JP5126111B2 - 近赤外線カットフィルタガラスおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、固体撮像素子の視感度補正に用いられる近赤外線カットフィルタガラスとその製造方法に関するものである。
デジタルスチルカメラ等に使用されるCCDやCMOSなどの固体撮像素子は近紫外域から1200nm付近の近赤外域にわたる分光感度を有しているため、そのままでは良好な色再現性を得ることができない。したがって、赤外線を吸収する特定の物質が添加された近赤外線カットフィルタガラスを用いて撮像素子への入射光を人の視感度に近似させるよう補正している。この近赤外線カットフィルタガラスは、近赤外域の波長を選択的に吸収するフツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラスにCuOを添加した光学ガラスが開発され使用されている。
上記の近赤外線カットフィルタガラスは、近赤外線を吸収する目的でガラス中にCuOを含有させているが、ガラス中にCuOを含有させることで近赤外線だけでなく紫外線も吸収される。このようなCuOを含有した近赤外線カットフィルタガラスの透過率カーブは、ほぼ300nm以下の波長を透過せず、波長300nmから400nmの範囲で急峻に透過率が上昇し、600nmから700nmにかけて緩やかに下降する曲線となっている。固体撮像素子は、上述のように近紫外域にも感度を有するため、近年では、撮像素子の高画素数化の進展によってレンズ系の色収差に起因して、撮影された画像に紫色の輪郭ボケが認識されるようになり、紫外線による輪郭ボケをなくす目的で紫外線の吸収能を高めた、つまり紫外側のカット波長を長波長側にシフトさせた近赤外線カットフィルタガラスが開発されている(特許文献1)。
一方、固体撮像素子を用いたビデオカメラやデジタルスチルカメラの小型化、低コスト化が進められており、部品点数の削減を目的として近赤外線カットフィルタガラスを固体撮像素子パッケージの開口部に直接封止して用いることが提案されている(特許文献2)。
特開2008−1543号公報 特開平7−281021号公報
固体撮像素子パッケージ用窓ガラスは、固体撮像素子が収納されたセラミックスあるいは樹脂からなるパッケージの開口部に接着剤により気密封着されるが、近年、接着剤の硬化時間の短縮を目的として紫外線硬化型接着剤が使用されるようになってきている。
紫外線硬化型接着剤には様々な種類があるが、一例として250nm〜350nmの波長の紫外線にて硬化するようになっている。ところが、上記特許文献2記載のように近赤外線カットフィルタガラスを固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとし、紫外線硬化型接着剤をパッケージとの接着に使用すると、照射した紫外線は大半がガラスに吸収されてしまい、接着剤の硬化に長時間を要するという問題が新たに確認された。
本発明は、近赤外線カットフィルタガラスを固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとして用いた場合でも、紫外線硬化型接着剤を使用した封止が可能な近赤外線カットフィルタガラスを提供することを目的とする。
本発明に係る近赤外線カットフィルタガラスは、紫外線硬化型接着剤を用いて固体撮像素子のパッケージに封止される近赤外線カットフィルタガラスであって、CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラスからなる板状の近赤外線カットフィルタガラスであって、光を透過する光学有効部と光学有効部の外周に隣接する周縁部とを有し、前記光学有効部の紫外線透過率よりも前記周縁部の紫外線透過率が高く、前記周縁部を前記パッケージとの封止部とすることを特徴とする。
本発明において、光学有効部の紫外線透過率よりも周縁部の紫外線透過率を高くする方法としては、周縁部が光学有効部の外周を枠状に取り囲むものであり、かつ周縁部の板厚が光学有効部の板厚に比べて薄く形成され、この板厚差による紫外線吸収量の差を利用する方法がある。
上記板厚差による紫外線吸収量の差を利用する場合の近赤外線カットフィルタの製造方法としては、以下の工程を有することを特徴とする。
(1)CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラスを溶融、板状のガラスを得る工程、
(2)板状のガラスの両面を光学研磨する工程、
(3)板状のガラスの片面に格子状の溝を形成する工程、
(4)形成された溝の中心線に沿って板状のガラスを切断分離する工程。
また他の方法として、周縁部のガラス組成が、前記光学有効部のガラス組成に比べてCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないことによる紫外線吸収成分であるCuOの濃度差を利用する方法がある。
上記紫外線吸収成分の濃度差を利用する場合の近赤外線カットフィルタの製造方法としては、以下の工程を有することを特徴とする。
(1)CuOを含有する赤外線吸収ガラスを溶融、四角柱状のガラス棒材を作成し、外周4面を光学研磨する工程、
(2)前記赤外線吸収ガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないガラスを溶融、成形してガラス板材を作成し、少なくとも隣接する2面を光学研磨する工程、
(3)前記四角柱状のガラス棒材の各研磨面に前記ガラス板材の研磨面同士を接合させてガラス棒材の外周4面を囲繞した母材を作成する工程、
(4)前記母材を所定の寸法に加熱延伸する工程、
(5)延伸された前記母材を延伸軸に垂直な方向に切断して平板ガラスとする工程、
(6)前記平板ガラスの両面を光学研磨する工程。
本発明の近赤外線カットフィルタガラスは、光学有効部の紫外線透過率に比べてパッケージとの封止部となる周縁部の紫外線透過率が高いため、接着剤の硬化に必要な紫外線量を確保でき、紫外線硬化型接着剤を用いてパッケージと貼り付けることができ、これにより固体撮像素子デバイスの組立てを効率的に行うことが可能である。
また、本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法によれば、少ない工数で該近赤外線カットフィルタガラスの周縁部に紫外線透過率が高い部分を形成することができる。
本発明の近赤外線カットフィルタガラスの実施形態1の斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの実施形態1の側面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラス(実施形態1)が用いられた固体撮像素子デバイスの一例を示す縦断面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の一実施形態を示した流れ図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の他の実施形態を示した流れ図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の一実施形態における溝形成工程を示す説明図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の一実施形態における溝形成状態を示す平面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の一実施形態における溝形成状態を示す斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラス(実施形態1)が用いられた固体撮像素子デバイスの一例を示す断面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の一実施形態における切断工程を示す説明図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの他の実施形態の側面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の他の実施形態における溝形成工程を示す説明図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法のさらに他の実施形態における溝形成工程を示す説明図である。 