JP5124189B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子の製造方法に関する。
結晶シリコン太陽電池の需要は年々増えつつあり、それに伴って製造コストの低減や変換効率向上の重要性が大きくなっている。こうした要求に応えるための有望なアプローチとして、より薄い結晶シリコン基板を利用して、シリコンの使用量を低減する方法がある。こうした薄い結晶シリコン基板を用いて太陽電池セルを作った場合、太陽電池セルの裏面でキャリアの再結合を低くすることが変換効率向上のために重要である。そのため、現在生産レベルで広く使用されている太陽電池の裏面電極は、アルミニウムなどの金属が裏面のほぼ全域にわたって堆積された構造となっているが、薄い結晶シリコン基板を用いた太陽電池(以下では、「薄型結晶シリコン太陽電池」と呼ぶ。)においては、裏面電極をシリコン基板の一部にのみ形成し、その他の部分をパッシベーション膜で覆う構造が良いとされている。具体的なパッシベーション膜の材質としては、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、アモルファスシリコンなどが挙げられるが、中でも窒化シリコン膜は多結晶シリコン太陽電池によく利用される。
窒化シリコン膜は、プラズマ気相化学蒸着(以下、「プラズマCVD」と呼ぶ)法などによって500℃以下程度の低温で成膜できるためシリコン基板の熱による品質の劣化が少ないという長所がある。その上、プラズマCVD法で成膜する場合に原料としてモノシランやアンモニアといった水素原子を含んだガスを用いると、水素を多量に含んだ窒化シリコン膜を作製でき、この膜をシリコン基板表面に形成した後に焼成を行うと、窒化シリコン膜から水素が放出されて、その水素がシリコン基板内部に入りこむことによってシリコン基板中の欠陥を終端し、シリコンの品質を向上させるという効果も期待できる。このため窒化シリコン膜は、材料となるシリコンの品質が低い多結晶シリコン太陽電池の反射防止膜を兼ねた表面パッシベーション膜として使用されることが多い。こうした背景から、薄型結晶シリコン太陽電池の裏面パッシベーション膜としても、窒化シリコン膜を利用しようとする試みは多い(例えば、非特許文献1及び2を参照)。
Stefan Dauweほか3名; Progress in Photovoltaics: Research and Applications Volume 10, 2002年 271〜278ページ「Experimental Evidence of Parasitic Shunting in Silicon Nitride Rear Surface Passivated Solar Cells」 G.Agostinelliほか4名; 4th IEEE World Conference on Photovoltaic Energy Conversion 2006年 「Rear surface passivation for industrial solar cells on thin substrates」
しかしながら、窒化シリコン膜は優れたパッシベーション性を持つにも関わらず、これを裏面パッシベーション膜として用いた場合には、期待されるほどの高い特性が得られていない。これは、窒化シリコンは膜中に正の固定電荷を有し、そのためp型シリコン基板上に窒化シリコン膜を堆積すると、p型シリコン基板が窒化シリコン膜と接する部分には反転層が形成され、この反転層と裏面電極とが接触することによって反転層中のキャリアがリーク電流として裏面電極に流れこんでしまうからである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シリコン基板と窒化シリコン膜の接する部分に形成される反転層の形成を抑制することができる光電変換素子の製造方法を提供するものである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の光電変換素子の製造方法は、シリコン基板の一主面上に窒化シリコン膜を形成する工程を備え、前記シリコン基板は、前記主面側がp型であり、前記窒化シリコン膜を形成する前に、窒素ガスを含む原料ガスを用いて形成されるプラズマによって前記主面の表面処理を行うことを特徴とする。
