持つ。したがって、本発明においては正方晶の[100]と[001]や菱面体晶の[111]と
Figure 0005127268
も<100>や<111>で総称する。
なお、
Figure 0005127268
は、以下「1バー」と表記する。
本発明においては例えば正方晶のPZTにおいて、分極方向である[001]と非分極方向である[100]や[010]が同時に存在していても、<100>単一の結晶方位をもつ<100>配向である。また、本発明における圧電体には、例えば正方晶に加えて、菱面体晶と単斜晶などの複数結晶相が混在(混相)する場合や、双晶等に起因する結晶が混在する場合や、転位や欠陥等がある圧電体も含まれ、これらの場合も、広義に<100>配向とみなす。これは、このような相や双晶が混在する場合も、<100>軸は膜厚方向から5°程度しか傾かない為、ドメインエンジニアリングを発現させるに不足が無い為である。つまり、本発明において<100>配向とは、圧電体が膜厚方向に<100>単一の結晶方位をもつことを指すが、数度程度の傾きの範囲を持つもの、例えば、<100>結晶軸が膜厚方向から5°程度傾いていても<100>配向という。さらに、本発明において{110}とは(110)や(101)や(011)等で一般に表される計6面を総称した表現であり、その詳細は前述した方位に関する取り扱いと同様である。
(結晶相の確認方法)
尚、圧電体の結晶相はX線回折の逆格子空間マッピングによって各格子定数を特定することによって判断できる。例えば、PZTの<100>配向の圧電体においては以下の方法が利用される。
(1)おおよそ膜厚方向に[001]方位をもつ正方晶のBドメインの場合は、逆格子空間マッピングによる該ドメインの(004)逆格子点と、原点である(000)逆格子点との距離(スカラー成分)から該ドメインの単位格子のc軸長を求めることができる。
(2)同様に該ドメインの(004)逆格子点と、(204)逆格子点との距離から該ドメインの単位格子のa軸長を求めることができる。
(3)さらに該ドメインの(004)逆格子点と、原点である(000)逆格子点との方位(ベクトル成分)と、該ドメインの(004)逆格子点と、(204)逆格子点との方位からa軸とc軸の内角から該ドメインの単位格子のα角を求めることができる。
以上、このような測定をおこなうことで、Bドメインの結晶系と格子定数を簡単に特定することができる。
(ドメインの確認方法)
本発明におけるドメインの確認を行う場合は角度分解能の高い測定が必要である。そこで、本発明における各ドメインを区別するためには、X線回折を用いることが好ましい。X線回折の測定装置としては、多軸ゴニオメーターをもつX線回折装置を用い、回折X線の検出器の手前に、縦発散・横発散共に0.01Rad.(ラジアン)以下のソーラースリットを挿入することが好ましい。なお、多軸ゴニオメーターをもつX線回折装置としては、例えばパナリティカル社製X線回折装置X'Pert MRD(商品名)や、リガク社製X線回折装置ATX−E(商品名)のような装置が好適に利用できる。さらに、一般に多軸ゴニオメーターにおいては、極点測定を行う際にスキャンする回転角(一般にφ軸)のスキャン精度は2θ/θ測定のスキャン精度(一般に2θ軸)より劣る場合が多い。そこで、本発明のように数度程度の範囲を極点測定する場合には、あおり角(一般にω軸とψ軸)をスキャンすることで角度分解能の高い極点測定を行うことが出来る。尚、上述のX線回折の他にも、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察等によっても確認することが出来る。
本発明の圧電体が図6に示すような構造をとる場合のドメインの確認方法について説明する。図7および図8は本発明の圧電体が以下の条件を満たす場合のX線回折結果の1例である。ここで、図7は膜厚が0.5μm、図8は膜厚が2.0μmの圧電体の圧電体の膜厚方向からの傾きが5°程度の範囲の極点測定の結果である。
(1)圧電体はPTOであり、<100>配向のエピタキシャル膜である。
(2)正方晶のA,B,C,D,Eドメインを有し、AドメインおよびBドメインが[001]配向であり、CドメインおよびDドメインおよびDドメインが[100]配向である。
(3)B,C,D,Eドメインの格子定数が一致する
(4)BドメインとDドメインが少なくとも双晶の鏡像関係を有する。
(5)前記双晶の双晶面が(101)である。
(6)CドメインとEドメインが少なくとも双晶の鏡像関係を有する。
(7)前記双晶の双晶面が(101)である。
図6で示す構造において、例えば膜厚が2.0μmのPTOのBドメインはX線回折において2θでおよそ43.5°付近に回折角が得られる(X線源としてCuのKα線を用いた場合)。そこで、2θを43.5°付近の回折角に固定して、圧電体の膜厚方向からの傾きが5°の範囲の極点測定を行うと図8の(002)の極点図で示すような回折点が得られる。ここで、図7、図8の各極点図から観察されるドメインの回折点は複数存在しても良い。これは本発明の圧電体が膜面内方向に4回対称の対象性を有することに起因している。
また、例えばドメインの半価幅(結晶方位のゆらぎ)が大きい場合や、AドメインとBドメインの結晶方位のずれが非常に小さい場合には、AドメインとBドメインの回折点が重なる場合がある(膜厚が2.0μmの圧電体のX線回折の結果には膜厚が0.6μm以下の圧電体に存在しているドメインの情報も含んでいる為)。このように回折点が重なる場合でも、それぞれの回折点のピークトップが確認できる範囲(ピーク分離できる範囲)であれば、それぞれドメインとして区別してよい。
また、例えばインプレーン(002)やインプレーン(002)の極点測定とは、X線回折において2θを該当するドメインの回折角に固定して、圧電体の膜面内方向からの傾きが5°の範囲の極点測定を行った結果である。例えばパナリティカル社製X線回折装置X'Pert MRD(商品名)においてはψ軸を90°傾けた状態で、(200)や(002)の極点測定と同様の測定を行うことで測定できる。
