JP2008120034A - ポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置 Download PDF

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百合 堀江
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Abstract

【課題】従来の製造装置に比べて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)成形体をより生産性よく生産でき、得られる成形体の形状の自由度を高くできるPTFE成形体の製造装置を提供する。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むポリテトラフルオロエチレン粒子の分散液に、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えて、前記水および前記界面活性剤を内包するPTFE含有固形物を形成する固形物形成機構と、前記固形物を成形する成形機構と、を備える製造装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子の分散液を出発物質とするPTFE成形体の製造装置に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、高い耐薬品性、低い誘電率などの特性を有し、融点が高く耐熱性に優れることから、化学的および電気的分野を中心に、幅広い用途に用いられている。また、摩擦係数や表面張力が小さい特性を利用して、無潤滑摺動部に用いる部材など、機械的用途にも広く用いられている。
一方、PTFEは、特殊な溶媒を除き、ほとんどの溶媒に熔解せず、その熔融粘度も、380℃において1010〜1011Pa・s(1011〜1012P)程度と高い。このため、PTFE成形体の製造に、一般的な熱可塑性樹脂の成形に用いられる各種の成形法(押出成形、射出成形など)を応用することが困難である。これらの成形法では、成形時の樹脂の溶融粘度は、通常、102〜103Pa・s程度である。
従来、PTFE成形体の製造方法として、焼結成形法と呼ばれる方法が一般的である。焼結成形法では、出発物質に粉末状のPTFE粒子(モールディングパウダー)を用い、常温において予備成形を行った後(このとき、必要に応じて成形助剤を加えてもよい)、形成した予備成形体をPTFEの融点(327℃)以上に加熱することにより全体を焼結(焼成)して、PTFE成形体を得る。
焼結成形法における工程の詳細は、得たい成形体の形状に応じて適宜選択すればよく、例えば、シート状のPTFE成形体(PTFEシート)を得る場合、円筒状のPTFE成形体(PTFEブロック)を予備成形および焼成により形成し、形成したブロックの外周部を切削すればよい(切削法)。この方法によれば、厚さが比較的大きいシート(例えば、25μm以上)が得られるが、効率的にシートを製造するためにはブロックのサイズを大きくする必要があり、その際、熱歪みによる亀裂等の発生を抑制するために、予備成形および焼成に長時間(ブロックのサイズにもよるが、およそ2〜5日程度)を要する。
また例えば、PTFEの多孔質膜を得る場合、上記予備成形体を押出成形および圧延によりシート状とし、得られたシートをPTFEの融点未満の温度で延伸した後に焼成したり、焼成および徐冷によりPTFEの結晶化度を高めた後に延伸したりすればよい(ペースト押出法:例えば、特許文献1を参照)。これら、切削法、ペースト押出法を始めとする焼結成形法は基本的にバッチ生産法であり、出発物質からのPTFE成形体の連続的な製造は困難である。
焼結成形法とは別に、PTFEシートの製造方法として、キャスト法が知られている。キャスト法では、出発物質であるPTFE粒子の分散液(PTFEディスパージョン)を、金属板などの支持体上に塗布して、乾燥、焼成した後に、支持体から剥離して、PTFEシートを得る。この方法によれば、焼結成形法を用いた場合に比べて、より薄く、歪みのないPTFEシートが得られる。しかし、1回の塗布、乾燥および焼成により得られるシートの厚さは、マッドクラックと呼ばれる微少欠陥を抑制するために、およそ20μm程度が限界とされ、20μmを超える厚さのシートを得るためには、分散液の塗布および焼成を複数回繰り返す必要がある。また、キャスト法では、シート状以外の形状を有する成形体の形成が困難である。
なお、切削法およびキャスト法、ならびに、その他のPTFE成形体の製造方法については、例えば、非特許文献1(切削法について141〜142ページ、キャスト法について130ページ)に記載されている。
特開平7−278331号公報 ふっ素樹脂ハンドブック、里川孝臣編、日刊工業新聞社、1990年発行
このような従来の製造方法に基づく従来のPTFE成形体の製造装置では、生産性の向上に限界があり、また、得られる成形体の形状に制限がある。そこで本発明は、従来の製造装置よりも生産性に優れ、得られる成形体の形状の自由度が高いPTFE成形体の製造装置を提供することを目的とする。
本発明のPTFE成形体の製造装置は、PTFE粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むPTFE粒子の分散液に、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えて、前記水および前記界面活性剤を内包するPTFE含有固形物を形成する固形物形成機構と、前記固形物を成形する成形機構とを備える。
本発明の製造装置では、水および界面活性剤を内包するPTFE含有固形物を形成した後に、当該固形物を成形することにより、従来の製造装置に比べて、PTFE成形体をより生産性よく生産でき、得られる成形体の形状の自由度を高くできる。本発明の製造装置では、例えば、出発物質であるPTFE粒子の分散液からPTFE成形体を連続的に生産することも可能であり、得られる成形体の形状に関しても、シート状の成形体を生産したりロッド状の成形体を生産したりできるなど、その自由度を高くできる他、例えばPTFE多孔質膜の生産も可能である。
以下、本発明のPTFE成形体の製造装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一の部材には同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。
