以下、本発明の一実施例について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態例に係るドラム式洗濯乾燥機の外観図である。図2は内部の構造を示すために筐体の一部を切断して示した斜視図、図3は内部の構造を示すために背面カバーを取り外した背面図、図4は内部の構造を示す側面図、図5は内部の構造を示すために筐体の一部を切断して示した平面図である。
1は、外郭を構成する筐体である。筐体1は、ベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b,前面カバー1c,背面カバー1d,上面カバー1e,下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず),前補強材(図示せず),後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1を含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
9は、前面カバー1cの略中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドアで、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン9dを押すことでロック機構(図示せず)が外れてドアが開き、ドアを前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材は、後述する外槽の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
6は、筐体1の上部中央に設けた操作パネルで、電源スイッチ39,操作スイッチ12,13,表示器14を備える。操作パネル6は、筐体1下部に設けた制御装置38に電気的に接続している。
3は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽(回転ドラム)であり、その外周壁および底壁に通水および通風のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部3aを設けてある。開口部3aの外側には洗濯兼脱水槽3と一体の流体バランサ3cを備えている。外周壁の内側には軸方向に延びるリフタ3bが複数個設けてあり、洗濯,乾燥時に洗濯兼脱水槽3を回転すると、衣類はリフタ3bと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するように動きを繰り返す。洗濯兼脱水槽3の回転中心軸は、水平または開口部3a側が高くなるように傾斜している。
2は、円筒状の外槽であり、洗濯兼脱水槽3を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央にモータ4を取り付ける。モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、洗濯兼脱水槽3と結合している。前面の開口部には外槽カバー2dを設け、外槽内への貯水を可能としている。外槽カバー2dの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部2cを有している。本開口部2cと前補強材37に設けた開口部は、ゴム製のベローズ10で接続しており、ドア9を閉じることで外槽2を水封する。外槽2底面最下部には、排水口2bが設けてあり、排水ホース26が接続している。排水ホース26の途中には排水弁(図示せず)が設けてあり、排水弁を閉じて給水することで外槽2に水を溜め、排水弁を開いて外槽2内の水を機外へ排出する。
外槽2は、下側をベース1hに固定されたサスペンション5(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽2の上側は上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽2の前後方向へ倒れを防ぐ。
19は、筐体1内の上部左側に設けた洗剤容器で、前部開口から引き出し式の洗剤トレイ7を装着する。洗剤類を入れる場合は、洗剤トレイ7を図1の二点鎖線で示すように引き出す。洗剤容器19は、筐体1の上補強材に固定されている。
洗剤容器19の後ろ側には、給水電磁弁16や風呂水給水ポンプ17,水位センサ(図示せず)など給水に関連する部品を設けてある。上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口16a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口17aが設けてある。洗剤容器19は、外槽2に接続されており、給水電磁弁16を開く、あるいは風呂水給水ポンプ17を運転することで、外槽2に洗濯水を供給する。
29は筐体1の背面内側に縦方向に設置した乾燥ダクトで、ダクト下部は外槽2の背面下方に設けた吸気口2aにゴム製の蛇腹管B29aで接続される。乾燥ダクト29内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水電磁弁16から水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト29の壁面を伝わって流下し吸気口2aから外槽2に入り排水口2bから排出される。
乾燥ダクト29の上部は、筐体1内の上部右側に前後方向に設置したフィルタダクト27に接続している。フィルタダクト27の前面には開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ8を挿入してある。乾燥ダクト29からフィルタダクト27へ入った空気は、乾燥フィルタ8のメッシュフィルタ8aに流入し糸くずが除去される。乾燥フィルタ8の掃除は、乾燥フィルタ8を引き出してメッシュ式のフィルタ8aを取り出して行う。また、フィルタダクト27の乾燥フィルタ9挿入部の下面には開口部が設けてあり、この開口部は吸気ダクト33が接続しており、吸気ダクト33の他端は送風ユニット28の吸気口と接続している。
送風ユニット28は、駆動用のモータ28a,ファン羽根車(図示せず),ファンケース28bで構成されている。ファンケース28bにはヒータ31が内蔵されており、ファン羽根車から送られる空気を加熱する。送風ユニット28の吐出口は温風ダクト30に接続する。温風ダクト30は、ゴム製の蛇腹管A30a,蛇腹管継ぎ手30bを介して外槽カバー2dに設けた温風吹き出し口32に接続している。本実施例では、送風ユニット28が筐体1内の上部右側に設けてあるので、温風吹き出し口32は外槽カバー2dの右斜め上の位置に設け、温風吹き出し口32までの距離を極力短くするようにしてある。
