JP2003221392A - 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法 - Google Patents

5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法

Info

Publication number
JP2003221392A
JP2003221392A JP2002299848A JP2002299848A JP2003221392A JP 2003221392 A JP2003221392 A JP 2003221392A JP 2002299848 A JP2002299848 A JP 2002299848A JP 2002299848 A JP2002299848 A JP 2002299848A JP 2003221392 A JP2003221392 A JP 2003221392A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituent
alkoxy
furanone
butyrolactone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002299848A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Sugioka
尚 杉岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2002299848A priority Critical patent/JP2003221392A/ja
Publication of JP2003221392A publication Critical patent/JP2003221392A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Furan Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 5−アルコキシ−2(5H)−フラノンのよ
うな5−置換−2(5H)−フラノンを、安価に、効率
よく、工業的に有利に製造し得る方法を提供すること。 【解決手段】 一般式(I)で示される2(3H)−フ
ラノン類を、一般式(II)で示されるアルコールおよ
びハロゲン化剤と反応させて一般式(III)で示され
る4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン
を得、得られた4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブ
チロラクトンを塩基と反応させることを特徴とする一般
式(IV)で示される5−アルコキシ−2(5H)−フ
ラノンの製造方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、5位がアルコキシ
ル基などで置換された2(5H)−フラノンの製造方法
に関する。本発明により得られる5−置換−2(5H)
−フラノン、例えば5−エトキシ−2(5H)−フラノ
ンは、抗炎症剤などの医薬の合成中間体として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】5−アルコキシ−2(5H)−フラノン
などの5位がアルコキシル基などで置換された2(5
H)−フラノンの製造方法としては、(1)フルフラー
ルを光照射条件で酸化することにより5−ヒドロキシ−
2(5H)−フラノンを得、これをアルコールと反応さ
せる方法(非特許文献1参照)、(2)アセチルフラン
またはフラン−2−カルボン酸エステルをアルコールま
たはアセトン溶媒中で光照射条件で酸化する方法(非特
許文献2参照)、(3)2−シリルオキシフラン誘導体
をヨードソベンゼンにより酸化する方法(非特許文献3
参照)、(4)グリオキシル酸とアルデヒドとのマンニ
ッヒ反応により、4位に置換基を有する5−アルコキシ
−2(5H)−フラノンを製造する方法(非特許文献4
参照)、
【0003】(5)3−ホルミルメタクリル酸を塩酸中
で加熱して5−ヒドロキシ−3−メチル−2(5H)−
フラノンを得、これをアルコールと反応させる方法(非
特許文献5参照)、(6)5−ブロモ−4−メトキシ−
2(5H)−フラノンにアルコールを作用させる方法
(非特許文献6参照)、(7)2(5H)−フラノン誘
導体を四塩化炭素中、N−ブロモスクシンイミドにより
臭素化して5−ブロモ−2(5H)−フラノン誘導体を
得、これを炭酸カリウム水溶液の存在下にフェノールと
反応させる方法(非特許文献7参照)が知られている。
【0004】
【非特許文献1】テトラヘドロン(Tetrahedr
on)、1988年、第44巻、第7213頁
【非特許文献2】ケミストリー エクスプレス(Che
mistry Express)、1986年、第1
巻、第475頁
【非特許文献3】テトラヘドロン レターズ(Tetr
ahedron Lett.)、1989年、第30
巻、第3019頁
【非特許文献4】ジャーナル オブ オーガニック ケ
ミストリー(J.Org.Chem.)、1981年、
第46巻、第4889頁
【非特許文献5】ジャーナル オブ ザ ケミカル ソ
サイエティー (c)(J.Chem.Soc.,
(c))、1968年、第1984頁
【非特許文献6】ジャーナル オブ ザ ケミカル ソ
サイエティー、パーキン トランザクション I(J.
Chem.Soc.,Perkin Trans.
