JP5123079B2 - 電子部品用の蓋体 - Google Patents

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本発明は、気密封止や保護が必要な電子部品に用いられる電子部品用の蓋体に関する。
近年より電子機器は小型化が進み、それに伴い、内部に搭載される電子部品の小型化が進んでいる。
このような電子機器に搭載される電子部品には、カバーとなる蓋体を設けて保護する必要がある部品がある。この蓋体により、保護が必要な部品を異物や外部環境からの影響を防ぐことができる。
この保護が必要な電子部品の一つの例として圧電振動素子がある。
この圧電振動素子は、例えば、基板体に搭載された後に凹部を有する蓋体で気密封止して保護される(例えば、特許文献1参照)。又は、圧電振動素子は、凹部を有する基板体内に搭載され、平板状の蓋体で気密封止されて保護される(例えば、特許文献2参照)。
ここで、蓋体は、主に金属で形成され、主材となる金属板に封止材を設けて打抜き加工により平板状に形成されている。
また、凹部を有する蓋体の場合、金属片をプレス加工することにより形成される。
また、容器体は、主にセラミックスで形成されている。この容器体に凹部を形成する場合は、所定の配線パターンが形成されたシート状のセラミックスを積層させて、焼成することにより形成される。したがって、積層させるシート状のセラミックスは、凹部の縁である枠となるために、複数の貫通穴部が形成された状態で積層されることとなる。
特開2007−013608号公報 特開2007−208470号公報
しかしながら、電子部品を小型化する場合、保護が必要な部品を保護する蓋体も小型化されることとなるが、従来のような構成の蓋体の場合、特に凹部を有する蓋体の場合は、従来よりも薄く形成された金属を用いなくてはならなくなる。そのため、プレス加工で凹部を形成すると、曲げられる部分で裂け目が入ったり、壁部となる部分において、強度が弱くなる恐れがある。
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、製造が容易で強度を確保した電子部品用の蓋体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、電子部品用の蓋体であって、コバール、SUS、鉄ニッケル合金のいずれかから選択されてなる基板部材と、コバール、SUS、鉄ニッケル合金のいずれかから選択されてなる複数の枠部材と、を備え、前記基板部材と前記複数の枠部材とが重ねられた状態で拡散接合されて凹部を形成していることを特徴とする。
また、本発明は、それぞれの前記枠部材の厚みと幅の値が前記基板部材の厚みの値とが同じとなっていても良い。
また、本発明は、拡散接合された前記基板部材と前記複数の枠部材とにニッケル(Ni)又はクロム(Cr)がメッキ処理されて構成しても良い。
また、本発明は、ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)がメッキ処理された前記基板部材と前記複数の枠部材とに金(Au)がメッキ処理されて構成しても良い。
また、本発明は、金(Au)がメッキ処理された前記複数の枠部材に金スズ(Au−Sn)からなる第二の枠部材が接合されて構成しても良い。
このような電子部品用の蓋体によれば、蓋体を構成する基板部材と複数の枠部材とが拡散接合により接合されているため、プレス加工などで引き伸ばされる部分がなくなり、強度を確保することができる。
また、蓋体を構成する基板部材と複数の枠部材のそれぞれの厚みとは同一の厚みで構成されるため、従来よりも薄く、また、幅が狭く形成されていても容易に接合することができるので、生産性が向上し、製品のコストダウンに貢献することができる。
また、複数の枠部材は、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により容易に製作でき、また、基板部材と複数の枠部材とは、拡散接合により容易に接合できる。そのため、生産性が向上し、製品のコストダウンに貢献することができる。
また、基板部材と複数の枠部材とにニッケル(Ni)又はクロム(Cr)がメッキ処理されているので、基板部材と複数の枠部材との酸化を防ぐことができ、また、接合部分の機密性を向上させることができる。
また、さらに前記基板部材と前記複数の枠部材とに金(Au)がメッキ処理されているので、ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)との結合が良好なため、接合部分の機密性を向上させることができる。
枠部材に、さらに、金スズ(Au−Sn)からなる第二の枠部材を接合することにより、塞がれる側の部品との接合を容易にさせることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。
また、電子部品を圧電振動子として説明する。
(第一の実施形態)
