JP5120507B2 - 光受信器、偏光分離装置および偏光分離方法 - Google Patents
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Description
本発明は、偏光多重分離光通信システムにおける光受信器、偏光分離装置および偏光分離方法に関する。
近年、インターネットなどのネットワークの普及により、基幹ネットワークのトラフィック量が急増している。これに伴い、100Gbpsといった超高速光通信システムが望まれている。超高速光通信システムを実現する技術としては、光位相変調方式および偏光多重分離技術が注目されている。
光位相変調方式は、従来の光強度変調方式のように送信レーザ光の光強度に対してデータ変調を行うのではなく、送信レーザ光の位相に対してデータ変調を行う方式である。光位相変調方式としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や8PSK(8Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの方式が知られている。これらのデータ変調を採用した光位相変調方式では、1シンボルに対して複数のビットを割り当てることにより、シンボルレート(ボーレート)を低下させることが可能である。このため、光位相変調方式は、電気デバイスの動作速度を低減できる。また、その結果、光位相変調方式では、装置の製造コストの削減が期待できる。例えば、QPSKを用いる場合、4個の光位相(例えば45度、135度、225度、315度)に対して、それぞれ2ビット(例えば00、01、11、10)を割り当てる。このため、QPSKのシンボルレートは、光強度変調方式のシンボルレート(すなわちビットレート)の1/2に低減可能である。
光位相変調された信号光を受信するためには、光コヒーレント方式を用いる。これは、信号光と、信号光とほぼ同一の周波数を有するレーザ光(局部発振光と呼ばれる)とを、90度ハイブリッドと呼ばれる光学素子により結合した上で、その出力を光検出器により受光する方式である。ここで、説明を簡単にするため、信号光と局部発振光との偏光状態は同一の直線偏光であると仮定する。光コヒーレント方式を用いた場合、光検出器から出力される電気信号の交流成分は、信号光および局部発振光のビート信号である。そして、その振幅は、信号光および局部発振光の光強度に比例する。また、その位相は、信号光の搬送波周波数および局部発振光の周波数が同一であれば、信号光および局部発振光の位相の差となる。局部発振光の位相が送信端の光変調器に入力されるレーザ光の位相と同一であれば、ビート信号の位相が、送信端でレーザ光に付与された位相である。このため、シンボルマッピングを用いてビート信号の位相をビット列に変換することにより、送信データを復調することが可能である。
実際には、信号光の搬送波周波数および局部発振光の周波数の値は完全には一致しない。さらに、光受信器における局部発振光の位相と、光送信器において光変調器に入力されるレーザ光との位相も一致しない。したがって、光送信器において光変調器に入力される信号光と局部発振光との位相差である光位相偏差、および信号光の搬送波周波数と局部発振光の周波数との差である光搬送波周波数偏差による影響を補償する必要がある。なお光位相偏差および光搬送波周波数偏差を補償する具体的な方法については本発明の説明に特に必要ではないため説明を省略する。
一方、偏光多重分離技術も、超高速光通信システムを実現する技術の1つとして注目されている。偏光多重分離技術では、光送信器は、搬送波が同一の周波数帯に配備され、かつ、偏光状態が互いに直交する2個の独立した光信号を多重して送信する。また、光受信器は、受信信号から前述の2個の独立した光信号を分離する。これにより、偏光多重分離技術は、2倍の伝送速度を実現する。逆に、偏光多重分離技術は、光信号のシンボルレート(ボーレート)を1/2にすることができるため、電気デバイスの動作速度を低減して装置コストを削減可能であるとも言い換えることができる。
上述した光位相変調方式および偏光多重分離技術の両方を組み合わせることにより、100Gbpsというような超高速光通信システムを実現することができる。光搬送波周波数偏差および光位相偏差を補償する処理、および、2個の独立した光信号に分離する処理(偏光分離処理)は、LSI(Large Scale Integration)などにより実装されるディジタル信号処理回路によって実現可能である。このようなディジタル信号処理回路を用いて送信データを高精度に復調する技術は、光ディジタルコヒーレント通信方式と呼ばれる。
以降では、光ディジタルコヒーレント通信方式を用いた超高速光通信システムにおける受信処理について図面を参照して説明する。
図4は、光ディジタルコヒーレント通信方式を用いた光通信システムにおける関連技術の光受信器90の構成を示すブロック図である。光受信器90は、光伝送路から受信した光信号を、受信光信号の搬送波周波数とほぼ同一の周波数を有する局部発振光とともに、90度ハイブリッド91に入力する。90度ハイブリッド91は、直交する2つの偏光軸それぞれに対して平行な偏光状態を有する光信号の実部成分および虚部成分の合計4個の光信号を出力する。これら4個の光信号は、光ディテクタ92a〜92dによりアナログ電気信号に変換された後、アナログディジタルコンバータ(以降ADCと記載する)93a〜93dによりディジタル電気信号に変換される。これらのディジタル電気信号は、不図示のリサンプリング部により受信光信号のシンボルレート(ボーレート)で標本化されたディジタル電気信号に変換された後、偏光分離装置94に入力される。偏光分離装置94は、入力された4個のディジタル電気信号を元に、偏光多重された2つの独立した光信号に対応する電気信号を抽出する。抽出された各電気信号は、光搬送波周波数偏差・光位相偏差補償部95a〜95bにより、受信光信号と局部発振光との間の光搬送波周波数偏差と光位相偏差による光位相回転がそれぞれ補償される。その後、各電気信号は、シンボル識別部96a〜96bによりそれぞれ元の送信ビット列に復調される。
以上に説明したように、この関連技術の光受信器90は、次のように動作する。即ち、光位相変調方式および偏光多重分離技術を組み合わせた上で、偏光分離された2個の独立した光信号に対応する電気信号のそれぞれに対して、光搬送波周波数偏差および光位相偏差による影響を補償する。これにより、関連技術の光受信器90は、100Gbpsというような超高速光通信システムを実現することを可能としている。
次に、関連技術の光受信器90が備える偏光分離装置94について説明する。
図5は、偏光分離装置94の構成を示すブロック図である。偏光分離装置94は、図5に示すように、フィルタ部901a〜901d、フィルタ係数更新部902a〜902bを含む。なお、図5において、入力信号1は、図4における90度ハイブリッド91において直交する2つの偏光軸の一方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号である。すなわち、この入力信号1は、図4のADC93aから出力されるディジタル電気信号を実部成分とし、ADC93bから出力されるディジタル電気信号を虚部成分とする複素数により表される。
同様に、図5の入力信号2は、図4における90度ハイブリッド91において直交する2つの偏光軸の他方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号である。すなわち、この入力信号2は、図4のADC93cから出力されるディジタル電気信号を実部成分とし、ADC93dから出力されるディジタル電気信号を虚部成分とする複素数により表される。
図5の出力信号1および出力信号2は、それぞれ光送信器において偏光多重された2個の独立した光信号に対応する電気信号として再生される信号である。
図5のフィルタ部901a〜901dは、入力信号1および入力信号2を、各フィルタ部に独立に設定されたフィルタ係数を用いてそれぞれフィルタリング処理を実施する。その後、フィルタ部901aおよびフィルタ部901cの和が、出力信号1として出力される。また、フィルタ部901bおよびフィルタ部901dの和が、出力信号2として出力される。なおフィルタ部901a〜901dとしては、一般的なFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いることができる。
フィルタ係数更新部902aは、所定のアルゴリズムにしたがってフィルタ部901aおよび901cのフィルタ係数を更新する。同様にフィルタ係数更新部902bはフィルタ部901bおよび901dのフィルタ係数を更新する。フィルタ係数更新部902a〜902bが各フィルタ係数を更新するためのアルゴリズムとしては、CMA(Constant Modulus Algorithm)が広く用いられている。CMAは、抽出された電気信号の包絡線が一定、すなわち強度が一定となるように、フィルタ部901a〜901dの各フィルタ係数を適応的に制御することにより偏光分離を行うアルゴリズムである。その他、各フィルタ部のフィルタ係数を更新するアルゴリズムとしては、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムも一般的である(非特許文献1参照)が、ここでは、CMAを用いる例について説明する。
次式(1)に、CMAで定義される誤差関数の一例を示す。
式(1)において、Jx(W,WH)は、出力信号1の誤差関数であり、Jy(W,WH)は出力信号2の誤差関数である。ここで、Wは、大きさが2×2のJones行列と呼ばれる光伝送路の逆特性を表す行列である。行列Wの11成分(wxx),12成分(wxy),21成分(wyx),22成分(wyy)は、それぞれフィルタ部901a〜901dの各フィルタ係数となる。行列WHは行列Wのエルミート共役である。
なお、ここでは、説明を簡単にするためフィルタ部のタップ数を1としたが、タップ数を2以上としても良い。また、rxおよびryは、それぞれ出力信号1および出力信号2の振幅の目標値である。また、Ex’およびEy’は、それぞれ出力信号1および出力信号2の振幅である。また、E[x]は、xの期待値を表す。
フィルタ係数更新部902aは、Jxが最小となるようにフィルタ部901aおよび901cの各フィルタ係数を逐次更新する。また、フィルタ係数更新部902bは、Jyが最小となるように、フィルタ部901bおよび901dの各フィルタ係数を逐次更新する。
次式(2)に、式(1)のCMAの誤差関数に基づいてフィルタ係数更新部902aおよび902bがフィルタ係数を更新するための更新式を示す。
ここで、μはフィルタ係数の更新量を調整することによりフィードバック制御を安定化させるパラメータである。フィルタ係数の更新量の算出には、期待値を瞬時値で代用するのが一般的である。
式(1)は偏波多重QPSK信号の偏光分離に一般的に用いられる誤差関数であり、Exが半径rxの円上にあるときJxは0となり、同様にEyが半径ryの円上にあるときJyは0となる。誤差関数Jx及びJyが0の条件は偏波分離が成功するための必要十分条件であるため、CMAは誤差関数Jx及びJyが0となるようにフィルタ係数を更新することにより、偏光分離が可能となる。
なお、式(1)に示す以外にも、ExまたはEyがQPSKの4個のシンボルのいずれかにあるときに0となるような誤差関数も提案されており、decision−directed方式と呼ばれる。本方式は、QPSKについては式(1)と本質的には同一であるため、実装が容易な式(1)が使用されるのが一般的であるものの、式(1)が適用できない16QAMなどの多値数の大きい位相変調方式にも適用可能であるという長所がある。
以上に述べたように、偏光分離装置94のフィルタ部901a〜901d、CMAを用いたフィルタ係数更新部902aおよび902bの動作により、受信光信号から2個の独立した光信号に対応する電気信号を分離・抽出することが可能となる。このような、偏光分離装置におけるフィルタ係数更新処理については、特許文献1にも記載されている。また、再生される各出力信号に基づいて偏光分離処理を行う他の装置が、非特許文献2にも記載されている。
