JP5127156B2 - ヘキサヒドロフロフラノール誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
式(IV)で表されるラセミ化合物を合成する方法として、特許文献1、特許文献2、特許文献3および非特許文献1に記載されている方法が知られている。しかしながら、オゾン酸化や毒性の強いトリブチル錫ヒドリド等を使用しており、工業的に好ましい方法とはいえない。また、その光学活性体(例えば、後掲の式(IVa)で表される化合物)を得るために、酵素を用いる光学分割を行っているが、得られたエナンチオマーの一方を廃棄するため、非効率的である。
さらに特許文献4において、光学活性体を原料とする方法が開示されたが、原料の光学活性体が高価であり、経済的な面で問題があった。
(工程2)化合物(III)のR1およびR2を順次あるいは同時に除去し、さらに環化して、化合物(IV)を得る工程;
を包含することを特徴とする、化合物(IV)の製造方法。
(工程2)化合物(IIIa)のR1およびR2を順次あるいは同時に除去し、さらに環化して、化合物(IVa)を得る工程;
を包含することを特徴とする、化合物(IVa)の製造方法。
(工程4)化合物(VI)を還元して、化合物(IV)を得る工程;
を包含することを特徴とする、化合物(IV)の精製方法。
(工程4)化合物(VIa)を還元して、化合物(IVa)を得る工程;
を包含することを特徴とする、化合物(IVa)の精製方法。
(工程2)当該混合物中の化合物(III)および化合物(III’)のR1およびR2を順次あるいは同時に除去し、さらに環化して、化合物(IV)と化合物(IV’)を含む混合物を得る工程;
(工程3)当該混合物中の化合物(IV)および化合物(IV’)を酸化して、化合物(VI)を得る工程;および
(工程4)化合物(VI)を還元して、化合物(IV)を得る工程;
を包含することを特徴とする、化合物(IV)の製造方法。
(工程2)当該混合物中の化合物(IIIa)および化合物(III’a)のR1およびR2を順次あるいは同時に除去し、さらに環化して、化合物(IVa)と化合物(IV’a)を含む混合物を得る工程;
(工程3)当該混合物中の化合物(IVa)および化合物(IV’a)を酸化して、化合物(VIa)を得る工程;および
(工程4)化合物(VIa)を還元して、化合物(IVa)を得る工程;
を包含することを特徴とする、化合物(IVa)の製造方法。
化合物(III):
当該「環状2級アミン」は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、フェニル基、置換されたアルキル基(当該アルキル基は好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、また、置換基としては、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基等)、アセチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ハロゲン原子等が挙げられる)、ヒドロキシル基、保護されたヒドロキシル基(保護基としては、上記R1およびR2と同様のものが挙げられる。)、カルボキシル基等が挙げられる。当該置換基の数は特に制限はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、化合物(III)の光学活性体(例えば、化合物(IIIa))を得るためには、当該「置換基を有していてもよい環状2級アミン」が光学活性体であるのがよい。当該光学活性体としては、化合物(V)の光学活性体(例えば、化合物(Va))が好ましく、L−プロリンが特に好ましい。
化合物(III)は、例えば、溶媒中において、化合物(I)と化合物(II)を、置換基を有していてもよい環状2級アミン(以下、単に環状2級アミンと略す。)の存在下で反応させることにより、得ることができる。
溶媒の使用量は、化合物(I)1kgに対して、1L〜100L、好ましくは、3L〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌性が悪くなる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
化合物(IV)は、化合物(III)のヒドロキシル基の保護基(R1およびR2)を順次あるいは同時に除去し、さらに環化することにより、得ることができる。
R1またはR2がベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−メチル−1−フェニルプロピル基、1−フェニルペンチル基、2−メチル−1−フェニルブチル基、3−メチル−1−フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基のようなベンジルエーテル型の保護基である場合は、パラジウム炭素や水酸化パラジウム等の貴金属触媒存在下での接触水素還元にて好適に除去することができる。また、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタンのようなルイス酸;塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂のようなプロトン酸等の酸触媒を反応させても好適に除去することができ、この場合、次の環化反応も引き続いて行うことができる。本発明では、上記の2つの方法を組み合わせて行うことが好ましい。
接触水素還元の場合、溶媒は、反応に影響を与えないものであれば使用できるが、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、ジグリム等のエーテル溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;酢酸、プロピオン酸等の有機酸;水等が好ましく、これらの混合溶媒であってもよい。溶媒の使用量は、化合物(III)1kgに対して、通常1L〜100L、好ましくは、1.2L〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌性が悪くなる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
