JP2019041285A - 光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法 - Google Patents

光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路規模の増大を抑えつつ精度の高い送受信機歪み補償を行うこと。【解決手段】光伝送特性補償システムは、光送受信機の送信部から受信部に第1の既知信号を伝送した時に受信部が取得した第1のデータと光受信機の仮の逆伝達関数とから光送信機の逆伝達関数を推定する送信機伝達関数推定部と、送信部から受信部に第2の既知信号を伝送した時に受信部が取得した第2のデータと推定した光送信機の逆伝達関数とから光受信機の逆伝達関数を推定する受信機伝達関数推定部と、推定した光送信機の逆伝達関数を用いて光送信機の伝送特性を補償する送信機補償部と、推定した光受信機の逆伝達関数を用いて光受信機の伝送特性を補償する受信機補償部とを備え、送信機補償部及び受信機補償部は、デジタルフィルタのタップ係数が最大値となる位置がタップ係数列の中央からずれた位置となるタップ係数列を用いて補償する。【選択図】図10

Description

本発明は、光通信における光送受信機の伝送特性を補償する光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法に関する。
通信トラヒックの増大に対応するために、光送受信機の高速・大容量化が求められている。近年、導入が進む光送受信機は、デジタル信号処理(DSP)とコヒーレント検波を組み合わせたデジタルコヒーレント技術を用いている。
1チャネルあたり100Gb/sの光送受信機では、Baud rate(ボーレート)と変調方式は、例えば32Gbaud PDM−QPSK(Polarization Division Multiplexing−Quadrature Phase Shift Keying;偏波多重−4位相偏移変調)である。光送信機は直交した直線偏光(X偏波とY偏波)を、それぞれQPSKのベースバンド信号で変調することでPDM−QPSK光信号を生成する。光受信機は受信した光信号と局発光をコヒーレント検波することで光信号をベースバンド信号に変換し、デジタル信号処理(DSP)によってQPSKを復調し送信データを再生する。
1チャネルあたりの伝送容量を増やすために、400Gb/sの光送受信機では、Baud rateと変調方式は例えば64Gbaud PDM−16QAM(PDM−16Quadrature amplitude modulation;偏波多重−16直角位相振幅変調)、又は43Gbaud PDM−64QAMである。このように、今後の光送受信機では、1チャネルあたりの伝送容量を拡大させるためにBaud rateの増加と変調方式の多値化が進む。
Baud rateの増加と変調方式の多値化に伴い、光送受信機には広帯域に良好な伝送特性が求められる。この光送受信機内の伝送信号の伝送特性は伝達関数で表現され、一般に光送受信機は複数のレーン(X偏波の同相成分XI、X偏波の直交成分XQ、Y偏波の同相成分YI、Y偏波の直交成分YQ)を有し、レーン間の伝達関数の差はシステムの総合伝送特性劣化を引き起こすため、レーン間の伝達関数の差を十分抑えることも求められる。光送受信機の伝達関数の周波数特性が不十分な場合又はレーン間に差がある場合は、例えばDSPによって伝送特性又はそのレーン間差を補償する必要がある。これに対して、光伝送路の波長分散又は受信側のレーン間の差を受信側で補償する方法(例えば、非特許文献1,2参照)、及び、送信側のレーン間の差を送信側で補償する方法(例えば、特許文献1及び非特許文献3参照)が提案されている。
光送受信機の伝達関数をDSPで補償する場合、光送受信機を構成する光回路又はアナログ電気回路などの伝達関数を予め把握し、それらをもとに必要に応じて補償値を設定する必要がある。光送信機と光受信機はそれぞれBaud rateに応じて補償が必要な範囲の伝達関数の周波数特性がある。従来の光送受信機において上記の伝達関数を補償するための補償値を設定する場合、例えば、光回路又はアナログ電気回路ベンダが示す伝達関数の仕様値又は予め測定した代表個体の伝達関数の評価結果などに基づいて送信機補償部と受信機補償部に対して補償値を設定することで、十分な総合伝送特性を得ることができた。
しかし、400Gb/sなどの高速伝送システムではBaud rateの上昇と多値化に伴い、光回路又はアナログ電気回路の伝達関数の個体バラつきが原因で、ベンダの示す仕様値又は代表個体の評価結果に基づいた補償値設定では十分な総合伝送特性が得られないことがある。これに対し、既知パタン(既知信号)を送受することによって、個体ごとに、光送受信機を構成する光回路又はアナログ電気回路などの伝達関数を高精度に把握することが可能になる。
特許第6077696号公報
R. R. Muller, J. Renaudier, and Gabriel Charlet, "Blind Receiver Skew Compensation and Estimation for Long-Haul Non-Dispersion Managed Systems Using Adaptive Equalizer", JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL.33, NO.7, pp.1315-1318, APRIL 1, 2015. J. C. M. Diniz, E. P da Silva, M. Piels, and D. Zibar, "Joint IQ Skew and Chromatic Dispersion Estimation for Coherent Optical Communication Receivers", Advanced Photonics Congress 2016. Ginni Khanna, Bernhard Spinnler, Stefano Calabro, Erik De Man, and Norbert Hanik, "A Robust Adaptive Pre-Distortion Method for Optical Communication Transmitters", IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, Vol.28, No.7, pp.752-755, APRIL 1, 2016.
