JP5122113B2 - ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5122113B2
JP5122113B2 JP2006308967A JP2006308967A JP5122113B2 JP 5122113 B2 JP5122113 B2 JP 5122113B2 JP 2006308967 A JP2006308967 A JP 2006308967A JP 2006308967 A JP2006308967 A JP 2006308967A JP 5122113 B2 JP5122113 B2 JP 5122113B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube
dispersion
solid
polytetrafluoroethylene
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006308967A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008120963A (ja
Inventor
百合 堀江
隆司 和野
大輔 北川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2006308967A priority Critical patent/JP5122113B2/ja
Publication of JP2008120963A publication Critical patent/JP2008120963A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5122113B2 publication Critical patent/JP5122113B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子の分散液を出発物質とする、PTFEチューブの製造方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、高い耐薬品性、低い誘電率などの特性を有し、融点が高く耐熱性に優れることから、化学的および電気的分野を中心に、幅広い用途に用いられている。また、摩擦係数や表面張力が小さい特性を利用して、無潤滑摺動部に用いる部材など、機械的用途にも広く用いられている。
一方、PTFEは、特殊な溶媒を除き、ほとんどの溶媒に溶解せず、その溶融粘度も、380℃において1010〜1011Pa・s(1011〜1012P)程度と高い。このため、PTFE成形体の製造に、一般的な熱可塑性樹脂の成形に用いられる各種の成形法(押出成形、射出成形など)を応用することが困難である。これらの成形法では、成形時の樹脂の溶融粘度は、通常、102〜103Pa・s程度である。
従来、PTFEからなるチューブ(PTFEチューブ)の製造方法には、一般に、ペースト押出法と呼ばれる方法が用いられる。ペースト押出法では、未焼成のPTFE粉末を成形助剤とともに円柱状に予備成形した後、形成した予備成形体を押出機(例えば、ラム押出機)により押出して、PTFEチューブを得ることができる。しかし、この方法は基本的にバッチ生産法であり、出発物質であるPTFE粉末からのPTFEチューブの連続的な製造は困難である。
ペースト押出法以外にも、例えば、以下に示す方法がPTFEチューブの製造方法として知られている。
特許文献1には、フィラーを含む焼結フルオロポリマーからなるコアの周囲に非多孔質のフルオロポリマーを押出した後に当該コアを除去することにより、フルオロポリマーからなるチューブを得る方法が開示されている。特許文献2には、円柱状のマンドレルの周囲にPTFEからなるテープを螺旋状に巻回し、巻回したテープを焼結により融合した後に当該マンドレルを除去することにより、PTFEチューブを得る方法が開示されている。特許文献3には、円柱状のマンドレルの周囲にPTFEからなるシートを少なくとも2層以上巻回し、巻回したシートを焼結により融合した後に当該マンドレルを除去することにより、PTFEチューブを得る方法が開示されている。
しかし、特許文献1に開示されている方法はペースト押出法の応用であるし、特許文献2および3に開示されている方法では、PTFEからなるテープあるいはシートの作製が予め必要であるため、これらの方法においても出発物質からのPTFEチューブの連続的な製造は困難である。
米国特許第4925710号明細書 米国特許第4791966号明細書 特表平9−501759号公報
このように、従来のPTFEチューブの製造方法では生産性の向上に限界がある。そこで本発明は、これら従来のPTFEチューブの製造方法よりも生産性に優れるPTFEチューブの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のPTFEチューブの製造方法は、(i)PTFE粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むPTFEディスパージョンに、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、前記水および前記界面活性剤を内包するPTFE含有固形物を形成する工程と、(ii)前記固形物をチューブ状に変形させる工程と、(iii)チューブ状に変形させた前記固形物に含まれる前記水を低減させる工程と、を含む。
本発明によれば、従来のPTFEチューブの製造方法に比べて、より生産性よくPTFEチューブを製造でき、例えば、出発物質であるPTFE粒子の分散液からPTFEチューブを連続的に製造することも可能となる。
本発明の製造方法では、PTFE粒子の分散液にPTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、分散媒である水と界面活性剤とを内包するPTFE含有固形物を形成できる(工程(i))。この固形物は、その製造方法から明らかなとおり、PTFE粒子が結着して形成された凝集物である。このような固形物は、PTFEチューブに限らず、従来のPTFE成形体の製造方法では、中間生成物としても得ることができない。例えば、本発明の製造方法と同様、PTFE粒子の分散液(以下、単に「分散液」ともいう)を出発物質とするキャスト法では、PTFE粒子が分散した状態で乾燥により水が除去されるため、水と界面活性剤とを内包する固形物は形成されない。また、分散液においてPTFE粒子を沈降させて得ただけの粒子集合体とは異なり、工程(i)において形成されるPTFE含有固形物は、乾燥により水が除去された後にも、再び粒子に戻ることはない。
工程(i)において形成される上記固形物は、付与された形状が保持される(自己形状保持性を有する)程度にPTFE粒子が結着し、かつ、当該形状が変形可能である(変形性を有する)程度に水を内包している。このような固形物は、基本的に、乾燥または焼成されるまでは任意の形状に変形可能であり、チューブ状に変形させた(工程(ii))後に、変形後の固形物に含まれる水を低減させる(工程(iii))ことにより、PTFEチューブを得ることができる。
工程(i)において形成されるPTFE含有固形物は、破壊することなく変形可能な範囲が大きいという点にも特徴を有する。
