以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の加熱調理器の正面図を示している。加熱調理器1は本体筐体4内に前面を開口して配される加熱室2(図2参照)の前面が扉3により開閉される。扉3の上部には使用者により把持して扉3を開閉するハンドル3aが設けられる。扉3の中央部には耐熱ガラスがはめ込まれた覗き窓3dが設けられ、加熱室2内を視認できるようになっている。
扉3の右側方には表示部3cを有した操作部3bが設けられている。表示部3cは液晶パネル等から成り、操作メニューや加熱調理器1の動作状態等を表示する。操作部3bには電源キー72、スタートキー73、選択ダイヤル74等が設けられる。電源キー72は加熱調理器1の電源をオンオフする。
スタートキー73は調理メニューの開始の指示や一時停止された調理メニューの再開を指示する。選択ダイヤル74は回転自在に設けられ、環状に形成される。選択ダイヤル74の内側には決定キー75が配される。選択ダイヤル74は表示部3cに表示される操作メニューの選択操作を行い、選択ダイヤル74により選択された項目が決定キー75により決定される。
図2、図3、図4は加熱調理器1の正面断面図、側面断面図及び上面断面図を示している。本体筐体4内に設けられた加熱室2内には載置トレイ9が配され、食材が載置トレイ9に載置されて収納される。
本体筐体4内には加熱室2の外壁に沿う循環ダクト10が設けられる。循環ダクト10は右側の側面部11、天面の天面部12、左側の側面部13を順に連結して形成される。側面部11には加熱室2に臨む吸気口10aが前後方向の略中央に開口し、天面部12及び側面部13には加熱室2に臨む噴出口10b、10cが開口する。
また、加熱室2の右側壁には吸気口10aの手前側に給気口33が開口し、奥側に第1排気口34が開口する。給気口33は扉3の近傍に配され、給気口33から吹き出される気流が扉3に沿って流通するようになっている。第1排気口34の後方下部には第2排気口35が開口する。第2排気口35は第1排気口34よりも開口面積が小さくなっている。
側面部11には循環モータ14aにより駆動される循環ファン14が配される。循環ファン14の駆動によって加熱室2内の蒸気や空気が吸気口10aから循環ダクト10に吸い込まれ、噴出口10b、10cから吹き出される。側面部11には温度センサ16が設けられ、側面部11に流入する加熱室2内の蒸気や空気の温度が検知される。
天面部12にはシーズヒータ等から成る加熱ヒータ15が配される。加熱ヒータ15の輻射熱によって調理物が加熱される。また、加熱ヒータ15によって循環ダクト10を流通する蒸気や空気が加熱され、加熱された蒸気や空気が噴出口10b、10cから吹き出される。これにより、加熱室2内の蒸気や空気が所定温度に維持される。また、加熱室2に供給される蒸気を更に昇温して過熱蒸気を生成することができる。
加熱室2の右側方には着脱自在の給水タンク7が配される。給水タンク7の背後には蒸気発生装置5(加熱手段)が設けられる。蒸気発生装置5は給水タンク7に接続され、ヒータ(図示せず)の加熱によって蒸気を発生する。蒸気発生装置5には蒸気ダクト6が導出され、循環ダクト10の側面部11に接続される。蒸気発生装置5で発生した蒸気は蒸気ダクト6を流通し、流入口6aを介して循環ダクト10の側面部11に流入する。
加熱室2の下方及び右側方には本体筐体4と加熱室2との間に外気流入ダクト8が形成される。外気流入ダクト8は本体筐体4の底面に吸込口8aが開口する。外気流入ダクト8の下部には冷却ファン17、電装部18及びマグネトロン20が配される。外気流入ダクト8の側部には送風ダクト30が配される。送風ダクト30内には駆動モータ31aにより駆動される希釈ファン31が設けられる。