しかしながら、上述した従来技術によって伝送特性を向上させるためには、光送受信機を構成する光回路又はアナログ電気回路などの伝達関数の逆伝達関数に相当するFIR(Finite Impulse Response;有限インパルス応答)フィルタのパラメータ(タップ数)を多くする必要がある。これにより、DSPの回路規模が増大し、装置の製造コストや消費電力が高くなるという課題があった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、回路規模の増大を抑えつつ精度の高い送受信機歪み補償を行うことができる光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、光送受信機の送信部から受信部に第1の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第1のデータと、前記受信部の光受信機の仮の伝達関数又は仮の逆伝達関数とから、前記送信部の光送信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する送信機伝達関数推定部と、前記送信部から前記受信部に第2の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第2のデータと、推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数とから、前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する受信機伝達関数推定部と、推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数を用いて前記光送信機の伝送特性を補償する送信機補償部と、推定した前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数を用いて前記光受信機の伝送特性を補償する受信機補償部と、を備え、前記送信機補償部及び前記受信機補償部のうち少なくとも一方は、デジタルフィルタのタップ係数が最大値となる位置がタップ係数列の中央の位置からずれた位置となる前記タップ係数列を用いて補償する光伝送特性補償システムである。
また、本発明の一態様は、上述の光伝送特性補償システムであって、前記送信機補償部は、前記タップ係数が最大値となる位置が、前記タップ係数列の中央の位置から、信号に対してより先に畳み込まれるタップ側にずれた位置となるタップ係数列を用いて補償し、前記受信機補償部は、前記タップ係数が最大値となる位置が、前記タップ係数列の中央の位置から、信号に対してより後に畳み込まれるタップ側にずれた位置となるタップ係数列を用いて補償する。
また、本発明の一態様は、上述の光伝送特性補償システムであって、前記タップ係数列の中央の位置と前記タップ係数列の中央の位置からずれた位置との間のずれ量は、配線長に基づいて計算されたずれ量である。
また、本発明の一態様は、光送受信機の送信部から受信部に第1の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第1のデータと、前記受信部の光受信機の仮の伝達関数又は仮の逆伝達関数とから、前記送信部の光送信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する第1のステップと、前記送信部から前記受信部に第2の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第2のデータと、推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数とから、前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する第2のステップと、推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数と前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数とを用いて前記光送信機及び前記光受信機の伝送特性を補償するとき、デジタルフィルタのタップ係数が最大値となる位置がタップ係数列の中央の位置からずれた位置となる前記タップ係数列を用いて補償する第3のステップと、を有する光伝送特性補償方法である。
本発明により、回路規模の増大を抑えつつ精度の高い送受信機歪み補償を行うことできる。
本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムを備える光送受信機の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光送受信機の伝達関数又は逆伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光受信機の仮の伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの第1の受信機伝達関数推定部の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの受信機補償部の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機伝達関数推定部の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光送信機の伝達関数又は逆伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの第2の受信機伝達関数推定部の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光受信機の真の伝達関数又は逆伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機補償部及び受信機補償部を構成するFIRフィルタの構成を示す図である。 通常のFIRフィルタのタップ係数を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機補償部を構成するFIRフィルタのタップ係数を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる受信Q値改善量を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法について図面を参照しながら説明する。同じ又は対応する構成要素には同一の符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。なお、以下で使用する「伝達関数」という用語は、装置、部品、伝搬路などの伝送特性を表す関数、数式、回路、あるいは線路などであればどのようなものでもよい。また、伝達関数は線形に限らず、非線形な特性を表す関数などでもよい。さらに、「伝送」と「伝達」については、本発明の範囲内では基本的に同意として捉える。
