JP5115379B2 - 黒色トナーおよび画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような画像形成装置には、トナーを担持する現像ローラを有する現像装置が備えられている。かかる現像装置は、静電的な潜像を担持する感光ドラムに現像ローラを対向させた状態で用いられ、現像ローラから感光ドラムへトナーを付与することにより、感光ドラム上の潜像をトナー像として可視化(現像)する。
しかしながら、従来のトナーでは、トナー粒子間での帯電性にばらつきが生じ、帯電制御剤を添加した場合であっても、そのばらつきを十分に抑制することができず、現像特性や転写特性に影響を与えるといった問題があった。特に、着色剤としてカーボンブラックを用いた正帯電トナーではその傾向が顕著であり、逆帯電性の粒子が抑えきれず、かぶり等の不具合が発生している。
本発明の黒色トナーは、着色剤としてのカーボンブラックと結着樹脂とを含むトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質したことを特徴とする。
本発明の黒色トナーでは、前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンであることが好ましい。
本発明の黒色トナーでは、前記結着樹脂は、ロジン系樹脂を含むものであることが好ましい。
本発明の黒色トナーでは、前記ロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃であることが好ましい。
本発明の黒色トナーでは、前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であることが好ましい。
本発明の画像形成方法では、潜像を担持する潜像担持体と、
前記潜像担持体に前記黒色トナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化する現像装置とを有する画像形成装置を用いて画像形成する方法であり、
前記現像装置は、前記黒色トナーを収容するトナー収容部と、
前記潜像担持体に近接して対向し、外周面に前記黒色トナーを担持する凹凸部を備えた現像ローラとを有し、
前記凹凸部は、転造法により形成されたものであることが好ましい。
≪黒色トナー≫
まず、本発明の黒色トナーについて説明する。
本発明の黒色トナー(トナー)は、着色剤としてのカーボンブラックと結着樹脂とを含んで構成されたトナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで表面改質(化学修飾)したトナー粒子を含むものである。
[トナー母粒子]
トナー母粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤としてのカーボンブラックを含むものである。
1.結着樹脂
トナー母粒子は、主成分としての結着樹脂を含む材料で構成されている。
特に、トナー母粒子は、結着樹脂としてロジン系樹脂を含むものであるのが好ましい。
ロジン系樹脂は、トナーの記録媒体への定着性を優れたものとする上で有利であるとともに、後述するポリアルキレンイミンにより容易かつ確実に改質(化学修飾)される材料である。言い換えると、ロジン系樹脂は、後述するポリアルキレンイミンとの反応性が高い官能基(酸性基)を多数有する材料である。したがって、ポリアルキレンイミンによってロジン系樹脂が一旦改質されると、ポリアルキレンイミンとロジン系樹脂とが化学的に結合するため、改質されたロジン系樹脂からのポリアルキレンイミンの脱離・脱落は非常に起こりにくくなる。したがって、トナーの定着性を優れたものとしつつ、トナー粒子の正帯電の帯電特性を優れたものとすることができる。
このようなロジン系樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であるのが好ましく、1000〜80000であるのがより好ましく、1000〜50000であるのがさらに好ましい。これにより、トナーの帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、トナー母粒子は、上述したようなロジン系樹脂以外の公知の樹脂が含まれていてもよい。
また、トナー母粒子がポリエステル樹脂を含むものである場合、その軟化点は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナーの定着特性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
また、トナー母粒子は、着色剤としてカーボンブラックを含んでいる。
カーボンブラックを用いた黒色トナーは、他の着色剤を用いたトナーと比べて、帯電特性が低く、従来のトナーのように帯電制御剤を用いた場合であっても、十分な帯電性能を得るのが困難であった。
これに対して、本発明のように、トナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質することにより、正帯電に優れた黒色トナーとすることができる。また、他の着色剤を用いたトナーと併用して多色印刷を行う場合であっても、他の色のトナーとの帯電のバランスを取ることができ、より鮮明な画像を形成することができる。
また、トナー母粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー母粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上述したように、トナー母粒子は、その表面がポリアルキレンイミンにより表面改質されている。なお、ポリアルキレンイミンによる表面改質とは、ポリアルキレンイミンのアミノ基の少なくとも一部と、トナー母粒子の表面の結着樹脂に由来する酸性基の少なくとも一部とが化学反応し、共有結合(アミド結合等)をなすことをいう。
ポリアルキレンイミンは、多数のアミノ基を有しているため、正帯電性の高い化合物である。
そこで、本発明者らは、上記問題に鑑み、鋭意検討した結果、トナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで表面改質することにより、トナーの帯電特性(正帯電の帯電特性)に優れるトナーを提供することができることを見出した。また、帯電特性に優れることから、トナーは、現像効率、転写効率等の特性にも優れたものとなる。
なお、上記のような優れた効果は、ポリアルキレンイミンがトナー母粒子の表面を改質することにより得られるものであり、単に、トナー中にポリアルキレンイミンを含むだけでは、得られるものではない。
ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、5000〜100000であるのが好ましく、10000〜80000であるのがより好ましい。ポリアルキレンイミンの数平均分子量がこのような範囲であると、トナー母粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の不本意な凝集を効果的に防止することができる。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜4μmであるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましく、1〜2.5μmであるのがさらに好ましい。トナーの平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、トナーにより形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
また、トナーは、シリコーンオイルおよび/またはフッ素オイルが外添されていてもよい。シリコーンオイルおよび/またはフッ素オイルが外添されていることにより、その液架橋力によりトナー母粒子が二次粒子として凝集体を形成し、後述するような現像装置のトナー収容部内や現像ローラ上では擬似的に大粒径のトナー母粒子のように振る舞う。そのため、トナー飛散を防止するとともにトナーの搬送性を向上させることができる。
トナー母粒子100重量部に対するシリコーンオイルまたはフッ素オイルの添加量の合計は、0.05〜2重量部であるのが好ましい。これにより、トナー粒子を適度にかつ均一に湿潤して、トナーの飛散を防止するとともに、形成される凝集体の粒径のバラツキを防止することができる。その結果、トナーの帯電特性、現像特性等のバラツキをより小さいものとすることができるとともに、後述するような非接触ジャンピング現像の際に現像ローラと感光ドラムとの間における往復運動によって、より容易に解砕される凝集体(軟凝集体)を形成することができる。
また、無機微粒子は、疎水化処理されているのが好ましい。これにより、トナーの流動性及び帯電性をさらに向上させることができる。
次に、本発明の黒色トナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の黒色トナーの製造方法は、トナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液を準備する分散液準備工程と、ポリアルキレンイミンを前記分散液と混合し、前記トナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで改質し、トナー粒子を得る表面改質工程とを有する。
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
まず、トナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、結着樹脂等のトナー母粒子の構成材料(母粒子材料)が有機溶媒に溶解した樹脂溶液を調製する樹脂溶液調製工程と、前記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製するO/W乳化液調製工程と、前記O/W乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、前記トナー母粒子を形成する有機溶媒除去工程とを経て、懸濁液として調製されるのが好ましい。これにより、水系分散液に含まれる分散質の大きさ、形状の均一性を特に高いものとすることができ、最終的に得られるトナー粒子の粒度分布を非常にシャープなものとすることができ、トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。以下の説明では、樹脂溶液調製工程とO/W乳化液調製工程と合一工程と有機溶媒除去工程とを経て、水系分散液を調製する場合について、代表的に説明する。
まず、結着樹脂等を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製する。
調製された樹脂溶液は、前述したようなトナー母粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶媒(有機溶剤)を含むものである。
有機溶媒としては、結着樹脂の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、後述する水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、有機溶媒を容易に除去することができる。
また、有機溶媒の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系液体(水系分散媒)の組成等に応じて適宜選択することができる。
樹脂溶液は、例えば、結着樹脂、着色剤、有機溶媒等を、攪拌機等により混合することにより得ることができる。樹脂溶液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等の高速攪拌機が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
また、樹脂溶液の調製においては、調製すべき樹脂溶液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂溶液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
次に、上記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製する。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、O/W乳化液の調製に際して、例えば、塩基性物質を用いてもよい。これにより、例えば、結着樹脂が有する官能基(例えば、カルボキシル基等)を中和することができ、調製されるO/W乳化液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができ。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特にシャープなものとなる。塩基性物質は、例えば、樹脂溶液に添加されるものであってもよいし、水系液体に添加されるものであってもよい。また、塩基性物質は、O/W乳化液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
また、塩基性物質の使用量は、結着樹脂が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