電装部18は加熱調理器1の各部を駆動する駆動回路やこれを制御する制御回路等から成り、多数の発熱素子が実装されている。マグネトロン20は導波管21を介して加熱室2内にマイクロ波を供給する。冷却ファン17は外気流入ダクト8内に吸込口8aを介して外気を取り込み、発熱する電装部18やマグネトロン20を冷却する。また、冷却ファン17によって外気流入ダクト8に流入した外気が希釈ファン31に導かれる。外気流入ダクト8内に取り込まれた外気は本体筐体4の背面等に形成された開口(不図示)から流出する。
図5は加熱装置1の第1排気口34を通る断面の正面断面図を示している。図2〜図5において、加熱室2の右側壁には第1排気口34から第1排気ダクト36が導出される。第1排気ダクト36は横方向に延びる横通路36aと横通路36aから上方に屈曲する縦通路36bとを有している。縦通路36bの上端には本体筐体4の天面に配される天面キャップ40が設けられる。
横通路36aの背面側には吸込ダクト38を介して外気を吸い込む吸込口38aが形成される。横通路36aの前面側には吸込口38aに対向して湿度センサ39が配される。湿度センサ39は第1排気口34の排気の湿度を検知する。また、横通路36aには第1排気口34及び吸込口38aを択一的に開く排気ダンパ37が設けられる。
図6は排気ダンパ37の詳細を示す上面断面図である。排気ダンパ37は駆動モータ(不図示)により軸部37bで回動自在に支持されるアーム37cを有し、アーム37cの先端に可撓性部材37aが配される。アーム37cは細い中実棒から成り、弾性変形可能になっている。同図に示すように、可撓性部材37aが第1排気口34の周囲に密接して第1排気口34が閉じられ、吸込口38aは開放される。この時、アーム37cの弾性力によって排気ダンパ37は閉じる方向に付勢される。
また、図7に示すように、アーム37cが回動して可撓性部材37aが吸込口38aの周囲に密接すると、吸込口38aが閉じられる。この時、第1排気口34は開放される。従って、排気ダンパ37によって吸込口38aを開閉する吸込ダンパが構成される。第1排気口34と吸込口38aとを一つの排気ダンパ37により開閉するため、部品点数を削減することができる。
第1排気ダクト36の縦通路36bは上部で流路面積が拡大され、天面キャップ40に連結される。天面キャップ40は開放端が前方に向かって開口して吹出口40aが形成される。吹出口40aの下端は本体筐体4の天面から離れて配される。これにより、本体筐体4上で覆水した際に第1排気路36への浸水を抑制することができる。
また、天面キャップ40の上壁及び下壁は水平に対して上方に20゜以上傾斜する。これにより、天面キャップ40の吹出口40aから外部に放出される排気は水平に対して20゜以上斜め上方に吹き出される。吹出口40aの下端が本体筐体4の天面から離れて吹出口40aから斜め上方に排気されるため、本体筐体4の天面に沿う蒸気の流通を低減できる。従って、本体筐体4の天面の結露を低減することができる。
尚、吹出口40aの下端から前方に向かって突出する突起部(不図示)を設けてもよい。これにより、吹出口40aの下部から本体筐体4の天面に沿って蒸気が流通するコアンダ効果を打ち消すことができる。その結果、本体筐体4の天面の結露をより低減することができる。突起部の先端を鋭角に形成すると更にコアンダ効果を打ち消すことができるのでより望ましい。
第1排気ダクト36の縦通路36bの下面には第2排気口35から導出される第2排気ダクト41が連結部41aで連結される。これにより、横通路36aに配される湿度センサ39は縦通路36bに設けられる連結部41aよりも上流側に配される。第2排気ダクト41を可撓性のチューブにより形成してもよい。
第2排気ダクト41は第1排気ダクト36よりも流通面積が狭く形成される。第2排気口35の排気は第2排気ダクト41を流通して連結部41aを介して第1排気ダクトに流入し、天面キャップ40の吹出口40aから外部に放出される。尚、第1排気ダクト36の底面は連結部41aに向かって下方に傾斜している。
加熱室2の側方の送風ダクト30は下部に希釈ファン31が配され、希釈ファン31の排気側の送風経路が上部に形成される。送風ダクト30は縦通路30a、横通路30b、及びノズル部30cを有している。縦通路30aは希釈ファン31から上方に延びて形成される。横通路30bは縦通路30aから後方に屈曲して形成され、第1排気ダクト36内に挿通される。