本発明者は、鋭意研究を行ったところ、シリコン基板の主面上に窒化シリコン膜を形成する前に、窒素ガスを含む原料ガスを用いて形成されるプラズマによって前記主面の表面処理を行うことによって、反転層の形成が抑制されることを実験的に見出し、本発明の完成に到った。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。
前記原料ガスは、水素ガスとアンモニアガスの少なくとも一方をさらに含んでもよい。この場合、前記主面が水素ガス又はアンモニアガスに含まれる水素原子によってシリコン基板内部又は表面の欠陥が終端される。
前記原料ガスは、窒素ガスの流量が50〜1000sccmであってもよい。
前記原料ガスは、水素ガスをさらに含み、窒素ガスに対する水素ガスの流量比が0.1〜3倍であってもよい。
前記原料ガスは、アンモニアガスをさらに含み、窒素ガスに対するアンモニアガスの流量比が0.1〜1倍であってもよい。
前記窒化シリコン膜は、プラズマCVD法で形成されてもよい。
前記シリコン基板は、受光面及び裏面を有し、前記受光面側がn型であって前記裏面側がp型であるpn接合を有し、前記窒化シリコン膜は、前記裏面上に形成され、前記窒化シリコン膜を形成した後に、前記受光面及び前記裏面上にそれぞれ受光面電極及び裏面電極を形成する工程を備えてもよい。
ここで示した種々の実施形態は、互いに組み合わせることができる。
以下,本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す内容は,例示であって,本発明の範囲は,図面や以下の記述中で示すものに限定されない
1.光電変換素子の製造方法
図1(a)〜(f)を用いて、本発明の一実施形態の光電変換素子の製造方法について説明する。図1(a)〜(f)は、本実施形態の光電変換素子の製造工程を示す断面図である。
以下、各工程を詳細に説明する。
1−1.pn接合形成工程
まず、受光面及び裏面を有するp型シリコン基板1の受光面側にn型半導体層3を形成することによってpn接合を形成し、図1(a)に示す構造を得る。
シリコン基板1は、例えば、結晶シリコン基板(例:単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板)からなる。シリコン基板の抵抗値や結晶方位などは特に限定されない。
n型半導体層3は、例えば、基板1の受光面側にn型不純物(例えばリンのような5族元素)をドーピングするか、基板1上にCVD法等によって別途n型半導体層を形成することによって形成することができる。どちらの場合でも、基板1の受光面側は、n型になり、基板1の裏面側は、p型になる。n型半導体層3のシート抵抗は、20〜200Ω/□の範囲にあることが望ましい。
n型不純物のドーピングは、特に限定されないが、例えば、5族の化合物を含んだ溶液を700〜1000℃の高温炉中でガス状にして基板1に拡散する方法(気相拡散法)がある。5族の化合物を含んだ溶液として、具体的にはオキシ塩化リン(POCl3)が挙げられる。
n型不純物のドーピング別の方法として、次の方法もある。すなわち、5族元素の化合物をふくんだ溶液(例えば、5酸化リンとイソプロピルアルコールとからなる混合溶液)を基板1上に滴下し、スピンコーターにより均一に塗布する。その後、700〜1000℃の高温炉に投入し、表面に付着した5族元素を基板1に拡散する方法である。
後者の方法であれば、n型半導体層3を受光面にのみ選択的に形成することができ、気相拡散法のように受光面側以外の部分(裏面および側面)に形成されたn型半導体層を除去するための付加的な工程を含める必要がないため、より量産に適している。
