JP5115305B2 - 停車時後退防止装置 - Google Patents
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Description
かかる登坂路での自然後退を防止する停車時後退防止技術としては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。
登坂路停車状態を、車輪駆動系におけるクラッチなど断接手段の解放と、ブレーキアクチュエータによる自動ブレーキ(ヒルホールドブレーキ)とで達成し、
上記の発進に際しては、断接手段の締結進行(伝達トルク容量の増大)と、ブレーキアクチュエータによる自動ブレーキ力(ヒルホールドブレーキ力)の低下とにより、動力源からの正トルクが車輪に向かうようにして、車両の後退を伴うことなく当該発進を可能にしたものである。
結果として、運転者のアクセル操作に応じて運転される動力源の出力トルクのうち、後退防止用に必要なトルク分だけが車輪に向かい、残余のトルクは上記断接手段のスリップにより消失させることによって、登坂路停車時の後退防止を遂行することになる。
それにもかかわらず、燃費の悪化や、車輪駆動系における断接手段の耐久性(発熱、摩耗)に関する前者の問題を生ずることのないようにした停車時後退防止装置を提供することを目的とする。
先ず前提となる車両を説明するに、
動力源および車輪間の車輪駆動系に伝達トルク容量可変式の断接手段を具え、
運転者のブレーキ操作とは別にブレーキユニットを作動させて車輪制動力を発生させる自動ブレーキ手段を有し、
運転者のアクセル操作に対応するアクセル対応目標車輪駆動力をもとに、前記動力源の出力および断接手段の伝達トルク容量を決定するようにした車両を要旨構成の基礎前提とする。
運転者がアクセル操作により、車両の対地速度が零以下の停車状態を希望する間、該アクセル操作に応じて前記自動ブレーキ手段による車輪の停車用自動ブレーキ力を決定する停車用自動ブレーキ力決定手段と、
前記停車中のアクセル操作に対応するアクセル対応目標車輪駆動力から、前記停車用自動ブレーキ力を差し引いて得られる差値を、前記動力源の停車時出力および前記断接手段の停車時伝達トルク容量とする停車時車輪駆動力決定手段とを具備してなることを特徴とするものである。
停車中のアクセル操作に応じた停車用自動ブレーキ力により停車状態を達成して後退防止を実現するため、
アクセル操作により停車状態(後退防止)を実現するといえども、車輪駆動系の断接手段をスリップ制御はアクセル操作対応駆動力の一時的な過剰分を逃がす程度の僅かなものでよく、断接手段のスリップに伴う燃費の悪化や、耐久性(発熱および摩耗)の低下に関する問題をほとんど生ずることがない。
何らかの後退防止操作が必要な登坂路停車中で、何ら後退防止用の操作を行っていないのに車両が後退を防止される違和感を運転者に与えることもない。
図1は、本発明の一実施例になる停車時後退防止装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ車両のパワートレーンを、その制御系とともに示し、
1は、動力源としてのエンジン、2は自動変速機、3L,3Rは左右駆動車輪、4はディファレンシャルギヤ装置である。
停車に際しては、自動ブレーキ手段の用をもなすブレーキアクチュエータ(ブレーキユニット)5L,5Rを作動させて車輪3L,3Rを制動することにより車両を停車させることができる。
車両の対地速度である車速VSPを検出する車速センサ32からの信号と、
制動操作があるときにONとなるブレーキスイッチ33からの信号と、
路面勾配θを検出する勾配センサ34(勾配検出手段)からの信号(ブレーキコントローラ20を経由する)とを入力する。
上記した路面勾配θ(正値が登坂路勾配、負値が降坂路勾配)を検出する勾配センサ34からの信号とを入力するほか、
エンジンコントローラ10からの後述するヒルホールドブレーキ力(停車用自動ブレーキ力)hTbおよびヒルホールドフラグFLAGを入力する。
エンジンコントローラ10内の目標駆動力演算部11は、図3のステップS13において、上記のアクセル開度APOおよび車速VSPにより表される現在の運転状態から運転者が要求しているアクセル対応目標車輪駆動力tTdを演算する。
この演算に当たっては、アクセル開度APOごとに車速VSPおよび目標駆動力tTdの関係を表した二次元マップを予め用意しておき、これをもとにアクセル開度APOおよび車速VSPからアクセル対応目標車輪駆動力tTdを検索して求める。