I)、1987年、第717頁
【非特許文献7】シンセシス(Synthesis)、
1988年、第760頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)および
(2)の方法を工業的なスケールで実施する場合、光照
射のための反応設備およびエネルギーが過大となる。上
記(3)の方法で使用する2−シリルオキシフラン誘導
体およびヨードソベンゼンは高価である。上記(4)の
方法は、原料が高価なうえ、得られる生成物はすべて4
位に置換基を有する5−アルコキシ−2(5H)−フラ
ノン誘導体であり、汎用性に欠ける。上記(5)の方法
は原料が高価なうえ、収率が35%と低い。
【0006】上記(6)の方法では、強酸である臭化水
素が副生し、かつその臭化水素が生成物に作用して、生
成物の開環反応を引起こす。また、n−ブチルリチウム
の存在下にアルコールを作用させる反応が行われている
が、本発明における4位に置換基を有さない5−ハロゲ
ノ−2(5H)−フラノンにn−ブチルリチウムの存在
下にアルコールを作用させた場合には、選択性が悪く、
目的とする5−アルコキシ−2(5H)−フラノンは低
収率でしか得られない。
【0007】上記(7)の方法は、四塩化炭素を溶媒と
して使用しており、人体および環境に与える影響が大き
いという問題を有している。また、炭酸カリウム水溶液
を使用しており、水に対して不安定な5−ブロモ−2
(5H)−フラノン誘導体の分解を併発するため、その
反応条件は効率的ではない。したがって、これらの方法
はいずれも5位がアルコキシル基などで置換された2
(5H)−フラノンの工業的に有利な製造方法とは言い
難い。
【0008】本発明の目的は、5−アルコキシ−2(5
H)−フラノンのような5−置換−2(5H)−フラノ
ンを、安価に、効率よく、工業的に有利に製造し得る方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
【0010】
【化11】
【0011】(式中、R は水素原子、置換基を有し
ていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいア
リール基または置換基を有していてもよいアラルキル基
を表す。)で示される2(3H)−フラノン類[以下、
これを2(3H)−フラノン類(I)と称する]を、一
般式(II)
【0012】
【化12】
【0013】(式中、R は置換基を有していてもよ
いアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキ
ル基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表
す。)で示されるアルコール[以下、これをアルコール
(II)と称する]およびハロゲン化剤と反応させて一
般式(III)
【0014】
【化13】
【0015】(式中、R およびR は前記定義のと
おりであり、Xはハロゲン原子を表す。)で示される4
−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン[以
下、これを4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロ
ラクトン(III)と称する]を得、得られた4−アル
コキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(III)
を塩基と反応させることを特徴とする一般式(IV)
【0016】
【化14】
【0017】(式中、R およびR は前記定義のと
おりである。)で示される5−アルコキシ−2(5H)
−フラノン[以下、これを5−アルコキシ−2(5H)
−フラノン(IV)と称する]の製造方法である。
【0018】また、本発明は、4−アルコキシ−3−ハ
ロゲノ−γ−ブチロラクトン(III)を塩基と反応さ
せることを特徴とする5−アルコキシ−2(5H)−フ
ラノン(IV)の製造方法である。
【0019】上記の4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ
−ブチロラクトン(III)は新規物質であり、本発明
は、4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクト
ン(III)を含む。
【0020】さらに、本発明は、2(3H)−フラノン
類(I)をアルコール(II)およびハロゲン化剤と反
応させることを特徴とする4−アルコキシ−3−ハロゲ
ノ−γ−ブチロラクトン(III)の製造方法をも含
む。
【0021】
【発明の実施の形態】上記一般式中、R およびR
が表すアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状また
は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イ
ソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などが挙
げられる。これらのアルキル基は置換基を有していても
よく、かかる置換基としては、例えばメトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル
基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ter
t−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリ
ルオキシ基;ニトロ基などが挙げられる。
【0022】R が表すシクロアルキル基としては、
炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えばシ
クロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロオクチル基などが挙げられる。これらのシク
ロアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換
基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−
ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;te
rt−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチ
ルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ
基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリー
ル基などが挙げられる。
【0023】R およびR が表すアラルキル基とし
ては、アルキル部分として炭素数1〜6のアルキル基を
有し、アリール部分として炭素数6〜10のアリール基
を有するアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、