光位相変調方式は、従来の光強度変調方式のように送信レーザ光の光強度に対してデータ変調を行うのではなく、送信レーザ光の位相に対してデータ変調を行う方式である。光位相変調方式としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や8PSK(8Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの方式が知られている。これらのデータ変調を採用した光位相変調方式では、1シンボルに対して複数のビットを割り当てることにより、シンボルレート(ボーレート)を低下させることが可能である。このため、光位相変調方式は、電気デバイスの動作速度を低減できる。また、その結果、光位相変調方式では、装置の製造コストの削減が期待できる。例えば、QPSKを用いる場合、4個の光位相(例えば45度、135度、225度、315度)に対して、それぞれ2ビット(例えば00、01、11、10)を割り当てる。このため、QPSKのシンボルレートは、光強度変調方式のシンボルレート(すなわちビットレート)の1/2に低減可能である。
光位相変調された信号光を受信するためには、光コヒーレント方式を用いる。これは、信号光と、信号光とほぼ同一の周波数を有するレーザ光(局部発振光と呼ばれる)とを、90度ハイブリッドと呼ばれる光学素子により結合した上で、その出力を光検出器により受光する方式である。ここで、説明を簡単にするため、信号光と局部発振光との偏光状態は同一の直線偏光であると仮定する。光コヒーレント方式を用いた場合、光検出器から出力される電気信号の交流成分は、信号光および局部発振光のビート信号である。そして、その振幅は、信号光および局部発振光の光強度に比例する。また、その位相は、信号光の搬送波周波数および局部発振光の周波数が同一であれば、信号光および局部発振光の位相の差となる。局部発振光の位相が送信端の光変調器に入力されるレーザ光の位相と同一であれば、ビート信号の位相が、送信端でレーザ光に付与された位相である。このため、シンボルマッピングを用いてビート信号の位相をビット列に変換することにより、送信データを復調することが可能である。
実際には、信号光の搬送波周波数および局部発振光の周波数の値は完全には一致しない。さらに、光受信器における局部発振光の位相と、光送信器において光変調器に入力されるレーザ光との位相も一致しない。したがって、光送信器において光変調器に入力される信号光と局部発振光との位相差である光位相偏差、および信号光の搬送波周波数と局部発振光の周波数との差である光搬送波周波数偏差による影響を補償する必要がある。なお光位相偏差および光搬送波周波数偏差を補償する具体的な方法については本発明の説明に特に必要ではないため説明を省略する。
一方、偏光多重分離技術も、超高速光通信システムを実現する技術の1つとして注目されている。偏光多重分離技術では、光送信器は、搬送波が同一の周波数帯に配備され、かつ、偏光状態が互いに直交する2個の独立した光信号を多重して送信する。また、光受信器は、受信信号から前述の2個の独立した光信号を分離する。これにより、偏光多重分離技術は、2倍の伝送速度を実現する。逆に、偏光多重分離技術は、光信号のシンボルレート(ボーレート)を1/2にすることができるため、電気デバイスの動作速度を低減して装置コストを削減可能であるとも言い換えることができる。
上述した光位相変調方式および偏光多重分離技術の両方を組み合わせることにより、100Gbpsというような超高速光通信システムを実現することができる。光搬送波周波数偏差および光位相偏差を補償する処理、および、2個の独立した光信号に分離する処理(偏光分離処理)は、LSI(Large Scale Integration)などにより実装されるディジタル信号処理回路によって実現可能である。このようなディジタル信号処理回路を用いて送信データを高精度に復調する技術は、光ディジタルコヒーレント通信方式と呼ばれる。
以降では、光ディジタルコヒーレント通信方式を用いた超高速光通信システムにおける受信処理について図面を参照して説明する。
図4は、光ディジタルコヒーレント通信方式を用いた光通信システムにおける関連技術の光受信器90の構成を示すブロック図である。光受信器90は、光伝送路から受信した光信号を、受信光信号の搬送波周波数とほぼ同一の周波数を有する局部発振光とともに、90度ハイブリッド91に入力する。90度ハイブリッド91は、直交する2つの偏光軸それぞれに対して平行な偏光状態を有する光信号の実部成分および虚部成分の合計4個の光信号を出力する。これら4個の光信号は、光ディテクタ92a〜92dによりアナログ電気信号に変換された後、アナログディジタルコンバータ(以降ADCと記載する)93a〜93dによりディジタル電気信号に変換される。これらのディジタル電気信号は、不図示のリサンプリング部により受信光信号のシンボルレート(ボーレート)で標本化されたディジタル電気信号に変換された後、偏光分離装置94に入力される。偏光分離装置94は、入力された4個のディジタル電気信号を元に、偏光多重された2つの独立した光信号に対応する電気信号を抽出する。抽出された各電気信号は、光搬送波周波数偏差・光位相偏差補償部95a〜95bにより、受信光信号と局部発振光との間の光搬送波周波数偏差と光位相偏差による光位相回転がそれぞれ補償される。その後、各電気信号は、シンボル識別部96a〜96bによりそれぞれ元の送信ビット列に復調される。
以上に説明したように、この関連技術の光受信器90は、次のように動作する。即ち、光位相変調方式および偏光多重分離技術を組み合わせた上で、偏光分離された2個の独立した光信号に対応する電気信号のそれぞれに対して、光搬送波周波数偏差および光位相偏差による影響を補償する。これにより、関連技術の光受信器90は、100Gbpsというような超高速光通信システムを実現することを可能としている。
次に、関連技術の光受信器90が備える偏光分離装置94について説明する。
図5は、偏光分離装置94の構成を示すブロック図である。偏光分離装置94は、図5に示すように、フィルタ部901a〜901d、フィルタ係数更新部902a〜902bを含む。なお、図5において、入力信号1は、図4における90度ハイブリッド91において直交する2つの偏光軸の一方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号である。すなわち、この入力信号1は、図4のADC93aから出力されるディジタル電気信号を実部成分とし、ADC93bから出力されるディジタル電気信号を虚部成分とする複素数により表される。
同様に、図5の入力信号2は、図4における90度ハイブリッド91において直交する2つの偏光軸の他方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号である。すなわち、この入力信号2は、図4のADC93cから出力されるディジタル電気信号を実部成分とし、ADC93dから出力されるディジタル電気信号を虚部成分とする複素数により表される。
図5の出力信号1および出力信号2は、それぞれ光送信器において偏光多重された2個の独立した光信号に対応する電気信号として再生される信号である。
図5のフィルタ部901a〜901dは、入力信号1および入力信号2を、各フィルタ部に独立に設定されたフィルタ係数を用いてそれぞれフィルタリング処理を実施する。その後、フィルタ部901aおよびフィルタ部901cの和が、出力信号1として出力される。また、フィルタ部901bおよびフィルタ部901dの和が、出力信号2として出力される。なおフィルタ部901a〜901dとしては、一般的なFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いることができる。
フィルタ係数更新部902aは、所定のアルゴリズムにしたがってフィルタ部901aおよび901cのフィルタ係数を更新する。同様にフィルタ係数更新部902bはフィルタ部901bおよび901dのフィルタ係数を更新する。フィルタ係数更新部902a〜902bが各フィルタ係数を更新するためのアルゴリズムとしては、CMA(Constant Modulus Algorithm)が広く用いられている。CMAは、抽出された電気信号の包絡線が一定、すなわち強度が一定となるように、フィルタ部901a〜901dの各フィルタ係数を適応的に制御することにより偏光分離を行うアルゴリズムである。その他、各フィルタ部のフィルタ係数を更新するアルゴリズムとしては、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムも一般的である(非特許文献1参照)が、ここでは、CMAを用いる例について説明する。
次式(1)に、CMAで定義される誤差関数の一例を示す。
式(1)において、Jx(W,WH)は、出力信号1の誤差関数であり、Jy(W,WH)は出力信号2の誤差関数である。ここで、Wは、大きさが2×2のJones行列と呼ばれる光伝送路の逆特性を表す行列である。行列Wの11成分(wxx),12成分(wxy),21成分(wyx),22成分(wyy)は、それぞれフィルタ部901a〜901dの各フィルタ係数となる。行列WHは行列Wのエルミート共役である。
なお、ここでは、説明を簡単にするためフィルタ部のタップ数を1としたが、タップ数を2以上としても良い。また、rxおよびryは、それぞれ出力信号1および出力信号2の振幅の目標値である。また、Ex’およびEy’は、それぞれ出力信号1および出力信号2の振幅である。また、E[x]は、xの期待値を表す。
フィルタ係数更新部902aは、Jxが最小となるようにフィルタ部901aおよび901cの各フィルタ係数を逐次更新する。また、フィルタ係数更新部902bは、Jyが最小となるように、フィルタ部901bおよび901dの各フィルタ係数を逐次更新する。
次式(2)に、式(1)のCMAの誤差関数に基づいてフィルタ係数更新部902aおよび902bがフィルタ係数を更新するための更新式を示す。
ここで、μはフィルタ係数の更新量を調整することによりフィードバック制御を安定化させるパラメータである。フィルタ係数の更新量の算出には、期待値を瞬時値で代用するのが一般的である。
式(1)は偏波多重QPSK信号の偏光分離に一般的に用いられる誤差関数であり、Exが半径rxの円上にあるときJxは0となり、同様にEyが半径ryの円上にあるときJyは0となる。誤差関数Jx及びJyが0の条件は偏波分離が成功するための必要十分条件であるため、CMAは誤差関数Jx及びJyが0となるようにフィルタ係数を更新することにより、偏光分離が可能となる。
なお、式(1)に示す以外にも、ExまたはEyがQPSKの4個のシンボルのいずれかにあるときに0となるような誤差関数も提案されており、decision−directed方式と呼ばれる。本方式は、QPSKについては式(1)と本質的には同一であるため、実装が容易な式(1)が使用されるのが一般的であるものの、式(1)が適用できない16QAMなどの多値数の大きい位相変調方式にも適用可能であるという長所がある。
以上に述べたように、偏光分離装置94のフィルタ部901a〜901d、CMAを用いたフィルタ係数更新部902aおよび902bの動作により、受信光信号から2個の独立した光信号に対応する電気信号を分離・抽出することが可能となる。このような、偏光分離装置におけるフィルタ係数更新処理については、特許文献1にも記載されている。また、再生される各出力信号に基づいて偏光分離処理を行う他の装置が、非特許文献2にも記載されている。
B.Farhang−Boroujeny,″Adaptive Filters Theory and Applications″,John Wiley & Sons Inc.,1998−11−1,Chap.6.