工程(i)において、このような固形物が得られる理由は明確ではないが、おそらく、分散液中の界面活性剤の作用により、PTFE粒子同士が互いに結着してなるPTFE相と水相とが互いに入り混じった構造が形成されるためではないかと考えられる。固形物の詳細な構造の解明には今後の検討を要するが、PTFE粒子が互いに結着して形成されたPTFE相が、ある程度連続することにより、固形物の自己形状保持性が発現する機構が考えられる。場合によっては、より強固な結着構造がPTFE粒子間に形成されていたり、PTFEの一部がフィブリル化することにより、PTFEの網目構造が形成されている可能性もある。また、疎水性であるPTFE相間に、界面活性剤を介して安定的に水相が存在することにより、固形物の変形性が発現する機構が考えられる。また、このようなPTFE相の形成には、PTFEが、他のフッ化熱可塑性樹脂とは異なり、その融点以下の温度域においても互いに結着可能であり、フィブリルなどの微細な構造を形成できることも寄与していると考えられる。
工程(i)において、分散液に、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加える方法は特に限定されず、例えば、以下に示す方法を用いればよい。
A.分散液をチャンバーに供給し、当該チャンバー内において上記力を加える方法。
B.分散液をターゲットに噴射することにより、上記力を加える方法。
C.分散液を管体(第1の管体)に供給し、当該管体内において上記力を加える方法。
方法Aでは、分散液の供給に伴ってチャンバー内に生じる圧力を、PTFE粒子同士をより接近または接触させる力に利用でき、また、後述するように、チャンバー内で形成された固形物をチューブ状に変形させる流路(第2の流路)を、当該チャンバーに接続して、工程(i)と工程(ii)とを連続的に行うこともできる。
方法Aでは、チャンバーに供給した分散液を、チャンバー内で噴射したり(方法A1)、チャンバー内に設けられた狭窄部を通過させたり(方法A2)すればよい。
方法A1では、分散液を、例えば、チャンバーの内壁またはチャンバー内の物体に向けて噴射すればよい。分散液が当該内壁または物体に衝突する際に、PTFE粒子が互いに接近または接触する力が加えられる。
方法A1では、チャンバーの構造や形状、分散液の噴射条件などによっては、PTFE粒子を互いに衝突させることができ、また、分散液とチャンバー内で形成されたPTFE含有固形物とを衝突させて、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることも可能である。
分散液の噴射は、噴射口を有するノズルから行えばよく、ノズルの構造や形状、例えば、噴射口の形状は、自由に設定できる。方法Bにおいても同様に、噴射口を有するノズルから分散液を噴射すればよい。なお、方法Bにおけるターゲットは自由に設定できるが、噴射した分散液の飛散を抑制し、噴射する分散液の量に対する得られる固形物の量の割合を多くするためには、ターゲットが配置される空間の密閉度が高い方が好ましい。
分散液を噴射する圧力は、分散液におけるPTFE粒子の含有率、界面活性剤の含有率、チャンバーの形状や内容積などにより自由に設定すればよいが、当該圧力が過小である場合、PTFE含有固形物を得ることが困難となることがある。
方法A2では、分散液を通過させる狭窄部の形状は特に限定されず、例えば、スリット状であればよい。分散液がスリットを通過する際に、PTFE粒子が互いに接近または接触する力が加えられる。
分散液を2以上の供給路を経由させてチャンバーに供給し、当該2以上の供給路から供給される分散液を、チャンバー内で互いに衝突させることにより、分散液に上記力を加えてもよい(方法A3)。方法A3では、チャンバーの構造や形状、衝突させる方法などによっては、PTFE粒子を互いに衝突させることができる。
分散液をチャンバー内で互いに衝突させるためには、例えば、分散液を、上記2以上の供給路における各々の末端に配置されたノズルから噴射すればよい。このとき、少なくとも2つのノズルを、各々の噴射方向が交わるようにチャンバー内に配置することにより、より効率よく、分散液を互いに衝突させることができる。
方法Cでは、後述するように、管体(第1の管体)内で形成された固形物をチューブ状に変形させる流路(第2の流路)を、当該管体に接続し、工程(i)と工程(ii)とを連続的に行うこともできる。
方法Cでは、例えば、分散液を、分散液の流れを妨げるバリアを有する第1の管体に供給して上記力を加えればよい。具体的には、例えば、分散液を、第1の管体における分散液の流路(第1の流路)に配置された上記バリアに接触させることにより、上記力を加えればよい。分散液が、第1の流路に配置されたバリアを通過する際に、分散液の流れが乱されたり、部分的に分散液が滞留したりして、分散液中に圧力の不均衡が生じ、PTFE粒子が互いに接近または接触する力が加えられる。
バリアは、例えば、第1の管体の内部に第1の流路を狭めるように配置された板状部材であってよい。また、バリアは、第1の管体を屈曲させ、またはその内径を部分的に細くすることによっても形成できる。即ち、バリアは、第1の管体の屈曲部または狭窄部であってもよい。この場合、方法Cは、分散液を屈曲部または狭窄部を有する第1の管体に供給し、当該屈曲部または狭窄部においてPTFE粒子が互いに接近または接触する力を加える方法である、ともいえる。
分散液を上記第1の管体に供給する場合、分散液をノズルから噴射して供給してもよく、この場合、PTFE粒子に上記力を効率よく加えることができる。噴射に用いるノズルは方法A1と同様であればよく、当該ノズルから分散液を噴射する圧力は、分散液におけるPTFE粒子の含有率、界面活性剤の含有率、第1の管体の形状などにより自由に設定すればよい。
方法Cでは、第1の管体の構造や形状、分散液の供給条件などによっては、PTFE粒子を互いに衝突させることができる。また、分散液と、第1の管体内で形成されたPTFE含有固形物とを衝突させて、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることも可能である。
第1の管体の形状、内径、長さ、ならびに、屈曲部および狭窄部の形状などは特に限定されない。
分散液をノズルから噴射して第1の管体に供給する一例を図1に示す。図1に示す管体(第1の管体)41は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その一方の端部42の近傍にL字状の屈曲部43を有する。また、図1に示す例では、分散液の供給路46の末端に配置されたノズル45が、管体41の中心軸上に、管体41の他方の端部44から所定の距離だけ離れて、配置されている。このように管体41およびノズル45を配置した後、ノズル45から管体41の内部に分散液を噴射することにより、分散液に上記力を加えて、管体41内でPTFE含有固形物を形成できる。形成された固形物は、管体41の端部42から排出される。
分散液をノズルから噴射して第1の管体に供給する別の一例を図2に示す。図2に示す管体(第1の管体)51は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その一方の端部42の近傍にT字状の屈曲部47を有する。また、図2に示す例では、分散液の供給路46の末端に配置されたノズル45が、図1に示す例と同様に配置されている。このように管体51およびノズル45を配置した後、ノズル45から管体51の内部に分散液を噴射することにより、分散液に上記力を加えて、管体51内でPTFE含有固形物を形成できる。形成された固形物は、管体41の端部42または端部48から排出される(通常、端部42または端部48のいずれか一方の端部のみから排出される)。