(双晶の確認方法)
尚、圧電体の双晶はX線回折の極点測定によって簡単に特定することができる。例えば、図6で示す構造のPTO圧電体において、BドメインとDドメインが双晶の鏡像関係を有している場合、Bドメインの[001]方位とDドメインの[100]方位のずれは前述したとおりである。すなわち、Bドメイン及びDドメインの結晶格子のa軸長さとc軸長さとの正接の関係にある角度の2倍から90°を引いた程度の大きさのずれをもつ。ところで図8の(200)および(002)極点図を抜粋した図9において、黒丸で囲んだBドメインおよびDドメインにおいて、Bドメインの[001]方位とDドメインの[100]方位はおよそ3.6度である。ここで、PTOの格子定数はバルク体でおよそa=3.90、c=4.15であるが、このa軸長さとc軸長さとの正接の関係にある角度の2倍から90°を引いた程度の大きさは3.6°である。つまり黒丸で囲んだBドメインおよびDドメインは双晶面が(101)である双晶の鏡像関係を有していることが分かる。
同様に例えば、図6で示す構造のPTO圧電体において、CドメインとEドメインが双晶の鏡像関係を有している場合、Cドメインの[001]方位とEドメインの[100]方位は、前述したとおりである。すなわち、Bドメイン及びDドメインの結晶格子のa軸長さとc軸長さとの正接の関係にある角度の2倍から90°を引いた程度の大きさのずれをもつ。ところで図8のインプレーン(200)およびインプレーン(002)極点図を抜粋した図10において、黒丸で囲んだCドメインおよびEドメインにおいて、Cドメインの[001]方位とEドメインの[100]方位はおよそ3.6度である。ここで、PTOの格子定数はバルク体でおよそa=3.90、c=4.15であるが、このa軸長さとc軸長さとの正接の関係にある角度の2倍から90°を引いた程度の大きさは3.6°である。つまり黒丸で囲んだCドメインおよびEドメインは双晶面が(101)である双晶の鏡像関係を有していることが分かる。
(圧電体の形成方法)
本発明における圧電体として利用し得るエピタキシャル酸化物を膜として形成する際の形成方法は特に限定されない。10μm以下の薄膜では通常、ゾルゲル法、水熱合成法、ガスデポジション法、電気泳動法等の薄膜形成法を用いることができる。さらにはスパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)、イオンビームデポジション法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法等の薄膜形成法も用いることができる。これらの薄膜形成法では、基板や下部電極からのエピタキシャル成長を用いた圧電体の形成が可能となる。上記の各種方法のなかでも、成膜方法としては、特に、図11に示す装置を用いるパルスMOCVD法により成膜することにより得る事が好ましい。
パルスMOCVD法では、配管内で単結晶成膜を阻害する酸化反応が進行しないよう出発原料供給路の温度制御を行うことが好ましい。さらに、パルスMOCVD法においては、不活性キャリアガス・出発原料混合ガスを間欠的に供給することが好ましい。この際、混合ガスの間欠時間を制御することで、混合ガスの基板上での十分な反応時間が得られ、膜のダメージ等を抑制することが出来る。その結果として、圧電体中の酸素欠損、鉛欠損、結晶格子を構成する各構成元素の格子サイト欠陥などにより生じる欠陥などを抑制することが出来る。特に本発明の結晶構造を得やすい方法として、酸化物膜が欠陥なしで出来るように酸素分圧を高くすることが好ましい。具体的には出発原料混合ガスおよびガス不活性キャリアガスと酸素の流量は同程度であることが好ましい。また、出発原料の原料ボトルから出発原料混合ガスの搬送ラインの温度を正確にコントロールすることも重要である。
MOCVD法で用いる原料としては、アルキル金属化合物、アルコキシル金属化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエニル化合物、ハロゲン化合物、有機酸化合物等を用いる事が出来る。
圧電体としてPZTを成膜する場合、原料としては次に記載の物が好ましく利用される{なお、(CH33CCO}2CHの基はthdで表す}。
まず、Pb原料としては、Pb(C254、Pb(thd)2、Pb(thd)(OC252、(C253PbOCH2C(CH33、Pb(C253(OC49−t)、Pb(C654、PbCl2等を挙げることが出来る。Zr原料としては、Zr(OC49−t)4、Zr(i−C374、Zr(OC2254、Zr(OCH34,Zr(OC511−n)4等を挙げることが出来る。Ti原料としては、Ti(OC37−i)4、Ti(thd)2(OC37−i)2、Ti(OC254、TiCl4、Ti(OCH34、Ti(OC5114等を挙げることが出来る。また、PZTのPbの一部をLaなどで置換する事を行っても良いが、その場合の原料としては、La(thd)3、La(C2324、LaCl3等を用いる。また、PZT組成としてPbは、Zr,Ti等のBサイト元素に対して過剰量あっても良い。
キャリアガスは、不活性ガスが選択され、例えば、Ar、N2、He等が好ましい。また、これらの混合系でも良い。キャリアガスの流量は、10cm3/分から1000cm3/分の範囲が好ましい。
(電極膜)
本発明の圧電体素子の第1の電極(電極膜)又は第2の電極(電極膜)は、前述の圧電体と良好な密着性を有し、かつ導電性の高い材料が好ましい。すなわち、上部電極膜又は下部電極膜の比抵抗を10-7〜10-2Ω・cmとすることのできる材料からなることが好ましい。このような材料は一般的に金属であることが多いが、例えば、Au、Ag、CuやRu、Eh、Pd、Os、Ir、PtなどのPt族の金属を電極材料として用いることが好ましい。また上記材料を含む銀ペーストやはんだなどの合金材料も高い導電性を有し、好ましく用いることができる。また、例えばIrO(酸化イリジウム)、SRO(ルテニウム酸ストロンチウム)、ITO(導電性酸化スズ)、BPO(鉛酸バリウム)などの導電性酸化物材料も電極材料として好ましい。また、電極膜は1層構成でもよく、多層構成でもよい。例えば基板との密着性を上げる為Pt/Tiのような構成としても良いし、基板やバッファー層からエピタキシャル成長をするために、SRO/LNO(ニッケル酸ランタン)のような構成としても良い。