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムを備える光送受信機の構成を示す図である。送信部1は伝送路2を介して光信号を受信部3に送信する。伝送路2は例えば光ファイバと光増幅器からなる。
送信部1は、送信信号処理部4、既知信号挿入部5、送信機補償部6、及び光送信機7を備える。送信信号処理部4と既知信号挿入部5と送信機補償部6の一部又は全部は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアで構成できる。また、これらの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)などのプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェアでも構成できる。
既知信号挿入部5は、送信信号処理部4が生成したXIレーン(第1レーン)、XQレーン(第2レーン)、YIレーン(第3レーン)、YQレーン(第4レーン)の変調対象信号系列に、それぞれ既知信号の系列を挿入する。既知信号の系列は、送信部1と受信部3との間で共有されている。既知信号は、所定のビット又はシンボルで構成できるが、例えば2000シンボル程度の信号系列で構成される。既知信号の系列の長さは、最低限、算出するFIRフィルタ長より長いことが求められる。
送信信号処理部4は、送信データ系列に基づいてフレームデータを生成する。フレームデータは、光送信機7において変調処理を施すための信号系列(変調対象信号系列)である。送信信号処理部4は、既知信号系列が挿入されたフレームデータを送信機補償部6に送信する。
送信機補償部6は、光送信機7の伝達関数の推定結果を後述する受信部3の送信機伝達関数推定部8から取得する。送信機補償部6は、その推定結果に基づいて光送信機7のXIレーン、XQレーン、YIレーン、及びYQレーンの伝達関数と、そのレーン間差を補償する。送信機補償部6は、例えば、FIRフィルタなどのデジタルフィルタにより構成できる。また、送信機補償部6は、個別に4レーン間の遅延時間差を補償する機能を持つ機能部を備えてもよい。
光送信機7は、補償されたフレームデータで直交した直交変更を変調することで、変調対象信号系列の光信号を生成する。光送信機7はドライバアンプ7a、レーザモジュール7b(信号LD)、90°合成器7c、及び偏波合成器7dを備える。ドライバアンプ7aは、補償されたフレームデータの電気信号を適切な振幅になるように増幅して90°合成器7cに送信する。90°合成器7cは、マッハツェンダ型ベクトル変調器であり、レーザモジュール7bから送信された直線偏光のCW(Continuous Wave;無変調連続波)光を直交した直線偏光に分離し、それぞれの直線偏光に対してフレームデータで変調することで、変調対象信号系列の光信号を生成する。水平偏波による光信号と垂直偏波による光信号が、偏波合成器7dで合成され、伝送路2を介して受信部3に供給される。
受信部3は、光受信機9、データバッファ10、受信機補償部11、受信信号処理部12、第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14、及び送信機伝達関数推定部8を備える。第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14及び送信機伝達関数推定部8が、光送受信機の光伝送特性を推定する光伝送特性推定システムを構成する。この光伝送特性推定システムと送信機補償部6及び受信機補償部11が、光送受信機の光伝送特性を補償する光伝送特性補償システムを構成する。なお、図1では送信機補償部6と受信機補償部11を個別のブロックで表現しているが、送信機補償部6は送信信号処理部4の一部であってもよく、受信機補償部11は受信信号処理部12の一部であってもよい。
光受信機9は、偏波分離機9a、レーザモジュール9b(局発LD)、偏波ダイバーシティ90°ハイブリッド9c、フォトダイオード(PD;Photo Diode)(図示せず)、TIA9d(Transimpedance Amplifier;トランスインピーダンスアンプ)、及びA/D変換器9eを備える。
レーザモジュール9bは、直線偏光のCW光を偏波ダイバーシティ90°ハイブリッド9cに送る。偏波ダイバーシティ90°ハイブリッド9cは受信した光信号とCW光を干渉させる。フォトダイオードがそれを光電変換する。TIA9dがその電流信号を電圧信号に変換する。A/D変換器9eがその電圧信号をA/D変換する。これらにより、受信した光信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。
