JP2004107315A - ヘキサヒドロフロフラノール誘導体の製造方法、その中間体およびその製造方法 - Google Patents
ヘキサヒドロフロフラノール誘導体の製造方法、その中間体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】化合物XIIIを出発原料とし、化合物Iに導き、さらに保護基を導入した後、還元、環化して化合物XIVを製造する。特に化合物XIIIを原料とし、化合物XIXおよび化合物XXを経由して、化合物I等に導き、化合物XIVを製造する。光学活性体である化合物XIIIを出発原料として、高立体選択的に化合物XVまたはその鏡像体を製造する。
【化1】
[各式中、各記号は明細書中と同義を示す。]
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬品の中間体である、後記式XIV、XVで示されるヘキサヒドロフロフラノール誘導体の製造方法、およびその合成中間体として有用な後記式A、B、Cで示される化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
式XIV:
【0003】
【化68】
【0004】
、式XV:
【0005】
【化69】
【0006】
で示される化合物は抗エイズ薬の中間体として有用な化合物である(特許文献1および2参照)。式XIVで示される化合物を合成する方法として、特許文献1、特許文献3、非特許文献1および非特許文献2に記載されている方法が知られているが、オゾン酸化や毒性の強いトリブチル錫ヒドリド等を使用しており、工業的に好ましい方法とはいえない。また、上記文献中、特許文献1、特許文献3および非特許文献2では、得られたラセミ体を酵素等を用いて光学分割し、式XVで示される絶対立体配置を有する化合物またはその鏡像体を得ているが、非効率的である。最近、非特許文献3に直接光学活性体を合成する方法が発表されたが、これも、毒性の強い有機セレン化合物を用いる方法であり、工業的な方法とは言いがたい。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第01/25240号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第99/67254号パンフレット
【特許文献3】
欧州特許出願公開第539192号明細書
【非特許文献1】
テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、1986年、第27巻、p3715
【非特許文献2】
テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、1995年、第4巻、p505
【非特許文献3】
テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、2001年、第42巻、p4653
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、抗エイズ薬の中間体として有用な式XIVで示される化合物(以下、化合物XIVともいう。)を従来の製造方法の問題点、例えば、オゾン酸化や毒性の強い試薬の使用を解決し、効率的に、かつ、工業的規模で安価に製造する方法およびその方法に用いる中間体を提供することであり、特に、式XVで示される絶対立体配置を有する化合物XIVまたはその鏡像体を、光学分割等の手法を用いることなく、製造する方法およびその方法に用いる中間体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、式XIII:
【0010】
【化70】
【0011】
[式中、PGはヒドロキシル基の保護基を示し、R’’は低級アルコキシル基または低級アルキルチオ基を示す。]で示される化合物を出発原料とし、式I:
【0012】
【化71】
【0013】
[式中、PGは前述の意味を示す。]で示される化合物に導き、さらに保護基を導入した後、還元、環化して化合物XIVを得る、化合物XIVの新規な製造方法およびその方法の中間体である後記式A、Bで示される新規な化合物を見い出した。また、本発明者らは、式XIIIで示される化合物を出発原料として、式XIX:
【0014】
【化72】
【0015】
[式中、PGおよびR’’は前述の意味を示し、R’’’はヒドロキシル基の保護基または水素原子を示す。]で示される化合物に導き、さらに加水分解して、式XX:
【0016】
【化73】
【0017】
[式中、PG、R’’’は前述の意味を示す。]で示される化合物を経由して、前記の方法の中間体である、式Iで示される化合物または式III:
【0018】
【化74】
【0019】
[式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、またはフェニル基を示す。]で示される化合物へ導く、化合物XIVの新規な製造方法およびその方法の中間体である後記式Cで示される新規な化合物を見い出した。
【0020】
本発明の方法によれば、化合物XIVを、毒性の高い試薬や、工業規模では実施が困難なオゾン酸化を使用せず、効率的に、かつ、工業的規模で安価に製造することができる。さらに、本発明者らは、式XIIIで示される化合物は、BINAP触媒や生体触媒を用いて、安価に工業的規模で光学活性体が生産可能なことから(USP5399722、Heterocycles, 26, 2841 (1987))、光学活性体、特に、光学純度が高い光学活性体である式XIIIで示される化合物を出発原料として上記の方法を行うことで、光学分割等の手法を用いることなく、高立体選択的に光学純度よく絶対立体配置が式VII:
【0021】
【化75】
【0022】
[式中、PGは前述の意味を示す。]で示される化合物またはその鏡像体に導くことができること、さらに絶対立体配置が式VIIで示される化合物またはその鏡像体から高立体選択的に光学純度よく絶対立体配置が式XVで示される化合物またはその鏡像体に導くことができることを見出し、本発明を完成させた。
特に本発明の前記式XXで示されるカルボン酸を経由する方法では、当該カルボン酸を経由する際に精製を加え、ジアステレオマー純度を向上させて、高立体選択的に光学純度よく式XVIII:
【0023】
【化76】
【0024】
で示される絶対立体配置を有する化合物またはその鏡像体を得ることができること、さらに式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物またはその鏡像体から高立体選択的に光学純度よく絶対立体配置が式XVで示される化合物またはその鏡像体に導くことができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、オゾン酸化や毒性の高い試薬を使用しないので、光学活性体の有用な製造方法であるのみならず、ラセミ体の製造方法としても従来より優れた方法である。
【0025】
すなわち、本発明は、以下のように表される。
[1]式A:
【0026】
【化77】
【0027】
[式中、RおよびR’は、それぞれ独立に、同一または異なって、ヒドロキシル基の保護基もしくは水素原子を示すか、または、いっしょになって、式:
【0028】
【化78】
【0029】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、またはフェニル基を示す。)で示される基を示す。ただし、R’が水素原子であり、Rがヒドロキシル基の保護基であり、かつ、式Aで示される化合物の相対立体配置がsynであるときは、Rはベンジル基以外のヒドロキシル基の保護基を示す。]で示される化合物、
[2]式B:
【0030】
【化79】
【0031】
[式中、RおよびR’は、それぞれ独立に、同一または異なって、ヒドロキシル基の保護基もしくは水素原子を示すか、または、いっしょになって、式:
【0032】
【化80】
【0033】
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、同一または異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、またはフェニル基を示す。)で示される基を示す。]で示される化合物、
[3]相対立体配置が、式A’:
【0034】
【化81】
【0035】
[式中、RおよびR’は、上記[1]と同義を示す。]
で示される上記[1]記載の化合物、
[4]相対立体配置が、式B’:
【0036】
【化82】
【0037】
[式中、RおよびR’は、上記[2]と同義を示す。]
で示される上記[2]記載の化合物、
[5]絶対立体配置が、式A’で示される上記[1]記載の化合物、
[6]絶対立体配置が、式B’で示される上記[2]記載の化合物、
[7]R’が水素原子であり、Rがt−ブチル基である上記[1]、[3]または[5]に記載の化合物、
[8]RとR’がいっしょになって、式:
【0038】
【化83】
【0039】
で示される基を示し、式中、R1およびR2がメチル基である、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物、
[9]Rがベンジル基またはt−ブチル基であり、R’が1−エトキシエチル基または3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基である上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物、
[10]R’が水素原子であり、Rがベンジル基である、上記[3]または[5]に記載の化合物、
[11]式C:
【0040】
【化84】
【0041】
[式中、R、R’およびR’’’は、それぞれ独立に、同一または異なって、ヒドロキシル基の保護基または水素原子を示し、R3はヒドロキシル基、低級アルコキシル基または低級アルキルチオ基を示す。]で示される化合物またはその塩、
[12]絶対立体配置が、式C’:
【0042】
【化85】
【0043】
[式中、R、R’、R’’’およびR3は、上記[11]と同義を示す。]で示される上記[11]記載の化合物、
[13]Rがベンジル基であり、R’が水素原子であり、R’’’がベンジル基またはt−ブチル基であり、R3がヒドロキシル基またはエトキシ基である上記[11]または[12]記載の化合物、
[14]式XIIIで示される化合物をヒドロキシエチル化した後、環化させることを特徴とする、式Iで示される化合物の製造方法、
[15]式Iで示される化合物が、式VIIで示される相対立体配置を有する化合物であることを特徴とする上記[14]記載の製造方法、
[16]式XIIIで示される化合物が、光学活性体であることを特徴とする上記[14]または[15]に記載の製造方法、
[17]式XIIIで示される化合物が、式XVI:
【0044】
【化86】
【0045】
[式中、各記号は上記[14]と同義を示す。]
で示される化合物であり、かつ式Iで示される化合物が、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物であるか、あるいは、式XIIIで示される化合物が、式:
【0046】
【化87】
【0047】
[式中、各記号は上記[14]と同義を示す。]
で示される化合物であり、かつ式Iで示される化合物が、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であることを特徴とする上記[14]記載の製造方法、
[18]式XIIIで示される化合物を原料として、式XIXで示される化合物を得て、得られた式XIXで示される化合物を加水分解して、式XXで示される化合物を得る工程を含むことを特徴とする、上記[14]記載の製造方法、
[19]式XIIIで示される化合物が絶対立体配置が式XVIで示される化合物であり、式XIXで示される化合物が式XVII:
【0048】
【化88】
【0049】
[式中、各記号は上記[18]と同義を示す。]
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、式XXで示される化合物が式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物であり、かつ式Iで示される化合物が式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物であるか、あるいは、
式XIIIで示される化合物が絶対立体配置が式XVIで示される化合物の鏡像体であり、式XIXで示される化合物が式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式XXで示される化合物が式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、かつ式Iで示される化合物が式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体である、上記[18]記載の製造方法、
[20]式Iで示される化合物を原料とすることを特徴とする、式IIIで示される化合物の製造方法、
[21]式Iで示される化合物を、脱保護して、式II:
【0050】
【化89】
【0051】
で示される化合物を得、得られた式IIで示される化合物を保護することを特徴とする、上記[20]記載の製造方法。
[22]式IIIで示される化合物を還元することを特徴とする、式V:
【0052】
【化90】
【0053】
[式中、R1およびR2は前述の意味を示す。]
で示される化合物の製造方法、
[23]式Vで示される化合物を脱保護および環化に付すことを特徴とする、式XIVで示される化合物の製造方法、
[24]式Iで示される化合物のヒドロキシル基を保護することを特徴とする、式IV:
【0054】
【化91】
【0055】
[式中、PGおよびPG’は、それぞれ独立に、同一または異なって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
で示される化合物の製造方法、
[25]式IVで示される化合物を還元することを特徴とする、式VI:
【0056】
【化92】
【0057】
[式中、PGおよびPG’は前述の意味を示す。]
で示される化合物の製造方法、
[26]式VIで示される化合物を、脱保護および環化に付すことを特徴とする、式XIVで示される化合物の製造方法、
[27]下記の(A)または(B)のいずれかの工程を含むことを特徴とする、式XIVで示される化合物の製造方法;
(A)式Iで示される化合物を原料として、式IIIで示される化合物を得、
得られた式IIIで示される化合物を還元して、式Vで示される化合物を得、
得られた式Vで示される化合物を脱保護および環化に付して、上記式XIVで示される化合物を得る工程、
(B)式Iで示される化合物のヒドロキシル基を保護し、式IVで示される化合物を得、
得られた式IVで示される化合物を還元して、式VIで示される化合物を得、
得られた式VIで示される化合物を、脱保護および環化に付して、式XIVで示される化合物を得る工程、
[28]工程(A)において、原料である式Iで示される化合物を、脱保護して、式IIで示される化合物を得、得られた式IIで示される化合物を保護して、式IIIで示される化合物を得ることを特徴とする上記[27]記載の製造方法、
[29]式Iで示される化合物が、式VIIで示される相対立体配置を有する化合物であり、式XIVで示される化合物が、式XVで示される相対立体配置を有する化合物であることを特徴とする上記[27]または[28]に記載の製造方法、