本発明の近赤外線カットフィルタの実施形態2の斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの実施形態2の縦断面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラス(実施形態2)が用いられた固体撮像素子デバイスの一例を示す縦断面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の他の実施形態を示した流れ図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスのガラス棒材を示す斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスのガラス板材を示す斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの延伸前の母材を示す斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法のさらに他の実施形態における切断工程を示す説明図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法の一実施形態における延伸工程の概略を示す説明図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの一実施形態の部位別の分光透過率を示す図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラスの他の実施形態の部位別の分光透過率を示す図である。 本発明の近赤外線カットフィルタの実施形態3の斜視図である。 本発明の近赤外線カットフィルタガラス(実施形態3)が用いられた固体撮像素子デバイスの一例を示す縦断面図である。
<実施形態1>
実施形態1について説明する。
図1は本発明の近赤外線カットフィルタガラス1の実施形態1の斜視図であり、図2は本発明の近赤外線カットフィルタガラス1の実施形態1の側面図である。また、図3は本発明の近赤外線カットフィルタガラス1を固体撮像素子8のパッケージ9の開口部に封止した固体撮像素子デバイス100の縦断面図である。
実施形態1の近赤外線カットフィルタガラス1(以下、フィルタガラス1と略す場合がある)は、図1〜図3に示すとおり、矩形板状の外観形状であって、パッケージ9に封止した際に外面となる第1透光面5およびパッケージ9に封止した際に固体撮像素子8と対向する第2透光面6と、フィルタガラス1の外周縁を構成する側面4とを有し、前記第2透光面6の外周にはパッケージ9との封止部となる周縁部3が枠状に形成され、周縁部3と光学有効部である第2透光面6との境界に肉厚差による段部2が形成されている。
光学有効部とは、固体撮像素子8に入射する光がフィルタガラス1を透光する範囲をいうものであり、フィルタガラス1とパッケージ9との封止部より内側をいう。
周縁部とは、前記光学有効部の外周に隣接し、フィルタガラス1とパッケージ9開口部との間に設けられる接着剤7が付着する範囲(封止部)を含むものであり、光学有効部より薄肉に形成される(以下、実施形態1の周縁部3を薄肉部3と称す)。
本発明のフィルタガラス1は、図3に示すように固体撮像素子8(CCDやCMOS)をアルミナセラミックまたは樹脂からなるパッケージ9内に内蔵し、その開口部を気密封止するものである。これにより、固体撮像素子8を保護すると共に、固体撮像素子8の受光面にチリや埃が付着するのを防ぐことを目的としている。
フィルタガラス1とパッケージ9の接着については、従来から熱硬化性接着剤や低融点ガラスが用いられてきたが、近年は接着剤の硬化時間の短縮を目的として紫外線硬化型接着剤が使用されるようになっている。
紫外線硬化型接着剤7は、紫外線(例えば、250nm〜350nmの範囲の波長)を照射することにより短時間で硬化する性質を備えた接着剤である。
フィルタガラス1とパッケージ9の組立て方法としては、フィルタガラス1の薄肉部3もしくはパッケージ1の開口部上面に紫外線硬化型接着剤7が塗布される。そして、フィルタガラス1をパッケージ9の所定位置に設置した後、紫外線ランプを所定時間照射して、接着剤7を硬化することで気密封止する。
ここで、紫外線硬化型接着剤7の硬化速度と接着剤7に到達する紫外線の積算光量には相関関係がある。そのため、フィルタガラス1の薄肉部3の裏面に設けられた接着剤7に十分な紫外線が到達しないと接着剤7の硬化に長時間を要することとなり、フィルタガラス1とパッケージ9の組立て工程の効率が非常に悪くなる。
本発明のフィルタガラス1は、固体撮像素子8の視感度補正を目的として近赤外線カット機能を有している。ガラス組成の詳細については後述するが、ガラスに近赤外線カット機能を持たせるためにフツリン酸塩系ガラスまたはリン酸塩系ガラスにCuOを含有させている。このCuOは、近赤外線カットのための成分であるが、微少量の含有でも近紫外域の透過率が急減し、300nm付近の紫外線をほぼ完全にカットする機能を有する。そのため、実施形態1のフィルタガラス1では、固体撮像素子8の受光には影響しない薄肉部3の紫外線透過率を光学有効部の紫外線透過率に比べて高めることによって、光学有効部においては必要な透過特性を維持したまま、接着剤7が設けられる薄肉部3の紫外線透過量を増大させ、フィルタガラス1の薄肉部3に設けられた接着剤7に十分な紫外線を到達させることで接着剤7の硬化時間を短縮可能とし、フィルタガラス1とパッケージ9とを効率的に組立てることができる。
フィルタガラス1の薄肉部3の紫外線透過率を光学有効部の紫外線透過率に比べて高くする方法として、薄肉部3の少なくとも一方の表面に光学有効部の板厚に比べて薄く形成された枠状の段部2を介して薄肉部3を設ける方法がある。薄肉部3の形成方法としては、ダイヤモンドホイール等の研削砥石によって機械的に研削を行う方法などがある。
研削により薄肉部3を形成する場合、最終製品サイズに加工された矩形板状ガラスの板面外縁を個別に研削することも可能であるが、個別加工となり生産性が低いため、以下のような工程とすることが好ましい。すなわち、
(1)CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラスを溶融、板状のガラス10を得る工程、
(2)板状のガラス10の両面を光学研磨する工程、
(3)板状のガラス10の片面に格子状の溝11を形成する工程、
(4)形成された溝11の中心線に沿って板状のガラス10を切断分離する工程。
また、製品によっては、近赤外線カットフィルタガラス1に重畳して赤外線カット膜や紫外線カット膜などの光学薄膜を成膜し、分光透過率特性を調整しているものもある。紫外線カット膜は言うまでもなく、赤外線カット膜もその特性上、300〜400nmの近紫外域から短波長側の光を反射するため、このような光学薄膜が成膜されたフィルタガラス1を紫外線硬化型接着剤7を使用してパッケージ9に接着する際、前記光学薄膜によって紫外線がカットされ接着剤7の硬化反応が妨げられることになる。
このように近赤外線カットフィルタガラス1に重畳して赤外線カット膜や紫外線カット膜などの紫外線カット機能を有する光学薄膜を成膜した固体撮像素子パッケージ用窓ガラスの場合、前記工程(2)に次いで、板状のガラス10の片面に紫外線カット機能を有する光学薄膜を成膜し、次いで前記工程(3)において、前記光学薄膜が成膜された側の表面に格子状の溝11を形成することが好ましい。このような工程とすれば、板状のガラス10の片面に成膜された紫外線カット機能を有する光学薄膜は、溝11の形成に伴ってガラスとともに取り除かれるため、溝11すなわち最終製品における枠状の薄肉部3には紫外線カット機能を有する光学薄膜が残存せず、紫外線硬化型接着剤7の硬化反応に必要な紫外線を透過させることができる。
前記工程(3)における溝11の形成方法は、ダイヤモンドホイール等の研削工具12によって機械的に研削を行う方法などが適用できる。なお前記各工程の詳細は後述する。