分散液をノズルから噴射して第1の管体に供給するまた別の一例を図3に示す。図3に示す管体(第1の管体)61は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その長さ方向の中央部に、内径が変化した狭窄部49を有する。また、図3に示す例では、分散液の供給路46の末端に配置されたノズル45が、図1に示す例と同様に配置されている。このように管体61およびノズル45を配置した後、ノズル45から管体61の内部に分散液を噴射することにより、分散液に上記力を加えて、管体61内でPTFE含有固形物を形成できる。形成された固形物は、管体61の端部42から排出される。
図1〜図3に示す例において、ノズル45と第1の管体の端部44との間の距離は0であってもよい(即ち、ノズル45あるいは供給路46と第1の管体とが接続されていてもよい)。
方法A1〜A3、方法Bおよび方法Cは、PTFE粒子の分散液に、分散液に含まれるPTFE粒子が互いに接近または接触する力を加える方法の一例であり、本発明の製造方法は、上記各例に示す方法を用いる場合に限定されない。
形状や内容積を含め、分散液に上記力を加えるためのチャンバーの構成は特に限定されないが、市販の装置(例えば、スギノマシン製アルティマイザー)を応用してもよい。アルティマイザーは、本来、顔料、フィラー、触媒などの各種材料の粉砕、微粒化を行う微粒化分散装置であり、PTFE含有固形物を得るための応用は、本発明者が見出したものである。
チャンバーの一例を図4に示す。図4に示すチャンバー1は、その内部空間2の形状が、底面付近の周縁部が切り取られた略円錐状であり、当該周縁部に、分散液を噴射する一対のノズル3a、3bが、その噴射口が内部空間2に面するように配置されている。ノズル3a、3bは、各々の噴射方向4a、4bが互いに交わる位置関係にある。ノズル3a、3bには、チャンバー1の構造体5の内部に形成された供給路6a、6bを経由して、供給口7から分散液を供給できる。略円錐状である内部空間2の頂点付近には、チャンバー1内(内部空間2内)で形成された固形物を排出する排出口8が形成されている。排出口8の形状は特に限定されず、例えば、円形状であればよい。
図4に示すチャンバー1では、加圧した分散液を供給口7および供給路6a、6bを介してノズル3a、3bに供給することにより、分散液を内部空間2内に噴射し、互いに衝突させることができる(方法A3を実施できる)。また、同様の構造を有するチャンバー1を用い、配置するノズルを1つにしたり、あるいは、ノズル3a、3bの噴射方向4a、4bを制御することにより、分散液を内部空間2内に噴射して、チャンバー1の内壁(内部空間2の壁面)に衝突させることができる(方法A1を実施できる)。
チャンバー1は密閉可能な構造であることが好ましく、チャンバー1を必要に応じて密閉することにより、より効率的に分散液に力を加えることができる。チャンバー1には、必要に応じて、内部空間2内の圧力を調整するための圧力調整口が設けられていてもよく、圧力調整口には、例えば、圧力調整弁が配置されていればよい。以降の図5〜図7に示すチャンバー1においても同様である。
加圧した分散液をノズル3a、3bに供給する方法は特に限定されず、例えば、高圧ポンプによって加圧した分散液を供給口7から供給すればよい。図5に示すようなチャンバー1を用い、分散液とポンプにより加圧した水(加圧水)とを、ノズル3a、3bの直前に設けられた混合弁9へ、互いに異なる供給路を経由して供給し、混合弁9で両者を混合した後に、ノズル3a、3bに供給してもよい。図5に示すチャンバー1では、分散液は供給口7および供給路6a、6bを介して、加圧水は供給口17a、17b、および、供給路16a、16bを介して、混合弁9に供給される。
チャンバーの別の一例を図6に示す。図6に示すチャンバー1では、その内部空間2の一方の端部に、自在に回転可能な球体10が配置されており、他方の端部に、分散液を噴射するノズル3が、その噴射口が内部空間2に面するように配置されている。ノズル3と球体10とは、ノズル3の噴射方向4が球体10と交わる位置関係にある。ノズル3には、チャンバー1の構造体5の内部に形成された供給路6を経由して、供給口7から分散液を供給できる。内部空間2におけるノズル3と球体10との間の壁面には、チャンバー1内(内部空間2内)で形成されたPTFE含有固形物を排出する排出口8が形成されている。
図6に示すチャンバー1では、加圧した分散液を供給口7および供給路6を介してノズル3に供給することにより、分散液を内部空間2内に噴射して、チャンバー1内に配置された部材である(チャンバー1内の物体である)球体10に衝突させることができる(方法A1を実施できる)。このとき、ノズル3の噴射方向4が球体10の中心から外れるようにノズル3および球体10を配置することにより、分散液の噴射によって球体10を回転させることができ、分散液の衝突によるチャンバー1内部の摩耗を抑制できる。
球体10には、分散液の衝突によって変形しない材料を用いることが好ましく、例えば、セラミック、金属(高い硬度を有する合金類が好ましい)、ダイヤモンドなどからなる球体10とすればよい。
チャンバーの別の一例を図7に示す。図7に示すチャンバー1では、円筒状の外周体11の内部に、一対の中子12a、12bが収容されている。中子12a、12bは、各々、円柱体の一方の端面に円錐台が接合された形状を有しており、各々の中子における円錐台の上面13a、13bが、一定の間隔dを置いて互いに対向するように配置されている。外周体11および中子12a、12bの中心軸は、ほぼ同一である。外周体11の一端には、分散液を供給する供給口7が形成されており、供給口7に近い中子12aの外径は、外周体11の内径よりも小さく、供給口7から遠い中子12bの外径は、外周体11の内径と同一である。また、中子12bには、その上面13bにおける中央部から中子12bの内部を通り、チャンバー1の外部へ通じる排出路14が形成されている。中子12aは、支持部材(図示せず)を介して、外周体11により支持されている。
中子12a、bの位置を調整し、間隔dの値を適切に制御することにより、上面13a、13b間の空隙15をスリット状の狭窄部とすることができ、加圧した分散液を供給口7からチャンバー1に供給することにより、分散液を、チャンバー内に配置された狭窄部(空隙15)を通過させることができる(方法A2を実施できる)。分散液は空隙15を通過した後に排出路14に流入し、チャンバー1の排出口8から、PTFE含有固形物としてチャンバー1外へ排出される。
供給する分散液の圧力(供給圧)は、チャンバーの形状や内容積、間隔dの大きさ、供給する分散液の量などにより自由に設定すればよいが、供給圧が過小である場合、固形物を得ることが困難となることがある。
工程(ii)において、工程(i)により形成したPTFE含有固形物をチューブ状に変形させる方法は特に限定されず、例えば、固形物を、環状の断面形状を有する流路(第2の流路)を通過させることによりチューブ状に変形させればよい。この場合、第2の流路の断面形状に対応した断面形状を有するチューブ状の固形物(以下、単に「チューブ状固形物」ともいう)を形成できる。ここで、流路の断面形状とは、当該流路における固形物が通過する方向に垂直な断面の形状を意味する。