1−ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられ
る。これらのアラルキル基は置換基を有していてもよ
く、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基などのアルキル基;トリフル
オロメチル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチ
ルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニ
ルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ
基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリー
ル基などが挙げられる。
【0024】R が表すアリール基としては、炭素数
6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、
ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基は置
換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのア
ルキル基;トリフルオロメチル基;メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル
基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ter
t−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリ
ルオキシ基;ニトロ基;フェニル基、p−メトキシフェ
ニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0025】Xが表すハロゲン原子としては、例えばフ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げ
られる。
【0026】まず、2(3H)−フラノン類(I)をア
ルコール(II)およびハロゲン化剤と反応させて4−
アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(II
I)を製造する工程について説明する。
【0027】ハロゲン化剤としては、例えば塩素、臭
素、塩化スルフリル、N−クロロコハク酸イミド、N−
ブロモコハク酸イミド、5,5−ジメチル−1,3−ジ
ブロモヒダントイン、ピリジンジブロミドヒドロブロミ
ド、臭素−ジオキサン、ブロモトリクロロメタン、トリ
クロロイソシアヌル酸などが使用される。これらの中で
も、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イ
ミド、5,5−ジメチル−1,3−ジブロモヒダントイ
ン、トリクロロイソシアヌル酸などを使用するのが好ま
しい。ハロゲン化剤の使用量は、2(3H)−フラノン
類(I)1モルに対して、0.1〜10モルの範囲であ
るのが好ましく、0.5〜2モルの範囲であるのがより
好ましい。
【0028】アルコール(II)としては、例えばメタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブ
タノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−
ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、
3−ヘキサノール、1−オクタノール、2−メトキシエ
タノール、2−エトキシエタノール、3−エトキシ−1
−プロパノールなどの脂肪族飽和アルコール;ベンジル
アルコール、1−フェニルエタノール、1−ナフタレン
メタノール、2−ナフタレンメタノール、メチルベンジ
ルアルコール、メトキシベンジルアルコールなどの芳香
族アルコールが挙げられる。これらの中でも、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、1−ペンタノー
ル、1−ヘキサノール、1−オクタノールなどが好まし
く用いられる。アルコール(II)の使用量は、2(3
H)−フラノン類(I)1モルに対して、1モル以上で
あるのが好ましく、1〜1000モルの範囲であるのが
より好ましい。アルコール(II)の使用量が多い場合
には、アルコール(II)は溶媒としての作用をも発現
する。
【0029】反応は溶媒の存在下に行うのが好ましい。
溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定さ
れるものではなく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、石油エーテル、ベンゼンなどの炭化水
素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプ
ロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジブ
チルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;塩化メチ
レン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエ
タン、1,1−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ク
ロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;またはこれら
の混合物などが挙げられる。溶媒の使用量は、2(3
H)−フラノン類(I)に対して0.5〜1000倍重
量の範囲であるのが好ましい。
【0030】反応温度は、−50〜200℃の範囲であ
るのが好ましく、−20〜100℃の範囲であるのがよ
り好ましい。反応時間は、2(3H)−フラノン類
(I)、ハロゲン化剤、アルコール(II)および溶媒
の種類、使用量比ならびに反応温度によっても異なる
が、0.5〜30時間の範囲であるのが好ましい。
【0031】反応は、例えば2(3H)−フラノン類
(I)、ハロゲン化剤およびアルコール(II)を必要
に応じて溶媒に溶解または懸濁させ、所定温度で攪拌下
に行うのが好ましい。
【0032】このようにして得られた4−アルコキシ−
3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(III)を含む反
応混合物をそのまま、もしくはハロゲン化剤の種類によ
っては濾過するか、水洗処理した後に、または該反応混
合物から4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラ
クトン(III)を単離・精製した後に、それぞれを次
の工程に供することができる。反応混合液からの4−ア
ルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(II
I)の単離・精製は、有機化合物の単離・精製において
