以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2、図3は一実施形態の加熱調理器の正面断面図、側面断面図及び上面断面図を示している。加熱調理器1は本体筐体4内に前面を開口して扉3により開閉される加熱室2を有している。加熱室2内には載置トレイ9が配され、食材が載置トレイ9に載置されて収納される。
本体筐体4内には加熱室2の外壁に沿う循環ダクト10が設けられる。循環ダクト10は右側の側面部11、天面の天面部12、左側の側面部13を順に連結して形成される。側面部11には加熱室2に臨む吸気口10aが前後方向の略中央に開口し、天面部12及び側面部13には加熱室2に臨む噴出口10b、10cが開口する。
また、加熱室2の右側壁には吸気口10aの手前側に給気口33が開口し、奥側に第1排気口34が開口する。給気口33は扉3の近傍に配され、給気口33から吹き出される気流が扉3に沿って流通するようになっている。第1排気口34の後方下部には第2排気口35が開口する。第2排気口35は第1排気口34よりも開口面積が小さくなっている。
側面部11には循環モータ14aにより駆動される循環ファン14が配される。循環ファン14の駆動によって加熱室2内の水蒸気や空気が吸気口10aから循環ダクト10に吸い込まれ、噴出口10b、10cから吹き出される。側面部11には温度センサ16が設けられ、側面部11に流入する加熱室2内の水蒸気や空気の温度が検知される。
天面部12にはシーズヒータ等から成る加熱ヒータ15が配される。加熱ヒータ15の輻射熱によって調理物が加熱される。また、加熱ヒータ15によって循環ダクト10を流通する水蒸気や空気が加熱され、加熱された水蒸気や空気が噴出口10b、10cから吹き出される。これにより、加熱室2内の水蒸気や空気が所定温度に維持される。また、加熱室2に供給される水蒸気を更に昇温して過熱水蒸気を生成することができる。
加熱室2の右側方には着脱自在の給水タンク7が配される。給水タンク7の背後には蒸気発生装置5が設けられる。蒸気発生装置5は給水タンク7に接続され、ヒータ(図示せず)の加熱によって水蒸気を発生する。蒸気発生装置5には蒸気ダクト6が導出され、循環ダクト10の側面部11に接続される。蒸気発生装置5で発生した水蒸気は蒸気ダクト6を流通し、流入口6aを介して循環ダクト10の側面部11に流入する。
加熱室2の下方及び右側方には本体筐体4と加熱室2との間に外気流入ダクト8が形成される。外気流入ダクト8は本体筐体4の底面に吸込口8aが開口する。外気流入ダクト8の下部には冷却ファン17、電装部品18及びマグネトロン20が配される。外気流入ダクト8の側部には送風ダクト30が配される。送風ダクト30内には駆動モータ31aにより駆動される希釈ファン31が設けられる。
電装部品18は加熱調理器1の各部を駆動する駆動回路やこれを制御する制御回路等から成り、多数の発熱素子が実装されている。マグネトロン20は導波管21を介して加熱室2内にマイクロ波を供給する。冷却ファン17は外気流入ダクト8内に吸込口8aを介して外気を取り込み、発熱する電装部品18やマグネトロン20を冷却する。また、冷却ファン17によって外気流入ダクト8に流入した外気が希釈ファン31に導かれる。外気流入ダクト8内に取り込まれた外気は本体筐体4の背面等に形成された開口(図示せず)から流出する。
図4は加熱装置1の第1排気口34を通る断面の正面断面図を示している。図1〜図4において、加熱室2の右側壁には第1排気口34から第1排気ダクト36(第1排気路)が導出される。第1排気ダクト36は横方向に延びる横通路36aと横通路36aから上方に屈曲する縦通路36bとを有している。縦通路36bの上端には本体筐体4の天面に配される天面キャップ40が設けられる。
