JP5114710B2 - 密閉形スクロール圧縮機およびその組立方法 - Google Patents
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Description
また、固定スクロールは密閉ケースに取付けられたフレーム部材に固定され、さらに固定スクロールに対して旋回スクロールを自転させないで公転させるように、固定スクロールと旋回スクロールとの間にオルダム継手が介在されて構成されている。
例えば、特開2005−273463号公報(特許文献1)には、図4に示すように、固定スクロール01と旋回スクロール02とからなる圧縮要素03が主フレーム04に固定され、主フレーム04の中心部には電動機05によって駆動される主軸06が回転可能に支持されている。電動機05は、回転子07と固定子08とによって構成され、固定子08が保持部材09に固着されている。
一端が容器内周部に固着され、他端は主フレーム04の脚部010と保持部材09との間に挟み込まれたカップ状の結合部材015を有している。この結合部材015によって、圧縮機組立体014と密閉容器016とが連結している。
また、結合部材015は、保持部材09の下端部に取付けられたサブフレーム012と共に、ボルト017によって一体に締結されている。
以上のように、圧縮機組立体014をあらかじめ一体に組み付けて、その組立体を密閉容器内に固定する技術が示されている。
しかもモータのロータが永久磁石を内蔵した、いわゆるIPMモータの場合であって、組付け前に着磁しておくと、磁化による引付力が作用して一層ボルト穴の合わせ作業が困難となり、組立作業が煩雑化して作業工数が増大する問題がある。
しかも、ロータが既に着磁されている状態で組立てられる構造であるため、その着磁されたロータおよび主軸を正規の垂直方向位置に維持する治具を用いる必要があるが、そのような場合であっても、同一方向から作業ができるため、治具の設定や調整が容易になる。
かかる構成によれば、主フレームへの取付けボルトが貫通する貫通ボルト穴や、サブフレームの取付けボルトが締結するボルト穴が形成されるモータフレームを、分割式のステータをまとめて円周状に配置して圧入するアウターケースとして利用するため、アウターケースの外側にさらにモータフレームを配置するような二重構造とすることなく、簡単構造で軽量なモータフレームを構成することができる。
構造の簡素化による軽量化の結果、組付け作業の効率向上、さらに密閉形スクロール圧縮機の軽量化を達成することができる。
かかる構成によれば、ステータの重量が軽量化されるため、組付け作業の効率向上がなされるとともに、アンモニア冷媒に対して耐食性が強いため、アンモニア冷媒を用いた密閉形スクロール圧縮機に適する。
このように作業効率を低下させずに、着磁ロータを組付けることが出来るようになるため、組付け後に着磁するよりも安定した高磁力が得られるためモータの出力の向上および圧縮機の効率を高めることができる。
かかる構成によれば、予め圧縮機構部、主フレーム、モータフレーム、サブフレームを一体に組付けるため、その後の密閉ケース内への組付け作業が容易になり、密閉形スクロール圧縮機の組立て作業効率が向上する。
また、一体組付け品を密閉ケースに圧入嵌合するだけではなく密閉ケースの外部からの溶接によって固定するため、確実に固定できる。
図1は本発明にかかる密閉形スクロール圧縮機の実施形態を示す全体構成断面図であり、図2は図1の全体断面図のうちの上方の部分の拡大図である。図3(A)、図3(B)、は組立て順序を説明する説明図である。
密閉ケース2内の上方寄りに、密閉ケース2内を上下に仕切るようにフレーム部材(主フレーム)7が中ケース6の内部に取付けられている。
そして、フレーム部材7の上方にはスクロール圧縮機構部(圧縮機構部)9が配置され、下方にはスクロール圧縮機構部9を構成する旋回スクロール11に旋回運動の回転力を与えるモータ13が配置されている。さらに、密閉ケース2の底部には潤滑油が収容されるようになっていて、底部に貯留された潤滑油を汲み上げる給油ポンプ15がモータ13の下方に配置されている。
また、図1に示すように、主軸41の下端部には、給油ポンプ15が接続されていて、この給油ポンプ15は密閉ケースの底部に貯まっている潤滑油をパイプ47によって汲み上げて、主軸41の軸中心部を貫通して設けられた貫通油路49を介して前記クランク部45の上端から軸受ボス部35内に放出するようになっている。
なお、使用される圧縮ガスはアンモニア冷媒を用いており、吐出ガス温度の上昇を抑えるためにアンモニアの液冷媒を固定スクロール17の端板19に取付けられた液インジェクション配管57から圧縮室37内に噴射するようになっている。
まず、モータ13に給電すると、主軸41が回転を開始する。そして、回転力が旋回スクロール11に伝えられる。