[30]式Iで示される化合物が、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物であり、かつ式XIVで示される化合物が、式XVで示される絶対立体配置を有する化合物であるか、あるいは、式Iで示される化合物が、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、かつ式XIVで示される化合物が、式XVで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であることを特徴とする上記[27]または[28]に記載の製造方法、
[31]式XIIIで示される化合物を原料とすることを特徴とする、式XIXで示される化合物の製造方法、
[32]式XIXで示される化合物を加水分解することを特徴とする、式XXで示される化合物の製造方法、
[33]加水分解後、有機アミンを添加する、上記[32]記載の製造方法、
[34]式XIXで示される化合物が、式XIIIで示される化合物を原料として製造することを特徴とする、上記[32]記載の製造方法、
[35]式XXで示される化合物のPGおよびR’’’を脱保護した後、アセタール化またはケタール化およびラクトン化することを特徴とする、式IIIで示される化合物の製造方法、
[36]出発原料として式XIIIで示される化合物を用いて式XXで示される化合物を得ることを特徴とする、上記[35]記載の製造方法、
[37]式XIIIで示される化合物を原料として、式XIXで示される化合物を得て、得られた式XIXで示される化合物を加水分解して、式XXで示される化合物を得て、次いで得られた式XXで示される化合物のPGおよびR’’’を脱保護した後、アセタール化またはケタール化およびラクトン化して、式IIIで示される化合物を得て、得られた式IIIで示される化合物を還元して、式Vで示される化合物を得て、得られた式Vで示される化合物を脱保護および環化に付すことを特徴とする、式XIVで示される化合物の製造方法、
[38]式XIIIで示される化合物が、絶対立体配置が式XVIで示される化合物であり、式XIXで示される化合物が式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物であり、式XXで示される化合物が式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物であり、式IIIで示される化合物が式IX:
【0058】
【化93】
【0059】
[式中、R1およびR2は上記[37]と同義を示す。]
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、式Vで示される化合物が式XI:
【0060】
【化94】
【0061】
[式中、R1およびR2は上記[37]と同義を示す。]
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、かつ式XIVで示される化合物が式XVで示される絶対立体配置を有する化合物であるか、あるいは、
式XIIIで示される化合物が、絶対立体配置が式XVIで示される化合物の鏡像体であり、式XIXで示される化合物が式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式XXで示される化合物が式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式IIIで示される化合物が式IXで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式Vで示される化合物が式XIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、かつ式XIVで示される化合物が式XVで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体である上記[37]記載の製造方法。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、式A、B、C、I〜VI、XIII、XIXおよびXXで示される化合物を各々化合物A、B、C、I〜VI、XIII、XIXおよびXXということがある。
本発明の化合物A、B、C、I〜VI、XIXおよびXXは、その立体は特に限定せず、各異性体およびそれらが任意の割合で混合した混合物等あらゆる態様を含む。
また、化合物XIII、XIVというときも特に言及しない限りその立体は特に限定せず、各異性体およびそれらが任意の割合で混合した混合物等あらゆる態様を含む。
本明細書における光学活性体とは、ラセミ体ではない(non−racemic)という意味で使用する。例えば、光学活性体にはS体70%とR体30%の混合物や、(S,S)体70%と(R,R)体30%の混合物のケースも含まれる。
【0063】
化合物Aとしては、化合物I、II、III、IV等が例示される。化合物Bとしては、化合物V、VI等が例示される。化合物Cとしては、化合物XIX、XX等が例示される。
相対立体配置が式A’で示される化合物としては、相対立体配置が式:
【0064】
【化95】
【0065】
[各式中、各記号は前述の意味を示す。]
で示される化合物等が例示される。
【0066】
相対立体配置が式B’で示される化合物としては、相対立体配置が式:
【0067】
【化96】
【0068】
[各式中、各記号は前述の意味を示す。]
で示される化合物等が例示される。
【0069】
絶対立体配置が式A’で示される好適な化合物としては、絶対立体配置が式:
【0070】
【化97】
【0071】
で示される化合物等が例示される。
【0072】
絶対立体配置が式C’で示される化合物としては、絶対立体配置が式XVII、XVIIIで示される化合物等が例示され、絶対立体配置が式C’で示される好適な化合物としては、絶対立体配置が式:
【0073】
【化98】
【0074】
[各式中、−Bnはベンジル基を示し、−t−Buはt−ブチル基を示す。]で示される化合物等が例示される。
【0075】
式CおよびC’で示される化合物の塩としては、例えば、塩基(有機アミン(例えばジベンジルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、(S)−フェネチルアミン等)、アルカリ金属(例えばカリウム、ナトリウム、リチウム等)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム等)、塩基性アミノ酸(例えばL−フェニルアラニンメチルエステル、グリシンメチルエステル等)との塩が挙げられ、好ましくは有機アミン、アルカリ金属との塩、特に好ましくはジベンジルアミン塩、カリウム塩である。有機アミン、塩基性アミノ酸は、ラセミ体であっても光学異性体であってもよい。
【0076】
相対立体配置が、式A’で示される化合物とは、絶対立体配置が式A’で示される化合物またはその鏡像体、または絶対立体配置が式A’で示される化合物とその鏡像体が任意の割合で混ざった混合物(ラセミ体を含む。)をいう。
【0077】
相対立体配置が式B’で示される化合物、式VIIで示される相対立体配置を有する化合物、式XVで示される相対立体配置を有する化合物等についても前記相対立体配置が、式A’で示される化合物におけると同様の意味を示す。
【0078】
式A、B、C、A’、B’、C’、I、IV、VI、VII、X、XII、XIII、XVI〜XX中、R、R’、R’’’、PG、PG’で示されるヒドロキシル基の保護基は、例えば、ベンジル基、t−ブチル基、1−エトキシエチル基、3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基、トリフェニルメチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、トリエチルシリル基、トリn−ブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられ、R、PGとしてはベンジル基、t−ブチル基、トリフェニルメチル基が好ましく、R’、PG’としては1−エトキシエチル基、3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基が好ましい。R’’’としてはベンジル基、t−ブチル基が好ましい。
ただし、式Aにおいて、R’が水素原子であり、Rがヒドロキシル基の保護基であり、かつ化合物Aの相対立体配置がsynであるとき、すなわち、化合物Aの相対立体配置が
【0079】
【化99】
【0080】
で示されるときは、Rはベンジル基以外のヒドロキシル基の保護基を示す。
式A、B、A’、B’、III、V、IX、XI中、R1、R2で示される低級アルキル基は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖または分枝鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、R1、R2はそれぞれメチル基が好ましい。
式A、B、A’、B’、III、V、IX、XI中、R1、R2で示される低級アルコキシル基は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の直鎖または分枝鎖のアルコキシル基が挙げられ、具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
【0081】
式C、C’、XIII、XVI、XVIIおよびXIX中、R3、R’’で示される低級アルコキシル基は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルコキシル基が挙げられ、具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基が挙げられる。
式C、C’、XIII、XVI、XVIIおよびXIX中、R3、R’’で示される低級アルキルチオ基は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルキルチオ基が挙げられ、具体的には例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
【0082】
以下、本発明の化合物XIV、式XVで示される化合物の製造方法について詳細に説明する。下記のスキーム1に化合物XIVの製造方法を示す。特に、相対立体配置または絶対立体配置が式XVで示される化合物の製造方法をスキーム2に示す。
【0083】
【化100】
【0084】
【化101】
【0085】
化合物 XIII から化合物Iの製造
原料である化合物XIIIは、公知の方法(例えばHeterocycles 26, 2841 (1987)、USP5399722等に記載の方法等)により得ることができる。
光学活性体である化合物XIIIは、例えば化合物XIIIのR体(本明細書において式XVIで示される絶対立体配置を有する化合物ともいう。)は、例えばHeterocycles 26, 2841(1987) に記載の方法等に従って得ることができ、S体(本明細書において式XVIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体ともいう。)は、例えばUSP5399722に記載の方法等に従って得ることができる。
【0086】
化合物Iは化合物XIIIをヒドロキシエチル化した後、環化して得ることができる。例えば、化合物XIIIを、塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等、好ましくはリチウムジイソプロピルアミド)添加下に、2−(1−エトキシエトキシ)エチルハライド、2−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチルハライド、2−ビニルオキシエチルハライド、2−(t−ブトキシ)エチルハライド、2−トリメチルシリルオキシエチルハライド、2−トリエチルシリルオキシエチルハライド、2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチルハライドまたはエチレンオキシド等と反応させた後、環化して得ることができる。
【0087】
塩基の使用量は、通常化合物XIII1モルに対して、1.8〜2.8モル、好ましくは2〜2.4モルである。
【0088】
2−(1−エトキシエトキシ)エチルハライドとしては、例えば2−(1−エトキシエトキシ)エチルヨージド、2−(1−エトキシエトキシ)エチルブロミド等が挙げられ、2−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチルハライドとしては、例えば2−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチルヨージド、2−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチルブロミド等が挙げられ、2−ビニルオキシエチルハライドとしては、例えば2−ビニルオキシエチルヨージド、2−ビニルオキシエチルブロミド等が挙げられ、2−(t−ブトキシ)エチルハライドとしては、例えば2−(t−ブトキシ)エチルヨージド、2−(t−ブトキシ)エチルブロミド等が挙げられ、2−トリメチルシリルオキシエチルハライドとしては、例えば2−トリメチルシリルオキシエチルヨージド、2−トリメチルシリルオキシエチルブロミド等が挙げられ、2−トリエチルシリルオキシエチルハライドとしては、例えば2−トリエチルシリルオキシエチルヨージド、2−トリエチルシリルオキシエチルブロミド等が挙げられ、2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチルハライドとしては、例えば2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチルヨージド、2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチルブロミド等が挙げられる。上記ヒドロキシエチル化の試薬の中でも2−(1−エトキシエトキシ)エチルヨージド、2−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチルヨージド、2−ビニルオキシエチルヨージド、2−(t−ブトキシ)エチルヨージド、2−トリメチルシリルオキシエチルヨージド、2−トリエチルシリルオキシエチルヨージド、2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチルヨージド、エチレンオキシドが好ましい。
【0089】
上記2−(1−エトキシエトキシ)エチルハライド等のヒドロキシエチル化の試薬の使用量は、通常化合物XIII1モルに対して、0.8〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
【0090】
本反応はテトラヒドロフラン(THF)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル等の反応溶媒中で行い、好ましくはTHF、MTBE中で行う。反応溶媒の使用量は、化合物XIII1kgに対して、1〜50L、好ましくは3〜20Lである。
【0091】