横通路36aの背面側には吸込ダクト38を介して外気を吸い込む吸込口38aが形成される。横通路36aの前面側には吸込口38aに対向して湿度センサ39が配される。湿度センサ39は第1排気口34の排気の湿度を検知する。また、横通路36aには第1排気口34及び吸込口38aを択一的に開く排気ダンパ37が設けられる。
図5は排気ダンパ37の詳細を示す上面断面図である。排気ダンパ37は駆動モータ(図示せず)により軸部37bで回動自在に支持されるアーム37cを有し、アーム37cの先端に可撓性部材37aが配される。アーム37cは細い中実棒から成り、弾性変形可能になっている。同図に示すように、可撓性部材37aが第1排気口34の周囲に密接して第1排気口34が閉じられ、吸込口38aは開放される。この時、アーム37c(弾性部材)の弾性力によって排気ダンパ37は閉じる方向に付勢される。
また、図6に示すように、アーム37cが回動して可撓性部材37aが吸込口38aの周囲に密接すると、吸込口38aが閉じられる。この時、第1排気口34は開放される。従って、排気ダンパ37によって吸込口38aを開閉する吸込ダンパが構成される。第1排気口34と吸込口38aとを一つの排気ダンパ37により開閉するため、部品点数を削減することができる。
第1排気ダクト36の縦通路36bは上部で流路面積が拡大され、天面キャップ40に連結される。天面キャップ40は開放端が前方に向かって開口して吹出口40aが形成される。吹出口40aの下端は本体筐体4の天面から離れて配される。これにより、本体筐体4上で覆水した際に第1排気路36への浸水を抑制することができる。
また、天面キャップ40の上壁及び下壁は水平に対して上方に20゜以上傾斜する。これにより、天面キャップ40の吹出口40aから外部に放出される排気は水平に対して20゜以上斜め上方に吹き出される。吹出口40aの下端が本体筐体4の天面から離れて吹出口40aから斜め上方に排気されるため、本体筐体4の天面に沿う蒸気の流通を低減できる。従って、本体筐体4の天面の結露を低減することができる。
尚、吹出口40aの下端に前方に向かって突出する突起部(図示せず)を設けてもよい。これにより、吹出口40aの下部から本体筐体4の天面に沿って蒸気が流通するコアンダ効果を打ち消すことができる。これにより、本体筐体4の天面の結露をより低減することができる。突起部の先端を鋭角に形成すると更にコアンダ効果を打ち消すことができるのでより望ましい。
第1排気ダクト36の縦通路36bの下面には第2排気口35から導出される第2排気ダクト41(第2排気路)が連結部41aで連結される。これにより、横通路36aに配される湿度センサ39は縦通路36bに設けられる連結部41aよりも上流側に配される。第2排気ダクト41を可撓性のチューブにより形成してもよい。
第2排気ダクト41は第1排気ダクト36よりも流通面積が狭く形成される。第2排気口35の排気は第2排気ダクト41を流通して連結部41aを介して第1排気ダクトに流入し、天面キャップ40の吹出口40aから外部に放出される。尚、第1排気ダクト36の底面は連結部41aに向かって下方に傾斜している。
加熱室2の側方の送風ダクト30は下部に希釈ファン31が配され、希釈ファン31の排気側の送風経路が上部に形成される。送風ダクト30は縦通路30a、横通路30b、及びノズル部30cを有している。縦通路30aは希釈ファン31から上方に延びて形成される。横通路30bは縦通路30aから後方に屈曲して形成され、第1排気ダクト36内に挿通される。
ノズル部30cは横通路30bから更に上方に屈曲し、端部の開口部30dが上方に向かって開口する。これにより、第1排気ダクト36内にエジェクタが形成され、希釈ファン31の駆動によって第1排気口34から開放端(吹出口40a)に向かう気流を発生させる。この時、連結部41a及び吸込口38aは開口部30dよりも上流側に配される。これにより、第2排気ダクト41及び吸込ダクト38には負圧が加わるため気流の逆流を防止することができる。