通常行われる方法により行うことができる。例えば、反
応混合液に水を添加して有機層と水層を分離し、水層を
ジエチルエーテル、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタンなどの溶媒で抽出し、抽出
液および有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムなどで乾
燥後、濃縮する。また、必要に応じて、得られた粗生成
物を再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーなどの通常の精製手段に付すことにより、その純度を
さらに高めることもできる。
【0033】次に、4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ
−ブチロラクトン(III)を塩基と反応させて5−ア
ルコキシ−2(5H)−フラノン(IV)を製造する工
程について説明する。
【0034】塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の炭酸塩および炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム
などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化
物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミン、
ピリジン、キノリンなどの三級アミンなどが挙げられ
る。上記のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸
塩、炭酸水素塩および水酸化物は水溶液の形態で用いる
のが好ましい。これらの塩基は単独で使用してもよい
し、2種類以上を混合して使用してもよい。塩基の中で
も、三級アミンを使用するのが好ましく、特に三級アミ
ンと金属炭酸塩、金属炭酸水素塩および金属水酸化物か
らなる群より選ばれる無機塩基の水溶液との混合系が好
ましい。その使用量は、4−アルコキシ−3−ハロゲノ
−γ−ブチロラクトン(III)1モルに対して、0.
2〜50モルの範囲であるのが好ましく、0.5〜5モ
ルの範囲であるのがより好ましい。
【0035】反応は溶媒の存在下に行うのが好ましい。
溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定さ
れるものではなく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クメンなどの炭化水素;ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサ
ン、ジメトキシエタン、ジブチルエーテルなどのエーテ
ル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ルなどのニトリル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩
化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロ
ゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメ
チルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒;または
これらの混合物などが挙げられる。溶媒を使用する場
合、その使用量に特に制限はないが、4−アルコキシ−
3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(III)に対して
0.5〜1000倍重量の範囲であるのが好ましい。
【0036】反応温度は、−50℃〜100℃の範囲で
あるのが好ましく、−20℃〜30℃の範囲であるのが
より好ましい。反応時間は、4−アルコキシ−3−ハロ
ゲノ−γ−ブチロラクトン(III)、塩基および溶媒
の種類、使用量比ならびに反応温度によっても異なる
が、0.5〜30時間の範囲であるのが好ましい。
【0037】反応は、例えば塩基を必要に応じて溶媒に
溶解または懸濁させて所定温度とし、この混合液に4−
アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(II
I)を添加して攪拌下に行うか、または4−アルコキシ
−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトン(III)を必要
に応じて溶媒に溶解させて所定温度とし、この混合液に
塩基を添加して攪拌下に行うのが好ましい。
【0038】このようにして得られた5−アルコキシ−
2(5H)−フラノン(IV)は、有機化合物の単離・
精製において通常行われる方法により単離・精製するこ
とができる。例えば、反応混合液を分液漏斗を用いて有
機層と水層に分離し、水層をジエチルエーテル、酢酸エ
チル、トルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタ
ンなどの溶媒で抽出し、抽出液および有機層を合わせて
無水硫酸ナトリウムなどで乾燥後、濃縮して得られた粗
生成物を、必要に応じて再結晶、蒸留、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーなどで精製する。
【0039】なお、本発明で用いる2(3H)−フラノ
ン類(I)は、例えばフルフラールを過酸化水素により
酸化する方法[ザ オーガニック プレパレーション
アンド プロセデュアーズ インターナショナル(Th
e Organic Preparation and
Procedures Internationa
l)、28巻、215頁(1996年)参照]などによ
り容易に製造することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例により何ら制限されるものではな
い。
【0041】実施例1 温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積5
0mlの3口フラスコに、5,5−ジメチル−1,3−
ジブロモヒダントイン2.861g(10mmol)を
入れ、溶媒としてエタノール20mlを加えて系内を窒
素置換後、−10℃に冷却した。この溶液に2(3H)
−フラノン1.680g(20mmol)を内温が0℃
以下に保たれるようにして滴下した。反応液を減圧下に
エタノールが留出しなくなるまで濃縮した後、室温にて
トルエン20mlと水10mlを加えて30分間攪拌し
た。有機層と水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより、褐色の液体
として、下記の物性を有する3−ブロモ−4−エトキシ
−γ−ブチロラクトン3.824g(純度94%、1
7.2mmol、収率86%)を得た。
【0042】H−NMR(270MHz、CDCl
、TMS、ppm)δ:5.63(s,1H)、4.