光受信機9のA/D変換器9e、データバッファ10、受信機補償部11、受信信号処理部12、第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14、及び送信機伝達関数推定部8の一部又は全部は、例えばASIC又はFPGAなどのハードウェアで構成できる。また、これらの一部又は全部は、CPUなどのプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェアでも構成できる。また、第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14及び送信機伝達関数推定部8は、光送受信機とは独立した外部装置、例えばPC(Personal Computer;パーソナルコンピュータ)又はそれに相当する装置によって構成することができる。また、受信信号処理部12も、第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14及び送信機伝達関数推定部8と同様の機能を有することができ、それらとの共用化も可能である。
データバッファ10は、一般的にはメモリ回路(RAM(Random Access Memory;読み書き可能なメモリ))で構成でき、光受信機9で受信した信号をA/D変換したデータを一時的に蓄えておく。データバッファ10に蓄えられたデータは、順次的に後段の受信機補償部11と受信信号処理部12へ送られる。それらのデータを第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14及び送信機伝達関数推定部8が取得することも可能である。なお、データバッファ10を使用せず、第1及び第2の受信機伝達関数推定部13,14及び送信機伝達関数推定部8がA/D変換されたデータをリアルタイムで直接的に取得してもよい。以降、データバッファ10のデジタルデータを用いて説明する全ての例は、受信データをリアルタイムで直接的に取得する方法も含んでいる。
受信機補償部11は、光受信機9の伝達関数の推定結果を第2の受信機伝達関数推定部14から取得し、その推定結果に基づいて光受信機9のXIレーン、XQレーン、YIレーン、YQレーンの伝達関数とそのレーン間差を補償する。受信機補償部11は、例えばFIRフィルタなどのデジタルフィルタにより構成できる。また、受信機補償部11は、個別に4レーン間の遅延時間差を補償する機能を持つ機能部を持ってもよい。
受信信号処理部12には、受信機補償部11からデジタル信号が入力される。伝送路2では例えば波長分散、偏波モード分散、偏波変動又は非線形光学効果によって光信号に波形歪みが生じる。受信信号処理部12は伝送路2において生じた波形歪みを補償する。また、受信信号処理部12は、光送信機7のレーザモジュール7bの光の周波数と光受信機9のレーザモジュール9bの局発光の周波数との差を補償する。さらに、受信信号処理部12は、光送信機7のレーザモジュール7bの光の線幅と光受信機9のレーザモジュール9bの局発光の線幅とに応じた位相雑音を補償する。
第1の受信機伝達関数推定部13は、光受信機9の入力端に、白色雑音に相当するASE(Amplified Spontaneous Emission)信号を入力した時に受信部3が取得したデジタルデータから、光受信機9の仮の伝達関数又は逆伝達関数を推定する。ASE信号は光アンプから発生させることができる。ASEのみを出力する場合は、何も入力しない状態で光アンプを用いる。この光アンプは別途用意してもよいが、伝送路2の光アンプを用いることもできる。ASE信号のスペクトラム(周波数特性)は均一であるため、それを通すことで周波数特性を取得することができる。従って、ASE信号を入力した状態で、データバッファ10に保存されたデータを、第1の受信機伝達関数推定部13が取得することで、周波数特性を推定することができる。これらは、レーンごとに推定可能である。第1の受信機伝達関数推定部13の構成例は後ほど示す。
周波数特性の推定は、デジタルデータをフーリエ変換することで伝達関数として得られる。更に逆伝達関数を求める手法としては、逆数を計算する他に、適応フィルタの解を求める方法がある。適応フィルタの解を求める方法として、一般的にウィナー解を求める方法、及び、LMS(Least Mean square;最小二乗平均)アルゴリズム又はRLS(Recursive Least square;再帰的最小二乗法)アルゴリズムなどによっても求める方法がある。ここで、伝達関数は時間的には比較的変化しないため、「適応」は時間的な対応を意味しない。以降、「適応」は、収束解を求めるためのフィードバック回路に対する適応を意味することとする。第1の受信機伝達関数推定部13の詳細な構成例は後ほど示す。なお、上記の説明ではASE信号を使用したが、ASE信号には限定されず、スペクトラムが既知な信号であればどのような試験信号でも使用可能である。
送信機伝達関数推定部8は、送信部1から受信部3に第1の既知信号を伝送した時に受信部3が取得した第1のデジタルデータ(第1のデータ)と、受信部3の光受信機9の仮の伝達関数又は逆伝達関数とから、光送信機7の伝達関数又は逆伝達関数を推定する。推定方法としては、例えば適応フィルタを用いて光送信機7の伝達関数を推定する。適応フィルタは、例えばLMSアルゴリズムに基づくフィルタ又はRMSアルゴリズムに基づくフィルタである。
第2の受信機伝達関数推定部14は、送信部1から受信部3に第2の既知信号を伝送した時に受信部3が取得した第2のデジタルデータ(第2のデータ)と、推定した光送信機7の伝達関数又は逆伝達関数とから、光受信機9の真の伝達関数又は逆伝達関数を推定する。推定方法としては、例えば適応フィルタを用いて光受信機9の逆伝達関数を推定する。適応フィルタは、例えばLMSアルゴリズムに基づくフィルタ又はRLSアルゴリズムに基づくフィルタである。この場合もレーンごとに推定可能である。
続いて、本実施形態に係る光伝送特性推定システムが光送受信機の光伝送特性を推定する方法について図面を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光送受信機の伝達関数又は逆伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。
まず、第1の受信機伝達関数推定部13にて、光受信機9の仮の伝達関数又は逆伝達関数を推定する(ステップS1)。
次に、送信機伝達関数推定部8にて、光送信機7の伝達関数又は逆伝達関数を推定する(ステップS2)。
次に、第2の受信機伝達関数推定部14にて、光受信機9の真の伝達関数又は逆伝達関数を推定する(ステップS3)。