排水口2b,送風ユニット28の吸気口及び吐出口には温度センサ(図示せず)が設けてある。
洗濯乾燥時に発生する衣類のしわを伸ばす「しわ伸ばし」について説明する。
高速の風を衣類に直接当て、風の力で衣類に発生するしわを伸ばす。このためには、高速の風を発生する送風ユニット28とこの風を直接衣類に当てる温風吹き出し口32が必要となる。送風ユニットに必要な性能に関しては、後述する。温風吹き出し口32の詳細を図7,図8を用いて説明する。図7は温風吹き出し口28設置部の外槽カバー2dの正面図、図8は図7の二点鎖線A−Aで切断して示した温風吹き出し口32の断面図である。
温風吹き出し口32は、外槽カバー2dの前側から開口部2cに沿って設けてあり、内部に流路32b,32cが形成されている。温風吹き出し口32の入口には蛇腹管継ぎ手30bが取り付けてあり、流路32cの出口にはノズル32dが形成されている。洗濯兼脱水槽3と外槽カバー2dとのすき間に衣類が入り込まないよう、外槽カバー2dの開口部2cの内径と洗濯兼脱水槽3の開口部3aの内径は、ほぼ同一に設定されている。このため、温風吹き出し口32の出口部32aを開口部2cの内周面より内側に飛び出すように形成し、ノズル32dが洗濯兼脱水槽3内に向かって開口するようにしてある。このようにすることで、ノズル32dから出た温風は直接洗濯兼脱水槽3内の衣類に当てることが出来る。
なお、出口部32aの飛び出し量が多すぎると、洗濯や乾燥時に衣類の動きを阻害するため、図7に示すようにノズルを扁平のスリット形状として飛び出し量を小さくし、かつ開口部2cと出口部32aの表面形状がスムーズ変化するようにしてある。また、流路32bと流路32cは無駄な突起や、急激な流れ方向の変化が無いようにし、かつノズル32dに向かい流路面積が徐々に小さくなるようにしてある。こうすることで、高速の風が流路32b,32cを流れるときに発生する圧力損失や流体音を小さくすることが出来る。
乾燥運転時の風の流れは次のようになる。送風ユニット28を運転し、ヒータ31に通電すると、ノズル32dから洗濯兼脱水槽3内に高速の温風が吹き込み(矢印41)、湿った衣類に当たり、衣類を温め衣類から水分が蒸発する。高温多湿となった空気は、洗濯兼脱水槽3に設けた貫通孔から外槽2に流れ、吸気口2aから乾燥ダクト29に吸い込まれ、乾燥ダクト29を下から上へ流れる(矢印42)。乾燥ダクト29の壁面には、水冷除湿機構からの冷却水が流れ落ちており、高温多湿の空気は冷却水と接触することで冷却除湿され、乾いた低温空気となりフィルタダクト27へ入る(矢印43)。フィルタダクト27に設けたメッシュフィルタ8aを通り糸屑が取り除かれ、吸気ダクト33に入り、送風ユニット28に吸い込まれる(矢印44)。そして、ヒータ31で再度加熱され、洗濯兼脱水槽3内に吹き込むように循環する。
図9は、上記のような乾燥運転を行った場合のノズル32dを噴出する風速と乾燥後の衣類の仕上り具合を調べた結果の一例である。風速と風量はモータ28aの回転数とノズル32dの面積を変えることで調節した。なお、風速は、送風ユニット28の流量圧力特性を測定した結果から計算した値である。流量圧力特性は、図10に示す装置で測定を行った。均圧箱の吸気口と送風ユニット28の吐出口にオリフィスを取り付け、オリフィスの直径とモータ28aの回転数を種々変えながら流量と送風ユニット28の吸気口及び吐出口の圧力を測定し、流量圧力特性を求めた。そして、送風ユニット28を洗濯乾燥機へ実装した時の送風ユニット28の吸気口と吐出口の圧力を測定し、上記の流量圧力特性から流量を求め、この流量をノズル面積で割った値を風速とした。
実験条件は、図中に示すとおりであり、試験機は、直径600mmで容積75Lの洗濯兼脱水槽を有するドラム式洗濯乾燥機で、布量は2kgである。仕上りの評価は各種衣類で行ったが、最もしわ付きが顕著だった薄手の綿パジャマズボンの結果を示している。評価は目視による5段階の官能評価であるが、官能評価値に対する仕上り具合の例を図11に示す。上ノズルは、上述した位置にノズル32dを設けた場合(外槽カバー2dの右斜め上の位置)、下ノズルは、外槽カバー2dの下部に設けた場合である。ノズル32dからの風の吹き出し方向は、略洗濯兼脱水槽3の底壁中央に向くようにした。結果は、評価者3名の平均値である。
図から、(A)・風速が高くなるにつれて仕上りがよくなる。しかし、風速が高すぎると逆に仕上りが悪化する(上ノズル1.5m3/minのデータから)。
(B)・同じ風速であれば流量が多い方が仕上りはよいが、流量1.5m3/minと1.7m3/minの差は小さい。
(C)・同じ風速,流量で比較すると、下ノズルの方が上ノズルよりも仕上りがよいことが分かる。このように、風速が高いほうが仕上りは良くなるが、流量もある程度多い方が良い。従って、どちらか一方を大きくするのではなく、両者のバランスを考えて設定するのが望ましい。具体的には、仕上りだけでなく、電流値(家庭用の商用電源の場合は、送風ユニット28とヒータ31,モータ4,制御装置38の合計で15A以下)や乾燥性能,風が循環するダクトの流路面積,洗濯乾燥機への実装などを考慮して風速と流量を決定する必要がある。
官能評価値4以上であれば、乾燥後の衣類をそのまま着用しても不満が少ない。本実験機で官能評価値4以上とするためには、上ノズルの場合、流量1.5m3/minで風速90m/s以上が必要である。ただし、風速が高すぎると仕上りが悪化する傾向があるため、最高でも風速130m/s程度に抑えた方がよい。また、風速100〜120m/sで最も仕上りが良くなる。下ノズルの場合、流量1.5m3/minで風速60m/s以上が必要であるが、風速80m/s以上では仕上り具合がほとんど変わらないため、最大でも80m/s程度でよい。上記の風速を出すためのノズル面積は、上ノズルの場合で190〜280mm2、下ノズルの場合で310〜415mm2以下となる。従って、送風ユニット28には、上記面積のノズルから上記流量を流すだけの性能が必要である。本実施の形態例では、ノズル位置は上ノズル、ノズル面積250mm2(幅50×高さ5mmのスリット上)で、送風ユニット28はファン羽根車径140mm,羽根厚さ7mmで回転数を毎分16000回転で運転している。これによりファン吐出圧力が約7500Pa(空気温度30℃時)となり、流量約1.5m3/minで風速約100m/sを得ている。
しわがつきにくい衣類の場合は、上記の風速より低い値でも官能評価値4以上の仕上りが得られるが、種々の衣類を同時に乾燥するのが一般的であり、しわになりやすい衣類に合わせて風速を決定するほうが良い。