反応温度は通常−30〜60℃、好ましくは0〜30℃であり、反応時間は通常1時間〜48時間、好ましくは3時間〜24時間である。
【0092】
上記ヒドロキシエチル化の試薬は、公知の方法で製造することができる。例えば、2−(1−エトキシエトキシ)エチルヨージドは、2−ヨウ化エタノールとエチルビニルエーテルとをp−トルエンスルホン酸存在下に混合して製造でき;2−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチルヨージドは、3,4−ジヒドロ−2H−ピランと2−ヨウ化エタノールをp−トルエンスルホン酸存在下に混合して製造でき;2−ビニルオキシエチルヨージドは、2−ビニルオキシエタノールとp−トルエンスルホニルクロリドをトリエチルアミン存在下に反応させた後ヨウ化ナトリウムを炭酸水素ナトリウム存在下に混合して製造でき;2−(t−ブトキシ)エチルヨージドは、イソブチレンと2−ヨウ化エタノールをトリフルオロメタンスルホン酸存在下に混合して製造でき;2−トリメチルシリルオキシエチルヨージドは、トリメチルシリルクロリドと2−ヨウ化エタノールをイミダゾール存在下に混合して製造でき;2−トリエチルシリルオキシエチルヨージドは、トリエチルシリルクロリドと2−ヨウ化エタノールをイミダゾール存在下に混合して製造でき;2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチルヨージドは、t−ブチルジメチルシリルクロリドと、2−ヨウ化エタノールをイミダゾール存在下に混合して製造できる。
【0093】
化合物Iは、常法により単離することができ、例えば、反応液を塩酸水に注ぎ込み、これを分液して得られた有機層をアルカリ水溶液で洗浄後、溶媒を留去することにより単離することができる。さらに、単離物は、完全に環化させるため、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒下、溶媒中反応させた後、再度常法により後処理することもできる。得られた単離物は、さらに常法により精製することもできるが、精製することなく次の反応に付してもよい。
【0094】
上記の方法により得られる化合物Iは、大部分が式VIIで示される相対立体配置を有する化合物として得られるが、さらにこれを例えばジイソプロピルエーテルから再結晶することで式VIIで示される相対立体配置を有する化合物をより純粋に得ることができる。
光学活性体である化合物XIIIを原料として使用して上記の方法を行うことで、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物またはその鏡像体を得ることができる。光学活性体には、化合物XIIIのS体、R体、およびラセミ体を除くS体とR体の混合物が含まれるが、このうち、化合物XIIIのS体、すなわち、式XVI:
【0095】
【化102】
【0096】
[式中、各記号は前述と同義を示す。]で示される化合物を原料として用いれば、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物が得られ、化合物XIIIのR体、すなわち、式:
【0097】
【化103】
【0098】
[式中、各記号は前述と同義を示す。]で示される化合物を原料として用いれば、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体が得られる。ラセミ体を除くS体とR体の任意の割合の混合物を原料として用いたときは、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物とその鏡像体の混合物が得られるが、上記の方法による反応生成物を例えばジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル等適当な溶媒を用いて再結晶に付すことによって、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物またはその鏡像体の一方の比率を上昇させることができる。
【0099】
化合物Iから化合物 XIV の製造
化合物XIVは、化合物Iに保護基を導入した後、還元、環化することで得ることができる。すなわち、例えば下記の(A)または(B)のいずれかの工程により行うことができる。
【0100】
工程(A):化合物Iを原料として化合物IIIを得、得られた化合物IIIを還元して、化合物Vを得、得られた化合物Vを脱保護および環化に付して、化合物XIVを得る工程、工程(B):化合物Iのヒドロキシル基を保護し、化合物IVを得、得られた化合物IVを還元して、化合物VIを得、得られた化合物VIを脱保護および環化に付して、化合物XIVを得る工程。
【0101】
工程(A)
化合物Iから化合物 III の製造
化合物IIIは、化合物Iを原料として、例えば次の2通りの方法で製造することができる:(1)化合物Iを脱保護して、化合物IIを得、得られた化合物IIにジオールの保護基を導入して化合物IIIを得る、(2)化合物Iから直接ジオールを保護して化合物IIIを得る。以下に、各方法について説明する。
【0102】
(1)化合物Iから化合物IIを経由して化合物IIIを製造する場合
化合物IIは、化合物Iを脱保護して得ることができる。脱保護試薬としては、化合物Iの保護基の種類によって適宜選択すればよく、保護基がt−ブチル基である場合は、例えば、化合物Iを、酸(例えばトリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂等、好ましくはトリフルオロ酢酸)を用いて、通常−20〜80℃、好ましくは0〜30℃で、通常1分〜5時間、好ましくは15分〜3時間反応させて脱保護することができる。酸は、化合物I1kgに対して、通常0.01〜10L、好ましくは0.1〜5L用いる。反応終了後、化合物IIは、酸を留去するか、または常法により中和後、有機溶媒で抽出し、溶媒を留去して単離することができる。
【0103】
また、保護基が、ベンジル基である場合は、例えば、化合物Iを溶媒(例えば、酢酸エチル、エタノール、メタノール、酢酸、THF等、好ましくは酢酸エチル、酢酸)中、触媒(例えばPd/C、Pd(OH)2等、好ましくはPd/C)を用い、通常−20〜100℃、好ましくは0〜50℃で、水素雰囲気下、通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間反応させて脱保護することができる。
溶媒の使用量は、化合物I1kgに対し、通常1〜50L、好ましくは3〜25Lである。還元触媒の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.00001〜0.5kg、好ましくは0.0001〜0.2kgである。
化合物IIは、触媒を濾過後、溶媒を留去して単離することができる。
【0104】
得られた化合物IIを化合物IIIに変換する際に使用する保護試薬は、保護基の構成要素であるR1およびR2の種類により異なり、例えば、R1およびR2が共にメチル基である場合、2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンを用いることができる。この場合、得られた化合物IIと2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンとを、酸(例えばp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、メタンスルホン酸、硫酸、酸性イオン交換樹脂、三フッ化ホウ素等、好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム)を用いて、通常−20〜100℃、好ましくは0〜50℃で、通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間反応させて保護することができる。R1およびR2が共に低級アルキル基である場合、上記の方法に準じて行うことができる。
【0105】
2,2−ジメトキシプロパン等の保護試薬の使用量は、通常化合物II1kgに対して、0.5〜50L、好ましくは3〜20Lである。酸の使用量は、化合物II1kgに対して、通常0.0001〜0.5kg、好ましくは0.0005〜0.2kgである。
【0106】
化合物IIIは、常法により単離することができ、例えば、上記のように、酸を用いた場合には、反応液をアルカリ水溶液で中和し、これを分液して得られた有機層をアルカリ水溶液で洗浄後、溶媒を留去することにより単離することができる。単離物は、常法により精製することもできるが、精製することなく次の反応に付してもよい。
【0107】
(2)化合物Iから直接化合物IIIを製造する場合
化合物Iの脱保護とジオール基の保護を同時に行って直接化合物IIIを得ることができる。当該方法では上記方法(1)で用いる脱保護試薬と保護試薬とを同時に添加することにより行うことができるが、その試薬は脱保護すべき基およびジオールの保護基の種類によって適宜選択する。以下に、化合物Iにおける脱保護されるべき基がベンジル基であり、ジオールの保護基がジメチルメチレン基である場合について例にとって説明するが、本発明はこの方法に何ら限定されるものではない。
【0108】
例えば、化合物Iの保護基がベンジル基であり、ジオールの保護基がジメチルメチレン基である場合、化合物Iと、保護試薬である2,2−ジメトキシプロパンおよび/またはアセトンとを、溶媒(例えば、THF、酢酸エチル等、好ましくはTHF)中、または溶媒を使用せずに、触媒(例えばPd/C、Pd(OH)2等、好ましくはPd/C)および酸性イオン交換樹脂(例えばアンバーリスト15E(Rohm & Haas社製)、Nafion SAC13(Dupont社製)等)または酸(例えば、リン酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、三フッ化ホウ素、オキシ塩化リン等)を用い、通常−20〜100℃、好ましくは0〜50℃で、水素雰囲気下、通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間反応させて化合物IIIを得ることができる。
【0109】
2,2−ジメトキシプロパン等の保護試薬の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.5〜100L、好ましくは1〜50Lである。還元触媒の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.0001〜0.5kgである。酸性イオン交換樹脂の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.001〜0.5kg、好ましくは0.005〜0.1kgである。その他の酸を用いる場合、酸の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.00001〜0.1kg、好ましくは0.0001〜0.01kgである。溶媒を用いる場合、溶媒の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.5〜50L、好ましくは1〜25Lである。
【0110】
化合物IIIは、触媒を濾過後、溶媒を留去して単離することができる。単離物は、常法により精製することもできるが、精製することなく次の反応に付してもよい。
【0111】
保護基の構成要素である、R1が水素原子であり、R2が低級アルキル基またはフェニル基である場合は、上記(1)(2)の2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンのかわりにアルカナールまたはベンズアルデヒド、および/または、アルカナールまたはベンズアルデヒドのアセタール(例えば、ジメチルアセタール等)を用いて上記(1)(2)と同様に反応させることができる。
R1が低級アルキル基またはフェニル基であり、R2が低級アルキル基またはフェニル基である場合は、一般に上記(1)(2)の2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンのかわりにR1COR2および/またはそのアセタール(例えば、ジメチルアセタール等)を用いて上記(1)(2)と同様に反応させることができる。
R1が低級アルキル基またはフェニル基であり、R2が低級アルコキシル基である場合は、上記(1)(2)の2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンのかわりにトリアルキルオルソアルカノエート(例えば、MeC(OEt)3等)またはトリアルキルオルソベンゾエートを用いて上記(1)(2)と同様に反応させることができる。
R1が水素原子であり、R2が低級アルコキシル基である場合は、上記(1)(2)の2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンのかわりにトリアルキルオルソホルメートを用いて上記(1)(2)と同様に反応させることができる。
R1およびR2が低級アルコキシル基である場合は、上記(1)(2)の2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンのかわりにテトラアルキルオルソカーボネートを用いて上記(1)(2)と同様に反応させることができる。
【0112】
式VIII、IXで示される相対立体配置を有する化合物は、式VIIで示される相対立体配置を有する化合物を原料として上記(1)または(2)の方法に準じて製造することができる。
式VIII、式IXで示される絶対立体配置を有する化合物は、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として上記(1)または(2)の方法に準じて製造することができる。式VIII、式IXで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体は、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を原料として上記(1)または(2)の方法に準じて製造することができる。
【0113】
化合物 III から化合物Vの製造
化合物Vは、化合物IIIを還元して得ることができる。還元反応は、ラクトンをラクトールに還元するのに用いる通常の方法で行うことができ、例えば、還元剤(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ビス2−メトキシエトキシアルミニウムナトリウム、水素化リチウムトリt−ブトキシアルミニウム等、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化リチウムトリt−ブトキシアルミニウム)を用い、溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン、THF、MTBE等、好ましくはジクロロメタン、トルエン、THF)中、−100〜50℃、好ましくは−80〜0℃で、10分〜6時間、好ましくは15分〜3時間反応させて行うことができる。
【0114】
還元剤の使用量は、化合物III1モルに対し、通常0.8〜1.5モル、好ましくは1〜1.2モルである。溶媒の使用量は、化合物III1kgに対し、通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
【0115】