M.El−Darawy et al,″Performance of Modified Decision−Directed Polarization Control/Demultiplex Algorithm in Coherent QAM Receiver″,OSA/OFC/NFOEC 2010
しかしながら上述した関連技術の偏光分離装置では、光受信器が受信した光信号の偏光状態や、2個の独立した光信号の混合状態によっては、正しいフィルタ係数に収束するまでに多大な時間を要する場合があるという課題があった。
(発明の目的)
本発明の目的は、上述の課題を鑑みてなされたものであって、受信光信号の偏光分離処理で用いるフィルタ係数をより高速に収束させる偏光分離装置およびこれを備えた光受信器を提供することを目的とする。
(発明の目的)
本発明の目的は、上述の課題を鑑みてなされたものであって、受信光信号の偏光分離処理で用いるフィルタ係数をより高速に収束させる偏光分離装置およびこれを備えた光受信器を提供することを目的とする。
本発明の光受信器は、光伝送路を介して受信される光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、を有する偏光分離装置を用いて、前記光信号の偏光分離処理を行う。
また、本発明の偏光分離装置は、光伝送路を介して光信号を受信する光受信器で用いられる偏光分離装置であって、前記光受信器によって前記光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、を備える。
また、本発明の偏光分離方法は、受信光信号の偏光分離方法であって、前記受信光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記受信光信号が受信された光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素を第1のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力し、前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素を第2のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力し、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第1のフィルタ係数を更新することにより収束させる。
また、本発明の偏光分離装置は、光伝送路を介して光信号を受信する光受信器で用いられる偏光分離装置であって、前記光受信器によって前記光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、を備える。
また、本発明の偏光分離方法は、受信光信号の偏光分離方法であって、前記受信光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記受信光信号が受信された光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素を第1のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力し、前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素を第2のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力し、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第1のフィルタ係数を更新することにより収束させる。
本発明は、受信光信号の偏光分離処理で用いるフィルタ係数をより高速に収束させる偏光分離装置およびこれを備えた光受信器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置1の機能ブロック構成を図1に示す。図1において、偏光分離装置1は、第1のフィルタ部11と、第2のフィルタ部12と、第1のフィルタ係数更新部13と、第2のフィルタ係数更新部14とを備えている。
ここで、偏光分離装置1は、コヒーレント光受信器に備えられている。偏光分離装置1を備えるコヒーレント光受信器は、光伝送路を介して光信号を受信する。この光信号は、光送信器において、偏光状態が直交し、かつ、搬送波光周波数が同一である2個の独立した光信号が偏光多重されて送信されたものであってもよい。また、このコヒーレント光受信器は、受信した光信号から、第1の入力信号および第2の入力信号を検出し、偏光分離装置1に入力する。
例えば、このコヒーレント光受信器は、図4に示した関連技術のコヒーレント受信器90と同様の動作を行うものでも良い。即ち、コヒーレント光受信器が受信した光信号およびその搬送波周波数とほぼ同一の周波数を有する局部発振光を90度ハイブリッドに入力後AD変換することにより、第1の入力信号および第2の入力信号を検出してもよい。この場合、前述のように、第1の入力信号は、直交する2つの偏光軸の一方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号となる。同様に、第2の入力信号は、直交する2つの偏光軸の他方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号となる。
第1のフィルタ部11は、第1の入力信号および第2の入力信号のそれぞれに対して、光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する。例えば、第1のフィルタ部11は、第1の入力信号および第2の入力信号をそれぞれ上述のようにフィルタリング処理した各信号の和を第1の出力信号として出力してもよい。なお、コヒーレント光受信器によって受信された光信号が、光送信器において2個の独立した光信号が偏光多重された信号であった場合、第1のフィルタ部11は次のように動作する。即ち第1のフィルタ部11は2個の独立した光信号のうちの一方に対応する電気信号を第1の出力信号として再生する。
ここで、光伝送路の逆特性を表す特性行列について説明する。光伝送路の特性は、行列で表すことができる。すなわち、この行列は、光伝送路への入力信号と光伝送路からの出力信号とを結びつける行列である。より具体的には、光伝送路への入力信号に「光伝送路の特性を表す行列」をかけると光伝送路からの出力信号となる。さらに、光伝送路の逆特性を表す特性行列は、このような光伝送路の特性を表す行列の逆関数(狭義には、逆行列)を表す。すなわち、光伝送路からの出力信号に、特性行列をかけると光伝送路への入力信号が得られることになる。
第2のフィルタ部12は、第1の入力信号および前記第2の入力信号のそれぞれに対して、以下のように動作する。即ち第2のフィルタ部12は、特性行列の要素のうち、第1のフィルタ部11が用いる要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する。例えば、第2のフィルタ部12は、第1の入力信号および第2の入力信号をそれぞれ上述のようにフィルタリング処理した各信号の和を第2の出力信号として出力してもよい。なお、コヒーレント光受信器によって受信された光信号が、光送信器において2個の独立した光信号が偏光多重された信号であった場合、第2のフィルタ部12は、以下のように動作する。即ち第2のフィルタ部12は、2個の独立した光信号のうちの他の一方に対応する電気信号を第2の出力信号として再生する。
第1のフィルタ係数更新部13は、特性行列において第1のフィルタ部11で用いられる要素と第2のフィルタ部12で用いられる要素との間に存在する関係を用いて、以下のように動作する。即ち第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第1のフィルタ部11のフィルタ係数を適応的に更新する。すなわち、第1のフィルタ係数更新部13は、この更新処理を繰り返すことにより、各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさがほぼ最小となるまで第1のフィルタ部11のフィルタ係数を収束させる。
第2のフィルタ係数更新部14は、特性行列の要素間に存在する前述の関係を用いて以下のように動作する。即ち第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第2のフィルタ部12のフィルタ係数を適応的に更新する。すなわち、第2のフィルタ係数更新部14は、この更新処理を繰り返すことにより、各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさがほぼ最小となるまで第2のフィルタ部12のフィルタ係数を収束させる。
なお、第1のフィルタ係数更新部13および第2のフィルタ係数更新部14は、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生される各出力信号の誤差信号を、例えば次のように算出する。即ち前述のCMAで定義された式(1)、あるいは、非特許文献1または非特許文献2において定義されている関数などを用いて誤差信号を、算出すればよい。
ここで第1のフィルタ係数更新部13および第2のフィルタ係数更新部14が特性行列の要素間の関係を用いない場合は以下の通りである。即ち、第1のフィルタ部11が用いるフィルタ係数は第2のフィルタ部12から出力される第2の出力信号と無関係である。同様に、第2のフィルタ部12が用いるフィルタ係数は、第1のフィルタ部11から出力される第1の出力信号と無関係である。このため、第1のフィルタ係数更新部13が、第1のフィルタ部11で用いるフィルタ係数を更新することにより小さくすることができるのは、第1の出力信号に対する誤差信号のみである。同様に、第2のフィルタ係数更新部14も、第2のフィルタ部12で用いるフィルタ係数を更新することにより小さくすることができるのは、第2の出力信号に対する誤差信号のみである。
そこで、第1のフィルタ係数更新部13および第2のフィルタ係数更新部14は、特性行列の要素間の関係を用いて、各フィルタ係数を更新する。
このような特性行列の要素間に存在する関係を用いれば、以下の関係が導出される。即ち特性行列の所定の要素を適用した第1のフィルタ部11のフィルタ係数と、特性行列の他の所定の要素をフィルタ係数として適用した第2のフィルタ部12のフィルタ係数との関係が導出される。これにより、第1のフィルタ部11が用いるフィルタ係数は、第2のフィルタ部12から出力される第2の出力信号との関連性を有する。同様に、第2のフィルタ部12が用いるフィルタ係数は、第1のフィルタ部11から出力される第1の出力信号との関連性を有することになる。したがって、第1のフィルタ係数更新部13は、第1のフィルタ部11のフィルタ係数を、第1の出力信号および第2の出力信号の各誤差信号の両方をより小さくするように更新することが可能となる。同様に、第2のフィルタ係数更新部14は、第2のフィルタ部12のフィルタ係数を、第1の出力信号および第2の出力信号の各誤差信号の両方をより小さくするように更新することが可能となる。
なお、光伝送路の特性が特定されることにより、特性行列の要素間の関係は導出可能である。例えば、偏光依存性損失(Polarization Dependent Loss;PDL)が存在しない理想的な光伝送路においては、光伝送路のユニタリー性により特性行列の要素間に成立する関係式が導出される。
以上のように構成された偏光分離装置1の動作について説明する。なお、偏光分離装置1は、偏光分離装置1が備えられるコヒーレント光受信器において、受信された光信号から検出される第1および第2の入力信号が入力されると、以下の動作を開始するものとする。
まず、第1のフィルタ部11は、第1の入力信号および第2の入力信号に対して、光伝送路の逆特性を表す特性行列の所定の異なる要素をそれぞれフィルタ係数としてフィルタリング処理を実施する。そして、第1のフィルタ部11は、フィルタリング処理を実施した後の各信号を用いて、例えばその和を第1の出力信号として出力する。
また、第2のフィルタ部12は、第1の入力信号および第2の入力信号に対して、光伝送路の逆特性を表す特性行列の他の所定の異なる要素をそれぞれフィルタ係数としてフィルタリング処理する。そして、第2のフィルタ部12は、フィルタリング処理を実施した後の各信号を用いて、例えばその和を第2の出力信号として出力する。
次に、第1のフィルタ係数更新部13は、特性行列の要素間の関係を用いて、以下のように動作する。即ち、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第1のフィルタ部11のフィルタ係数を更新する。
また、第2のフィルタ係数更新部14は、特性行列の要素間の関係を用いて以下のように動作する。即ち、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第2のフィルタ部12のフィルタ係数を更新する。
以上の動作を繰り返すことにより、偏光分離装置1は、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12のフィルタ係数を適応的に更新し、収束させる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置は、受信光信号の偏光分離処理に用いるフィルタ係数をより高速に収束させることができる。
その理由について説明する。関連技術の偏光分離装置は、第1のフィルタ部から再生される出力信号の誤差関数のみに基づいて第1のフィルタ部のフィルタ係数を更新していた。また、関連技術の偏光分離装置は、第2のフィルタ部から再生される出力信号の誤差関数のみに基づいて第2のフィルタ部のフィルタ係数を更新していた。これに対して、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置では、第1および第2のフィルタ係数更新部が、特性行列の要素間の関係を用いる。このことにより、第1および第2のフィルタ部から再生される各光信号の誤差信号の両方をより小さくするよう各フィルタ係数をそれぞれ適応的に更新している。したがって、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置は、関連技術に比べて、各フィルタ係数が収束するまでに要する時間を短縮することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2の構成を図2に示す。図2において、偏光分離装置2は、フィルタ部21a〜21dと、加算器22a〜22bと、フィルタ係数更新部23a〜23bとを備えている。なお、フィルタ部21a、21cおよび加算器22aは、本発明の第1のフィルタ部の一実施形態を構成する。また、フィルタ部21b、21dおよび加算器22bは、本発明の第2のフィルタ部の一実施形態を構成する。また、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、本発明の第1および第2のフィルタ係数更新部の一実施形態をそれぞれ構成する。