ノズル部30cは横通路30bから更に上方に屈曲し、端部の開口部30dが上方に向かって開口する。これにより、第1排気ダクト36内にエジェクタが形成され、希釈ファン31の駆動によって第1排気口34から開放端(吹出口40a)に向かう気流を発生させる。この時、連結部41a及び吸込口38aは開口部30dよりも上流側に配される。これにより、第2排気ダクト41及び吸込ダクト38には負圧が加わるため気流の逆流を防止することができる。
横通路30bには縦通路30aとの接続部の下端よりも下方に凹設される凹部30gが形成される。凹部30gの一端には第1排気ダクト40に臨んで開口するサブノズル部30eが形成される。サブノズル部30eは下壁が上方に向かって傾斜する。これにより、希釈ファン31の駆動によってサブノズル部30eから第1排気ダクト36に流出する気流は上方に向かい、第2排気ダクト41への逆流を防止することができる。
凹部30gの下壁はサブノズル部30eに向かって下方に傾斜する。このため、本体筐体4の天面で覆水して天面キャップ40から送風ダクト30に水が流入した場合に、凹部30gで水を受けてサブノズル部30eから第1排気ダクト36に排水される。第1排気ダクト36に侵入した水は傾斜した底面を流下し、第2排気ダクト41を介して加熱室2に回収される。これにより、希釈ファン31の駆動モータ31aの浸水を防止することができる。
また、送風ダクト30の縦通路30aと横通路30bとの接続部には上方に延びるリブ30fが突設される。リブ30fは横通路30b内で加熱室2側に偏って設けられる。希釈ファン31の駆動モータ31aは縦通路30a内で加熱室2側に偏って配置される。即ち、リブ30fは駆動モータ31aと同じ側に偏って設けられる。これにより、本体筐体4の天面で覆水して送風ダクト30に水が流入した場合に、希釈ファン31の駆動モータ31aの浸水をより確実に防止することができる。
送風ダクト30の縦通路30aの上部には給気チューブ32が分岐して設けられる。給気チューブ32は加熱室2の給気口33から導出される給気ダクト50に接続される。給気チューブ32及び給気ダクト50は希釈ファン31の駆動により給気口33を介して加熱室2に給気する給気路を構成する。給気チューブ32をダクトにより形成してもよい。
給気ダクト50は給気口33に対向するリーク孔50aが形成され、給気口33及びリーク孔50aを択一的に開閉する給気ダンパ51が設けられる。給気ダクト50によって給気ダンパ51のハウジングが形成される。
図8は給気ダクト50及び給気ダンパ51の詳細を示す側面断面図である。給気ダンパ51のハウジングを形成する給気ダクト50は端面に可撓性部材から成る環状のパッキン52が被嵌され、給気口33に嵌設される。これにより、給気口33と給気ダクト50との気密性が保持される。
パッキン52の内周側には環状の突出部52aが突設される。同図に示すように閉じられた給気ダンパ51は突出部52aに密接し、給気口33からの気流漏れが防止される。給気口33と給気ダクト50とを気密にするパッキン52によって給気口33と給気ダンパ51とを気密にするため、部品点数を削減することができる。
給気ダンパ51は下端の軸部51aで回動自在に支持され、給気ダクト50に連結される引張りバネ53によって開く方向に付勢される。給気ダンパ51の背後には駆動モータ54が配される。駆動モータ54の回転軸54aには給気ダンパ51の背面に当接するカム55が取り付けられる。
給気ダクト50の上部には給気チューブ32を接続する流入部50bが形成される。流入部50bは下方が前方になるように傾斜し、流入部50bを介して給気口33から扉3(図11参照)に向かって気流が吹き出されるようになっている。リーク孔50aは流入部50bの下方に設けられ、リーク孔50aの周囲の壁面50cは鉛直に対して傾斜した傾斜面に形成される。