高速の風を衣類に当てることにより、衣類のしわが減少する理由について図12を用いて述べる。図12(a)はノズル32dから出た高速の風41が衣類に当たった時の模式図である。ここでは、衣類の背面に他の衣類がある場合を示している。風が衣類に当たると、衣類には風で押し広げられる力(矢印(1))と、衣類に当たった後流れ方向を変え衣類表面に沿って流れる風で左右に引っ張られる力(矢印(2))が作用する。この(1)と(2)の力で衣類のしわは伸ばされる。洗濯兼脱水槽3内の衣類の量が多い場合は、直接風が当たる衣類の周囲に他の衣類が多く自由に動きにくいため、主に(1)の力でしわが伸ばされる。衣類の量が少ない場合は、衣類が自由に動き、風が当たった衣類は風の流れ方向に押されながら吹き流しのようになり、衣類表面に沿って流れる風による(2)の力でしわが伸ばされる。衣類の量が少ない場合は、乾燥中に衣類が広がりしわは発生しにくいので、ここでは(1)の力について考える。
(1)の力Fは、図12(b)に示すように、ノズル32dから吹き出す風の流量をQ、風速をVとすると、QとVの積に比例する。また、ノズル32dと衣類との距離をXとすると、力FはVに比例しXに反比例する。ただし、ノズル32dと衣類との距離が非常に近い場合(噴流のコア領域、円形ノズルの場合でノズルからノズル径の約6倍の位置まで)は、FはXに関係なくVに比例する。従って、Fを大きくするためには、流量Qを増やすか風速Vを増す、あるいはXを小さくすればよい(衣類をノズルに近づける)。図8で示した仕上りの結果は、これで説明できる。
流量Qを増やすためには、送風ユニット28のファンの回転数を高めたり、ファンの外径や羽根高さを増やしたりする必要がある。また、温風が通るダクトの面積を大きくして圧力損失を小さくした方が良い。特に、除湿に水を使用する水冷方式の場合、乾燥ダクト29を流れる空気の流速が速すぎると、冷却水が風に吹き飛ばされる現象が発生する。冷却水がフィルタ8aやヒータ31まで到達すると、乾燥効率の大幅な低下につながるため、乾燥ダクト29の流路面積を大きくすることが必須である。このため、流量を大幅に増やすと、ダクトや送風ユニットのサイズが大型化し、筐体1のサイズの大型化につながり、洗濯乾燥機を家庭へ設置しにくくなる。
一方、風速Vを増やすためには、送風ユニット28を圧力タイプのものにしてノズル面積を小さくすればよい。送風ユニット28として、一般的なターボファンを使用した場合、低い回転数でファン羽根車を大径化する方法と、ファン羽根車の径は小さいままで回転数を高くする方法とがあるが、高速回転化は、従来と同一の筐体に実装できる利点がある。
図8で示した仕上りの実験結果では、風速が高すぎると、仕上りが悪化する現象が見られた。このことは、上記では説明ができない。実験中の衣類の動きを観察すると、風速が高すぎると風の勢いで衣類が捩れるような現象が生じていることが分かった。従って、このことが仕上り悪化の原因である。
ノズル32dと衣類の距離Xを小さくするためには、乾燥時に衣類が必ず通る場所の近くにノズル32dを設ければよい。従って、ノズル32dの位置は、リフタ3bが衣類を持ち上げる位置、すなわち洗濯兼脱水槽3の下側(外槽カバー2dの下側)に設ければよい。ノズルを下に設けることで、図8で示したように風速が60m/s程度でも仕上りをよくすることができるため、ノズルが上にある場合に比べ送風ユニット28の圧力や流量を低くすることができる(ファン羽根車の回転数を低くできる)という利点がある。また、ノズルが下にあると、風の吹き出し方向と重力の方向が逆になる。風が衣類に当たった時、衣類の自重のために衣類が逃げにくく、衣類に作用する力Fが減衰しないため、仕上りを一層良くできるという利点がある。
ノズル32dを下側に設けた場合、乾燥ダクト29や送風ユニット28を外槽2の下側に設けた方が実装上コンパクトに出来る。しかし、洗濯時の洗濯水がノズル32dから浸入し送風ユニット28内へ流入するため、水の浸入防止機構を設ける,防水タイプの送風ユニットにするなどの対策が必要である。
本実施の形態例では、ノズル32dを外槽カバー2dの右斜め上の位置に設けてあるため、洗濯水が浸入する心配はない。この場合、洗濯兼脱水槽3の回転数を適切に制御し、衣類をノズル32dの近くまで持ち上がるようにし、できるだけ高速の風が衣類に当たるようにする必要がある。衣類は、洗濯兼脱水槽3の回転による遠心力とリフタ3bにより上方に持ち上がる。このため、回転数は洗濯兼脱水槽3の直径に応じて最適値があり、直径が大きいほど回転数は低くなる。ただし、重力で早く落下する衣類もあり、平均的なノズルと衣類の距離はノズルを下側に設けた場合より長くなるのは避けられないため、図8で示したようにノズル出口の風速を高める必要がある。
ここで、送風ユニット28の詳細を説明する。図15は送風ユニット28の断面図である。図16は主ファンケースを外した状態で羽根車を置いた状態の平面図である。図17はファンカバーを取り除いた状態の平面図である。図18は羽根車101の羽根101cの入口出口がわかるようにした断面図である。図19は羽根車の断面図である。図20は羽根車の平面図である。図21は側板を取り除いた平面図である。
送風ユニット28はモータ28aと羽根車101を内包する主ファンケース28dとファンカバー28eとからなるファンケース28bとから構成されている。ファンカバー28eには中央に円形の開口を持つ、断面が曲率を持った部分と円環状の部分とを持つベルマウス33aが設けられ、羽根車101の円環部101fとベルマウス33aの円環状の部分とが重なるように構成されている。このとき、ベルマウス33aの円環状の部分が内側に入る。
羽根車101は、モータ28aの回転軸102に固定される主板101bと羽根101cと中央に開口を持つ側板101aとで構成されている。主板101bは補強板101dと補強板101eとで挟み込まれ、カシメ部111aとカシメ部111bとで固定されている。このカシメ部111aとカシメ部111bとは1個おきに羽根側と反羽根側とから力を加え、カシメることによって固定されている。側板101aは主板101bとほぼ平行になる部分と、その中央部には主板101bと反対方向に曲げこまれていて、曲がり部101gと吸込み口を形成する円環部101fとが設けられている。
羽根101cは羽根車101の回転方向109に対して、内径側から外径側にかけて後退していくような形をしている。このような羽根は、一般には後ろ向き羽根とも呼ばれ、このような羽根形状を持つ羽根車を用いたものはターボファンとも呼ばれる。羽根が回転方向に前進するような形のものは前向き羽根と呼ばれ、このような羽根形状を持つ羽根車を用いたものはシロッコファン、あるいは、多翼ファンとも呼ばれる。