また、樹脂溶液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、O/W乳化液を効率良く得ることができるとともに、O/W乳化液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る。分散質の合一は、通常、有機溶媒を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、O/W乳化液を撹拌しながら、O/W乳化液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
本工程で添加される電解質の量は、電解質が添加されるO/W乳化液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜3重量部であるのが好ましく、1〜2重量部であるのがより好ましい。これにより、特に容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御できるとともに、粗大粒子の発生を確実に防止することができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2〜10wt%であることが好ましく、2.5〜6wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかにO/W乳化液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。また、このような水溶液を加えることにより、電解質を加え終えた際におけるO/W乳化液中の水の含有量が、好適なものとなる。このため、電解質添加後における合一粒子の成長速度を、生産性が落ちない程度に、適度に遅いものとすることができる。結果として、粒径をより確実に制御できる。また、不本意な合一粒子の合一を確実に防止することができる。
また、本工程は、O/W乳化液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を、より確実に適度なものとすることができる。
その後、O/W乳化液中(特に、分散質中)に含まれる有機溶媒を除去する。これにより、トナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)が得られる。
有機溶媒の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶媒を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、O/W乳化液(分散液)に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶媒を除去することができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、O/W乳化液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶媒(分散液中に含まれる有機溶媒の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する工程において、残存する有機溶媒を十分に除去することができる。
次に、上記のようにして得られたトナー母粒子の洗浄を行う。これにより、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)を得ることができる。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。また、本工程を行うことにより、上述した工程で用いた電解質、塩基性物質、酸性物質や、酸塩基反応により生じた塩を効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
次に、上述したようなトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)とポリアルキレンイミンとを混合し、上述したようなトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質する。これにより、トナー粒子が得られる。
本工程は、水系分散液とポリアルキレンイミンとの混合により行うものであればよいが、分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)を2〜8に調整した状態で行うのが好ましい。これにより、粒子作成時に中和されて塩構造になっている樹脂の酸成分を元の酸性基(COOH等)に戻すことができ、トナー母粒子の構成材料の不本意な変質等を確実に防止しつつ、トナー母粒子の表面に存在する酸性基とポリアルキレンイミンとの反応をより効率よく進行させることができ、ポリアルキレンイミンをトナー母粒子表面により強固に結合させることができる。その結果、トナーの帯電特性を特に優れたものとすることができる。上記のように、本工程における分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)は、2〜8であるのが好ましいが、2.5〜6.5であるのがより好ましく、4〜5であるのがさらに好ましい。これにより、上記のような効果がさらに顕著に発揮される。
また、上記分散液とポリアルキレンイミンとの混合後、混合液を1〜3時間程度攪拌するのが好ましい。これにより、トナー母粒子表面をより均一に改質(化学修飾)することができる。
また、攪拌は、常温下で行ってもよいし、混合液を30〜40℃程度に加温しつつ行ってもよい。加温して行うことにより、トナー母粒子表面をより効率よく改質(化学修飾)することができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子の洗浄を行う。
本工程を行うことにより、不純物として、反応残のポリアルキレンイミンや有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー粒子)の水系液体(水系分散媒)中への再分散および固液分離(水系液体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる。このような工程を行うことにより、確実にトナー粒子中の水分量を十分に低いものとすることができ、最終的に得られるトナーの保存性等の特性を特に優れたものとすることができる。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
また、上記のようなトナーに対しては、必要に応じて、分級処理、外添処理等の各種処理を施してもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