なお、n型半導体層3を形成する前に、基板1に対して、表面の洗浄や表面ダメージ層の除去のために強アルカリ水溶液、強酸水溶液等を用いて処理をおこなっても良い。また、受光面側の表面に微細な凹凸を形成するためにn型半導体層3を形成する前にアルカリ溶液による表面処理を行うことが望ましい。
1−2.反射防止膜形成工程
次に、基板1の受光面上に太陽光を有効に取り込むための反射防止膜5を形成し、図1(b)に示す構造を得る。反射防止膜5の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化チタンなどを使用することができるが、この中では窒化シリコンが比較的使われる機会が多い。
窒化シリコンからなる反射防止膜5を形成する方法としては、プラズマCVD法や触媒CVD法などが挙げられるが、量産レベルではプラズマCVD法がよく使用される。プラズマCVD法による反射防止膜5の作製条件は、反応室の形状などに依存して適した条件が異なってくるが、おおまかには、モノシラン10〜500sccm、アンモニア10〜1000sccm、窒素50〜1000sccm、圧力10〜200Pa、温度200〜600℃の範囲であることが望ましい。また、窒化シリコン膜の厚さの最適値は膜の屈折率や基板の表面凹凸の大きさによって異なってくるが、窒化シリコン膜の厚さは、60nm〜100nmであることが望ましい。
1−3.裏面のプラズマ表面処理工程
次に、図1(c)に示すように、窒素ガスを含む原料ガスを用いて形成されるプラズマ7によって基板1の裏面の表面処理を行う。この表面処理を行うと、後工程で裏面上に窒化シリコン膜9が形成された場合に、反転層の形成が抑制される。
原料ガスは、窒素ガスを含めばよく、窒素ガスをそのまま原料ガスをしてもよく、窒素ガスと水素ガスの混合ガス、窒素ガスとアンモニアガスの混合ガス又は窒素ガスと水素ガスとアンモニアガスの混合ガスを原料ガスとしてもよい。原料ガスには、窒素ガス、水素ガス又はアンモニアガス以外の成分が含まれていてもよい。
窒素ガスの流量は、特に限定されないが、例えば、50sccm〜1000sccmであり、好ましくは、150sccm〜400sccmであり、具体的には、50,100,150,200,250,300,350,400,450,500,600,700,800,900又は1000sccmである。窒素ガスの流量は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。窒素ガスの流量が小さくなると、反転層の形成が抑制される効果が小さくなり、窒素ガスの流量が大きくなると、反転層が小さくなり、場合によっては蓄積層が形成されるようになる。
原料ガスに水素ガスが含まれる場合、窒素ガスに対する水素ガスの流量比は、例えば、0.1〜3倍であり、好ましくは、0.1〜1倍であり、具体的には、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.5,2,2.5又は3倍である。この流量比は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。水素ガスの流量が小さくなると、パッシベーションの効果が小さくなり、水素ガスの流量が大きくなると、シリコン基板の表面およびバルク中のパッシベーション効果が高くなる。また、水素ガスの流量比が、1倍以下である場合、反転層を小さくする効果、すなわち正の固定電荷量を抑制する効果が特に顕著であるという利点がある。