横通路30bには縦通路30aとの接続部の下端よりも下方に凹設される凹部30gが形成される。凹部30gの一端には第1排気ダクト40に臨んで開口するサブノズル部30eが形成される。サブノズル部30eは下壁が上方に向かって傾斜する。これにより、希釈ファン31の駆動によってサブノズル部30eから第1排気ダクト36に流出する気流は上方に向かい、第2排気ダクト41への逆流を防止することができる。
凹部30gの下壁はサブノズル部30eに向かって下方に傾斜する。このため、本体筐体4の天面で覆水して天面キャップ40から送風ダクト30に水が流入した場合に、凹部30gで水を受けてサブノズル部30eから第1排気ダクト36に排水される。第1排気ダクト36に侵入した水は傾斜した底面を流下し、第2排気ダクト41を介して加熱室2に回収される。これにより、希釈ファン31の駆動モータ31aの浸水を防止することができる。
また、送風ダクト30の縦通路30aと横通路30bとの接続部には上方に延びるリブ30fが突設される。リブ30fは横通路30b内で加熱室2側に偏って設けられる。希釈ファン31の駆動モータ31aは縦通路30a内で加熱室2側に偏って配置される。即ち、リブ30fは駆動モータ31aと同じ側に偏って設けられる。これにより、本体筐体4の天面で覆水して送風ダクト30に水が流入した場合に、希釈ファン31の駆動モータ31aの浸水をより確実に防止することができる。
送風ダクト30の縦通路30aの上部には給気チューブ32が分岐して設けられる。給気チューブ32は加熱室2の給気口33から導出される給気ダクト50に接続される。給気チューブ32及び給気ダクト50は希釈ファン31の駆動により給気口33を介して加熱室2に給気する給気路を構成する。給気チューブ32をダクトにより形成してもよい。
給気ダクト50は給気口33に対向するリーク孔50aが形成され、給気口33及びリーク孔50aを択一的に開閉する給気ダンパ51が設けられる。給気ダクト50によって給気ダンパ51のハウジングが形成される。
図7は給気ダクト50及び給気ダンパ51の詳細を示す側面断面図である。給気ダンパ51のハウジングを形成する給気ダクト50は端面に可撓性部材から成る環状のパッキン52が被嵌され、給気口33に嵌設される。これにより、給気口33と給気ダクト50との気密性が保持される。
パッキン52の内周側には環状の突出部52aが突設される。同図に示すように閉じられた給気ダンパ51は突出部52aに密接し、給気口33からの気流漏れが防止される。給気口33と給気ダクト50とを気密にするパッキン52によって給気口33と給気ダンパ51とを気密にするため、部品点数を削減することができる。
給気ダンパ51は下端の軸部51aで回動自在に支持され、給気ダクト50に連結される引張りバネ53によって開く方向に付勢される。給気ダンパ51の背後には駆動モータ54が配される。駆動モータ54の回転軸54aには給気ダンパ51の背面に当接するカム55が取り付けられる。
給気ダクト50の上部には給気チューブ32を接続する流入部50bが形成される。流入部50bは下方が前方になるように傾斜し、流入部50bを介して給気口33から扉3(図3参照)に向かって気流が吹き出されるようになっている。リーク孔50aは流入部50bの下方に設けられ、リーク孔50aの周囲の壁面50cは鉛直に対して傾斜した傾斜面に形成される。
駆動モータ54の駆動により給気ダンパ51はカム55により押圧され、引張りバネ53の付勢力に抗して給気ダンパ51がパッキン52の突出部52aに密接する。これにより、給気ダンパ51は非弾性部材から成るカム55の押圧によって閉じた状態が保持される。この時、リーク孔50aは開放される。希釈ファン30の駆動により流入部50bを介して給気ダクト50内に流入する気流はリーク孔50aを介して外気流入ダクト8に戻る。