尚、本発明の圧電体は好ましくはエピタキシャル酸化物膜からなるため、少なくとも第1の電極も単結晶体やエピタキシャル膜であることが好ましい。本発明の圧電体は一般式ABO3で構成されるペロブスカイト複合酸化物から成るため、その格子定数はおよそ4Å程度である。そこで、電極材料は4Å程度の格子定数をとれる材料が好ましい。例えば上記材料の中ではPt族金属、SRO、BPOなどが特に好ましい。さらに、第1の電極膜が少なくとも<100>配向したペロブスカイト型構造の酸化物電極膜を含む場合は、<100>配向のエピタキシャル酸化物からなる圧電体を容易に作製することができる。特にSROは格子定数が4Å程度であり、また膜の単結晶化も容易であるため、より容易にエピタキシャル圧電体を作製することができる。
また、電極膜の膜厚は100nmから1000nm程度とすることが好ましく、500nm以下とすることがさらに好ましい。電極膜の膜厚を100nm以上とすると電極膜の抵抗が充分に小さくなり、1000nm以下とすると圧電体素子の圧電性を阻害する虞もなく好ましい。
電極膜の形成方法は特に限定されないが、1000nm以下の電極膜は、通常、ゾルゲル法、水熱合成法、ガスデポジション法、電気泳動法等の薄膜形成法を用いて形成することができる。さらにはスパッタリング法、CVD法、MOCVD法、イオンビームデポジション法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法等の薄膜形成法を用いて形成することができる。これらの薄膜形成法では、基板やバッファー層からのエピタキシャル成長を用いた圧電体の形成が可能となるため、エピタキシャル圧電体の形成が容易になる。
(液体吐出ヘッド及び液体吐出装置)
次に、本発明の液体吐出ヘッドについて説明する。本発明の液体吐出ヘッドは、吐出口と、吐出口に連通する個別液室と、個別液室の一部を構成する振動板と、個別液室に対応して、その外部に設けられた振動板に振動を付与するための圧電素子とを有する。この液体吐出ヘッドでは、振動板により生じる個別液室内の体積変化によって個別液室内の液体が吐出口から吐出される。そして、この液体吐出ヘッドは、前記圧電素子として上記構成のエピタキシャル酸化物を用いた圧電体素子を用いたことを特徴とする。
本発明にかかる上記構成のエピタキシャル酸化物を有する圧電体素子を用いることで、均一で高い吐出性能を示し、圧電体素子を含む吐出圧発生素子構造パターンの微細化を行うことが可能な液体吐出ヘッドを容易に得ることが出来る。本発明の液体吐出ヘッドは、インクジェットプリンタやファクシミリ、複合機、複写機などの画像形成装置、あるいは、インク以外の液体を吐出する産業用吐出装置に使用されても良い。
本発明の液体吐出ヘッドを、図13を参照しながら説明する。図13は本発明の液体吐出ヘッドの実施形態の一例を示す模式図である。図13に示した実施形態の液体吐出ヘッドは、吐出口11、吐出口11と個別液室13を連通する連通孔12、個別液室13に液を供給する共通液室14を備えており、この連通した経路に沿って液体が吐出口11に供給される。個別液室13の一部は振動板15で構成されている。振動板15に振動を付与するための圧電体素子10は、個別液室13の外部に設けられている。圧電体素子10が駆動されると、振動板15は圧電体素子10によって振動を付与され個別液室13内の体積変化を引き起こし、これによって個別液室13内の液体が吐出口から吐出される。圧電体素子10は、後述の図14に示した実施形態においては、矩形の形をしているが、この形状は楕円形、円形、平行四辺形等の形状としても良い。
図13に示した液体吐出ヘッドの幅方向の断面模式図を図14に示す。図14を参照しながら、本発明の液体吐出ヘッドを構成する圧電体素子10を更に詳細に説明する。圧電体素子10の断面形状は矩形で表示されているが、台形や逆台形でもよい。また、図14中では第1の電極膜6が下部電極膜16、第2の電極膜8が上部電極膜18に相当するが、本発明の圧電体素子10を構成する第1の電極膜6および第2の電極膜8はそれぞれ下部電極膜16、上部電極膜18のどちらになっても良い。これはデバイス化時の製造方法によるものであり、どちらでも本発明の効果を得る事が出来る。また振動板15は本発明の圧電体素子10を構成する基板5から形成したものであってもよい。また振動板15と下部電極膜16の間にバッファー層19があっても良い。
図15および図16は、図13に示した液体吐出ヘッドを上面側(吐出口11側)から見たときの模式図である。破線で示された領域13は、圧力が加わる個別液室13を表す。個別液室13上に圧電体素子10が適宜パターニングされて形成される。例えば、図15において、下部電極膜16は圧電体7が存在しない部分まで引き出されており、上部電極膜18(不図示)は下部電極膜16と反対側に引き出され駆動源につながれている。図15および図16では下部電極膜16はパターニングされた状態を示しているが、図14に示したように圧電体7がない部分にまで存在するものであっても良い。圧電体7、下部電極膜16、上部電極膜18は圧電体素子10を駆動する上で、駆動回路と圧電体素子10間にショート、断線等の支障がなければ目的にあわせて最適にパターニングすることができる。また、個別液室13の形状が、平行四辺形に図示されているのは、基板としてSi(110)基板を用い、アルカリによるウエットエッチングを行って個別液室が作成された場合には、このような形状になるためである。個別液室13の形状は、これ以外に長方形であっても良いし、正方形であっても良い。一般に、個別液室13は、振動板15上に一定のピッチ数で複数個作成されるが、図16で示されるように、個別液室13を千鳥配列の配置としてもよいし、目的によっては1個であっても良い。