化合物Vは常法により単離することができ、例えば、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、これを分液して得られた有機層を硫酸マグネシウム等で脱水し、濾過し、溶媒を留去することにより単離することができる。単離物は、常法により精製することもできるが、精製することなく次の反応に付してもよい。
【0116】
式XIで示される相対立体配置を有する化合物は、式IXで示される相対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
式XIで示される絶対立体配置を有する化合物は、式IXで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。式XIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体は、式IXで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
【0117】
化合物Vから化合物 XIV の製造
化合物XIVは、化合物Vを脱保護および環化に付すことにより得ることができる。例えば、化合物Vを、溶媒(例えば、THF、1,4−ジオキサン、MTBE、ジn−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、トルエン等、好ましくはTHF、トルエン)中、酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂等、好ましくは塩酸、硫酸)を用いて、通常−30〜100℃、好ましくは0〜40℃で、通常1分〜24時間、好ましくは1分〜5時間、さらに好ましくは10分〜3時間反応させて脱保護、環化させることができる。
【0118】
脱保護および環化に用いる酸の使用量は、化合物V1kgに対して、通常0.001〜10L、好ましくは0.01〜2Lである。脱保護および環化に用いる溶媒の使用量は、化合物V1kgに対して、通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
【0119】
化合物XIVは、常法により単離することができ、反応終了後、例えば、反応液をアルカリ水溶液を用いて中和後、分液し、得られた有機層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム等で脱水し、溶媒を留去することにより単離することができる。単離物は、さらに常法により精製することもできる。
【0120】
式XVで示される相対立体配置を有する化合物は、式XIで示される相対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
式XVで示される絶対立体配置を有する化合物は、式XIで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。式XVで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体は、式XIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
【0121】
工程(B)
化合物Iから化合物 IV の製造
化合物IVは、化合物Iのヒドロキシル基を保護して得ることができる。ヒドロキシル基の保護反応は、保護基の種類によって異なり、保護基の種類により反応条件や保護試薬を適宜選択することによって、化合物Iのヒドロキシル基を保護することができる。例えば、化合物Iのヒドロキシル基を1−エトキシエチル基で保護する場合、例えば、化合物Iを溶媒(例えば、THF、MTBE、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン等、好ましくはTHF、MTBE、ジクロロメタン)中、酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、メタンスルホン酸、硫酸、三フッ化ホウ素、オキシ塩化リン、酸性イオン交換樹脂等、好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム)存在下、保護試薬であるエチルビニルエーテルと、通常−30〜80℃、好ましくは0〜40℃で、10分〜10時間、好ましくは30分〜3時間反応させて行うことができる。
【0122】
エチルビニルエーテル等の保護試薬の使用量は化合物I1モルに対して通常0.8〜3モル、好ましくは1〜1.5モルである。酸の使用量は、化合物I1kgに対して、通常0.00001〜0.2kg、好ましくは0.0001〜0.1kgである。溶媒の使用量は、化合物I1kgに対して、通常1〜50L、好ましくは3〜40Lである。
【0123】
化合物IVは、常法により単離することができ、例えば、反応液をアルカリ水溶液を用いて中和後、分液し、得られた有機層をアルカリ水溶液で洗浄後、溶媒を留去することにより単離することができる。単離物は、常法により精製することもできるが、精製することなく次の反応に付してもよい。
【0124】
式Xで示される相対立体配置を有する化合物は、式VIIで示される相対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
式Xで示される絶対立体配置を有する化合物は、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。式Xで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体は、式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
【0125】
化合物 IV から化合物 VI の製造
化合物VIは、化合物IVを還元して得ることができる。還元反応は、ラクトンをラクトールに還元するのに用いる通常の方法で行うことができ、例えば、還元剤(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ビス2−メトキシエトキシアルミニウムナトリウム、水素化リチウムトリt−ブトキシアルミニウム等、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化リチウムトリt−ブトキシアルミニウム)を用い、溶媒(例えば、トルエン、THF、MTBE、ジクロロメタン等、好ましくはトルエン、THF)中、−100〜50℃、好ましくは−80〜0℃で、10分〜6時間、好ましくは15分〜3時間反応させて行うことができる。
【0126】
還元剤の使用量は、化合物IV1モルに対し、通常0.8〜1.5モル、好ましくは1〜1.2モルである。溶媒の使用量は、化合物IV1kgに対し、通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
【0127】
化合物VIは、常法により単離することができ、例えば、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、硫酸マグネシウム等で脱水し、濾過し、溶媒を留去することにより単離することができる。単離物は、常法により精製することもできるが、精製することなく次の反応に付してもよい。
【0128】
式XIIで示される相対立体配置を有する化合物は、式Xで示される相対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
式XIIで示される絶対立体配置を有する化合物は、式Xで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。式XIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体は、式Xで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
【0129】
化合物 VI から化合物 XIV の製造
化合物XIVは、化合物VIを脱保護および環化に付すことにより得ることができる。反応条件は保護基PG、PG’の種類によって異なり、例えば、保護基PGおよびPG’がそれぞれベンジル基および1−エトキシエチル基である場合、化合物VIを、溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸、エタノール、メタノール、THF、メチルイソブチルケトン等、好ましくは酢酸エチル、THF、エタノール)中、触媒(例えば、Pd/C、Pd(OH)2等、好ましくはPd/C)を用い、通常−30〜100℃、好ましくは0〜60℃で、水素雰囲気下、15分〜12時間、好ましくは0.5〜6時間反応させてベンジル基を脱保護することができる。
【0130】
ベンジル基の脱保護に用いる触媒の使用量は、化合物VI1kgに対して、通常0.0001〜0.5kgであり、溶媒の使用量は、化合物VI1kgに対して、通常0.5〜50L、好ましくは2〜20Lである。
【0131】
次いで触媒を濾過後、溶媒を留去し、得られた反応混合物を、溶媒(例えば、THF、MTBE、酢酸エチル、エタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、トルエン等、好ましくはTHF、エタノール、メタノール)中、酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、酸性イオン交換樹脂等、好ましくは塩酸)を用いて、通常−30〜100℃、好ましくは0〜60℃で、10分〜6時間、好ましくは30分〜3時間反応させて、1−エトキシエチル基の脱保護および環化をさせることができる。
【0132】
1−エトキシエチル基の脱保護および環化に用いる酸の使用量は、化合物VI1kgに対して、通常0.001〜10L、好ましくは0.01〜2Lであり、溶媒の使用量は、化合物VI1kgに対して、通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
【0133】
化合物XIVは、常法により単離することができ、例えば、反応液に無水炭酸カリウム等の塩基を用いて中和後、溶媒を留去することにより単離することができる。単離物は、常法により精製することもできる。
【0134】
式XVで示される相対立体配置を有する化合物は、式XIIで示される相対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
式XVで示される絶対立体配置を有する化合物は、式XIIで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として上記の方法に準じて製造することができる。式XVで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体は、式XIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を原料として上記の方法に準じて製造することができる。
【0135】
次に、化合物XIIIから、上記化合物XIVの製造方法の中間体である化合物Iまたは化合物IIIの製造に関する他法を詳細に説明する。下記のスキーム3に化合物Iおよび化合物IIIの製造方法を示す。特に、絶対立体配置が式VIIおよび式IXで示される化合物の製造方法をスキーム4に示す。スキーム3に示すように、本製造方法は、化合物XIIIを原料として、化合物XIXおよび化合物XXを経由することを特徴とする。以下に各工程について詳述する。
【0136】
【化104】
【0137】
【化105】
【0138】
化合物 XIII から化合物 XIX の製造
化合物XIXは化合物XIIIをヒドロキシエチル化(R’’’O−CH2CH2−基(式中、R’’’は前記と同様である。)の導入)して得ることができる。例えば、化合物XIIIを、塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等、好ましくはリチウムジイソプロピルアミド)添加下に、式:R’’’O−CH2CH2−Xで表される化合物(式中、R’’’は前記と同様であり、Xは脱離基を示す。)と反応させて得ることができる。
【0139】
式R’’’O−CH2CH2−X中、脱離基Xとしては、例えばハロゲン原子(例えばヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。)、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはヨウ素原子であり、R’’’としては、前記化合物C、C’、XVII〜XXについて例示したものと同様のものが挙げられ、好ましくはベンジル基、t−ブチル基である。式R’’’O−CH2CH2−Xで表される化合物としては、2−ベンジルオキシエチルヨージド、2−t−ブトキシエチルヨージドが好ましい。
【0140】
塩基の使用量は、通常化合物XIII1モルに対して、通常0.9〜1.5モル、好ましくは1.0〜1.3モルである。
【0141】
式R’’’O−CH2CH2−Xで表される化合物の使用量は、化合物XIII1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは1.0〜1.6モルである。
【0142】
化合物XIXの製造はテトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン、ジn−ブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、トルエン等の反応溶媒中で行い、好ましくはTHF、ヘキサン中で行う。反応溶媒の使用量は、化合物XIII1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは3〜30Lである。
【0143】
反応温度は通常−100〜70℃、好ましくは−80〜40℃であり、反応時間は通常0.5〜48時間、好ましくは3〜24時間である。
【0144】
式R’’’O−CH2CH2−Xで表される化合物は、公知の方法で製造することができる。例えば、2−ベンジルオキシエチルヨージドは、2−ベンジルオキシエタノールをトリエチルアミン等の触媒存在下にメタンスルホニルクロリドと反応させて得られる2−ベンジルオキシエチルメタンスルホナートをヨウ化ナトリウムと反応させて製造でき、2−t−ブトキシエチルヨージドは、上記2−ベンジルオキシエタノールの代わりに2−t−ブトキシエタノールを用いて製造できる。
【0145】
化合物XIXは、定法により単離することができ、例えば、反応液を塩酸水に注ぎ込み、これを分液して得られた有機層をアルカリ水溶液で洗浄後、溶媒を留去することにより単離することができる。
【0146】
原料として絶対立体配置が式XVIで示される化合物を使用して、上記の方法を行うときは、式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)が得られる。一方、原料として絶対立体配置が式XVIで示される化合物の鏡像体を使用して、上記の方法を行うときは、式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)が得られる。
【0147】