駆動モータ54の駆動により給気ダンパ51はカム55により押圧され、引張りバネ53の付勢力に抗して給気ダンパ51がパッキン52の突出部52aに密接する。これにより、給気ダンパ51は非弾性部材から成るカム55の押圧によって閉じた状態が保持される。この時、リーク孔50aは開放される。希釈ファン30の駆動により流入部50bを介して給気ダクト50内に流入する気流はリーク孔50aを介して外気流入ダクト8に戻る。
排気ダンパ37は弾性部材のアーム37c(図6参照)により閉じる方向に付勢され、給気ダンパ51は非弾性部材のカム55により閉じた状態が保持される。このため、排気ダンパ37及び給気ダンパ51を閉じて加熱室2の内圧が異常上昇した際に排気ダンパ37がアーム37cの付勢力に抗して開いて排気される。これにより、加熱調理器1の安全性を向上できるとともに、給気口33からの蒸気の逆流を防止することができる。
図9に示すように、給気ダンパ51から退避する方向にカム55が回転すると、引張りバネ53の付勢力によって給気ダンパ51が開かれる。給気ダンパ51は傾斜した壁面50cに当接して開いた状態が保持される。この時、リーク孔50aは閉じられる。これにより、希釈ファン30の駆動によって流入部50bを介して給気ダクト50内に流入する気流は給気口33から加熱室2に供給される。
給気ダンパ51の下部には加熱室2に面したリブから成る受け部51bが突設される。受け部51bは加熱室2側及び上部を開放したコ字状に形成される。給気ダンパ51は開いた際に高温の加熱室2の気体に接触するため表面に結露が発生する。壁面50cにより傾斜する給気ダンパ51は結露水が流下して受け部51bに溜められる。そして、給気ダンパ51を閉じた際に受け部51bから加熱室2に結露水が回収される。これにより、電装部18が配される外気流入ダクト8(図2参照)への漏水を防止することができる。
図10は加熱調理器1の構成を示すブロック図である。加熱調理器1は電装部18に配されて各部を制御する制御装置60を有している。制御装置60には循環ファン14、加熱ヒータ15、蒸気発生装置5、冷却ファン17、マグネトロン20、希釈ファン31、排気ダンパ37、給気ダンパ51、操作部3b、表示部3c、温度センサ16、湿度センサ39、水位センサ5a、タンク水位センサ7a、記憶部76が接続されている。
水位センサ5aは蒸気発生装置5に設けられ、蒸気発生装置5の内部の水位を測定する。タンク水位センサ7aは給水タンク7に設けられ、給水タンク7の内部の水位を測定する。記憶部76はROMやRAM等から成り、複数の調理メニューの調理シーケンス等を格納するとともに制御装置60による演算の一時記憶を行う。
上記構成の加熱調理器1において、マイクロ波による調理を開始すると、マグネトロン20が駆動される。また、図11に示すように、給気ダンパ51及び排気ダンパ37により給気口33及び排気口34が開かれ、冷却ファン17及び希釈ファン31が駆動される。マグネトロン20によって導波管21を介して加熱室2内にマイクロ波が供給され、調理物がマイクロ波加熱される。
冷却ファン17により矢印A1(図2参照)に示すように吸込口8aから外気流入ダクト8内に外気が流入する。外気流入ダクト8内に流入した外気は矢印A2(図2参照)に示すように電装部18及びマグネトロン20を冷却する。電装部18及びマグネトロン20を冷却して昇温された外気は矢印A3(図2参照)に示すように希釈ファン31に導かれる。
希釈ファン31は外気を送出し、矢印A4、A5(図3参照)に示すように送風ダクト30、給気チューブ32、給気ダクト50を流通する。給気ダクト50に導かれた外気は矢印A6(図11参照)に示すように給気口33から加熱室2に供給される。
この時、扉3近傍に配された給気口33から吹き出される気流が扉3に沿って流通する。これにより、電装部18及びマグネトロン20を冷却して昇温された空気によって扉3の結露を防止することができる。また、給気ダクト50の流入部50bによって扉3に向かって気流が吹き出される。このため、給気口33から吹き出される気流が確実に扉3に届き、結露を更に防止することができる。