ヒルホールド条件設定部12は、ステップS14で路面勾配θが登坂路判定値θo未満(登坂路でない)と判定したり、ステップS14でθ≧θo(登坂路)と判定しても、ステップS15でVSP≧VSPo(走行中)と判定するときは、登坂路停車時の後退防止制御(ヒルホールド制御)が不要であるから、ステップS16において、ヒルホールドフラグFLAGを0となし、ヒルホールド力ブレーキ配分率α(ヒルホールド力をブレーキ力により担う分担割合)も0%となす。
ステップS17において、ステップS13で求めたアクセル対応目標車輪駆動力tTdが、路面勾配θのもとで停車状態を維持するのに必要な勾配対応駆動力Td(θ)を越えているか否かにより、運転者が発進を要求したアクセル操作を行ったか否かをチェックする。
ステップS18において、ヒルホールドフラグFLAGを1となし、ヒルホールド力ブレーキ配分率αを、α=α(前回値)+Δα(一定値)により演算する。
かかる演算により求めたヒルホールド力ブレーキ配分率αは、Δα(一定値)により決まる一定の時間変化割合で増大するが、初期値を0%、下限値を0%、上限値を100%とする。
ステップS19において、ヒルホールドフラグFLAGを1となし、ヒルホールド力ブレーキ配分率αを、α=α(前回値)−Δα(一定値)により演算する。
かかる演算により求めたヒルホールド力ブレーキ配分率αは、Δα(一定値)により決まる一定の時間変化割合で低下する。
登坂路停車時後退防止用のブレーキ力であるヒルホールドブレーキ力hTbをhTb=tTd×αの演算により求める。
従ってヒルホールドブレーキ力設定部13およびステップS20は、本発明における停車用自動ブレーキ力決定手段に相当する。
従って減算器14およびステップS21は、本発明における停車時車輪駆動力決定手段に相当する。
エンジンコントローラ10内のトルク→スロットル開度変換部16は、図1のエンジン1が上記の目標エンジントルクを出力するのに必要な目標スロットル開度tTVOを求め、
エンジンコントローラ10内のトルク→クラッチ圧変換部17は、図1に示す発進クラッチ2aの伝達トルク容量が上記の目標クラッチ伝達トルク容量となるのに必要な発進クラッチ2aの目標クラッチ圧tPcを求める。
エンジン1は、その出力トルクが上記の目標エンジントルクとなるようスロットル開度を制御され、発進クラッチ2aは、その伝達トルク容量が上記の目標クラッチ伝達トルク容量となるよう締結力を制御される。
ペダル操作対応ブレーキ力設定部27は、ブレーキペダルの踏み込みにより発生するブレーキ液圧(マスターシリンダ液圧)Pmの検出値をもとに、ブレーキペダルの踏み込み操作に対応したペダル操作対応ブレーキ力pTbを設定する。
セレクタ23は、ヒルホールドフラグFLAGに応じ、FLAG=1のとき当該選択されたセレクトハイブレーキ力MAX(pTb,hTb)を目標ブレーキ力tTbとし、FLAG=0のときペダル操作対応ブレーキ力pTbを目標ブレーキ力tTbとするものである。
かように決定した目標ブレーキ力tTbは、図1に示すようにブレーキアクチュエータ5L,5Rに指令され、これらブレーキアクチュエータ5L,5Rは車輪3L,3Rのブレーキ力を、目標ブレーキ力tTbが達成されるよう制御する。
図4は、登坂路走行中にアクセルペダルを釈放してブレーキペダル操作なしに車両を、車速VSPが図示のごとく低下するよう減速させ、瞬時t1に停車により車速VSPが停車判定車速VSPo未満になり、その後の瞬時t2より、運転者が図示のアクセル開度APO(アクセル操作)によって停車状態を維持しようとした場合のヒルホールド(登坂路停車時後退防止)制御を示す動作タイムチャートである。
従ってヒルホールド力ブレーキ配分率αは、図4に示すように時系列変化する。
また、アクセル対応目標駆動力tTdからヒルホールドブレーキ力hTbを差し引いて得られるクラッチ経由車輪駆動力cTd(ステップS21)は、図4に示すごときものとなる。
そしてセレクタ23は、上記したヒルホールドフラグFLAG=1に呼応して、セレクトハイ(MAX)部22が選択したヒルホールドブレーキ力hTbを目標ブレーキ力tTbとし、これを、図1に示すようにブレーキアクチュエータ5L,5Rに指令する。
これら目標エンジントルクおよびを目標クラッチ伝達トルク容量が実現されるよう、図1のエンジン1のスロットル開度制御および発進クラッチ2aの締結力制御を遂行する。
登坂路停車中のアクセル操作に応じたヒルホールドブレーキ力hTb(停車用自動ブレーキ力)により停車状態を達成して登坂路後退防止を実現し得るため、