以上のようにして形成される溝11の加工量すなわちフィルタガラス1の薄肉部3の厚さは、フィルタガラス1の板厚や後述する赤外線吸収成分であるCuO含有量、紫外線硬化型接着剤7に要求される波長・積算光量や組立て工程に要求される硬化時間等により適宜調整される。
本発明のフィルタガラス1は、CuOを含有する赤外線吸収ガラス(CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラス)を用いることを必須の構成要件としている。
基礎ガラスとして用いるフツリン酸塩系ガラスは、優れた耐候性を有している。さらにガラス中にCuOを添加することで、可視光域の高い透過率を維持したまま近赤外線を吸収することができるため、近赤外線カットフィルタ1として好適に用いることが可能である。また、フツリン酸塩系ガラスの熱膨張係数は130×10−7/℃前後であるため、固体撮像素子8を収める樹脂パッケージとの熱膨張率が近く、固体撮像素子8のパッケージ用窓ガラスとしても好適に用いることが可能である。
基礎ガラスとして用いるリン酸塩系ガラスは、フツリン酸塩系ガラスと比較して硬度が高く曲げなどの外力が作用した際に破壊しにくい。さらにガラス中にCuOを添加することで、可視光域の高い透過率を維持したまま近赤外線を吸収することができるため、近赤外線カットフィルタガラス1として好適に用いることが可能である。また、リン酸塩系ガラスの熱膨張係数は80×10−7/℃前後であるため、固体撮像素子8を収めるアルミナセラミックパッケージとの熱膨張率が近く、固体撮像素子8のパッケージ用窓ガラスとしても好適に用いることが可能である。
本発明に用いられるフツリン酸塩系ガラスは、近赤外線カットフィルタガラス1として公知のガラス組成を用いることができるが、特に加工強度に優れる点でガラスの網目構造形成成分の含有比率が高い、質量%で、P 46〜70%、MgF 0〜25%、CaF 0〜25%、SrF 0〜25%、LiF 0〜20%、NaF 0〜10%、KF 0〜10%、ただしLiF、NaF、KFの合量が1〜30%、AlF 0.2〜20%、ZnF 2〜15%(ただし、フッ化物総合計量の50%までを酸化物に置換可能)を含有する組成であることが好ましい。また、前記フツリン酸塩系ガラスは、BaおよびPbの含有を不純物としてのみ許容することが好ましい。
フツリン酸塩系ガラスの各含有成分の含有量を上記の範囲を限定した理由は、以下の通りである。
はガラスの網目構造を形成する主成分であるが、46%未満ではガラスの安定性が悪くなり、また熱膨張係数が大きくなって耐熱衝撃性が低下する。70%を超えると化学的耐久性が低下する。好ましくは48〜65%である。
AlFは化学的耐久性を向上させ、ガラスの粘性を高める成分であるが、0.2%未満ではその効果が得られず、20%を超えるとガラス化が困難となる。好ましくは2〜15%である。
MgF、CaF、SrF、BaFは化学的耐久性を低下することなくガラスを安定化するのに効果があるが、各々25%を超えると溶融温度が高くなり、また失透を生じやすくなる。好ましくは、MgFが15%以下、CaFが5〜15%の範囲である。SrFもまたガラスの化学的耐久性の改善に効果があるが、25%を超えると失透傾向が強くなる。好ましくは10%以下である。
LiF、NaF、KFは溶融温度を下げるために有効な成分であるが、LiFについては20%を、NaF、KFについては各々10%を超えると化学的耐久性の低下をまねき、かつ耐熱衝撃性が低下する。また、LiF、NaF、KFの合量が1% 未満では溶融温度を低下させる効果が得られず、30%を超えると化学的耐久性を著しく低下させるので、1〜30%の範囲とした。好ましくは、LiFが4〜15%、NaFが5%以下、KFが5%以下、合量で5〜20%である。
ZnFは、化学的耐久性を向上させるとともに熱膨張係数を下げる効果があるが、2%未満ではその効果が得られず、15%を超えるとガラスが不安定となるので好ましくない。好ましくは2〜10%の範囲である。
また、上記フッ化物総合計量の50%までを酸化物に置換することが可能である。この場合、Oは耐熱衝撃性を高め、Cu2+イオンによるガラスの着色に寄与するが、50%を超えると溶融温度が高くなり、Cu2+の還元をまねき所望の分光透過特性が得られなくなる。
前記フツリン酸塩系ガラスにおいては、BaおよびPbの含有を不純物としてのみ許容していることが好ましい。従来のフツリン酸塩系ガラスを基礎ガラスとする近赤外線カットフィルタガラスにおいては、BaおよびPbは、ガラスを安定化させるとともに耐候性を向上させる目的でBaF、PbFとして含有されているが、固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとしての用いる場合にはガラスから放射されるα線量が低いことが求められるため、BaF、PbFを実質的に含有させないことが好ましい。また、Pbについては環境汚染物質の観点からも含有しないことが好ましい。このため、本発明においては、BaおよびPbは意図的には添加しないことが好ましい。
本発明に用いられるリン酸塩系ガラスは、近赤外線カットフィルタガラスとして公知のガラス組成を用いることができるが、例えば質量%で、P 70〜85%、Al 8〜17%、B 1〜10%、LiO 0〜3%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%、LiO+NaO+KO 0.1〜5%、SiO 0〜3%を含有する組成であることが好ましい。
リン酸塩系ガラスの各含有成分の含有量を上記の範囲を限定した理由は、以下の通りである。
は、ガラス網目を構成する主成分であるが70%未満では溶融性が悪化し、85%を超えると失透が発生しやすくなる。
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させるための不可欠の成分であるが、8%未満ではその効果がなく、17%を超えると溶融性が悪くなる。
は、化学的耐久性を向上させ、ガラスの安定性に有効な成分であるが、1%未満ではその効果がなく、10%を超えると失透傾向が大きくなる。
LiO、NaO、KOは、ガラスの溶融性を改善し、失透を防止するために添加するが、これらの合量が0.1%未満ではその効果がなく、各成分が上記範囲を超えると化学的耐久性が劣化する。
SiOは、化学的耐久性を向上させる効果があるが、3%を超えると化学的耐久性が極端に悪化する。
上記にて説明したフツリン酸塩系ガラスもしくはリン酸塩系ガラスからなる基礎ガラスに含有するCuOは、近赤外カットのための必須成分である。CuOを含有しない場合、紫外線の透過量は多くなるものの、近赤外線をほとんどカットすることができず、フィルタに近赤外線カット機能を持たせることができない。CuOは、フツリン酸塩系ガラスもしくはリン酸塩系ガラスからなる基礎ガラス100質量部に対して、0.1〜5質量部含有させることが好ましい。CuOが0.1質量部未満では、近赤外線カット機能が十分得られない。また、CuOが5質量部より多いと、紫外線カット機能が高く、周縁部を薄くしたとしても十分な紫外線の透過量が得られない。なお、CuOのより好ましい範囲は、0.3〜2質量部である。
次に、実施形態1の近赤外線カットフィルタガラス1の製造方法について説明する。図4は、本発明に係る近赤外線カットフィルタガラス1の製造方法の一実施形態を示した流れ図である。
以下、ガラス原料からガラス製品に至る工程の流れを図4に従って簡単に説明する。まず、ガラス原料を溶融、板状のガラス10を得る(板状のガラス成形工程)。この板状のガラス10を最終製品となるフィルタガラス1が複数枚採取できる適当な大きさ(たとえば150mm角)に切断する。必要に応じて、後の研磨工程での破損防止等の目的で、その稜線部をダイヤモンドホイールなどを使い面取り加工あるいはガラスをエッチング液中に浸漬し、稜線部をエッチング処理してもよい(エッチング工程)。この板状のガラス10の透光面に対し研磨を行い、鏡面にまで仕上げ(研磨工程)、板状のガラス10を洗浄して研磨剤や研磨屑を十分に除き乾燥する(第1の洗浄工程)。次いで、一方の透光面に格子状の溝11を形成する(溝形成工程)。さらに前工程で形成された溝11の中心線に沿って切断分離する(切断分離工程)。再度ガラスを洗浄し、溝形成工程および切断工程での研削屑を除去した後乾燥する(第2の洗浄工程)。これにより一方の表面に光学有効部の板厚に比べて薄く形成された枠状の薄肉部3を有するフィルタガラス1を得る。