また、偏光分離装置2は、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置1が備えられるコヒーレント光受信器と同様なコヒーレント光受信器に備えられている。なお、本実施の形態では、偏光分離装置2が備えられるコヒーレント光受信器は、光送信器において2個の独立した光信号が偏光多重されて送信された光信号を受信するものとする。偏光分離装置2には、コヒーレント光受信器において受信された光信号から検出された第1および第2の入力信号が入力される。
図2において、フィルタ部21a〜21dは、FIRフィルタによって構成可能である。以下、フィルタ部21a〜21dを構成するFIRフィルタのタップ数が1である場合について説明する。
フィルタ部21aは、第1の入力信号に対して、Jones行列の11成分wxxをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。フィルタ部21cは、第2の入力信号に対して、Jones行列の21成分wyxをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。加算器22aは、フィルタ部21aおよびフィルタ部21cの出力信号の和を第1の出力信号として出力する。これにより、フィルタ部21a、21cおよび加算器22aによって構成される本発明の第1のフィルタ部は、以下のように動作する。即ち、第1の入力信号および第2の入力信号をフィルタリング処理した各信号を用いて、前述の2個の独立した光信号の一方に対応する電気信号を第1の出力信号として出力する。
フィルタ部21bは、第1の入力信号に対して、Jones行列の12成分wxyをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。フィルタ部21dは、第2の入力信号に対して、Jones行列の22成分wyyをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。加算器22bは、フィルタ部21bおよびフィルタ部21dの出力信号の和を第2の出力信号として出力する。これにより、フィルタ部21b、21dおよび加算器22bによって構成される本実施の形態の第2のフィルタ部は、以下のように動作する。即ち第1の入力信号および第2の入力信号をフィルタリング処理した各信号を用いて、前述の2個の独立した光信号の他方に対応する電気信号を第2の出力信号として出力する。
フィルタ係数更新部23aは、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いて、以下のように動作する。即ち、第1の出力信号と第2の出力信号の両方の各誤差信号をより小さくするよう、フィルタ部21aおよび21cのフィルタ係数を更新する。同様に、フィルタ係数更新部23bは、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いて、以下のように動作する。即ち、第1の出力信号と第2の出力信号の両方の各誤差信号をより小さくするよう、フィルタ部21bおよび21dのフィルタ係数を更新する。
具体的には、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、第1の出力信号の誤差信号および第2の出力信号の誤差信号の両方に基づいて算出される誤差関数の値をより小さくするよう、各フィルタ係数を更新する。例えば、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、次式(3)に示すように、第1の出力信号Ex’の誤差信号Jxおよび第2の出力信号Ey’の誤差信号Jyの和J(W,WH)を誤差関数として用いてもよい。
そして、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、式(2)に示した更新式における誤差関数として、式(3)に示した誤差関数を適用する。
ここで、フィルタ係数更新部23aおよび23bが光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いない場合は以下の通りとなる。即ち第1のフィルタ部11に含まれるフィルタ部21aのフィルタ係数wxxおよびフィルタ部21cのフィルタ係数wyxは、第2のフィルタ部12から出力される第2の出力信号と無関係である。同様に、第2のフィルタ部12に含まれるフィルタ部21bのフィルタ係数wxyおよびフィルタ部21dのフィルタ係数wyyは、第1のフィルタ部11から出力される第1の出力信号と無関係である。このため、フィルタ係数更新部23aは、誤差信号JxおよびJyの和をより小さくしようとしても、結局のところ、誤差信号Jxのみを小さくするようフィルタ係数wxxおよびwyxを更新してしまう。同様に、フィルタ係数更新部23bも、誤差信号JxおよびJyの和をより小さくしようとしても、結局のところ、誤差信号Jyのみを小さくするようフィルタ係数wxyおよびwyyを更新してしまう。すなわち、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いない場合は以下の通りとなる。即ち、フィルタ係数更新部23aおよび23bが行う更新処理は、式(2)に式(3)に示した誤差関数を適用しても、式(2)の更新式を用いるのと同等になってしまう。
そこで、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いて、各フィルタ係数を更新することにする。次式(4)は、前述のPDLが存在しない理想的な光伝送路において、ユニタリー性により得られるJones行列Wの要素間に成立する関係式である。
また、次式(5)に、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いたフィルタ係数更新式の一例を示す。
式(5)は、式(2)の更新式に、式(3)に示した誤差関数および式(4)に示した要素間の関係式を適用して得られた更新式である。フィルタ係数更新部23aおよび23bは、式(5)に示す更新式を用いることにより、以下のように動作する。即ち各フィルタ部21a〜21dのフィルタ係数としてのJones行列Wの全ての要素を、第1の出力信号Ex’および第2の出力信号Ey’の各誤差関数JxおよびJyの両方をより小さくするように更新することができる。
以上のように構成された偏光分離装置2の動作について説明する。なお、偏光分離装置2は、偏光分離装置2が備えられるコヒーレント光受信器において、受信された光信号から検出された第1および第2の入力信号が入力されると、以下の動作を開始するものとする。
まず、フィルタ部21aは、第1の入力信号にJones行列の11成分wxxをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。フィルタ部21cは、第2の入力信号にJones行列の21成分wyxをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。そして、加算器22aは、フィルタ部21aおよび21cの出力を加算して第1の出力信号として出力する。
また、フィルタ部21bは、第1の入力信号にJones行列の12成分wxyをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。フィルタ部21dは、第2の入力信号にJones行列の22成分wyyをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。そして、加算器22bは、フィルタ部21bおよび21dの出力を加算して第2の出力信号として出力する。
次に、フィルタ係数更新部23aは、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いる。このことにより、第1および第2の出力信号に対する誤差信号の和をより小さくするようフィルタ部21aおよび21cの各フィルタ係数を更新する。例えば、フィルタ係数更新部23aは、式(5)に示す更新式を用いて該当する各フィルタ係数を更新する。
また、フィルタ係数更新部23bは、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いる。このことにより、第1および第2の出力信号に対する誤差信号の和をより小さくするようフィルタ部21bおよび21dの各フィルタ係数を更新する。例えば、フィルタ係数更新部23bは、式(5)に示す更新式を用いて該当する各フィルタ係数を更新する。
以上の動作を繰り返すことにより、偏光分離装置2は、各フィルタ部21a〜21dのフィルタ係数を適応的に更新し、収束させる。
次に、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2を用いたシミュレーション結果について説明する。図3(a)および(b)は、図5に示した関連技術の偏光分離装置94および本第2の実施形態としての偏光分離装置2をそれぞれ用いた偏光分離処理のシミュレーションの図である。図3(a)および(b)は、誤差関数JxおよびJyの値の時間変化を示したグラフである。なお、図3において、縦軸は、誤差関数そのものの値ではなく、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値を表している。これは、これらの値が、フィルタ係数更新式において必要となるためである。従って、これらの値を2乗することにより誤差関数の値となる。また、横軸は、偏光分離処理を行ったシンボル数を表している。
図3(a)および(b)において、シミュレーション開始直後からしばらくの間、rx 2−|Ex’|2(灰色線)およびry 2−|Ey’|2(黒線)の値(それぞれ誤差関数JxおよびJyに対応)の値は、ともに−0.5から1の間の値を取る。その後、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値は、ほぼゼロの値を取るようになる。この時点で、各フィルタ係数の推定処理、すなわち偏光分離処理が完了したことが分かる。
図3(a)の関連技術のシミュレーション結果においては、Jyの値がゼロとなるまでの時間がJxと比べて大きい。したがって、関連技術の偏光分離装置94は、第2の出力信号を正しく出力するまでに多大な時間を要していることが分かる。
一方、図3(b)の本発明の第2の実施の形態のシミュレーション結果においては、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値(即ちJxおよびJyの値)の時間変化がほぼ一致している。すなわち、本発明の第2の実施の形態では、フィルタ係数更新部23aおよび23bが、フィルタ係数の推定処理をほぼ同一のタイミングで完了していることが分かる。また、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値(即ちJxおよびJyの値)が0になるまでの時間は、図3(b)に比べて早い。このことから、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2は、関連技術の偏光分離装置94に比べて短時間で各フィルタ係数を推定していることが分かる。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、2個の独立した光信号が偏光多重された光信号をより高速かつより精度よく分離することができる。
その理由は、第1および第2のフィルタ係数更新部が、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いるからである。これにより、第1および第2のフィルタ部から再生される各出力信号の誤差信号の両方をより小さくするようフィルタ係数を適応的に更新している。従って、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、フィルタ係数が収束するまでに要する時間を短縮することができる。
また、関連技術の偏光分離処理では、正しいフィルタ係数に収束しない場合があるという課題があった。また、関連技術の偏光分離処理では、2個の独立した光信号ではなく、2個の独立した光信号のうち一方に対応する電気信号のみを出力してしまう場合があるという課題があった。即ち関連技術の偏光分離処理では、2個の独立した光信号を正しく分離することができない場合があるという課題があった。
これに対して、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2は、より精度よく2個の独立した光信号を分離することができる。
その理由について説明する。ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式が成立する場合、第1および第2の出力信号に同一の信号が出力される場合のフィルタ係数の条件はW=0となる。このことは、第1および第2の出力信号が常にゼロとなることを意味する。したがって、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、第1および第2の出力信号として同一の信号が出力される可能性を減少させることができるからである。さらに、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、正しくないフィルタ係数が推定される可能性を削減することができるからである。
なお、本実施の形態の説明において、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、特性行列の要素間の関係として、式(4)に示した光伝送路のユニタリー性により得られる関係を表す2つの式のうち何れか1つのみを用いてもよい。また、フィルタ係数更新部23aおよび23bが用いる特性行列の要素間の関係式は、ユニタリー性により得られる関係に限らない。なお、光伝送路の特性が特定されれば、その逆特性を表す行列の要素間に存在する関係式は導出可能である。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第2の実施の形態では、光伝送路にPDLが存在しないことを仮定した例について説明した。しかしながら、光伝送路中のPDLの存在は好ましくないものの、実際の光通信システムにおいては多少のPDLが存在する可能性がある。本実施の形態では、光伝送路にPDLが存在することを想定した偏光分離装置について説明する。
本発明の第3の実施の形態としての偏光分離装置3は、図2を用いて説明した本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2と同一の構成を含む。ただし、フィルタ係数更新部23aおよび23bが用いるフィルタ係数の更新式が異なる。