29(d,1H、J=6.9Hz)、3.87(dq,
1H,J=6.9,2.0Hz)、3.66(dq,1
H,J=6.9,2.0Hz)、3.33(dd,1
H,J=6.9,18.8Hz)、2.81(d,1
H,J=18.8Hz)、1.24(t,1H,J=
6.9Hz)
【0043】実施例2 温度計、マグネチックスターラおよび滴下漏斗を装備し
た内容積500mlの3口フラスコに炭酸ナトリウム
1.06g(10mmol)を入れ、水20mlを加え
て系内を窒素置換し、40℃に加熱した。この溶液に、
実施例1の方法で得られた3−ブロモ−4−エトキシ−
γ−ブチロラクトン3.824g(純度94%、17.
2mmol)をトルエン20mlに溶解して得られた溶
液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、40℃にて3時
間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、分液漏斗を用い
て有機層と水層に分離した。水層をトルエン10mlで
1回抽出し、抽出液を先の有機層と合わせて無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた粗生成
物をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4:1(容量比))を用
いて精製することにより、黄色透明の液体として、下記
の物性を有する5−エトキシ−2(5H)−フラノン
1.805g(収率82%)を得た。
【0044】H−NMR(270MHz、CDCl
、TMS、ppm)δ:7.21(d,1H,J=1
0.9Hz)、6.23(d,1H,J=6.9H
z)、5.94(s,1H)、4.00−3.88
(m,1H)、3.82−3.70(m,1H)、1.
29(t,3H,J=6.9Hz) 沸点:76−78℃/667kPa
【0045】実施例3 実施例1において、5,5−ジメチル−1,3−ジブロ
モヒダントイン2.861g(10mmol)の代わり
にトリクロロイソシアヌル酸1.5494g(6.67
mmol)を用い、かつエタノール20mlの代わりに
メタノール10mlを用いた以外は同様にして反応およ
び後処理を行い、下記の物性を有する3−クロロ−4−
メトキシ−γ−ブチロラクトン2.330g(純度93
%、14.4mmol、収率72%)を得た。
【0046】H−NMR(270MHz、CDCl
、TMS、ppm)δ:5.42(s,1H)、4.