反応温度は、通常0℃〜120℃、好ましくは10℃〜60℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。
プロトン酸のうち、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を使用する場合、その使用量は、化合物(III)1モルに対して、通常0.01モル〜5モル、好ましくは0.05モル〜1モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が十分得られず、この範囲より多いと使用量に見合った効果が得られない傾向がある。
また、プロトン酸のうち、酸性イオン交換樹脂を使用する場合、その使用量は、化合物(III)1kgに対して、通常50g〜500gモル、好ましくは100g〜300gである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が十分得られず、この範囲より多いと使用量に見合った効果が得られない傾向がある。
上記の酸触媒を使用する場合、溶媒は、反応に影響を与えないものであれば使用できるが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、THF、アセトン、ジオキサン等の水溶性溶媒が好ましく、これらの混合物であってもよい。溶媒の使用量は、化合物(III)1kgに対して、通常0.5L〜100L、好ましくは、1L〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌性が悪くなる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは30℃〜90℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。
R1またはR2がメチル基、tert−ブチル基、1−エトキシエチル基、3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基、トリフェニルメチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基のような(置換)アルキルエーテル型保護基の場合は、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタンのようなルイス酸;塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂のようなプロトン酸等の酸触媒を反応させることにより除去することができ、次の環化反応も引き続いて行うことができる。この条件については、前記と同様である。
R1またはR2がトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等のシリル型の保護基の場合は、テトラブチルアンモニウムフルオリド、フッ化水素のようなフッ素イオンを含む化合物と反応させることにより好適に除去することができ、この場合、次の環化反応も引き続いて行うことができる。また、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタンのようなルイス酸;塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂のようなプロトン酸等の酸触媒を反応させても除去することができ、この場合も次の環化反応も引き続いて行うことができる。なお、酸触媒を使用する反応の条件については、前記と同様である。
フッ素イオンを含む化合物を使用する場合、溶媒は、反応に影響を与えないものであれば使用できるが、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム等が好ましく、これらの混合物であってもよい。溶媒の使用量は、化合物(III)1kgに対して、通常1L〜100L、好ましくは、5L〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌性が悪くなる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
反応温度は、通常−30℃〜80℃、好ましくは−10℃〜50℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常0.5〜24時間である。
R1またはR2がアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−tert−ブチルベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−ブロモベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、3−メトキシベンゾイル基、3−メチルベンゾイル基、3−tert−ブチルベンゾイル基、3−フルオロベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−ブロモベンゾイル基、2−ニトロベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−tert−ブチルベンゾイル基、2−フルオロベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−ブロモベンゾイル基、3,5−ジニトロベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、3,5−ジtert−ブチルベンゾイル基、3,5−ジフルオロベンゾイル基、3