図1に示す本発明の製造装置1は、固形物形成機構2および成形機構3を備える。固形物形成機構2では、当該機構2に供給されたPTFE粒子の分散液(以下、単に「分散液」ともいう)4に、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えて、水および界面活性剤を内包するPTFE含有固形物(以下、単に「固形物」ともいう)5を形成する。この固形物は、その製造方法から明らかなように、PTFE粒子が結着して形成された凝集物である。
固形物5は、付与された形状が保持される(自己形状保持性を有する)程度にPTFE粒子が結着し、かつ、当該形状が変形可能である(変形性を有する)程度に水を内包してなる。固形物5は、基本的に、乾燥あるいは焼成などにより、含まれる水の量がある程度以下になるまでは任意の形状に変形可能であるため、固形物形成機構2で形成した固形物5は、そのまま成形機構3において任意の形状に成形できる。成形後の固形物は、当該固形物に含まれる水の量を低減させて、成形体6とすることができる。なお、水の量の低減は、乾燥および焼成以外にも自然乾燥などによっても可能であるため、図1に示す製造装置1では、固形物5に含まれる水を低減させる脱水機構を省略してある。本発明の製造装置は、上記脱水機構を備えていてもよく、その具体例については後述する。
本発明の製造装置1は、成形体6の生産性に優れており、例えば、固形物形成機構2における固形物5の形成と、成形機構3における固形物5の成形および成形体6の生産とを連続的に行うことも可能である。また、固形物5は任意の形状に変形可能であることから、製造装置1では、得られる成形体6の形状の自由度を高くできる。
固形物5は、従来のPTFE成形体の製造方法および製造装置では、中間生成物としても得ることができない。例えば、本発明の製造装置と同様に、PTFE粒子の分散液を出発物質とするキャスト法では、PTFE粒子が分散した状態で乾燥により水が除去されるため、水と界面活性剤とを内包する固形物は形成されない。また、分散液においてPTFE粒子を沈降させて得ただけの粒子集合体とは異なり、固形物5は、乾燥により水が除去された後にも、再び粒子に戻ることはない。
分散液4に対してPTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることにより、このような固形物5が得られる理由は明確ではないが、おそらく、分散液中の界面活性剤の作用により、PTFE粒子同士が互いに結着してなるPTFE相と水相とが互いに入り混じった構造が形成されるためではないかと考えられる。固形物の詳細な構造の解明には今後の検討を要するが、PTFE粒子同士が互いに結着して形成されたPTFE相が、ある程度連続することにより、固形物の自己形状保持性が発現する機構が考えられる。場合によっては、より強固な結着構造がPTFE間に形成されていたり、PTFEの一部がフィブリル化することにより、PTFEの網目構造が形成されている可能性もある。また、疎水性であるPTFE相間に、界面活性剤を介して安定的に水相が存在することにより、固形物の変形性が発現する機構が考えられる。このようなPTFE相の形成には、PTFEが、他のフッ化熱可塑性樹脂とは異なり、その融点以下の温度域においても互いに結着可能であり、フィブリルなどの微細な構造を形成できることも寄与していると考えられる。
固形物形成機構2の構成は、分散液4に対してPTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることができ、上記固形物5を形成できる限り特に限定されない。
固形物形成機構2の一例を図2に示す。図2に示す固形物形成機構2aは、チャンバー11aと、チャンバー11a内で分散液4に上記力が加わるように、分散液4をチャンバー11に供給する供給機構(第1の供給機構)12とを備えている。このような固形物形成機構では、分散液の供給に伴ってチャンバー内に生じる圧力を、PTFE粒子同士をより接近または接触させる力に利用でき、より効率よく固形物を形成できる。
供給機構12の構成は、チャンバーの内部において分散液に上記力を加えることができる限り、特に限定されない。図2に示す例では、供給機構12が、分散液4をチャンバー11aの内部に噴射するノズル13を備えている。このような固形物形成機構2aでは、分散液を、ノズルからチャンバー内、例えば、チャンバーの内壁またはチャンバー内に配置された部材に噴射して、分散液が当該内壁または部材に衝突する際に、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることができる。図2に示す例では、ノズル13における分散液の噴射方向18はチャンバー11aの内壁を向いており、チャンバー11aの内壁に分散液4を噴射できる。
また、チャンバー11aの構造あるいは形状、ノズル13からの分散液4の噴射条件などによっては、PTFE粒子を互いに衝突させることができる他、分散液4と、チャンバー11a内で形成された固形物5とを衝突させて、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることも可能である。
ノズル13の構成、例えば、噴射口の形状は、自由に設定できる。
ノズル13の噴射方向18が可変であってもよく(即ち、ノズル13が、噴射方向18を変化しうる構造を有していてもよく)、この場合、例えば、チャンバー11a内における固形物5の形成具合などにより、分散液4の噴射方向18を制御することができる。
ノズル13から分散液4を噴射する圧力は、分散液4におけるPTFE粒子の含有率、界面活性剤の含有率、チャンバー11の形状あるいは内容積などにより自由に制御すればよい。当該圧力が過小である場合、固形物5を得ることが困難となるときがある。
チャンバーの形状、ならびに、チャンバーに対する供給機構の位置関係、より具体的には、ノズルの位置関係は、図2に示す例に限定されない。図2に示すチャンバー11aでは、その内部空間の形状は、底面付近の周縁部が切り取られた略円錐状であり、その頂点付近にはチャンバー11a内で形成された固形物5を排出する排出口16が形成されている。
排出口16の形状は特に限定されず、例えば、円形状であればよい。
図2に示す供給機構12は、ノズル13以外に、分散液4を加圧する加圧ポンプ14、ならびに、加圧ポンプ14とノズル13とを接続する配管15を備えており、加圧した分散液4をノズル13に供給して、当該ノズル13から分散液4を噴射できる。これらの部材は、必要に応じて備えていればよい。以降の固形物形成機構の例における加圧ポンプ14、配管71などについても同様である。