式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物を主に含むジアステレオマー混合物、または式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を主に含むジアステレオマー混合物は、HPLCにより単離し、純粋な式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物または純粋な式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を得ることもできるが、単離せずにジアステレオマー混合物を次の反応に付してもよい。
【0148】
化合物 XIX から化合物 XX の製造
化合物XXは化合物XIXを加水分解して得ることができる。加水分解は、例えば、化合物XIXを塩基(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等、好ましくは水酸化カリウム)を用いて通常−20〜120℃、好ましくは20〜100℃で、通常0.5〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させて行うことができる。
【0149】
加水分解に用いる塩基の使用量は、例えば塩基が水酸化カリウムであるとき、化合物XIX1モルに対して、通常1〜50モル、好ましくは1.2〜10モルである。
【0150】
加水分解は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、水等の反応溶媒中で行い、好ましくはメタノールと水の混合溶媒中で行う。反応溶媒の使用量は、化合物XIX1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは5〜50Lである。
【0151】
化合物XXは、定法により単離することができ、例えば加水分解後、酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸等、好ましくは塩酸)を用いて、反応溶液を通常pH0〜7、好ましくはpH0.1〜3とし、これを分液して得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去することにより単離することができる。
【0152】
原料として前述の方法により得られる式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)を使用して、上記の方法を行うときは、式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)が得られる。一方、原料として式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)を使用して、上記の方法を行うときは、式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)が得られる。
【0153】
このように上記加水分解による生成物がジアステレオマー混合物として得られる場合、加水分解後に、有機アミンを添加して化合物XXの有機アミン塩を生成させ、得られた塩を再結晶に付せばさらに純度は向上する。
【0154】
用いられる有機アミンとしては、ジベンジルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、(S)−フェネチルアミン等が挙げられ、ジベンジルアミンが好ましい。有機アミンの使用量は、化合物XX1モルに対して通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.3モルである。有機アミン塩の形成は、エタノール、メタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、t−ブチルアルコール、メチルt−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、水等の反応溶媒中で行い、好ましくはエタノール中で行う。反応溶媒の使用量は、化合物XX1kgに対して通常1〜100L、好ましくは3〜30Lである。
【0155】
有機アミン塩の生成は、通常20〜100℃、好ましくは40〜80℃まで加熱した後、通常−20〜40℃、好ましくは−10〜25℃まで冷却することにより行うことができる。
【0156】
得られた有機アミン塩の再結晶に用いられる溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテル、水等が挙げられ、エタノールが好ましい。当該溶媒の使用量は有機アミン塩1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは3〜30Lである。
【0157】
フリーの化合物XXは、得られた化合物XXの有機アミン塩を定法、例えば、酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸等、好ましくは塩酸)を用いて、反応溶液を通常pH0〜7、好ましくはpH0.5〜4とし、これを分液して得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去することにより、得ることができる。
【0158】
式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)と有機アミンとの塩を生成させることで、高立体選択的に光学純度よく、立体的にほぼ純粋な式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物またはその塩を得ることができる。一方、式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を主に含むジアステレオマー混合物(アンチ体を多く含みシン体を少量含む)と有機アミンとの塩を生成させることで、高立体選択的に光学純度よく、立体的にほぼ純粋な式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体またはその塩を得ることができる。
【0159】
化合物 XX から化合物 III の製造
化合物Iは化合物XXのPGおよびR’’’を脱保護した後、ラクトン化、およびアセタール化もしくはケタール化して得ることができる。これらの工程は別々に行ってもよいが同時に行うのが簡便で好ましい。化合物XXのPGおよびR’’’の脱保護、ラクトン化、およびアセタール化もしくはケタール化を、同時に行って化合物IIIを得る場合、例えば、アセタール化試薬またはケタール化試薬(すなわち、ジオールの保護試薬)の添加下、触媒(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂(Amberlyst 15(Dry))、リン酸、硫酸、塩酸等の酸触媒と、パラジウム炭素、水酸化パラジウム等の還元触媒を共存させ、好ましくは強酸性陽イオン交換樹脂(Amberlyst 15(Dry))とパラジウム炭素の組合せが挙げられる)を用いて、水素雰囲気下で、好ましくは硫酸マグネシウム等の脱水剤を添加して、通常−20〜100℃、好ましくは0〜60℃で、通常0.5〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させる。
【0160】
アセタール化試薬またはケタール化試薬(ジオールの保護試薬)は、保護基の構成要素であるR1およびR2の種類により異なり、例えば、R1およびR2が共にメチル基である場合、2,2−ジメトキシプロパンまたはアセトンを用いることができる。
【0161】
2,2−ジメトキシプロパン等のアセタール化試薬またはケタール化試薬の使用量は、化合物XX1モルに対して、通常1〜30モル、好ましくは1〜10モルである。触媒の使用量は、酸触媒、還元触媒各々、化合物XX1kgに対して通常0.1〜500g、好ましくは1〜250gである。本反応は溶媒(例えば、トルエン、THF、ジクロロメタン等)中、または溶媒を使用せずに行うことができるが、溶媒を用いる場合、溶媒の使用量は化合物XX1kgに対して、通常1〜50L、好ましくは3〜30Lである。
【0162】
化合物IIIは、常法により単離することができ、例えば、反応液を濾過後、溶媒を留去し、アルカリ水溶液を注ぎ込み、これを分液して得られた有機層から溶媒を留去することにより単離することができる。
【0163】
原料として前述の方法により得られる立体的にほぼ純粋な式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物を使用して、上記の方法を行うことで、高立体選択的に光学純度よく式IXで示される絶対立体配置を有する化合物を得ることができる。また、得られた高立体選択的で光学純度の高い式IXで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として、例えば前述した化合物IIIから化合物Vの製造方法を行うことで、高立体選択的に光学純度よく式XIで示される絶対立体配置を有する化合物を得ることができ、さらに、得られた高立体選択的で光学純度の高い式XIで示される絶対立体配置を有する化合物を原料として、例えば前記した化合物Vから化合物XIVの製造方法を行うことで、高立体選択的に光学純度よく式XVで示される絶対立体配置を有する化合物を得ることができる。一方、原料として立体的にほぼ純粋な式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を使用して、上記の方法を行うことで、高立体選択的に光学純度よく式IXで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体、式XIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体および式XVで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を得ることができる。
【0164】
化合物 XX から化合物 I の製造
化合物Iは化合物XXのR’’’を脱保護した後、ラクトン化して得ることができる。これらの工程は別々に行ってもよいが、同時に行うのが簡便で好ましい。R’’’の脱保護およびラクトン化を同時に行って化合物Iを得る場合、例えば、酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸)を添加して反応させる。
【0165】
酸の使用量は、化合物XX1モルに対して、通常0.0005〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.5モルである。
【0166】
化合物Iの製造は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、メチルt−ブチルエーテル等の反応溶媒中で行い、好ましくはTHF中で行う。反応溶媒の使用量は、化合物XX1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは3〜30Lである。
【0167】
反応温度は通常−30〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間は通常0.5〜96時間、好ましくは3〜72時間である。
【0168】
化合物Iは、定法により単離することができ、例えば反応液の溶媒留去後、アルカリ水溶液を注ぎ込み、分液して得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去することにより単離することができる。
【0169】
原料として前述の方法により得られる立体的にほぼ純粋な式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物を使用して、上記の方法を行うことで、高立体選択的に光学純度よく式VIIで示される絶対配置を有する化合物を得ることができる。一方、原料として立体的にほぼ純粋な式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を使用して、上記の方法を行うことで、高立体選択的に光学純度よく式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体を得ることができる。
【0170】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、*は相対立体配置を示し、(±)はラセミ体を示す。
【0171】
実施例1 (1’R*,2S*)−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)−1’−ヒト゛ロキシエチル]−4−フ゛タノリト゛の製造(式VIIで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
Heterocycles 26, 2841 (1987)記載の方法に従って合成できる、4−t−フ゛トキシアセト酢酸エチル 20.0gをメタノール150mLに溶解させた後、5−15℃で水素化ホウ素ナトリウム1.68gを添加し、1時間攪拌した後、水100mLを加えた。大部分の溶媒を留去し、MTBE 150mLで2回抽出した有機層を水でよく洗浄した後、MTBEを留去することによって (±)−4−t−フ゛トキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチル 16.9gを得た。リチウムシ゛イソフ゜ロヒ゜ルアミト゛1.5Mシクロヘキサン溶液73mLをTHF 100mL中に加えた溶液中に、(±)−4−t−フ゛トキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチル 10.66gのTHF(30mL)溶液を‐58℃〜−48℃で加えた後、−20℃まで昇温した。別途、2−ヨウ化エタノール21.5gとエチルヒ゛ニルエーテル 11.4gをp−トルエンスルホン酸1水和物 10mg存在下混合することにより調製した2−(1−エトキシエトキシ)エチルヨーシ゛ト゛19.1gのうち15.3gを−20℃〜0℃付近で滴下し、後終夜室温で攪拌した。反応液は1N塩酸水100mLにあけ、MTBE100mLを加え、抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、溶媒を留去した。残渣にエタノール150mL及びp‐トルエンスルホン酸1水和物1.3gを加え、室温で6時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた後、溶媒を大部分留去し、MTBE100mLで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mLで洗浄し、硫酸マク゛ネシウム上で脱水した後、溶媒を留去した。残渣をヘフ゜タン/酢酸エチル(3:1)を溶出液とするフラッシュクロマトク゛ラフィーに附し、表題化合物2.0gを淡黄色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3、δppm): 1.20 (3H, s), 2.17−2.28 (1H, m), 2.37− 2.44 (1H, m), 2.77−2.82 (1H, m), 3.38 (1H (−OH), d, J=2 Hz), 3.49 (1H, dd, J=9Hz, J=4 Hz), 3.56 (1H, dd, J=9 Hz, J=6 Hz), 3.90− 3.96 (1H, m), 4.22− 4.28 (1H, m), 4.39−4.45 (1H, m).