,5−ジクロロベンゾイル基、3,5−ジブロモベンゾイル基、2,4−ジニトロベンゾイル基、2,4−ジメトキシベンゾイル基、2,4−ジメチルベンゾイル基、2,4−ジtert−ブチルベンゾイル基、2,4−ジフルオロベンゾイル基、2,4−ジクロロベンゾイル基、2,4−ジブロモベンゾイル基、2,5−ジニトロベンゾイル基、2,5−ジメトキシベンゾイル基、2,5−ジメチルベンゾイル基、2,5−ジtert−ブチルベンゾイル基、2,5−ジフルオロベンゾイル基、2,5−ジクロロベンゾイル基、2,5−ジブロモベンゾイル基、4−フェニルベンゾイル基、2−フェニルベンゾイル基、4−メトキシカルボニルベンゾイル基、3−メトキシカルボニルベンゾイル基、2−メトキシカルボニルベンゾイル基のようなエステル型の保護基の場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのような塩基により好適に除去することができる。また、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタンのようなルイス酸;塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂のようなプロトン酸を等の酸触媒を反応させても好適に除去することができ、この場合、次の環化反応も引き続いて行うことができる。本発明では、上記の2つの方法を組み合わせて行うことが好ましい。なお、酸触媒を使用する反応の条件については、前記と同様である。
塩基を使用する場合、溶媒は、反応に影響を与えないものであれば使用できるが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、THF、アセトン、ジオキサン等の水溶性溶媒が好ましく、これらの混合物であってもよい。溶媒の使用量は、化合物(III)1kgに対して、通常1L〜100L、好ましくは、3L〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌性が悪くなる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは30℃〜90℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。
化合物(VI)は、例えば、溶媒中において、化合物(IV)と化合物(IV’)を含む混合物を酸化することにより、得ることができる。
また、上記混合物中の化合物(IV)と化合物(IV’)の合計量は、当該混合物中、30重量%以上、さらに40重量%以上、特に50重量%以上であることが好ましい。
化合物(IV)は、例えば、溶媒中において、化合物(VI)を還元することにより、得ることができる。
GC条件:
DB−WAX 30m×0.53mm 1μm,230℃
温度 100℃(3min)→5℃/min→220℃(13min)
FID
トルエン(50ml)、1,4−ブタンジオール(212g,2.35mol)および水酸化ナトリウム(47.7g)の混合物を95℃まで昇温し、同温で30分間保温した。その後、塩化ベンジル(150g,1.185mol)を加え、95〜105℃で4時間保温した後、水(250ml)中に流入した。35%塩酸で中和後、有機層を分液し、水層をトルエン(100ml)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水(100ml)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣を減圧蒸留して、表題化合物を得た(115g,収率53.8%)。
4−ベンジルオキシブタノール(50g,0.277mol)を酢酸エチル(100ml)に溶解させ、重曹(7g)および2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ(0.22g)を加え、約15℃で13.8%次亜塩素酸ナトリウム溶液(169ml)を滴下して、同温で2時間攪拌した。有機層を5%次亜リン酸ナトリウム水溶液(50ml)、5%重曹水(50ml)および5%食塩水(50ml)で順次洗浄した。有機層を減圧濃縮して、表題化合物を得た(37.3g,収率75.5%)。
アセトン(800ml)およびグリセリン(199g,2.16mol)の混合液中に98%硫酸(6.9g)を約25℃で加え、3時間攪拌した。この反応溶液にトリエチルアミン(18.0g)を加え、溶媒を減圧留去した。トルエン(526ml)に水酸化ナトリウム(98.5g)を懸濁させた液に、先の濃縮残さを55〜75℃で滴下した。この反応液中に、塩化ベンジル(229g,1.81mol)を95〜105℃で滴下し、低沸分を留去しながら5時間反応させた。反応終了後、水(366ml)を加えて分液した。得られたトルエン層に、98%硫酸(22.9g)および水(571ml)を加え、約50℃で5時間攪拌した後、トルエン層を減圧濃縮した。残渣にヘプタン(267ml)、メタノール(534ml)および水(267ml)を加えて分液した。水層を更にヘプタン(267ml)を加えて分液し、得られた水層を減圧濃縮してメタノール分を除去した。濃縮液に塩化ナトリウム(46g)を加え、酢酸エチル(267ml)で2回抽出を行った。得られた酢酸エチル溶液を減圧濃縮して、表題化合物を得た(277g,収率84%)。
水(1055g)と過ヨウ素酸ナトリウム(406g)の懸濁液に、3−ベンジルオキシ−1,2−プロパンジオール(366g,2.0mol)を20〜25℃で21時間かけて滴下し、2時間攪拌した。酢酸エチル(495ml)を加え、ろ過洗浄した。水層を酢酸エチル(825ml)で再抽出し、有機層を合わせ、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(363g)で洗浄した。有機層をリン酸でpHを7付近にした後、5%食塩水(660g)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム(100g)で脱水した。硫酸マグネシウムをろ別し、ヒドロキノン(1.3g)を加え、溶媒を留去して、表題化合物を得た(259g,収率85.9%)。