排気ダンパ37は弾性部材のアーム37c(図5参照)により閉じる方向に付勢され、給気ダンパ51は非弾性部材のカム55により閉じた状態が保持される。このため、排気ダンパ37及び給気ダンパ51を閉じて加熱室2の内圧が異常上昇した際に排気ダンパ37がアーム37cの付勢力に抗して開いて排気される。これにより、加熱調理器1の安全性を向上できるとともに、給気口33からの蒸気の逆流を防止することができる。
図8に示すように、給気ダンパ51から退避する方向にカム55が回転すると、引張りバネ53の付勢力によって給気ダンパ51が開かれる。給気ダンパ51は傾斜した壁面50cに当接して開いた状態が保持される。この時、リーク孔50aは閉じられる。これにより、希釈ファン30の駆動によって流入部50bを介して給気ダクト50内に流入する気流は給気口33から加熱室2に供給される。
給気ダンパ51の下部には加熱室2に面したリブから成る受け部51bが突設される。受け部51bは加熱室2側及び上部を開放したコ字状に形成される。給気ダンパ51は開いた際に高温の加熱室2の気体に接触するため表面に結露が発生する。壁面50cにより傾斜する給気ダンパ51は結露水が流下して受け部51bに溜められる。そして、給気ダンパ51を閉じた際に受け部51bから加熱室2に結露水が回収される。これにより、電装部品18が配される外気流入ダクト8(図1参照)への漏水を防止することができる。
加熱調理器1の制御要素を図12に示す。全体の制御を司るのは制御装置60である。制御装置60には、循環ファン14、加熱ヒータ15、蒸気発生装置5、冷却ファン17、マグネトロン20、希釈ファン31、排気ダンパ37、給気ダンパ51、温度センサ16、湿度センサ39といった既述の要素の他、操作部3b、表示部3c、水位センサ5a、タンク水位センサ7aが接続されている。操作部3bは扉3の表面に設けられるものであり、押釦やダイヤルなどの操作手段を含む。表示部3dは操作部3bの中に設けられるものであり、液晶表示パネルなどの表示手段を含む。水位センサ5aは蒸気発生装置5に設けられてその内部の水位を測定し、タンク水位センサ7aは給水タンク7に設けられてその内部の水位を測定する。
上記構成の加熱調理器1において、マイクロ波による調理を開始すると、マグネトロン20が駆動される。また、図9に示すように、給気ダンパ51及び排気ダンパ37により給気口33及び排気口34が開かれ、冷却ファン17及び希釈ファン31が駆動される。マグネトロン20によって導波管21を介して加熱室2内にマイクロ波が供給され、調理物がマイクロ波加熱される。
冷却ファン17により矢印A1(図1参照)に示すように吸込口8aから外気流入ダクト8内に外気が流入する。外気流入ダクト8内に流入した外気は矢印A2(図1参照)に示すように電装部品18及びマグネトロン20を冷却する。電装部品18及びマグネトロン20を冷却して昇温された外気は矢印A3(図1参照)に示すように希釈ファン31に導かれる。
希釈ファン31は外気を送出し、矢印A4、A5(図2参照)に示すように送風ダクト30、給気チューブ32、給気ダクト50を流通する。給気ダクト50に導かれた外気は矢印A6(図9参照)に示すように給気口33から加熱室2に供給される。
この時、扉3近傍に配された給気口33から吹き出される気流が扉3に沿って流通する。これにより、電装部品18及びマグネトロン20を冷却して昇温された空気によって扉3の結露を防止することができる。また、給気ダクト50の流入部50bによって扉3に向かって気流が吹き出される。このため、給気口33から吹き出される気流が確実に扉3に届き、結露を更に防止することができる。
また、矢印A7、A8(図2参照)に示すように送風ダクト30のノズル部30c及びサブノズル部30eを介して第1排気ダクト36に外気が供給される。
加熱室2内の空気は矢印A9、A11(図9参照)に示すように第1、第2排気口34、35から排気される。第2排気口35の排気は第2排気ダクト41を流通し、矢印A10(図2参照)に示すように連結部41aを介して第1排気ダクト36に導かれる。