板状のガラス成形工程は、調合したガラス原料をガラス溶融炉で溶融し、溶融ガラスをガラス溶融炉から成形型に流出して板状のガラス10に成形する。もしくはブロック状のガラスに成形した後、板状に切断する。
研磨工程は、周知の研磨装置、研磨方法を使用して、板状のガラス10に対して、たとえば粗研磨、中研磨および鏡面仕上げの各段階に分けて研磨を行うことにより、良好な寸法精度と良好な仕上げ面とを得ることができる。
第1および第2の洗浄工程は、研磨に用いた研磨剤、研磨屑や研削屑を洗浄によって除去する。たとえば板状のガラス10を1枚ずつ間隔を設けて保持する保持部を有するかごに収容して保持し、このかごを順次超音波洗浄槽に浸漬して洗浄し、最終的にはイソプロピルアルコール(IPA)洗浄し乾燥する方法を用いることができる。
溝形成工程は、板状のガラス10の一方の透光面の表面層を所望の深さまで研削することによって行うことができ、公知の研削装置あるいは切断装置を用いることができる。以下は板状のガラス10の表面層の研削を、シリコンウエハ等の切断に用いられる切断装置を使用して行う場合を例として説明する。
切断装置には、ダイヤモンドホイールなどの円盤状の研削砥石12と、この研削砥石12の下方に設置された基板ホルダとが備えられている。このような切断装置では、円盤状の研削砥石12を回転させた状態で基板ホルダを上昇(あるいは研削砥石を下降)させ、基板ホルダに装着された板状のガラス10を研削砥石12の刃先(外周縁部)に接触させ、その状態で基板ホルダを研削砥石12に対して相対的に移動することにより板状のガラス10の切断が行われる。本発明の方法では、研削砥石12の刃先の位置を板状のガラス10の板厚内に設定することで、板状のガラス10の表面層の研削を行う。基板ホルダは、研削砥石12による板状のガラス10の研削位置の位置決めを行うため、基板ホルダに保持される板状のガラス10をその表面に沿って移動することが可能とされ、また研削砥石12による研削方向を調節するため、板状のガラス10をその表面に垂直な軸を中心として回転することが可能とされている。このような切断装置は周知であるので、その構成や動作の詳細については説明を省略する。
溝形成工程では、まず、前記の切断装置の基板ホルダに研磨工程後の第1の洗浄工程を終えた板状のガラス10を装着する。次いで、円盤状の研削砥石12を回転させた状態で基板ホルダを上昇させ、前記板状のガラス10を研削砥石12の刃先に接触させ、基板ホルダを研削砥石12に対して移動させることにより溝11を形成する。以後、この操作を繰り返して板状のガラス10表面に複数本の溝11を形成した後、基板ホルダを90度回転させて、さらに前記操作を繰り返し、図7に示すように表面に格子状の溝11が形成された板状のガラス10を得る。溝形成工程は、図8(斜視図)に示すように板状のガラス10の外縁が溝11となるように行うこともできるが、この場合、研削されて残った薄肉部が割れやすいので、図6に示すように板状のガラス10の外縁に厚肉部を残して溝11を形成することが好ましい。
ここで形成される溝11の幅は、この後の切断工程を経て得られるフィルタガラス1において、パッケージ9との封止に必要な薄肉部3の幅が得られるよう研削砥石12の刃幅を選択することによって設定する。また、各溝11の間隔は、フィルタガラス1が封止されるパッケージ9のサイズに合わせて必要な光学有効部が得られるように設定される。なお、図3に示すように、段部2をパッケージ9の開口部に嵌合させるように封止する場合には、各溝11によって画成されるガラス表面の光学有効部の大きさが、パッケージ9の開口部内寸よりも僅かに小さくなるよう溝間隔を設定する。これにより封止時のパッケージ9とフィルタガラス1との位置合わせが容易となり、接着剤7のパッケージ9内面へのはみ出しも防止できる。また、図9に示すように段部2を形成しない面をパッケージ9の外枠に封止する場合には、パッケージ9との封止に必要な薄肉部3の幅を確保した上で、各溝11によって画成される板状のガラス10表面の光学有効部の大きさが、パッケージ9の開口部内寸と同等かより大きいサイズとなるよう加工することが望ましい。これにより薄肉部3を透過した光や段部2の側面から入射する迷光が撮像素子に入射するのを防止し、撮影画像の良好な色再現性を維持できる。
切断分離工程は、上記溝形成工程で使用したものと同様の切断装置を用いて行うことができる。切断分離の場合には、溝形成工程で使用したものよりも刃幅の狭い研削砥石12を使用し、溝形成工程と同様の操作で、先に作成した各溝11の中心線(図7に点線で示す)に沿って板状のガラス10を切断し、最終製品サイズのフィルタガラス1に分離する。
また、図4の工程の流れに加えて、図5に示すように第一の洗浄工程に次いで板状のガラス10の片面に紫外線カット機能を有する光学薄膜を成膜する工程(成膜工程)を有してもよい。成膜工程は、研磨され洗浄・乾燥された板状のガラス10の板面に、真空蒸着装置やスパッタリング装置などにより紫外線カット機能を有する光学薄膜を成膜する工程である。なお、板状のガラス10に光学薄膜を形成した場合、次工程である溝形成工程においては、光学薄膜を形成した面を研削砥石側に向けて装着することにより、最終的に切断分離された後のフィルタガラス1において薄肉部3のみ光学薄膜が除去される。これにより、光学薄膜が残存する光学有効部は紫外線カット機能を有しつつ、薄肉部3は紫外線を透過することが可能となる。
以上のようにして作成した近赤外線カットフィルタガラス1の縦断面図が図2であり、このフィルタガラス1を固体撮像素子8のパッケージ9に封止した状態を示す縦断面図が図3である。図示のとおり、実施形態1のフィルタガラス1は、封止部に相当する薄肉部3の肉厚が薄いため、後述するようにこの部分の紫外線透過率が高く、紫外線硬化型接着剤7を使用して封止する際、接着剤7に到達する必要な紫外線量を確保でき、固体撮像素子デバイス100の組立てを効率的に行うことが可能である。
図3に示すように、段部2をパッケージ9の開口部に嵌合させるように封止する場合、パッケージ9の開口部にフィルタガラス1を載置する際にフィルタガラス1の段部2をパッケージ3の開口部に嵌挿することで位置決めが正確かつ容易に行える。また、この場合、フィルタガラス1の光学有効部の厚みの一部(上記溝の深さ分)は、パッケージ9内に存在することになるため、固体撮像素子デバイス100の厚みを薄く抑えることができる。
さらに、上記工程では溝形成を研削砥石12を用いて行っているので、当該フィルタガラス1における段部2および薄肉部3の研削面は、光学研磨された透光面に比べて粗面となっている。このため、通常の研磨面に比べてパッケージに封止される封止部の接着面積を増やすことができ、封止用の接着剤7との十分なアンカー効果が期待でき、パッケージに対する接着強度を向上させることができる。また、図3に示すように、段部2をパッケージ9の開口部に嵌合させるように封止する場合には、フィルタガラス1をパッケージ9の開口部を覆うように封止する従来の構成では存在しなかった近赤外線カットフィルタ1の端面が、段部2としてパッケージ9内部に配置されることになる。段部2となる端面が平坦な研磨面であると、近赤外線カットフィルタガラス1に斜めに入射した光が、前記端面で反射されて固体撮像素子8に入射し、撮像画質を低下させるおそれがあるが、本発明の実施形態では、上記のように段部2となる端面が粗面とされているため、同端面に入射した光は散乱されて固体撮像素子8に入射する成分を減少させることができる。なお、段部2となる端面を墨塗りしておけば、吸収によりさらに内面反射を抑制することができる。
また、溝形成工程もしくは切断分離工程後のフィルタガラス1を常温から80℃程度に温めたアルカリ水溶液からなるエッチング液に所定時間浸漬するアルカリエッチング工程を有してもよい。フィルタガラス1や板状のガラス10を研磨、溝形成、切断分離する際、ガラスの端面や薄肉部3に微小クラックが発生し、このクラックがフィルタガラス1の曲げ強さを低下させるおそれがある。アルカリエッチング工程を行うことにより、これら微小クラックを除去するもしくはクラック先端を鈍化することで、曲げ応力が作用した際に破壊の起点となる可能性が低くなり、よってフィルタガラス1の曲げ強さを向上させることができる。なお、アルカリエッチング工程では、エッチング液がフィルタガラス1の端面や薄肉部3を完全に平坦にするわけではないため、前述の段部2となる端面における光散乱効果は失われない。