次に、本発明の黒色トナーを用いた画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成方法は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程を経て、記録媒体上にトナー画像を形成する。
<画像形成装置>
まず、前述したような本発明の黒色トナーを用いた画像形成方法が適用される画像形成装置について説明する。
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、主として露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体に記録するものである。このような画像形成装置10は、図1に示すように、静電的な潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光ドラム(潜像担持体)20を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、中間転写体61、クリーニングユニット75が配設されている。また、画像形成装置10は、図1にて下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ82が設けられ、その給紙トレイ82に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、中間転写体61、定着装置90が記録媒体Pの搬送方向に沿って順次配設されている。また、画像形成装置10には、記録媒体の両面に画像を形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転させて、後述する二次転写位置へ帰還させるための搬送部88が設けられている。
帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光ドラム20の表面を一様に帯電するための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光ドラム20上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
一次転写ローラ60は、感光ドラム20に形成された単色のトナー像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。
定着装置90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。
搬送部88は、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対88A、88Bと、搬送ローラ対88A、88Bによって搬送される記録媒体Pを表裏反転しつつレジローラ86へ向け案内する搬送路88Cとを備えている。これにより、記録媒体の両面に画像形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させる。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光ドラム20、現像ユニット50に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト70が回転を開始する。そして、感光ドラム20は、回転しながら、帯電ユニット30により順次帯電される(帯電工程)。
感光ドラム20の帯電された領域は、感光ドラム20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される(露光工程)。
感光ドラム20上に形成されたイエロートナー像は、感光ドラム20の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光ドラム20と一次転写ローラ60との対向部)に至り、一次転写ローラ60によって、中間転写ベルト70に転写(一次転写)される(一次転写工程)。このとき、一次転写ローラ60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70から離間している。
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト70に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ80と駆動ローラ71との対向部)に至り、二次転写ローラ80によって記録媒体Pに転写(二次転写)される(二次転写工程)。このとき、二次転写ローラ80は中間転写ベルト70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置90によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される(定着工程)。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対87によって画像形成装置10の外部へ排出される。
記録媒体の両面に画像形成する場合には、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラ対87により挟持した後に、排紙ローラ対87を反転駆動するとともに、搬送ローラ対88A、88Bを駆動して、当該記録媒体Pを搬送路88Cを通じて表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
ここで、図に基づき、本発明の黒色トナーが適用される現像装置の一例たる現像装置54を詳細に説明する。なお、現像装置51、52、53については、用いるトナーの色が異なる以外は現像装置54と同様であるため、その説明を省略する。
図2は、図1に示す画像形成装置に備えられた現像装置を示す斜視図、図3は、図2に示す現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。
ハウジング2は、その内部空間として形成されたトナー収容部21内にトナーTを収容する。
この規制ブレード5は、現像ローラ3の軸線方向に沿って当接される弾性体56と、この弾性体56を支持する支持部材57とを有している。弾性体56は、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム等を主材料として構成されている。また、支持部材57は、例えばリン青銅、ステンレス等のバネ性(弾性)を有するシート状の薄板が用いられ、弾性体56を現像ローラ3に付勢する機能を有する。
本実施形態では、規制ブレード5は、その先端(自由端)が現像ローラ3の回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。また、本実施形態の現像装置54は、現像ローラ3上の余剰トナーを規制ブレード5により下方に落下させトナー収容部21に帰還させるようになっている。