本発明の第3の実施形態におけるフィルタ係数更新部23aおよび23bは、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いた上で次のように動作する。即ち、フィルタ係数更新部は第1および第2の出力信号に対する各誤差信号の線形和をより小さくするよう各フィルタ係数を更新する。例えば、本発明の第3の実施の形態におけるフィルタ係数更新部23aおよび23bは、次式(6)に示す更新式を用いて各フィルタ係数を更新する。
ここで、μxおよびμyは、各出力信号の誤差信号の影響力を調整するパラメータである。
以上のように構成される偏光分離装置3の動作は、フィルタ係数更新部23aおよび23bが式(5)の代わりに式(6)を用いる点が異なる以外は、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2の動作と同様である。
次に、本発明の第3の実施の形態の効果について述べる。本発明の第3の実施の形態としての偏光分離装置は、PDLが存在する場合にも、2個の独立した光信号が偏光多重された光信号をより高速かつより精度よく分離することができる。
その理由は以下の通りである。即ち第1および第2のフィルタ係数更新部が、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いながら各フィルタ部から再生される出力信号の誤差信号の線形和をより小さくするようフィルタ係数を更新するからである。ここで、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式は、PDLが小さければある程度成立するといえる。そこで、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いながら、各誤差信号の線形和を誤差関数として用いている。このことにより、各フィルタ係数更新部において、他方の出力信号の誤差信号の影響を小さくすることができるからである。その結果、本発明の第3の実施の形態としての偏光分離装置は、PDLの影響をある程度まで除去することが可能となるからである。
なお、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、第1および第2の各出力信号の誤差関数の線形和に限らず、各誤差信号の自乗、2乗根あるいは誤差関数の指数関数などの非線形和を誤差関数として用いてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第2および第3の実施の形態では、2個の独立した光信号が偏光多重された光信号を受信するコヒーレント光受信器に備えられる偏光分離装置について説明した。しかしながら、光ディジタルコヒーレント通信方式を用いる光通信システムとしては、偏光多重方式を用いない、すなわち単一偏光の光信号を用いる光通信システム(以後、単一偏光方式と記載する)も考えられる。これらの光通信システムそれぞれに対して専用のディジタル信号処理プロセッサを用意するのは装置コスト増大の問題が生じる。そのため、ディジタル信号処理プロセッサに実装する偏光分離装置は、単一偏光方式および偏光多重方式の両方に対応していることが望ましい。そこで、本実施の形態では、単一偏光方式の光通信システムにおけるコヒーレント光受信器に備えられる偏光分離装置について説明する。
本発明の第4の実施の形態としての偏光分離装置4は、図2を用いて説明した本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2と同一の機能ブロックを含む。ただし、フィルタ係数更新部23aおよび23bが用いるフィルタ係数の更新式が異なる。
本発明の第4の実施の形態におけるフィルタ係数更新部23aおよび23bは、式(5)において、rxおよびryのいずれか一方の値を0に設定したフィルタ係数の更新式を用いて各フィルタ係数を更新する。これにより、本発明の第4の実施の形態としての偏光分離装置4は、第1の出力信号および第2の出力信号のいずれか一方から、送信された光信号に対応する電気信号を再生することができる。
このように、本発明の第4の実施の形態としての偏光分離装置は、偏光多重方式および単一偏光方式のいずれを用いる光通信システムにおいても適用することが可能である。
なお、本発明の第1から第3の各実施の形態において、偏光分離装置が、本発明における第1および第2のフィルタ係数更新部の双方を備える例について説明した。しかし各実施の形態としての偏光分離装置は、本発明における第1および第2のいずれかのフィルタ係数更新部を備えてもよい。この場合、各実施の形態としての偏光分離装置は、他のフィルタ部の係数を、例えば、図5に示したような関連技術のフィルタ係数更新部を用いて更新してもよい。このような構成の各実施の形態としての偏光分離装置は、少なくとも一方のフィルタ係数更新部が、各フィルタ部からの出力信号の誤差信号の両方を小さくするようフィルタ係数を更新する。従って、誤差信号の両方が小さくなる速度を関連技術のものより向上させることができる。
また、本発明の第2から第4の各実施の形態において、各フィルタ部に適用するフィルタのタップ数が1であるものとして説明を行ったが、本発明の第1および第2のフィルタ部には、タップ数が2以上のフィルタも適用可能である。この場合、第1および第2のフィルタ部を構成する各フィルタの各タップに対して、2×2=4個の成分を持つJones行列を設定する。例えば、3タップの場合、各Jones行列の成分をAij,Bij,Cijとおく。すると、第1および第2の出力信号の振幅であるEx’およびEy’は、入力信号Ex[k]、Ey[k]およびJones行列を用いて、次式(7)のように表される。
ここで、kは時刻を表す。
なお、A11、B11、C11は中央のタップの係数(B11)を中心に時間対称になる(すなわち、A11=C11となる)ことが多い。このため、通常タップ数は奇数に設定されることが好ましい。
このように表されるEx’およびEy’を、フィルタ係数更新式に適用することにより、各実施の形態としての偏光分離装置は、タップ数が1の場合とほぼ同様にフィルタ係数を更新することができる。ただし、式(5)のフィルタ係数更新式において、Aijを更新する場合、eijの計算式におけるEx,Eyを、それぞれEx[k+1],Ey[k+1]に置き換える。同様に、Bijを更新する場合、eijの計算式におけるEx,Eyを、それぞれEx[k],Ey[k]に置き換える。同様に、Cijを更新する場合、eijの計算式におけるEx,Eyを、それぞれEx[k−1],Ey[k−1]に置き換える。
なお、最初に既に偏波分離されたデータが入力されていること、および、各タップのJones行列が各成分で時間対称であることを仮定すると、各タップのフィルタ係数の初期値としては、以下のようであっても良い。即ち、中央のタップのJones行列の11成分および22成分を1とし、その他の係数を0としてもよい。
以上では、式(1)に示す誤差関数を用いた偏波多重QPSK信号の偏光分離方法について説明したが、本発明は元々の誤差関数Jx及びJyにEx及びEyが含まれていれば適用可能である。例えば、前述の16QAMに適用されているdecision−directed方式の誤差関数にもEx及びEyが含まれるため本発明を実施することができる。
また、ここまで説明した各実施の形態では、専用の通信装置を想定したが、次のようなものでもよい。即ち例えば各種データ処理を行うパーソナルコンピュータ装置に、本実施形態に相当する処理を行うボードやカードなどを装着し、その処理を、コンピュータ装置側で実行させる。このようにして、その処理を実行するソフトウェアをパーソナルコンピュータ装置に実装させて、本実施形態に相当する処理を実行する構成としても良い。
そのパーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置に実装されるプログラムについては、光ディスク,メモリカードなどの各種記録(記憶)媒体を介して配付しても良い。或いはインターネットなどの通信手段を介して配付しても良い。
また、以上の実施形態は各々他の実施形態と組み合わせることができる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2011年2月1日に出願された日本出願特願2011−019908を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光伝送路を介して受信される光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、
を有する偏光分離装置を用いて、前記光信号の偏光分離処理を行う光受信器。
(付記2)
前記偏光分離装置は、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第2のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第2のフィルタ係数更新手段をさらに有することを特徴とする付記1に記載の光受信器。
(付記3)
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、前記特性行列の要素間の関係として、前記光伝送路のユニタリー性により得られる関係を適用することにより、前記フィルタ係数を更新することを特徴とする付記1または付記2に記載の光受信器。
(付記4)
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の線形和をより小さくするよう前記フィルタ係数を更新することを特徴とする付記1から付記3のいずれかに記載の光受信器。
(付記5)
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、式(5)に基づいて、前記フィルタ係数を更新することを特徴とする付記3に記載の光受信器。
(付記6)
前記光受信器によって受信される前記光信号が、偏光状態が直交し、かつ、搬送波光周波数が同一である2個の独立した光信号が偏光多重された光信号であるとき、
前記第1のフィルタ手段は、前記2個の独立した光信号のうちの一方に対応する信号を前記第1の出力信号として出力し、
前記第2のフィルタ手段は、前記2個の独立した光信号のうちの他方に対応する信号を前記第2の出力信号として出力することを特徴とする付記1から付記5のいずれかに記載の光受信器。
(付記7)
前記光受信器によって受信される前記光信号が単一偏光の光信号であるとき、
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段は、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号のいずれか一方の値がゼロとなることを期待する誤差信号に基づいて、前記第1および第2のフィルタ手段の各フィルタ係数を更新することを特徴とする付記2から付記5のいずれかに記載の光受信器。
(付記8)
光伝送路を介して光信号を受信する光受信器で用いられる偏光分離装置であって、
前記光受信器によって前記光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、
を備えた偏光分離装置。
(付記9)
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第2のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第2のフィルタ係数更新手段をさらに備えることを特徴とする付記8に記載の偏光分離装置。
(付記10)
受信光信号の偏光分離方法であって、
前記受信光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記受信光信号が受信された光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素を第1のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力し、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素を第2のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力し、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第1のフィルタ係数を更新することにより収束させる、
ことを特徴とする偏光分離方法。
(付記11)
さらに、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第2のフィルタ係数を更新することにより収束させることを特徴とする付記10に記載の偏光分離方法。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置1の機能ブロック構成を図1に示す。図1において、偏光分離装置1は、第1のフィルタ部11と、第2のフィルタ部12と、第1のフィルタ係数更新部13と、第2のフィルタ係数更新部14とを備えている。
ここで、偏光分離装置1は、コヒーレント光受信器に備えられている。偏光分離装置1を備えるコヒーレント光受信器は、光伝送路を介して光信号を受信する。この光信号は、光送信器において、偏光状態が直交し、かつ、搬送波光周波数が同一である2個の独立した光信号が偏光多重されて送信されたものであってもよい。また、このコヒーレント光受信器は、受信した光信号から、第1の入力信号および第2の入力信号を検出し、偏光分離装置1に入力する。
例えば、このコヒーレント光受信器は、図4に示した関連技術のコヒーレント受信器90と同様の動作を行うものでも良い。即ち、コヒーレント光受信器が受信した光信号およびその搬送波周波数とほぼ同一の周波数を有する局部発振光を90度ハイブリッドに入力後AD変換することにより、第1の入力信号および第2の入力信号を検出してもよい。この場合、前述のように、第1の入力信号は、直交する2つの偏光軸の一方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号となる。同様に、第2の入力信号は、直交する2つの偏光軸の他方に平行な偏光状態を有する光信号に対応する電気信号となる。
第1のフィルタ部11は、第1の入力信号および第2の入力信号のそれぞれに対して、光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する。例えば、第1のフィルタ部11は、第1の入力信号および第2の入力信号をそれぞれ上述のようにフィルタリング処理した各信号の和を第1の出力信号として出力してもよい。なお、コヒーレント光受信器によって受信された光信号が、光送信器において2個の独立した光信号が偏光多重された信号であった場合、第1のフィルタ部11は次のように動作する。即ち第1のフィルタ部11は2個の独立した光信号のうちの一方に対応する電気信号を第1の出力信号として再生する。