【0172】
実施例2 (1’R*, 2S*)−2−(1’,2’−シ゛ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛の製造(式VIIIで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(1’R*,2S*)−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)−1’−ヒト゛ロキシエチル]−4−フ゛タノリト゛1.3gをトリフルオロ酢酸4mL中に加え、氷浴中で90分攪拌した後、そのままトリフルオロ酢酸を減圧で留去することにより、表題化合物1.0gを得た。
1H−NMR(CDCl3、δppm):2.10−2.20 (1H, m), 2.37−2.44 (1H, m), 2.80−2.87 (1H, m), 3.6−3.8 (1H(−OH), br), 3.67 (1H, dd, J=12Hz, J=6Hz), 3.75 (1H, dd, J=12Hz, J=3Hz), 3.86−3.90 (1H, m), 4.24−4.30 (1H, m), 4.43 (1H, dt, J=9Hz, J=3Hz), 4.4−4.5 (1H(−OH), br).
【0173】
実施例3 (2S*, 4’R*)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛の製造(式IXで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(1’R*, 2S*)−2−(1’,2’−シ゛ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛1.0gに2,2−シ゛メトキシフ゜ロハ゜ン15mLを加え、p−トルエンスルホン酸1水和物50mgを加え、室温で2時間攪拌した。反応液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mLにあけ、MTBE50mLで2回抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でよく洗浄後、溶媒を留去することにより、表題化合物0.75gを得た。
1H−NMR(CDCl3、δppm):1.36 (3H, s), 1.42 (3H, s), 2.18−2.28 (1H, m), 2.37−2.47 (1H, m), 2.88−2.95 (1H, m), 3.97 (1H, dd, J=9 Hz, J=6 Hz), 4.08 (1H, dd, J=9 Hz, J=7 Hz), 4.19−4.36 (1H, m), 4.37−4.45 (1H, m), 4.45−4.49(1H, m).
【0174】
実施例4 (3S*, 4’R*)−3−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)テトラヒト゛ロフラン−2−オールの製造(式XIで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(2 S*, 4’ R*)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛400mgをシ゛クロロメタン4mLに溶解し、水素化シ゛イソフ゛チルアルミニウム1.0Mのトルエン溶液2.4mLを‐78℃付近で加え、同温で1時間攪拌した。反応液は飽和塩化アンモニウム水溶液2mLにあけ、MTBE7.5mLで抽出し、有機層を硫酸マク゛ネシウム上で脱水、濾過助剤(セライト、セライト社製)を少量いれてから濾過、溶媒を留去することにより、表題化合物340mgを得た。
1H−NMR(CDCl3、δppm):1.35 (3H, s), 1.44 (3H, s), 1.45−1.58 (1H, m), 1.78−1.85 (1H, m), 2.08−2.35 (2H, m), 3.62−3.72 (1H, m), 3.86−4.08 (3H, m),4.10−4.17 (0.5H, s), 4.27−4.33 (0.5H, m).
【0175】
実施例5 (3R*,3aS*,6aR*)−ヘキサヒト゛ロフロ [2,3,b]フラン−3−オールの製造(式XVで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(3S*,4’R*)−3−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)テトラヒト゛ロフラン−2−オール120mgをTHF 2mLに溶解させ、6N塩酸0.1mLを加え、室温で20分攪拌した。反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液2mLを加え酢酸エチル2mLで抽出し、10%食塩水2mLで洗浄後、硫酸マク゛ネシウム上で脱水し、溶媒を留去することにより表題化合物50mgを得た。1H−NMRから立体異性体のヒ゜ークは認められなかった。
1H−NMR(CDCl3、δppm):1.73 (1H (−OH), d, J=6Hz), 1.82−1.93 (1H, m), 2.28−2.34 (1H, m), 2.82−2.89 (1H, m), 3.65 (1H, dd, J=9 Hz, J=7 Hz), 3.88−3.94 (1H, m), 3.97−4.02 (2H, m), 4.42−4.49 (1H, m), 5.70 (1H, d, J=5 Hz).
【0176】
実施例6 (1’R*,2S*)−2−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−ヒト゛ロキシエチル]−4−フ゛タノリト゛の製造(式VIIで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
USP5399722記載の方法に従って合成できる、4−ヘ゛ンシ゛ルオキシアセト酢酸エチル 42.1gをメタノール300mLに溶解させた後、5−10℃で水素化ホウ素ナトリウム3.03gを添加し、1時間攪拌した後、水300mLを加えた。大部分の溶媒を留去し、MTBE 300mLで2回抽出した有機層を2%炭酸水素ナトリウム100mLで2回、飽和食塩水150mLで2回洗浄し、硫酸マク゛ネシウム上で脱水後、濾過し、MTBEを留去することによって (±)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチル 38.8gを得た。リチウムシ゛イソフ゜ロヒ゜ルアミト゛1.5Mシクロヘキサン溶液 190mLをTHF 200mL中に加えた溶液中に、(±)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチル 29.4gのTHF(50mL)溶液を‐78℃〜−60℃で加えた後、−20℃まで昇温した。別途、2−ヨウ化エタノール34.4gとエチルヒ゛ニルエーテル23.1gをp−トルエンスルホン酸1水和物20mgの存在下混合することにより調製した2−(1−エトキシエトキシ)エチルヨーシ゛ト゛47.9gのうち39.3gを−20℃〜0℃付近で滴下し、終夜室温で攪拌した。反応液は1N塩酸水450mLにあけ、MTBE200mLで2回抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、溶媒を留去した。残渣にメタノール300mL及びp‐トルエンスルホン酸1水和物5.3gを加え、室温で6時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン2.0gを加えた後、溶媒を大部分留去し、酢酸エチル300mLで抽出した。有機層を水150mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mLで洗浄し、硫酸マク゛ネシウム上で脱水した後、溶媒を留去した。残渣にシ゛イソフ゜ロヒ゜ルエーテル120mLを加え、再結晶することにより、表題化合物 5.65g(微黄色結晶)を得た。なお、syn体(1’R*,2R*体)のヒ゜ーク は下記条件においてNMR, HPLCともに検出されなかった。
1H−NMR(CDCl3、δppm): 2.06−2.17 (1H, m), 2.27− 2.33 (1H, m), 2.78− 2.85(1H, m), 3.62 (1H (−OH), br), 3.61−3.67 (2H, m), 3.97−4.01 (1H, m), 4.18− 4.24 (1H, m), 4.39 (1H, dt, J=9 Hz, J=3 Hz), 4.55 (1H, d, J=12 Hz), 4.63 (1H, d, J=12Hz), 7.26−7.37 (5H, m).HPLC条件: タ゛イセルChiralcel OD−H (0.46cmφx25cm,9/1 hexane/2−propanol;1ml/min, 254nm) syn−(1’R,2R) tr= 15min; syn−(1’S,2S) tr= 17min; anti−(1’R,2S)or anti−(1’S,2R) tr= 19min or tr= 24min.
【0177】
実施例7 (1’R*, 2S*)−2−(1’,2’−シ゛ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛の製造(式VIIIで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(1’R*,2S*)−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛2.00gを酢酸エチル 30mLに溶解し、10% Pd/C(エヌ・イーケムキャット製 含水PE−Type) 200mgを加え、常圧水素下、25℃付近で3時間攪拌した。触媒を濾過後、溶媒を留去することにより、表題化合物 1.27 gを得た。このもののスヘ゜クトルテ゛ータは実施例2のものと一致した。
【0178】
実施例8 (1’R*, 2S*)−2−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−(1’’−エトキシエトキシ)エチル]−4−フ゛タノリト゛の製造(式Xで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(1’R*, 2S*)−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛ 1.00 gをTHF 10mLとMTBE20mLの混合溶媒に溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物60 mgを加え、エチルヒ゛ニルエーテル1.1 gを滴下した。反応液は室温で3時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、MTBEで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でよく洗浄し、溶媒を留去することにより、表題化合物1.24 gを得た。
1H−NMR(CDCl3, δppm): 1.15(1.5H, t, J=7 Hz), 1.19(1.5H, t, J=7 Hz), 1.29(1.5H, d, J=6Hz), 1.31(1.5H, d, J=6 Hz), 2.17−2.37 (2H, m), 2.92−2.98(1H, m), 3.42−3.62(2H, m), 3.70−3.78(2H, m), 4.08−4.37(3H, m), 4.54(2H, s),4.82(1H, q, J=5Hz), 7.26−7.36(5H, m).