ここで、図4ないし図6に基づき、現像剤担持体の一例である現像ローラ3を詳細に説明する。
図4は、図2および図3に示す現像装置に備えられた現像ローラの概略構成を示す平面図、図5は、図4に示す現像ローラの外周面を示す拡大図、図6は、図5におけるA−A線断面図である。
本体31の外周面には、図3に示すように、トナーを担持するための凹凸部33が形成されている。
この凹凸部33は、図5に示すように、互いにほぼ平行な複数の第1の溝34と、この第1の溝34に交差するとともに、互いにほぼ平行な複数の第2の溝35とで構成されている。このように構成された凹凸部33にあっては、互いに隣接する2つの第1の溝34(凹部)と、互いに隣接する2つの第2の溝35(凹部)とで囲まれた領域に凸部38が形成されている。
また、図6に示すように、第1の溝34は、その横断面形状が台形状をなしている。なお、第1の溝34の横断面形状は、これに限定されず、例えば、U字状、V字状など他の形状であってもよい。
また、第1の溝34と第2の溝35とで本体31の外周面における軸線Xに平行な線分に対する傾斜の程度が同じである。すなわち、図5に示すように、本体31の外周面における軸線Xに平行な線分に対する各第1の溝34の傾斜角θ1と、本体31の外周面における軸線Xに平行な線分に対する各第2の溝35の傾斜角θ2とが同じである。
また、複数の第1の溝34および複数の第2の溝35とで凹凸部33を構成すると、比較的簡単な構成で、凹部および/または凸部を規則的に配列することができる。また、このような凹凸部33は、転造法により形成することにより、比較的簡単かつ確実に、規則的に凹部および/または凸部が配列された凹凸部33を形成することができる。
このような現像ローラ3の本体31は、アルミニウム、ステンレス、鉄等のような金属材料を主材料として構成されている。特に、本体31の構成材料には、STK、SGPなどの鉄系材料や、A6063、A5056などのアルミ系材料が好適に用いられる。
また、本体31の外径(直径)は、特に限定されないが、例えば、10〜30mmであるのが好ましく、15〜20mmであるのがより好ましい。
また、第1の溝34同士のピッチP(P1)および第2の溝35同士のピッチP(P2)は、それぞれ、弾性多孔質体層の空孔の平均径よりも小さいのが好ましい。
また、第1の溝34同士間および/または第2の溝35同士間のピッチをp(p1、p2)としたとき、pは、用いられる解像度(画像の解像度)のピッチよりも小さいのが好ましく、より具体的には、例えば、pは、前記解像度が150dpiである場合には、169μmよりも小さいのが好ましく、前記解像度が200dpiである場合には、127μmよりも小さいのが好ましく、前記解像度が300dpiである場合には、85μmよりも小さいのが好ましい。これにより、現像によって得られるトナー像のムラを防止することができる。
また、各第1の溝34および/または各第2の溝35の深さは、トナーTのトナー粒子の体積平均粒径の2倍以下であるのが好ましい。これにより、トナーの帯電特性を向上させることができる。
なお、第1の溝34の幅と第2の溝35の幅は、同じであっても異なっていてもよい。
また、前述した実施形態では、水系乳化液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより合一粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、合一粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系乳化液を調製し、該水系乳化液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、得られた水系乳化液を噴霧乾燥することにより合一粒子を得るものであってもよい。
また、画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
(着色剤マスターの調製)
まず、樹脂材料(結着樹脂)として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):60重量部を用意した。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
前記ポリエステル樹脂のMEK(メチルエチルケトン)50%溶液:100重量部、カルナバワックス(東亜化成社製 TOWAX−125):16.7重量部、ワックス分散剤(ビックケミー社製 Disperbyk−108):3.3重量部、MEK:80重量部を、ビーズミル分散機(アシザワ・ファインテック社製 スターミルDMR110型)にて分散を行い、ワックス分散液を得た。
上記着色剤マスターバッチ:112.5重量部にMEK:106.4重量部、前記ポリエステル樹脂:40.9重量部、高分子量ポリエステル樹脂酸価(10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):65℃、軟化点:175℃):48.1重量部、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「トラフィックス4102」、酸価:15mgKOH/g、軟化点:98−108℃、重量平均分子量:1600):48.1重量部、前記ワックス分散液:144重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂溶液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂溶液に1規定アンモニア水:63.7重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下し、さらに、攪拌を継続しながら、脱イオン水:100重量部を加えることにより、W/O乳化液を経由して、樹脂材料を含む分散質が分散したO/W乳化液を得た。
次に、W/O乳化液を、マックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながらW/O乳化液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が3.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が3.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
(有機溶媒除去工程)