アルゴン雰囲気下、2−ベンジルオキシアセトアルデヒド(15.0g,0.10mol)のDMF(33ml)溶液を4℃に冷却し、L−プロリン(0.76g,6.6mmol)を添加した。その後、4−ベンジルオキシブチルアルデヒド(5.93g,0.033mol)のDMF(33ml)溶液を22時間で滴下し、そのまま24時間攪拌した。反応終了後、5%食塩水(300ml)および酢酸エチル(150ml)を加えて抽出し、水層を酢酸エチル(150ml)で2回抽出した。有機層を合わせて5%食塩水(50ml)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過後、有機層を濃縮して、粗製の表題化合物を得た(22.46g)。得られた(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒドは精製することなくそのまま次の反応に用いた。
なお、濃縮残の一部(30mg)をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、純粋な表題化合物を得た(5mg)。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δppm : 9.77 (1H, d, J=2.4Hz), 7.36-7.28 (10H, m) 4.53 (2H, s), 4.47 (2H, s), 4.12-4.09 (1H, m), 3.57-3.49 (4H, m), 3.03 (1H, d, J=5.4Hz), 2.68-2.63 (1H, m), 2.14-2.05 (1H, m), 1.92-1.84 (1H, m)
実施例1で得られた粗製の(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(22.43g)をTHF(100ml)に溶解した。そこに、10%パラジウム炭素(50%ウエット品10g)および強酸性イオン交換樹脂(4g,Amberlyst 15E,乾燥品)を加え、水素圧1気圧、室温で22時間反応を行った。その後、パラジウム炭素および酸性イオン交換樹脂を濾過し、溶媒を留去して、褐色の液体の粗製の表題化合物(9.71g)を得た。
この粗製物の含量をGCで測定し(絶対検量線法)、収率を求めたところ、ジアステレオマー混合物あわせて53%であった(4−ベンジルオキシブチルアルデヒドに対する収率)。また、その時のジアステレオマー比((3R,3aS,6aR)体/(3S,3aS,6aR)体)は4/1であった。
さらに、この粗製の液体(4.63g)をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘプタン:酢酸エチル=1:3)により精製して、無色透明の液体として表題化合物(0.67g)を得た。含量をGCで測定し(絶対検量線法)、収率を求めたところ、29%であった(4−ベンジルオキシブチルアルデヒドに対する収率)。
なお、得られた表題化合物をベンゾイル化してHPLCにより光学純度を測定したところ、(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが99%eeで得られていることがわかった(HPLC分析条件;カラム:CHIRALCEL AD4.6×250mm,移動相:Aヘキサン,B2−プロパノール,A/B=90/10,流量:0.6ml/min,検出器:UV254nm)。
アルゴン雰囲気下、2−ベンジルオキシアセトアルデヒド(120.1g,0.80mol)のDMF(264ml)溶液を4℃に冷却し、L−プロリン(9.20g,80mmol)を添加した。その後、4−ベンジルオキシブチルアルデヒド(71.3g,0.40mol)のDMF(128ml)溶液を12時間で滴下し、そのまま31時間攪拌した。反応終了後、5%食塩水(300ml)およびMTBE(300ml)を加えて抽出し、水層をMTBE(300ml)で抽出した。有機層を合わせて5%食塩水(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(10g)で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過後、有機層を濃縮して、粗製の表題化合物を得た(193.2g)。得られた(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒドは精製することなくそのまま次の反応に用いた。
実施例3で得られた粗製の(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(193.2g)をエタノール(300ml)に溶解した。そこに、10%パラジウム炭素(50%ウエット品8g)および5%塩酸水(30ml)を加え、水素圧5気圧、22〜30℃で19時間反応を行った。反応終了後、パラジウム炭素を濾過し、炭酸カリウム(7.0g)を加えて1時間攪拌した。その後、溶媒を留去して得られた油状物にエタノール(200ml)および無水硫酸ナトリウムを加えて攪拌した後、濾過した。ろ液を濃縮して、褐色の液体の粗製の表題化合物(98.3g)を得た。
この粗製物の含量をGCで測定し(内部標準法)、収率を求めたところ、ジアステレオマー混合物あわせて53%であった(4−ベンジルオキシブチルアルデヒドに対する収率)。また、その時のジアステレオマー比((3R,3aS,6aR)体/(3S,3aS,6aR)体)は3.8/1であった。
さらに、この粗製物を減圧蒸留による精製を行い(減圧0.26kPa,バス温〜140℃,留温95〜105℃)、橙色の油状物の表題化合物44.2gを得た(GC(内部標準法)測定による含量は、ジアステレオマー混合物あわせて53.4%,4−ベンジルオキシブチルアルデヒドに対する収率45.3%)。