第1排気口34の排気は第1排気ダクト36の横通路36aで湿度センサ39と接触する。これにより、加熱室2内の湿度が検知される。横通路36aを通る排気は縦通路36bを流通して第2排気ダクト41の排気と合流して上昇し、矢印A12(図2参照)に示すように天面キャップ40の吹出口40aから外部に放出される。この時、送風ダクト30のノズル部30c及びサブノズル部30eがエジェクタを形成するため、第2排気ダクト41及び第1排気口33には負圧が加わる。これにより、排気の逆流を防止することができる。
マイクロ波加熱によって調理物から蒸気が発生し、加熱室2内が所定の湿度になると湿度センサ39の検知によって調理の終了時期が判断される。これにより、マイクロ波による調理が終了する。
図10は水蒸気による調理の動作を示すフローチャートである。水蒸気による調理が開始されると、ステップ#11で前述の図3に示すように給気ダンパ51及び排気ダンパ37により給気口33及び第1排気口34が閉じられる。ステップ#12では蒸気発生装置5及び加熱ヒータ15が駆動される。これにより、循環ダクト10内に水蒸気が供給され、加熱ヒータ15の加熱によって過熱水蒸気が生成される。
ステップ#13では冷却ファン17、希釈ファン31及び循環ファン14が駆動される。上記と同様に、冷却ファン17及び希釈ファン31の駆動によって吸込口8aから外気流入ダクト8内に外気が流入する。そして、送風ダクト30のノズル部30c及びサブノズル部30eを介して第1排気ダクト36に外気が供給される。
循環ファン14の駆動によって加熱室2内の水蒸気は矢印C1(図1参照)に示すように吸気口10aから循環ダクト10に流入する。循環ダクト10に流入した水蒸気は矢印C2、C3(図1参照)に示すように噴出口10b、10cから加熱室2内に吹き出される。これにより、加熱室2内の水蒸気が循環ダクト10を介して循環する。循環ダクト10を流通する水蒸気は加熱ヒータ15により加熱され、水蒸気が所定温度に維持されて調理が行われる。尚、加熱ヒータ15の温度や駆動時間を調整して飽和水蒸気による調理を行ってもよい。
蒸気発生装置5から加熱室2内に水蒸気を供給することにより矢印A9(図1参照)に示すように加熱室2から第2排気口35を介して水蒸気が流出する。これにより、加熱室2の内圧が一定に維持される。第2排気ダクト41の流路面積は第1排気ダクト36よりも狭いため、水蒸気の流出量が少なく、加熱効率を向上することができる。
第2排気口35の排気は第2排気ダクト41を流通し、連結部41aを介して第1排気ダクト36に導かれる。希釈ファン31によって第1排気ダクト36には外気が供給されるため、第2排気口35の排気が希釈されて外部に放出される。これにより、水蒸気が降温して放出され、加熱調理器1の安全性を向上することができる。
この時、外気流入ダクト8を流通する外気は電装部品18及びマグネトロン20と熱交換して昇温される。これにより、第2排気口35の排気が昇温された外気と混合され、排気の相対湿度を下げることができる。従って、第1、第2排気ダクト36、41内の結露を低減することができる。
また、湿度センサ39は第2排気ダクト41の連結部41aよりも上流側に配されるため、第2排気ダクト41から第1排気ダクト36に流入する水蒸気と湿度センサ39との接触を低減できる。これにより、湿度センサ39の結露を低減し、次回のマイクロ波による調理を良好に行うことができる。
また、ノズル部30c及びサブノズル部30eから第1排気ダクト36に外気が流入することにより、吸込ダクト38にはエジェクタによる負圧が加わる。このため、矢印B1(図2、図3参照)に示すように吸込口38aから第1排気ダンパ36内に外気が取り込まれる。これにより、第2排気口35の排気を更に希釈することができる。加えて、吸込口38aと連結部41aとの間に湿度センサ39が配されるため、吸込口38aからの外気に湿度センサ39が接触する。これにより、湿度センサ39が乾燥され、湿度センサ39の結露を更に防止することができる。