次に、それぞれのステップの詳細な動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光受信機の仮の伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。
まず、光受信機9の入力にASE信号を挿入する(ステップS101)。
ASE信号のスペクトラムは均一であることが既知であるため、それを通すことで周波数特性を取得することができる。次に、ASE信号を入力した状態で、データバッファ10が受信データを取得する(ステップS102)。
次に、第1の受信機伝達関数推定部13がデータバッファ10からデジタルデータを取得してFFT処理し、仮の伝達関数を取得する(ステップS103)。
次に、取得した仮の伝達関数から仮の逆伝達関数を計算する(ステップS104)。
次に、計算した仮の逆伝達関数を受信機補償部11に設定する(ステップS105)。
図4は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの第1の受信機伝達関数推定部の構成を示す図である。第1の受信機伝達関数推定部13は、X偏波の受信信号とY偏波の受信信号をそれぞれFFT(高速フーリエ変換)処理するFFTと、それらの出力をそれぞれ1/伝達関数処理して逆伝達関数を計算する回路とを備える。なお、X偏波の受信信号をXI+jXQ、Y偏波の受信信号をYI+jYQとしているが、XIとXQの間、及びYIとYQの間に遅延差がない場合を想定している。遅延差がある場合は、XI、XQ、YI、YQを個別にフーリエ変換及び1/伝達関数処理することが可能である。なお、フーリエ変換できればFFT処理に限定する必要はなく、その他の方法でもよい。以降の「FFT」の表記はフーリエ変換の機能を意味する。
データバッファ10にて取得したデジタルデータは、時間領域のデータのため、X偏波及びY偏波のレーンで、それぞれFFT処理によって周波数領域のデータに変換される。
Figure 2019041285
(n)はデータバッファ10にて取得したデジタルデータ、X(k)はFFT処理したデータである。FFTはDFT(Discrete Furrier Transfer;離散フーリエ変換)の高速処理を意味する。なお、連続信号に対する一般的なFFT処理では、有限のデータ数Nごとに行うが、隣接する処理との間でデータをオーバーラップして処理することは言うまでもない(オーバーラップAdd、オーバーラップSaveなどの方法がある)。以降のFFT処理においても同様である。X(k)の絶対値は振幅情報を示し、これを仮の伝達関数として得る。その逆数を計算することで仮の逆伝達関数を得ることができる。この逆伝達関数は受信機補償部11に設定することができる。また、逆伝達関数は光送信機7の伝達関数を推定する際にも使用される。この場合は、必ずしも仮の伝達関数の逆伝達関数を受信機補償部11に設定する必要はない。
図5は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの受信機補償部の構成を示す図である。受信機補償部11はIQベクトル処理(時間領域処理)を行う。即ち、X偏波及びY偏波を、それぞれXI+jXQ、及びYI+jYQと複素ベクトル信号表示して、FIRフィルタによって伝送特性を補償する。ステップS104で計算された逆伝達関数は、図示していないIFFT処理によって時間応答信号に変換され、FIRフィルタのタップ係数として設定される。
なお、受信機補償部11は、上述した構成に限定されず、伝達関数を補償できればどのような構成でもよい。受信機補償部11による周波数領域での補償は以下の式で示される。ただし、それぞれIFFTによって時間領域でFIRフィルタを用いて補償できることは言うまでもない。
Figure 2019041285
ここで、Xout及びYoutは、それぞれXin=XI+jXQ、Yin=YI+jYQの補償後のデータである。XIout、XQout、YIout、及びYQoutは、それぞれXIin、XQin、YIin、及びYQinの補償後のデータである。H1〜H16はその場合の逆伝達関数を示す。
また、図示しないが、IQベクトル処理とIQ個別処理を組み合わせることも可能である。例えば、以下に示すように、一度IQベクトルとして複素フィルタでフィルタリング処理をした後、実数部と虚数部に分け、それぞれについて実数フィルタでフィルタリングを行う。
・X*複素フィルタ⇒XI*実数フィルタ、XQ*実数フィルタ(タップ係数は個別設定可能)
・Y*複素フィルタ⇒YI*実数フィルタ、YQ*実数フィルタ(タップ係数は個別設定可能)
ここで、X、Yはそれぞれ複素ベクトル表示、XI、XQ、YI、YQはそれぞれ実数表示、「*」は処理、「⇒」は処理の流れを示す。
なお、X又はYなどの複素信号の複素フィルタリングは、周波数領域で一括で処理(FFT⇒伝達関数乗算⇒IFFT)する方が、個別に処理するよりも回路規模は小さくできる。また、実数フィルタリングは、時間領域での処理(FIRフィルタ(畳み込み演算))で処理する方が回路規模上効率がよい。以上により、周波数特性及び遅延差を補償することが可能となる。
図6は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機伝達関数推定部の構成を示す図である。送信機伝達関数推定部8は、既知信号同期部8a、種々の伝送特性補償部8b、受信機補償部8c、及びFIRフィルタ8d及び二乗誤差最小化部8eを有する適応フィルタを備える。種々の伝送特性補償部8bは、波長分散補償、周波数オフセット補償、偏波分散・偏波回転補償、クロック位相補償、位相雑音補償などの伝送時の歪みを補償する種々の補償回路を含む。なお、既知信号同期部8aは、デジタルデータから既知信号を抽出する機能を有し、抽出した既知信号の状態から後段の種々の伝送特性補償に設定する補償データを各種推定ブロックにて推定する。即ち、光送信機7の伝達関数又は逆伝達関数の推定は伝送路2の伝送特性を推定する処理を含む。なお、受信機補償部8cは種々の伝送特性補償部8bの前段に配置することも可能である。