羽根101cにはその両側に5個ずつの突起(図示しない)が設けてあり、側板101aと主板101bとに設けられた、羽根に対応した5個ずつの長方形の穴(図示しない)に差込み、両側から力を加え突起をつぶして固定する。この方法として、超音波を加えながら行うとカシメた時の高さを小さくできる。この実施例では羽根101cは8枚であり、これらを全て主板101bと側板101aにセットしてからカシメ作業を行う。カシメ部のうち最内径のカシメ部110aは側板101aの曲がり部101gに掛からないようにしている。また、羽根101cの先端も側板101aの曲がり部に掛からないようになっている。
羽根車101のうち、側板101aと主板101bと羽根101cとは金属製であり、特にアルミニウムを用いている。この場合には、アルミニウムの中でも強度の高い超硬アルミニウムを用いている。補強板101dと補強板101eは鉄製であり、この場合は腐食しにくいステンレスを用いている。2つの補強板101dと101eはその外径は異なったものを用いているが、これによりいろいろな外力が加わったときに応力集中を緩和できる。
主ファンケース28dとファンカバー28cとで形成される内部空間には渦巻状の流路が形成されている。この渦巻状の流路はスクロール106であり、羽根車101から排出された流れを減速しながら静圧として回収する働きをしている。スクロール106の出口にはノーズ107があり、ファンカバー28c側にノーズ107aが、主ファンケース28b側にノーズ107c,スリット107d,ノーズ107eが設けられている。ノーズ107の下流にはヒータ31が設けられ、その下流には吐出口115が設けられている。
主ファンケース28dとモータ28aとは、その中央部分に防振ゴム105を介して支持され、図示はしていないが、モータ28aのモータエンブラ28bと主ファンケースの間も4個の防振ゴムを介して支持されている。なお、防振ゴム105は主ファンケース28dからの空気の流出を防ぐように気密をする機能を合わせ持たせている。
次に、送風ユニット28内の空気の流れを説明する。モータ28aが回転すると、羽根車101が回転し、それに伴ってフィルタダクト27を通って吸気ダクト33内の吸気流路33bよりベルマウス33aから羽根車101に矢印117で示されるように空気が流入する。矢印116で示すように羽根車101で昇圧された高速の空気は羽根車の全周から排出され(矢印118)、スクロール106で集められると共に減速され、矢印119で示すようにノーズ107とファンケース28aとの隙間から下流に流れ、ヒータ31で加熱されたのちに吐出口115を介して送風ユニット28より排出される。
羽根車101の外径は140mmであり、これを16000r/minで回転させているが、この条件では羽根車101の周速は約117m/sであり、送風ユニットとしての出力は約200Wとなる。このように大きな出力と圧力上昇を得るために、強度を確保する必要があり羽根車101は金属製、特にアルミニウム製とした。アルミニウムは熱伝導性が良いので、モータ28aで発生した熱を回転軸102を介して羽根車101が受け取り、羽根車101から空気中に放出する。これによってモータ28aを冷却すると共に、モータ28aの廃熱を空気に与えることによって、乾燥系の空気の湿度を向上させることなく、温度を上昇させることにも使うことができる。
また、羽根101cを薄くしても強度を確保できるので、羽根枚数を増やしても羽根間の流路を広く取ることができるので、羽根車101内の流れの摩擦抵抗を小さくできる。
さらに、アルミニウムは延び易いので、側板101aに曲がり部101g及び円環部101fを作ることができるので、ベルマウス33aの円環部と平行にでき、また、ベルマウス33aとの距離を大きくできるので、2つの円環部の隙間を通って流れ込む漏れ流れの影響を受けにくくすることができるので、乱れた流れが羽根間に入りにくくなり、騒音を小さくできるとともに、流体抵抗を小さくできる。また、2つの円環部の隙間を2mmとっているが、その隙間の大きさを一定にできるので、羽根車がファンケース28bに対して動いたときに、漏れ流れの量が変化しにくいという効果が得られる。
吸気ダクト33は乾燥ダクト29から流れ込む空気を図15の左側から受け入れるので、ベルマウス33aに至ったときの流れには、偏りをもってしまう。羽根車101の羽根101cの先端が曲がり部101gの後ろ側に位置しているので、この偏流した流れの影響を受けにくく、流体抵抗の増大を防ぐとともに、流れの乱れによる騒音の発生を抑制できるので、騒音を低くできる。
羽根車101の羽根101cの出口を三角状に切り欠いているので、羽根車101から出た流れがノーズ107に流入するタイミングをずらすことができ、羽根車101からの周期的に速度変動する流れがノーズ107に流入するタイミングをずらすことができるので、羽根車の羽根数と回転数の積を基本次とするその整数倍の周波数の騒音、いわゆる、羽根音を小さくできる。また、三角上の切り欠きが設けてあると、羽根車101を組み立てるときに、切り欠きがあるほうが外側にくるということが分かりやすいので、組み立てが容易になる。ここでは、三角状の切り欠きとしているが、斜めに傾斜させてもかまわない。
ここで用いたスクロール106は拡大角4度であるが、大きさに余裕があればさらに大きな拡大角を用いてもかまわない。ノーズ107はその先端部分は直線状に形成していて、その先端と羽根車101との距離を約15mmとして、羽根音の増大を小さくするようにしている。羽根音の増大を抑制するためにノーズにはスリット107dを設け、空気の流通を可能としている。このスリット107dにより、ノーズ107に生じた圧力変動を緩和できるので、羽根音の抑制に効果が大きい。この実施例ではスリットの幅は3mmで深さは5mmである。スリットの幅を大きくしたり、深さを大きくすると羽根音の抑制効果は大きくなるが、圧力上昇値が低くなるという不具合も出てくる。なお、このスリット107dのほとんどは羽根車101の側板101aに掛からない位置にあるので、圧力上昇値の低下がほとんどなく、羽根音の抑制に効果が大きかった。
なお、ターボファンを使うとシロッコファンに比べて、羽根車101から排出する流れをより低速にできるので、小さなスクロール(拡大角の小さいスクロール)でも減速量が少ないので損失を小さくできるので、空間的に余裕がなく、スクロールを大きく取れない洗濯乾燥機でも、性能を比較的高くできるという特徴をもっている。また、羽根車の幅も小さくできるので、省スペースを実現できる。また、羽根101cの幅(図18の上下方向)いっぱいに流れを流すので、流れの剥離などによる空気のよどんだところができにくいので、繊維くずが滞留して、羽根101cに付着するのを防ぐことができるという利点もある。
なお、ファン吐出圧と風量を満足させるためには、羽根車の回転数としては10000から20000r/min、羽根車の外径は120mmから180mm程度とするのが好適である。