振動板15の厚みは、通常0.5〜10μmであり、好ましくは1.0〜6.0μmである。この厚みには、上記バッファー層19がある場合はバッファー層の厚みも含まれる。また、バッファー層以外の複数の層が形成されていても良い。例えば振動板と個別液室を同じ基板から形成する場合に必要なエッチストップ層などが含まれていても良い。個別液室13の幅Wa(図15参照)は、通常30〜180μmである。長さWb(図15参照)は、吐出液滴量にもよるが、通常0.3〜6.0mmである。吐出口11の形は、通常、円形又は星型であり、径は、通常7〜30μmとすることが好ましい。吐出口11の断面形状は、連通孔12方向に拡大されたテーパー形状を有するのが好ましい。連通孔12の長さは、通常0.05mmから0.5mmが好ましい。連通孔12の長さを0.5mm以下とすると、液滴の吐出スピードが充分大きくなる。また、0.05mm以上とすると各吐出口から吐出される液滴の吐出スピードのばらつきが小さくなり好ましい。また、本発明の液体吐出ヘッドを構成する振動板、個別液室、共通液室、連通孔等を形成する部材は、同じ材料であっても良いし、それぞれ異なっても良い。例えばSi等であれば、リソグラフィ法とエッチング法を用いることで精度良く加工することができる。また、異なる場合に選択される部材としては、それぞれの部材の熱膨張係数の差が1×10-8/℃から1×10-6/℃である材料が好ましい。例えばSi基板に対してはSUS基板、Ni基板等を選択することが好ましい。
本発明の圧電体は、少なくとも正方晶を有する<100>配向のエピタキシャル膜として得ることができる。この圧電体の膜面内方向の結晶方位は、圧電体素子の長手方向に<100>の方位を持つことが好ましい。なお、この長手方向は、図15のWbの方向である。
次に、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、少なくとも、次の工程を有する。
(1)吐出口を形成する工程。
(2)吐出口と個別液室を連通する連通孔を形成する工程。
(3)個別液室を形成する工程。
(4)個別液室に連通する共通液室を形成する工程。
(5)個別液室に振動を付与する振動板を形成する工程。
(6)個別液室の外部に設けられた振動板に振動を付与するための本発明の圧電体素子を製造する工程。
具体的には、例えば、本発明の液体吐出ヘッドを製造する第一の方法として、次に述べる方法を挙げることができる。まず、前述の(6)の工程を適用して圧電体素子10を形成した基板に(3)の工程を適用して個別液室の一部および振動板を形成する。別途(2)、(4)の工程を適用して連通孔と共通液室を形成した基体および(1)の工程を適用して吐出口を有する基体を作製する。次に、上記基板およびこれらの基体を積層して一体化して液体吐出ヘッドを製造する。
また、本発明の液体吐出ヘッドを製造する第二の方法の方法として、次に述べる方法を挙げることができる。まず、別途、少なくとも、(3)の工程を適用して個別液室が形成される基体もしくは個別液室が形成された基体を作製する。次に、これに、(6)の工程を適用して圧電体素子が形成された基板もしくは(5)と(6)の工程により振動板と圧電体素子を形成した基板から圧電体素子又は振動板と圧電体素子を転写する。次に、圧電体素子又は振動板と圧電体素子が転写された基体の少なくとも圧電体素子等と対向する側の基体部分を(2)の工程を適用して加工して個別液室を形成する。さらに上記第一の方法と同様にして、連通孔と共通液室を形成した基体、吐出口を形成した基体を作製し、これらの基体を積層して一体化して液体吐出ヘッドを製造する。
第一の方法としては、図17に示したように、まず、圧電体素子の製造方法と同様にして基板5上に圧電体素子10を設ける。次に、少なくとも、圧電体素子10をパターニングした状態で基板5の一部を除去して、個別液室13の一部を形成すると共に振動板15を形成する。別途、共通液室14および連通孔12を有する基体を作製し、さらに吐出口11を形成した基体を作製する。さらに、これらを積層して一体化して液体吐出ヘッドを形成する製造方法を挙げることができる。基板5の一部を除去する方法としては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法、又はサンドミル法等の方法を挙げる事が出来る。基板5の一部をこのような方法によって除去することで振動板15と個別液室13の少なくとも一部を形成することができる。
第二の方法として、例えば、図18に示したように、まず、圧電体素子の製造方法と同様にして基板5上に圧電体素子10を設ける。次に、圧電体素子10がパターニングされない状態で振動板15を圧電体素子上に成膜した基板を作製する。さらに、個別液室13を設けた基体、連通孔12および共通液室14を設けた基体および吐出口11を設けた基体等を作製し、これらを積層した後に、上記基板から振動板、圧電体素子等を転写する製造方法を挙げることができる。
又、図19に示したように、まず、基板5上に圧電体素子10を形成しこれをパターニングして圧電体素子を形成する。別途、振動板15を基体上に設けさらに個別液室13の一部が設けられた基体、共通液室14および連通孔12が設けられた基体、吐出口11を形成した基体を作製する。さらに、これらを積層し、これに前記基板から圧電体素子10を転写して液体吐出ヘッドを形成する製造方法を挙げることができる。
転写時の接合方法としては無機接着剤又は有機接着剤を用いる方法でも良いが、無機材料による金属接合がより好ましい。金属接合に用いられる材料としては、In、Au、Cu、Ni、Pb、Ti、Cr、Pd等を挙げることができる。これらを用いると、300℃以下の低温で接合出来、基板との熱膨張係数の差が小さくなるため、長尺化された場合に圧電体素子の反り等による問題が回避されるとともに圧電体素子に対する損傷も少ない。