アルカリエッチング工程において、アルカリ水溶液からなるエッチング液を用いる理由は、研磨工程後の光学有効部にマスキング等の保護処理をせずにエッチングしても、研磨工程等にて生じた微小クラックを確実に除去し、かつ光学有効部に対し面荒れ等の影響を及ぼさないためである。これにより、光学有効部を保護する工程が不要であり、製造工程を簡易にすることができる。アルカリエッチング工程で用いられるアルカリ水溶液からなるエッチング液は、アルカリ成分はKOHであり、その他の成分として界面活性剤(トリエタノールアミン、ベンジルアルコールなど)、水などが含まれる。
また、図11に示すように段部2に固体撮像素子8と対向する第2透光面6(内面)側に向かって縮径するテーパ14を形成してもよい。この場合、溝形成工程で使用する円盤状の研削砥石12として、図12に例示する周端に向かって厚みの縮小する回転砥石を用いて研削を行うことで容易にテーパ14を形成できる。このように段部2にテーパ14を持たせることにより、パッケージ9への嵌挿位置決めが容易になるとともに、近赤外線カットフィルタガラス1の光学有効部に斜めに入射した光がテーパ14に当たった場合でも入射面側に反射されて固体撮像素子8に反射光が直接入射しにくくなる。また、研削により薄肉部3を形成すると、薄肉部3と元厚部分との角に応力集中が起こりやすく、ハンドリング中などの衝撃で割れやすくなる欠点があるが、段部2にテーパ14を持たせることにより応力緩和が図れ、割れにくくする効果も得られる。テーパ14の形状としては、図11に示す直線状のテーパ14のほか研削砥石12の形状を選択することにより図13に示す連続曲面としても同様の効果が得られる。フィルタガラス組み付け時の位置決め・精度をより向上させるためには、パッケージ9の開口部をフィルタガラス1のテーパ形状に合わせた形状としておくことが好ましい。
図9に段部2を形成しない面をパッケージ9の外枠に封止した状態の縦断面図を示す。このように封止する場合でも封止部に相当する薄肉部3の肉厚が薄いため、この部分の紫外線透過率が高く、紫外線硬化型接着剤7による固体撮像素子デバイス100の組立てを効率的に行うことができる。この場合も図11に示すようにパッケージ9に封止した際に外面となる第1透光面5側に向かって縮径するテーパ14を形成することができる。テーパ14を形成することにより、近赤外線カットフィルタガラス1の光学有効部に斜めに入射した光が固体撮像素子8方向に反射しにくくなる。なお、この場合、テーパ14からの入射光が固体撮像素子8に入射しないようテーパ14を墨塗りしておくことが好ましい。
<実施例1>
次に、実施形態1に基づく実施例1について説明する。
近赤外線カット機能を有するガラスとしてフツリン酸塩系ガラス(NF−50、AGCテクノグラス社製)を用い、このフツリン酸塩系ガラスに含有するCuOの量を1.2質量%としたものを用意した。このガラスは、固体撮像素子8に装着した際に板厚1mmにおいて所望の視感度補正が得られる分光透過率特性を有するよう調整されたものである。
このガラスを用い、上記実施形態1記載の工程にしたがって近赤外線カットフィルタガラス1を作成した。まず、溶融ガラスを板厚約2mm、板幅約150mm超に連続成形し、両端を切断して板幅150mmとし、これを長さ150mmごとに切断し、板状のガラス10とする。次いで、この板状のガラス10を肉厚1mmとなるまで両面研磨、洗浄した後、一方の表面層を研削して溝11を形成する。溝間隔は固体撮像素子8のパッケージサイズに合わせて設定され、溝幅はパッケージ9との封止面に応じて設定される。たとえば、パッケージ9との封止面幅が1.5mmの場合、研削する溝幅は1.5mm×2+最終切断しろに設定し、それにあった研削砥石12を使用して切削を行う。また、研削深さは、深くするほど薄肉部の肉厚が薄くなり、紫外線透過率を高めることができるが、同時に強度・歩留は低下する傾向となるので、本例では研削深さ0.5mmすなわち薄肉部肉厚0.5mmとなるように研削した。次いで、研削溝の中心線に沿って切断分離し、研削屑を洗浄、乾燥して近赤外線カットフィルタガラス1を得た。
以上のようにして作成した近赤外線カットフィルタガラス1の光学有効部と封止部となる薄肉部の分光透過率をV−570型紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製)を用いてそれぞれ測定した。その結果を図23に示す。なお、図23(A)は、測定部位別の紫外域から赤外域に至る波長範囲の分光透過率を示し、図23(B)は図23(A)における紫外域のみを拡大した分光透過率を示す図である。
図23の分光透過率から、例えば320nmにおいて、板厚1mmの光学有効部で10%未満の透過率が、板厚0.5mmの薄肉部では30%超に、330nmでは、板厚1mmの光学有効部で約30%の透過率が、板厚0.5mmの薄肉部では約60%にまで向上していることがわかる。紫外線硬化型接着剤を硬化させるために有効な波長はある程度の範囲があるため、紫外域の全域において透過率が高まることにより、紫外線硬化型接着剤の硬化時間を大幅に短縮することができる。
次に上記近赤外線カットフィルタガラス1を用いて、固体撮像素子パッケージ9を気密封止する場合を説明する。
近赤外線カットフィルタガラス1(フツリン酸塩系ガラス、CuO含有量:1.2質量%、板厚1mm)について、薄肉部3を形成して封止部肉厚を0.5mmに薄肉加工したものと、薄肉部3を形成せず全体肉厚が1mmのものを用意した。
これらの近赤外線カットフィルタガラス1の薄肉部3が当接するパッケージ9の開口部にディスペンサーを用いて紫外線硬化型接着剤7を塗布する。次に、近赤外線カットフィルタガラス1をパッケージ9の上部に載置する。次いで、近赤外線カットフィルタガラス1が載置されたパッケージ9に紫外線ランプにより紫外線を照射して接着剤7を硬化させ、近赤外線カットフィルタガラス1をパッケージ9に接着した。この際、近赤外線カットフィルタガラス1の接着に要した時間、つまり接着剤7が硬化した時間について調査を行った。
接着に要した時間は、薄肉部3を形成した近赤外線カットフィルタガラス1を用いた場合、薄肉部3を形成しない近赤外線カットフィルタガラス1を用いた場合と比べて40%程度短かった。なお、紫外線硬化型接着剤7の硬化は、紫外線の積算光量に依存する。紫外線の積算光量は、紫外線強度と照射時間の積であり、紫外線強度が低い場合は、長い照射時間が必要となる。薄肉部3を形成した近赤外線カットフィルタガラス1は、ガラスによる紫外線吸収量が光学有効部より少ないため接着剤7に到達する紫外線強度が高く、短い時間で硬化が可能であったと考えられる。そのため、上記薄肉部3の肉厚が前述の場合以外であっても、薄肉部3の肉厚が光学有効部より薄いことにより紫外線吸収量が少なければ、同様の効果が得られるものである。
<実施形態2>
次に実施形態2について説明する。
図14は本発明の近赤外線カットフィルタガラス21の実施形態2を示す斜視図であり、図16は本発明の近赤外線カットフィルタガラス21を固体撮像素子8のパッケージ9開口部に封止した固体撮像素子デバイス100の縦断面図である。
実施形態2の近赤外線カットフィルタガラス21(以下、フィルタガラス21と略す場合がある)は、図14〜図16に示すとおり、矩形板状の外観形状であって、パッケージ9に封止した際にパッケージ9の開口部を覆う板面中央の光学有効部22と、パッケージ9との封止面となる枠状の周縁部23とが一体で構成される。なお、光学有効部22とは、固体撮像素子8に入射する光がフィルタガラス21を透光する範囲をいうものであり、フィルタガラス21とパッケージ9との封止面より内側をいう。また周縁部23とは、前記光学有効部22の外周を指すものであり、フィルタガラス21とパッケージ9との間に設けられる接着剤7が付着する範囲を含む。