また、矢印A7、A8(図3参照)に示すように送風ダクト30のノズル部30c及びサブノズル部30eを介して第1排気ダクト36に外気が供給される。
加熱室2内の空気は矢印A9、A11(図11参照)に示すように第1、第2排気口34、35から排気される。第2排気口35の排気は第2排気ダクト41を流通し、矢印A10(図3参照)に示すように連結部41aを介して第1排気ダクト36に導かれる。
第1排気口34の排気は第1排気ダクト36の横通路36aで湿度センサ39と接触する。これにより、加熱室2内の湿度が検知される。横通路36aを通る排気は縦通路36bを流通して第2排気ダクト41の排気と合流して上昇し、矢印A12(図3参照)に示すように天面キャップ40の吹出口40aから外部に放出される。この時、送風ダクト30のノズル部30c及びサブノズル部30eがエジェクタを形成するため、第2排気ダクト41及び第1排気口33には負圧が加わる。これにより、排気の逆流を防止することができる。
マイクロ波加熱によって調理物から蒸気が発生し、加熱室2内が所定の湿度になると湿度センサ39の検知によって調理の終了時期が判断される。これにより、マイクロ波による調理が終了する。
図12は蒸気による調理の動作を示すフローチャートである。蒸気による調理が開始されると、ステップ#11で前述の図4に示すように給気ダンパ51及び排気ダンパ37により給気口33及び第1排気口34が閉じられる。ステップ#12では蒸気発生装置5及び加熱ヒータ15が駆動される。これにより、循環ダクト10内に蒸気が供給され、加熱ヒータ15の加熱によって過熱蒸気が生成される。
ステップ#13では冷却ファン17、希釈ファン31及び循環ファン14が駆動される。上記と同様に、冷却ファン17及び希釈ファン31の駆動によって吸込口8aから外気流入ダクト8内に外気が流入する。そして、送風ダクト30のノズル部30c及びサブノズル部30eを介して第1排気ダクト36に外気が供給される。
循環ファン14の駆動によって加熱室2内の蒸気は矢印C1(図2参照)に示すように吸気口10aから循環ダクト10に流入する。循環ダクト10に流入した蒸気は矢印C2、C3(図2参照)に示すように噴出口10b、10cから加熱室2内に吹き出される。これにより、加熱室2内の蒸気が循環ダクト10を介して循環する。循環ダクト10を流通する蒸気は加熱ヒータ15により加熱され、蒸気が所定温度に維持されて調理が行われる。尚、加熱ヒータ15の温度や駆動時間を調整して飽和蒸気による調理を行ってもよい。
蒸気発生装置5から加熱室2内に蒸気を供給することにより矢印A9(図2参照)に示すように加熱室2から第2排気口35を介して蒸気が流出する。これにより、加熱室2の内圧が一定に維持される。第2排気ダクト41の流路面積は第1排気ダクト36よりも狭いため蒸気の流出量が少なく、加熱効率を向上することができる。
第2排気口35の排気は第2排気ダクト41を流通し、連結部41aを介して第1排気ダクト36に導かれる。希釈ファン31によって第1排気ダクト36には外気が供給されるため、第2排気口35の排気が希釈されて外部に放出される。これにより、蒸気が降温して放出され、加熱調理器1の安全性を向上することができる。
この時、外気流入ダクト8を流通する外気は電装部18及びマグネトロン20と熱交換して昇温される。これにより、第2排気口35の排気が昇温された外気と混合され、排気の相対湿度を下げることができる。従って、第1、第2排気ダクト36、41内の結露を低減することができる。
また、湿度センサ39は第2排気ダクト41の連結部41aよりも上流側に配されるため、第2排気ダクト41から第1排気ダクト36に流入する蒸気と湿度センサ39との接触を低減できる。これにより、湿度センサ39の結露を低減し、次回のマイクロ波による調理を良好に行うことができる。