ここで、光伝送路の逆特性を表す特性行列について説明する。光伝送路の特性は、行列で表すことができる。すなわち、この行列は、光伝送路への入力信号と光伝送路からの出力信号とを結びつける行列である。より具体的には、光伝送路への入力信号に「光伝送路の特性を表す行列」をかけると光伝送路からの出力信号となる。さらに、光伝送路の逆特性を表す特性行列は、このような光伝送路の特性を表す行列の逆関数(狭義には、逆行列)を表す。すなわち、光伝送路からの出力信号に、特性行列をかけると光伝送路への入力信号が得られることになる。
第2のフィルタ部12は、第1の入力信号および前記第2の入力信号のそれぞれに対して、以下のように動作する。即ち第2のフィルタ部12は、特性行列の要素のうち、第1のフィルタ部11が用いる要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する。例えば、第2のフィルタ部12は、第1の入力信号および第2の入力信号をそれぞれ上述のようにフィルタリング処理した各信号の和を第2の出力信号として出力してもよい。なお、コヒーレント光受信器によって受信された光信号が、光送信器において2個の独立した光信号が偏光多重された信号であった場合、第2のフィルタ部12は、以下のように動作する。即ち第2のフィルタ部12は、2個の独立した光信号のうちの他の一方に対応する電気信号を第2の出力信号として再生する。
第1のフィルタ係数更新部13は、特性行列において第1のフィルタ部11で用いられる要素と第2のフィルタ部12で用いられる要素との間に存在する関係を用いて、以下のように動作する。即ち第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第1のフィルタ部11のフィルタ係数を適応的に更新する。すなわち、第1のフィルタ係数更新部13は、この更新処理を繰り返すことにより、各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさがほぼ最小となるまで第1のフィルタ部11のフィルタ係数を収束させる。
第2のフィルタ係数更新部14は、特性行列の要素間に存在する前述の関係を用いて以下のように動作する。即ち第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第2のフィルタ部12のフィルタ係数を適応的に更新する。すなわち、第2のフィルタ係数更新部14は、この更新処理を繰り返すことにより、各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさがほぼ最小となるまで第2のフィルタ部12のフィルタ係数を収束させる。
なお、第1のフィルタ係数更新部13および第2のフィルタ係数更新部14は、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生される各出力信号の誤差信号を、例えば次のように算出する。即ち前述のCMAで定義された式(1)、あるいは、非特許文献1または非特許文献2において定義されている関数などを用いて誤差信号を、算出すればよい。
ここで第1のフィルタ係数更新部13および第2のフィルタ係数更新部14が特性行列の要素間の関係を用いない場合は以下の通りである。即ち、第1のフィルタ部11が用いるフィルタ係数は第2のフィルタ部12から出力される第2の出力信号と無関係である。同様に、第2のフィルタ部12が用いるフィルタ係数は、第1のフィルタ部11から出力される第1の出力信号と無関係である。このため、第1のフィルタ係数更新部13が、第1のフィルタ部11で用いるフィルタ係数を更新することにより小さくすることができるのは、第1の出力信号に対する誤差信号のみである。同様に、第2のフィルタ係数更新部14も、第2のフィルタ部12で用いるフィルタ係数を更新することにより小さくすることができるのは、第2の出力信号に対する誤差信号のみである。
そこで、第1のフィルタ係数更新部13および第2のフィルタ係数更新部14は、特性行列の要素間の関係を用いて、各フィルタ係数を更新する。
このような特性行列の要素間に存在する関係を用いれば、以下の関係が導出される。即ち特性行列の所定の要素を適用した第1のフィルタ部11のフィルタ係数と、特性行列の他の所定の要素をフィルタ係数として適用した第2のフィルタ部12のフィルタ係数との関係が導出される。これにより、第1のフィルタ部11が用いるフィルタ係数は、第2のフィルタ部12から出力される第2の出力信号との関連性を有する。同様に、第2のフィルタ部12が用いるフィルタ係数は、第1のフィルタ部11から出力される第1の出力信号との関連性を有することになる。したがって、第1のフィルタ係数更新部13は、第1のフィルタ部11のフィルタ係数を、第1の出力信号および第2の出力信号の各誤差信号の両方をより小さくするように更新することが可能となる。同様に、第2のフィルタ係数更新部14は、第2のフィルタ部12のフィルタ係数を、第1の出力信号および第2の出力信号の各誤差信号の両方をより小さくするように更新することが可能となる。
なお、光伝送路の特性が特定されることにより、特性行列の要素間の関係は導出可能である。例えば、偏光依存性損失(Polarization Dependent Loss;PDL)が存在しない理想的な光伝送路においては、光伝送路のユニタリー性により特性行列の要素間に成立する関係式が導出される。
以上のように構成された偏光分離装置1の動作について説明する。なお、偏光分離装置1は、偏光分離装置1が備えられるコヒーレント光受信器において、受信された光信号から検出される第1および第2の入力信号が入力されると、以下の動作を開始するものとする。
まず、第1のフィルタ部11は、第1の入力信号および第2の入力信号に対して、光伝送路の逆特性を表す特性行列の所定の異なる要素をそれぞれフィルタ係数としてフィルタリング処理を実施する。そして、第1のフィルタ部11は、フィルタリング処理を実施した後の各信号を用いて、例えばその和を第1の出力信号として出力する。
また、第2のフィルタ部12は、第1の入力信号および第2の入力信号に対して、光伝送路の逆特性を表す特性行列の他の所定の異なる要素をそれぞれフィルタ係数としてフィルタリング処理する。そして、第2のフィルタ部12は、フィルタリング処理を実施した後の各信号を用いて、例えばその和を第2の出力信号として出力する。
次に、第1のフィルタ係数更新部13は、特性行列の要素間の関係を用いて、以下のように動作する。即ち、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第1のフィルタ部11のフィルタ係数を更新する。
また、第2のフィルタ係数更新部14は、特性行列の要素間の関係を用いて以下のように動作する。即ち、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12からそれぞれ再生された各出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう第2のフィルタ部12のフィルタ係数を更新する。
以上の動作を繰り返すことにより、偏光分離装置1は、第1のフィルタ部11および第2のフィルタ部12のフィルタ係数を適応的に更新し、収束させる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置は、受信光信号の偏光分離処理に用いるフィルタ係数をより高速に収束させることができる。
その理由について説明する。関連技術の偏光分離装置は、第1のフィルタ部から再生される出力信号の誤差関数のみに基づいて第1のフィルタ部のフィルタ係数を更新していた。また、関連技術の偏光分離装置は、第2のフィルタ部から再生される出力信号の誤差関数のみに基づいて第2のフィルタ部のフィルタ係数を更新していた。これに対して、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置では、第1および第2のフィルタ係数更新部が、特性行列の要素間の関係を用いる。このことにより、第1および第2のフィルタ部から再生される各光信号の誤差信号の両方をより小さくするよう各フィルタ係数をそれぞれ適応的に更新している。したがって、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置は、関連技術に比べて、各フィルタ係数が収束するまでに要する時間を短縮することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2の構成を図2に示す。図2において、偏光分離装置2は、フィルタ部21a〜21dと、加算器22a〜22bと、フィルタ係数更新部23a〜23bとを備えている。なお、フィルタ部21a、21cおよび加算器22aは、本発明の第1のフィルタ部の一実施形態を構成する。また、フィルタ部21b、21dおよび加算器22bは、本発明の第2のフィルタ部の一実施形態を構成する。また、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、本発明の第1および第2のフィルタ係数更新部の一実施形態をそれぞれ構成する。
また、偏光分離装置2は、本発明の第1の実施の形態としての偏光分離装置1が備えられるコヒーレント光受信器と同様なコヒーレント光受信器に備えられている。なお、本実施の形態では、偏光分離装置2が備えられるコヒーレント光受信器は、光送信器において2個の独立した光信号が偏光多重されて送信された光信号を受信するものとする。偏光分離装置2には、コヒーレント光受信器において受信された光信号から検出された第1および第2の入力信号が入力される。
図2において、フィルタ部21a〜21dは、FIRフィルタによって構成可能である。以下、フィルタ部21a〜21dを構成するFIRフィルタのタップ数が1である場合について説明する。
フィルタ部21aは、第1の入力信号に対して、Jones行列の11成分wxxをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。フィルタ部21cは、第2の入力信号に対して、Jones行列の21成分wyxをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。加算器22aは、フィルタ部21aおよびフィルタ部21cの出力信号の和を第1の出力信号として出力する。これにより、フィルタ部21a、21cおよび加算器22aによって構成される本発明の第1のフィルタ部は、以下のように動作する。即ち、第1の入力信号および第2の入力信号をフィルタリング処理した各信号を用いて、前述の2個の独立した光信号の一方に対応する電気信号を第1の出力信号として出力する。
フィルタ部21bは、第1の入力信号に対して、Jones行列の12成分wxyをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。フィルタ部21dは、第2の入力信号に対して、Jones行列の22成分wyyをフィルタ係数として、フィルタリング処理を実施する。加算器22bは、フィルタ部21bおよびフィルタ部21dの出力信号の和を第2の出力信号として出力する。これにより、フィルタ部21b、21dおよび加算器22bによって構成される本実施の形態の第2のフィルタ部は、以下のように動作する。即ち第1の入力信号および第2の入力信号をフィルタリング処理した各信号を用いて、前述の2個の独立した光信号の他方に対応する電気信号を第2の出力信号として出力する。
フィルタ係数更新部23aは、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いて、以下のように動作する。即ち、第1の出力信号と第2の出力信号の両方の各誤差信号をより小さくするよう、フィルタ部21aおよび21cのフィルタ係数を更新する。同様に、フィルタ係数更新部23bは、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いて、以下のように動作する。即ち、第1の出力信号と第2の出力信号の両方の各誤差信号をより小さくするよう、フィルタ部21bおよび21dのフィルタ係数を更新する。
具体的には、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、第1の出力信号の誤差信号および第2の出力信号の誤差信号の両方に基づいて算出される誤差関数の値をより小さくするよう、各フィルタ係数を更新する。例えば、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、次式(3)に示すように、第1の出力信号Ex’の誤差信号Jxおよび第2の出力信号Ey’の誤差信号Jyの和J(W,WH)を誤差関数として用いてもよい。
そして、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、式(2)に示した更新式における誤差関数として、式(3)に示した誤差関数を適用する。
ここで、フィルタ係数更新部23aおよび23bが光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いない場合は以下の通りとなる。即ち第1のフィルタ部11に含まれるフィルタ部21aのフィルタ係数wxxおよびフィルタ部21cのフィルタ係数wyxは、第2のフィルタ部12から出力される第2の出力信号と無関係である。同様に、第2のフィルタ部12に含まれるフィルタ部21bのフィルタ係数wxyおよびフィルタ部21dのフィルタ係数wyyは、第1のフィルタ部11から出力される第1の出力信号と無関係である。このため、フィルタ係数更新部23aは、誤差信号JxおよびJyの和をより小さくしようとしても、結局のところ、誤差信号Jxのみを小さくするようフィルタ係数wxxおよびwyxを更新してしまう。同様に、フィルタ係数更新部23bも、誤差信号JxおよびJyの和をより小さくしようとしても、結局のところ、誤差信号Jyのみを小さくするようフィルタ係数wxyおよびwyyを更新してしまう。すなわち、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いない場合は以下の通りとなる。即ち、フィルタ係数更新部23aおよび23bが行う更新処理は、式(2)に式(3)に示した誤差関数を適用しても、式(2)の更新式を用いるのと同等になってしまう。
そこで、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いて、各フィルタ係数を更新することにする。次式(4)は、前述のPDLが存在しない理想的な光伝送路において、ユニタリー性により得られるJones行列Wの要素間に成立する関係式である。
また、次式(5)に、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いたフィルタ係数更新式の一例を示す。
式(5)は、式(2)の更新式に、式(3)に示した誤差関数および式(4)に示した要素間の関係式を適用して得られた更新式である。フィルタ係数更新部23aおよび23bは、式(5)に示す更新式を用いることにより、以下のように動作する。即ち各フィルタ部21a〜21dのフィルタ係数としてのJones行列Wの全ての要素を、第1の出力信号Ex’および第2の出力信号Ey’の各誤差関数JxおよびJyの両方をより小さくするように更新することができる。