尚、第2排気ダクト41にもエジェクタによる負圧が加わるため、第2排気ダクト41の逆流が防止される。第2排気ダクト41は流路面積が狭いため結露が生じると結露水により密閉され、エジェクタの負圧によって吸い上げられずに加熱室2の内圧が上昇する場合が生じる。このため、駆動期間と停止期間を交互に設けられた断続運転により希釈ファン31を駆動するとより望ましい。これにより、希釈ファン31の停止中に第2排気ダクト41内の結露が流下して加熱室2に回収され、加熱室2の内圧を維持することができる。
ステップ#14では所定の調理時間が経過するまで待機する。所定時間が経過して調理が終了するとステップ#15で蒸気発生装置5及び加熱ヒータ15が停止される。ステップ#16では循環ファン14が停止される。
ステップ#17では図11に示すように給気ダンパ51が開かれる。これにより、加熱室2内には給気チューブ32及び給気ダクト50を介して給気口33から外気が供給され(矢印A6)、第2排気口35から排気される。その結果、加熱室2内が冷却される。この時、排気ダンパ37は閉じられた状態であるため、加熱室2内の蒸気と湿度センサ39との接触を回避することができる。
ステップ#18では所定の冷却時間が経過するまで待機する。所定時間が経過するとステップ#19に移行する。加熱室2の温度を検知して所定温度に到達した際にステップ#19に移行してもよい。ステップ#19では冷却ファン17及び希釈ファン31が停止される。ステップ#20では調理の終了が報知される。
また、水蒸気の供給を停止して加熱ヒータ15及び循環ファン14を駆動し、熱風による調理を行うことができる。この場合も水蒸気による調理と同様に動作して調理される。この時、水蒸気がないため調理後の冷却時に排気ダンパ37を開いてもよい。これにより、排気量が増加して迅速に加熱室2内を冷却することができる。
尚、水蒸気や熱風による調理中に閉じられた給気ダンパ51を冷却時に開き、所定期間が経過した後に排気ダンパ37を開いてもよい。これにより、第2排気口35から少量の気体を排気しながらある程度まで冷却した後に第1排気口34から大量の気体を排気して冷却することができる。従って、安全性を確保するとともに迅速に冷却することができる。
また、水蒸気や熱風による調理中に閉じられた給気ダンパ51を調理後に開いて加熱室2を冷却しているが、調理完了の所定時間前(例えば、1分前)に開いてもよい。これにより、調理完了時に加熱室2が冷却されて扉3を開くことができるため、加熱調理器1の利便性を向上することができる。
加熱調理器1はその中に入れた物を水蒸気で除菌することができる。その仕組みを図13から図19に基づき説明する。図13は加熱調理器の正面図、図14は操作部の拡大図、図15は加熱調理コース選択時の表示部画面、図16は除菌コース選択時の表示部画面、図17は樹脂食器除菌コースのフローチャート、図18は陶磁器除菌コースのフローチャート、図19はキッチン用品除菌コースのフローチャートである。
扉3には、上部にハンドル3aが設けられ、右側に操作部3bが設けられている。操作部3bの中には表示部3cが設けられる。操作部3bの左側には、加熱室2の内部の視認を可能にする覗き窓3dが設けられる。覗き窓3dには耐熱ガラスがはめ込まれる。
表示部3cは液晶表示パネルにより構成される。表示部3cの下には矩形のキーが3個横一列に並ぶ。それらは左から除菌キー70、とりけしキー71、戻るキー72である。除菌キー70は除菌専用キーで、それを押すと複数の除菌コースを選択するモードに入る。とりけしキー71は操作を取り消すのに用いられる。戻るキー72は操作を1ステップ前の段階に戻すのに用いられる。