33(d,1H,J=5.9Hz)、3.53(s,1
H)、3.16(dd,1H,J=6.9,18.8H
z)、2.68(d,1H,J=18.8Hz)
【0047】実施例4 実施例1において、5,5−ジメチル−1,3−ジブロ
モヒダントイン2.861g(10mmol)の代わり
にN−ブロモコハク酸イミド3.560g(20mmo
l)を用いた以外は同様にして反応および後処理を行
い、3−ブロモ−4−エトキシ−γ−ブチロラクトン
3.90g(純度96%、17.8mmol、収率89
%)を得た。
【0048】実施例5 実施例2において、3−ブロモ−4−エトキシ−γ−ブ
チロラクトン3.824g(純度94%、17.2mm
ol)の代わりに実施例3の方法で得られた3−クロロ
−4−メトキシ−γ−ブチロラクトン2.330g(純
度93%、14.4mmol)を用いた以外は同様にし
て反応を行い、得られた粗生成物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=
4/1(容量比))で精製することにより、下記の物性
を有する5−メトキシ−2(5H)−フラノン1.49
0g(単離収率76%)を得た。
【0049】H−NMR(270MHz、CDCl
、TMS、ppm)δ:7.23(d,1H,J=
5.9Hz)、6.24(dd,1H,J=5.9,
2.0Hz)、5.87(d,1H,J=2.0H
z)、3.59(s,3H)
【0050】実施例6 実施例2において、炭酸ナトリウム1.06g(10m
mol)と水20mlの代わりにトリエチルアミン2.
04g(20mmol)を用いた以外は同様にして反応
および後処理を行い、5−エトキシ−2(5H)−フラ
ノン1.519g(収率69%)を得た。
【0051】実施例7 実施例2において、炭酸ナトリウム1.06g(10m
mol)と水20mlの代わりにトリエチルアミン2.
04g(20mmol)を用い、反応温度を0℃とした
以外は同様にして反応および後処理を行い、5−エトキ
シ−2(5H)−フラノン2.095g(収率93%)
を得た。
【0052】実施例8 温度計、滴下漏斗およびマグネチックスターラを装備し
た内容積50mlの3口フラスコに、トルエン20m
l、エタノール1.380g(30mmol)および
5,5−ジメチル−1,3−ジブロモヒダントイン2.
861g(10mmol)を入れ、系内を窒素置換後、
−10℃に冷却した。この溶液に2(3H)−フラノン
1.680g(20mmol)を内温が0℃以下に保た
れるようにして滴下し、滴下終了後、さらに0℃以下で
30分間攪拌した。得られた反応液に、トリエチルアミ
ン0.202g(2mmol)を内温が0℃以下に保た
れるようにして添加した。次いで、滴下漏斗を用いて5
%炭酸ナトリウム水溶液40gを内温が0℃以下に保た
れるようにして滴下し、滴下終了後、さらに5時間攪拌
した。反応液を、分液漏斗を用いて有機層と水層に分離
し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃
縮することにより、黄色透明の液体として、5−エトキ
シ−2(5H)−フラノン2.109g(純度95%、
2(3H)−フラノンからの通算収率78%)を得た。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、5−アルコキシ−2
(5H)−フラノン(IV)を安価に、効率よく、工業
的に有利に製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R は水素原子、置換基を有していてもよい
    アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基また
    は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で
    示される2(3H)−フラノン類を、一般式(II) 【化2】 (式中、R は置換基を有していてもよいアルキル
    基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基または
    置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で示
    されるアルコールおよびハロゲン化剤と反応させて一般
    式(III) 【化3】 (式中、R およびR は前記定義のとおりであり、
    Xはハロゲン原子を表す。)で示される4−アルコキシ
    −3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトンを得、得られた4
    −アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトンを塩
    基と反応させることを特徴とする一般式(IV) 【化4】 (式中、R およびR は前記定義のとおりであ
    る。)で示される5−アルコキシ−2(5H)−フラノ
    ンの製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(III) 【化5】 (式中、R は水素原子、置換基を有していてもよい
    アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基また
    は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、R
    は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有
    していてもよいシクロアルキル基または置換基を有して
    いてもよいアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表
    す。)で示される4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−
    ブチロラクトンを塩基と反応させることを特徴とする一
    般式(IV) 【化6】 (式中、R およびR は前記定義のとおりであ
    る。)で示される5−アルコキシ−2(5H)−フラノ
    ンの製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(III) 【化7】 (式中、R は水素原子、置換基を有していてもよい
    アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基また
    は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、R