波長分散補償部は既知信号同期部8aの前段に配置することも可能である。種々の伝送特性補償部の各補償部の順番は入れ替え可能である。また、偏波分散・偏波回転補償の(1TAP 2×2MIMO(Multi Input Multi Output))の意味は、フィルタのタップ数を1にして、光送受信機の帯域特性をこのブロックで補償せず、偏波回転のみ行うことを示している(一般的な複数タップの2×2MIMOフィルタでは帯域についても補償する。)。
また、送信機伝達関数推定部8は、図4の第1の受信機伝達関数推定部13と同様に、X偏波及びY偏波のそれぞれについて複素ベクトル信号として処理しているが、XI、XQ、YI、及びYQのそれぞれのレーンについて独立的に処理することも可能である。この場合、レーン間の遅延差についても抽出及び補償することが可能となる。X偏波について複素ベクトル信号として処理することは、XIとXQとの間に遅延差(Skew;スキュー)がゼロとみなしている。遅延差が無視できない場合はレーンごとに伝達関数の抽出及び補償を行う必要がある。Y偏波についても同様である。
図7は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光送信機の伝達関数又は逆伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。
まず、送信信号処理部4の入力に既知信号を入力し、光送信機7から光変調信号を送信する(ステップS201)。
この時、送信機補償部6はバイパスする。なお、送信機補償部6は、図5に示した受信機補償部11と同じ構成を取ることができる。
次に、受信側においてデータバッファ10で受信データが取得される(ステップS202)。
次に、送信機伝達関数推定部8は、データバッファ10からデジタルデータを取得する(ステップS203)。既知信号同期部8aは、取得したデジタルデータから既知信号を抽出する。抽出した既知信号に対して、種々の伝送特性の補償及び光受信機補償が行われる。光受信機補償は、ステップS1で推定された光受信機9の仮の逆伝達関数を用いて行われる。図6ではデータバッファ10の後段で受信機補償部11において仮の逆伝達関数で補償する構成が示されているが、この補償は上述の送信機伝達関数推定部8の処理には特に必要ない。
種々の伝送特性の補償及び光受信機補償が処理された既知信号には、光送信機7の伝達関数の影響が残されている。従って、その信号に、その逆特性を設定したFIRフィルタ8dを適応フィルタとして適用し、その出力と既知信号との差分の二乗が最小になるように再び逆特性を修正する。この処理によって、適応フィルタを構成するFIRフィルタ8dのタップ係数を、逆伝達関数の時間応答として求めることができる。この逆伝達関数を求める手法は、一般的に下記に示すウィナー解又はLMSアルゴリズムとして知られている。
Figure 2019041285
ここで、s(n)は既知信号、y(n)は適応フィルタの出力、e(n)はs(n)とy(n)の差、h(n)は適応フィルタの時間応答である。
上記の例では、適応等化の回路によって光送信機7の逆伝達関数を直接求めることができるため、ステップS203とステップS204は一体として処理できる。一方、一度光送信機7の伝達関数が求められる場合は逆伝達関数を計算する(ステップS204)。
次に、推定された光送信機7の逆伝達関数を送信機補償部6に設定する(ステップS205)。設定方法は、ステップS105で示した方法と同じである。この時、前述したように、XI、XQ、YI、及びYQのそれぞれのレーンについて独立的に処理することも可能である。この場合、レーン間の遅延差についても抽出及び補償することが可能となる。
図8は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの第2の受信機伝達関数推定部の構成を示す図である。第2の受信機伝達関数推定部14は、既知信号同期部14a、波長分散補償、周波数オフセット補償、偏波分散・偏波回転付加、クロック位相付加、位相雑音付加などの伝送時の歪みを模擬する回路14b、適応等化用のFIRフィルタ14c、二乗誤差最小化回路14dを有する。既知信号同期部14aは、デジタルデータから既知信号を抽出する機能を有し、抽出した既知信号の状態から後段の歪みを模擬する回路に設定する付加データを各種推定ブロックにて推定する。即ち、光受信機9の伝達関数又は逆伝達関数の推定は伝送路2の伝送特性を推定する処理を含む。なお、波長分散補償、周波数オフセット補償、偏波分散・偏波回転付加、クロック位相付加、位相雑音付加などの伝送時の歪みを模擬する回路14bの順番は入れ替え可能である。
第2の受信機伝達関数推定部14では、図4の第1の受信機伝達関数推定部13の場合と同様に、X偏波及びY偏波のそれぞれについて複素ベクトル信号として処理しているが、XI、XQ、YI、及びYQのそれぞれのレーンについて独立的に処理することも可能である。この場合、レーン間の遅延差についても抽出及び補償することが可能となる。X偏波について複素ベクトル信号として処理することは、XIとXQとの間に遅延差がゼロとみなしている。遅延差が無視できない場合は、レーンごとに伝達関数の抽出及び補償を行う必要がある。Y偏波についても同様である。
図9は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる光受信機の真の伝達関数又は逆伝達関数の推定処理を示すフローチャートである。
まず、送信信号処理部4の入力に既知信号を入力し、送信部1の光送信機7から受信部3に光変調信号を伝送する(ステップS301)。この時、図2のステップS2にて推定した光送信機7の逆伝達関数を送信機補償部6に設定して、光送信機7の伝送特性を補償する。なお、送信機補償部6は、図5に示した受信機補償部11と同じ構成を取ることができる。
次に、受信側においてデータバッファ10で受信データが取得される(ステップS302)。