原料ガスにアンモニアガスが含まれる場合、窒素ガスに対するアンモニアガスの流量比は、例えば、0.1〜1倍であり、好ましくは、0.1〜0.3倍であり、具体的には、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9又は1倍である。この流量比は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。アンモニアガスの流量が小さくなると、パッシベーションの効果が小さくなり、アンモニアガスの流量が大きくなると、シリコン基板の表面およびバルク中のパッシベーション効果が高くなる。また、アンモニアガスガスの流量比が、0.3倍以下である場合、反転層を小さくする効果、すなわち正の固定電荷量を抑制する効果が特に顕著であるという利点がある。
プラズマによる表面処理時のガス圧力は、例えば、10〜200Pa、好ましくは、50〜150Paであり、温度は、例えば、200〜600℃、好ましくは、温度400〜500℃、処理時間は、例えば、10〜1200秒である。
1−4.裏面上への窒化シリコン膜形成工程
次に、基板1の裏面上に窒化シリコン膜9を形成し、図1(d)に示す構造を得る。窒化シリコン膜9は、基板1の裏面でのキャリアの表面再結合速度を低減するパッシベーション膜として機能する。
また、窒化シリコン膜9は、プラズマCVD法によって形成することができる。窒化シリコン膜9の製膜条件は、特に限定されず、また、反応室の形状などに依存して適した条件が異なってくるが、おおまかには、モノシラン10〜500sccm、アンモニア10〜1000sccm、窒素50〜1000sccm、圧力10〜200Pa、温度200〜600℃の範囲であることが望ましい。また、この窒化シリコン膜9の厚さは5〜100nmであることが好ましい。
1−5.裏面電極形成工程
次に、基板1の裏面上に裏面電極13を形成し、図1(e)に示す構造を得る。裏面電極13は、基板1内で発生したキャリアを電流として取り出すために利用される。
基板1と裏面電極13を電気的に接続させるために、窒化シリコン膜9に部分的に穴を開ける必要がある。窒化シリコン膜9に穴を開ける手段としては、フォトリソグラフィーを用いる方法やレーザーを用いる方法、スクリーン印刷等を用いて金属ペーストを部分的に堆積してその後ファイヤースルーする方法、あるいはエッチングペーストを用いる方法などが挙げられる。本実施形態は、この窒化シリコン膜の除去方法に依存するものではないが、エッチングペーストを用いる方法が比較的製造コストを低くできるため望ましい。なお、エッチングペーストの材料としては、例えば特表2005−506705号公報に開示されている材料などを用いることが可能である。
裏面の窒化シリコン膜に穴を開けた後、裏面電極13を形成する。裏面電極13を形成する方法には、蒸着法や印刷法などがあるが、量産レベルにおいてはスクリーン印刷法がコストを低くできるため好ましい方法である。裏面電極13をスクリーン印刷法で形成する場合、アルミニウム粉末などを含んだ導電性ペーストを太陽電池の裏面全面に印刷し、その後100〜400℃で乾燥させる。
1−6.受光面電極形成工程
次に、基板1の受光面上に受光面電極15を形成し、図1(f)に示す構造を得て、本実施形態の光電変換素子の製造を完了する。
具体的には、まず、スクリーン印刷法で受光面電極15を窒化シリコン膜(反射防止膜5)上に形成する。この時、受光面電極15のパターンは特に限定されず、一般に太陽電池に用いられるパターンであればどれでも実施できるが、魚骨型(櫛形状)が最も一般的である。受光面電極15に使用する導電性ペーストにはさまざまな種類があるが、典型的には銀粉末と、ガラス粉末と、有機質ビヒクルと、有機溶媒とを主成分とする。
次に、受光面電極15を印刷した後に乾燥および焼成することで、受光面電極15を受光面側の窒化シリコン膜に対してファイヤースルーさせる。これにより半導体基板に電極を接触させることが出来る。ファイヤースルーとは、焼成過程において導電性ペーストに添加されているガラス粉末の作用で窒化シリコン膜が破られることによって起こる現象である。焼成は600〜900℃の範囲で1〜300秒間程度行うことが好ましい。
2.効果実証実験