次に、合一粒子を含むW/O乳化液を減圧環境下に置き、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶媒を留去し、トナー母粒子のスラリー(分散液)を得た。
次に、スラリー(分散液)に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。なお、スラリーの上澄み液の導電度が20μS/cm以下となるまで、洗浄処理を行った。
その後、吸引ろ過法により、トナー母粒子のウェットケーキ(トナー母粒子ケーキ)を得、このウェットケーキを水中に分散することにより、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)を得た。
次に、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)に、1N塩酸を加えることにより、水素イオン指数(pH)を4.0に調整した。
その後、この水素イオン指数(pH)が4.0に調整された分散液(水系分散液)に、ポリエチレンイミン(平均分子量:70000)を滴下しつつ攪拌した。このとき、ポリエチレンイミンは、粒子構成樹脂量:100重量部に対して1.0重量部となるように、添加した。さらにその後、十分に攪拌を行い、分散液全体が十分に均一な組成となるようにした。
次に、トナー粒子が分散した分散液に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、トナー粒子のウェットケーキ(トナー粒子ケーキ)を得た。このようにして得られたウェットケーキの含水率は35wt%であった。なお、固液分離により分離された液相・ろ液を調べたところ、ポリエチレンイミンは検出されなかった。
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー母粒子がポリエチレンイミンで表面改質(化学修飾)されたトナー粒子(黒色トナー)を得た。
また、カーボンブラックの代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、シアン系顔料:ピグメントブルー15:3(大日精化社製)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系トナー、イエロー系トナー、シアン系トナーを製造した。
ロジン系樹脂の種類、ロジン系樹脂以外の結着樹脂の種類、ポリアルキレンイミンの種類・使用量、表面改質工程に供されるのに際して水素イオン指数(pH)が調整された分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応するトナーを製造した。
(実施例14)
実施例1と同様にしてトナー粒子を得、以下の処理を施した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応するトナーを製造した。
得られたトナー粒子100重量部に負帯電性シリカシリカ微粒子RX200(日本アエロジル製 平均粒径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理)を2重量部、負帯電性シリカシリカ微粒子RX50(日本アエロジル製 平均粒径40nm、ヘキサメチルジシラザン処理)を1.5重量部加え、COMMERCIAL社製7012Sの1リットルの撹拌機で10000rpmで3分間撹拌した後に、シリコーンオイルとしてジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製KF−96−200CS)を0.5重量部添加して同様に10000rpmで1分間攪拌して、トナーを調製した。
シリコーンオイルの添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例14と同様にしてトナーを製造した。
(実施例16)
シリコーンオイルを、フッ素オイルであるパーフルオロポリエーテル(NOK(株)製BARRIERTA J25V)に変更した以外は、前記実施例14と同様にしてトナーを製造した。
フッ素オイルの添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例16と同様にしてトナーを製造した。
(実施例18)
黒色トナーと、マゼンダ系トナーを前記実施例1と同様にして製造し、他の色のトナーについては、表面改質処理を施さなかった以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
表面改質処理を施さなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応するトナーを製造した。
(比較例2)
表面改質処理を施さず、帯電制御剤としてのステアリン酸アルミニウム(日本油脂製)を、トナー粒子100重量部に対して1.5重量部添加した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応するトナーを製造した。
次のようにして現像ローラを作成した。
まず、STKM製の円筒状の基材を用意した。ここで、基材として、長さ300mm、外径18mm、厚さ3mmのものを用いた。
そして、基材の軸線方向での端部における内周部を、切削加工により厚さ1mm程度除去して薄肉化し、基材の両端部のそれぞれにSTKM製の円柱状部材を圧入した。ここで、円柱状部材として、長さ50mm、外径14mmのものを用い、基材の端面から30mm程度露出するように円柱状部材を基材の各端部に圧入した。
次に、SKD製のダイスを用いて基材の外周面に複数の第1の溝および複数の第2の溝のための凹凸加工を施した後に、厚さ3μmの硬質クロームメッキを施して、複数の第1の溝および複数の第2の溝で構成された凹凸部を形成した。ここで、第1の溝および第2の溝は、互いに直交するとともに、それぞれ、基材の周方向に延びる線分に対し45°傾斜するように形成した。また、第1の溝および第2の溝は、それぞれ、ピッチが80μmであり、溝幅が26μmであり、深さが6μmであった。ここで、第1の溝および第2の溝の深さは、キーエンスのレーザー顕微鏡VK−9500を用い、JIS B0601−1994に準拠して現像ローラの表面粗さを測定したときの最大高さRyである。また、第1の溝および第2の溝のピッチは、キーエンスのレーザー顕微鏡VK−9500を用い、JIS B0601−1994に準拠して現像ローラの表面粗さを測定したときの凹凸の平均間隔Smである。
上記のようにして作成した現像ローラをカラープリンタ(セイコーエプソン製LP9000C)に組み込んだものを画像形成装置として用いた。
また、現像ギャップ調整スペーサとして、厚さ50μmのものを用い、現像バイアス電圧として、直流電圧+300Vに、ピーク−ピーク電圧1000V、周波数6000Hzの矩形波電流を重畳したものを用いた。なお、その他の条件はLP9000Cのものを用いた。