第2の受信機伝達関数推定部14は、データバッファ10からデジタルデータを取得する(ステップS303)。既知信号同期部14aは、取得したデジタルデータから既知信号を抽出する。抽出した既知信号は、適応フィルタとしてのFIRフィルタ14cに供給される。一方、既知信号に対して、伝送路歪みとして推定される波長分散、周波数オフセット、偏波分散・偏波回転、クロック位相、位相雑音が付加され、適応フィルタの出力と比較される。波長分散、周波数オフセット、偏波分散・偏波回転、クロック位相、位相雑音の付加量は、既知信号の状態から種々の推定ブロックにて推定される。
ここで、適応フィルタの出力において、光送信機7の伝達関数は送信機補償部6で補償されているとみなされる。光受信機9の伝達関数が適応フィルタによって補償されれば、適応フィルタの出力は伝送路歪みの影響のみ受ける。この信号が、伝送路歪みが付加された既知信号と比較され、その差分(二乗誤差)が最小化されることで、適応フィルタであるFIRフィルタ14cのタップ係数を光受信機9の逆伝達関数の時間応答として求めることができる。この逆伝達関数を求める手法は、一般的に下記に示すウィナー解又はLMSアルゴリズムとして知られている。
Figure 2019041285
ここで、d(n)は既知信号、y(n)は適応フィルタの出力、e(n)はd(n)とy(n)の差、h(n)は適応フィルタの時間応答である。
上記の例では、適応等化の回路によって、光送信機7の真の逆伝達関数を直接求めることができたため、ステップS303とステップS304は一体として処理できる。一方、光受信機9の真の伝達関数が求められる場合は、その伝達関数から真の逆伝達関数を計算する(ステップS304)。
次に、推定された光受信機9の真の逆伝達関数を受信機補償部11に設定する(ステップS305)。設定方法は、ステップS105で示した方法と同じである。この時、前述したように、XI、XQ、YI、及びYQのそれぞれのレーンについて独立的に処理することも可能である。この場合、レーン間の遅延差についても抽出及び補償することが可能となる。
以上説明した構成により、光送信機7の伝達関数又は逆伝達関数と光受信機9の伝達関数又は逆伝達関数がそれぞれ推定可能となる。即ち、光送信機7及び光送信機9の伝送特性を推定することができる。それらの伝達関数又は逆伝達関数を送信機補償部6及び受信機補償部11に設定することによって、光送信機7における伝達関数と光受信機9における伝達関数を個別に補償することができる。
上述した光伝送特性補償システムの構成によって伝送特性を向上させるためには、従来は上述したように、光送受信機を構成する光回路又はアナログ電気回路などの伝達関数の逆伝達関数に相当するFIRフィルタのパラメータ(タップ数)を多くする必要があった。
本実施形態に係る光伝送特性補償システムは、通常は補償用パラメータ(タップ係数)の最大値がタップ係数列の中央にくるのに対して、意図的に最大値の位置をずらすようなパラメータ系列を持つ。タップ中心をずらすことにより、電気配線等などの反射の影響による信号歪みを補償することが可能となり、少ない回路規模にもかかわらずより高い精度の補償が可能になる。
図10は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機補償部及び受信機補償部を構成するFIRフィルタの構成を示す図である。図示するように、本実施形態においては、歪みを補償するFIRフィルタのタップ中心をずらすように構成される。なお、ここでいうタップ中心とは、FIRフィルタのタップ係数の最大値である。
具体的には、送信機補償部6側においてはタップ中心を左寄りに、受信機補償部11側においてはタップ中心を右寄りにずらすように構成される。図10において、X(t)は補償前の信号、h(t−τ)はタップ係数、τはタップ中心からずらす時間量、Z−1は遅延量τに対応するブロック、Y(t)は補償後の信号である。
以下、送信機補償部6側の歪み補償FIRフィルタを例として、さらに詳しく説明する。送信側の場合、タップ中心の右側のタップ(右側タップ)がデバイス間の反射などによる歪みを補償しているため、高精度な補償をするためにタップを長くする必要がある。なお、図10に示したように、右側タップはhにおけるnの値がより大きいタップ(信号に対してより後から畳み込まれるタップ)であり、一方、その反対である左側タップはhにおけるnの値がより小さいタップ(信号に対してより先に畳み込まれるタップ)である。同じタップ長のFIRフィルタを使う場合、送受信側それぞれタップ中心を最適な位置にずらすことによって、補償効果を最大化することができる。
図11は、通常のFIRフィルタのタップ係数を示す図である。図11に示すグラフの縦軸はタップ係数を表し、横軸はタップ位置を表す。図示するように、通常のFIRフィルタにおいては、タップ係数のピーク値(タップ中心)はタップ係数列の中央(以下、「タップ中央」とも言う)にある。
図12は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機補償部を構成するFIRフィルタのタップ係数を示す図である。図12に示すグラフの縦軸はタップ係数を表し、横軸はタップ位置を表す。図示するように、本実施形態に係る光伝送特性補償システムの送信機補償部6を構成するFIRフィルタでは、タップ係数のピーク値(タップ中心)をタップ中央から左側にずらすように構成される。なお、本実施形態に係る光伝送特性補償システムの受信機補償部11を構成するFIRフィルタでは、タップ係数のピーク値(タップ中心)をタップ中央から右側にずらすように構成される。
なお、タップ中心をタップ中央からずらす量(ずらし量)を決定する方法としては、例えば、ずらし量をスイープしながら最も伝送特性が良くなる位置となるずらし量に決定する方法が考えられる。または、配線長からの理論計算により反射による補償を行う範囲を決定して、その範囲に基づいてずらし量を決定する方法などが考えられる。
なお、タップ中心をずらす具体的な方法としては、例えば、上述した式3において、参照信号系列s(n)をあらかじめs(n−τ)などと時間遅延を与えた状態でフィルタを算出する方法などが考えられる。なお、τはタップ中心からずらす時間量である。