第2の流路の断面形状は環状である限り特に限定されず、円環状、楕円環状あるいは矩形環状など、最終的に得たいPTFEチューブの断面形状に応じて自由に設定すればよい。また、第2の流路の通過によりチューブ状固形物が得られる限り、断面形状が環状ではない部分が当該流路中に存在していてもよい。
第2の流路の構成は特に限定されず、例えば、工程(i)において形成した固形物を、上記流路として、樹脂製チューブの製造に一般的に用いられる環状ダイ(丸ダイともいう)を通過させることにより、チューブ状に変形させてもよい。この場合、環状ダイの排出口(吐出口)からチューブ状固形物が排出される。
工程(i)において、分散液をチャンバーに供給し、当該チャンバー内において上記力を加える場合(方法Aを実施する場合)、チャンバー内で形成された固形物を、チャンバーに接続された環状の断面形状を有する流路(第2の流路)を通過させて、チューブ状に変形させてもよい(方法A’)。即ち、工程(i)において、分散液をチャンバーに供給してPTFE含有固形物を形成し、工程(ii)において、形成したPTFE含有固形物を、チャンバーに接続された第2の流路を通過させることによりチューブ状に変形させてもよい。
方法A’では、チャンバーおよび第2の流路の構成を適切に選択することにより、出発物質である分散液から連続的にチューブ状固形物を得ることも可能であり、PTFEチューブの生産性をより向上できる他、例えば、長尺のPTFEチューブの製造が容易となる。
図8に、方法A’を実施できる第2の流路の構成の一例を示す。図8に示す例では、図4に示すチャンバー1に接続された円筒状の管体(第2の管体)21と、管体21の内部に配置された、チャンバー1側の端面が円錐状である円柱状の中子22とにより流路(第2の流路)24が構成されている。図8におけるA−A’面を図9に示す。図9に示すように、断面形状が円環状である管体21と、断面形状が円形状である中子22との間に位置する空間が流路24に相当し、流路24の断面形状は円環状である。なお、図8、9に示す例では、管体21の中心軸と中子22の中心軸とはほぼ同一であり、内部空間2側から中子22を見た模式図である図10にも示すように、中子22は保持具23により構造体5に固定されている。
このような構成を有する流路24とすることにより、チャンバー1内で形成された固形物を排出口8から流路24に流入させ、円環状の断面形状を有するチューブ状固形物を形成できる。流路24の通過により形成されたチューブ状固形物は、流路24から、より具体的には管体21におけるチャンバー1とは反対側の端部から排出される。
図8に示すように、管体21および管体21の内部に配置された中子22により流路24を構成する場合、管体21および中子22の形状、内(外)径、長さなどは特に限定されず、チャンバー1の形状や内容積、チャンバー1に供給する分散液の量(即ち、チャンバー1で形成される固形物の量)、形成したいチューブ状固形物の形状や肉厚などに応じて自由に設定すればよい。
中子22は、管体21の長さ方向における少なくとも一部に配置されていればよいが、より確実にチューブ状固形物を得るためには、管体21の長さ方向における全部に中子22が配置されていることが好ましい。また、管体21におけるチャンバー1とは反対側の端部、即ち、流路24におけるチューブ状固形物の排出口近傍に、中子22が配置されていることが好ましく、この場合、流路24におけるチューブ状固形物の排出口の形状が環状となる。
円環状の断面形状を有するチューブ状固形物を形成するためには、管体21における流路24を構成する部分(図8に示す部分B)の断面形状が円環状であり、中子22における流路24を構成する部分(図8に示す部分B)の断面形状が円形状であればよい。
管体21および中子22は、その形状などによっては、排出口8から流路24に排出された固形物に対して、PTFE粒子を互いに接近または接触する力をさらに加える役割を担うことができる。このため、管体21および/または中子22の形状(長さおよび/または内(外)径など)を適切に選択することにより、強度などの機械的特性がより向上したチューブ状固形物を形成でき、当該チューブ状固形物の取り扱いが容易となる他、後の工程においてPTFEチューブとしたときの当該チューブの機械的特性も向上できる。チューブ状固形物の強度が向上する原因としては、流路24の通過により、固形物の表面近傍にPTFE粒子同士がより強固に結合したスキン層が形成されることが考えられる。
基本的に、管体21および中子22の長さが長いほど、形成するチューブ状固形物の機械的特性が向上する傾向を示すため、管体21の最小内径よりも、管体21の長さが大きいことが好ましい。また、中子22の長さもチューブ状固形物を形成できる範囲内で長いことが好ましい。一例として、チャンバー1における内容積が200cm3程度の場合、チャンバー1に接続する管体21の長さは10mm〜1000mm程度の範囲、管体21の内部に配置する中子22の長さは20mm〜1000mm程度の範囲であればよい。
方法A’を実施できる第2の流路の構成の別の一例を図11、12に示す。図11に示す例では、図4に示すチャンバー1に、第2の流路として、樹脂製チューブの製造に一般的に用いられる環状ダイ31が接続されており、チャンバー1内で形成されたPTFE含有固形物を排出口8から環状ダイ31に流入させ、環状の断面形状を有するチューブ状固形物を形成できる。図12に示す例では、図4に示すチャンバー1に、第2の流路として、管体(第3の管体)32および環状ダイ31が接続されている。この場合、管体32の形状を適切に選択することにより、チャンバー1内で形成したPTFE含有固形物が管体32を通過する際に、PTFE粒子を互いに接近または接触する力をさらに加えることができ、形成するチューブ状固形物における強度などの機械的特性をより向上できる。
工程(i)において、分散液を第1の管体に供給し、当該管体内において上記力を加える場合(方法Cを実施する場合)、第1の管体内で形成された固形物を、当該管体に接続された環状の断面形状を有する流路(第2の流路)を通過させて、チューブ状に変形させてもよい(方法C’)。即ち、工程(i)において、分散液を管体(第1の管体)に供給してPTFE含有固形物を形成し、工程(ii)において、形成したPTFE含有固形物を、管体(第1の管体)に接続された第2の流路を通過させることによりチューブ状に変形させてもよい。
方法C’では、第1の管体および第2の流路の構成を適切に選択することにより、出発物質である分散液から連続的にチューブ状固形物を得ることも可能であり、PTFEチューブの生産性をより向上できる他、例えば、長尺のPTFEチューブの製造が容易となる。
方法C’における第2の流路の構成は特に限定されず、例えば、実施例2に後述するように第1の管体の一部に第2の流路が形成された構成としてもよいし、上述した環状ダイ31を直接、あるいは、第3の管体32などを介して第1の管体に接続し、第2の流路としてもよい。