固形物形成機構の別の一例を、図3に示す。図3(a)に示す固形物形成機構2aは、図2に示す固形物形成機構2aと同様に、チャンバー11bと、チャンバー11b内で分散液4に上記力が加わるように、分散液4をチャンバー11bに供給する供給機構12とを備えている。また、チャンバー11bの内部構造を示す図3(b)にも併せて示すように、供給機構12は、分散液4をチャンバー11bの内部に噴射するノズル13を、チャンバー11bの内部に備えている。ノズル13は、供給機構12の一部でもあるし、チャンバー11bの一部でもある。
図3に示すチャンバー11bにおける内部空間の一方の端部には、自在に回転可能な球体17が配置されており、他方の端部には、分散液4を噴射するノズル13が、その噴射口がチャンバー11bの内部に面するように配置されている。ノズル13と球体17とは、ノズル13の噴射方向18が球体17と交わる位置関係にある。ノズル13には、チャンバー11bの構造体19の内部に形成された供給路20(供給路20は供給機構12の一部でもある)を経由して、供給口21から分散液4を供給できる。チャンバー11bの内部空間におけるノズル13と球体17との間の壁面には、チャンバー11bの内部で形成された固形物5を排出する排出口16が形成されている。
図3に示すチャンバー11bでは、加圧ポンプ14により加圧した分散液4を、加圧ポンプ14とチャンバー11bの供給口21とを接続する配管71、供給口21および供給路20を介してノズル13に供給することにより、分散液4をチャンバー11b内に噴射して、チャンバー11b内に配置された部材である球体17に衝突させることができる。このとき、ノズル13の噴射方向18が球体17の中心から外れるようにノズル13および球体17を配置することにより、分散液4の噴射によって球体17を回転させることができ、分散液4の衝突によるチャンバー11b内部の摩耗を抑制できる。
球体17には、分散液4の衝突によって変形しない材料を用いることが好ましく、例えば、セラミック、金属(高い硬度を有する合金類が好ましい)、ダイヤモンドなどからなる球体17とすればよい。
固形物形成機構のまた別の一例を、図4に示す。図4(a)に示す固形物形成機構2aは、図2に示す固形物形成機構2aと同様に、チャンバー11cと、チャンバー11c内で分散液4に上記力が加わるように、分散液4をチャンバー11cに供給する供給機構12とを備える。供給機構12は、分散液4をチャンバー11の内部に噴射する一対のノズル13a、13bを備えている。また、チャンバー11cの内部構造を示す図4(b)にも併せて示すように、供給機構12は、分散液4をチャンバー11cの内部に噴射する一対のノズル13a、13bを、チャンバー11cの内部に備えている。ノズル13a、13bは、供給機構12の一部でもあるし、チャンバー11cの一部でもある。
図4に示すチャンバー11cでは、その内部空間の形状は、底面付近の周縁部が切り取られた略円錐状であり、当該周縁部に、分散液4を噴射する一対のノズル13a、13bが、各々の噴射口がチャンバー11cの内部に面するように配置されている。ノズル13a、13bは、各々のノズルにおける分散液4の噴射方向18a、18bが互いに交差するように配置されている。ノズル13a、13bには、チャンバー11cの構造体19の内部に形成された供給路20a、20b(供給路20a、20bは供給機構12の一部でもある)を経由して、供給口21から分散液4を供給できる。略円錐状である内部空間の頂点付近には、チャンバー11c内で形成された固形物5を排出する排出口16が形成されている。
図4に示すチャンバー11cでは、加圧ポンプ14により加圧した分散液4を、配管71、供給口21および供給路20a、20bを介して、当該供給路の末端に配置されたノズル13a、13bに供給することにより、分散液4をチャンバー11c内に噴射して互いに衝突させることができる。また、チャンバー11cの構造あるいは形状、ノズル13a、13bからの分散液4の噴射条件などによっては、PTFE粒子を互いに衝突させることができる他、分散液4と、チャンバー11c内で形成された固形物5とを衝突させて、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることも可能である。
チャンバー11cは、上記2つのノズル13a、13b以外にも、分散液4をチャンバー11cの内部に噴射するノズルを備えていてもよく(即ち、チャンバー11cは2以上のノズルを備えることになる)、この場合、少なくとも1組のノズルが、当該ノズルにおける分散液4の噴射方向が互いに交差するように配置されていればよい。
固形物形成機構のまた別の一例を、図5に示す。図5(a)に示す固形物形成機構2aは、図4に示すチャンバー11cの代わりに、ノズル13a、13bに分散液4を供給する供給路の構成が異なるチャンバー11d(内部構造は図5(b)を参照)を備える以外は、図4に示す固形物形成機構2aと同様の構成を有する。
図5(a)、(b)に示すチャンバー11dでは、分散液4の供給口21a、21bと、分散液4の分散媒(例えば、水)の供給口22とが設けられており、各々の供給口から供給した分散液4および分散媒を、構造体19の内部に形成された互いに異なる供給路を経由させた後、その経路に配置された混合弁23において、所定のあるいは任意の混合比で混合できる。混合弁23で混合した分散液4および分散媒は、そのまま供給路の末端に配置された一対のノズル13a、13bに供給できる。このため、チャンバー11d内における固形物5の形成具合に応じて、ノズル13a、13bから噴射する分散液4中のPTFE粒子の含有率を制御したり、分散媒にフィラーを混ぜ込んで、フィラーを含む固形物5を形成することが可能となる。図5に示すチャンバー11dでは、分散媒は供給口22および供給路24a、24bを介して、分散液4は供給口21、および、供給路20a、20bを介して、混合弁23に供給できる。
図2〜図5に示す各チャンバー11は、密閉可能な構造であることが好ましく、チャンバー11を必要に応じて密閉することにより、より効率的に分散液に力を加えることができる。チャンバー11には、必要に応じて、チャンバー内の圧力を調整するための圧力調整口が設けられていてもよく、圧力調整口には、例えば、圧力調整弁が配置されていればよい。
固形物形成機構2のさらにまた別の一例を図6に示す。図6(a)に示す固形物形成機構2bは、内部を分散液4が通過するチャンバー31を備えており、図6(b)に示すように、チャンバー31における分散液4の経路(図6(b)では実線の矢印で表現)には、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を分散液4に加える狭窄部であるスリット32が設けられている。