図6は、洗濯乾燥機の制御装置38のブロック図である。50はマイクロコンピュータで、各スイッチ12,13,13aに接続される操作ボタン入力回路51や水位センサ34,温度センサ52と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程,乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ50からの出力は、駆動回路54に接続され、給水電磁弁16,排水弁25,モータ4,送風ファン28,ヒータ31などに接続され、これらの開閉や回転,通電を制御する。また、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための7セグメント発光ダイオード表示器14や発光ダイオード56,ブザー57に接続される。
前記マイクロコンピュータ50は、電源スイッチ39が押されて電源が投入されると起動し、図14に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
〔ステップS101〕
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
〔ステップS102〕
操作パネル6の表示器14を点灯し、操作ボタンスイッチ13からの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯/乾燥コースを自動的に設定する。例えば、操作ボタンスイッチ13aを指示入力された場合は、乾燥の高仕上げコースを設定する。
〔ステップS103〕
操作パネル6のスタートスイッチ12からの指示入力を監視して処理を分岐する。
〔ステップS104〕
洗濯を実行する。洗濯は洗い,中間脱水,すすぎ,最終脱水を順次実行するが、通常のドラム式洗濯乾燥機と同様であるので、詳細な説明は省略する。
〔ステップS105〕
洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。洗濯コースのみが設定されている場合は、運転を終了する。
〔ステップS106〕
洗濯乾燥コースが設定されている場合は、温風脱水を実行する。温風脱水は、送風ユニット28を低速回転で運転し、ヒータ31に通電(強モード)して温風を洗濯兼脱水槽3内に吹き込み衣類の温度を上昇させる。同時に、洗濯兼脱水槽3を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する(温度が上がると水の粘性が低下するため効率よく脱水できる)。本実施の形態例では、送風ユニット28の回転数を毎分11000回転に設定している。これは、許容電流値(15A)を超えないようにするためである。
〔ステップS107〕
乾燥運転1を実行する。送風ユニット28は低速回転、ヒータ31は強モードで運転し、洗濯兼脱水槽3の正逆回転を繰り返し、洗濯兼脱水槽3内の衣類の位置を入れ替えながら、高温の温風を衣類に吹き付ける。衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発する。
〔ステップS108〕
高仕上げコースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。高仕上げコース異倍のコースの場合は、ステップS107を乾燥終了まで行う。
〔ステップS109〕
乾燥開始からの経過時間が既定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。規定の時間は、衣類の乾燥度(=乾布の質量/湿布の質量)が0.9に達するより前に設定する。
乾燥は、次のように進行する。乾燥の初期は、衣類の温度を上昇させる予熱期間で、衣類の温度を速く上昇させるために、極力多くの熱量を衣類に与えることが重要である。予熱期間中は、衣類からの水分の蒸発は少ない。
衣類の温度が上昇するに従い、衣類からの水分の蒸発が多くなるため、気化熱により衣類の温度上昇は鈍くなり、やがて加熱と気化熱がバランスし、衣類の温度はほとんど一定となる(恒率乾燥)。衣類の水分量が少なくなると気化熱が減少し、衣類の温度が再び上昇を始め、衣類の水分がなくなると温風とほぼ同一の温度となり乾燥が終了する(減率乾燥)。衣類の温度が上昇を始めるのは、乾燥度が0.9付近になった時である。
衣類に水分が多く含まれている時点では、衣類にしわがついたとしても簡単に直すことができる(しわがついた衣類に霧吹きやスチームで水分を与えるとしわがとれることからも分かる)。しかし、しわが付いたままの状態で乾燥度0.9以上に乾燥が進むとしわが固定化する。一度固定化したしわをそれ以降の工程でとることは、ほとんどできない。従って、乾燥度が0.9になる前にしわを伸ばすことが重要となる。
実際の乾燥時には、材質や厚さが異なる衣類を同時に乾燥するので、乾燥度が0.9になる時間も衣類により様々である。従って、本実施の形態例では、最もしわになりやすい薄手の綿衣類の乾燥度が0.8から0.85程度になる時間に設定してある。また、布量によって乾燥度が0.9になる時間は異なるため、布量に応じて時間を設定する必要があることはもちろんである。
〔ステップS110〕
乾燥運転2を実行する。洗濯兼脱水槽3の正逆回転は続けたまま、送風ユニット28を高速回転し、ヒータ31を弱モードにして洗濯兼脱水槽3内の衣類に高速の風を吹き付け、しわを伸ばしながら乾燥を行う。送風ユニット28を高速回転した時に、ヒータ31を弱モードにするのは、許容電流値を越えないようにするためである。本実施の形態例では、送風ユニット28の回転数を毎分16000回転に設定している。毎分16000回転時の送風ユニット28の入力電流は約7A、ヒータ31が約6A、モータ4と制御装置38で約1Aとなっている。
本ステップでは、ヒータ31が弱モードとなるため、ステップS107に比べ低下する。特に乾燥度が0.9を越すと衣類の温度が上昇し、温風温度に近づいてゆくが、温風温度が低いため、衣類の温度を低く抑えることができ、衣類へのダメージを軽減できるメリットもある。
乾燥は、温度センサにより温風や冷却水排水温度を監視しながら実行し、温度変化の割合が所定の値になったときに終了する。
なお、ステップS107の乾燥運転1を実施せず、ステップS110の乾燥運転2を最初から行っても良い。布量が多くなるに従い、洗濯兼脱水槽3内での奥と手前側の衣類の入れ替わりが起きにくくなり、温風が吹き付けられている手前側の衣類は速く乾いていく。このため、最初から送風ユニット38を高速で運転することで、乾燥速度が大きくばらついても、速く乾いた衣類へしわが付くのを防止できる。
以上、上述の実施例によれば、乾燥運転中に衣類に高速の風を直接吹き付けるので、風により衣類が押し広げられ、衣類のしわが伸ばされて、しわの少ない乾燥仕上りを実現できる。
また、前記高速の風を吹き出すノズルを回転ドラムの上側に設けた場合、風量を毎分約1.5立方メートル、風速を毎秒90メートルから130メートルとすることで、効率よく衣類のしわを伸ばすことができる。