図1は本発明の実施形態に係る電子部品用の蓋体の一例を概念的に示す斜視図である。図2は図1の分解斜視図である。
圧電振動子は、例えば、励振電極を両主面に設けた圧電振動素子と、圧電振動素子を搭載するための搭載パッドとこれと電気的に接続する外部端子とが設けられている平板状のベース部と、このベース部に接合されて圧電振動素子を覆いつつ気密封止する蓋体とから構成されている。
この圧電振動子に用いられる本発明の実施形態に係る電子部品用の蓋体101は、図1及び図2に示すように、基板部材10と、3つの枠部材(複数の枠部材)20とから構成されている。
基板部材10は、コバール、SUS、鉄ニッケル合金のいずれかから選択されて用いられる。なお、本実施形態においては、材質をコバールとして説明する。
この基板部材10は、図2に示すように、平面視矩形形状となるように平板状に形成されており、その厚みt1は、例えば、0.05mmとなっている。
このような基板部材10は、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて製造される。
3つの枠部材20は、コバール、SUS、鉄ニッケル合金のいずれかから選択されて用いられる。なお、本実施形態においては、材質をコバールとして説明する。
この枠部材20は、図2に示すように、基板部材10の縁を沿うように、かつ、基板部材10の主面内に収まるように形成される環状の部材である。
この枠部材20の幅の値は、基板部材10の厚みの値と同じとなっている。例えば、基板部材10の厚みt1が0.05mmの場合、枠部材20の幅の値w1は、0.05mmとなる。なお、枠部材20の厚みt2を基板部材10の厚みt1と同じ厚みとしてもよい。
なお、枠部材20の材質を基板部材10と同じ材質とすれば、より良好な接合状態とすることができる。
枠部材20は、基板部材10と同様に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて製造される。
この本発明の第一の実施形態に係る電子部品用の蓋体101は、基板部材10の一方の主面に3つの枠部材20を重ねて、所定の圧力下で加圧して拡散接合の状態にして接合がなされる。
ここで、拡散接合とは、母材を密着させた状態で母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を接合する方法をいう(「JIS工業用語大辞典第5版」、財団法人日本規格協会発行、P331)。
これにより、基板部材10の一方の主面に3つの枠部材20が接合されて凹部Kが形成される。
このような電子部品用の蓋体101によれば、基板部材10と複数の枠部材20とは同一の厚みで構成されることとなるため、プレス加工などで引き伸ばされる部分がなくなり、強度を確保することができる。
また、複数の枠部材20は、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、厚みが従来よりも薄い部材から従来より幅を狭くして製造することできる。また、枠部材20は、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により幅が従来よりも狭く形成できるため、圧電振動素子(図示せず)を気密封止する空間を確保しつつ、蓋体101の全体を従来よりも小さくすることができる。
また、基板部材10と複数の枠部材20とは、拡散接合により容易に接合できる。そのため、従来よりも薄く、また、幅が狭く形成されていても容易に接合することができるので、生産性が向上し、製品のコストダウンに貢献することができる。
(第二の実施形態)
図3は、接合された基板部材と複数の枠部材とにNi又はCrがメッキ処理された状態の一例を示す概念図である。
本発明の第二の実施形態に係る電子部品用の蓋体102は、接合された基板部材10と3つの枠部材20の表面にニッケル(Ni)又はクロム(Cr)がメッキ処理されている点で第一の実施形態と異なる。
ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)のメッキ処理は、電解メッキや無電解メッキを用いることができる。これにより、接合された基板部材10と3つの枠部材20の表面にニッケル(Ni)又はクロム(Cr)の層NCを設けることができる。なお、従来周知のスパッタ技術を用いて、基板部材10と3つの枠部材20との表面にニッケル(Ni)又はクロム(Cr)の層NCを設けても良い。
このように、接合された基板部材10と複数の枠部材20との表面がニッケル(Ni)又はクロム(Cr)でメッキ処理されているので、基板部材10と複数の枠部材20の酸化を防ぐことができ、また、接合部分の気密性を向上させることができる。
(第三の実施形態)
図4は、Ni又はCrのメッキ処理された層NCの上にAuがメッキ処理された状態の一例を示す概念図である。