以上のように構成された偏光分離装置2の動作について説明する。なお、偏光分離装置2は、偏光分離装置2が備えられるコヒーレント光受信器において、受信された光信号から検出された第1および第2の入力信号が入力されると、以下の動作を開始するものとする。
まず、フィルタ部21aは、第1の入力信号にJones行列の11成分wxxをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。フィルタ部21cは、第2の入力信号にJones行列の21成分wyxをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。そして、加算器22aは、フィルタ部21aおよび21cの出力を加算して第1の出力信号として出力する。
また、フィルタ部21bは、第1の入力信号にJones行列の12成分wxyをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。フィルタ部21dは、第2の入力信号にJones行列の22成分wyyをフィルタ係数としてフィルタリング処理する。そして、加算器22bは、フィルタ部21bおよび21dの出力を加算して第2の出力信号として出力する。
次に、フィルタ係数更新部23aは、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いる。このことにより、第1および第2の出力信号に対する誤差信号の和をより小さくするようフィルタ部21aおよび21cの各フィルタ係数を更新する。例えば、フィルタ係数更新部23aは、式(5)に示す更新式を用いて該当する各フィルタ係数を更新する。
また、フィルタ係数更新部23bは、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いる。このことにより、第1および第2の出力信号に対する誤差信号の和をより小さくするようフィルタ部21bおよび21dの各フィルタ係数を更新する。例えば、フィルタ係数更新部23bは、式(5)に示す更新式を用いて該当する各フィルタ係数を更新する。
以上の動作を繰り返すことにより、偏光分離装置2は、各フィルタ部21a〜21dのフィルタ係数を適応的に更新し、収束させる。
次に、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2を用いたシミュレーション結果について説明する。図3(a)および(b)は、図5に示した関連技術の偏光分離装置94および本第2の実施形態としての偏光分離装置2をそれぞれ用いた偏光分離処理のシミュレーションの図である。図3(a)および(b)は、誤差関数JxおよびJyの値の時間変化を示したグラフである。なお、図3において、縦軸は、誤差関数そのものの値ではなく、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値を表している。これは、これらの値が、フィルタ係数更新式において必要となるためである。従って、これらの値を2乗することにより誤差関数の値となる。また、横軸は、偏光分離処理を行ったシンボル数を表している。
図3(a)および(b)において、シミュレーション開始直後からしばらくの間、rx 2−|Ex’|2(灰色線)およびry 2−|Ey’|2(黒線)の値(それぞれ誤差関数JxおよびJyに対応)の値は、ともに−0.5から1の間の値を取る。その後、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値は、ほぼゼロの値を取るようになる。この時点で、各フィルタ係数の推定処理、すなわち偏光分離処理が完了したことが分かる。
図3(a)の関連技術のシミュレーション結果においては、Jyの値がゼロとなるまでの時間がJxと比べて大きい。したがって、関連技術の偏光分離装置94は、第2の出力信号を正しく出力するまでに多大な時間を要していることが分かる。
一方、図3(b)の本発明の第2の実施の形態のシミュレーション結果においては、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値(即ちJxおよびJyの値)の時間変化がほぼ一致している。すなわち、本発明の第2の実施の形態では、フィルタ係数更新部23aおよび23bが、フィルタ係数の推定処理をほぼ同一のタイミングで完了していることが分かる。また、rx 2−|Ex’|2およびry 2−|Ey’|2の値(即ちJxおよびJyの値)が0になるまでの時間は、図3(b)に比べて早い。このことから、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2は、関連技術の偏光分離装置94に比べて短時間で各フィルタ係数を推定していることが分かる。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、2個の独立した光信号が偏光多重された光信号をより高速かつより精度よく分離することができる。
その理由は、第1および第2のフィルタ係数更新部が、光伝送路のユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係を用いるからである。これにより、第1および第2のフィルタ部から再生される各出力信号の誤差信号の両方をより小さくするようフィルタ係数を適応的に更新している。従って、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、フィルタ係数が収束するまでに要する時間を短縮することができる。
また、関連技術の偏光分離処理では、正しいフィルタ係数に収束しない場合があるという課題があった。また、関連技術の偏光分離処理では、2個の独立した光信号ではなく、2個の独立した光信号のうち一方に対応する電気信号のみを出力してしまう場合があるという課題があった。即ち関連技術の偏光分離処理では、2個の独立した光信号を正しく分離することができない場合があるという課題があった。
これに対して、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2は、より精度よく2個の独立した光信号を分離することができる。
その理由について説明する。ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式が成立する場合、第1および第2の出力信号に同一の信号が出力される場合のフィルタ係数の条件はW=0となる。このことは、第1および第2の出力信号が常にゼロとなることを意味する。したがって、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、第1および第2の出力信号として同一の信号が出力される可能性を減少させることができるからである。さらに、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置は、正しくないフィルタ係数が推定される可能性を削減することができるからである。
なお、本実施の形態の説明において、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、特性行列の要素間の関係として、式(4)に示した光伝送路のユニタリー性により得られる関係を表す2つの式のうち何れか1つのみを用いてもよい。また、フィルタ係数更新部23aおよび23bが用いる特性行列の要素間の関係式は、ユニタリー性により得られる関係に限らない。なお、光伝送路の特性が特定されれば、その逆特性を表す行列の要素間に存在する関係式は導出可能である。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第2の実施の形態では、光伝送路にPDLが存在しないことを仮定した例について説明した。しかしながら、光伝送路中のPDLの存在は好ましくないものの、実際の光通信システムにおいては多少のPDLが存在する可能性がある。本実施の形態では、光伝送路にPDLが存在することを想定した偏光分離装置について説明する。
本発明の第3の実施の形態としての偏光分離装置3は、図2を用いて説明した本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2と同一の構成を含む。ただし、フィルタ係数更新部23aおよび23bが用いるフィルタ係数の更新式が異なる。
本発明の第3の実施形態におけるフィルタ係数更新部23aおよび23bは、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いた上で次のように動作する。即ち、フィルタ係数更新部は第1および第2の出力信号に対する各誤差信号の線形和をより小さくするよう各フィルタ係数を更新する。例えば、本発明の第3の実施の形態におけるフィルタ係数更新部23aおよび23bは、次式(6)に示す更新式を用いて各フィルタ係数を更新する。
ここで、μxおよびμyは、各出力信号の誤差信号の影響力を調整するパラメータである。
以上のように構成される偏光分離装置3の動作は、フィルタ係数更新部23aおよび23bが式(5)の代わりに式(6)を用いる点が異なる以外は、本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2の動作と同様である。
次に、本発明の第3の実施の形態の効果について述べる。本発明の第3の実施の形態としての偏光分離装置は、PDLが存在する場合にも、2個の独立した光信号が偏光多重された光信号をより高速かつより精度よく分離することができる。
その理由は以下の通りである。即ち第1および第2のフィルタ係数更新部が、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いながら各フィルタ部から再生される出力信号の誤差信号の線形和をより小さくするようフィルタ係数を更新するからである。ここで、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式は、PDLが小さければある程度成立するといえる。そこで、ユニタリー性により得られる特性行列の要素間の関係式を用いながら、各誤差信号の線形和を誤差関数として用いている。このことにより、各フィルタ係数更新部において、他方の出力信号の誤差信号の影響を小さくすることができるからである。その結果、本発明の第3の実施の形態としての偏光分離装置は、PDLの影響をある程度まで除去することが可能となるからである。
なお、フィルタ係数更新部23aおよび23bは、第1および第2の各出力信号の誤差関数の線形和に限らず、各誤差信号の自乗、2乗根あるいは誤差関数の指数関数などの非線形和を誤差関数として用いてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第2および第3の実施の形態では、2個の独立した光信号が偏光多重された光信号を受信するコヒーレント光受信器に備えられる偏光分離装置について説明した。しかしながら、光ディジタルコヒーレント通信方式を用いる光通信システムとしては、偏光多重方式を用いない、すなわち単一偏光の光信号を用いる光通信システム(以後、単一偏光方式と記載する)も考えられる。これらの光通信システムそれぞれに対して専用のディジタル信号処理プロセッサを用意するのは装置コスト増大の問題が生じる。そのため、ディジタル信号処理プロセッサに実装する偏光分離装置は、単一偏光方式および偏光多重方式の両方に対応していることが望ましい。そこで、本実施の形態では、単一偏光方式の光通信システムにおけるコヒーレント光受信器に備えられる偏光分離装置について説明する。
本発明の第4の実施の形態としての偏光分離装置4は、図2を用いて説明した本発明の第2の実施の形態としての偏光分離装置2と同一の機能ブロックを含む。ただし、フィルタ係数更新部23aおよび23bが用いるフィルタ係数の更新式が異なる。
本発明の第4の実施の形態におけるフィルタ係数更新部23aおよび23bは、式(5)において、rxおよびryのいずれか一方の値を0に設定したフィルタ係数の更新式を用いて各フィルタ係数を更新する。これにより、本発明の第4の実施の形態としての偏光分離装置4は、第1の出力信号および第2の出力信号のいずれか一方から、送信された光信号に対応する電気信号を再生することができる。
このように、本発明の第4の実施の形態としての偏光分離装置は、偏光多重方式および単一偏光方式のいずれを用いる光通信システムにおいても適用することが可能である。
なお、本発明の第1から第3の各実施の形態において、偏光分離装置が、本発明における第1および第2のフィルタ係数更新部の双方を備える例について説明した。しかし各実施の形態としての偏光分離装置は、本発明における第1および第2のいずれかのフィルタ係数更新部を備えてもよい。この場合、各実施の形態としての偏光分離装置は、他のフィルタ部の係数を、例えば、図5に示したような関連技術のフィルタ係数更新部を用いて更新してもよい。このような構成の各実施の形態としての偏光分離装置は、少なくとも一方のフィルタ係数更新部が、各フィルタ部からの出力信号の誤差信号の両方を小さくするようフィルタ係数を更新する。従って、誤差信号の両方が小さくなる速度を関連技術のものより向上させることができる。
また、本発明の第2から第4の各実施の形態において、各フィルタ部に適用するフィルタのタップ数が1であるものとして説明を行ったが、本発明の第1および第2のフィルタ部には、タップ数が2以上のフィルタも適用可能である。この場合、第1および第2のフィルタ部を構成する各フィルタの各タップに対して、2×2=4個の成分を持つJones行列を設定する。例えば、3タップの場合、各Jones行列の成分をAij,Bij,Cijとおく。すると、第1および第2の出力信号の振幅であるEx’およびEy’は、入力信号Ex[k]、Ey[k]およびJones行列を用いて、次式(7)のように表される。
ここで、kは時刻を表す。
なお、A11、B11、C11は中央のタップの係数(B11)を中心に時間対称になる(すなわち、A11=C11となる)ことが多い。このため、通常タップ数は奇数に設定されることが好ましい。
このように表されるEx’およびEy’を、フィルタ係数更新式に適用することにより、各実施の形態としての偏光分離装置は、タップ数が1の場合とほぼ同様にフィルタ係数を更新することができる。ただし、式(5)のフィルタ係数更新式において、Aijを更新する場合、eijの計算式におけるEx,Eyを、それぞれEx[k+1],Ey[k+1]に置き換える。同様に、Bijを更新する場合、eijの計算式におけるEx,Eyを、それぞれEx[k],Ey[k]に置き換える。同様に、Cijを更新する場合、eijの計算式におけるEx,Eyを、それぞれEx[k−1],Ey[k−1]に置き換える。
なお、最初に既に偏波分離されたデータが入力されていること、および、各タップのJones行列が各成分で時間対称であることを仮定すると、各タップのフィルタ係数の初期値としては、以下のようであっても良い。即ち、中央のタップのJones行列の11成分および22成分を1とし、その他の係数を0としてもよい。