前記光学有効部22は、所定の近赤外線カット機能を持たせるためにフツリン酸塩系ガラスまたはリン酸塩系ガラスにCuOを含有させた近赤外線カットガラスからなり、前記周縁部23は前記光学有効部22を構成するガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないことにより紫外線透過率が高められたガラスから構成されている。したがって、実施形態2のフィルタガラス21では、固体撮像素子8に入射する光には影響しない周縁部23における紫外線透過率を光学有効部22の紫外線透過率に比べて高めることによって、光学有効部22においては必要な透過特性を維持したまま、接着剤7が設けられる周縁部23での紫外線透過量を増大させ、フィルタガラス21の周縁部23に設けられた接着剤7に十分な紫外線を到達させることで接着剤7の硬化時間を短縮可能とし、フィルタガラス21とパッケージ9とを効率的に組立てることができる。
周縁部23を構成するガラスは、紫外線に対して透明なものであればよいが、たとえば光学有効部22を構成するガラスと同様の原料を用いCuOなどの紫外線吸収成分を添加せずに溶融したガラスを使用することができる。こうすることによって、光学有効部22を構成するガラスと周縁部23を構成するガラスとの粘性特性や膨張特性をほぼ等しくすることができ、両者を一体化した場合にも内部に歪が残らず、後述する成形加工を容易に行うことができ、応力による光学的影響もなくすことができる。なお、光学有効部22を構成するガラスとしては上記実施形態1に詳述したものと同様のガラス、すなわちフツリン酸塩系ガラスまたはリン酸塩系ガラスにCuOを含有させたガラスを使用できる。
以上のような近赤外線カットフィルタガラス21は、以下のようにして製造することができる。
(1)CuOを含有する赤外線吸収ガラスを溶融、四角柱状のガラス棒材24を作成し、外周4面を光学研磨する工程、
(2)前記赤外線吸収ガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないガラスを溶融、成形してガラス板材25を作成し、少なくとも隣接する2面を光学研磨する工程、
(3)前記四角柱状のガラス棒材24の各研磨面に前記ガラス板材25の研磨面同士を接合させてガラス棒材24の外周4面を囲繞した母材29を作成する工程、
(4)前記母材29を所定の寸法に加熱延伸する工程、
(5)延伸された前記母材を延伸軸に垂直な方向に切断して平板ガラス28とする工程、
(6)前記平板ガラス28の両面を光学研磨する工程。
以下、ガラス原料からガラス製品に至る工程の流れを図17に従って簡単に説明する。
まず、光学有効部22を構成するガラスとして、CuOを含むガラス原料を溶融、四角柱状のガラス棒材24とし、次いでこのガラス棒材24の外周4面を光学研磨して光学有効部を構成するガラス棒材24を得る(ガラス棒材成形工程)。
一方、周縁部23を構成するガラスとして、光学有効部22を構成するガラスと同様の原料を用いCuOなどの紫外線吸収成分を添加せずに溶融したガラスを使用して平板状に成形し、少なくとも隣接する2面を光学研磨して周縁部を構成するガラス板材25を得る(ガラス板材成形工程)。
このとき、ガラス原料調合設備およびガラスを溶融するルツボまたは溶融炉は、CuOなど紫外線吸収成分の混入を防止するため、上記CuOを含むガラスの溶融に使用したものとは別に用意することが好ましい。
ガラス板材25の幅は、少なくとも後に接合する前記ガラス棒材24の一辺にガラス板材25の厚みを加えた長さとする。ガラス棒材24の断面形状が長方形である場合、ガラス板材25は、前記長方形の長辺の長さにガラス板材25の厚みを加えた幅のもの2枚と、前記長方形の短辺の長さにガラス板材25の厚みを加えた幅のもの2枚を作成する。あるいはガラス棒材24の長辺または短辺の長さにガラス板材25の2枚分の厚みを加えた幅のもの2枚と、ガラス棒材24の短辺または長辺の長さと同じ幅のもの2枚でもよい。
ガラス板材成形工程において、ガラス板材25の少なくとも隣接する2面を光学研磨するのは、この後ガラス棒材とガラス板材25とを接合する際に、各接合面に隙間を生じさせず一体化するためである。好ましくはガラス板材25の両板面と、通常は前記板面の長辺側となる2端面とを研磨する。これにより最終製品の外周面もきれいな研磨面となり、正確な外形形状・寸法とすることができる。
次に、前記ガラス棒材24とガラス板材25とを図20に示すように、それぞれの研磨面を当接させて、ガラス棒材24の外周をガラス板材25で囲繞した延伸前の母材29を作成する(延伸母材作成工程)。なお、この際ガラス棒材24とガラス板材25との接合面に接着剤等を使用する必要はない。正確に研磨された平面はオプティカルコンタクトにより密接して後の延伸工程を経た後は完全に分離不能な状態に一体化するためである。このようにして形成された延伸母材29のガラス棒材24の長軸に垂直な断面形状が、最終製品形状と相似となるよう上記ガラス棒成形工程および上記ガラス板成形工程では、ガラス棒材24とガラス板材25の寸法を決定する。
次いで、前記延伸母材29を加熱器の中に入れ、所定の寸法に加熱延伸する(延伸工程)。図22に延伸工程に用いられる延伸装置の概略を示す。延伸装置は、加熱器31、母材29、母材の支持部33、母材の延伸部34、外径(厚み)制御部35などから構成される。実施形態2の延伸加工方法は、基本的には、公知のリドロー加工法を用いたものである。なお、リドロー加工とは、一次成形された母材を垂直に保持し、その母材の下端を加熱してガラスの粘度を低下させて引き下ろすことによって、細身の製品を製作する方法である。すなわち、まず、図22(A)に示すように、延伸母材29を、加熱器31の中に入れる。この母材29の上端を支持部33にセットして、その下端に延伸部34を取り付ける。延伸部34は、図示しない駆動装置によって上下動可能に設けられている。この状態で、母材29を加熱器31で加熱して軟化させ、駆動装置を作動させることによって延伸部34を下降させる。すると、図22(B)に示すように、母材29が延伸されて細い角柱状となる。この延伸部分の角柱の一辺の長さが一定となるように、外径(厚み)制御部35によって延伸部分の一辺の長さを検出しながら、駆動装置による延伸部34の延伸速度を制御する。さらに、母材29の延伸した部分を一定の長さに切断し、外形(長辺、短辺)が製品寸法となった近赤外線カットフィルタガラス棒材26が得られる。
このとき、周縁部23を構成する上記ガラス板材25の非接合面が研磨されていない場合、延伸母材29の外周面は粗面となっているが、加熱延伸によって軟化し引き伸ばされることにより、表面の微小な凹凸や傷も引き伸ばされ、たとえば傷の先端は鋭角な状態から鈍化させられ、結果、ガラスの強度が向上する。また、本方法によって製造したフィルタガラス21は、外周面からクラックが入った場合でもガラス棒材24とガラス板材25との接合界面でクラックの伸張が妨げられ、光学有効部22が保護される利点がある。
次に、公知の切断装置を用いて延伸された近赤外線カットフィルタガラス棒材26を延伸軸に垂直な方向に切断して平板ガラス28とする(切断分離工程)。
切断された平板ガラス28は、両切断面を光学研磨する(研磨工程)。研磨工程は、周知の研磨装置、研磨方法を使用して、たとえば粗研磨、中研磨および鏡面仕上げの各段階に分けて行うことにより、良好な寸法精度と良好な仕上げ面とを得ることができる。その後、平板ガラス28を洗浄して研磨剤や研磨屑を十分に除き乾燥する。必要に応じて稜線部を面取加工、再洗浄・乾燥して最終製品となるフィルタガラス21を得る。
上記ガラス棒材24と上記ガラス板材25の組成をCuOを除いて同一の母材組成とすることにより、研磨工程における光学有効部22と周縁部23との研磨レートに差が生じず、光学有効部22と周縁部23との境界に段差のない良好な研磨面を得ることができる。
以上によって、光学有効部22が近赤外線カット機能を有するCuO含有ガラスからなり、枠状の周縁部23がCuOを含有しない、すなわち紫外線透過率が高められたガラスから構成された実施形態2の近赤外線カットフィルタガラス21が得られる。
以上のようにして作成した近赤外線カットフィルタガラス21の斜視図が図14であり、このフィルタガラス21を固体撮像素子8のパッケージ9に封止した状態を示す縦断面図が図16である。図示のとおり、実施形態2のフィルタガラス21は、封止部に相当する周縁部23がCuOを含有しない紫外線透過率の比較的高いガラスからなるため、紫外線硬化型接着剤7を使用して封止する際、接着剤7に到達する必要な紫外線量を確保でき、固体撮像素子デバイス100の組立てを効率的に行うことが可能である。なお、CuOを含有する光学有効部22のガラスは、パッケージ9開口部よりも広い面積である必要がある。パッケージ9開口部よりもCuOを含有する光学有効部22のガラス、すなわち光学有効部22が小さいと、CuOを含有しない周縁部23のガラスがパッケージ9開口部にかかり、その部分からガラスに吸収されない赤外線が固体撮像素子8に入射してしまうためである。