【0179】
実施例9 (1’R*, 3S*)−3−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−(1’’−エトキシエトキシ)エチル]テトラヒト゛ロフラン−2−オールの製造(式XIIで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(1’R*, 2S*)−2−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−(1’’−エトキシエトキシ)エチル]−4−フ゛タノリト゛1.22 gをトルエン10 mLに溶解し、水素化シ゛イソフ゛チルアルミニウム1.0 Mのトルエン溶液4.4 mLを−78℃付近で加え、同温で1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液5 mLを加え、硫酸マク゛ネシウムを添加してから、濾過助剤(セライト、セライト社製)上で濾過し、溶媒を留去することにより、表題化合物1.23 gを得た。
1H−NMR(CDCl3, δppm): 1.11−1.24(3H, m), 1.31(3H, d, J=5 Hz), 1.62−1.83 (2H, m), 2.00−2.08(0.5H, m), 2.20−2.38 (0.5H, m), 2.40−2.51(0.5H, m), 2.63−2.80(0.5H, m), 3.44−4.21(7H, m), 4.48−4.61(2H, m), 4.75−4.91(1H, m), 5.39−5.53(1H, m), 7.26−7.36(5H, m).
【0180】
実施例10 (3R*,3aS*,6aR*)−ヘキサヒト゛ロフロ [2,3,b]フラン−3−オールの製造(式XVで示される相対立体配置を有する化合物の製造)
(1’R*,3S*)−3−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−(1’’−エトキシエトキシ)エチル]テトラヒト゛ロフラン−2−オール 1.22 gを酢酸エチル20 mLに溶解し、10%Pd/C(エヌ・イーケムキャット製、含水PE−Type)242 mgを加え、常圧水素下、25℃付近で1時間攪拌した。触媒を濾過後、溶媒を留去し、THF 10 mL及び6N 塩酸0.05 mLを加え25℃付近で1時間攪拌した。反応液に無水炭酸カリウムを加えた後、溶媒を留去することにより、表題化合物0.49 gを得た。このもののスヘ゜クトルテ゛ータは実施例5のものと一致した。
【0181】
実施例11 (2 S*, 4’ R*)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛の製造(化合物VIIから直接化合物IXを製造する方法)
(1’ R*, 2 S*)−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛ 97 mgをアセトン 2.5 mLに溶解させ、2,2−シ゛メトキシフ゜ロハ゜ン 0.5 mL、10%Pd/C(エヌ・イーケムキャット製、含水PE−Type)48 mg及びイオン交換樹脂(アンハ゛ーリスト 15E(Dry) 、Rohm & Haas社製)を1 mg加え、常圧水素下、25℃付近で2時間攪拌した。触媒を濾過後、溶媒を留去することにより、表題化合物70 mgを得た。このもののスヘ゜クトルテ゛ータは実施例3のものと一致した。
【0182】
実施例12 (3S,3aR,6aS)−ヘキサヒト゛ロフロ [2,3,b]フラン−3−オールの製造
実施例6において (±)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチルの代わりに、例えばUSP5399722記載の方法に従って合成できる(S)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチルを用い、同様に行うことで、(1’S,2R)−2−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−ヒト゛ロキシエチル]−4−フ゛タノリト゛が製造でき、続いて実施例7を行うことで、(1’S, 2R)−2−(1’,2’−シ゛ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛が製造でき、続いて実施例3を行うことで (2R, 4’S)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛が製造でき、続いて実施例4を行うことで(3R, 4’S)−3−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)テトラヒト゛ロフラン−2−オールが製造でき、続いて実施例5を行うことで、(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒト゛ロフロ [2,3,b]フラン−3−オールがそれぞれ製造できる。
【0183】
実施例13 (3R,3aS,6aR)−ヘキサヒト゛ロフロ [2,3,b]フラン−3−オールの製造
実施例1において(±)−4−t−フ゛トキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチルの代わりに、例えばHeterocycles 26, 2841 (1987)記載の方法によって合成できる(R)−4−t−フ゛トキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチルを用いて同様に行うことで(1’R,2S)−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)−1’−ヒト゛ロキシエチル]−4−フ゛タノリト゛が製造でき、続いて実施例2を行うことで、(1’R, 2S)−2−(1’,2’−シ゛ヒト゛ロキシエチル)−4−フ゛タノリト゛が製造でき、続いて実施例3を行うことで (2S, 4’R)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛が製造でき、続いて実施例4を行うことで(3S, 4’R)−3−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)テトラヒト゛ロフラン−2−オールが製造でき、続いて実施例5を行うことで (3R,3aS,6aR)−ヘキサヒト゛ロフロ [2,3,b]フラン−3−オールがそれぞれ製造できる。
【0184】
参考例1 2‐ヘ゛ンシ゛ルオキシエチルヨーシ゛ト゛の製造
2‐ヘ゛ンシ゛ルオキシエタノール85.0 g及びトリエチルアミン73.5 gをTHF 500 mLに溶解し、0−10℃でメタンスルホニルクロリト゛76.8 gを滴下し、3時間攪拌した。反応液は、10%重曹水300 mLを流入後分液し、水相をMTBE300 mLで抽出したものと合わせ、10%重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マク゛ネシウム上で脱水、溶媒を留去することにより、2‐ヘ゛ンシ゛ルオキシエチルメタンスルホナート124.0 gを得た。2‐ヘ゛ンシ゛ルオキシエチルメタンスルホナート124.0 gをアセトン500 mLに溶解し、沃化ナトリウム130.0 gを加え、50−60℃で3時間攪拌した。反応液は濾過後、溶媒を留去、水300 mLを加え、トルエン300 mLで2回抽出した。トルエン相は、亜硫酸水素ナトリウム水溶液、水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マク゛ネシウム上で脱水後、溶媒を留去することにより表題化合物127.0 gを得た。
【0185】
実施例14 (2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル)フ゛タン酸エチルの製造(式XVIIで示される化合物の製造)
窒素気流下、シ゛イソフ゜ロヒ゜ルアミン 20.9 gにTHF140 mLを加えた溶液中に、15wt%n−フ゛チルリチウムのヘキサン溶液120 mLを−60〜−65℃で加え、さらにUSP5399722記載の方法によって合成できる(R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチル 20.0 g(99%ee以上)を−55℃〜−65℃で滴下した。反応液は−25℃まで昇温した後、1,3−シ゛メチル−3,4,5,6−テトラヒト゛ロ−2(1H)−ヒ゜リミシ゛ノン60 gを加え、さらに参考例1にしたがって合成した2−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチルヨーシ゛ト゛27 gを−15℃付近で滴下した。反応液は−15〜−10℃で23時間攪拌した後、2 mol/L塩酸水160 mLを加え、トルエン300 mLで2回抽出し、10%重曹水で洗浄後、溶媒を留去することにより、表題化合物とそのシ゛アステレオマーである(2R, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル)フ゛タン酸エチルを3:1の割合で含む混合物35.9 gを得た。一部を分取HPLCにより単離し、純粋な表題化合物を得た。
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル) フ゛タン酸エチルのNMRスヘ゜クトル1H−NMR(CDCl3, δ ppm) :1.19 (3H, t, J=7Hz), 1.84−1.92 (1H, m), 2.00−2.10(1H, m), 2.78−2.83 (1H, m), 3.43−3.57 (4H, m), 3.89−3.95 (1H, m), 4.08 (2H, q, J=7Hz), 4.47 (2H, s), 4.53 (2H, s), 7.24−7.36 (10H, m).
【0186】
実施例15 (2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル) フ゛タン酸の製造(式XVIIIで示される化合物またはその塩の製造)
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル) フ゛タン酸エチルとそのシ゛アステレオマーである(2R, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル) フ゛タン酸エチルを3:1の割合で含む混合物 27.0gをメタノール200 mLに溶解させ、10%水酸化カリウム水溶液57.8 gを加え、60℃で2時間加熱した。反応溶液に水600 mLを加え、トルエン200 mLで洗浄した後、2 mol/L塩酸水でpHを1にし、トルエン300 mLで3回抽出した。トルエン相は飽和食塩水300 mLで洗浄後濃縮した残さに、エタノール100 mLを加えた溶液を65℃まで加熱した後、シ゛ヘ゛ンシ゛ルアミン27.0gを加え冷却することにより得た塩を、エタノール273 mLから再結晶、さらにエタノール77 mLから再結晶することにより、99%de以上の表題化合物のシ゛ヘ゛ンシ゛ルアミン塩17.7 gを得た。
シ゛ヘ゛ンシ゛ルアミン塩のNMRスヘ゜クトル
1H−NMR(CDCl3, δ ppm) : 1.89−2.07 (2H, m), 2.67−2.72 (1H, m), 3.48−3.60 (4H, m), 3.78(4H, s), 3.87−3.91 (1H, m), 4.46 (2H, s), 6.4−6.7(3H, br), 7.22−7.36(20H, m).
このもの17.5 gを2 mol/L塩酸100 mLでpHを1以下にし、水相をトルエン150 mL、100 mLで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄後濃縮することにより、表題化合物9.4 gを得た。
1H−NMR(CDCl3, δ ppm) : 1.86−1.97 (1H, m), 1.99−2.08 (1H, m), 2.81−2.86 (1H, m), 3.50−3.61 (4H, m), 3.97−4.01 (1H, m), 4.49 (2H, s), 4.53 (2H, s), 7.24−7.35(10H, m).