次に、本発明の効果を実証するための実験を行った。この効果実証実験では、p型シリコン基板上に窒化シリコン膜を形成する前に窒素ガスを含む原料ガスを用いて形成されるプラズマ7によって表面処理を行ったサンプルと、窒素ガスを含まない原料ガスを用いて形成されるプラズマ7によって表面処理を行ったサンプルを作製し、それぞれのサンプルのフラットバンド電圧を測定することによって、本発明によって反転層の形成が抑制される効果を実証した。なお、本実証実験では、実際の光電変換素子の構造ではなく、フラットバンド電圧を測定するために、容量−電圧測定(CV測定)が行いやすい構造のサンプルを作製した。
2−1.サンプルの作製
図2(a)〜(e)を用いて、サンプルの作製方法を説明する。サンプルは、10種類(実施例サンプル1〜7、比較例サンプル1〜3)作製した。
2−1−1.シリコン基板の準備工程
まず、図2(a)に示すように、片面をミラー研磨した単結晶のp型シリコン基板1(面方位<111>,厚さ520μm,抵抗率2.5Ωcm)を準備し、表面の自然酸化膜を除去するため基板1をHF水溶液に浸漬し、その後純水で水洗した。
2−1−2.シリコン基板表面のプラズマ表面処理工程
次に、基板1をプラズマCVD装置の真空室内に搬入し、この装置内で、図2(b)に示すように、プラズマ7によってミラー研磨された面の表面処理を行った。各サンプルについての、プラズマ7を形成するための原料ガスの流量は、表1に示す通りである。比較例サンプル1では、プラズマ7による表面処理を行わなかった。
Figure 0005124189
その他のプラズマ前処理条件は、処理時間750秒、周波数13.56MHz、処理圧力100Pa、処理温度450℃とした。
2−1−3.窒化シリコン膜形成工程
プラズマ7で基板1の表面処理を行った後には、そのまま同じ真空室内で窒化シリコン膜9の製膜を行い、図2(c)に示す構造を得た。
窒化シリコン膜9の製膜時の原料ガス流量比は、モノシラン:アンモニア:窒素=1:2:12とした。また、その他の製膜条件は、周波数13.56MHz、製膜圧力100Pa、製膜温度450℃とした。以上の製膜条件により窒化シリコン膜9を約90nm堆積した。
また、分光エリプソメトリーから求めた、波長630nmにおける窒化シリコン膜9の屈折率は1.98であった。なお、屈折率1.98という値は、通常太陽電池の反射防止膜として用いられる窒化シリコン膜の屈折率よりもやや低い値である。これはすなわち、窒化シリコン膜がやや窒素リッチであり、したがって、比較的絶縁性の高い膜であると言える。非特許文献3(Yukie Yamamotoほか2名; Japanese Journal of Applied Physics volume 42, 2003年 5135〜5139ページ「Passivation Effect of Plasma Chemical Vapor Deposited SiNx on Single-Crystalline Silicon Thin-Film Solar Cells」)によれば、窒素リッチな膜では正の固定電荷量が増える傾向があるが、本発明のように、窒化シリコン膜を形成する前に窒素ガスを含む原料ガスを用いて形成されるプラズマ7で表面処理を行うことによって、正の固定電荷量を抑制することが可能となる。
その後、得られた基板を近赤外線炉を用いて800℃で90秒間焼成した。焼成を行わなくても容量−電圧測定は可能であるが、実際の太陽電池に使用される窒化シリコン膜9は焼成の工程を含むため、本実証実験においても焼成を行った。
2−1−4.ゲート電極形成工程
次に、窒化シリコン膜9上に真空蒸着装置を用いてアルミニウムを1μmの厚さに堆積することによってゲート電極17を形成し、図2(d)に示す構造を得た。ゲート電極17の形状は、シャドウマスクを用いて直径1mmの円形のドット状に形成した。なお、基板は特に加熱せず、温度制御も行わなかった。ゲート電極17は、容量−電圧測定を行うために用いられる。
2−1−5.