アクセル操作により停車状態(後退防止)を実現するといえども、車輪駆動系における発進クラッチ2aのスリップ制御は、アクセル操作対応目標駆動力tTdの過剰分を逃がす程度のごく僅かなスリップを生じさせるだけでよく、発進クラッチ2aのスリップに伴う燃費の悪化や、耐久性(発熱および摩耗)の低下に関する問題をほとんど生ずることがない。
何らかの後退防止操作が必要な登坂路停車中で、何ら後退防止用の操作を行っていないのに車両が後退を防止される違和感を運転者に与えることもない。
図5は、登坂路走行中にアクセルペダルを釈放してブレーキペダル操作なしに車両を、車速VSPが図示のごとく低下するよう減速させ、瞬時t1に停車により車速VSPが停車判定車速VSPo未満になり、その後の瞬時t2より、運転者が図示のアクセル開度APO(アクセル操作)によって停車状態を維持しようとした場合のヒルホールド(登坂路停車時後退防止)制御と、
瞬時t5より、運転者が図示のアクセル開度APOの増大(アクセルペダルの踏み込み操作)によって停車状態の車両を発進させようとした場合の発進(ヒルホールド終了)制御とを示す動作タイムチャートである。
従ってヒルホールド力ブレーキ配分率αは、図5の瞬時t1〜t5の間、図示のように時系列変化する。
また、アクセル対応目標駆動力tTdからヒルホールドブレーキ力hTbを差し引いて得られるクラッチ経由車輪駆動力cTd(ステップS21)は、図5の瞬時t1〜t5の間に示すごときものとなり、
図4につき前述したと同様なヒルホールド制御、および、同様な作用効果を達成することができる。
これに伴いアクセル対応目標駆動力tTdが図5の瞬時t5以降、図示のごとくに増大して勾配対応駆動力Td(θ)以上になることから(ステップS17)、ヒルホールド力ブレーキ配分率αがステップS19につき前述したごとく、Δα(一定値)により決まる一定の時間変化割合で低下され、ついには下限値の0%になる。
アクセル対応目標駆動力tTdからヒルホールドブレーキ力hTbを差し引いて得られるクラッチ経由車輪駆動力cTd(ステップS21)は逆に、図5の瞬時t5以後に示すごとくに増大される。
かかるヒルホールドブレーキ力hTbの低下、および、クラッチ経由車輪駆動力cTdの増大により車両を、図5の瞬時t6以後における車速VSPの上昇変化から明らかなように発進させて、ヒルホールド制御を終了させることができる。
なお実施例では、ヒルホールド力ブレーキ配分率増大用と、低下用とで同じΔα(一定値)を用いたが、異ならせてもよいのは言うまでもない。
本実施例においてはエンジンコントローラ10およびブレーキコントローラ20の停車時後退防止制御部を図6の機能別ブロック線図により示すごとくに構成し、図7に示す制御プログラムを一定周期で繰り返し実行して、本発明が狙いとする停車時後退防止制御を以下のごとくに遂行するものとする。
ヒルホールド条件設定部12への入力信号として、図2における路面勾配θの代わりに図1につき前述したブレーキスイッチ33からの信号を入力する。
このアクセル開度時間変化率ΔAPOをヒルホールド条件設定部12およびヒルホールドブレーキ力設定部13に入力する。
従って微分器18は、本発明におけるアクセル操作速度検出手段に相当する。
そうでなければ、つまり、ブレーキ操作により停車状態を保っていたり、停車状態ではなくて走行状態であれば、アクセル操作による停車状態でないことからヒルホールドフラグFLAGを0にリセットすると共に、ヒルホールド力ブレーキ配分率αを0%にする。
アクセル操作により停車状態を維持することになるため、ヒルホールドフラグFLAGを1にセットすると共に、ヒルホールド力ブレーキ配分率αを、
α=α(前回値)−K・ΔAPO+C
ただし、K:係数
C:一定値
の演算により求める。
登坂路停車時後退防止用のブレーキ力であるヒルホールドブレーキ力hTbをhTb=tTd×αの演算により求める。
駆動力→トルク変換部15は、上記のクラッチ経由車輪駆動力cTdをトルク値に変換して、このトルク値を目標エンジントルクと定めるほか、このトルク値を発進クラッチ2a(図1参照)の目標クラッチ伝達トルク容量と定める。
当該エンジンコントローラ10の停車時後退防止部は、図7に示す制御プログラムを一定周期で繰り返し実行して本発明が狙いとするヒルホールド制御を遂行する。
次のステップS34においては、ステップS32で読み込んだ車速VSPおよびステップS33で読み込んだアクセル開度APOにより表される現在の運転状態から運転者が要求しているアクセル対応目標車輪駆動力tTdを演算する。