戻るキー72の少し下には円形のスタートキー73が設けられている。スタートキー73の左下で、とりけしキー71の真下の位置には選択ダイヤル74が設けられている。選択ダイヤル74の中心には決定キー75が設けられている。選択ダイヤル74は回転するが、決定キー75は回転しない。
スタートキー73は、電源のON/OFFと、選択したコースを開始するのに用いられる。選択ダイヤル74は表示部3cに表示される各種コースや選択事項を選択するのに用いられる。決定キー75は選択を決定するのに用いられる。
通常の加熱調理の場合、表示部3cには図15に示す「レンジあたため」「スチームあたため」「飲み物・解凍」「自動メニュー」「手動」といった調理コースのタブが表示される。使用者が選択ダイヤル74を回していずれかのタブを選択すると、選択されたタブは他のタブよりも大きくなり、その調理コースの概要を教えるメッセージが表示される。選択に間違いがないと使用者が判断し、決定キー75を押すと、その調理コースの実行に必要な詳細選択画面が表示される。必要な選択を行い、スタートキー73を押すと、調理コースが実行される。
除菌キー70を押すと、複数の除菌コースを選択するモードに入り、表示部3cの画面は図16に示す除菌コース選択画面に切り替わる。除菌コース選択画面では「樹脂食器コース」「陶磁器コース」「キッチン用品コース」の3種類の除菌コースのタブが表示されている。使用者が選択ダイヤル74を回していずれかのタブを選択すると、選択されたタブは他のタブよりも大きくなり、その除菌コースの概要を教えるメッセージが表示される。選択に間違いがないと使用者が判断し、決定キー75を押すと、その除菌コースの実行に必要な詳細選択画面が表示される。必要な選択を行い、スタートキー73を押すと、除菌コースが実行される。続いて、図17から図19に基づき各除菌コースの内容を説明する。
[樹脂食器コース]
図17のフローチャートは、加熱室2に除菌対象物、この場合は耐熱120℃以上のプラスチック食器など、を入れ、スタートキー73を押したところからスタートする。ステップ#101では給気ダンパ51と排気ダンパ37が閉じる。ステップ#102で予熱工程に入る。樹脂食器コースでは除菌に用いる水蒸気の温度が低いので、加熱室2が冷えていると加熱室2の内面に結露が生じる。これを防ぐため、結露が生じない程度の温度に加熱室を予熱しておくのである。予熱時の加熱室庫内温度は100℃に設定されている。
ステップ#103では循環ファン14と加熱ヒータ15がONになり、加熱室2が予熱される。冷却ファン17と希釈ファン31もONになる。ステップ#104では予熱工程に入ってからの経過時間をチェックし、所定時間(t13)が経過したらステップ#105に進む。
ステップ#105で過熱水蒸気加熱工程に入る。加熱室2の庫内温度は105℃に設定されている。ステップ#106では蒸気発生装置5、循環ファン14、加熱ヒータ15のいずれもがONになり、加熱室2に過熱水蒸気が噴き出すとともに、加熱室2内の過熱水蒸気が循環する。冷却ファン17と希釈ファン31もONになる。
ステップ#107では過熱水蒸気加熱工程に入ってからの経過時間(t23)をチェックし、所定の時間が経過したらステップ#108に進む。ステップ#108では、蒸気発生装置5と加熱ヒータ15はOFFとなるが、循環ファン14はONのままで、加熱室2内の気体循環が続く。冷却ファン17と希釈ファン31もONのままである。
ステップ#109で冷却工程に入る。ここで給気ダンパ51と排気ダンパ37が開く。加熱室2の内部の熱気は第1排気ダクト36を通じ吹出口40aより排気される。
ステップ#110では冷却工程に入ってからの経過時間(t33)をチェックし、所定の時間が経過したらステップ#111に進む。ステップ#111では循環ファン14がOFFになる。冷却ファン17と希釈ファン31もOFFになる。その後ステップ#112に進み、終了報知が行われる。終了報知は、表示部3cでの表示と、図示しない発音手段によるサウンドシグナルをもって行う。これで樹脂食器の除菌コースは終了する。