続いて、ゲート電極17と反対側の面に、ゲート電極と同様に真空蒸着装置を用いてアルミニウムを1μmの厚さに基板全面にわたって堆積することによって裏面電極19を形成し、図2(e)に示す構造を得た。なお、基板は特に加熱せず、温度制御も行わなかった。
2−2.容量−電圧測定
次に、作製した各サンプルについて容量−電圧測定を行った。測定は、ゲート電極17に高周波(0.1MHz)と低周波(5〜6Hz)の電圧をそれぞれ印加し、電圧印加時の裏面電極19とゲート電極17の間の容量を測定することによって行った。測定開始電圧は−15V、測定終了電圧は+15Vとした。ゲート電極17には水銀プローブを接触させ、裏面電極19は全面を装置側の電極に真空吸着させた。
容量−電圧測定によって得られた結果を図3に示す。図3には、実施例サンプル1と比較例サンプル1についての結果を示すグラフのみを示した。図3は、ゲート電極17に印加した電圧と、(容量の測定値)/(−15V印加時の容量の測定値)との関係を示すグラフである。その他のサンプルについても同様のグラフを作成した。
また、各サンプルについて、容量−電圧測定の結果から求めたフラットバンド電圧と界面準位密度を表2に示す。フラットバンド電圧及び界面準位密度は、それぞれ、以下の方法で求めた。
(1)フラットバンド電圧
フラットバンド電圧は、E.H.Nicollian, J.R.Brews:MOS (Metal Oxide Semiconductor) Physics and Technology (1982年,WILEY-INTERSCIENCE社発行)のp.487に記載されている方法で求めた。具体的には、以下の通りである。
まず、フラットバンド容量CFBを以下の数式から求めた。
FB=CFBSSIN/(CSIN+CFBS
SINは、窒化シリコン膜9の容量である。ここでは、便宜的に、ゲート電極17に−15Vを印加したときに測定される容量をCSINとした。CSINの測定値は、試料ごとにそれぞれ若干異なるが500〜600[pF]程度であった。
また、CFBSは半導体(シリコン基板1)のフラットバンド容量であり、次の式に従って求めた。
FBS=εs/λp
ここで、εsは半導体の誘電率であり、真空中の誘電率ε0と半導体の比誘電率εSiの積で表される。λpはデバイ長で、以下の式で表される。
λp={(kTε0εSi)/(q0 2d)}1/2
ここで、kはボルツマン定数、Tは半導体の温度、q0は電気素量、Ndは半導体のキャリア濃度である。T及びNdは、試料ごとにそれぞれ若干異なるが、それぞれ25℃、5×1015[cm-3]程度とした。
このようにして求まったCFBを用いてCFB/(−15V印加時の容量の測定値)を求め、図3のグラフのうち高周波の電圧を印加したときの(容量の測定値)/(−15V印加時の容量の測定値)の値が、CFB/(−15V印加時の容量の測定値)に一致するときのゲート電圧の値を求め、その値をフラットバンド電圧VFBとした。
(2)界面準位密度
界面準位密度は、E.H.Nicollian, J.R.Brews:MOS (Metal Oxide Semiconductor) Physics and Technology (1982年,WILEY-INTERSCIENCE社発行)のp.331に記載されている、高周波及び低周波の容量−電圧特性を組み合わせたhi-lo法で求めた。
具体的には、界面準位密度Ditは、以下の式に基づいて求めた。
it=(1/q0
×[{(1/CLF)−(1/CSIN)}-1−{(1/CHF)−(1/CSIN)}-1
ここで、q0は電気素量、CSINは窒化シリコン膜9の容量、CLFは低周波のときに観測される容量、CHFは高周波のときに観測される容量である。上記の式を用いることで、シリコンのエネルギーギャップに相当する範囲、すなわち価電子バンドから伝導バンドまでの範囲において連続的なDitを求めることができるが、表2には、この連続的なDitの中の最小の値を記載した。
Figure 0005124189
ところで、フラットバンド電圧と固定電荷密度は、以下の式により関連付けることができる。固定電荷密度とは、窒化シリコン膜9内部や窒化シリコン膜9とシリコン基板1の界面近傍に固定されている電荷の密度を意味する。
Q=CSiN(ΦMS−VFB)/q0
ここで、Qは固定電荷密度、CSINは窒化シリコン膜9の容量、ΦMSはゲート電極17の材料とシリコン基板1の材料との仕事関数差、VFBはフラットバンド電圧、q0は電気素量、Aはゲート電極17の面積である。