この演算に当たっては、アクセル開度APOごとに車速VSPおよび目標駆動力tTdの関係を表した二次元マップを予め用意しておき、これをもとにアクセル開度APOおよび車速VSPからアクセル対応目標車輪駆動力tTdを検索して求める。
次いでステップS36において、ステップS31で読み込んだブレーキスイッチ信号と、ステップS32で読み込んだ車速VSPをもとに、ブレーキスイッチ33がOFFで(運転者が制動操作を行っていなくて)、且つ、車速VSPが停車判定車速VSPo未満であるか否かを、つまり、ブレーキ操作なしに停車状態を保つヒルホールド状態か否かを判定する。
アクセル操作による停車状態でないことからステップS37において、ヒルホールドフラグFLAGを0にリセットすると共に、ヒルホールド力ブレーキ配分率αを0%にする。
アクセル操作により停車状態を維持することになるため、ステップS38において、ヒルホールドフラグFLAGを1にセットすると共に、ヒルホールド力ブレーキ配分率αを、前記した演算式
α=α(前回値)−K・ΔAPO+C
ただし、K:係数
C:一定値
の演算により算出する。
登坂路停車時後退防止用のブレーキ力であるヒルホールドブレーキ力hTbをhTb=tTd×αの演算により求める。
従ってステップS39は、本発明における停車用自動ブレーキ力決定手段に相当する。
従ってステップS40は、本発明における停車時車輪駆動力決定手段に相当する。
このクラッチ経由車輪駆動力cTdは、図6の駆動力→トルク変換部15につき前述したようにトルク値に変換し、このトルク値を目標エンジントルクと定めるほか、このトルク値を発進クラッチ2a(図1参照)の目標クラッチ伝達トルク容量と定める。
図8は、登坂路走行中にアクセルペダルを釈放してブレーキペダル操作なしに車両を、車速VSPが図示のごとく低下するよう減速させ、瞬時t1に停車により車速VSPが停車判定車速VSPo未満になり、その後の瞬時t2より、運転者が図示のアクセル開度APO(アクセル操作)によって停車状態を維持しようとした場合のヒルホールド(登坂路停車時後退防止)制御を示す動作タイムチャートである。
かかる停車維持用(後退防止用)アクセル操作(アクセル開度APOの増大)が行われる前の瞬時t1〜t2においては、アクセル開度APOの時間変化率ΔAPOがΔAPO=0で、アクセル開度保持中のため、ヒルホールド力ブレーキ配分率αは前記した一定値Cにより決まる一定速度で0%から100%に向け増大する。
ヒルホールド力ブレーキ配分率αは、アクセル開度APOの時間変化率ΔAPOがΔAPO<C/KまたはΔAPO=0であることに呼応して、前記した(−K・ΔAPO+C)により決まる、ΔAPOに応じた時間変化割合、若しくは一定値Cにより決まる一定速度で100%に向け増大する。
そしてセレクタ23は、上記したヒルホールドフラグFLAG=1に呼応して、セレクトハイ(MAX)部22が選択したヒルホールドブレーキ力hTbを目標ブレーキ力tTbとし、これを、図1に示すようにブレーキアクチュエータ5L,5Rに指令する。
これら目標エンジントルクおよびを目標クラッチ伝達トルク容量が実現されるよう、図1のエンジン1のスロットル開度制御および発進クラッチ2aの締結力制御を遂行する。
登坂路停車中のアクセル操作に応じたヒルホールドブレーキ力hTb(停車用自動ブレーキ力)により停車状態を達成して登坂路後退防止を実現するため、
アクセル操作により停車状態(後退防止)を実現するといえども、車輪駆動系における発進クラッチ2aのスリップ制御は、アクセル操作対応目標駆動力tTdの過剰分を逃がす程度のごく僅かなスリップを生じさせるだけでよく、発進クラッチ2aのスリップに伴う燃費の悪化や、耐久性(発熱および摩耗)の低下に関する問題をほとんど生ずることがない。
何らかの後退防止操作が必要な登坂路停車中で、何ら後退防止用の操作を行っていないのに車両が後退を防止される違和感を運転者に与えることもない。
しかし本実施例においては、既存のアクセル開度センサ31からの信号を微分して得られるアクセル開度時間変化割合ΔAPOを用いて同様な作用効果を達成し得ることから、コスト的に大いに有利である。
図8の瞬時t5より、運転者が発進を希望してアクセル開度APOを図示のごとく増大させた(アクセルペダルの踏み込み操作を行った)場合、これに伴いアクセル対応目標駆動力tTdが図8の瞬時t5以降、図示のごとくに増大する。
アクセル対応目標駆動力tTdからヒルホールドブレーキ力hTbを差し引いて得られるクラッチ経由車輪駆動力cTd(ステップS40)は逆に、図8の瞬時t5以後に示すごとくに増大される。