より具体的には、チャンバー31は、円筒状の外周体33の内部に、一対の中子34a、34bが収容された構造を有する。中子34a、34bは、各々、円柱体の一方の端面に円錐台が接合された形状を有しており、各々の中子における円錐台の上面35a、35bが、一定の間隔dを置いて互いに対向するように配置されている。外周体33および中子34a、34bの中心軸は、ほぼ同一である。外周体33の一端には、分散液4を供給する供給口38が形成されており、供給口38に近い中子34aの外径は、外周体33の内径よりも小さく、供給口38から遠い中子34bの外径は、外周体33の内径と同一である。中子34bには、その上面35bにおける中央部から、中子34bの内部を通り、チャンバー31の外部へ通じる排出路36が形成されている。中子34bは、支持部材(図示せず)を介して、外周体31により支持されている。
チャンバー31では、中子34a、34bの位置を調整し、間隔dの値を適切に制御することにより、上面35a、35b間の空隙を狭窄部であるスリット32とすることができ、加圧した分散液4を供給口38からチャンバー31に供給することにより、チャンバー31内に配置された狭窄部(スリット32)を通過させて、分散液4に上記力を加えることができる。分散液4は、スリット32を通過した後に排出路36に流入し、チャンバー31の排出口37から、固形物5として排出される。
供給する分散液4の圧力(供給圧)は、チャンバー31の形状や内容積、間隔dの大きさ、供給する分散液4の量などにより自由に設定すればよいが、供給圧が過小である場合、固形物を得ることが困難となることがある。
チャンバー31における狭窄部の形状は、図6に示すスリットに限定されず、例えば、オリフィスなどであってもよい。
図6に示す例では、固形物形成機構2bは、チャンバー31に分散液4を供給する供給機構(第3の供給機構)72として、加圧ポンプ14と、加圧ポンプ14とチャンバー31の供給口38とを接続する配管73とを備えるが、これらの部材は、必要に応じて備えていればよい。
固形物形成機構2a(2b)は、チャンバー11(31)から固形物5を排出する第1の管体をさらに備えていてもよい。より具体的には、例えば、チャンバー11(31)の排出口16(37)に第1の管体が接続されていてもよい。この場合、当該接続された管体から、管体の内壁全体と接触させながら固形物5を排出でき、その際、固形物5にPTFE粒子が互いに接近または接触する力をさらに加えることができるため、より自己形状保持性に優れ、強度などの機械的特性が向上した固形物5を得ることができる。
また、このような固形物は、強度などの機械的特性が向上した成形体とすることができ、例えば、第1の管体の形状、内径、長さなどを選択することにより、乾燥後におけるMD方向(流れ方向:この場合、管体から排出される方向)の引張強度が、1MPa以上、場合によっては、2MPa以上、あるいは、2.5MPa以上の成形体を得ることができる。固形物および成形体の強度が向上する原因としては、第1の管体の通過により、固形物および成形体の表面に、PTFE粒子同士がより強固に結着したスキン層が形成されることが考えられる。また、第1の管体と固形物の表面との間に生じた摩擦力により、固形物の内部に剪断力が生じ、PTFE粒子同士のさらなる結着が促進されることも考えられる。なお、管体の内壁全体と接触させながら固形物を排出するためには、排出口16(37)の形状や径、管体の形状や内径、長さなどを選択すればよい。
接続する第1の管体の形状、内径、長さなどは特に限定されず、チャンバー11(31)の形状や内容積、チャンバー11(31)に供給する分散液の量などに応じて、自由に設定できる。基本的に、管体が長いほど、得られる固形物の自己形状保持性や機械的特性が向上する傾向を示すため、管体の最小内径よりも、管体の長さが大きいことが好ましい。一例として、分散液の処理速度が0.1〜0.5L/min程度の場合、チャンバー11(31)に接続する管体の内径は1mm〜10mm程度の範囲、管体の長さは1mm〜5000mm程度の範囲であってもよい。なお、図6に示すチャンバー31では、排出路36の形状によっては、排出路36が上記管体の役割を担うこともできる。
より効率よく固形物に力を加えるためには、第1の管体の最小内径が、排出口16(37)の径以下であることが好ましい。また、排出口16(37)から離れるに従い、内径が次第に変化する(即ち、内面がテーパー状の)管体であってもよく、この場合、内径が、排出口16(37)から離れるに従い次第に小さくなることが好ましい。
チャンバー11(31)および第1の管体から排出された固形物5は、チャンバー11(31)の構成あるいは第1の管体の形状によっては、引き続いて、含まれる水の量を低減させてロッド状あるいは紐状の成形体とすることもでき、この場合、チャンバー11(31)および第1の管体は、固形物5を成形する成形機構の一部であるともいえる。特に管体から排出された固形物は、例えば、そのまま乾燥および/または焼成してロッド状あるいは紐状の成形体とすることができ、この場合、本発明の製造装置における成形機構は、固形物が内部を通過する管体(第3の管体)を備えている、ともいえる。
形状や内容積を含め、チャンバー11(31)の構成は上記例に特に限定されず、例えば、チャンバー11(31)に市販の装置(例えば、スギノマシン社製アルティマイザー)を応用してもよい。アルティマイザーは、本来、顔料、フィラー、触媒などの各種材料の粉砕、微粒化を行う微粒化分散装置であり、PTFE含有固形物およびPTFE成形体を得るための応用は、本発明者が見出したものである。
固形物形成機構のさらにまた別の一例を図7に示す。図7(a)、(b)に示す固形物形成機構2cは、内部を分散液4が通過する管体(第2の管体)41と、管体41に分散液4を供給する供給機構(第2の供給機構)42とを備えている。管体41は、分散液4が通過する際に、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を分散液4に加えるバリアとして、屈曲部43を備える。供給機構42は、分散液4を管体41の内部に噴射するノズル13を備えている。このような固形物形成機構2cでは、分散液4を、ノズル13から管体41内に噴射して、噴射された分散液4が屈曲部43を通過する際に、分散液3の流れが乱されたり、部分的に分散液が滞留したりして、分散液4中に圧力の不均衡が生じ、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を分散液4に加えることができる。
管体41で形成された固形物5は、管体41の末端に位置する排出口46から排出される。