この一部をフラッシュクロマトグラフィーにより単離し、常法によりベンゾイル化してHPLCにより光学純度を測定したところ、(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが98.8%ee、(3S,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが95.7%eeで得られていることがわかった(HPLC分析条件;カラム:CHIRALCEL AD4.6×250mm,移動相:Aヘキサン,B2−プロパノール,A/B=90/10,流量:0.6ml/min,検出器:UV254nm)。
アルゴン雰囲気下、2−ベンジルオキシアセトアルデヒド(108.1g,0.72mol)のDMF(267ml)溶液を4℃に冷却し、L−プロリン(9.30g,80mmol)を添加した。その後、4−ベンジルオキシブチルアルデヒド(71.3g,0.40mol)のDMF(133ml)溶液を6時間で滴下し、そのまま34時間攪拌した。反応終了後、5%食塩水(225ml)およびMTBE(200ml)を加えて抽出し、水層をMTBE(200ml)で2回抽出した。有機層を合わせて5%食塩水(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(10g)で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過後、有機層を濃縮して、粗製の表題化合物を得た(193.1g)。得られた(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒドは精製することなくそのまま次の反応に用いた。
実施例5で得られた粗製の(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(6g)をメタノール(20ml)に溶解した。そこに、10%パラジウム炭素(50%ウエット品2.5g)およびメタンスルホン酸(0.27g)を加え、水素圧5気圧、室温下で24時間反応を行った。反応終了後、パラジウム炭素を濾過し、溶媒を留去後、炭酸水素ナトリウム(0.35g)およびメタノール(5ml)を加えて攪拌した。その後、ろ過し、溶媒を留去し、得られた油状物に酢酸エチル(5ml)を加えて再度濾過し、濃縮して、黄色の液体の粗製の表題化合物(2.64g)を得た。
この粗製物の含量をGCで測定し(内部標準法)、収率を求めたところ、ジアステレオマー混合物あわせて55%であった(4−ベンジルオキシブチルアルデヒドに対する収率)。また、その時のジアステレオマー比((3R,3aS,6aR)体/(3S,3aS,6aR)体)は3/1であった。
実施例5で得られた粗製の(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(6g)をメタノール(20ml)に溶解した。そこに、10%パラジウム炭素(50%ウエット品2.5g)およびp−トルエンスルホン酸1水和物(0.53g)を加え、水素圧5気圧、室温下で24時間反応を行った。反応終了後、パラジウム炭素を濾過し、溶媒留去後、炭酸水素ナトリウム(0.35g)および酢酸エチル(5ml)を加えて再度濾過し、濃縮して、褐色の液体の粗製の表題化合物(3.46g)を得た。
この粗製物の含量をGCで測定し(内部標準法)、収率を求めたところ、ジアステレオマー混合物あわせて55%であった(4−ベンジルオキシブチルアルデヒドに対する収率)。また、その時のジアステレオマー比((3R,3aS,6aR)体/(3S,3aS,6aR)体)は3/1であった。
実施例4で得られた、(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(7.93g,60.9mmol)、(3S,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(2.07g,15.9mmol)、(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(0.05g,0.4mmol)および(3R,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(0.05g,0.4mmol)を含む混合物(18.9g)を酢酸エチル(112ml)に溶解し、リン酸水素二カリウム(27.1g,155.3mmol)、臭化カリウム(0.5g,3.9mmol)および2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ(61mg,0.4mmol)を加えて、0℃に冷却した。そこへ次亜塩素酸ナトリウム水溶液(123.9g,有効塩素濃度14%,0.23mol)を15℃以下で滴下し、滴下終了後1時間攪拌を行った。反応終了後、2−プロパノール(10ml)を加えて30分攪拌し、分液した。さらに水層を酢酸エチル(50ml)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム(1.0g)を加えて乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過後、溶媒を留去し、濃縮残に2−プロパノール(30ml)を加えて再結晶を行い、淡褐白色の結晶の(3aR,6aR)−テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを得た(7.4g,純度98%,収率73%)。このときの鏡像体過剰率は100%eeであった。
(3aR,6aR)−テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オン(5.0g,純度98%,38.3mmol)をエタノール(15ml)に懸濁させて−15℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(0.43g,11.5mmol)を分割添加し、2時間攪拌した。反応終了後、35%塩酸(1.2g,11.5mmol)で中和し、溶媒を留去した。濃縮残に酢酸エチル(15ml)を加えて再度濃縮し、濃縮残を酢酸エチル(15ml)に溶解し、無水硫酸マグネシウム(1.0g)を加えて乾燥後、濾過し、濃縮した。