旋光度 [α]D 26 −3.5° (C=4.0, MeOH)
【0187】
実施例16 (2S, 4’R)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛の製造(式IXで示される化合物の製造)
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−(2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシエチル)フ゛タン酸 8.36 gを2,2−シ゛メトキシフ゜ロハ゜ン80 mLに溶解させ、無水硫酸マク゛ネシウム 1.4 g, Amberlyst 15 (Dry) 1.3 g, 10%ハ゜ラシ゛ウム炭素1.7 gを常圧水素下で3時間反応させた。反応液は濾過後、溶媒を留去し、10%重曹水200 mLを加えた後、ヘフ゜タン100 mLで洗浄、酢酸エチル200 mLで3回抽出した。有機相を無水硫酸マク゛ネシウム上で脱水後、溶媒を留去することにより、表題化合物 3.0 gを得た。
このもののNMRスヘ゜クトルテ゛ータは実施例3のものと一致した。
旋光度 [α]D 28 +16.4° (C=4.0, MeOH)
【0188】
実施例17 (3S, 4’R)−3−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)テトラヒト゛ロフラン−2−オールの製造(式XIで示される化合物の製造)
(2S, 4’R)−2−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’] シ゛オキソラン−4’−イル)−4−フ゛タノリト゛2.7 gをトルエン30mLに溶解させ、‐78℃に冷却した後、1.0 M DIBAL−H トルエン溶液16 mLを加え、同温度で2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液25mL及びメチルtert−フ゛チルエーテル(MTBE)20 mLを加え、無水硫酸マク゛ネシウム10 g及びセライト5gを加え、濾過した。濾残は酢酸エチルでよく抽出し、濾液と合わせ、溶媒留去することにより、表題化合物2.4 gを得た。
このもののNMRスヘ゜クトルは実施例4のものと一致した。
【0189】
実施例18 (3R, 3aS, 6aR)−ヘキサヒト゛ロフロ[2,3,b]フラン−3−オールの製造(式XVで示される化合物の製造)
(3S, 4’R)−3−(2’,2’−シ゛メチル−[1’,3’]シ゛オキソラン−4’−イル)テトラヒト゛ロフラン−2−オール2.4 gをTHF20mLに溶解させ、2 mol/L塩酸3.2mLを加え、室温で16時間攪拌した。反応液に水30mL、炭酸水素ナトリウム5 gを加え、ヘフ゜タン15 mLで2回洗浄後、水相に食塩を飽和になるまで加え、酢酸エチル50 mLで10回抽出した。酢酸エチルを濃縮することにより、ほぼ純粋な表題化合物1.4 gを得た。
このもののNMRスヘ゜クトルテ゛ータは実施例5のものと一致した。
旋光度 [α]D 26 −12.0°(C=5.6, MeOH)
【0190】
実施例19
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル] フ゛タン酸エチルの製造(式XVIIで示される化合物の製造)
窒素気流下、シ゛イソフ゜ロヒ゜ルアミン23.4 gにTHF 200mLを加えた溶液中に、15wt%n−フ゛チルリチウムのヘキサン溶液140 mLを−60〜−65℃で加え、さらにUSP5399722記載の方法によって合成できる(R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシフ゛タン酸エチル25.0 g(99%ee以上)を−55℃〜−65℃で滴下した。反応液は−25℃まで昇温した後、2−t−フ゛トキシエチルヨーシ゛ト゛(2−ヘ゛ンシ゛ルオキシエタノールの代わりに2−t−フ゛トキシエタノールを原料にして参考例1にしたがって合成したもの)26.4 gを−20℃付近で滴下した。反応液は室温で24時間攪拌した後、2 mol/L塩酸水200 mLを加え、メチルt−フ゛チルエーテル(MTBE)250 mLで2回抽出し、10%重曹水で洗浄後、溶媒を留去することにより、表題化合物とそのシ゛アステレオマーである(2R, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル]フ゛タン酸エチルを約3:1の割合で含む混合物 35.9 gを得た。一部を分取HPLCにより単離し、純粋な表題化合物を得た。
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル] フ゛タン酸エチルのNMRスヘ゜クトル
1H−NMR(CDCl3, δ ppm) :1.15 (3H, s), 1.23 (3H, t, J=7Hz), 1.74−1.82 (1H,m), 1.93−2.02 (1H, m), 2.76−2.81 (1H, m), 3.30−3.62 (4H, m), 3.90−3.98 (1H, m), 4.11 (2H, q, J=7Hz), 4.54 (2H, s), 7.24−7.35 (5H, m).
【0191】
実施例20 (2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル] フ゛タン酸の製造(式XVIIIで示される化合物またはその塩の製造)
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル] フ゛タン酸エチルとそのシ゛アステレオマーである(2R, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル]フ゛タン酸エチルを3:1の割合で含む混合物 10.3 gをメタノール30 mLに溶解させ、20%水酸化カリウム水溶液13 gを加え、60℃で2時間加熱した。メタノールを留去した後、水200 mLを加え、トルエン100 mLで2回洗浄した後、2 mol/L塩酸水でpHを1にし、トルエン100 mLで2回抽出した。トルエン相は飽和食塩水100 mLで洗浄後濃縮した残さに、メタノール18 mLを加えた溶液を65℃まで加熱した後、シ゛ヘ゛ンシ゛ルアミン4.2 gを加え冷却することにより得た塩を、エタノール25 mLから再結晶、さらにエタノール77 mL、60 mLから再結晶することにより、99%de以上の表題化合物のシ゛ヘ゛ンシ゛ルアミン塩2.03 gを得た。このもの2.0 gを2 mol/L塩酸10 mLでpHを1以下にし、水相をトルエン20 mL、50 mLで抽出し、飽和食塩水で洗浄後濃縮することにより、表題化合物1.2 gを得た。
【0192】
実施例21 (1’R, 2S)−2−[2’−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−1’−ヒト゛ロキシエチル]−4−フ゛タノリト゛の製造(式VIIで示される化合物の製造)
(2S, 3R)−4−ヘ゛ンシ゛ルオキシ−3−ヒト゛ロキシ−2−[2’−(1,1−シ゛メチルエトキシ)エチル] フ゛タン酸0.80 gをTHF10 mLに溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸122 mgを加え、室温で3日攪拌した。反応液は溶媒留去後、ヘフ゜タン100 mLで洗浄した後、10%重曹水100 mL、200 mLで水相に抽出し、水相を酢酸エチル100 mLで3回抽出、飽和食塩水洗浄、硫酸マク゛ネシウム上で脱水後、溶媒を留去することにより、表題化合物0.37 gを微黄色結晶として得た。
このもののNMRスヘ゜クトルは実施例6のものと一致した。
実施例6の光学活性カラムを用いたHPLC条件で、anti−(1’R, 2S)体に相当するヒ゜ークのみが見られ、その他の異性体のヒ゜ークは検出感度以下であった。
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、抗エイズ薬の中間体として有用な式XIV、XVで示される化合物を、オゾン酸化や毒性の強い試薬を使用せず製造する方法およびその方法に用いる中間体を提供でき、また、式XVで示される絶対立体配置を有する化合物またはその鏡像体を、光学分割等の手法を用いることなく、毒性の高い試薬も使用せず、効率的に製造できる方法およびその方法に用いる中間体を提供することができる。ひいては、本発明によれば、式XIV、式XVで示される化合物を、工業的規模で安価に供給することができる。
Claims (38)
- R’が水素原子であり、Rがt−ブチル基である請求項1、3または5に記載の化合物。
- Rがベンジル基またはt−ブチル基であり、R’が1−エトキシエチル基または3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
- R’が水素原子であり、Rがベンジル基である、請求項3または5に記載の化合物。
- Rがベンジル基であり、R’が水素原子であり、R’’’がベンジル基またはt−ブチル基であり、R3がヒドロキシル基またはエトキシ基である請求項11または12記載の化合物。
- 式XIIIで示される化合物が、光学活性体であることを特徴とする請求項14または15に記載の製造方法。
- 式XIIIで示される化合物が絶対立体配置が式XVI:
で示される化合物であり、式XIXで示される化合物が式XVII:
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、式XXで示される化合物が式XVIII:
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、かつ式Iで示される化合物が式VII:
で示される絶対立体配置を有する化合物であるか、あるいは、
式XIIIで示される化合物が絶対立体配置が式XVIで示される化合物の鏡像体であり、式XIXで示される化合物が式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式XXで示される化合物が式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、かつ式Iで示される化合物が式VIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体である、請求項18記載の製造方法。 - 下記の(A)または(B)のいずれかの工程を含むことを特徴とする、式XIV:
(A)式I:
で示される化合物を原料として、式III:
で示される化合物を得、
得られた式IIIで示される化合物を還元して、式V:
で示される化合物を得、
得られた式Vで示される化合物を脱保護および環化に付して、上記式XIVで示される化合物を得る工程、
(B)式Iで示される化合物のヒドロキシル基を保護し、式IV:
で示される化合物を得、
得られた式IVで示される化合物を還元して、式VI:
で示される化合物を得、
得られた式VIで示される化合物を、脱保護および環化に付して、式XIVで示される化合物を得る工程。 - 加水分解後、有機アミンを添加する、請求項32記載の製造方法。
- 式XIII:
で示される化合物を原料として、式XIX:
で示される化合物を得て、得られた式XIXで示される化合物を加水分解して、式XX:
で示される化合物を得て、次いで得られた式XXで示される化合物のPGおよびR’’’を脱保護した後、アセタール化またはケタール化およびラクトン化して、式III:
で示される化合物を得て、得られた式IIIで示される化合物を還元して、式V:
で示される化合物を得て、得られた式Vで示される化合物を脱保護および環化に付すことを特徴とする、式XIV:
- 式XIIIで示される化合物が、絶対立体配置が式XVI:
で示される化合物であり、式XIXで示される化合物が式XVII:
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、式XXで示される化合物が式XVIII:
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、式IIIで示される化合物が式IX:
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、式Vで示される化合物が式XI:
で示される絶対立体配置を有する化合物であり、かつ式XIVで示される化合物が式XV:
式XIIIで示される化合物が、絶対立体配置が式XVIで示される化合物の鏡像体であり、式XIXで示される化合物が式XVIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式XXで示される化合物が式XVIIIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式IIIで示される化合物が式IXで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、式Vで示される化合物が式XIで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体であり、かつ式XIVで示される化合物が式XVで示される絶対立体配置を有する化合物の鏡像体である請求項37記載の製造方法。
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