管体41が有するバリアの構成は、分散液4が通過する際に上記力を加えることができる限り特に限定されず、例えば、バリアとして1つあるいは2以上の邪魔板が内部に形成された管体であってもよく、図7〜9に示すように、バリアとして屈曲部43(図7)、分岐部47(図8:図8ではT字部)、あるいは、狭窄部49(図9)を有する管体41であってもよい。なお、図8に示すように、管体41が分岐部47を備える場合、通常、分岐先の一方の端部が排出口46となり、他の端部48からは固形物5は排出されない。これは、固形物5の自己形状保持性によるものと考えられる。
図7に示す例では、第2の供給機構42がノズル13を備え、ノズル13から分散液4を噴射して、分散液4を第2の管体41に供給しているが、この場合、PTFE粒子に上記力を効率よく加えることができる。供給機構42は、管体41のバリアを分散液4が通過する際に、当該分散液4に上記力が加えられる限り、必ずしもノズル13を備えなくてもよい。
図7に示す供給機構42は、ノズル13以外に、分散液4を加圧する加圧ポンプ14、ならびに、加圧ポンプ14とノズル13とを接続する配管44を備えており、加圧した分散液4を配管44を介してノズル13に供給して、当該ノズル13から分散液4を噴射できる。これらの部材は、必要に応じて備えていればよい。
固形物形成機構2cでは、管体41の構造や形状、分散液4の供給条件などによっては、PTFE粒子を互いに衝突させることができる。また、分散液4と、管体41内で形成された固形物とを衝突させて、PTFE粒子が互いに接近または接触する力を加えることも可能である。
管体41の形状、内径、長さ、ならびに、屈曲部、分岐部および狭窄部の形状などは特に限定されない。
管体41から排出された固形物5は、管体41の形状によっては、引き続いて、含まれる水の量を低減させてロッド状あるいは紐状の成形体とすることもでき、この場合、管体41は、本発明の製造装置が備える成形機構の一部であるともいえる。即ち、本発明の製造装置では、成形機構は、固形物が内部を通過する管体(第3の管体)を備えてもよい、ともいえる。
上述したように、固形物形成機構において形成される固形物は変形性を有しており、含まれる水の量がある程度以下になるまでは任意の形状に変形可能である。このため、本発明の製造装置における成形機構の構成は、上記固形物を変形できる限り、特に限定されない。
例えば、成形機構が各種の吐出口を有するダイス(口金)を備えていてもよく、この場合、吐出口の形状を選択することにより、様々な形状を有する成形体(吐出口が円形あるいは楕円形のダイスの場合はロッド状あるいは紐状の成形体、吐出口がスリットのダイスの場合はシート状の成形体(PTFEシート)、またあるいは、吐出口の形状、口径によっては繊維状の成形体(PTFE繊維))を形成できる。
また例えば、成形機構が、固形物を圧延する圧延機構、および、固形物を延伸する延伸機構から選ばれる少なくとも1つを備えていてもよい。
圧延機構としては、一対のローラーにより固形物を狭持し、当該ローラーにより固形物の厚さ方向に力を印加する機構が典型的であり、当該ローラーの間隔を制御することにより、様々な厚さを有するPTFEシートを形成できる。
延伸機構としては、従来PTFE多孔質膜を製造する際に一般的に用いられる延伸機構、より具体的には、2以上のローラーにより固形物の流れ方向に力を印加する機構、が典型的であり、延伸の程度の制御、および、本発明の製造装置における延伸機構の配置により、様々な構造(例えば空孔率、平均孔径など)を有するPTFE多孔質膜を形成できる。
また、延伸機構が、繊維状の成形体(PTFE繊維)に対して、その長さ方向に力を印加する機構であってもよく、延伸の程度の制御により、様々な構造(例えば繊維径など)および特性(例えば引張強度など)を有するPTFE繊維とすることができる。
本発明の製造装置は、固形物に含まれる水を低減させる脱水機構をさらに備えていてもよい。脱水機構は、通常、成形機構を経た固形物に含まれる水を低減させるために、成形機構の後ろに配置される。脱水機構を経ることにより、固形物はPTFE成形体となるが、固形物を風乾させることによっても成形体の形成が可能であるため、本発明の製造装置は、脱水機構を必ずしも備えなくてもよい。
脱水機構の構成は特に限定されず、例えば、電気炉などからなる乾燥炉を備えた脱水機構であればよい。この場合、乾燥炉の温度は50℃〜200℃程度とすればよく、固形物のサイズ、形状にもよるが、当該乾燥炉において1分〜60分程度保持することにより、固形物に含まれる水を低減できる。
本発明の製造装置は、固形物をPTFEの融点(327℃)以上の温度に加熱して焼成する焼成機構をさらに備えていてもよく、この場合、焼成されたPTFE成形体を得ることができる。
焼成機構の構成は特に限定されず、例えば、電気炉などからなる焼成炉を備えた焼成機構であればよい。この場合、焼成炉の温度は327℃〜400℃程度(好ましくは360℃〜380℃)とすればよく、固形物のサイズ、形状にもよるが、当該焼成炉において1分〜60分程度保持すればよい。
本発明の製造装置では、得られる成形体の形状の自由度を高くでき、例えば、得られる成形体の最小厚さを、20μm以上、製造条件によっては、20μmを超え、1mm以上、あるいは、2cm以上とすることが可能である。逆に、得られる成形体の最大厚さを、5cm以下とすることもできる。なお、成形体の厚さとは、例えば、成形体が紐状である場合には、その径を、成形体がシート状である場合には、その厚さを示す。
本発明の製造装置では、分散液に連続的に上記力を加えることにより、連続的に固形物を形成し、続いて、連続的に成形体を形成できる。即ち、バッチ生産法ではなく、PTFE成形体の連続生産を行うことができる。そのためには、例えば、図10、11に示す構成を有する製造装置とすればよい。
図10に示す製造装置1aは、固形物形成機構2と、一対のロール57を有する圧延機構52と延伸機構53とを備える成形機構3と、乾燥炉54を備える脱水機構55とを備えている。製造装置1aでは、固形物形成機構2が備えるダイス56から排出されたシート状の固形物5を、ロール57により圧延した後に、延伸機構53により延伸し、続いて、乾燥炉54により乾燥させた後、PTFEシート58として巻き取ることができ、かつ、一連の工程を連続的に行うことができる。
図11に示す製造装置1bは、図10に示す製造装置1aにおける延伸機構53と脱水機構55との配置を入れ代えた構造を有する。製造装置1bでは、固形物形成機構2が備えるダイス56から排出されたシート状の固形物5を、一対のロール57により圧延した後に、乾燥炉54により乾燥させてPTFEシート58とし、さらに延伸機構59により延伸して、PTFE多孔質膜60として巻き取ることができ、かつ、一連の工程を連続的に行うことができる。図11に示すように、本発明の製造装置では、成形体をさらに延伸させる延伸機構59を備えていてもよく、延伸機構59の構成は、固形物5を延伸する延伸機構53と同様であればよい。