かかるヒルホールドブレーキ力hTbの低下、および、クラッチ経由車輪駆動力cTdの増大により車両を、図8の瞬時t6以後における車速VSPの上昇変化から明らかなように発進させて、ヒルホールド制御を終了させることができる。
ところで本実施例においては、発進時におけるヒルホールド力ブレーキ配分率αの低下を前記した(−K・ΔAPO+C)により決まる、アクセル開度増大速度ΔAPOに応じた時間変化割合で行わせることから、
運転者がアクセル開度増大速度ΔAPOを速くした急発進時ほどヒルホールド力ブレーキ配分率αの低下(ヒルホールドブレーキ力hTbの低下、および、クラッチ経由車輪駆動力cTdの増大)を速やかに完遂させて、急発進の要求を満足させることができる。
本発明の停車時後退防止装置は、図9に例示するようなハイブリッド車両など、その他いかなる車両に対しても同様に適用することができるのは言うまでもない。
モータ/ジェネレータ6は、ロータ6bの中心に上記の軸8を貫通して結着し、この軸8をモータ/ジェネレータ軸として利用する。
ここで第1クラッチ7は、伝達トルク容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
自動変速機2は、その変速機構部分が周知の遊星歯車式自動変速機と同様なものであるが、前進1速段選択時に係合しているクラッチ要素や、後進段選択時に係合しているクラッチ要素を、発進クラッチ2dとして用いてスリップ制御することでトルクコンバータの機能を持たせるものとする。
図9のパワートレーンにおいては、低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EV)モードが要求される場合、第1クラッチ7を解放し、自動変速機2を所定変速段が選択された動力伝達状態にする。
自動変速機2からの出力回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置4を経て左右駆動輪3L,3Rに至り、車両をモータ/ジェネレータ6のみによるEVモードで電気走行(EV走行)させることができる。
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ6からの出力回転の双方が自動変速機2へ入力されることとなり、自動変速機2が当該入力回転を、選択中の変速段に応じ変速して出力する。
自動変速機2からの出力回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置4を経て左右駆動輪3L,3Rに至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ6の双方によるHEVモードでハイブリッド走行させることができる。
つまり、図9では図示を省略したが、図1におけると同様なブレーキアクチュエータ5L,5Rを作動させて、前記各実施例におけると同様なヒルホールドブレーキ力hTbを付与すると共に、前記各実施例におけると同様なクラッチ経由車輪駆動力cTdがエンジン1から発進クラッチ2aを経て車輪3L,3Rに向かうようエンジン1の出力(スロットル開度)制御および発進クラッチ2aの締結容量制御を行う。
2 自動変速機
2a 発進クラッチ(断接手段)
3L,3R 車輪
4 ディファレンシャルギヤ装置
5L,5R ブレーキアクチュエータ(ブレーキユニット:自動ブレーキ手段)
6 モータ/ジェネレータ(動力源)
7 第1クラッチ
8 モータ/ジェネレータ軸
10 エンジンコントローラ
11 目標駆動力演算部
12 ヒルホールド条件設定部
13 ヒルホールドブレーキ力設定部(停車用自動ブレーキ力決定手段)
14 減算器(停車時車輪駆動力決定手段)
15 駆動力→トルク変換部
16 トルク→スロットル開度変換部
17 トルク→クラッチ圧変換部
18 微分器(アクセル操作速度検出手段)
20 ブレーキコントローラ
21 ペダル操作対応ブレーキ力設定部
22 セレクトハイ部
23 セレクタ
31 アクセル開度センサ
32 車速センサ
33 ブレーキスイッチ
34 勾配センサ(勾配検出手段)
35 ブレーキ液圧センサ
Claims (9)
- 動力源および車輪間の車輪駆動系に伝達トルク容量可変式の断接手段を具え、
運転者のブレーキ操作とは別にブレーキユニットを作動させて車輪制動力を発生させる自動ブレーキ手段を有し、
運転者のアクセル操作に対応するアクセル対応目標車輪駆動力をもとに、前記動力源の出力および断接手段の伝達トルク容量を決定するようにした車両において、
運転者がアクセル操作により、車両の対地速度が零以下の停車状態を希望する間、該アクセル操作に応じて前記自動ブレーキ手段による車輪の停車用自動ブレーキ力を決定する停車用自動ブレーキ力決定手段と、