図13は、本発明の一実施形態に係る光伝送特性補償システムによる受信Q値改善量を示す図である。図13に示すグラフにおいて、縦軸は受信Q値改善量(単位:dB(デシベル))を表し、横軸はタップ中心の位置を表す。図13に示すグラフは、通常の(タップ中心をずらさない)FIRフィルタに対して、本実施形態に係る(タップ中心をずらした)FIRフィルタを用いた場合に改善される受信Q値の改善量を表した実験結果を示したものである。
上記の実験においては、65タップFIRフィルタが用られたため、タップ中央の位置は横軸においておよそ33の位置である。この位置は通常の(タップ中心をずらさない)FIRフィルタのタップ中央の位置に相当するため、図13に図示するように、受信Q値改善量は0dBとなる(図13のr1)。
図13に図示するように、タップ中心の位置がタップ中央からずらされ、50の位置を超えて60の位置へ近づけられた場合に、0.8dBを超える受信Q値改善量となった。このように、通常の(タップ中心をずらさない)FIRフィルタに対して、本実施形態に係る(タップ中心をずらした)FIRフィルタを用いた場合に、受信Q値が改善されるという実験結果が得られた。
以上説明したように、本実施形態に係る光伝送特性補償システムは、通常は補償用パラメータ(タップ係数)の最大値がタップ係数列の中央にくるのに対して、意図的に最大値の位置をずらすようなパラメータ系列を持つ。タップ中心をずらすことにより、電気配線等などの反射の影響による信号歪みを補償することが可能となり、少ない回路規模にもかかわらずより高い精度の補償が可能になる。
これにより、本実施形態に係る光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法は、回路規模の増大を抑えつつ精度の高い送受信機歪み補償を行うことができる。また、これにより、本実施形態に係る光伝送特性補償システム及び光伝送特性補償方法は、用いるFIRフィルタのタップ数を削減し、FIRフィルタの構成を簡易化することができるため、DSPの回路規模を削減し、低消費電力で高精度な光送受信機の歪み補償を実現することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
上述した実施形態における光伝送特性補償システムの一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
1 送信部、2 伝送路、3 受信部、6 送信機補償部、7 光送信機、8 送信機伝達関数推定部、9 光受信機、11 受信機補償部、13 第1の受信機伝達関数推定部、14 第2の受信機伝達関数推定部

Claims (4)

  1. 光送受信機の送信部から受信部に第1の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第1のデータと、前記受信部の光受信機の仮の伝達関数又は仮の逆伝達関数とから、前記送信部の光送信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する送信機伝達関数推定部と、
    前記送信部から前記受信部に第2の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第2のデータと、推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数とから、前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する受信機伝達関数推定部と、
    推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数を用いて前記光送信機の伝送特性を補償する送信機補償部と、
    推定した前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数を用いて前記光受信機の伝送特性を補償する受信機補償部と、
    を備え、
    前記送信機補償部及び前記受信機補償部のうち少なくとも一方は、デジタルフィルタのタップ係数が最大値となる位置がタップ係数列の中央の位置からずれた位置となる前記タップ係数列を用いて補償する
    光伝送特性補償システム。
  2. 前記送信機補償部は、前記タップ係数が最大値となる位置が、前記タップ係数列の中央の位置から、信号に対してより先に畳み込まれるタップ側にずれた位置となるタップ係数列を用いて補償し、
    前記受信機補償部は、前記タップ係数が最大値となる位置が、前記タップ係数列の中央の位置から、信号に対してより後に畳み込まれるタップ側にずれた位置となるタップ係数列を用いて補償する
    請求項1に記載の光伝送特性補償システム。
  3. 前記タップ係数列の中央の位置と前記タップ係数列の中央の位置からずれた位置との間のずれ量は、配線長に基づいて計算されたずれ量である
    請求項1または請求項2に記載の光伝送特性補償システム。
  4. 光送受信機の送信部から受信部に第1の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第1のデータと、前記受信部の光受信機の仮の伝達関数又は仮の逆伝達関数とから、前記送信部の光送信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する第1のステップと、
    前記送信部から前記受信部に第2の既知信号を伝送した時に前記受信部が取得した第2のデータと、推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数とから、前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数を推定する第2のステップと、
    推定した前記光送信機の伝達関数又は逆伝達関数と前記光受信機の伝達関数又は逆伝達関数とを用いて前記光送信機及び前記光受信機の伝送特性を補償するとき、デジタルフィルタのタップ係数が最大値となる位置がタップ係数列の中央の位置からずれた位置となる前記タップ係数列を用いて補償する第3のステップと、
    を有する光伝送特性補償方法。
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