分散液4におけるPTFE粒子の含有率は特に限定されないが、自己形状保持性と変形性とのバランスに優れる固形物5を得るためには、例えば、その下限が40質量%以上であればよく、40質量%を超えることが好ましく、45質量%を超えることがより好ましく、50質量%以上、55質量%以上の順にさらに好ましい。また、分散液におけるPTFE粒子の含有率の上限は、分散液の安定性および上記と同様の理由から、例えば、70質量%以下であればよく、65質量%以下がより好ましい。
分散液に力を加える方法、条件などにもよるが、基本的に、分散液におけるPTFE粒子の含有率が大きくなるに従い、得られる固形物5の自己形状保持性が向上し、PTFE粒子の含有率が小さくなるに従い、得られる固形物5の変形性が向上する傾向を示す。
PTFE粒子の平均粒径は、通常、0.1μm〜40μmの範囲であり、0.2μm〜1μmの範囲が好ましい。
分散液における界面活性剤の含有率は特に限定されないが、自己形状保持性と変形性とのバランスに優れる固形物を得るためには、0.01質量%〜15質量%の範囲が好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲、1質量%〜9質量%の範囲、1.5質量%〜9質量%の範囲、および、2質量%〜7質量%の範囲の順に、より好ましい。界面活性剤の含有率が過小になると、水と界面活性剤とを内包する上記固形物を得ることが困難である。
界面活性剤の種類は特に限定されず、例えば、炭化水素系骨格を有するカルボン酸塩などのアニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などのノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などを用いればよい。100℃からPTFEの融点程度の温度範囲において分解する界面活性剤を用いることが好ましく、この場合、得られた固形物を焼成する際に界面活性剤が分解され、焼成により形成されたPTFE成形体中に残留する界面活性剤の量を低減できる。
分散液として、市販されているPTFEディスパージョンを用いてもよい。市販のPTFEディスパージョンとしては、例えば、旭硝子社製(元:旭硝子フロロポリマーズ社製)AD938、AD911、AD912、AD1、AD639、AD936などのADシリーズ、ダイキン工業社製D1、D2、D3などのDシリーズを用いればよい。これら市販のPTFEディスパージョンは、通常、界面活性剤を含んでいる。
分散液は、PTFE粒子、水および界面活性剤以外の物質を含んでいてもよい。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1では、分散液に、市販のPTFEディスパージョンである旭硝子社製AD938(PTFE粒子の含有率60質量%、界面活性剤の含有率3質量%、PTFE粒子の平均粒径0.3μm)を用い、図4に示すチャンバー11cを用いてシート状の固形物5を形成し、形成した固形物5を乾燥および焼成してPTFEシートを作製した。
チャンバー11cの内部空間の容積(チャンバー11cの内容積)は200cm3とし、チャンバー内に、円形の噴射口(0.25mmφ)を有する一対のノズル13a、13bを配置した。ノズルの先端における噴射口が形成された部分には、ダイヤモンドを用い、各々のノズルの噴射方向18a、18bが交わるようにノズル13a、13bを配置した。排出口16(円形、径10mm)には、断面の形状が円形である内径10mm、長さ1000mmの管体(第1の管体)を接続した。
このようなチャンバーに上記分散液を供給し、噴射圧を200MPaとして、ノズル13a、13bから分散液を噴射させた。分散液の供給量は約3L/分、分散液の温度は25℃とした。
噴射から数秒後、管体の先端から、紐状(円柱状)のPTFE含有固形物が排出され、排出された固形物は、水と界面活性剤とを内包し、支持体による支持なしに自らの形状を保持可能であった。
続いて、管体における排出口16に接続されている端面とは反対側の端面に、固形物をシート状に成形するためのダイスとしてTダイ(ダイ幅320μm)を接続し、上記と同様に、ノズル13a、13bから分散液を噴射させた。チャンバー11cへの分散液の供給は連続して行い、Tダイの吐出口の下には、ダイから吐出される固形物を連続的に受ける支持体としてアルミ箔を配置し、当該アルミ箔を2m/分の速度で移動させた。
噴射から数秒後、ダイから、シート状に成形された固形物(幅5cm、厚さ500μm)がアルミ箔上に連続して排出され、排出された固形物は、水と界面活性剤とを内包し、支持体であるアルミ箔なしに自らの形状を保持可能であった。続いて、得られた固形物を、90℃で15分乾燥させた後、370℃で10分焼成させたところ、クラックなどの発生の無い、均一な厚さを有するPTFEシート(厚さ350μm)が得られた。
同様のテストを、ノズルの噴射口の径を0.05mmφ〜0.5mmφの範囲、噴射圧を100MPa〜300MPaの範囲、分散液の供給量を0.3L/分〜30L/分の範囲で、それぞれ変化させて行ったところ、同様のPTFEシートを作製できた。
(実施例2)
実施例2では、分散液に旭硝子社製AD938を用い、図6に示すチャンバー31を用いて紐状の固形物を形成し、形成した固形物を乾燥および焼成して、紐状のPTFE成形体を作製した。
チャンバー31の内容積は200cm3とし、中子34a、34bの位置を調整することにより、スリット32の間隔dを0.1mmとした。排出口37(円形、径10mm)には、断面の形状が円形である内径1.6mm、長さ200mmの管体(第1の管体)を接続した。
このようなチャンバー31に、245MPaに加圧した上記分散液を供給した。分散液の供給量は約0.5L/分、分散液の温度は25℃とした。
分散液の供給から数秒後、管体の先端から、紐状(円柱状)のPTFE含有固形物が排出され、排出された固形物は、水と界面活性剤とを内包し、支持体による支持なしに自らの形状を保持可能であった。続いて、得られた固形物を、90℃で30分乾燥させた後、370℃で20分焼成させたところ、クラックなどの発生の無い、紐状(円柱状)のPTFE成形体(直径1.7mm)が得られた。
同様のテストを、分散液の供給圧を100MPa〜300MPaの範囲、間隔dを1μm〜1mmの範囲で、それぞれ変化させて行ったところ、同様のPTFE成形体を作製できた。
(実施例3)
