JP5334435B2 - 光学活性アミノアセタール誘導体の製造方法 - Google Patents
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下記式(1)
R 2 は、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜8のアリール基であり、また、R 1 、及びR 2 は、下記式(2)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
R 5 は、水素原子であり、
R 4 が水素原子、又は炭素数1〜10アルキル基であり、R 5 が水素原子である場合には、R 6 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
R4とR5は、互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよく、
R 4 とR 5 とが互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成する場合には、R 6 は、水素原子であり、
R7は、炭素数6〜14のアリール基である。)
で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体と炭素数1〜20のアルキルアルコールとを反応させることを特徴とする、下記式(4)
R8は、炭素数1〜20のアルキル基である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体、
又は下記式(5)
で示される光学活性アミノ酸エステル、及び光学活性アミノアセタール誘導体の製造方法である。
本発明において、下記式(1)
R 2 は、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜8のアリール基であり、また、R 1 、及びR 2 は、下記式(2)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体は、得られる光学活性アミノ酸エステル誘導体の構造を決定する上で非常に重要な物質である。
本発明において、銅塩は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体と錯体を形成するものであり、二価の銅塩であれば試薬として入手できるものを特に制限なく使用できる。それらを具体的に例示すると、臭化銅、塩化銅、フッ化銅、水酸化銅、燐酸銅、酢酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、銅メトキサイド、銅エトキシド、銅イソプロポキサイド、エチルアセト酢酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、グルコン酸銅、ヘキサフルオロアセチルアセトナート銅、イソ酪酸銅、フタル酸銅、トリフオロアセチルアセトナート銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅等を挙げることができる。これらの銅塩の中でも、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体と容易に錯体を形成し、特に高い光学分割を示すことから、臭化銅、塩化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅等が好適に使用される。
本発明において、ハロゲンカチオンソースとは、クロロニウムイオン、ブロモニウムイオン、ヨードニウムイオン等のハロゲンカチオンを発生させる化合物のことを指し、アミノアルデヒド誘導体を酸化するために使用するものである。このハロゲンカチオンソースは、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、及び銅塩の触媒存在下または非存在下において、分解反応により上記クロロニウムイオン、ブロモニウムイオン、ヨードニウムイオン等のハロゲンカチオンを発生させる化合物であり、アミノアルデヒド誘導体を酸化する化合物であれば、特に制限なく使用できる。
本発明においては、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
R 5 は、水素原子であり、
R 4 が水素原子、又は炭素数1〜10アルキル基であり、R 5 が水素原子である場合には、R 6 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
R4とR5は、互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよく、
R 4 とR 5 とが互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成する場合には、R 6 は、水素原子であり、
R7は、炭素数6〜14のアリール基である。)
で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体と炭素数1〜20のアルキルアルコールとを反応させる。
また、R 6 は、R 4 が水素原子、又は炭素数1〜10アルキル基であり、R 5 が水素原子である場合には、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基である。
炭素数1〜10のアルキル基は、上記R 4 における置換基と同義である。
炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基を挙げることができる。また、これら炭素数6〜8のアリール基は、アリール基の水素原子がハロゲン原子、ニトロ基、又はアルキル基、1〜3級アミノ基で置換された置換アリール基であってもよく、具体的には、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−アミノフェニル基、4−(N−メチル)アミノフェニル基、4−(N、N−ジメチル)アミノフェニル基等を挙げることができる。
炭素数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。
本発明においては、上記反応系に、さらに塩基を加えることもできる。塩基を加えることにより、得られる光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合を調整することができる。塩基を用いた場合には、ハロゲンカチオンソースから生成する塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の酸性化合物を捕捉し、中和することができる。このため、本発明に塩基を用いた場合には、アセタール化は進行しにくくなり、条件によっては光学活性アミノアセタール誘導体が得られず、光学活性アミノ酸エステル誘導体のみを選択的に得ることが可能となる。
本発明において、炭素数1〜20のアルキルアルコールは、上記アミノアルデヒド誘導体をアミノ酸エステル誘導体とするものであれば特に制限なく使用できる。
本発明は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩の存在下、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとを反応させるが、この反応(以下、この反応を単に「酸化、及びエステル化反応」とする場合もある)は、有機溶媒中で行うことが好ましい。
(光学活性アミノ酸エステル、及び光学活性アミノ酸エステルの同定方法)
本発明においては、上記の反応を行うことにより、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体において、どちらか一方の異性体のホルミル基がエステル化された下記式(8)
R 5 は、水素原子であり、
R4とR5は、互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよく(この場合、R 6 は水素原子である。)、
R6は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
R7は、炭素数6〜14のアリール基であり、
R8は、炭素数1〜20のアルキル基である。)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体を生成することができる。
本発明においては、上記の反応を行うことにより、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体において、どちらか一方の異性体のホルミル基がアセタール化された下記式(6)
R 5 は、水素原子であり、
R 4 が水素原子、又は炭素数1〜10アルキル基であり、R 5 が水素原子である場合には、R 6 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
R4とR5は、互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよく、R 4 とR 5 とが互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成する場合には、R 6 は、水素原子であり、