<実施例2>
次に、実施形態2に基づく実施例2について説明する。近赤外線カットフィルタガラス21の光学有効部22を構成するガラスとして、前述の実施例1と同様フツリン酸塩系ガラス(NF−50、AGCテクノグラス社製)を用い、このフツリン酸塩系ガラスに含有するCuOの量を1.2質量%としたものを用意した。このガラスは、溶融後、ブロック状にキャスト成形して長辺60mm、短辺50mm、長さ400mmの四角柱状に切り出し、外周4面を光学研磨したガラス棒材24を作成した。
一方、周縁部23を構成するガラスとして、上記フツリン酸塩系ガラス(NF−50、AGCテクノグラス社製)からCuOを添加しないで溶融したガラスを用い、ブロック状にキャスト成形した後、幅67.5mm、厚さ7.5mm、長さ400mmの板と、幅57.5mm、厚さ7.5mm、長さ400mmの板とを切断・研磨してガラス板材25を作成した。
次いで、前記ガラス棒材24とガラス板材25とを図20に示すように、それぞれの研磨面を当接・接合させて、ガラス棒材24の外周をガラス板材25で囲繞した長辺75mm、短辺65mm、長さ400mmの延伸母材29を作成した。この延伸母材29を加熱延伸(リドロー)して、長辺15mm、短辺13mmの棒材に成形し、公知の切断装置を用いて厚み1.5mm程度に切断した後、両切断面を光学研磨、洗浄、乾燥して、厚さ1mmのフィルタガラス21を得た。最終的に得られたフィルタガラス21は、CuO含有ガラスからなる光学有効部22の寸法が長辺12mm、短辺10mm、パッケージ9との封止部となるCuO不含有ガラスからなる周縁部の幅が1.5mmの矩形板状体となる。
以上のようにして作成した近赤外線カットフィルタガラス21のCuO含有ガラスからなる光学有効部22とパッケージ9との封止部となるCuO不含有ガラスからなる周縁部23の分光透過率をV−570型紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製)を用いてそれぞれ測定した。その結果を図24に示す。なお図24は、各ガラスの紫外域のみを拡大した分光透過率を示す図である。
図24の分光透過率から、例えば300nmにおいて、CuOを含有する光学有効部22で0%の透過率が、CuOを含有しない周縁部23では60%超に、330nmでは、光学有効部22で約30%の透過率が、周縁部23では80%超にまで向上していることがわかる。紫外線硬化型接着剤7を硬化させるために有効な波長はある程度の範囲があるため、紫外域の全域において透過率が高まることにより、紫外線硬化型接着剤7の硬化時間を大幅に短縮することができる。
次に上記近赤外線カットフィルタガラス21を用いて、パッケージ9を気密封止する場合を説明する。
上記実施例2の近赤外線カットフィルタガラス21と、同近赤外線カットフィルタガラス21の光学有効部22を構成するガラスのみからなり全体肉厚を1mmに研磨したものを比較例として用意した。
これらの近赤外線カットフィルタガラス21の周縁部23が当接するパッケージ9の開口部にディスペンサーを用いて紫外線硬化型接着剤7を塗布する。次に、接着剤7が塗布されたガラスをパッケージ9の上部に載置する。次いで、ガラスが載置されたパッケージ9に紫外線ランプにより紫外線を照射して接着剤7を硬化させ、ガラスをパッケージに接着した。この際、ガラスの接着に要した時間、つまり接着剤7が硬化した時間について調査を行った。
ガラスの接着に要した時間は、実施例のガラスを用いた場合、比較例のガラスを用いた場合と比べて50%程度短かった。
なお、上記実施例2では、フツリン酸塩系ガラスを用いた例について説明したが、フツリン酸塩系ガラスは粘性曲線の傾きが急であり、リドロー成形には非常に厳密な温度管理が要求されるため、実施形態2にはフツリン酸塩系ガラスに比較して粘性曲線の傾きが緩やかであるリン酸塩系ガラスを用いることが好ましい。
<実施形態3>
次に実施形態3について説明する。
図25は本発明の近赤外線カットフィルタガラス41の実施形態3を示す斜視図である。 実施形態3の近赤外線カットフィルタガラス41(以下、フィルタガラス41と略す場合がある)は、図25に示すとおり、矩形板状の外観形状であって、パッケージ9に封止した際にパッケージ9の開口部を覆う板面中央の光学有効部を構成するCuO含有ガラス42と、CuO含有ガラス42よりもひとまわり大きくパッケージ9との封止面となる周縁部を含むUV透過ガラス43とが積層状態で構成される。なお、光学有効部とは、固体撮像素子8に入射する光がフィルタガラス41を透光する範囲をいうものであり、フィルタガラス41とパッケージ9との封止面より内側をいう。また周縁部とは、前記光学有効部の外周を指すものであり、フィルタガラス41とパッケージ9との間に設けられる接着剤7が付着する範囲を含む。
CuO含有ガラス42は、所定の近赤外線カット機能を持たせるためにフツリン酸塩系ガラスまたはリン酸塩系ガラスにCuOを含有させた近赤外線カットガラスからなる。UV透過ガラス43は前記CuO含有ガラス42よりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないことにより紫外線透過率が高められたガラスから構成されている。したがって、実施形態3のフィルタガラス41では、固体撮像素子8に入射する光には影響しない周縁部における紫外線透過率を光学有効部の紫外線透過率に比べて高めることによって、光学有効部においては必要な透過特性を維持したまま、接着剤7が設けられる周縁部での紫外線透過量を増大させ、フィルタガラス41の周縁部に設けられた接着剤7に十分な紫外線を到達させることで接着剤7の硬化時間を短縮可能とし、フィルタガラス41とパッケージ9とを効率的に組立てることができる。
周縁部を構成するUV透過ガラスは、紫外線に対して透明なものであればよいが、たとえば光学有効部を構成するCuO含有ガラス42と同様の原料を用いCuOなどの紫外線吸収成分を添加せずに溶融したガラスを使用することができる。こうすることによって、光学有効部を構成するCuO含有ガラス42と周縁部を構成するUV透過ガラス43との粘性特性や膨張特性をほぼ等しくすることができ、これらによる光学的影響もなくすことができる。なお、CuO含有ガラス42を構成するガラスとしては上記実施形態1に詳述したものと同様のガラス、すなわちフツリン酸塩系ガラスまたはリン酸塩系ガラスにCuOを含有させたガラスを使用できる。
以上のような近赤外線カットフィルタガラス41は、以下のようにして製造することができる。
(1)CuOを含有する赤外線吸収ガラスを溶融、板状のCuO含有ガラス42を得る工程、
(2)前記赤外線吸収ガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないガラスを溶融、板状のUV透過ガラス43を得る工程、
(3)前記CuO含有ガラス42および前記UV透過ガラス43の両面を光学研磨する工程、
(4)前記UV透過ガラス43のほぼ中央部にパッケージ9との封止部を残した状態で前記CuO含有ガラス42を接着する工程。
このフィルタガラス41を固体撮像素子8のパッケージ9に封止した状態を示す縦断面図が図26である。図示のとおり、実施形態3のフィルタガラス41は、封止部に相当する周縁部が紫外線透過率の比較的高いUV透過ガラス43からなるため、紫外線硬化型接着剤7を使用して封止する際、接着剤7に到達する必要な紫外線量を確保でき、固体撮像素子デバイス100の組立てを効率的に行うことが可能である。なお、CuO含有ガラス42は、パッケージ9開口部面積とほぼ等しい大きさであることが好ましい。パッケージ9開口部面積よりもCuO含有ガラス42の大きさが小さいと、UV透過ガラス43がパッケージ9開口部にかかり、その部分から不要な赤外線が固体撮像素子8に入射してしまうためである。また、パッケージ9開口部面積よりもCuO含有ガラス42の大きさが大き過ぎると、CuO含有ガラス42が封止部にかかり、接着剤7に照射される紫外線がCuO含有ガラス42により吸収されるためである。