旋回スクロール11の軸受ボス部35は主軸41に対して、偏心して設けられクランク部45と嵌合しており、しかもオルダム機構38によって支持されているため、この旋回スクロール11は自転の伴わない旋回運動を行う。
従って、旋回スクロール11に植設された旋回スクロール翼33も旋回運動を行い、この旋回運動に伴って、旋回スクロール翼33と固定スクロール翼23との間に形成された圧縮室37が周期的に小さくなり、吸入管65を介して吸入されたガスが圧縮されて吐出口25から吐出されて、密閉ケース2内の上方に吐出されてからフレーム部材7の周囲に形成されたガス通路F(図2参照)を通って下方側に流れて、さらにモータフレーム53の周囲と中ケース6との間に形成されるガス通路G(図3A(i)(vii)参照)を通って密閉ケース2内のフレーム部材7の下方の空間内に高圧ガスが貯留され、吐出管67から外部へ排出される。
また、隙間85から流出した潤滑油の一部は上バランサ59の回転に伴う遠心力によって上バランサ59の縦壁に沿って上方に案内されて旋回空間39に噴霧状態で放出されて、旋回スクロール11の背面に当接する旋回シール部に供給されるようになっている。
まず、図3(A)(i)に示すように、鋼材によって形成された円筒状のモータフレーム53の内周にモータ13のステータ51を圧入または焼き嵌めして固定する。ステータ51は、分割式のステータであり、複数の分割ステータ51を円周状にまとめて配置してモータフレーム53の内周に圧入または焼き嵌めして固定する。
また、図(i)の最下段に示す図面は、ステータ51およびモータフレーム53が組み付けられた状態の下方視図であり、該図面に示すようにモータフレーム53の下端面には、モータフレーム53の側壁を貫通する貫通ボルト穴71と、サブフレーム73の固定用のボルト穴75とがそれぞれ円周上に均等に4箇所設けられている。さらに、モータフレーム53の外周にはガス通路Gまたは潤滑油ドレン通路を形成する凹部が形成されている。
前記のモータフレーム53へのステータ51を圧入する手順とは別に、主軸41に、上バランサ59、中バランサ61、下バランサ63、主軸受43、さらにロータ55を取付けて一体化したものを、フレーム部材7の下面に形成された軸受嵌合穴に主軸受43を下方から取り付ける。
この作業で、これら上バランサ59、中バランサ61、下バランサ63、ロータ55を予め主軸41と共に固定する。
フレーム部材7には、主軸41およびその主軸41に固定されている上バランサ59、中バランサ61、下バランサ63、さらにロータ55が取付けられている状態である。その状態に対して、ステータ51がすでに圧入された前記モータフレーム53を下方からモータフレーム用の貫通ボルトM77によって固定する。この際、モータリード線(不図示)の取り出し口は2本の貫通ボルトM77の間に配置する。
また、モータフレーム53の上端部はフレーム部材7の支柱8の下端部とインロー嵌合して位置決めされるようになっている。
有底部の円周方向には前記モータフレーム用の貫通ボルトM77を下方から締め付けるためのボルト用穴81が、4箇所設けられ、また、中央部分には主軸41の位置決め用の支柱83が貫通してスライド可能なように中心穴85が設けられ、さらにロータ55とステータ51とのエアギャップにロータ接触防止シート87を挿入するシート挿入穴89が周方向に間隔を隔てて複数個所設けられている。
第一調心治具79を上方にスライドして、支柱83を外すとともに、主軸41を中心穴85に導入する。モータフレーム53をフレーム部材7の底面に接触させて、ロータ接触防止シート87をロータ55とステータ51とのエアギャップに挿入する。そして、貫通ボルトM77を締め込む。該ボルトM77の締め込み後、第一調心治具79を下方に抜いて取り外す。
サブフレーム73をモータフレーム53の下面に当接して第二調心治具(ロータ調心機構)91によって、主軸41を垂直状態に維持しつつ貫通ボルトM77とはおよそ周方向に位置をずらして(好ましくは45°周方向にずらして)サブフレーム用のボルトS93で下方から締め付ける。
このサブフレーム73は、中心部に設けられたサブ軸受95で主軸41の下端部を支持し外周部がモータフレーム53の下端面に接合される構造になっている。
なお、凸部99の幅と凹部97の幅との間には、ロータ55とステータ51とのエアギャップ以上の隙間が調整隙間として確保されている。
以上のように一体に組付けられた圧縮機構部9、フレーム部材7、モータフレーム53、サブフレーム73を密閉ケース2の中ケース6内に上方より挿入して嵌合する。
このとき、フレーム部材7の外径と、モータフレーム53の外径とが、ほぼ中ケース6の内径と同径となっているため、確実に中ケース6内に挿入される。
また、モータ13のステータ51の巻線にアルミニウム電線が使用されるため、ステータの重量が軽量化されことから、前記密閉ケース2内への組付け作業が容易になり作業効率の向上がなされるとともに、アンモニア冷媒に対して耐食性が強いため、耐久性においても適するものである。