実施例3では、分散液に旭硝子社製AD938を用い、図7に示す管体(第2の管体)41を用いて紐状のPTFE成形体を形成した。管体41は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その一方の端部の近傍にL字状の屈曲部43を有する。管体41の内径は10mm、長さは200mmとし、屈曲部43の位置は管体41の一方の端部(排出口46)から30mmとした。
このような管体41と、加圧ポンプ14から分散液を供給する配管44の末端に配置されたノズル13(円形の噴射口(0.15mmφ)を有する)とを、ノズル13が管体41の中心軸上に位置し、管体41の他方の端部(供給口45)とノズル13との距離が5mmとなるように互いに配置した後(図7参照)、噴射圧を160MPaとして、ノズル13から分散液を管体41の内部に噴射させた。ノズル13への分散液の供給量は約0.5L/min、分散液の温度は25℃とした。
噴射から数秒後、管体41の排出口46から、紐状のPTFE含有固形物が排出され、排出された固形物は、水と界面活性剤とを内包し、支持体による支持なしに自らの形状を保持可能であった。
同様の実験を分散液の噴射圧を変化させて行ったところ、当該噴射圧を200MPaおよび245MPaとした場合においても、上記紐状のPTFE含有固形物を得ることができた。
また同様の実験を、分散液におけるPTFE粒子の含有率を変化させて行ったところ、当該含有率を54質量%および48質量%とした場合においても、上記紐状のPTFE含有固形物を得ることができた。
次に、得られた紐状の固形物を、実施例1と同様に乾燥および焼成したところ、紐状のPTFE成形体が得られた。
(実施例4)
実施例4では、分散液に旭硝子社製AD938を用い、図8に示す管体(第2の管体)41を用いて紐状のPTFE成形体を形成した。管体41は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その一方の端部(排出口46)の近傍にT字状の分岐部47を有する。管体41の内径は10mm、長さ(一方の端部から他方の端部(供給口45)までの長さ)は200mmとし、分岐部47の位置は管体41の一方の端部から30mmとした。
このような管体41と、分散液を供給する配管の末端に配置されたノズル13(円形の噴射口(0.15mmφ)を有する)とを、ノズル13が管体41の中心軸上に位置し、管体41の他方の端部とノズル13との距離が5mmとなるように互いに配置した後、噴射圧を245MPaとして、ノズル13から分散液を管体41の内部に噴射させた。ノズル13への分散液の供給量は約0.5L/分、分散液の温度は25℃とした。
噴射から数秒後、管体41の排出口46から、紐状のPTFE含有固形物が排出され、排出された固形物は、水と界面活性剤とを内包し、支持体による支持なしに自らの形状を保持可能であった。このとき、排出口46とともに「T字」の開放端部を構成する端部48からは、紐状のPTFE含有固形物は排出されなかった。上記噴射を複数回行ったところ、それぞれの場合において、排出口46または端部48のいずれか一方の端部のみから紐状のPTFE含有固形物が排出された。
同様の実験を分散液の噴射圧を変化させて行ったところ、当該噴射圧を200MPaとした場合においても、上記紐状のPTFE含有固形物を得ることができた。
また同様の実験を、分散液におけるPTFE粒子の含有率を変化させて行ったところ、当該含有率を54質量%および48質量%とした場合においても、上記紐状のPTFE含有固形物を得ることができた。
次に、得られた紐状の固形物を、実施例1と同様に乾燥および焼成したところ、紐状のPTFE成形体が得られた。
(実施例5)
実施例5では、分散液に旭硝子社製AD938を用い、図9に示す管体(第2の管体)41を用いて紐状のPTFE成形体を形成した。管体41は、分散液の流れを妨げるバリアとして、その長さ方向の中央部に、内径が変化した狭窄部49を有する。管体41の長さは400mmとし、一方の端部(排出口46)から長さ200mmの範囲の内径を2mm、他方の端部(供給口45)から長さ200nmの範囲の内径を10mmとした。即ち、管体41では、狭窄部49において、その内径が10mmから2mmへと変化することになる。
このような管体41と、分散液を供給する配管の末端に配置されたノズル13(円形の噴射口(0.15mmφ)を有する)とを、ノズル13が管体41の中心軸上に位置し、内径が10mmである管体41の供給口45とノズル13との距離が5mmとなるように互いに配置した後、噴射圧を245MPaとして、ノズル13から分散液を管体41の内部に噴射させた。ノズル13への分散液の供給量は約0.5L/分、分散液の温度は25℃とした。
噴射から数秒後、管体41の排出口46から、紐状のPTFE含有固形物が排出され、排出された固形物は、水と界面活性剤とを内包し、支持体による支持なしに自らの形状を保持可能であった。
同様の実験を分散液の噴射圧を変化させて行ったところ、当該噴射圧を200MPaとした場合においても、上記紐状のPTFE含有固形物を得ることができた。
また同様の実験を、分散液におけるPTFE粒子の含有率を変化させて行ったところ、当該含有率を54質量%および48質量%とした場合においても、上記紐状のPTFE含有固形物を得ることができた。
次に、得られた紐状の固形物を、実施例1と同様に乾燥および焼成したところ、紐状のPTFE成形体が得られた。
本発明によれば、従来の製造装置に比べて、PTFE成形体をより生産性よく生産でき、得られる成形体の形状の自由度を高くできるPTFE成形体の製造装置を提供できる。
本発明の製造装置の一例を模式的に示す図である。 本発明の製造装置における固形物形成機構の一例を模式的に示す図である。 (a)は、本発明の製造装置における固形物形成機構の別の一例を模式的に示す図であり、(b)は、(a)に示すチャンバー11bの内部構造を模式的に示す断面図である。 (a)は、本発明の製造装置における固形物形成機構のまた別の一例を模式的に示す図であり、(b)は、(a)に示すチャンバー11cの内部構造を模式的に示す断面図である。 (a)は、本発明の製造装置における固形物形成機構のさらにまた別の一例を模式的に示す図であり、(b)は、(a)に示すチャンバー11dの内部構造を模式的に示す断面図である。 (a)は、本発明の製造装置における固形物形成機構の上記とは別の一例を模式的に示す図であり、(b)は、(a)に示すチャンバー31の内部構造を模式的に示す断面図である。 (a)は、本発明の製造装置における固形物形成機構の上記とは別の一例を模式的に示す図であり、(b)は、(a)に示す管体41の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の製造装置における固形物形成機構に用いることができる管体の一例を示す模式図である。 本発明の製造装置における固形物形成機構に用いることができる管体の別の一例を示す模式図である。 本発明の製造装置の一例を模式的に示す図である。 本発明の製造装置の一例を模式的に示す図である。