上式によると、固定電荷密度が正の方向に大きくなるほど、フラットバンド電圧が負の方向に大きくなることが分かる。従って、表2において、フラットバンド電圧が大きな負の値を有しているものほど、固定電荷密度が大きな正の値を有していることが分かる。窒化シリコン膜9とシリコン基板1が接する部分に形成される反転層は、固定電荷密度が大きな正の値を有する場合に形成されやすくなるので、フラットバンド電圧を正の方向にシフトさせることによって反転層の形成を抑制することができることが分かる。
表2を参照すると、次のことが分かる。
比較例サンプル1〜3は、何れもフラットバンド電圧が大きな負の値を有している。このことは、比較例サンプル1〜3では、反転層が形成されやすいことを意味している。
また、実施例サンプル1〜7では、比較例サンプル1〜3に比べてフラットバンド電圧が正の方向にシフトしている。このことは、実施例サンプル1〜7では反転層の形成が抑制されることを意味している。
また、窒素ガスの流量が150sccm以上であるサンプル(実施例サンプル1〜3、6及び7)では、窒素ガスの流量が100sccm以下であるサンプル(実施例サンプル4及び5)に比べてフラットバンド電圧が正の方向にシフトしている。このことは、窒素ガスの流量が150sccm以上であるサンプルでは、反転層の形成がさらに抑制されることを意味している。
このような結果が得られた理由は、必ずしも明らかではないが、全てのサンプルで窒化シリコン膜9を同条件で形成したことから窒化シリコン膜9の内部の固定電荷密度が実質的に変化していないと考えられる点を考慮すると、プラズマ表面処理によって窒化シリコン膜9とシリコン基板1の界面付近の状態が変化し、この界面付近において正電荷が減少するか負電荷が増加したためであると推測される。
また、界面準位密度に注目すると、水素ガスとアンモニアガスの何れもが原料ガスに含まれてないサンプル(実施例サンプル1)では、界面準位密度が比較的高くなっているのに対し、水素ガスとアンモニアガスの何れかが原料ガスに含まれるサンプル(実施例サンプル2〜7)では、実施例サンプル1よりも界面準位密度が低くなっていることが分かる。
以上より、窒素ガスを含む原料ガスを用いて形成されたプラズマで予め表面処理を行うことによって反転層の形成を抑制できることが分かった。また、水素ガスとアンモニアガスの少なくとも一方を原料ガスに混入させることによって、界面準位密度を低下させるという効果が併せて得られることが分かった。
本発明の一実施形態の光電変換素子の製造工程を示す断面図である。 本発明の効果実証実験でのサンプルの製造工程を示す断面図である。 本発明の効果実証実験で得られた容量−電圧測定の結果を示すグラフである。
符号の説明
1:p型シリコン基板 3:n型半導体層 5:反射防止膜 7:プラズマ 9:窒化シリコン膜 13:裏面電極 15:受光面電極 17:ゲート電極 19:裏面電極

Claims (6)

  1. シリコン基板の一主面上にシランガスを含む第1原料ガスを用いたプラズマCVD法で窒化シリコン膜を形成する工程を備え、
    前記シリコン基板は、前記主面側がp型であり、
    前記窒化シリコン膜を形成する前に、水素ガス又はアンモニアガスと窒素ガスとを含みシランガスを含まない第2原料ガスを用いて形成されるプラズマによって前記主面の表面処理を行うことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 第2原料ガスは、窒素ガスの流量が50〜1000sccmである請求項1に記載の方法。
  3. 第2原料ガスは、窒素ガスの流量が150〜400sccmである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第2原料ガスは、水素ガスを含み、窒素ガスに対する水素ガスの流量比が0.1〜3倍である請求項1〜3の何れか1つに記載の方法。
  5. 第2原料ガスは、アンモニアガスを含み、窒素ガスに対するアンモニアガスの流量比が0.1〜1倍である請求項1〜の何れか1つに記載の方法。
  6. 前記シリコン基板は、受光面及び裏面を有し、前記受光面側がn型であって前記裏面側がp型であるpn接合を有し、
    前記窒化シリコン膜は、前記裏面上に形成され、
    前記窒化シリコン膜を形成した後に、前記受光面及び前記裏面上にそれぞれ受光面電極及び裏面電極を形成する工程を備える請求項1〜の何れか1つに記載の方法。
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