中ケース6内に嵌合された、フレーム部材7、モータフレーム53のそれぞれ側面に対して、中ケース6の側面の外側から栓溶接103を行って、中ケース6に固定する。
中ケース6の外部からの溶接によって固定するため、圧入嵌合するだけの固定に比べて確実に固定できる。
また、図(vii)の下段に示す図面は、中ケース6内にフレーム部材7、モータフレーム53、サブフレーム73が組み付けられた状態の下方視図である。
中ケース6に対して、上ケース5、下ケース3を取付けて密閉ケース2内への組付けを完了する。
この際、フレーム部材7に設けた貫通ボルトM77用の穴を設けた4箇所の支柱8の間に納まるように、密閉ケースに取り付けたモータ端子110(図1参照)を配置し、またそのモータ端子110のおよそ反対側にはフレーム部材7の外壁にガス通路F(図2参照)が設けられ、さらにはそれらモータ端子110とガス通路Fとの間に吐出管67(図1参照)を配置する。
さらには、圧縮効率の向上とともに、モータの冷媒ガスによる冷却や冷媒ガスに含まれる油が分離されて油槽に戻り易くなり、信頼性が高められる。
2 密閉ケース
3 下ケース
5 上ケース
6 中ケース
7 フレーム部材(主フレーム)
9 スクロール圧縮機構部(圧縮機構部)
13 モータ
41 主軸
43 主軸受
51 ステータ
53 モータフレーム
55 ロータ
73 サブフレーム
79 第一調心治具
91 第二調心治具(ロータ調心機構)
M77 貫通ボルト
S93 ボルト
Claims (5)
- 密閉ケース内に固定スクロールと旋回スクロールとからなる圧縮機構部が主フレームの上方に設置され、該主フレームの下方にモータを備え、前記旋回スクロールと前記モータとを主軸によって連結するとともに、該主軸の上部が主軸受を介して前記主フレームに支持されて構成される密閉形スクロール圧縮機において、
前記モータの着磁ロータが固定されるとともに前記主フレームに下方から取付けられる前記主軸と、前記モータのステータが内周に圧入されるとともに外周が前記密閉ケース内に嵌合される円筒状のモータフレームと、中心部に設けられたサブ軸受で前記主軸の下端部を支持し外周部が前記モータフレームの下端面に接合されるサブフレームとを備え、前記モータフレームを前記主フレームに下方からボルトで締結すると共に前記サブフレームを前記モータフレームに下方からボルトで締結し、前記モータフレームおよびサブフレームを別々のボルトによって同一の方向からボルト締付け可能に構成し、
前記サブフレームを前記モータフレームの下端面にボルト接合する際に、ボルトの締め付けに伴って前記主軸およびロータの位置が前記主軸の軸心線に対して垂直方向に調整されるロータ調心機構を備え、
前記ロータ調心機構は前記サブフレームと前記モータフレームとの接合部に形成されたインロー嵌合部からなり、凹部に挿入する凸部にテーパ部を形成してなり、
前記凸部の幅と前記凹部の幅との間には、前記着磁ロータと前記ステータとのエアギャップ以上の隙間が調整隙間として確保されている
ことを特徴とすると密閉形スクロール圧縮機。 - 前記モータのステータが分割式のステータであり、該分割式のステータを複数まとめて前記モータフレームの内周に円周状に配置したことを特徴とする請求項1項記載の密閉形スクロール圧縮機。
- 前記モータのステータの巻線にアルミニウム電線が使用されていることを特徴とする請求項1項記載の密閉形スクロール圧縮機。
- 密閉ケース内に固定スクロールと旋回スクロールとからなる圧縮機構部が主フレームの上方に設置され、該主フレームの下方にモータを備え、前記旋回スクロールと前記モータとを主軸によって連結するとともに、該主軸の上部が主軸受を介して前記主フレームに支持されて構成される密閉形スクロール圧縮機の組立方法において、
前記ロータが永久磁石内蔵のロータであり、組付前に予め着磁し、
前記ロータおよび前記主軸受が固定された前記主軸を前記主フレームに下方から嵌合し、
前記モータを構成する分割式ステータを円筒形状のモータフレーム内に圧入し、
前記モータフレームを前記主フレームの下面に前記主軸およびロータを垂直方向に維持する第一調心治具を介して下方からボルト固定し、
前記主軸の下端を支持するサブフレームを前記モータフレームの下面に前記主軸およびロータを垂直方向に維持する第二調心治具を介して下方からボルト固定して前記圧縮機構部、主フレーム、モータフレーム、サブフレームを一体的に組付けることを特徴とする密閉形スクロール圧縮機の組立方法。 - 前記一体に組付けられた圧縮機構部、主フレーム、モータフレーム、サブフレームを前記密閉ケース内に嵌合して、該密閉ケースの外周より密閉ケースに溶接固定することを特徴とする請求項4記載の密閉形スクロール圧縮機の組立方法。
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