得られた濃縮残にメタノール(20ml)を加えて濃縮して、無色から淡黄色の油状物の表題化合物を得た(4.81g,収率96.6%,(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール/(3S,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールの比=98.2/1.8)。
実施例4と同様の方法で得られた、(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3,b]フラン−3−オール、(3S,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3,b]フラン−3−オール、(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3,b]フラン−3−オールおよび(3R,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3,b]フラン−3−オールを含む混合物(287g,含量69.7%,1.54mol)をメチルエチルケトン(2000ml)に溶解し、これに、リン酸水素二カリウム(937g,5.38mol)を水(600ml)に溶解した溶液を加えた。そこへ2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ(1.2g,7.7mmol)を加え、約0℃に冷却した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1490g,有効塩素濃度13.5%,2.83mol)を15℃以下で滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(220ml)を加え30分間攪拌し、85%リン酸で中和し、分液した。さらに水層をメチルエチルケトン(1000ml)で2回抽出し、有機層を合わせた。有機層にヒドロキノン1.0gを加え、溶媒3000mlを留去した。濃縮残さに、無水硫酸マグネシウム(30g)、重曹(20g)および活性炭(10g)を加えて1時間攪拌した。硫酸マグネシウム、重曹および活性炭を濾過後、2−プロパノール(3000ml)を加え、溶媒(3300ml)を留去した後、再結晶を行い、白色結晶の(3aR,6aR)−テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを得た(156.5g,純度99.5%,収率79.1%)。このときの鏡像体過剰率は100%e.e.であった。
メタノール(25ml)と2−プロパノール(25ml)の混合液に、(3aR,6aR)−テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オン(10g,78.1mmol)を懸濁させ、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(0.89g,23.4mmol)を分割添加し、1.5時間攪拌した。反応終了後、メタノール(15ml)および塩化アンモニウム(1.17g,21.9mmol)を加えて攪拌した後、溶媒を留去した。濃縮残さに2−プロパノール(40ml)を加えて再度濃縮し、2−プロパノール(40ml)を加えて溶解した。不溶物を濾過後、濃縮して、黄色の油状物の表題化合物を得た(9.87g,収率97.2%,(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3,b]フラン−3−オールと(3S,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3,b]フラン−3−オールの比97.9/2.1)。
Claims (18)
- 光学純度が95%ee以上である、請求項2または4に記載の化合物。
- R 1 およびR 2 がそれぞれ独立して、ベンジルエーテル型保護基である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
- R 1 およびR 2 がそれぞれ独立して、ベンジル基または1−フェニルエチル基である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
- (工程1)一般式(I):
(式中、R1はヒドロキシル基の保護基を示す。)で表される化合物と、一般式(II):
(式中、R2はヒドロキシル基の保護基を示す。)で表される化合物を、一般式(Va):
(式中、X1およびX2はそれぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基または保護されたヒドロキシル基を示す。)で表される化合物の存在下で反応させて、一般式(IIIa):
(式中、R1およびR2は上記と同義を示す。)で表される化合物を得る工程;および
(工程2)上記一般式(IIIa)で表される化合物のR1およびR2を順次あるいは同時に除去し、さらに環化して、式(IVa):
で表される化合物を得る工程;
を包含することを特徴とする、上記式(IVa)で表される化合物の製造方法。 - 一般式(IIIa)で表される化合物の光学純度が95%ee以上である、請求項10、12および15のいずれかに記載の製造方法。
- R 1 およびR 2 がそれぞれ独立して、ベンジルエーテル型保護基である、請求項8〜16のいずれかに記載の製造方法。
- R 1 およびR 2 がそれぞれ独立して、ベンジル基または1−フェニルエチル基である、請求項8〜16のいずれかに記載の製造方法。
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