以上では、式(1)に示す誤差関数を用いた偏波多重QPSK信号の偏光分離方法について説明したが、本発明は元々の誤差関数Jx及びJyにEx及びEyが含まれていれば適用可能である。例えば、前述の16QAMに適用されているdecision−directed方式の誤差関数にもEx及びEyが含まれるため本発明を実施することができる。
また、ここまで説明した各実施の形態では、専用の通信装置を想定したが、次のようなものでもよい。即ち例えば各種データ処理を行うパーソナルコンピュータ装置に、本実施形態に相当する処理を行うボードやカードなどを装着し、その処理を、コンピュータ装置側で実行させる。このようにして、その処理を実行するソフトウェアをパーソナルコンピュータ装置に実装させて、本実施形態に相当する処理を実行する構成としても良い。
そのパーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置に実装されるプログラムについては、光ディスク,メモリカードなどの各種記録(記憶)媒体を介して配付しても良い。或いはインターネットなどの通信手段を介して配付しても良い。
また、以上の実施形態は各々他の実施形態と組み合わせることができる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2011年2月1日に出願された日本出願特願2011−019908を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光伝送路を介して受信される光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、
を有する偏光分離装置を用いて、前記光信号の偏光分離処理を行う光受信器。
(付記2)
前記偏光分離装置は、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第2のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第2のフィルタ係数更新手段をさらに有することを特徴とする付記1に記載の光受信器。
(付記3)
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、前記特性行列の要素間の関係として、前記光伝送路のユニタリー性により得られる関係を適用することにより、前記フィルタ係数を更新することを特徴とする付記1または付記2に記載の光受信器。
(付記4)
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の線形和をより小さくするよう前記フィルタ係数を更新することを特徴とする付記1から付記3のいずれかに記載の光受信器。
(付記5)
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、式(5)に基づいて、前記フィルタ係数を更新することを特徴とする付記3に記載の光受信器。
(付記6)
前記光受信器によって受信される前記光信号が、偏光状態が直交し、かつ、搬送波光周波数が同一である2個の独立した光信号が偏光多重された光信号であるとき、
前記第1のフィルタ手段は、前記2個の独立した光信号のうちの一方に対応する信号を前記第1の出力信号として出力し、
前記第2のフィルタ手段は、前記2個の独立した光信号のうちの他方に対応する信号を前記第2の出力信号として出力することを特徴とする付記1から付記5のいずれかに記載の光受信器。
(付記7)
前記光受信器によって受信される前記光信号が単一偏光の光信号であるとき、
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段は、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号のいずれか一方の値がゼロとなることを期待する誤差信号に基づいて、前記第1および第2のフィルタ手段の各フィルタ係数を更新することを特徴とする付記2から付記5のいずれかに記載の光受信器。
(付記8)
光伝送路を介して光信号を受信する光受信器で用いられる偏光分離装置であって、
前記光受信器によって前記光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、
を備えた偏光分離装置。
(付記9)
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第2のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第2のフィルタ係数更新手段をさらに備えることを特徴とする付記8に記載の偏光分離装置。
(付記10)
受信光信号の偏光分離方法であって、
前記受信光信号から検出される第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記受信光信号が受信された光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素を第1のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力し、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素を第2のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力し、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第1のフィルタ係数を更新することにより収束させる、
ことを特徴とする偏光分離方法。
(付記11)
さらに、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第2のフィルタ係数を更新することにより収束させることを特徴とする付記10に記載の偏光分離方法。
本発明は、偏光多重分離光通信システムにおける光受信器、偏光分離装置および偏光分離方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
1、2、3、4、94 偏光分離装置
11 第1のフィルタ部
12 第2のフィルタ部
13 第1のフィルタ係数更新部
14 第2のフィルタ係数更新部
21a、21b、21c、21d フィルタ部
22a、22b 加算器
23a、23b フィルタ係数更新部
90 光受信器
91 90度ハイブリッド
92a、92b、92c、92d 光ディテクタ
93a、93b、93c、93d ADC
95a、95b 光搬送波周波数偏差・光位相偏差補償部
96a、96b シンボル識別部
901a、901b、901c、901d フィルタ部
902a、902b フィルタ係数更新部
11 第1のフィルタ部
12 第2のフィルタ部
13 第1のフィルタ係数更新部
14 第2のフィルタ係数更新部
21a、21b、21c、21d フィルタ部
22a、22b 加算器
23a、23b フィルタ係数更新部
90 光受信器
91 90度ハイブリッド
92a、92b、92c、92d 光ディテクタ
93a、93b、93c、93d ADC
95a、95b 光搬送波周波数偏差・光位相偏差補償部
96a、96b シンボル識別部
901a、901b、901c、901d フィルタ部
902a、902b フィルタ係数更新部
Claims (11)
- 光伝送路を介して受信される偏光多重光信号から互いに直交する2つの偏光軸にそれぞれ平行な偏光状態を有する第1の入力信号及び第2の入力信号を出力するコヒーレント受信部と、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、を有する偏光分離装置と、
を備える光受信器。 - 前記偏光分離装置は、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第2のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第2のフィルタ係数更新手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光受信器。
- 前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、前記特性行列の要素間の関係として、前記光伝送路のユニタリー性により得られる関係を適用することにより、前記フィルタ係数を更新することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光受信器。
- 前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段のうち少なくともいずれか1つは、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の線形和をより小さくするよう前記フィルタ係数を更新することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光受信器。
- 前記フィルタ係数は、前記第1の信号を出力する際に用いられる、前記第1の入力信号に対して前記フィルタリング処理を行う第1のフィルタ係数と前記第2の入力信号に対して前記フィルタリング処理を行う第3のフィルタ係数とを含み、
前記フィルタ係数は、前記第2の信号を出力する際に用いられる、前記第1の入力信号に対して前記フィルタリング処理を行う第2のフィルタ係数と前記第2の入力信号に対して前記フィルタリング処理を行う第4のフィルタ係数とを含み、
前記更新前の前記第1乃至第4のフィルタ係数からなる行列W k を
とし、μを定数とし、E[x]をxの期待値とした場合、
前記更新後の第1乃至第4のフィルタ係数からなる行列W k+1 は、
で与えられ、
e xx =(r x 2 −|E x ’ | 2 )E x ’ E x * +(r y 2 −|E y ’ | 2 )E y E y ’*
e xy =−(r x 2 −|E x ’ | 2 )E y E x ’* +(r y 2 −|E y ’ | 2 )E y ’ E x *
e yx =(r x 2 −|E x ’ | 2 )E x ’ E y * −(r y 2 −|E y ’ | 2 )E x E y ’ *
e yy =(r x 2 −|E x ’ | 2 )E x E x ’* +(r y 2 −|E y ’ | 2 )E y ’ E y *
であり、
r x 及びr y はそれぞれ前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号の振幅の目標値、
E x 及びE y はそれぞれ前記第1の入力信号及び前記第2の入力信号の振幅、
E x ’ 及びE y ’ はそれぞれ前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号の振幅、
で与えられることを特徴とする、請求項3に記載された光受信器。 - 前記光受信器によって受信される前記光信号が、偏光状態が直交し、かつ、搬送波光周波数が同一である2個の独立した光信号が偏光多重された光信号であるとき、
前記第1のフィルタ手段は、前記2個の独立した光信号のうちの一方に対応する信号を前記第1の出力信号として出力し、
前記第2のフィルタ手段は、前記2個の独立した光信号のうちの他方に対応する信号を前記第2の出力信号として出力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光受信器。 - 前記光受信器によって受信される前記光信号が単一偏光の光信号であるとき、
前記第1および前記第2のフィルタ係数更新手段は、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号のいずれか一方の値がゼロとなることを期待する誤差信号に基づいて、前記第1および第2のフィルタ手段の各フィルタ係数を更新することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の光受信器。 - 光伝送路を介して偏光多重光信号を受信する光受信器で用いられる偏光分離装置であって、
前記光受信器によって前記偏光多重光信号から検出される互いに直交する2つの偏光軸にそれぞれ平行な偏光状態を有する第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力する第1のフィルタ手段と、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素をフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力する第2のフィルタ手段と、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第1のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第1のフィルタ係数更新手段と、
を備えた偏光分離装置。 - 前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1の出力信号および前記第2の出力信号それぞれに対する前記誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう、前記第2のフィルタ手段のフィルタ係数を繰り返し更新して収束させる第2のフィルタ係数更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の偏光分離装置。
- 光伝送路を介して受信される偏光多重光信号の偏光分離方法であって、
前記偏光多重光信号から検出される互いに直交する2つの偏光軸にそれぞれ平行な偏光状態を有する第1の入力信号および第2の入力信号それぞれに対して、前記光伝送路の逆特性を表す特性行列の要素を第1のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第1の出力信号を出力し、
前記第1の入力信号および前記第2の入力信号それぞれに対して、前記特性行列の前記要素とは異なる要素を第2のフィルタ係数としてフィルタリング処理した各信号を用いて、第2の出力信号を出力し、
前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号それぞれの目標値に対する誤差を表す誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第1のフィルタ係数を更新することにより収束させる、
ことを特徴とする偏光分離方法。 - さらに、前記特性行列の要素と前記異なる要素との間の前記関係を用いて、前記第1および前記第2の出力信号に対する誤差信号の両方の大きさをより小さくするよう前記第2のフィルタ係数を更新することにより収束させることを特徴とする請求項10に記載の偏光分離方法。
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