[陶磁器コース]
図18のフローチャートは、加熱室2に除菌対象物、この場合は耐熱160℃以上の陶磁器など、を入れ、スタートキー73を押したところからスタートする。ステップ#121では給気ダンパ51と排気ダンパ37が閉じる。ステップ#122で過熱水蒸気加熱工程に入る。陶磁器コースでは除菌に用いる水蒸気が高温の過熱水蒸気なので、予熱しなくても加熱室2に結露は生じない。そのため、予熱工程は置かれない。
過熱水蒸気加熱工程では、加熱室2の庫内温度は140℃に設定されている。ステップ#123では蒸気発生装置5、循環ファン14、加熱ヒータ15のいずれもがONになり、加熱室2に過熱水蒸気が噴き出すとともに、加熱室2内の過熱水蒸気が循環する。冷却ファン17と希釈ファン31もONになる。
ステップ#124では過熱水蒸気加熱工程に入ってからの経過時間(t21)をチェックし、所定の時間が経過したらステップ#125に進む。ステップ#125では、蒸気発生装置5と加熱ヒータ15はOFFとなるが、循環ファン14はONのままで、加熱室2内の気体循環が続く。冷却ファン17と希釈ファン31もONのままである。
ステップ#126で冷却工程に入る。ここで給気ダンパ51と排気ダンパ37が開く。加熱室2の内部の熱気は第1排気ダクト36を通じ吹出口40aより排気される。
ステップ#127では冷却工程に入ってからの経過時間(t31)をチェックし、所定の時間が経過したらステップ#128に進む。ステップ#128では循環ファン14がOFFになる。冷却ファン17と希釈ファン31もOFFになる。その後ステップ#129に進み、終了報知が行われる。終了報知は、表示部3cでの表示と、図示しない発音手段によるサウンドシグナルをもって行う。これで陶磁器の除菌コースは終了する。
[キッチン用品コース]
図19のフローチャートは、加熱室2に除菌対象物、この場合はおしぼりや耐熱90℃以上のまな板など、を入れ、スタートキー73を押したところからスタートする。ステップ#131では給気ダンパ51と排気ダンパ37が閉じる。ステップ#132で飽和水蒸気加熱工程に入る。キッチン用品コースでは、除菌に用いる水蒸気が飽和水蒸気なので、加熱室2や除菌対象物への結露は当然のこととされ、予熱工程は置かれない。
飽和水蒸気加熱工程では、加熱室2の庫内温度は80℃に設定されている。ステップ#133では蒸気発生装置5、循環ファン14はON、加熱ヒータ15はOFFとなり、加熱室2に飽和水蒸気が噴き出すとともに、加熱室2内の飽和水蒸気が循環する。冷却ファン17と希釈ファン31もONになる。
ステップ#134では飽和水蒸気加熱工程に入ってからの経過時間(t12)をチェックし、所定の時間が経過したらステップ#135に進む。ステップ#135では、加熱ヒータ15に加え蒸気発生装置5もOFFになるが、循環ファン14はONのままで、加熱室2内の気体循環が続く。冷却ファン17と希釈ファン31もONのままである。
ステップ#136で冷却工程に入る。ここで給気ダンパ51と排気ダンパ37が開く。加熱室2の内部の気体は第1排気ダクト36を通じ吹出口40aより排気される。
ステップ#137では冷却工程に入ってからの経過時間(t22)をチェックし、所定の時間が経過したらステップ#138に進む。ステップ#138では循環ファン14がOFFになる。冷却ファン17と希釈ファン31もOFFになる。その後ステップ#139に進み、終了報知が行われる。終了報知は、表示部3cでの表示と、図示しない発音手段によるサウンドシグナルをもって行う。これでキッチン用品の除菌コースは終了する。
このように、何を除菌したいかによって除菌コースを選択することにより、除菌対象に不適切な温度の水蒸気が当たることを防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、食器類の除菌コースだけでなく、食品類の除菌コースを設定してもよい。