R4とR5は、互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよく(この場合、R 6 は水素原子である。)、
R6は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
R7は、炭素数6〜14のアリール基であり、
R8は、炭素数1〜20のアルキル基である。)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体を生成することができる。
展開液: n−ヘキサン及びイソプロピルアルコールからなる混合溶媒
検出波長:254nm
流速:1.0ml/min
実施例1
10mlの茄子型フラスコに、光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]16.7mg(0.05mmol)、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅18.1mg(0.05mmol)、アセトニトリル2mlを加え、大気雰囲気下で10分攪拌した。その後、この反応液に、アミノアルデヒド誘導体として、ラセミ体のN−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボアルデヒド 108.6mg (0.5mmol、以下化合物Aと称す) を量り取り、アルコールとしてメタノール 5mL(化合物Aに対して約250モル倍量)、さらにハロゲンカチオンソースとしてN−ブロモスクシンイミド(略称NBS、0.25mmol、化合物Aに対して0.5モル倍量を加え、室温で12時間撹拌した。反応液に精製水 (5mL) と10%チオ硫酸ナトリウム水溶液 (5mL) を加え、酢酸エチル (10mL×3回) で抽出した。有機層を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧留去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製し、化合物Bを白色油状物として 32.1mg および化合物Cを白色油状物として35.5mg得た。これらの光学純度はキラルHPLCにより決定した。得られた生成物の同定データを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ7.42(m,5H,ArH),5.58−5.50(m,1H,N−CH−CO2Me),3.79(s,3H,−CH3),3.70−3.60(m,1H,piperidine−ring proton),3.30−3.18(m,1H,piperidine−ring proton),2.40−2.26(m,1H,piperidine−ring proton),1.80−1.25(m,5H,piperidine−ring proton)
上記の結果より、化合物BがN−ベンゾイル−(2R)−(メトキシカルボニル)ピペリジンであることが明らかとなり、その収率は26%であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ7.38(m,5H,ArH),5.03−4.62(br,2H,N−CH−CO2Me、−CH(OMe)2),3.50−3.41(m,1H,piperidine−ring proton),3.38(s,6H,−CH3),2.10−1.35(m,7H,piperidine−ring proton)
IR(neat/cm−1):1636cm−1(C=O伸縮)
分子量分析(HRMS[M,EI]):m/z Calcd for C15H21NO3 :263.1521、Found:263.1493
上記の結果より、化合物CがN−ベンゾイル−(2S)−ピペリジンカルボアルデヒド ジメチルアセタールであることが明らかとなり、その収率は27%であった。
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を、表1に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体に対して、それぞれ0.1モル倍量用い、その他の原料について表1に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル、アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られた生成物の性状、物性データを表2〜表4に示す。また、生成物の収率及び光学純度(ee%)を表5に示した。
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を、表6に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体(N−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボアルデヒド)に対して、それぞれ0.1モル倍量用い、その他の原料について表6に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。また、生成物の取得収率及び光学純度(ee%)を表7に示した。
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を、表8に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体、及びその他の原料について、表8に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル誘導体、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られた生成物の性状、物性データを表9〜表13に示す。また、生成物の収率及び光学純度(ee%)を表11に示した。
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]を用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル誘導体、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られたN−ベンゾイル−(2R)−(メトキシカルボニル)ピペリジンの収率は10%、光学純度は55%eeであり、N−ベンゾイル−(2S)−ピペリジンカルボアルデヒド ジメチルアセタールの収率は41%、光学純度は0%eeであった。
光学活性なオキサゾリン誘導体として下記化合物
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を必要に応じて使用し、表14に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体に対して、それぞれ0.1モル倍量用い、その他の原料について表11に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行った。結果を表15に示す。得られたアミノ酸エステル誘導体およびアミノアセタール誘導体は、すべてラセミ体であり光学活性な生成物は得られなかった。
Claims (2)
- 下記式(1)
R 1 は、水素原子であり、
R 2 は、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜8のアリール基であり、また、
R 1 、及びR 2 は、下記式(2)
で示される基であってもよい。)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
R 5 は、水素原子であり、
R 4 が水素原子、又は炭素数1〜10アルキル基であり、R 5 が水素原子である場合には、R 6 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
R4とR5は、互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成してもよく、
R 4 とR 5 とが互いに連結して炭素数3〜5のアルキレン基を形成する場合には、R 6 は、水素原子であり、
R7は、炭素数6〜14のアリール基である。)
で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体と炭素数1〜20のアルキルアルコールとを反応させることを特徴とする、下記式(4)
R8は、炭素数1〜20のアルキル基である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体、
又は下記式(5)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の製造方法。 - さらに、塩基を加えて、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体と炭素数1〜20のアルキルアルコールとを反応させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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