前記停車中のアクセル操作に対応するアクセル対応目標車輪駆動力から、前記停車用自動ブレーキ力を差し引いて得られる差値を、前記動力源の停車時出力および前記断接手段の停車時伝達トルク容量とする停車時車輪駆動力決定手段とを具備してなることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項1に記載の停車時後退防止装置において、
路面勾配を検出する勾配検出手段を設け、
前記停車用自動ブレーキ力決定手段は、前記停車中のアクセル対応目標車輪駆動力が、前記勾配検出手段により検出された路面勾配下で停車状態を保つのに必要な勾配対応車輪駆動力未満である間、前記停車用自動ブレーキ力を前記停車中のアクセル対応目標車輪駆動力に向けて増大させるものであることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項2に記載の停車時後退防止装置において、
前記停車用自動ブレーキ力決定手段は、前記停車中のアクセル対応目標車輪駆動力が、前記勾配対応車輪駆動力以上である間、前記停車用自動ブレーキ力を零に向けて低下させるものであることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項2または3に記載の停車時後退防止装置において、
前記停車用自動ブレーキ力決定手段は、前記停車用自動ブレーキ力の増大、低下を所定の時間変化割合で行わせるものであることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項1に記載の停車時後退防止装置において、
前記アクセル操作の操作速度を検出するアクセル操作速度検出手段を設け、
前記停車用自動ブレーキ力決定手段は、前記検出したアクセル操作速度がアクセル開度の増大を示さない間、前記停車用自動ブレーキ力を前記停車中のアクセル対応目標車輪駆動力に向けて増大させるものであることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項5に記載の停車時後退防止装置において、
前記停車用自動ブレーキ力決定手段は、前記検出したアクセル操作速度がアクセル開度の増大を示す間、前記停車用自動ブレーキ力を零に向けて低下させるものであることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項6に記載の停車時後退防止装置において、
前記停車用自動ブレーキ力決定手段は、前記停車用自動ブレーキ力の低下を、前記検出したアクセル操作速度に比例した速度で行わせるものであることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の停車時後退防止装置において、
車両が動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよび/またはモータ/ジェネレータからの動力により車輪を駆動して走行するハイブリッド車両であることを特徴とする停車時後退防止装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の停車時後退防止装置において、
車両が動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータをタンデムに具え、
これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1クラッチにより結合可能とし、
モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間の車輪駆動系に第2クラッチを挿置し、
第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結することによりモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードを選択可能で、第1クラッチおよび第2クラッチをともに締結することにより、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードを選択可能なハイブリッド車両であり、
第2クラッチを前記断接手段として、前記伝達トルク容量制御の制御対象とすることを特徴とする停車時後退防止装置。
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