また、前記高速の風を吹き出すノズルを回転ドラムの下側に設けた場合、風量を毎分約1.5立方メートル、風速を毎秒60メートルから100メートルとすることで、効率よく衣類のしわを伸ばすことができる。衣類の下側から風を吹き付けることで、落下する衣類自重のために衣類へ働く力が増加し、低い風速でもしわを十分に伸ばすことができる。さらに、落下する衣類に下側から風を吹き付けるため、衣類が落下傘のように広がるため、よりしわを伸ばす効果が大きくなる。
また、送風手段の一部として羽根車を用い、吸込み口を有する前面プレートと後面プレートを有し、前面プレートと後面プレートとの間に羽根を有し、羽根が中心側から外径側に行くに従って回転方向とは反対側に後退する羽根車を金属製とすることで、高速の風を起こすことができ、かつ、小さなスペースで実現でき、また、騒音を小さくすることができる。
次に送風する手段としての送風ユニットの騒音低減に関し、図22〜図31を引用して説明する。
図22〜図31に示す送風ユニットは、ファンケースと駆動用モータを、中央防振ゴムと、外周防振ゴムを介して弾性的に結合した。
更に具体的には、ファンケースの中央部位と駆動用モータの中央部位との間に介在する中央防振ゴムと、ファンケースの外周側部位と駆動用モータの外周側部位との間に介在する外周防振ゴムを設け、前記外周防振ゴムのゴム硬度を中央防振ゴムのゴム硬度よりも低くした。
この中央防振ゴムと外周防振ゴムを介在して弾性的な結合により、送風ユニットの運転騒音を低減することができる。
この騒音低減化を図った送風ユニットの実施例では、先の実施例と違うところを主に詳しく説明する。先の実施例と共通するところは共通の符号を付し説明は省く。
送風ユニット200は、図23,図24に示すように、ファン羽根車201を内置するファンケース202と、ファン羽根車203を回す駆動用モータ204と、ファンケース202の中央部位と駆動用モータ204の中央部位との間に介在する中央防振ゴム205と、ファンケース202の外周側部位と駆動用モータ204の外周側部位との間に介在する外周防振ゴム206を有する。
中央防振ゴム205のゴム硬度は高く、外周防振ゴム206のゴム硬度は低い。中央防振ゴム205は材質がNBR、ゴム硬度が30〜50度程度である。外周防振ゴム206は材質がシリコンゴム、ゴム硬度が10〜30度程度である。
中央防振ゴム205が一つ備えるのに対し、外周防振ゴム206は、図22に示すように、複数(4個)が等間隔で備えられる。中央防振ゴム205,外周防振ゴム206は乾燥運転で上昇する高温に耐える耐熱性を有するゴムが用いられる。
ファンケース202は、主ファンケース202dとファンカバー202eを有する。主ファンケース202dとファンカバー202eの外周を突合嵌合してファンケース202は構成される。主ファンケース202dとファンカバー202eは耐熱性の合成樹脂で作られる。
駆動用モータ204の反対側に位置するファンカバー202eは、中央部位に吸い込み用の開口202jを有する。ファン羽根車201はターボファンで、前述した高速回転により、ファンカバー202eの開口202jより回転軸芯線方向に空気を吸引して外周方向に吐き出す。
駆動用モータ204は、主ファンケース202dの中央を貫いてファンケース202の内部に延在し、ファン羽根車201を固定支持する回転軸204aを有する。回転軸204aは、駆動用モータ204のハウジングケース204bの両端側に設けた軸受(図示せず)に回転自在に支持される。
ハウジングケース204bの両端側には、回転軸204aの外側に同心的に形成された環状の凹部204cが設けられる。ハウジングケース204b内の両端中央に置かれる軸受(図示せず)は、凹部204cのハウジングケース204bの内部側に固定支持される。
中央防振ゴム205は、図23,図24に示すように、凹部204cに嵌合して保持される。この中央防振ゴム205は、図25〜図27に示すように、環状のベース部205aと、ベース部205aに立つ放射状に配置された複数の支隆起片205bと、複数の支隆起片205bをつなぐ環状リング205c,205dを有する。
支隆起片205bは中央が高く立ち上がっているので、中央の環状リング205cは外周の環状リング205dよりも高く立っている。環状リング205c,205dでつながった中央の高い複数の支隆起片205bが凹部204cに嵌合することにより、中央防振ゴム205は安定した保持が確実に行われる。
また、中央防振ゴム205は、環状のベース部205aと、ベース部205aに立つ放射状に配置された複数の支隆起片205bと、複数の支隆起片205bをつなぐ環状リング205c,205dを有する。このため、中央防振ゴム205は、ゴム硬度の高いゴムで形成されているのにも係らず、内部が詰まった一塊の防振ゴムに比べ、弾性に富み、防振機能に優れる。
中央防振ゴム205は、中央に回転軸204aが通される中央貫通穴205eと、中央貫通穴205eの周縁(駆動用モータ204に対面する周縁)に設けられ、駆動用モータ204に当接するモータ側環状気密突起205fを有する。このモータ側環状気密突起205fが駆動用モータ204に当接して駆動用モータ204との気密が保たれる。
また、中央防振ゴム205は、環状のベース部205aに設けられ、ファンケース202の主ファンケース202dに当接する複数(3条)のファンケース側環状気密突起205gを有する。この複数(3条)のファンケース側環状気密突起205gは中央貫通穴205eと同心的に設けられ、主ファンケース202dに当接してファンケース202の気密が保たれる。
こうしてファンケース側環状気密突起205g、およびモータ側環状気密突起205fにより、気密が保たれる。このため、主ファンケース202dを貫いて通して回転軸204aの回りに存在する隙間からの空気リークは、大気圧との圧力が大きい(ターボファンの場合は大きい)にも係らず、防止される。
また、ファン羽根車201の吸引作用により、中央防振ゴム205には回転軸204aの軸芯線方向の圧縮力が作用する。このため、ファンケース側環状気密突起205g、およびモータ側環状気密突起205fの気密が更に促進して気密性能が向上する。
中央防振ゴム205は、環状のベース部205aに主ファンケース202dと係合する係合足205hを有する。中央防振ゴム205の係合足205hが主ファンケース202dに係合し、中央防振ゴム205の複数の支隆起片205bが凹部204cに嵌合して、ファンケース202と駆動用モータ204の位置関係を拘束する。
この中央防振ゴム205による拘束で、ファンケース202と駆動用モータ204の中心位置が合わさった状態が維持される。