また、ノズル部30c及びサブノズル部30eから第1排気ダクト36に外気が流入することにより、吸込ダクト38にはエジェクタによる負圧が加わる。このため、矢印B1(図3、図4参照)に示すように吸込口38aから第1排気ダンパ36内に外気が取り込まれる。これにより、第2排気口35の排気を更に希釈することができる。加えて、吸込口38aと連結部41aとの間に湿度センサ39が配されるため、吸込口38aからの外気に湿度センサ39が接触する。これにより、湿度センサ39が乾燥され、湿度センサ39の結露を更に防止することができる。
尚、第2排気ダクト41にもエジェクタによる負圧が加わるため、第2排気ダクト41の逆流が防止される。第2排気ダクト41は流路面積が狭いため結露が生じると結露水により密閉され、エジェクタの負圧によって吸い上げられずに加熱室2の内圧が上昇する場合が生じる。このため、駆動期間と停止期間を交互に設けられた断続運転により希釈ファン31を駆動するとより望ましい。これにより、希釈ファン31の停止中に第2排気ダクト41内の結露が流下して加熱室2に回収され、加熱室2の内圧を維持することができる。
ステップ#14では所定の調理時間が経過するまで待機する。所定時間が経過して調理が終了するとステップ#15で蒸気発生装置5及び加熱ヒータ15が停止される。ステップ#16では循環ファン14が停止される。
ステップ#17では図13に示すように給気ダンパ51が開かれる。これにより、加熱室2内には給気チューブ32及び給気ダクト50を介して給気口33から外気が供給され(矢印A6)、第2排気口35から排気される。その結果、加熱室2内が冷却される。この時、排気ダンパ37は閉じられた状態であるため、加熱室2内の蒸気と湿度センサ39との接触を回避することができる。
ステップ#18では所定の冷却時間が経過するまで待機する。所定時間が経過するとステップ#19に移行する。加熱室2の温度を検知して所定温度に到達した際にステップ#19に移行してもよい。ステップ#19では冷却ファン17及び希釈ファン31が停止される。
ステップ#20では図14に示すように調理の終了を報知する調理終了画面が表示部3cに表示される。調理終了画面には加熱調理器1の動作終了、延長加熱、除菌工程をそれぞれ選択可能になっている。
ステップ#21では延長加熱が選択されたか否かが判断される。延長加熱が選択されていない場合はステップ#22に移行する。ステップ#22では除菌工程が選択されたか否かが判断される。除菌工程が選択されていない場合はステップ#23に移行する。ステップ#23では動作終了が選択されたか否かが判断される。動作終了が選択されていない場合はステップ#21に移行し、いずれかが選択されるまでステップ#21〜#23が繰り返し行われる。
ステップ#21の判断によって延長加熱が選択されると、ステップ#24で調理を延長する時間等の条件設定が行われる。そして、設定された条件によりステップ#11〜#20が再度行われる。これにより、調理物を調理不足の場合に良好な仕上がりにすることができる。
ステップ#22の判断によって除菌工程が選択されると、ステップ#25で除菌工程が行われる。除菌工程は加熱温度及び加熱時間が調理メニューに応じて設定され、ステップ#11〜#19と同様の動作による加熱が行われて電源が停止される。表1は調理メニュー別の主材料、該主材料に発生する主な食中毒菌、該食中毒菌の死滅条件(死滅温度及び死滅時間)を示している。
除菌工程の加熱条件は調理メニューの主材料に応じた食中毒菌の死滅条件に対応して設定される。例えば、調理メニューが「とりの照り焼き」の場合は主材料は鶏肉であり、主な食中毒菌はサルモネラ菌である。サルモネラ菌の死滅温度及び死滅時間は60℃以上で20分であるため、除菌工程の加熱温度及び加熱時間がそれぞれ60℃、20分に設定される。食器、まな板、包丁等の調理器具を加熱室2に配置して除菌工程を行うことにより、調理器具の除菌を行うことができる。この時、調理終了画面の除菌工程の選択項目にはまな板等のアイコン77a(図14参照)が表示される。
また、調理メニューが鯖の塩焼きの場合は主材料は鯖であり、主な食中毒菌は腸炎ビブリオである。腸炎ビブリオの死滅温度及び死滅時間は100℃以上で10分である。この時、調理に樹脂食器等の樹脂製品を用いると耐熱温度が約80℃(ABS樹脂の場合)であるため、100℃で加熱すると調理器具を損傷する。