<実施例3>
次に、実施形態3に基づく実施例3について説明する。近赤外線カットフィルタガラス41の光学有効部を構成するCuO含有ガラス42として、前述の実施例1と同様フツリン酸塩系ガラス(NF−50、AGCテクノグラス社製)を用い、このフツリン酸塩系ガラスに含有するCuOの量を1.2質量%としたものを用意した。このガラスを前述の工程にしたがって厚さ1mm、大きさ10mm×10mmの両面を光学研磨した板状ガラスに成形した。
一方、周縁部を構成するUV透過ガラス43として、上記フツリン酸塩系ガラス(NF−50、AGCテクノグラス社製)からCuOを添加しないで溶融したガラスを用い、上記と同様の工程にて、厚さ1mm、大きさ14mm×14mmの両面を光学研磨した板状ガラスに成形した。
そして、CuO含有ガラス42の一方の面に紫外線硬化樹脂接着剤を塗布し、UV透過ガラス43の全周に2mmの非接着部を備えた状態でCuO含有ガラス42を載置し、紫外線を照射することで接着剤を硬化し、両者を積層一体化した。
次に上記近赤外線カットフィルタガラス41を用いて、パッケージ9を気密封止する場合を説明する。
上記実施例3の近赤外線カットフィルタガラス41と、同近赤外線カットフィルタガラス41の光学有効部を構成するCuO含有ガラス42のみからなり全体肉厚を1mmに研磨したものを比較例として用意した。
これらの近赤外線カットフィルタガラス41の周縁部が当接するパッケージ9の開口部にディスペンサーを用いて紫外線硬化型接着剤7を塗布する。次に、接着剤7が塗布されたガラスをパッケージ9の上部に載置する。次いで、ガラスが載置されたパッケージ9に紫外線ランプにより紫外線を照射して接着剤7を硬化させ、ガラスをパッケージに接着した。この際、ガラスの接着に要した時間、つまり接着剤7が硬化した時間について調査を行った。
ガラスの接着に要した時間は、実施例3のガラスを用いた場合、比較例のガラスを用いた場合と比べて50%程度短かった。
なお、上記実施例3では、CuO含有ガラス42やUV透過ガラス43としてフツリン酸塩系ガラスを用いた例について説明したが、リン酸塩系ガラスを用いてもよい。また、図26ではCuO含有ガラス42を固体撮像素子側としているが、UV透過ガラス43を固体撮像素子側としてもよい。
本発明の近赤外線カットフィルタガラスによれば、近赤外線カットフィルタガラスを固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとしてパッケージに直接封止する場合であっても、紫外線硬化型接着剤を用いてパッケージと迅速に貼り合わせることが可能である。
1…近赤外線カットフィルタガラス(実施形態1)、2…段部、3…薄肉部(周縁部)、4…側面、5…第1透光面、6…第2透光面(光学有効部)、7…紫外線硬化型接着剤、8…固体撮像素子、9…パッケージ、10…板状のガラス、11…溝、12…研削砥石、13…溝の中心線、14…テーパ、21…近赤外線カットフィルタガラス(実施形態2)、22…光学有効部、23…周縁部、24…ガラス棒材、25…ガラス板材、26…近赤外線カットフィルタガラス棒材、27…切断装置、28…平板ガラス、29…延伸母材、31…加熱器、33…母材の支持部、34…母材の延伸部、35…外径(厚み)制御部、41…近赤外線カットフィルタガラス(実施形態3)、42…CuO含有ガラス、43…UV透過ガラス、100…固体撮像素子デバイス。

Claims (10)

  1. 紫外線硬化型接着剤を用いて固体撮像素子のパッケージに封止される近赤外線カットフィルタガラスであって、CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラスからなる板状のガラスであ、光を透過する光学有効部と、光学有効部の外周に隣接する周縁部とを有し、前記光学有効部の紫外線透過率よりも前記周縁部の紫外線透過率が高く、前記周縁部を前記パッケージとの封止部とすることを特徴とする近赤外線カットフィルタガラス。
  2. 前記周縁部が、前記光学有効部の外周を枠状に取り囲むものであり、かつ前記周縁部の板厚が前記光学有効部の板厚に比べて薄く形成されたことを特徴とする請求項1記載の近赤外線カットフィルタガラス。
  3. 前記周縁部が、研削により形成された研削面からなることを特徴とする請求項2記載の近赤外線カットフィルタガラス。
  4. 前記近赤外線カットフィルタガラスを構成するガラスが、フツリン酸塩系ガラスもしくはリン酸塩系ガラスからなる基礎ガラス100質量部に対して、CuOを外掛で0.1〜5質量部含有するものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の近赤外線カットフィルタガラス。
  5. CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラスからなり、固体撮像素子のパッケージに紫外線硬化型接着剤を用いて封止されて用いられる板状の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法であって、以下の工程を有することを特徴とする近赤外線カットフィルタガラスの製造方法。
    (1)CuOを含有するフツリン酸塩系ガラスまたはCuOを含有するリン酸塩系ガラスを溶融、板状のガラスを得る工程、
    (2)板状のガラスの両面を光学研磨する工程、
    (3)板状のガラスの片面に格子状の溝を形成する工程、
    (4)形成された溝の中心線に沿って板状のガラスを切断分離する工程。
  6. 前記板状のガラスの両面を光学研磨する工程に次いで、板状のガラスの片面に紫外線カット機能を有する光学薄膜を成膜する工程を含み、前記板状のガラスの片面に格子状の溝を形成する工程において、前記光学薄膜が成膜された側の表面に格子状の溝を形成することを特徴とする請求項記載の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法。
  7. 前記板状のガラスの片面に格子状の溝を形成する工程が、研削加工によるものである請求項またはに記載の近赤外線カットフィルタガラスの製造方法。
  8. 前記周縁部のガラス組成が、前記光学有効部のガラス組成に比べてCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないことを特徴とする請求項1または2記載の近赤外線カットフィルタガラス。
  9. 前記近赤外線カットフィルタガラスが、CuOを含有し光学有効部を構成するガラスの外周に前記光学有効部を構成するガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しない枠状のガラスを一体化したものであることを特徴とする請求項記載の近赤外線カットフィルタガラス。
  10. 固体撮像素子のパッケージに紫外線硬化型接着剤を用いて封止されて用いられ、CuOを含有し光を透過する光学有効部を構成する板状のガラスの外周に前記光学有効部を構成するガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しない枠状のガラスを一体化した近赤外線カットフィルタガラスの製造方法であって、以下の工程を有することを特徴とする近赤外線カットフィルタガラスの製造方法。
    (1)CuOを含有する赤外線吸収ガラスを溶融、四角柱状のガラス棒材を作成し、外周4面を光学研磨する工程、
    (2)前記赤外線吸収ガラスよりもCuO含有量が少ないかまたはCuOを含有しないガラスを溶融、成形してガラス板材を作成し、少なくとも隣接する2面を光学研磨する工程、
    (3)前記四角柱状のガラス棒材の各研磨面に前記ガラス板材の研磨面同士を接合させてガラス棒材の外周4面を囲繞した母材を作成する工程、
    (4)前記母材を所定の寸法に加熱延伸する工程、
    (5)加熱延伸された母材を延伸軸に垂直な方向に切断して平板ガラスとする工程、
    (6)前記平板ガラスの両面を光学研磨する工程。
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