    は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有
    していてもよいシクロアルキル基または置換基を有して
    いてもよいアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表
    す。)で示される4−アルコキシ−3−ハロゲノ−γ−
    ブチロラクトン。
  4. 【請求項4】 一般式(I) 【化8】 (式中、R は水素原子、置換基を有していてもよい
    アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基また
    は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で
    示される2(3H)−フラノン類を、一般式(II) 【化9】 (式中、R は置換基を有していてもよいアルキル
    基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基または
    置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で示
    されるアルコールおよびハロゲン化剤と反応させること
    を特徴とする一般式(III) 【化10】 (式中、R およびR は前記定義のとおりであり、
    Xはハロゲン原子を表す。)で示される4−アルコキシ
    −3−ハロゲノ−γ−ブチロラクトンの製造方法。
JP2002299848A 2001-11-26 2002-10-15 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法 Pending JP2003221392A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002299848A JP2003221392A (ja) 2001-11-26 2002-10-15 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-358886 2001-11-26
JP2001358886 2001-11-26
JP2002299848A JP2003221392A (ja) 2001-11-26 2002-10-15 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003221392A true JP2003221392A (ja) 2003-08-05

Family

ID=27759261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002299848A Pending JP2003221392A (ja) 2001-11-26 2002-10-15 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003221392A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108570041B (zh) 一种含异恶唑啉脲嘧啶类化合物的制备方法
WO1993008155A1 (en) Lignan analog, production thereof, and hypolipidemic drug
KR20230117260A (ko) 1-(3,5-디클로로페닐)-2,2,2-트리플루오로에타논 및그의 유도체의 제조 방법
JP2003221392A (ja) 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法
WO2006132390A1 (ja) ヘキサヒドロフロフラノール誘導体の製造方法
WO2003045934A1 (en) Process for producing 5-substituted 2(5h)-furanone
JP4159784B2 (ja) 2,3−二置換チオフェン誘導体の製造方法
WO2008152217A2 (fr) Procede de preparation du 2-(n-butyu-5-nitrobenzofurane
RU2434860C1 (ru) Способ получения (6r)-3-гексил-4-гидрокси-6-ундецил-5,6-дигидропиран-2-она и промежуточного соединения, применяемого в данном способе
JPH07215952A (ja) カテコール誘導体
JP2002003483A (ja) 5−置換−2(5h)−フラノンの製造方法
WO2001079192A1 (fr) Procede de preparation de 5-substituees-2(5h)-furanones
JP4509327B2 (ja) N,n−ジ置換−4−アミノクロトン酸エステルの製造方法
JP4667589B2 (ja) 2,4−ジヒドロキシピリジンの製造方法
JP4162891B2 (ja) テトラヒドロチオフェン誘導体の製造方法
Nagano et al. Synthesis of Unsymmetrically and Highly Substituted Thiophenes Utilizing Regioselective Ring-expansion of gem-Dichlorocyclopropyl Ketones with Lawesson’s Reagent
JPWO2005058859A1 (ja) 3−(4−テトラヒドロピラニル)−3−オキソプロパン酸アルキル化合物及び4−アシルテトラヒドロピランの製法
JP4209137B2 (ja) ベンゾチオフェン類の製造方法
JP3646225B2 (ja) 芳香族エステル誘導体及びその中間体並びにそれらの製造方法
JP2002121161A (ja) 5−フタランカルボニトリル化合物の製造方法、その中間体およびその製造方法
JP4230172B2 (ja) ベンゾチオフェン類の製造方法
US6127579A (en) Method of manufacturing 1-indanone
JP2013151452A (ja) 光学活性トルフルオロメチル基含有イミン誘導体、その製造方法並びにそれを用いたトリフルオロメチル基含有光学活性アミン誘導体の製造方法
US7358400B2 (en) Process for producing cyclopropane monoacetal derivative and intermediate therefor
JPH0692347B2 (ja) テルフェニル誘導体およびその製造法