第一の方法における連通孔12や共通液室14、および第二の方法における個別液室13や連通孔12や共通液室14は、例えば、形成部材(基体)を加工して形成することができる。この加工には、形成部材(基体)をリソグラフィによりパターニングする工程とエッチングにより部材の一部を除去する工程を有する方法が利用できる。例えば、第二の方法の場合、図20で示されるa)からe)の工程により、個別液室13、連通孔12、共通液室14が形成される。a)は個別液室13用のマスクの形成工程を示し、b)は上部からエッチング等により個別液室13が加工される工程(斜線部は、加工部を意味する)を示す。また、c)は個別液室13の形成に用いたマスクの除去および連通孔12、共通液室14用のマスクの形成工程を示し、d)は下部からエッチング等により連通孔12および共通液室14を加工する工程を示す。さらにe)は連通孔12および共通液室14の形成に用いたマスクを除去し、個別液室13、連通孔12および共通液室14が形成された状態を模式的に示す。吐出口11は、基体17をエッチング加工、機械加工、レーザー加工等することで形成される。f)はe)の後に、吐出口11が形成された基体17を個別液室13、連通孔12および共通液室14が形成された基体に接合した状態を示す。吐出口を設けた基体17の表面は、撥水処理がされている事が好ましい。各基体の接合方法としては転写時の接合方法と同様であるが、その他、陽極酸化接合であってもよい。
第二の方法において、基板5上の圧電体素子10を転写する別の基体は、図20のe)の状態かf)の状態としたものを用いることが好ましい。ここで、基板5上の圧電体素子上に振動板を形成している場合は、図20のe)又はf)の状態の個別液室13上に直接転写する。また、基板5上の圧電体素子上に振動板を形成していない場合は、図20のe)又はf)の状態の個別液室13の孔を樹脂で埋めて振動板を成膜し、その後エッチングによりこの樹脂を除去して振動板を形成した後に転写する。この際、振動板はスパッタリング法、CVD法等の薄膜形成法を用いて形成することが好ましい。また、圧電体素子10のパターン形成工程は転写前後どちらであっても良い。
次に、本発明の液体吐出装置について説明する。本発明の液体吐出装置は、上記本発明の液体吐出ヘッドを有するものである。
本発明の液体吐出装置の一例として、図24および図25に示すインクジェット記録装置を挙げることができる。図24に示す液体吐出装置(インクジェット記録装置)81の外装82〜85及び87を外した状態を図25に示す。インクジェット記録装置81は、記録媒体としての記録紙を装置本体96内へ自動給送する自動給送部97を有する。更に、自動給送部97から送られる記録紙を所定の記録位置へ導き、記録位置から排出口98へ導く搬送部99と、記録位置に搬送された記録紙に記録を行う記録部91と、記録部91に対する回復処理を行う回復部90とを有する。記録部91には、本発明の液体吐出ヘッドを収納し、レール上を往復移送されるキャリッジ92が備えられる。
このようなインクジェット記録装置において、コンピューターから送出される電気信号によりキャリッジ92がレール上を移送され、圧電体を挟持する電極に駆動電圧が印加されると圧電体が変位する。この圧電体の変位により、図13に示す振動板15を介して各圧電室を加圧し、インクを吐出口11から吐出させて、印字を行う。
本発明の液体吐出装置においては、均一に高速度で液体を吐出させることができ、装置の小型化を図ることができる。
上記例は、プリンターとして例示したが、本発明の液体吐出装置は、ファクシミリや複合機、複写機などのインクジェット記録装置の他、産業用液体吐出装置として使用することができる。
(圧電特性の評価)
本発明の圧電体素子の圧電特性評価はユニモルフ型カンチレバー方式を用いたd31測定法によりおこなった。測定方法・構成概略を図21、図22及び図23に示す。基板5上に下部電極膜16、圧電体7、上部電極膜18の順で構成された圧電体素子10は、クランプ冶具502により片側が固定されたユニモルフ型カンチレバーの構成となっている。クランプ冶具502の上側部分502−aは、導電性材料で構成されており、圧電体7の下部電極膜16と電気的に接触されており、交流電源503の出力端子の一方(不図示)に電気ケーブル504−aに繋がっている。交流電源503の出力端子のもう一方(不図示)は電気ケーブル504−bを通じ上部電極膜18に繋がっており、圧電体7に交流電圧を印加できる構成となっている。
交流電源503によって供給された電界によって、圧電体素子10は伸縮する。それに伴って、基板5が歪み、ユニモルフ型カンチレバーはクランプ冶具502によって固定された端の部分を支点として上下振動する。このとき圧電体素子10のクランプされていない端部の振動をレーザードップラー速度計(LDV)505でモニターし、入力電界に対するユニモルフ型カンチレバーの変位量を計測できる構成となっている。
このときの、入力電圧Vに対するユニモルフ型カンチレバーの変位量には、近似的に式1の関係にある。(J.G.Smith,W.Choi,The constituent equations of piezoelectric heterogeneous bimorph, IEEE trans.Ultrason.Ferro.Freq.Control 38 (1991) 256-270:非特許文献4参照)
式1中には、下部電極膜、上部電極膜、その他バッファー層などの物性値項が入っていないが、基板厚さhsがそれらの厚さに対して、充分薄い時それらの層の物性値・膜厚は無視でき、式1は実用上充分な近似式となっている。
Figure 0005127268
この式1から、ユニモルフ型カンチレバーの入力電界に対する変位量を測定することで圧電体素子のd31を決定することができる。