上述したように、工程(i)において、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を分散液に加える方法、および、工程(ii)において、工程(i)により形成したPTFE含有固形物をチューブ状に変形させる方法は特に限定されないが、上記方法A’または方法C’とすることにより、より生産性よくPTFEチューブを製造できる。即ち、工程(i)において、分散液をチャンバーまたは管体(第1の管体)に供給し、当該チャンバーまたは管体内において上記力を加えることによりPTFE含有固形物を形成し、工程(ii)において、上記形成した固形物を、環状の断面形状を有する流路(第2の流路)を通過させることによりチューブ状に変形させることで、より生産性よくPTFEチューブを製造できる。
本発明の製造方法では、分散液に連続的に上記力を加え、かつ、上記力を加えることにより形成したPTFE含有固形物を連続的に変形させることにより、分散液から連続的にチューブ状固形物を形成できる。即ち、PTFEチューブの製造方法として、バッチ生産法ではなく連続生産法とすることができ、例えば、長尺のPTFEチューブの製造がより容易となる。
方法A’または方法C’とする場合、分散液をチャンバーまたは第1の管体に連続的に供給し、第2の流路からチューブ上に変形させたPTFE含有固形物を連続的に排出させることができる。
より具体的には、例えば、分散液を図8に示すチャンバー1に連続的に供給し、チャンバー1内でPTFE含有固形物を形成した後に、形成した固形物を管体21および中子22により連続的に変形して、流路24から排出すればよい。
方法A’または方法C’とする場合、チャンバーまたは第1の管体、ならびに、第2の流路の構成によっては、チャンバーまたは第1の管体に供給される分散液の質量と、第2の流路から排出されるチューブ状固形物の質量とを、実質的に同一とすることができる。
本発明の製造方法では、自己形状保持性および変形性を有するPTFE含有固形物をチューブ状に変形させるため、クラックや多孔化の発生を抑制しながら、肉厚が300μm以下のチューブ状固形物を形成できる。製造条件を最適化することにより、肉厚が250μm以下、あるいは、80μm以下のチューブ状固形物の形成も可能である。なお、チューブ状固形物の肉厚の最小値は特に限定されないが、量産性を確保する観点からは、およそ10μm程度である。本発明の製造方法では、肉厚が小さいチューブ状固形物だけではなく、逆に肉厚が大きい(例えば、5mm以上)チューブ状固形物も形成できる。
分散液におけるPTFE粒子の含有率は特に限定されないが、形状がより確実に保持されたチューブ状固形物を得るためには、例えば、その下限が40質量%以上であればよく、40質量%を超えることが好ましく、45質量%を超えることがより好ましく、50質量%以上、55質量%以上の順にさらに好ましい。また、分散液におけるPTFE粒子の含有率の上限は、分散液としての安定性および上記と同様の理由から、例えば、70質量%以下であればよく、65質量%以下がより好ましい。分散液に力を加える方法、条件などにもよるが、肉厚のチューブ状固形物を形成するためには、チューブ状とした後の自重による変形を抑制するために、基本的に、分散液におけるPTFE粒子の含有率が大きいことが好ましい。
PTFE粒子の平均粒径は、通常、0.1μm〜40μmの範囲であり、0.2μm〜1μmの範囲が好ましい。
分散液における界面活性剤の含有率は特に限定されないが、形状がより確実に保持されたチューブ状固形物を得るためには、0.01質量%〜15質量%の範囲が好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲、1質量%〜9質量%の範囲、1.5質量%〜9質量%の範囲、および、2質量%〜7質量%の範囲の順に、より好ましい。界面活性剤の含有率が好ましい範囲にあれば、PTFE相と水相との分離を抑制しながらPTFE含有固形物を得ることが容易になる。
界面活性剤の種類は特に限定されず、例えば、炭化水素系骨格を有するカルボン酸塩などのアニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などのノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などを用いればよい。100℃からPTFEの融点程度の温度範囲において分解する界面活性剤を用いることが好ましく、この場合、形成したチューブ状固形物を焼成する際に界面活性剤が分解され、焼成により得られたPTFEチューブに残留する界面活性剤の量を低減できる。
分散液として、市販されているPTFEディスパージョンを用いてもよい。市販のPTFEディスパージョンとしては、例えば、旭硝子社製(元:旭硝子フロロポリマーズ社製)AD938、AD911、AD912、AD1、AD639、AD936などのADシリーズ、ダイキン工業社製D1、D2、D3などのDシリーズを用いればよい。これら市販のPTFEディスパージョンは、通常、界面活性剤を含んでいる。
分散液は、PTFE粒子、水および界面活性剤以外の物質を含んでいてもよく、例えば、フィラーをさらに含んでいてもよい。この場合、形成したチューブ状固形物を乾燥および/または焼成することにより、フィラーが分散したPTFEチューブを得ることができる。
フィラーの種類は特に限定されず、例えば、金属、金属酸化物、グラファイトなどの炭素材料、および、セラミックなど、各種材料の粉末、微粒子などを用いればよい。具体的な例として、水酸化アルミニウムのベーマイト、キブサイト、アルモゲルなど、強磁性を有する金属酸化物をフィラーとして用いた場合、強磁性を有するPTFEチューブを形成でき、このようなチューブは、スクリーン用電気ケーブルへの使用に最適である。また、酸化チタンや酸化亜鉛をフィラーとして用いた場合、UV−AおよびUV-Bに対して不透明なPTFEチューブを得ることができる。酸化亜鉛を用いた場合、抗菌性や殺菌性を有するPTFEチューブとすることもできる。
分散液がフィラーを含む場合、予め、分散液中にフィラーを均一に分散させておくことが好ましい。図5に示すチャンバー1を用いる場合、混合弁9において、分散液と、フィラーが分散した水(フィラー分散水)とを混合してもよい。
工程(iii)において、チューブ状固形物に含まれる水を低減させる(乾燥工程)方法は特に限定されず、例えば、チューブ状固形物を加熱乾燥すればよい。加熱乾燥の条件は、チューブ状固形物の肉厚などに応じて自由に設定すればよく、例えば、形成したチューブ状固形物を50℃〜200℃の温度に昇温し、1分〜60分程度保持すればよい。
本発明のPTFEチューブの製造方法では、乾燥工程を経た固形物を、さらに焼成しても(焼成工程)よい。焼成工程の具体的な方法は特に限定されず、例えば、乾燥工程を経たチューブ状固形物を電気炉中に収容し、PTFEの融点以上の温度(327℃〜400℃程度)にまで加熱し、1分〜60分程度保持すればよい。焼成により、例えば、透明なPTFEチューブを得ることができる。
乾燥工程、あるいは、乾燥および焼成工程を経て得られたPTFEチューブは、そのまま製品としてもよいし、必要に応じて、延伸などの工程をさらに加えてもよい。延伸により、より肉厚が小さいPTFEチューブとすることができる。
本発明のPTFEチューブの製造方法によれば、クラックや多孔化の発生を抑制しながら、肉厚が300μm以下のPTFEチューブを得ることができる。製造条件を最適化することにより、肉厚が250μm以下、あるいは、80μm以下のPTFEチューブを得ることも可能である。