符号の説明
1、1a、1b 製造装置
2、2a、2b、2c 固形物形成機構
3 成形機構
4 分散液
5 固形物
6 成形体
11、11a、11b、11c、11d チャンバー
12 (第1の)供給機構
13、13a、13b ノズル
14 加圧ポンプ
15 配管
16 排出口
17 球体
18、18a、18b 噴射方向
19 構造体
20、20a、20b (分散液の)供給路
21 (分散液の)供給口
22 (分散媒の)供給口
23 混合弁
24a、24b (分散媒の)供給路
31 チャンバー
32 スリット
33 外周体
34a、34b 中子
35a、35b 上面
36 排出路
37 排出口
38 供給口
41 (第2の)管体
42 (第2の)供給機構
43 屈曲部
44 配管
45 供給口
46 排出口
47 分岐部
48 端部
49 狭窄部
52 圧延機構
53 延伸機構
54 乾燥炉
55 脱水機構
56 ダイス
57 ロール
58 PTFEシート
59 延伸機構
60 PTFE多孔質膜
71 配管
72 供給機構
73 配管

Claims (20)

  1. ポリテトラフルオロエチレン粒子と、界面活性剤と、分散媒である水とを含むポリテトラフルオロエチレン粒子の分散液に、前記粒子が互いに接近または接触する力を加えて、前記水および前記界面活性剤を内包するポリテトラフルオロエチレン含有固形物を形成する固形物形成機構と、
    前記固形物を成形する成形機構と、を備えるポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  2. 前記固形物形成機構が、チャンバーと、前記チャンバー内で前記力が加わるように、前記分散液を前記チャンバーに供給する第1の供給機構と、を備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  3. 前記第1の供給機構が、前記分散液を前記チャンバーの内部に噴射するノズルを備える請求項2に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  4. 前記ノズルの噴射方向が可変である請求項3に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  5. 2以上の前記ノズルを備え、
    前記ノズルは、前記分散液の噴射方向が互いに交差するように配置されている請求項3に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  6. 前記固形物形成機構が、内部を前記分散液が通過するチャンバーを備え、
    前記チャンバーにおける前記分散液の経路に、前記力を前記分散液に加える狭窄部が設けられている請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  7. 前記狭窄部が、スリットである請求項6に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  8. 前記固形物形成機構が、前記チャンバーから前記固形物を排出する第1の管体をさらに備える請求項2または6に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  9. 前記固形物形成機構が、内部を前記分散液が通過する第2の管体と、前記第2の管体に前記分散液を供給する第2の供給機構とを備え、
    前記第2の管体は、前記分散液が通過する際に、前記力を前記分散液に加えるバリアを内部に備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  10. 前記バリアが、前記第2の管体の屈曲部または狭窄部である請求項9に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  11. 前記第2の供給機構がノズルを備え、
    前記ノズルから前記分散液を噴射して、前記分散液を前記第2の管体に供給する請求項9に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  12. 前記成形機構が、前記固形物が内部を通過する第3の管体を備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  13. 前記成形機構が、ダイスを備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  14. 前記成形機構が、前記固形物を圧延する圧延機構、および、前記固形物を延伸する延伸機構から選ばれる少なくとも1つを備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  15. 前記固形物に含まれる水を低減させる脱水機構をさらに備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  16. 前記脱水機構が、乾燥炉を備える請求項15に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  17. 前記固形物を、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼成する焼成機構をさらに備える請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  18. 前記分散液から前記成形体を連続的に生産する請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  19. 前記成形体が、ポリテトラフルオロエチレンシートである請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
  20. 前記成形体が、ポリテトラフルオロエチレン繊維である請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン成形体の製造装置。
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