駆動用モータ204は、図23,図24,図28に示すように、外周に支持鍔207を有する。この支持鍔207に外周防振ゴム206は取り付け支持される。外周防振ゴム206は、外周にリング溝206aを有する。支持鍔207に設けた支持穴207aにリング溝206aを嵌めて外周防振ゴム206は支持鍔207に取り付け支持される。
介在部材206bはリング溝206aと支持穴207aの間に介在するように置かれる。介在部材206bは筒部と、筒部の上端に設けた鍔部を有する。この介在部材206bは、軟らかなシリコンゴムで形成された外周防振ゴム206の変形防止や支持穴207aのエッジでの切れ防止をする。
外周防振ゴム206は、中央を軸方向(ファンケース202に向く方向)に貫く通し穴206cを有する。止めねじ208は、通し穴206cに通して主ファンケース202dに設けたねじボス202iに螺合する。この止めねじ208の締め付けで、駆動用モータ204をファンケース202に締結し、送風ユニットが組み上がる。
断熱シート209は、ねじボス202iと外周防振ゴム206の間に介在する。この断熱シート209で、ファンケース202から駆動用モータ204に伝わる熱を抑えている。
中央防振ゴム205、および外周防振ゴム206の作用・効果について説明する。
送風ユニットは、ファンケース202の中央部位と駆動用モータ204の中央部位を、ゴム硬度の高い中央防振ゴム205で弾性的に接合し、ファンケース202の外周側部位と駆動用モータ204の外周側部位を、ゴム硬度の低い外周防振ゴム206で弾性的に接合したファンケースと駆動用モータの組み合わせ構成が特徴である。
ファンケース202の中央部位と駆動用モータ204の中央部位がゴム硬度の高い中央防振ゴム205で弾性的に接合しているので、輸送時に駆動用モータ204の重量による衝撃荷重が作用してもファンケース202と駆動用モータ204の中央位置が位置ずれすることなく、確り支持される。
また、乾燥運転でのファン羽根車201の強い吸引作用が回転軸204aの軸芯線方向に作用してもゴム硬度の高い中央防振ゴム205で弾性的に支えられるので軸芯線方向の動きは抑えられる。このため、ファン羽根車201のファンケース202への接触は阻止される。
駆動用モータ204は、ファン羽根車201を含めた残留不釣合いの遠心力により加振されるが、外周側部位に配置した複数の外周防振ゴム206で径方向の動きは拘束されている。このため、残留不釣合いの遠心力による加振は、図29の点線で示すように、中央防振ゴム205を支点としたバタフライ振動に変わる。このバタフライ振動は外周側が大きな振幅になるので、ゴム硬度の低い外周防振ゴム206でそっと支えることにより振動伝達を抑える。
すなわち、外周防振206は、撓ませない程度で駆動用モータ204の外周部位に支えるようにしている。これにより、大きな変位に対しては変位に比例する力で拘束するが、微振動に対しては殆んど力は発生しない。したがって、ファンケース202には振動が伝達されなく、送風手段(送風ユニット)の騒音低減が図られる。
図30,図31は、送風手段(送風ユニット)の騒音を周波数、および騒音レベルの測定値を示したグラフである。
図31は、中央防振ゴム,外周防振ゴムがともにゴム硬度40のときの測定値である。図30は、中央防振ゴムのゴム硬度が40度、外周防振ゴムのゴム硬度が10度のときの測定値である。外周防振ゴムのゴム硬度を下げることにより、250Hz成分の騒音が55dBから39dBに低減され、聞き易い音にすることができた。
次にサイレンサに関する実施例について、図32〜図34を引用して説明する。
なお、前述した第1の実施例と共通するところは同じ符号を付して説明は省略し、サイレンサに関するところを主に説明する。
図32はファンカバー28eにサイレンサを取り付けた時の平面図である。図33はファンカバー28eとファンケース28bが取り付いたときの図32のE−E断面図である。図34はサイレンサ301aの断面図である。
送風する手段の送風ユニット28のファンカバー28eにはヒータ33が取り付けてあるのと、その吐出口115の近くにサイレンサ301a,301bが取り付けてある。サイレンサ301aと302bは同じ大きさをしていて、断面形状は円形で、その管直径が13mmで中心での長さが46mmである。サイレンサ301aと301bの管の一端は開口端306を持ち、サイレンサ外とつながっている。また、他端は閉じていて、斜め45度の傾斜を持つ斜面部307となっている。2つのサイレンサは一体として形成されていて、ファンカバー28eにねじ留めされている。
羽根車101から流出した流れは、スクロール106で集められ、ノーズ107aとファンカバー28eとファンケース28bとの間を流れた後、ヒータ33を通過するときに加熱され、下流に流れ、吐出口115よりさらに下流に流れていく。サイレンサ301a,301bはこの流路中に置かれその開放端は吐出口115方向、言い換えれば流れの下流方向を向いている。2つのサイレンサはほぼ平行に配置され、また、管の長さは管の断面の寸法より大きくなっている。
ファンケース28bはヒータ33より下流側で大きく曲がっていないが、ファンカバー28eはヒータ33より下流側でファンケース28bより離れる方向に折れたような形をしている。サイレンサ301a,301bはこの折れ曲がり部分に収納されるような形で配置されている。
このサイレンサは内部に定在波が立ち、その音圧の分布は、閉じた端面では音圧が最大、開放端306付近で音圧が最小となるようなモードを持った定在波となる。これがちょうど波長の1/4となるので、1/4波長管とも呼ばれる共鳴型のサイレンサである。従って、音を消したい周波数を決めると、音速とから管の長さが決まる。このタイプのサイレンサは騒音の消える周波数範囲が狭いので、使用条件に合わせ、かつ、使用条件に合わせた設定が必要になる。この実施例では、管の長さ46mmとし、乾燥時の運転条件で、先述した羽根音を消すように設定している。
サイレンサ301a,301bはその開放端を流れの下流側に向けているので、気流による笛吹き音が出にくい。また、流路中にサイレンサ本体を入れているので、ファンカバー28e,ファンケース28bの壁面には取り付けようの穴を入れる必要がないため、空気漏れが生じることがないという特長をもっている。さらに、面積の大きい流路中にサイレンサ本体を収納し、その開放端を面積の小さい吐出口115の近くにおいているので、消音効果を大きくできる。
サイレンサの断面形状は円形であるが、楕円形とか長方形などで構成してもかまわない。さらに、斜面部307を設けて、閉じた端のほうを斜めにしているが、これは実験的に効果の得られる周波数範囲が斜めのほうが大きかったためであり、共鳴している周波数での消音効果は少なかったが、乾燥時の温度変化による音速の変化によって共鳴周波数(効果の得られる周波数)が変化したときに効果を得易くするためである。もちろん、閉じた端面が垂直であってもかまわない。