このため、対象となる菌の死滅温度が所定温度よりも高温の時に図15に示すように、調理器具に応じて加熱温度の異なる除菌の条件が設けられて使用者により選択可能になっている。即ち、まな板等のアイコン77aが付された選択項目では除菌工程の加熱温度及び加熱時間がそれぞれ100℃、10分に設定される。また、樹脂食器のアイコン77bが付された選択項目では除菌工程の加熱温度及び加熱時間が例えばそれぞれ70℃、20分に設定される。これにより、耐熱性の低い調理器具に対して除菌効果が低下する場合があるが、調理器具の損傷を防止することができる。
ステップ#23の判断によって動作終了が選択されると、ステップ#26で今回行われた調理メニューが記憶部76に記憶される。そして、加熱調理器1の動作を終了して電源が停止される。
この時、除菌工程が行われていないため、次回電源キー72の操作により電源が投入された際に記憶部76に記憶された前回の調理メニューが呼び出される。そして、前回の調理メニューに応じた除菌工程を実行するか否かを使用者が選択できるようになっている。これにより、調理終了後の食事や食器洗い中に加熱調理器1の電源を停止し、食器洗い後に電源を再投入して除菌工程を行うことができる。従って、省電力化を図ることができる。
尚、加熱調理器1は蒸気の供給を停止して加熱ヒータ15及び循環ファン14を駆動し、熱風による調理を行うことができる。この場合も蒸気による調理と同様に動作して調理される。この時、蒸気がないため調理後の冷却時に排気ダンパ37を開いてもよい。これにより、排気量が増加して迅速に加熱室2内を冷却することができる。
また、蒸気や熱風による調理中に閉じられた給気ダンパ51を冷却時に開き、所定期間が経過した後に排気ダンパ37を開いてもよい。これにより、第2排気口35から少量の気体を排気しながらある程度まで冷却した後に第1排気口34から大量の気体を排気して冷却することができる。従って、安全性を確保するとともに迅速に冷却することができる。
また、蒸気や熱風による調理中に閉じられた給気ダンパ51を調理後に開いて加熱室2を冷却しているが、調理完了の所定時間前(例えば、1分前)に開いてもよい。これにより、調理完了時に加熱室2が冷却されて扉3を開くことができるため、加熱調理器1の利便性を向上することができる。
本実施形態によると、調理メニューが調理終了後に除菌工程を有し、除菌工程の加熱条件が調理メニューに応じて異なるので、選択された調理メニューにより調理された食材に含まれる菌に適した加熱条件で調理器具の除菌を行うことができる。このため、死滅温度の低い菌に対して低温で除菌され、高温で長時間の加熱が行われない。従って、省電力化を図ることができるとともに次の調理までの待機時間を短縮して加熱調理器1の利便性を向上することができる。
また、対象となる菌の死滅温度が低温の場合は調理器具に応じて加熱条件を可変する必要がなく、除菌の加熱条件の選択誤りを低減することができる。
尚、除菌工程で蒸気の供給を停止して加熱ヒータ15及び循環ファン14を駆動し、加熱ヒータ15を加熱手段として熱風による除菌を行ってもよい。しかしながら、蒸気発生装置5によって加熱室2に蒸気を供給して除菌を行うことにより調理器具が湿熱殺菌され、除菌効率を向上することができる。
また、調理メニューに対して対象となる菌の死滅温度が所定温度よりも高温の時に、除菌工程の加熱条件を複数選択可能に設け、各加熱条件が調理器具に応じて異なる加熱温度を有するので、耐熱性の低い樹脂食器等の調理器具の損傷を防止することができる。
また、複数の加熱条件に対応して調理器具のアイコンを表示したので、加熱条件の選択誤りを防止することができる。
また、調理終了時に電源停止される際に調理を行った前記調理メニューを記憶し、再度電源を入れた際に継続して除菌工程を開始できるので、調理終了後の食事や食器洗い中に加熱調理器1の電源を停止し、食器洗い後に電源を再投入して除菌工程を行うことができる。従って、省電力化を図ることができる。