以下、本発明の圧電体、圧電体素子、圧電体素子を用いた液体吐出ヘッドについて実施
例を挙げて説明する。
(実施例1)
実施例1の圧電体の製作手順は以下の通りである。
SrTiO3{100}基板上にスパッタリング法でSrRuO3(SRO)膜を基板温度600℃で200nm成膜し、SRO下部電極膜を有する基板を得た。次に、この基板上に圧電体のPTOを、パルスMOCVD法を用いて成膜した。成膜方法は以下に説明する。
図11に示した装置で、基板ホルダー上の上記基板を2.0rpmで回転させながら、基板を600℃に加熱した。原料ガスはPbをPb(thd)2、TiをTi(OC37−i)4とした。Pb、Tiの原料ガスの流量はそれぞれ20cm3/分、35cm3/分、とした。不活性ガスはN2とし、パルスMOCVDにおけるガスの供給時間の流量は45cm3/分、原料無供給の時間の流量は100cm3/分とした。また、酸素流量は100cm3/分とし、出発原料混合ガスおよび不活性ガス流量と同じとした。ガスの搬送ラインの温度は図11に示すT1、T2、T5〜T7の位置においてそれぞれ40℃、150℃、142℃、180℃、200℃で正確に調整した。原料ガスのパルス間隔は上記原料ガスの供給時間10秒にたいして、5秒間原料無供給の時間を設け、これを繰り返し、膜厚2.0μmのペロブスカイトPTOエピタキシャル膜を成膜した。成膜ガス圧は5Torrとした。原料ガスの供給前に、原料のバブリングを70分間行った。
次に、実施例1の圧電体の組成および結晶構造の解析を行った。PTOの元素比は誘導結合プラズマ発光分析装置による組成分析(ICP組成分析)の結果、Pb/Tiは1.0であった。また、X線回折の2θ/θ測定の結果、PTOのペロブスカイト構造の{00L}面(L=1、2、3、・・・、n:nは整数)に起因する反射ピークのみが検出され、非対称面{202}の極点測定を行ったところ、4回対称で反射ピークが現れた。この結果、圧電体は<100>配向のPTOペロブスカイト型構造のエピタキシャル膜であることを確認した。更に、X線回折の逆格子測定により、PTOは各ドメイン全て正方晶であり、a=3.90、c=4.15であることを確認した。また、同様にX線回折によりPZTの(002)、(200)、インプレーン(002)、インプレーン(200)の極点測定を行った(図7、図8)。測定の結果、図に示すようなAドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン、Eドメインが観察された。
ここで、各ドメインには以下のような関係であった。
Aドメインの[001]方位とBドメインの[001]方位との角度ずれは0.7°であった。
Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度ずれは0.7°であった。
Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれは0.7°であった。
Cドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0°であった。
Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが3.6°であった。
Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが3.0°であった。
また、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン、Eドメインに占めるA及びBドメインの割合は60%であった。
さらに圧電体上に電極膜としてTi、Ptの順でスパッタリング法によりそれぞれ4nm、150nm成膜して、実施例1の圧電体素子を作製した。
(実施例2)
実施例2の圧電体の製作手順は以下の通りである。
実施例1で用いた基板と同様の、SRO下電極のSrTiO3基板を用いた。 次に、この基板上に圧電体のPZTをパルスMOCVD法を用いて成膜した。成膜方法は以下に説明する。
実施例1と同様に、図11に示した装置で、基板ホルダー上の上記基板を2.0rpmで回転させながら、基板を600℃に加熱した。原料ガスはPbをPb(thd)2、ZrをZr(OC49−t)4、TiをTi(OC37−i)4とした。Pb、Zr、Tiの原料ガスの流量はそれぞれ50cm3/分、70cm3/分、35cm3/分とした。不活性ガスはN2とし、パルスMOCVDにおけるガスの供給時間の流量は45cm3/分、原料無供給の時間の流量は200cm3/分とした。また、酸素流量は200cm3/分とし、出発原料混合ガスおよび不活性ガス流量と同じとした。ガスの搬送ラインの温度は図11に示すT1〜T7の位置においてそれぞれ40℃、150℃、36℃、150℃、142℃、180℃、200℃で正確に調整した。原料ガスのパルス間隔は上記原料ガスの供給時間10秒にたいして、5秒間原料無供給の時間を設け、これを繰り返し、膜厚2.0μmのペロブスカイトPZTエピタキシャル膜を成膜した。成膜ガス圧は5Torrとした。原料ガスの供給前に、原料のバブリングを70分間行った。
次に、実施例2の圧電体を実施例1と同様に組成および結晶構造の解析を行ったICP組成分析の結果、Pb/(Zr+Ti)は1.0、Zr/(Zr/Ti)は0.45であった。また、実施例1と同様のX線回折の結果、圧電体は<100>配向のPZTペロブスカイト型構造のエピタキシャル膜であることを確認した。更に、X線回折の逆格子測定により、PTOは各ドメイン全て正方晶であり、a=4.00、c=4.15であることを確認した。また、同様にX線回折によりPZTの(002)、(200)、インプレーン(002)、インプレーン(200)の極点測定を行った。測定の結果、各ドメインには以下のような関係であった。
Aドメインの[001]方位とBドメインの[001]方位との角度ずれは0.6°であった。
Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度ずれは0.6°であった。
Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれは0.6°であった。
Cドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度ずれが0°であった。
Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが2.1°であった。
Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度ずれが1.8°であった。
また、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン、Eドメインに占めるA及びBドメインの割合は680%であった。
さらに圧電体上に電極膜としてTi、Ptの順でスパッタリング法によりそれぞれ4nm、150nm成膜して、実施例2の圧電体素子を作製した。
(比較例1)
比較例1の圧電体の製作手順は以下の通りである。
実施例1で用いた基板と同様の、SRO下電極のSrTiO3基板を用いた。
次に、この基板上に圧電体のPTOをパルスMOCVD法を用いて成膜した。成膜方法は以下に説明する。
実施例1と同様に、図11に示した装置で、基板ホルダー上の上記基板を8.3rpmで回転させながら、基板を600℃に加熱した。原料ガスはPbをPb(thd)2、TiをTi(OC37−i)4とした。Pb、Tiの原料ガスの流量はそれぞれ20cm3/分、35cm3/分、とした。不活性ガスはN2とし、パルスMOCVDにおけるガスの供給時間の流量は45cm3/分、原料無供給の時間の流量は100cm3/分とした。また、酸素流量は50cm3/分とし。ガスの搬送ラインの温度は図11に示すT1、T2、T5〜T7の位置においてそれぞれ40℃、170℃、142℃、170℃、200℃で正確に調整した。原料ガスのパルス間隔は上記原料ガスの供給時間12秒にたいして、8秒間原料無供給の時間を設け、これを繰り返し、膜厚2.0μmのペロブスカイトPTOエピタキシャル膜を成膜した。成膜ガス圧は5Torrとした。原料ガスの供給前に、原料のバブリングを70分間行った。
次に、比較例1の圧電体を実施例1及び2と同様に組成および構造等の解析を行った。比較例1の圧電体には実施例1、2で確認されたA、B、C及びDドメインは確認できたものの、Eドメインは確認できなかった。また、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン、Dドメイン、Eドメインに占めるA及びBドメインの割合は60%であった。さらに圧電体上に電極膜としてTi、Ptの順でスパッタリング法によりそれぞれ4nm、150nm成膜して、比較例1の圧電体素子を作製した。図12に、実施例1(図12a)および比較例1(図12b)の圧電体素子における、200kV/cmの電界加時下での(200)および(002)極点測定の結果を示す。測定には財団法人高輝度光科学研究センターの大型放射光施設(SPring−8)のビームライン(BL13XU)を利用した。200kV/cm電界印加下において、実施例1の圧電体素子は比較例1の圧電体素子と比較して、CドメインおよびEドメインが電界印加により減少、逆にBドメインが増加していることが確認できた。つまり、実施例1の圧電体素子はより低電界でより多くの90°ドメインスイッチングが生じていることが確認できた。
さらに、表1には、実施例1、2および比較例1の圧電体素子の圧電定数の測定結果を示す。圧電定数はユニモルフ型カンチレバー方式を用いたd31測定法によりおこなった。d31測定用サンプルは、圧電体素子の上部電極18を12mm×3mmの矩形パターンに加工した後、ダイサーにより図23に示す形状に切断して作製した。このとき上部電極18は、実施例1、2および比較例1のSrTiO3{100}基板上の圧電体素子では、その矩形の各辺がSrTiO3{100}基板の<100>方向と平行となるような配置とした。
本実施例のd31の決定は以下の条件で行った。
サンプルへの入力信号電圧として、圧電体素子10に0〜150[kV/cm]の電界[圧電体の膜厚3μmに対して0〜45Vの電圧を印加]が加わるよう500Hzのsin波を与えた。そして、この入力信号電圧に対して得られたカンチレバー先端の変位量δを測定することで、d31を決定した。電圧の極性については、同一電界において変位が最大となる極性を選んだ。入力信号電圧としてSin波を採用した理由は、カンチレバーの質量が大きいので、カンチレバー先端の変位δが、振動運動の慣性項を排除することを目的としている。
式1中に使用した物性値は、以下を用いた。
S11s=3.8×10-12[m2/N]
S11p=10.0×10-12[m2/N]
Figure 0005127268
表1に示されているように、実施例1、2の圧電体素子は高い圧電性が実現できた。
(実施例3)
次に実施例3の液体吐出ヘッドを以下の手順で作製した。
基板としてエピタキシャルSi膜が500nm厚、SiO2層が500nm厚で成膜されたSOI基板を用いた。このSi{100}基板表面をフッ酸処理した後、YがドープされたZrO2膜をスパッタリング法で基板温度800℃で100nm成膜し、続いてCeO2膜を基板温度600℃で60nm成膜した。どちらも<100>配向の単結晶膜であった。更にこの上に下部電極膜としてスパッタリング法によりLaNiO3(LNO)膜を100nm厚で基板温度300℃で成膜した。さらにこのLNO膜上にSrRuO3(SRO)膜を基板温度600℃で200nm成膜し、下部電極膜等を有する基板を得た。電極膜もSRO膜も<100>配向の単結晶膜であった。