以下の評価試験方法によって評価を行い、その結果を表1に示す。
[4.1]現像効率
前記各実施例および各比較例で得られたトナーを、上述したような画像形成装置のカラープリンタ用カートリッジに入れ、現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られたトナーを担持させた。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体ドラムに露光を行い、感光体ドラム表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。現像ローラ上に担持したトナーが感光体ドラムと現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナーと、感光体ドラム上のトナーとをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナーの濃度を測定した。測定後、感光体ドラム上で採取されたトナーの濃度を、感光体ドラム上で採取されたトナーの濃度と現像ローラ上で採取されたトナーの濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が96%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上96%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
各実施例および各比較例で得られたトナーを、それぞれ上述した画像形成装置のカートリッジに投入した。
現像装置の規制ブレードに規制され、感光体に搬送されるトナーの帯電量を、現像ローラ上のトナーを分析することによって評価した。帯電量は、ホソカワミクロン(株)製のE−SPARTアナライザーによって測定した。測定条件は、吸引流量0.2リットル/分、集塵エアー流量0.6リットル/分、吹き付け窒素ガス圧0.02Mpaとし、トナー1個ごとの帯電量(Q/m)を測定して、3000個のトナーカウントで帯電量分布を求めた。
A :差の絶対値が0.8以下。
B :差の絶対値が0.8よりも大きく、1.0以下。
C :差の絶対値が1.0よりも大きく、1.5以下。
D :差の絶対値が1.5よりも大きく、2.0以下。
E :差の絶対値が2.0よりも大きい。
温度25℃、湿度50%の試験室で標準キャリアP−01(日本画像学会)100部と本発明のトナー5部をステンレスポットに仕込み、ボールミルにて一定回転数で回転混合させた。回転スタートから15秒後に停止させ現像剤の帯電量(μC/g)をブローオフ装置にて測定し、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :帯電量が、60μC以上。
B :帯電量が、50μCより大きく、60μC以下。
C :帯電量が、40μCより大きく、50μC以下。
D :帯電量が、40μC以下。
温度30℃、湿度90%の環境試験室で上記標準キャリア100部と本発明のトナー5部を1時間放置し、環境試験室でステンレスポットに仕込み、環境試験室内に設置したボールミルにて一定回転数で回転混合させた。回転スタートから20分攪拌後の現像剤の飽和帯電量(μC/g)をブローオフ装置にて測定し、1分後の帯電量と20分後の帯電量の差を求め、以下の4段階の基準に基づいて評価した。
A :帯電量の差が、±3μC以内。
B :帯電量の差が、±3μCより大きく、±5μC以下。
C :帯電量の差が、±5μCより大きく、±7μC以下。
D :帯電量の差が、±7μC以上。
前記各実施例、および各比較例のトナーを、画像形成装置の現像装置に充填し、画像形成装置にセットした。上記画像形成装置において、記録媒体(セイコーエプソン社製、A4上質普通紙)に所定のパターンの印字(5%印字)を連続で50000枚行った後、かぶりおよびトナー飛散について、それぞれ以下の4段階の基準に従い評価した。
A :記録媒体上の印字されていない部分に、トナー粒子が確認できない。
B :記録媒体上の印字されていない部分に、トナー粒子が僅かに付着している。
C :記録媒体上の印字されていない部分に、トナー粒子が多少付着している。
D :記録媒体上の印字されていない部分に、トナー粒子が多量に付着している。
A :画像形成装置内部の部材に、トナー粒子が確認できない。
B :画像形成装置内部の部材に、トナー粒子が僅かに付着している。
C :画像形成装置内部の部材に、トナー粒子が多少付着している。
D :画像形成装置内部の部材に、トナー粒子が多量に付着している。
以上の結果を表2に示す。
Claims (8)
- 着色剤としてのカーボンブラックと結着樹脂とを含むトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質したことを特徴とする黒色トナー。
- 前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである請求項1に記載の黒色トナー。
- 前記ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、5000〜100000である請求項1または2に記載の黒色トナー。
- 前記結着樹脂は、ロジン系樹脂を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の黒色トナー。
- 前記ロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃である請求項4に記載の黒色トナー。
- 前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000である請求項4または5に記載の黒色トナー。
- 着色剤としてのカーボンブラックと結着樹脂とを含むトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質した黒色トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 潜像を担持する潜像担持体と、
前記潜像担持体に前記黒色トナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化する現像装置とを有する画像形成装置を用いて画像形成する方法であり、
前記現像装置は、前記黒色トナーを収容するトナー収容部と、
前記潜像担持体に近接して対向し、外周面に前記黒色トナーを担持する凹凸部を備えた現像ローラとを有し、
前記凹凸部は、転造法により形成されたものである請求項7に記載の画像形成方法。
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