本発明のPTFEチューブの製造方法ではPTFEチューブを連続的に製造でき、バッチ生産法が基本である従来の製造方法に比べて、より生産性に優れる製造方法とすることができる。また、長尺のPTFEチューブの製造を生産性よく行うことができる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1では、出発物質である分散液として、市販のPTFEディスパージョンである旭硝子社製AD938(PTFE粒子の含有率60質量%、界面活性剤の含有率3質量%、PTFE粒子の平均粒径0.3μm)を用い、図8に示すチャンバー1および流路24を用いてチューブ状固形物を形成し、形成したチューブ状固形物を乾燥および焼成してPTFEチューブを作製した。
チャンバー1の内部空間2の容積(チャンバー1の内容積)は200cm3とし、チャンバー内に、円形の噴射口(0.25mmφ)を有する一対のノズル3a、3bを配置した。ノズルの先端における噴射口が形成された部分にはダイヤモンドを用い、各々のノズルの噴射方向4a、4bが交わるようにノズル3a、3bを配置した。排出口8には、円筒状の管体(第2の管体)21(内径10mmφ)を接続し、管体21の内部に円柱状の中子22(外径9.6mmφ)を配置した。管体21および中子22の中心軸はほぼ同一とし、中子22はステー状の保持具23によりチャンバー1の構造体5に固定した。
このようなチャンバー1に上記分散液を供給し、噴射圧を200MPaとして、ノズル3a、3bから分散液を噴射させた。分散液の供給量は約3L/分、分散液の温度は25℃とした。
噴射から数秒後、管体21の先端からチューブ状のPTFE含有固形物(肉厚約230μm)が排出され、排出されたチューブ状固形物は、水と界面活性剤とを内包していた。続いてチャンバー1に連続的に上記分散液を供給したところ、管体21の先端からはチューブ状固形物が連続的に排出された。
次に、得られたチューブ状固形物を90℃で7分間乾燥させた後に、370℃で3分間焼成したところ、PTFEチューブ(肉厚約200μm)を得ることができた。
同様のテストを、噴射圧を100MPa〜300MPaの範囲、分散液の供給量を0.3L/分〜30L/分の範囲で、それぞれ変化させて行ったところ、同様のPTFEチューブを作製できた。
(実施例2)
実施例2では、図13に示す、一部に流路(第2の流路)72が形成された管体(第1の管体)71を用いてチューブ状固形物を形成し、形成したチューブ状固形物を乾燥および焼成してPTFEチューブを作製した。
管体71は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その端部73と端部74との間にT字状の屈曲部75を有する。実施例2では、管体71における端部76から端部73の部分に鋼製の棒体77を挿入し、屈曲部75から端部73に至る区間(図13における部分Dに相当する区間)を、環状の断面形状を有する第2の流路72とした。管体71における部分Cの長さは150mm、部分Cの内径は12.7mmφ、部分Dの長さは200mm、部分Dの内径は1.6mmφとした。棒体77の断面形状は円形とし、その外径は0.9mmφとした。棒体77は、封止材78により、管体71の端部76に固定した。
このような管体71と、分散液の供給路46の末端に配置されたノズル45(円形の噴射口(0.15mmφ)を有する)とを、ノズル45が管体71における部分Cの中心軸上に位置し、管体71の端部74とノズル45との距離が5mmになるように互いに配置した後(図13参照)、ノズル45から分散液(旭硝子社製AD938)を管体71の内部に噴射させた。ノズル45への分散液の供給量を約0.5L/分、分散液の液温を25℃とし、分散液の噴射圧を150MPaとした。
噴射から数秒後、管体71の端部73からチューブ状のPTFE含有固形物(肉厚約360μm)が排出され、排出されたチューブ状固形物は、水と界面活性剤とを内包していた。続いて管体71に連続的に上記分散液を供給したところ、管体71の端部73からはチューブ状固形物が連続的に排出された。
次に、得られたチューブ状固形物を90℃で7分間乾燥させた後に、370℃で3分間焼成したところ、PTFEチューブ(肉厚約330μm)を得ることができた。
本発明によれば、従来のPTFEチューブの製造方法よりも生産性に優れる、PTFE粒子の分散液を出発物質とするPTFEチューブの製造方法を提供できる。
本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができる装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができる装置の構成の別の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができる装置の構成のまた別の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーの一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーの別の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーのまた別の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーのさらにまた別の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーおよび当該チャンバーに接続された流路の一例を示す模式図である。 図8におけるA−A’面を示す断面図である。 図8に示す例において、チャンバーへの中子の固定方法を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーおよび当該チャンバーに接続された流路の別の一例を示す模式図である。 本発明のPTFEチューブの製造方法に用いることができるチャンバーおよび当該チャンバーに接続された流路のまた別の一例を示す模式図である。 実施例2に用いた第1の管体および第2の流路の構成を説明するための模式図である。
符号の説明
1 チャンバー
2 内部空間
3、3a、3b ノズル
4、4a、4b 噴射方向
5 構造体
6、6a、6b 供給路
7 供給口
8 排出口
9 混合弁
10 球体
11 外周体
12a、12b 中子
13a、13b 上面
14 排出路
15 空隙
21 (第2の)管体
22 中子
23 保持具
24 (第2の)流路
31 環状ダイ
32 (第3の)管体
41 (第1の)管体
42 端部
43 屈曲部
44 端部
45 ノズル
46 (分散液の)供給路
47 屈曲部
48 端部
49 狭窄部
51 (第1の)管体
61 (第1の)管体
71 (第1の)管体
72 (第2の)流路
73 端部
74 端部
75 屈曲部
76 端部
77 棒体
78 封止材

Claims (14)

  1. (i)ポリテトラフルオロエチレン粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むポリテトラフルオロエチレンディスパージョンに、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、前記水および前記界面活性剤を内包するポリテトラフルオロエチレン含有固形物を形成する工程と、