次に、上記の下部電極膜等を有する基板を用いたこと以外は実施例1と同様にして圧電体素子を作製し、アクチュエーター部をパターニングした後、ハンドル層のSi基板を誘導結合プラズマ法(ICP法)でドライエッチングして振動板と個別液室を形成した。次に、これに共通液室、連通孔を形成した別のSi基板を張り合わせ、さらに吐出口の形成された基板を共通液室、連通孔が形成されている前記Si基板に張り合わせた。こうして、振動板がSiO2層、Si膜、YがドープされたZrO2膜、CeO2膜となる液体吐出ヘッドを作製した。この液体吐出ヘッドに駆動信号を印加して駆動し、液体吐出ヘッドの個別液室中心部に上部電極側からφ20μmのレーザーを照射し、レーザードップラー変位系により液体吐出ヘッドの変位量を評価した。その結果、本実施例の液体吐出ヘッドでは0.25μmと大きい変位が得られた。また、この液体吐出ヘッドは108回の駆動信号に対しても追随性の良い変位を示した。
圧電体素子の実施形態の一例の断面模式図である。 本発明の圧電体の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の圧電体のドメイン構造を説明するための図である。 本発明の圧電体のドメイン構造を説明するための図である。 本発明の圧電体の模式図およびそのX線回折による極点図の模式図である。 本発明の圧電体の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の圧電体のX線回折による極点図の模式図である。 本発明の圧電体のX線回折による極点図の模式図である。 本発明の圧電体のX線回折による極点図の模式図である。 本発明の圧電体のX線回折による極点図の模式図である。 圧電体の製造装置の一例の構成を示す図である。 実施例1および比較例1の圧電体素子の200kV/cmの電界加時下におけるX線回折による極点図の模式図である。 液体吐出ヘッドの構成の一部の模式的斜視図である。 図13に示す液体吐出ヘッドの幅方向の断面模式図である。 図13に示す液体吐出ヘッドを上面側(吐出口側)から見た模式図である。 図13に示す液体吐出ヘッドを上面側(吐出口側)から見た模式図である。 本発明の液体吐出ヘッドの製造工程の一例を示す概略図である。 本発明の液体吐出ヘッドの製造工程の一例を示す概略図である。 本発明の液体吐出ヘッドの製造工程の一例を示す概略図である。 本発明の液体吐出ヘッドの製造工程の一例を示す概略図である。 圧電特性の評価法を示す概略図である。 圧電特性の評価法を示す概略図である。 圧電特性の評価法を示す概略図である。 液体吐出装置の一例を示す斜視図である。 液体吐出装置の一例を示す斜視図である。
符号の説明
5 基板
6 第1の電極膜
7 圧電体
8 第2の電極膜
9 バッファー層
10 圧電体素子
11 吐出口
12 連通孔
13 個別液室
14 共通液室
15 振動板
16 下部電極膜
17 吐出口を設けた基板
18 上部電極膜
19 バッファー層

Claims (9)

  1. 少なくとも正方晶を有する<100>配向のエピタキシャル酸化物からなる圧電体において、
    一般式ABO3で表されるペロブスカイト複合酸化物から成り、
    互いに結晶方位のずれを有する[100]配向のC、D及びEのドメインを少なくとも有し、
    Cドメインの[100]方位とDドメインの[100]方位との角度のずれが5°以下であり、
    Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度のずれが5°以下であり、
    Cドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度のずれが0.3°以下であり、
    Dドメインの[100]方位とEドメインの[100]方位との角度のずれが0.3°以上であり、
    Cドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度のずれが1.0°以上であり、
    Dドメインの[001]方位とEドメインの[001]方位との角度のずれが1.0°以上である、
    ことを特徴とする圧電体。
  2. 前記圧電体中に、前記C、D及びEドメインに加えて、互いに結晶方位のずれを有する[001]配向のA及びBのドメインを少なくとも有し、
    Aドメインの[001]方位とBドメインの[001]方位との角度のずれが5°以下である、
    請求項1に記載の圧電体。
  3. 前記A、B、C、D及びEドメインは正方晶であり、少なくとも前記B、C、D及びEドメインの格子定数が一致している請求項2に記載の圧電体。
  4. 前記Bドメインと前記Dドメインとが双晶の鏡像関係を有し、前記双晶の双晶面が{110}であり、前記Cドメインと前記Eドメインとが双晶の鏡像関係を有し、前記双晶の双晶面が{110}である請求項3に記載の圧電体。
  5. チタン酸鉛もしくはジルコン酸チタン酸鉛を主成分とする請求項1乃至4のいずれかに記載の圧電体。
  6. 厚さが0.6μm以上の膜である請求項1乃至5のいずれかに記載の圧電体。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の圧電体と、該圧電体に接する一対の電極と、を有することを特徴とする圧電体素子。
  8. 吐出口と、該吐出口に連通する液室と、該液室に対応して設けられた圧電体素子と、前記液室と前記圧電体素子との間に設けられた振動板とを有し、前記圧電体素子により生じる前記液室内の容積変化によって前記液室内の液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、
    前記圧電体素子が請求項7に記載の圧電体素子であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 請求項8記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出装置。
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