サイレンサを301aと302bとの2本で構成しているが、これは2本で構成することにより、サイレンサを流路の周縁に置くことによって、流れ抵抗の増大を防ぐためであり、また、管の断面積を小さくすることにより、サイレンサ内の音波が平面波として作動するようにするのに効果的である。また、2本の間にねじ留め部を設けることにより、設置が容易になっている。サイレンサの本数は1本でももっと多くてもかまわない。また、この実施例では2本とも同じ形状をしているが、2本で長さを変えて別々の周波数で効果の得られるようにしてもかまわない。
上述した実施例の主な特徴を下記に列挙する。
(1).衣類が収容される回転ドラムと、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを内置する筐体と、前記筐体内に置かれ、前記回転ドラムを回しながら行う乾燥運転中に前記回転ドラム内に送風する送風ユニットを有する乾燥機において、送風ユニットは、ファン羽根車を内置するファンケースと、前記ファン羽根車を回す駆動用モータと、前記ファンケースの中央部位と前記駆動用モータの中央部位との間に介在する中央防振ゴムと、前記ファンケースの外周側部位と前記駆動用モータの外周側部位との間に介在する外周防振ゴムを有し、前記中央防振ゴムのゴム硬度を高く、前記外周防振ゴムのゴム硬度を低くしたことを特徴とする。
(2).前記ファンケースは、前記駆動用モータの反対側中央部位に吸い込み用の開口を有し、前記ファン羽根車は回転軸芯線方向に吸引し、外周方向に吐出するターボファンであることを特徴とする。
(3).前記中央防振ゴムは一つ備え、前記外周防振ゴムは等間隔に配置された複数備えることを特徴とする。
(4).前記駆動用モータは、前記ファンケースを貫いて前記ファン羽根車を固定支持する回転軸を有し、前記中央防振ゴムは、前記回転軸が通される中央貫通穴と、前記中央貫通穴の周縁に設けられ、前記駆動用モータに当接して駆動用モータとの気密を保つモータ側環状気密突起を有することを特徴とする。
(5).前記駆動用モータは、前記ファンケースを貫いて前記ファン羽根車を固定支持する回転軸を有し、前記中央防振ゴムは、前記回転軸が通される中央貫通穴と、前記中央貫通穴と同心的に設けられ、前記ファンケースに当接してファンケースとの気密を保つ複数のファンケース側環状気密突起を有することを特徴とする。
(6).前記駆動用モータは、前記ファンケースを貫いて前記ファン羽根車を固定支持する回転軸と、前記回転軸の外側に同心的に形成された環状の凹部を有し、前記中央防振ゴムは、放射状に配置され、前記凹部に嵌る複数の支隆起片と、前記支隆起片をつなぐ環状リングを有することを特徴とする。
(7).前記外周防振ゴムは、前記ファンケースに向かって中央を貫く通し穴を有し、前記通し穴に挿入し、前記ファンケースにねじ止めして前記駆動用モータを前記ファンケースに締結する止めねじを有することを特徴とする。
(8).前記駆動用モータは、外周に設けた支持鍔と、前記支持鍔に設けた支持穴を有し、前記外周防振ゴムは、外周に設けられ、前記支持穴が嵌るリング溝を有し、前記リング溝と前記支持穴との間に介在部材を備えたことを特徴とする。
(9).前記外周防振ゴムはシリコンゴムで形成されていることを特徴とする。
(10).前記中央防振ゴムのゴム硬度は30〜50度程度、前記外周防振ゴムのゴム硬度は10〜30度程度であることを特徴とする。
(11).衣類が収容される回転ドラムと、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを内置する筐体と、前記筐体内に置かれ、前記回転ドラムを回しながら行う乾燥運転中に前記回転ドラム内に送風する送風ユニットを有する洗濯乾燥機において、送風ユニットは、ファン羽根車を内置するファンケースと、前記ファン羽根車を回す駆動用モータと、前記ファンケースの中央部位と前記駆動用モータの中央部位との間に介在する中央防振ゴムと、前記ファンケースの外周側部位と前記駆動用モータの外周側部位との間に介在する外周防振ゴムを有し、前記中央防振ゴムのゴム硬度を高く、前記外周防振ゴムのゴム硬度を低くしたことを特徴とする。
(12).前記ファンケースは、前記駆動用モータの反対側中央部位に吸い込み用の開口を有し、前記ファン羽根車は回転軸芯線方向に吸引し、外周方向に吐出するターボファンであることを特徴とする。
(13).前記中央防振ゴムは一つ備え、前記外周防振ゴムは等間隔に配置された複数備えることを特徴とする。
(14).前記駆動用モータは、前記ファンケースを貫いて前記ファン羽根車を固定支持する回転軸を有し、前記中央防振ゴムは、前記回転軸が通される中央貫通穴と、前記中央貫通穴の周縁に設けられ、前記駆動用モータに当接して駆動用モータとの気密を保つモータ側環状気密突起を有することを特徴とする。
(15).前記駆動用モータは、前記ファンケースを貫いて前記ファン羽根車を固定支持する回転軸を有し、前記中央防振ゴムは、前記回転軸が通される中央貫通穴と、前記中央貫通穴と同心的に設けられ、前記ファンケースに当接してファンケースとの気密を保つ複数のファンケース側環状気密突起を有することを特徴とする。
(16).前記駆動用モータは、前記ファンケースを貫いて前記ファン羽根車を固定支持する回転軸と、前記回転軸の外側に同心的に形成された環状の凹部を有し、前記中央防振ゴムは、放射状に配置され、前記凹部に嵌る複数の支隆起片と、前記支隆起片をつなぐ環状リングを有することを特徴とする。
(17).前記外周防振ゴムは、前記ファンケースに向かって中央を貫く通し穴を有し、前記通し穴に挿入し、前記ファンケースにねじ止めして前記駆動用モータを前記ファンケースに締結する止めねじを有することを特徴とする。
(18).前記駆動用モータは、外周に設けた支持鍔と、前記支持鍔に設けた支持穴を有し、前記外周防振ゴムは、外周に設けられ、前記支持穴が嵌るリング溝を有し、前記リング溝と前記支持穴との間に介在部材を備えたことを特徴とする。
(19).前記外周防振ゴムはシリコンゴムで形成されていることを特徴とする。
(20).前記中央防振ゴムのゴム硬度は30〜50度程度、前記外周防振ゴムのゴム硬度は10〜30度程度であることを特徴とする。
(21).衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、乾燥運転する乾燥機において、前記乾燥運転中に、前記回転ドラム内に送風する手段を設け、その手段の吐出口の近くにサイレンサを設けたことを特徴とする。
(22).衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、乾燥運転を有する洗濯乾燥機において、前記乾燥運転中に、前記回転ドラム内に送風する手段を設け、その手段の吐出口の近くにサイレンサを設けたことを特徴とする。