    (ii)前記固形物をチューブ状に変形させる工程と、
    (iii)チューブ状に変形させた前記固形物に含まれる前記水を低減させる工程と、を含み、
    前記工程(i)において、
    前記ディスパージョンをチャンバーに供給し、前記チャンバー内において前記力を加えることにより、前記固形物を形成し、
    前記ディスパージョンを、前記チャンバーの内壁または前記チャンバー内の物体に向けて噴射することにより、前記力を加える、ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  2. 前記ディスパージョンをノズルから噴射する請求項に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  3. (i)ポリテトラフルオロエチレン粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むポリテトラフルオロエチレンディスパージョンに、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、前記水および前記界面活性剤を内包するポリテトラフルオロエチレン含有固形物を形成する工程と、
    (ii)前記固形物をチューブ状に変形させる工程と、
    (iii)チューブ状に変形させた前記固形物に含まれる前記水を低減させる工程と、を含み、
    前記工程(i)において、
    前記ディスパージョンを管体に供給し、前記管体内において前記力を加えることにより、前記固形物を形成し、
    前記ディスパージョンを、前記管体における前記ディスパージョンの流路に配置された、前記ディスパージョンの流れを妨げるバリアに接触させることにより、前記力を加え、
    前記バリアが、前記管体の屈曲部または狭窄部である、ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  4. (i)ポリテトラフルオロエチレン粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むポリテトラフルオロエチレンディスパージョンに、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、前記水および前記界面活性剤を内包するポリテトラフルオロエチレン含有固形物を形成する工程と、
    (ii)前記固形物をチューブ状に変形させる工程と、
    (iii)チューブ状に変形させた前記固形物に含まれる前記水を低減させる工程と、を含み、
    前記工程(i)において、
    前記ディスパージョンを管体に供給し、前記管体内において前記力を加えることにより、前記固形物を形成し、
    前記ディスパージョンを、ノズルから噴射して前記管体に供給する、ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  5. (i)ポリテトラフルオロエチレン粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むポリテトラフルオロエチレンディスパージョンに、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、前記水および前記界面活性剤を内包するポリテトラフルオロエチレン含有固形物を形成する工程と、
    (ii)前記固形物をチューブ状に変形させる工程と、
    (iii)チューブ状に変形させた前記固形物に含まれる前記水を低減させる工程と、を含み、
    前記工程(i)において、前記ディスパージョンをチャンバーまたは管体に供給し、前記チャンバーまたは管体内において前記力を加えることにより、前記固形物を形成し、
    前記工程(ii)において、前記形成した固形物を、環状の断面形状を有する流路を通過させることにより、チューブ状に変形させ、
    前記ディスパージョンを前記チャンバーまたは管体に連続的に供給し、前記流路からチューブ状に変形させた前記固形物を連続的に排出し、
    供給される前記ディスパージョンと実質的に同じ質量の前記固形物を排出する、ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  6. 前記工程(i)において、前記ディスパージョンを前記チャンバーに供給し、前記チャンバー内において前記力を加えることにより、前記固形物を形成し、
    前記ディスパージョンを前記チャンバーに連続的に供給し、前記流路からチューブ状に変形させた前記固形物を連続的に排出し、
    前記ディスパージョンを、前記チャンバー内に設けられた狭窄部を通過させることにより、前記力を加える請求項に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  7. 前記工程(i)において、前記ディスパージョンを前記管体に供給し、前記管体内において前記力を加えることにより、前記固形物を形成し、
    前記ディスパージョンを前記管体に連続的に供給し、前記流路からチューブ状に変形させた前記固形物を連続的に排出し、
    前記ディスパージョンを、前記管体における前記ディスパージョンの流路に配置された、前記ディスパージョンの流れを妨げるバリアに接触させることにより、前記力を加える請求項に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  8. 前記工程(ii)において、
    前記固形物を、環状の断面形状を有する流路を通過させることにより、チューブ状に変形させる請求項1,3または4に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  9. 前記工程(ii)において、前記形成した固形物を、環状の断面形状を有する流路を通過させることにより、チューブ状に変形させ、
    前記流路が、前記チャンバーに接続されている請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  10. 前記工程(ii)において、前記形成した固形物を、環状の断面形状を有する流路を通過させることにより、チューブ状に変形させ、
    前記流路が、前記管体に接続されている請求項3または4に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  11. 前記流路が、前記チャンバーまたは管体に接続されている請求項5に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  12. 前記工程(iii)において、
    チューブ状に変形させた前記固形物を加熱乾燥させる請求項1,3,4または5に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  13. 前記工程(iii)の後に、
    前記固形物を、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱し、焼成する工程をさらに含む請求項1,3,4または5に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