本発明の第三の実施形態に係る電子部品用の蓋体103は、接合された基板部材10と3つの枠部材20の表面に設けられたニッケル(Ni)又はクロム(Cr)の層NCの上に金(Au)がメッキ処理されている点で第二の実施形態と異なる。
金(Au)のメッキ処理は、電解メッキや無電解メッキを用いることができる。
これにより、接合された基板部材10と3つの枠部材20の表面に設けられたニッケル(Ni)又はクロム(Cr)の層NCの上に金(Au)の層Gを設けることができる。なお、従来周知のスパッタ技術を用いて、ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)の層NCの上に金(Au)の層Gを設けても良い。
このように、接合された基板部材10と3つの枠部材20とにさらに金(Au)がメッキ処理されているので、ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)と金(Au)との結合が良好なため、接合部分の気密性を向上させることができる。
(第四の実施形態)
図5は、Auがメッキ処理された枠部材に第二の枠部材を接合した状態の一例を示す概念図である。
本発明の第四の実施形態に係る電子部品用の蓋体104は、金(Au)がメッキ処理された枠部材20に第二の枠部材30を接合した点で第三の実施形態と異なる。
この第二の枠部材30は、金スズ(Au−Sn)からなり、複数の枠部材20と同じ形状となっている。
この第二の枠部材30は、複数の枠部材20と同様に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて製造される。
なお、この第二の枠部材30は、例えば、その厚さが30〜100μmで形成されている。また、第二の枠部材30の厚みを、例えば、ベース部の平面形状が2.5mm×2.0mmの場合に20μmとすることもでき、また、ベース部の平面形状が2.0mm×1.6mmの場合に15μmとすることもできる。
このような厚さの第二の枠部材30を、基板部材10から最も離れている枠部材20と重ね合わせ、拡散接合又は熱圧着により接合する。
このように、金(Au)がメッキ処理された枠部材20に、さらに、金スズ(Au−Sn)からなる第二の枠部材30を接合することにより、塞がれる側の部品、例えば、ベース部との接合を容易にさせることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、枠部材を3つとして説明したがこれに限定されず、2つや4つなどの自然数となる数を重ねて用いても良い。
また、圧電振動素子は、例えば、STカットやATカットされた水晶振動素子、音叉型の水晶振動素子又はセンサ、ベベル加工やコンペックス加工やプラノコンベックス加工された水晶振動素子、SAWデバイスに用いられる水晶板などであっても良い。
また、圧電発振器の蓋体としても良い。
本発明の実施形態に係る電子部品用の蓋体の一例を概念的に示す斜視図である。 図1の分解斜視図である。 接合された基板部材と複数の枠部材とにNi又はCrがメッキ処理された状態の一例を示す概念図である。 Ni又はCrのメッキ処理された層の上にAuがメッキ処理された状態の一例を示す概念図である。 Auがメッキ処理された枠部材に第二の枠部材を接合した状態の一例を示す概念図である。
符号の説明
101、102、103、104 圧電振動素子実装装置
10 基板部材
20 枠部材
30 第二の枠部材
G 金(Au)
K 凹部
NC ニッケル(Ni)又はCr(クロム)

Claims (5)

  1. コバール、SUS、鉄ニッケル合金のいずれかから選択されてなる基板部材と、コバール、SUS、鉄ニッケル合金のいずれかから選択されてなる複数の枠部材と、を備え、
    前記基板部材と前記複数の枠部材とが重ねられた状態で拡散接合されて凹部を形成していることを特徴とする電子部品用の蓋体。
  2. それぞれの前記枠部材の厚みと幅の値が前記基板部材の厚みの値とが同じとなっていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用の蓋体。
  3. 拡散接合された前記基板部材と前記複数の枠部材とにニッケル(Ni)又はクロム(Cr)がメッキ処理されて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品用の蓋体。
  4. ニッケル(Ni)又はクロム(Cr)がメッキ処理された前記基板部材と前記複数の枠部材とに金(Au)がメッキ処理されて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子部品用の蓋体。
  5. 金(Au)がメッキ処理された前記複数の枠部材に金スズ(Au−Sn)からなる第二の枠部材が接合されて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子部品用の蓋体。
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