  14. 前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒径が0.1μm〜1μmである請求項1,3,4または5に記載のポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法。
JP2006308967A 2006-11-15 2006-11-15 ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法 Expired - Fee Related JP5122113B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006308967A JP5122113B2 (ja) 2006-11-15 2006-11-15 ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006308967A JP5122113B2 (ja) 2006-11-15 2006-11-15 ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008120963A JP2008120963A (ja) 2008-05-29
JP5122113B2 true JP5122113B2 (ja) 2013-01-16

Family

ID=39506059

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006308967A Expired - Fee Related JP5122113B2 (ja) 2006-11-15 2006-11-15 ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5122113B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05301267A (ja) * 1992-04-27 1993-11-16 Asahi Glass Co Ltd ポリテトラフルオロエチレンの連続押出成形法
JPH06234865A (ja) * 1993-02-09 1994-08-23 Nitto Denko Corp ポリテトラフルオロエチレンの成形方法
JP3552685B2 (ja) * 2000-10-30 2004-08-11 旭硝子株式会社 強度に優れるテトラフルオロエチレン重合体
JP3758666B2 (ja) * 2003-07-02 2006-03-22 ダイキン工業株式会社 フルオロアルキルカルボン酸誘導体、含フッ素重合体の製造方法及び含フッ素重合体水性分散液
US8105515B2 (en) * 2005-05-12 2012-01-31 Nitto Denko Corporation Method of manufacturing polytetrafluoroethylene particle aggregate and method of manufacturing polytetrafluoroethylene product

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008120963A (ja) 2008-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1674178A2 (en) Titanium powder sintered compact
JP6244490B1 (ja) ポリテトラフルオロエチレンチューブ
JP5085324B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレン粒子凝集物の製造方法およびポリテトラフルオロエチレン成形体の製造方法
CN111408284B (zh) 一种聚四氟乙烯微孔膜及其制备方法
JP5122113B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレンチューブの製造方法
JP4800906B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレン含有固形物の製造方法およびポリテトラフルオロエチレン成形体の製造方法
US8440127B2 (en) Process for production of polytetrafluoroethylene sheet, and process for production of polytetrafluoroethylene seal tape
JP4990503B2 (ja) Ptfeペースト体、ptfe多孔体、ptfe多孔体を用いた複合体、及び、ptfe多孔体の製造方法
WO2019155078A1 (de) Verfahren zur herstellung eines porösen formkörpers sowie poröser formkörper
JP4846533B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレン多孔体の製造方法
JP5249524B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレンシートの製造方法
JP2014518192A (ja) Pimによる着色セラミック部品の製造方法
US10485899B2 (en) Polytetrafluoroethylene tube
JP2008144137A (ja) 空孔を有するポリテトラフルオロエチレン含有固形物の製造方法、および空孔を有するポリテトラフルオロエチレン成形体の製造方法
JP2008266806A (ja) ポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法
JP2008120034A (ja) ポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置
JP4900472B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレン成形品の製造方法
KR20110020438A (ko) 동심의 중공관을 갖는 이중노즐
JP2008303339A (ja) Ptfe多孔体を使用したシール材
CN118176029A (zh) 聚四氟乙烯管以及使用该聚四氟乙烯管的医疗用管
JPH0929813A (ja) 超高分子量ポリエチレン製多孔質体の製造方法
JP2003306573A (ja) Ptfe多孔体製造方法及びptfe多孔体
JPH08309828A (ja) 超高分子量ポリエチレン製多孔質体の製造方法
KR20130097926A (ko) 친수성 무기입자를 이용한 다공성 ptfe 중공사 분리막의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110906

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121023

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121024

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees