JP5111731B2 - 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用 - Google Patents

網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用 Download PDF

Info

Publication number
JP5111731B2
JP5111731B2 JP2004566663A JP2004566663A JP5111731B2 JP 5111731 B2 JP5111731 B2 JP 5111731B2 JP 2004566663 A JP2004566663 A JP 2004566663A JP 2004566663 A JP2004566663 A JP 2004566663A JP 5111731 B2 JP5111731 B2 JP 5111731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastomeric matrix
implantable device
another embodiment
reticulated
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004566663A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006512171A (ja
JP2006512171A5 (ja
Inventor
アリンダム ダッタ
クレイグ フリードマン
ピーター ディー コスタンティーノ
イアン エヌ アスキル
ダニエル クレンプナー
アーサー エイチ ティンクレンバーグ
エイサ センディージャレヴィック
Original Assignee
バイオメリックス コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from PCT/US2003/033750 external-priority patent/WO2004078023A2/en
Application filed by バイオメリックス コーポレイション filed Critical バイオメリックス コーポレイション
Publication of JP2006512171A publication Critical patent/JP2006512171A/ja
Publication of JP2006512171A5 publication Critical patent/JP2006512171A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5111731B2 publication Critical patent/JP5111731B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F2/00Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
    • A61F2/0077Special surfaces of prostheses, e.g. for improving ingrowth
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/14Macromolecular materials
    • A61L27/18Macromolecular materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L27/56Porous materials, e.g. foams or sponges

Description

本発明は、網状エラストマーマトリックス、その製造並びに使用に関し、前記使用としては、治療上の目的、栄養上の目的または他の有用な目的のため、ヒトおよび他の動物のような患者へ埋込み可能な装置に向けた使用またはそのような患者の局所治療に向けた使用が挙げられる。これらの目的および他の目的において、本発明の製品は、単独で使用してもよく、或いは1又は2以上の送達可能な物質と一緒に装荷されてもよい。
生体内の組織侵入を促進させることを意図する多孔質の埋込み可能な製品は知られているけれども、生物学的部位への送達装置、例えば、カテーテル、内視鏡またはシリンジによる送達のために圧縮させ、膨張して生物学部位内を占拠し残存し得、さらに、その生物学部位の組織に内殖されて(ingrown)有用な治療目的を果たすような特定の孔サイズを有するという特定の目的において特定的に設計されている或いは入手し得る既知の埋込み可能な装置は存在していない。
多孔質であり弾力的に圧縮可能な(resiliently-compressible)多くの材料は、重合過程中の吹込み成形によって形成されたポリウレタン発泡体から製造される。一般に、そのような既知の方法は、有害な生物学的反応を生じ得る望ましくない物質、例えば、発癌性物質、細胞毒素等を発生させるので、生体耐久性(biodurability)の点から魅力的でない。
種々の度合の生体耐久性を有する多くのポリマー類が知られているが、商業的に入手可能な材料は、送達装置を介する送達のために圧縮し得且つ目的とする生物学的部位のin situで弾力的に膨張し得る埋込み可能な装置を得るのに必要な機械的性質を欠くか或いは適切な細胞の内殖(ingrowth)および増殖を誘発させるのに充分な多孔性を欠くかのいずれかである。当該技術の幾つかの提案を以下でさらに説明する。
Greene, Jr等は、米国特許第6,165,193号(“Greene”)において、圧縮形状を有し、この圧縮形状から塞栓すべき血管奇形の形状および大きさに実質的に一致する形状に膨張し得る圧縮可能な発泡体ヒドロゲルから形成させた血管インプラントを開示している。Greeneのヒドロゲルは、カテーテル、内視鏡またはシリンジ送達のために圧縮され、生体内でのその大きさおよび形状の再獲得を可能にするための機械的性質を欠いている。
Brady等は、米国特許第6,177,522号(“Bradyの522号”)において、炭酸アルキルのランダムコポリマーである説明としているポリカーボネートを含む埋込み可能な多孔質ポリカーボネートポリウレタン製品を開示している。Bradyの522号の架橋ポリマーは、尿素が存在する場合には尿素およびビューレット基を、ウレタンが存在する場合にはウレタンおよびアロファネート基を含む。
Brady等は、米国特許出願公報第2002/0072550 A1号(“Bradyの550号”)において、ポリエーテルまたはポリカーボネート線状長鎖ジオールから調製した埋込み可能な多孔質ポリウレタン製品を開示している。Bradyの550号は、イソシアヌレート結合および85%過剰の空隙含有量を有する生体安定性の多孔質ポリエーテルまたはポリカーボネートポリウレタンインプラントを広範囲には開示していない。Bradyの550号のジオールは、ターシャリー炭素結合を含まないと説明している。さらに、Bradyの550号のジイソシアネートは、3%未満の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートを含有する4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートであると説明している。さらにまた、Bradyの550号の最終発泡ポリウレタン製品は、イソシアヌレート結合を含有し、網状化されていない。
Brady等は、米国特許出願公報第2002/0142413 A1号(“Bradyの413号”)において、高空隙含有量と高表面積を有する溶媒抽出また精製網状ポリウレタン、例えば、ポリエーテルまたはポリカーボネートを含む、細胞、組織または器官の増殖または再構築のための組織操作用骨格を開示している。ある態様においては、空隙形成のために重合中に発泡剤を使用している。最少量の気泡窓開口を手押圧または圧搾により行っており、溶媒抽出を使用して生ずる残留物を除去している。従って、Bradyの413号は、弾力的に圧縮可能な網状製品またはその製造方法を開示していない。
Gilson等は、米国特許第6,245,090 B1号(“Gilson”)において、良好なヒステリシス特性を有する、即ち、絶えず膨張し収縮している血管内で使用するとき、血管よりも速く膨張および収縮し得る多孔質外表面を有する連続気泡発泡体経カテーテル閉塞用インプラントを開示している。従って、Gilsonの連続気泡発泡体は、網状化されていない。
Pinchukは、米国特許第5,133,742号および第5,229,431号(それぞれ、“Pinchukの742号”および“Pinchukの431号”)において、医療用プロテーゼ、インプラント、屋根吹き用断熱材等用の亀裂抵抗性ポリウレタンを開示している。該ポリマーは、エーテル結合を実質的に完全に有していないポリカーボネートポリウレタンポリマーである。
Szycher等は、米国特許第5,863,627号(“Szycher”)は、内部ポリシロキサンセグメントを有する生体適合性ポリカーボネートポリウレタンを開示している。
MacGregorは、米国特許第4,459,252号において、多孔質表面と、表面孔と流体流連結する表面下の相互連結間隙孔のネットワークとを含む心臓血管プロテーゼ装置またはインプラントを開示している。
Gunatillake等は、米国特許第6,420,452号(“Gunatillakeの452号”)において、分解抵抗性シリコーン含有弾性ポリウレタンを開示している。Gunatillake等は、米国特許第6,437,073号(“Gunatillakeの073号”)において、さらにまた、非弾力性である生分解抵抗性シリコーン含有弾性ポリウレタンを開示している。
Pinchukは、米国特許第5,741,331号(“Pinchukの331号”)並びにその分割米国特許第6,102,939号および第6,197,240号において、マイクロファイバーのクラッキングおよび破損についての推定されたポリカーボネート安定性問題を開示している。Pinchukの331号は、三次元の弾力圧縮性を有し、カテーテル-、内視鏡-またはシリンジ導入され、生物学的部位を占拠し且つ占拠容積中への細胞の内殖および増殖を可能にし得る自己支持性でスペース占拠性の多孔質要素を開示していない。
Pinchuk等は、米国特許出願公報第2002/0107330 A1号(“Pinchukの330号”)において、治療薬の埋込み送達用の組成物を開示しており、該組成物は、エラストマーブロック、例えば、ポリオレフィンと熱可塑性ブロック、例えば、スチレンを有する生体適合性ブロックコポリマー、および該ブロックコポリマー中に充填させた治療薬を含む。Pinchukの330号の組成物は、生物学的部位を占拠し且つ占拠容積中への細胞の内殖および増殖を可能にし得る圧縮可能でカテーテル-、内視鏡-またはシリンジ導入可能な弾力性のスペース占拠性多孔質要素を得るための適切な機械的性質を欠如し得る。
Rosenbluth等は、米国特許出願公報第2003/014075 A1号(“Rosenbluth”)において、血管内移植片埋込み後の内部漏出(endoleak)を抑制または防止するための生物医学的方法、材料、例えば、血液吸収性多孔質膨張性超強度ヒドロゲル、および装置を開示している。Rosenbluthは、例えば、ポリカーボネートポリウレタン発泡体を開示していない。さらに、Rosenbluthのポリマー発泡体は、網状化されていない。
Maは、米国特許出願公報第2002/0005600 A1号(“Ma”)おいて、多孔質材料形成のいわゆる逆行作製方法を開示している。例えば、ピリジン中ポリ(ラクチド)溶液をパラフィン球体の容器に滴下により添加し、ピリジンを除去し、次いでパラフィンを除去している;多孔質発泡体が残存すると説明している。Maは、例えば、ポリカーボネートポリウレタン発泡体を開示していない。Maは、弾力的圧縮可能な製品を開示していない。
Dereume等の米国特許第6,309,413号は、管腔内移植片に関し、塩類、糖およびヒドロゲルのような可溶性粒状物をポリマーから溶出させ、位相反転させることを含む、10〜60μmの多孔質移植片の種々の製造方法を開示している。Tuchは、米国特許第5,820,917号において、水溶性ヘパリンの層でコーティングし、ヘパリンが溶出し得る多孔質高分子コーティングを被せた血液接触用医療装置を開示している。該多孔質ポリマーコーティングは、ステント上への位相反転沈降のような方法によって製造され、約0.5〜10μmの孔サイズを有する製品を得ている。DeremeおよびTuchは、コーティングされていない基体の有効な細胞の内殖および増殖にとっては小さ過ぎ得る孔サイズしか開示していない。
上記の各文献は、例えば、適切な大きさの相互連結孔に関連する治療上の利益、例えば、修復および再生を有する、送達装置を介する送達、その送達からの弾力的回復および血管奇形においての長期の滞留に全く適し得る埋込み可能な装置を開示していない。さらにまた、上記の各文献は、例えば、ポリカーボネート成分を含有するそのような装置を開示していない。
背景技術についての上記の説明は、本発明前には関連技術に対して知られてなかったが本発明によって提示された見識、発見、理解もしくは開示、または開示と一体の関連性を含み得る。本発明の幾つかのそのような貢献は本明細書において詳細に指摘し得るし、また、本発明の他のそのような貢献はその背景から明らかとなろう。文献は引用し得るというだけであるので、本発明の分野と全く異なり得る文献の分野が本発明の分野に類似するということは、是認されない。
本発明は、送達装置(例えばカテーテル、内視鏡、関節鏡、腹腔鏡、膀胱鏡またはシリンジ)、患者(例えば哺乳動物)の血管その他部位への送達、およびこれらの部位での長期的滞留に適する生物学的に埋込み可能な装置を提供するという課題を解決する。
この課題を解決するために、1つの態様においては、本発明は、生体耐久性であり網状の弾力的に圧縮可能なエラストマーの埋込み可能な装置を提供する。1つの態様においては、上記埋込み可能な装置は、少なくとも29日間生体耐久性である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置は、少なくとも2ヶ月間生体耐久性である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置は、少なくとも6ヶ月間生体耐久性である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置は、少なくとも12ヶ月間生体耐久性である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置は、少なくとも24ヶ月間生体耐久性である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置は、少なくとも5年間生体耐久性である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置は、5年よりも長期間にわたって生体耐久性である。
本発明のエラストマーマトリックスの構造、形態および特性は、種々の機能的または治療的用途に対し、出発物質および/または加工条件を変えることによって、広範な性能に亘り操作または調整し得る。
1つの態様においては、上記エラストマーマトリックスは、細胞および/または組織により封入され内殖されるようになるので、あまり重要な役割は奏しない。別の態様においては、封入され内殖されたエラストマーマトリックスは、小さなスペースしか占めず、再成長した(regrown)細胞および/または組織の機能を干渉せず、また、移行する性向を有しない。
本発明の埋込み可能な装置は、網状構造を有するように形成されるかおよび/または網状化加工を受けることにより、網状化されている、即ち、相互連結した孔ネットワークを含んでいる。これにより、上記埋込み可能な装置全体に亘る流体透過性を提供し、上記埋込み可能な装置の内部への細胞の内殖および増殖を可能にする。この目的において、血管奇形への適用等に関連する1つの態様においては、上記網状エラストマーマトリックスは、少なくとも約150μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を有する。別の態様においては、上記網状エラストマーマトリックスは、250μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を有する。別の態様においては、上記網状エラストマーマトリックスは、約275μm〜約900μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を有する。
1つの態様においては、埋込み可能な装置は、可撓性で且つ弾力性であり、圧縮後にその形状およびそのサイズの大部分を回復し得る網状エラストマーマトリックスを含む。別の態様においては、本発明の埋込み可能な装置は、本発明の埋込み可能な装置が緩和形状(relaxed configuration)から送達装置を介する生体内送達のための第1のコンパクト形状(compact configuration)へ周囲条件下、例えば、25℃で圧縮され、且つin situでの第2の作動形状(working configuration)に膨張するのを可能にする弾力的な圧縮性を有する。
本発明は、長時間埋込みに適し且つ生体内での細胞の内殖および増殖を促進させるのに充分な有孔率を有する真に網状、可撓性及び弾力性である生体耐久性エラストマーマトリックスを提供し得る。
別の態様においては、本発明は、患者への埋込みに適する生体耐久性で可撓性の網状化した弾力的に圧縮可能なエラストマーマトリックスの製造方法を提供し、該方法は、上記エラストマーの化学的性質を実質的に変化させない、望まない残留物フリーの方法により充分に特性決定された生体耐久性エラストマー中に孔を形成して、患者に埋め込んだときに、少なくとも29日間生体耐久性であって、エラストマーマトリックス全体に亘る流体透過性を提供し且つエラストマーマトリックスの内部中への細胞の内殖および増殖を可能にする多孔性を有する網状構造を有するエラストマーマトリックスを得ることを含む。
別の態様においては、本発明は、網状構造を有する高分子材料を含むエラストマーマトリックスの製造方法を提供し、該方法は、
a) 高分子材料を含むエラストマーマトリックスにミクロ構造形状を規定する表面を有するモールドを作製し;
b) 該モールドを流動性高分子材料で充填し;
c) 該高分子材料を凝固させ;そして、
d) 上記モールドを除去して上記エラストマーマトリックスを得る;
ことを特徴とする。
エラストマーマトリックスに対し所望のミクロ構造形状を規定するモールド表面の相互連結した内部通路は、自己支持性エラストマーマトリックスを形成するように成形し、設定し、寸法合せする。ある態様においては、得られるエラストマーマトリックスは、網状構造を有する。以下で説明するように、作製したモールドは、1つの態様においては、網状エラストマーマトリックスを得るために取除く犠牲モールドであり得る。そのような取除きは、例えば、犠牲モールドを溶融、溶解または昇華除去することによって実施し得る。
上記基体即ち犠牲モールドは、各粒子上の複数の点でネットワークの形で、互いに凝集させたまたは相互連結させた複数または多数の中空でない(soild)または中空のビーズまたは粒子を含み得る。1つの態様においては、モールドは、各次元で広がっている複数粒子を有する有意な三次元的広がり(extend)を有する。モールド粒子は、熱および/または圧力を使用して、例えば、焼結もしくは融合させることにより、接着剤もしくは溶媒処理により、または減圧の適用により相互連結させ得る。別の態様においては、高分子材料を粒子間の間隙に収容させる。別の態様においては、高分子材料が上記粒子間の間隙を満たす。
1つの態様においては、上記粒子は、比較的低融点を有する物質、例えば、炭化水素ワックスを含む。別の態様においては、上記粒子は、水溶解性を有する物質、例えば、塩化ナトリウムもしくは塩化カルシウムのような無機塩類;スクロースのような糖;コーン、ポテト、コムギ、タピオカ、マニオクまたはコメ澱粉のような澱粉;またはこれらの混合物を含む。
高分子材料は、エラストマーを含み得る。別の態様においては、高分子材料は、上述したような生体耐久性エラストマーを含み得る。別の態様においては、高分子材料は、溶媒可溶性生体耐久性エラストマーを含み得、それによって流動性高分子材料がポリマーの溶液を含み得る。そして、溶媒を除去または蒸発させて高分子材料を凝固させる。
別の態様においては、上記方法は、エラストマーマトリックスの内部中への細胞の内殖および増殖を可能にするエラストマーマトリックス形状を得るように実施し、該エラストマーマトリックスは、本明細書において説明するように、患者内に埋込み可能である。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、高空隙含有量および高度の網状を有することが、上記埋込み可能な装置に細胞群による完全な内殖または増殖を可能にしていると考えられ、前記細胞群としては線維組織のような組織が挙げられる。
別の態様においては、本発明は、網状構造を有するエラストマーマトリックスの製造方法を提供し、該方法は、
a) 網状発泡体テンプレートを流動性の耐久性物質(熱可塑性ポリマーまたはワックスでもよい)でコーティングし;
b) 上記発泡体テンプレートのコーティングした表面を露出させ;
c) 上記発泡体テンプレートを除去して上記網状発泡体テンプレートの注型物を得;
d) 上記注型物を流動可能状態のエラストマーでコーティングしてエラストマーマトリックスを形成させ;
e) 上記注型物の表面を露出させ;そして、
f) 上記注型物を除去して上記エラストマーを含む網状ポリウレタンエラストマーマトリックスを得る;
ことを特徴とする。
別の態様においては、本発明は、網状構造を有するエラストマーマトリックス製造のための凍結乾燥方法を提供し、該方法は、
a) 溶媒中に溶媒可溶性生体耐久性エラストマーを含む溶液を調製し;
b) 該溶液を、少なくとも部分的に凝固させて(該溶液を冷却することによって凝固させてもよい)、固形物を形成させ;そして、
c) 非高分子材料を除去して(上記固形物から溶媒を減圧下に昇華させることにより)、上記エラストマーを含む少なくとも部分的に網状化したエラストマーマトリックスを得る;
ことを含む。
別の態様においては、本発明、網状エラストマーマトリックスの製造のための重合方法を提供し、該方法は、a) ポリオール成分、b) イソシアネート成分、c) 発泡剤、d) 任意成分としての架橋剤、e) 任意成分としての連鎖延長剤、f) 任意成分としての少なくとも1種の触媒、g) 任意成分としての界面活性剤、およびh) 任意成分としての粘度調整剤を混合して架橋エラストマーマトリックスを調製し、該エラストマーマトリックスを網状化方法により網状化して網状エラストマーマトリックスを得ることを特徴とする。上記各成分は、エラストマーマトリックスを調製する量で、さらに(i) 架橋された弾力的に圧縮可能な生体耐久性エラストマーマトリックスが得られ、(ii) 生物学的に望ましくない残留物の形成を制御し、且つ(iii) 得られた発泡体を網状化方法により網状化して網状エラストマーマトリックスを得る条件下において存在する。
別の態様においては、本発明は、流動性高分子材料を凍結乾燥させることを含む網状エラストマーマトリックスの製造のための凍結乾燥を提供する。別の態様においては、上記高分子材料は、溶媒中の溶媒可溶性生体耐久性エラストマーの溶液を含む。別の態様においては、上記流動性高分子材料を、上記流動性高分子材料を、例えば、溶液を冷却することによって凝固させて固形物を形成させ、その後、非高分子材料を、例えば、溶媒を固形物から減圧下に昇華させることによって除去して、少なくとも部分的に網状化させたエラストマーマトリックスを得ることを含む凍結乾燥法に供する。別の態様においては、溶媒中の生体耐久性エラストマーの溶液を実質的に(必ずしも完全にではなく)凝固させ、その後、溶媒を該物質から昇華させて少なくとも部分的に網状化したエラストマーマトリックスを得る。別の態様においては、溶液を冷却する温度は、溶液の凍結温度よりも低い。別の態様においては、溶液を冷却する温度は、上記固形物の見掛けのガラス転移温度よりも高く、溶液の凍結温度よりも低い。
別の態様においては、本発明は、患者に埋込むための網状複合エラストマー埋込み可能な装置の製造方法を提供し、該方法は、生体耐久性網状エラストマーマトリックスを、細胞の内殖および増殖を促進させるように選択したコーティング材料で表面コーティングまたは内部孔コーティングすることを含む。コーティング材料は、例えば、生分解性物質の発泡コーティングを含んでもよく、前記生分解性物質はコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ヒアルロン酸およびこれらの混合物であってもよい。また、コーティングは、生分解性ポリマーと無機成分を含む。
別の態様においては、本発明は、患者に埋込むのに有用な網状複合エラストマー埋込み可能な装置の製造方法を提供し、該方法は、網状生体耐久性エラストマーを表面コーティングもしくは内部孔コーティングするかまたは含浸させることを含む。このコーティングまたは含浸物質は、例えば、ポリグリコール酸(“PGA”)、ポリ乳酸(“PLA”)、ポリカプロ乳酸(polycaprolactic acid) (“PCL”)、ポリ-p-ジオキサノン(“PDO”)、PGA/PLAコポリマー、PGA/PCLコポリマー、PGA/PDOコポリマー、PLA/PCLコポリマー、PLA/PDOコポリマー、PCL/PDOコポリマーまたはこれらの2種以上の任意の組合せを含み得る。別の態様は、表面積の多孔性を改変する表面コーティングまたは融合を含む。
別の態様においては、本発明は、動物のような患者の血管奇形の治療方法を提供し、該方法は、
a) 本明細書説明する本発明の埋込み可能な装置を緩和形状から第1のコンパクト形状に圧縮し;
b) この圧縮した埋込み可能な装置を、送達装置によって、生体内血管奇形部位に送達し;そして、
c) 上記埋込み可能な装置を上記生体内部位において弾力的に回復させ、第2の作動形状に膨張させる;
ことを特徴とする。
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明、製造法および本発明の使用についての幾つかの態様、並びに本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、添付図面を参照しながら、例示として、上述の説明に従いまたは照らして読むべきである。
本発明のある種の態様は、網状生体耐久性エラストマー製品を含み、該製品は、圧縮可能でもあり、その回復において弾力性を示し、さらに、多様な用途を有し、例えば、動脈瘤、動静脈機能不全、動脈塞栓または他の血管異常のような血管奇形の管理において、或いは医薬活性剤用の、例えば、薬物送達用の基体として使用し得る。このように、本明細書において使用するとき、用語“血管奇形”とは、限定するものではないが、動脈瘤、動静脈機能不全、動脈塞栓または他の血管異常を含む。他の態様は、カテーテル、内視鏡、関節鏡、腹腔鏡、膀胱鏡、シリンジまたは他の適切な送達装置を介する生体内送達用の網状生体耐久性エラストマー製品を含み、長時間、例えば、少なくとも29日間満足に埋込み得るか或いは生存組織または流体に暴露させ得る。
医療においては、本発明により認識されるように、生体内患者部位、例えば、ヒト患者内の部位に送達し得、宿主に対し有害でなく長時間その部位を占拠し得る無害な埋込み可能な装置が求められている。1つの態様においては、そのような埋込み可能な装置は、最終的には、組織と一体化ともなり得、例えば、内殖され得る。種々のインプラント類が生物学的活性剤の局所的in situ送達に強力に有用なものとして長い間考慮され、最近になって、脳および腹部大動脈瘤、動静脈機能不全、動脈塞栓または他の血管異常のような潜在的に生命脅威性の症状を含む血管内症状の制御において有用なものとして熟考されてきている。
埋込み可能なシステム、例えば、さらなる抵抗によって生ずる圧力降下により血液流を必要に応じて減少させ、凝血塊の形成に至る即時の血栓応答を必要に応じて起させて、最終的には線維形成に至らしめ、即ち、血管奇形および血管奇形内に配置した埋込み可能な装置の空隙空間中への細胞の内殖および増殖を可能とし或いは刺激して、生物学的に健全で有効且つ持続的な様式で、安定化し、また可能であればそのような特徴を封じ込め得る前記システムを有することが望まれるであろう。しかしながら、本発明前には、そのような埋込み可能なシステムの要件全てを満たす材料および製品は、利用可能となっていない。
大まかに言えば、本発明の網状生体耐久性エラストマー製品のある態様は、生物学的部位への送達後にその形状を再獲得するように弾力的に圧縮可能である生体耐久性高分子エラストマーから形成された高度に透過性の網状マトリックスを含むか或いはそれによって全体ではないが大部分が構成されている。1つの態様においては、上記エラストマーマトリックスは、化学的に充分に特性決定されている。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、物理的に充分に特性決定されている。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、化学的および物理的に充分に特性決定されている。
本発明のある態様は、細胞増殖を支援し、生体内での細胞の内殖および増殖を可能にし、例えば、脈管構造問題の治療用の、生体内または生体外で使用して細胞増殖用の基体を提供し得る生体内生物学的埋込み可能な装置として有用である。
1つの態様においては、本発明の網状エラストマーマトリックスは、細胞の結合、移行、増殖および/またはコーティング(例えば、コラーゲン)付着のための表面を提供することによって組織増殖を容易にする。別の態様においては、例えば、上皮細胞(例えば、扁平上皮、立方上皮および円柱上皮組織のような)、結合組織(例えば、疎性結合組織、蜜性規則性および不規則性組織、細網組織、脂肪組織、軟骨および骨のような)、および筋肉組織(例えば、骨格筋、平滑筋および心筋のような)、またはこれらの任意の組合せ、例えば、線維性血管性組織のような任意のタイプの組織が、本発明の網状エラストマーマトリックスを含む埋込み可能な装置中に増殖し得る。本発明の別の態様においては、本発明の網状エラストマーマトリックスを含む埋込み可能な装置は、その相互連結孔の体積の実質的に全体に亘って組織内殖を有し得る。
1つの態様においては、本発明は、“送達装置”により送達するのに充分な弾力的圧縮性を有する埋込み装置、即ち、エラストマー埋込み可能な装置を収容するためのチャンバーを有する装置を含み、埋込み可能な装置は、例えば、カテーテル、内視鏡、関節鏡、腹腔鏡、膀胱鏡またはシリンジを使用して所望部位に送達されその後その部位に放出される。別の態様においては、このようにして送達されたエラストマー埋込み可能な装置は、生物学的部位に送達された後にその形状を実質的に再獲得し、長時間の埋込みに適する適切な生体耐久および生体適合特性を有する。
本発明のエラストマーマトリックスの構造、形態および特性は、広範囲の性能に亘って、種々の機能的または治療的用途において出発物質および/または加工条件を変えることによって操作または調製し得る。
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、生物学的容積または空洞を満たし得且つその容積全体に亘って分布した充分な有孔率を含む軽量の耐久性構造体を得るという本発明の目的は、以下の1つ以上を可能にすることによって満たされるものと考えている:閉塞および塞栓、細胞の内殖および増殖、組織再生、細胞結合、薬物送達、固定化酵素による酵素作用、および本明細書において説明するような、とりわけ同時係属出願に含まれている他の有用なプロセス。
1つの態様においては、本発明のエラストマーマトリックスは、人体内での、例えば、低圧縮条件、例えば、25℃または37℃で埋込みのために圧縮された後、例えば、少なくとも1の次元における緩和形状サイズの少なくとも約50%までの実質的な回復を可能にするのに充分な弾力性、並びに該マトリックスを薬物のような医薬活性剤の制御放出および他の医療用途において使用するための充分な強度と流入性を有する。別の態様においては、本発明のエラストマーマトリックスは、人体内での埋込みのために圧縮された後に、少なくとも1の次元における緩和形状サイズの少なくとも約60%までの回復を可能にするのに充分な弾力性を有する。別の態様においては、本発明のエラストマーマトリックスは、人体内での埋込みのために圧縮された後に、少なくとも1の次元における緩和形状サイズの少なくとも約90%までの回復を可能にするのに充分な弾力性を有する。
本出願において、用語“生体耐久性”とは、生物学的環境において長期間安定であるエラストマーおよび他の製品を表す。そのような製品は、埋込み可能な装置の使用に比例する時間で生物学的環境に暴露させたときに、破壊もしくは分解の有意な兆候、腐蝕、またはその使用に関連する機械的性質の有意な劣化を示すべきでない。埋込み期間は、数週間、数か月間若しくは数年間;本発明のエラストマー製品を組込む移植片若しくは人工装具のような被移植体(host)製品の寿命;または、エラストマー製品に対する患者宿主の寿命であり得る。1つの態様においては、所望の暴露期間は、少なくとも29日間であると理解される。別の態様においては、所望の暴露期間は、少なくとも29日間であると理解される。
1つの態様においては、本発明の生体耐久性製品は、生体適合性でもある。本出願において、用語“生体適合性”とは、該製品が、宿主患者に埋込んだときに、たとえあるとしても、ほんの僅かな有害生物学反応しか示さないことを意味する。“生体耐久性”に当てはまる同様な考察は、“生体適合性”の特性にも当てはまる。
意図する生物学的環境は、生体内、例えば、上記製品を埋込むまたは上記製品を局所的に適用する患者宿主、例えば、ヒトもしくは他の霊長類、ペットもしくはスポーツ動物、家畜もしくは食用動物、または実験動物のような哺乳動物宿主の環境であると理解し得る。そのような使用は、全て本発明の範囲内に属するものとみなされる。本明細書において使用するとき、“患者”とは動物である。1つの態様においては、動物は、限定するものではないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウおよびウズラのような鳥類、または哺乳動物である。別の態様においては、動物は、限定するものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、サルおよびヒトのような哺乳動物である。別の態様においては、前記動物は霊長類またはヒトである。別の態様においては、前記動物はヒトである。
1つの態様においては、本発明の多孔質エラストマーにおける構成物質は、合成ポリマー類、とりわけ(専らではないが)、生物学的分解に対し耐性であるエラストマーポリマー類、例えば、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリシロキサン等である。そのようなエラストマー類は、一般に疎水性であるが、本発明によれば、疎水性の低いまたは幾分親水性である表面を有するように処理し得る。別の態様においては、そのようなエラストマー類は、疎水性の低いまたは幾分親水性である表面を有して調製し得る。
本発明の網状生体耐久性エラストマー製品は、“マクロ構造”および“ミクロ構造”を有するものとして説明することもでき、これらの用語は、本明細書においては、以下のパラグラフにおいて説明する一般的な意味で使用する。
“マクロ構造”とは、次のような、本発明の生体耐久性エラストマー製品から形成された物品または物体の全体的な物理特性を称する:孔または空隙を無視して、物品または物体の幾何学的限界により説明されるような外周;孔をあたかも充填したかのような外表面積を基準として、孔に含まれる前記表面積を無視する、“マクロ構造表面積”;マクロ構造または単純な“マクロ”表面積によって境界を示されている体積である物品または物体が占める、“マクロ構造体積”または単純な“体積”;および、構造材料の密度とは異なる、物品または物体自体の単位体積当りの質量である“嵩密度”。
“ミクロ構造”とは、本発明の製品を構成する生体耐久性エラストマー材料の内部構造の特徴、例えば、本発明のエラストマー製品のある態様の固形構造体を構成する、孔寸法;孔内の材料表面の総面積である孔表面積;支柱(strut)および交差点の形状;を称する。
図1に関し、便宜上示しているのは、網状発泡体の特定の形態の略図である。図1は、本発明の幾つかの態様のミクロ構造を特徴および原理の幾つかを例証する好都合な方法である。この図は、本発明のエラストマー製品の1つの態様の理想的な描写を意図したものでもなく、特定の態様の詳細な表現でもない。ミクロ構造の他の特徴および原理は、本明細書から明らかになるであろうし、或いは本明細書で説明する1つ以上の本発明の多孔質エラストマー製品の製造方法から明らかになるであろう。
形態
一般に、例示する多孔質生体耐久性エラストマーマトリックス10のミクロ構造は、なかんずく、明確な形状を有する個々の要素または幅のある連続したまたは無定形の存在物であり得、適切な生体耐久性エラストマー材料から形成された網状固相12およびその中に散在するまたはそれによって輪郭付けされた連続相互連結空隙相14を含み、後者が網状構造の主たる特徴である。
1つの態様においては、エラストマーマトリックス10を構成するエラストマー材料は、複数の材料の混合物またはブレンドである。別の態様においては、エラストマー材料は、後でより詳細に説明するような単一の合成高分子エラストマーである。
空隙相14は、通常、使用前に空気またはガス充填されるであろう。使用中は、空隙相14は、全部ではないが多くの場合、液体、例えば、生物学的流体即ち体液で満たされるであろう。
エラストマーマトリックス10の固相12は、図1で示すように、有機構造体を有し、複数の比較的薄い支柱16を含み、この支柱は多数の交差点18間に延び、これらの交差点と相互連結している。交差点18は、3本またはそれ以上の支柱16が互いに出会う実質的な構造的位置である。4本または5本或いはそれ以上の支柱16が、交差点18または2つの交差点18が互いに合流するように理解できる位置で出会うように理解できる。1つの態様においては、支柱16は、紙面上下の交差点18の間に三次元形状に延びており、特定の面に固執していない。即ち、与えられたいずれの支柱16も、1つの交差点18から、その交差点で連結する他の支柱16に対して任意の方向に延びている。支柱16と交差点18は、一般に弯曲した形状を有し得、その間に、固相12中の多数の孔20即ち間隙空間を形成している。支柱16と交差点18は、相互連結した連続固相を形成している。
図1に示すように、エラストマーマトリックス10の固相12の構成成分、即ち、支柱16と交差点18は、あたかも幾つかを単一シートから切取ったような幾分か薄層構造を有するようであり得るが、この外観は、複雑な三次元構造を二次元図面で表すことの難しさに部分的に起因し得るものと理解されたい。支柱16と交差点18は、円形、楕円形および非円形断面形状、並びに特定の構造に沿う面で変化し得る、例えば、上記支柱と交差点がその最長寸法に沿って縦断しながらより小さくおよび/またはより大きくなる断面に傾斜し得る断面のような非薄層形状を有し得るか、多くの場合有するであろう。
少数の孔20は、気泡壁22のような“窓”または“窓面”とも称する構成材料の気泡壁を有し得る。そのような気泡壁は、これらの気泡壁が流体の通過および/または孔20を介しての組織の繁殖および増殖を妨げる限り望ましくない。気泡壁22は、1つの態様においては、後で説明する網状化のような適切な処理工程において除去し得る。
マクロ構造表面の境界末端を除いて、図1に示す態様においては、エラストマーマトリックス10の固相12は、あり得る場合に少数の、支柱16または交差点18から延びているが他の支柱または交差点と連結していない自由端型、行き止まり端型または突出した“支柱様”構造体を含む。
しかしながら、別の態様においては、複数のそのような微小繊維(図示せず)を、例えば、支柱16または交差点18当り約1〜約5本の微小繊維を有し得る。ある用途においては、そのような微小繊維は、例えばこれら微小繊維が提供するさらなる表面積のために有用であり得る。しかしながら、そのような突出または隆起構造体は、孔20を通る流れを妨害または制約し得る。
支柱16と交差点18は、空隙相14を構成する孔20の形状または輪郭を形成するものとみなし得る(その逆も同様である)。多くの孔20は、これらの孔が個々に同定されない限りにおいて、少なくとも2本の他の孔20中に開口しこれらの孔と連結している。交差点18では、3本以上の孔20が出会い相互連結しているものとみなし得る。ある態様においては、空隙相14は、エラストマーマトリックス10全体に亘って連続または実質的に連続しており、独立気泡孔20はあったとしても僅かしか存在しないことを意味している。そのような独立気泡孔20は、有用な容積の喪失を示し、エラストマーマトリックス10の内部支柱および交差点構造体16および18への有用な流体の受入れを妨げ得る。
1つの態様においては、そのような独立気泡孔20は、存在する場合、エラストマーマトリックス10の体積の約15%未満を構成する。別の態様においては、そのような独立気泡孔20は、存在する場合、エラストマーマトリックス10の体積の約5%未満を構成する。別の態様においては、そのような独立気泡孔20は、存在する場合、エラストマーマトリックス10の体積の約2%未満を構成する。独立気泡孔20の存在は、エラストマーマトリックス10を通る液体の体積的流量の低下の影響によりおよび/またはエラストマーマトリックス10中への細胞の内殖および増殖の減少として注目され得る。
別の態様においては、エラストマーマトリックス10を網状化する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10を充分に網状化する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、充分に網状化されている。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、多くの気泡壁22を除去する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、殆どの気泡壁22を除去する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、実質的に全部の気泡壁22を除去する。
別の態様においては、固相12は、網状化したものとして説明し得、エラストマーマトリックスの境界における以外で何らの有意な終結、隔離領域または不連続なしで、支柱16および交差点18のような固形構造体の連続ネットワークを含み、このネットワークにおいては、ネットワーク内の1つの点からネットワーク内の任意の他の点まで固相12の材料の全体を通して仮想線を引くことができる。
別の態様においては、空隙相14も間隙空間の連続ネットワーク、即ち、ガスまたは液体類のための相互連結流体通路であり、この流体通路は、エラストマーマトリックス10の固相12の構造体の全体に亘って延びてこの構造体によって形成され(またはこの構造体を形成し)、その外表面積全体に開口している。他の態様においては、上述したように、閉塞または空隙ネットワークにおける少なくとも1つの他の孔20と相互連結していない独立気泡孔20は、僅かしか存在しないか、実質的に存在しないか、或いは全く存在しない。この空隙相ネットワークにおいても、仮想線を、ネットワーク内の1つの点からネットワーク内の任意の他の点まで空隙相14の全体を通して引くことができる。
本発明の目的に応呼して、1つの態様においては、エラストマーマトリックス10のミクロ構造は、エラストマーマトリックス10が適切な生体内位置に所定期間滞留するときに、固相12表面積上への細胞粘着、該表面積上での新生内膜形成、並びに空隙相14の孔20中への細胞および組織の内殖および増殖を可能にするようにまたは促進させるように構築する。
別の態様においては、そのような細胞または組織の内植および増殖(ある目的においては線維形成を含み得る)は、孔20の外側層中ではなくてエラストマーマトリックス10の最深内部および全体中で起こり或いは促進させる。即ち、この態様においては、エラストマーマトリックス10が占める空間は、勿論エラストマー固相12が占める空間を除いて、線維性、瘢痕または他の組織の形の細胞および組織の内殖および増殖によって全体的に満たされるようになる。別の態様においては、本発明の埋込み可能な装置は、内殖組織を、例えば、支援的な微小血管系の存在により生存したまま保つように機能する。
このために、とりわけ空隙相14の形態に関し、1つの態様においては、エラストマーマトリックス10を、開放相互連結孔によって網状化する。
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、この網状化は、細胞集団がエラストマーマトリックス10の内部に滞留するようになった後でさえも、体液、例えば、血液によるエラストマーマトリックス10内部の自然な潅注を可能にして、細胞集団を、細胞集団に栄養素を供給しさらに廃棄生成物を細胞集団から除去することによって持続させるものと考えられる。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、特定サイズ範囲の開放相互連結孔によって網状化する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、サイズ範囲分布を有する開放相互連結孔によって網状化する。
とりわけ後述するパラメーターを含むエラストマーマトリックス10の種々の物理的および化学的パラメーターは、エラストマーマトリックス10を意図する特定の用途に応じて、細胞の内殖および増殖を促進させるように選定することが意図される。
内部細胞潅注を提供するエラストマーマトリックス10のそのような構成は、流体透過性であり、細胞潅注以外の目的のため、例えば、生物学的活性剤、例えば、薬物または他の生物学的に有用な物質の溶出のために、マトリックス内部によるまたはマトリックス内部への流体受入れも提供し得ることを理解されたい。そのような物質は、必要に応じて、エラストマーマトリックス10の内部表面積に固定し得る。
本発明の別の態様においては、ガス相12は、送達可能な処理ガス、例えば、オゾンのような滅菌剤または酸化窒素のような創傷治療薬で満たし或いはこれらと接触させ得るが、マクロ構造表面を、例えば生体吸収性膜によってシールして、この膜が浸食されてガスを放出して局所治療作用または他の作用をもたらすまで埋込み製品内にガスを収容していることを条件とする。
本発明の有用な態様としては、支柱16、交差点18および孔20の形状および大きさが実質的に変化している、図1に示すような幾分ランダム化した構造体;および、これもまた、固相と空隙相の三次元的相互浸透性、構造的複雑性および高流体透過性という説明した特徴を示すより整備された構造体がある。そのようなより整備された構造体は、後でさらに説明する。
多孔性
空隙相14は、何らかの必要に応じての内部孔表面コーティングまたは層形成物を施す前のエラストマーマトリックス10の間隙空間によって与えられる体積を参照して、エラストマーマトリックス10の50体積%ほどの小体積を構成する。1つの態様においては、空隙相14の体積は、上述したようにして、エラストマーマトリックス10の体積の約70%〜約99%である。別の態様においては、空隙相14の体積は、エラストマーマトリックス10の体積の約80%〜約98%である。別の態様においては、空隙相14の体積は、エラストマーマトリックス10の体積の約90%〜約98%である。
本明細書において使用するとき、孔が球形または実質的に球形である場合、その最大横断寸法は、孔の直径と等価である。孔が非球形、例えば、楕円形または四面体形である場合、孔内の1つの孔表面から他の表面までの最大距離、例えば、楕円形孔における主軸長または四面体孔における最長面辺の長さと等価である。本明細書において使用するとき、“平均直径または他の最大横断寸法”とは、球形または実質的に球形の孔については数平均直径を指し、非球形の孔については数平均最大横断寸法を指す。
血管奇形用途等に関連する1つの態様においては、細胞の内殖および増殖を促進させ且つ適切な流体透過性を得るためには、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、少なくとも約100μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、少なくとも約150μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、少なくとも約250μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約250μmよりも大きい。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、250μmよりも大きい。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、少なくとも約275μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μmよりも大きい。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μmよりも大きい。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、少なくとも約300μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約300μmよりも大きい。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、300μmよりも大きい。
血管奇形用途等に関連する別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約900μmよりも大きくない。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約850μmよりも大きくない。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約800μmよりも大きくない。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約700μmよりも大きくない。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約600μmよりも大きくない。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約500μmよりも大きくない。
血管奇形用途等に関連する別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約100μm〜約900μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約100μm〜約850μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約100μm〜約800μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約100μm〜約700μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約150μm〜約600μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約200μm〜約500μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約250μm〜約900μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約250μm〜約850μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約250μm〜約800μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約250μm〜約700μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約250μm〜約600μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μm〜約900μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μm〜約850μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μm〜約800μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μm〜約700μmである。別の態様においては、孔20の平均直径または他の最大横断寸法は、約275μm〜約600μmである。
孔サイズ、孔サイズ分布、表面積、ガス透過性および液体透過性は、当業者にとって既知の通常の方法によって測定し得る。幾つかの測定方法は、例えば、www.pmjapp.cokPapers/index.htmlにおいて利用し得る“Advanced Technology for Evaluation of Pore Structure Characteristics of Filtration Media to Optimize Their Design and Performance”においてA. JenaおよびK. Guptaにより、また刊行物“A Novel Mercury Free Technique for Determination of Pore Volume, Pore Size and Liquid Permeability”において要約されている。そのような測定を実施するのに使用し得る装置は、各々Porous Materials社(ニューヨーク州イタコ)から入手し得るCapillary Flow PorometerおよびLiquid Extrusion Porosimeterである。
サイズおよび形状
エラストマーマトリックス10は、任意の所望サイズおよび形状で容易に製造し得る。エラストマーマトリックス10が、バルクストック(梱包状態での保管品)からの大量生産に、そのようなバルクストックを、例えば、切断、金型パンチング、レーザースライシングまたは圧縮成形により再分割することによって適し得ることは、本発明の利点である。1つの態様においては、バルクストックの再分割は、加熱表面を使用して実施し得る。エラストマーマトリックス10の形状および輪郭を広範囲に変化させ、所望の解剖学的形態に容易に適応させ得ることも、本発明のさらなる利点である。
エラストマーマトリックス10のサイズ、形状、輪郭および他の関連する詳細は、特定の用途または患者に応じて特注製造されるか或いは大量生産のために標準化されるかのいずれかであり得る。しかしながら、経済性を考慮すると、標準化が好ましい。このためには、エラストマーマトリックス10は、種々のサイズと形状のエラストマー埋込み可能な装置片を含むキットにおいて具現化し得る。また、本明細書において別途説明するように、さらに同時係属出願において開示されているように、複数の、例えば、2個、3個または4個の個々のエラストマーマトリックス10を、寸法合せし、形作りし或いは寸法合せと形作りの双方を行って個々のターゲット部位の処置において共働的に機能するようにした単一の生物学的ターゲット部位用の埋込み可能な装置系としても使用し得る。
上記の処方を実施する施術者は、外科医もしくは他の医師もしくは獣医、または研究者等であり得、その後、入手し得る範囲から1個以上の埋込み可能な装置を選定して、例えば、同時係属出願において記載されているようにして、特定の処置において使用し得る。
例えば、エラストマーマトリックス10の最小寸法は1mmほどの小さく、また100mmほどまたはそれ以上の最大寸法であり得る。しかしながら、1つの態様においては、埋込みを意図するそのような寸法のエラストマーマトリックス10は、シリンダー、ロッド、チューブまたは細長プリズム形の形状のような細長形状、或いは折り曲げ型、コイル型、螺旋状または他のよりコンパクトな形状を有することが意図される。同等に、1mmほどの小さい寸法は、細長形状またはリボンもしくはシート状埋込み可能な装置の横方向寸法であり得る。
別の態様においては、任意の他の寸法と比較したときに実質的に細長の寸法を有しない球形、立方形、四面体形、ドーナツ形または他の形状を有し且つ約1mm〜約100mmの直径または他の最大寸法を有するエラストマーマトリックス10は、例えば、血管閉塞における利用性を有し得る。別の態様においては、そのような形状を有するエラストマーマトリックス10は、約3mm〜約20mmの直径または他の最大寸法を有する。
殆どの埋込み可能な装置の用途において、エラストマーマトリックス10のマクロ構造寸法としては、次のような態様がある:約1mm〜約200mmの横方向寸法を有する、球体、立方体、ピラミッド、四面体、円錐体、シリンダー、台形、平行六面体、楕円、紡錘体、チューブまたはスリーブのようなコンパクト形状、および多くの規則性の小さい形状(別の態様においては、これらの横方向寸法は約5mm〜約100mmである);並びに、約1mm〜約20mmの厚さ(別の態様においては、これらの厚さは約1mm〜約5mmである)と約5mm〜約200mmの横方向寸法(別の態様においては、これらの横方向寸法は約10mm〜約100mmである)を有するシート状またはストリップ状形状。
血管奇形の治療においては、埋込み可能なエラストマーマトリックス要素を、多くの場合複雑でモデル化するのが難しい血管奇形の形状に綿密に一致させる何らの必要なしで、有効に使用し得ることは、本発明の利点である。即ち、1つの態様においては、本発明の埋込み可能なエラストマーマトリックス要素は、例えば、同時係属出願において記載されているように、著しく様々な簡素な形状を有する。
さらにまた、1つの態様においては、本発明の埋込み可能な装置または2個以上を使用する場合の各埋込み可能な装置は、in situで充分に膨張したときでさえも、動脈瘤または他の血管奇形を完全に満たすべきでない。1つの態様においては、本発明の充分に膨張した埋込み可能な装置(1個以上)は、血管奇形よりも寸法が小さくて、脈管化、細胞の内殖および増殖、並びに血液の埋込み可能な装置への通過を確保する血管奇形内の充分なスペースを提供する。別の態様においては、本発明の充分に膨張した埋込み可能な装置(1個以上)は、血管奇形と寸法において実質的に同じである。別の態様においては、本発明の充分に膨張した埋込み可能な装置(1個以上)は、血管奇形よりも寸法において大きい。別の態様においては、本発明の充分に膨張した埋込み可能な装置(1個以上)は、血管奇形よりも体積において小さい。別の態様においては、本発明の充分に膨張した埋込み可能な装置(1個以上)は、血管奇形と体積において実質的に同じである。別の態様においては、本発明の充分に膨張した埋込み可能な装置(1個以上)は、血管奇形よりも体積において大きい。
幾つかの有用な埋込み可能な装置の形状は、ターゲット血管奇形の1部分に近似する。1つの態様においては、埋込み可能な装置は、種々の患者おける複数の異なる部位を処置するのに適する比較的単純な凸面の皿様または半球形または半楕円型の形状とサイズとして形作りする。
別の態様においては、それらの孔が生物学的流体、体液および/または組織により時間の途中で満たされるようになったときでさえ、血管奇形用途等におけるそのような埋込み可能な装置が居留する生物学的部位を完全には満たさないこと;および個々の埋込んだエラストマーマトリックス10が、必ずしもではないが多くの場合、生物学部位への入口内でその生物学的部位の50%よりも大きくない体積を有することを意図する。別の態様においては、個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、生物学部位への入口内でその生物学的部位の75%よりも大きくない体積を有する。別の態様においては、個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、生物学部位への入口内でその生物学的部位の95%よりも大きくない体積を有する。
別の態様においては、それらの孔が生物学的流体、体液および/または組織により時間の途中で満たされるようになったとき、血管奇形用途等におけるそのような埋込み可能な装置は、居留する生物学的部位を実質的に満たし;個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、必ずしもではないが多くの場合、生物学部位への入口内でその生物学的部位の約100%よりも大きくない体積を有する。別の態様においては、個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、生物学部位への入口内でその生物学的部位の約98%よりも大きくない体積を有する。別の態様においては、個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、生物学部位への入口内でその生物学的部位の約102%よりも大きくない体積を有する。
別の態様においては、それらの孔が生物学的流体、体液および/または組織により時間の途中で満たされるようになったとき、血管奇形用途等におけるそのような埋込み可能な装置は、居留する生物学的部位を過充填し;個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、必ずしもではないが多くの場合、生物学部位への入口以内でその生物学的部位の約105%よりも大きい体積を有する。別の態様においては、個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、生物学部位への入口以内でその生物学的部位の約125%よりも大きい体積を有する。別の態様においては、個々の埋込んだエラストマーマトリックス10は、生物学部位への入口以内でその生物学的部位の約150%よりも大きい体積を有する。
エラストマーマトリックス10のさらなる別の形態は、末端管閉塞、毛管閉鎖および他の目的において有用な栓子または粒子を含み、この栓子は、概して球形または他の所望形状と約1mm未満、例えば、約10μm〜約500μmの平均サイズとを有する。別の態様においては、栓子は、概して球形または他の所望形状と約1mm未満の狭い分布とを有する平均サイズを有する。そのような栓子は、エラストマーマトリックス10が本明細書において一般的に説明されているように、多孔質の固形物または中空体であり得る。
充分に特性決定されたエラストマーおよびエラストマー埋込み可能な装置
エラストマーマトリックス10の構成材料として使用するエラストマー類は、単独またはブレンドもしくは溶液中の組合せにおいて、1つの態様においては、適切な機械的性質を有する充分に特性決定された合成エラストマーポリマーであり、これらのポリマーは、患者において、とりわけ哺乳動物において、とりわけヒトにおいて生体内埋込み可能な装置として使用するのに生体耐久性で適切であるとみなされるように化学的、物理的または生物学的特性に関して充分に特性決定されている。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の構成材料として使用するエラストマー類は、患者において、とりわけ哺乳動物において、とりわけヒトにおいて生体内埋込み可能な装置として使用するのに生体耐久性で適切であるとみなされるように化学的、物理的または生物学的特性に関して充分に特性決定する。
エラストマーマトリックスの物理的特性
エラストマーマトリックス10は、それの他の特性と調和した任意の適切な嵩密度(比重としても知られている)を有し得る。例えば、1つの態様においては、嵩密度は、ASTM規格D3574に記載されている試験方法に従い測定したとき、約0.005 g/cc〜約0.15 g/cc (約0.31 lb/ft3〜約9.4 lb/ft3)であり得る。別の態様においては、上記嵩密度は、約0.008 g/cc〜約0.127 g/cc (約0.5 lb/ft3〜約8 lb/ft3)であり得る。別の態様においては、上記嵩密度は、約0.015 g/cc〜約0.115 g/cc (約0.93 lb/ft3〜約7.2 lb/ft3)であり得る。別の態様においては、上記嵩密度は、約0.024 g/cc〜約0.104 g/cc (約1.5 lb/ft3〜約6.5 lb/ft3)であり得る。
エラストマーマトリックス10は、それの他の特性と調和した任意の適切な顕微鏡的表面積を有し得る。当業者であれば、例えば、多孔質材料の露出面から、孔頻度、例えば、直線ミリメートル当りの孔数からの顕微鏡的表面積をごく普通に推定し得るであろうし、孔頻度もμmでの平均気泡面直径からごく普通に推定し得るであろう。
他の適切な物理的特性は、当業者にとって明らかであろうし、明らかになるであろう。
エラストマーマトリックスの機械的性質
1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、生体内で自立性および独立性であるべき充分な構造的一体性を有する。しかしながら、別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、リブまたは支柱のような構造的支持体により取付け得る。
網状エラストマーマトリックス10は、その意図する応用中および後処理工程(引裂き、破壊、細片化、断片化または崩壊、脱落による細片または粒子、或いはその構造的一体性の喪失なしで要求され或いは求められる)中の通常の手によるまたは機械的取扱いに耐え得るような充分な引張強度を有する。出発物質(1種以上)の引張強度は、エラストマーマトリックス10の作製または他の加工を干渉するほど高くあるべきでない。
このように、例えば、1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、約6.9 kPa〜約517 kPa [約700 kg/m2〜約52,500 kg/m2 (約1 psi〜約75 psi)]の引張強度を有し得る。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、約6.9 kPa〜約207 kPa [約700 kg/m2〜約21,000 kg/m2 (約1 psi〜約30 psi)]の引張強度を有し得る。
充分な極限引張伸びもまた望ましい。例えば、別の態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、少なくとも約150%の極限引張伸びを有する。別の態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、少なくとも約200%の極限引張伸びを有する。別の態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、少なくとも約500%の極限引張伸びを有する。
本発明の実施において使用する1つの態様は、充分に可撓性であり、且つ充分に弾力性、即ち、弾力的に圧縮可能であって、周囲条件下(例えば、25℃)、緩和形状から、生体内送達用の送達装置(例えば、カテーテル、内視鏡、シリンジ、膀胱鏡、トロカールまたは他の適切な導入装置)を介する送達のための第1のコンパクト形状に最初に圧縮され、その後、生体内で第2の作動形状まで膨張することを可能にする網状エラストマーマトリックス10である。さらにまた、別の態様においては、エラストマーマトリックスは、元の寸法の約5〜95%に圧縮した(例えば、元の寸法の約19/20〜1/20倍に圧縮した)後に、本明細書で説明する弾力的圧縮性を有する。別の態様においては、エラストマーマトリックスは、元の寸法の約10〜90%に圧縮した(例えば、元の寸法の約9/10〜1/10倍に圧縮した)後に、本明細書で説明する弾力的圧縮性を有する。本明細書において使用するとき、エラストマーマトリックス10は、生体内での第2の作動形状が少なくとも1の次元において緩和形状サイズの少なくとも約50%であるときに、“弾力的圧縮性”を有する、即ち、“弾力的に圧縮可能”である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が少なくとも1の次元において緩和形状サイズの少なくとも約80%であるような圧縮性である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が少なくとも1の次元において緩和形状サイズの少なくとも約90%であるような圧縮性である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が少なくとも1の次元において緩和形状サイズの少なくとも約97%であるような圧縮性である。
別の態様においては。エラストマーマトリックスは、その元の体積の約5〜95%に圧縮した(例えば、その元の体積の約19/20〜1/20倍に圧縮した)後に本明細書で説明する弾力的圧縮性を有する。別の態様においては、エラストマーマトリックスは、その元の体積の約10〜90%に圧縮した(例えば、その元の体積の約9/10〜1/10倍に圧縮した)後に本明細書で説明する弾力的圧縮性を有する。本明細書において使用するとき、“体積”とは、上記エラストマーマトリックスの最も外側の三次元輪郭によって置き換えられている(swept-out)体積である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が、緩和形状の占める体積の少なくとも約50%であるような圧縮性である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が、緩和形状の占める体積の少なくとも約80%であるような圧縮性である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が、緩和形状の占める体積の少なくとも約90%であるような圧縮性である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の弾力的圧縮性は、生体内での第2作動形状が、緩和形状の占める体積の少なくとも約97%であるような圧縮性である。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、外科切開処置によって挿入し得る。
1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、50%圧縮歪み(compression strain)において約6.9 kPa〜約138 kPa [約700〜約140,000 kg/m2 (約1 psi〜約200 psi)]の圧縮強度を有する。1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、50%圧縮歪みにおいて約6.9kPa〜約345 kPa [約700 〜約35,000 kg/m2 (約1 psi〜約50 psi)]の圧縮強度を有する。1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、50%圧縮歪みにおいて約6.9 kPa〜約207 kPa [約700〜約21,000 kg/m2 (約1 psi〜約30 psi)]の圧縮強度を有する。1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、75%圧縮歪みにおいて約6.9 kPa〜約2,068 kPa [約7,000〜約210,000 kg/m2 (約10 psi〜約300 psi)]の圧縮強度を有する。1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、75%圧縮歪みにおいて約69 kPa〜約689 kPa [約7,000〜約70,000 kg/m2 (約10 psi〜約100 psi)]の圧縮強度を有する。1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、75%圧縮歪みにおいて約6.9kPa〜276kPa[約7,000〜約28,000 kg/m2 (約10 psi〜約40 psi)]の圧縮強度を有する。
別の態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、約25℃でその厚さの50%に圧縮させたとき(ASTM D3574に準じて測定)、約30%よりも大きくない圧縮永久歪みを有する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、約20%よりも大きくない圧縮永久歪みを有する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、約10%よりも大きくない圧縮永久歪みを有する。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、約5%よりも大きくない圧縮永久歪みを有する。
別の態様においては、網状エラストマーマトリックス10は、ASTM規格D3574に記載された試験方法に従い測定したとき、約0.18〜約1.78 kg/直線cm (約1〜約10 lbs/直線インチ)の引裂強度を有する。
表1は、網状エラストマーマトリックス10の各態様に適用し得る機械的性質および他の特性を要約している。さらなる適切な機械的性質は、当業者にとっては、明らかであろうし、或いは明らかとなるであろう。




表1:網状エラストマーマトリックス10の特性
Figure 0005111731
本明細書において説明する多孔質材料の機械的性質は、特に断らない限り、“Standard Test Method for Flexible Cellular Materials Slab, Bonded and Molded Urethane Foams”と題したASTM D3574-01、または当業者が適切であることを知っている他のそのような方法に従って測定し得る。
さらにまた、多孔性を、エラストマーマトリックス10に使用するエラストマーに、重合反応中よりはむしろ重合反応後に付与する場合は、良好な加工性も重合後成形および製造において望まれ得る。例えば、1つの態様においては、エラストマーマトリックス10は、低粘着性を有する。
生体耐久性および生体適合性
1つの態様においては、エラストマー類は、患者、例えば、動物またはヒトにおける長時間埋込みに適するように充分に生体耐久性である。生体耐久性エラストマーおよびエラストマーマトリックスは、エラストマーが、動物、例えば、哺乳動物中に少なくとも29日間埋込んだときに、安定性を示し続けることを意味する妥当な生体耐久性の予測性を与えるような化学的、物理的および/または生物学的性質を有する。意図する長期埋込みの期間は、特定の用途に応じて変動させ得る。多くの用途において、実質的に長い埋込み期間が要求され得、そのような用途においては、少なくとも6ヶ月、12ヶ月または24ヶ月或いは5年ほどの長い期間の生体耐久性が望まれ得る。とりわけ利益を有するのは、患者が生存する間生体耐久性であるとみなされ得るエラストマーである。頭蓋動脈瘤を治療するためのエラストマーマトリックス10の1つの態様の可能性ある使用の場合、そのような症状はそれ自体むしろ若いヒト患者、おそらくは30代患者に存在し得るので、50年を越える生体耐久性が有益であり得る。
別の態様においては、埋込み期間は、細胞の内殖および増殖が始まる間、例えば、少なくとも約4〜8週間で少なくとも充分であろう。別の態様においては、エラストマーは、エラストマーが、長時間埋込んだときに、生体耐久性を示し続けることを意味する納得できる生体耐久性の予測性を与えるような化学的、物理的および/または生物学的性質を有することを証明することによって、長時間の埋込みに適切であると充分に充分に特性決定されている。
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、本発明のエラストマーマトリックスの生体耐久性は、生体耐久性ポリマー(1種以上)を本発明の網状エラストマーマトリックス製造のための犠牲的成形法または凍結乾燥法において使用する流動性材料として選択することによって増進させ得る。さらにまた、重合、架橋、発泡および網状化を含む方法によって形成されたエラストマーマトリックスの生体耐久性を増進させるためのさらなる考察としては、生体耐久性である出発成分の選択、およびエラストマーマトリックスがその成分の生体耐久性を保持するような、これら成分の化学量論比がある。例えば、エラストマーマトリックス生体耐久性は、例えば患者体液温度およびpHにおいて加水分解に感受性である化学結合および化学基、例えば、エステル基の存在および形成を最小限にすることによって増進させ得る。さらなる例としては、約2時間を越える硬化工程を架橋および発泡後に実施して、エラストマーマトリックス中の遊離アミン基の存在を最小限とすることもできる。さらにまた、エラストマーマトリックスの製造過程中に、例えば、混合、溶解、架橋および/または発泡中に生じ得るような剪断または熱エネルギーへの暴露により起り得る分解を、当業者にとって公知の方法によって最小にすることも重要である。
前述したように、生体耐久性エラストマーおよびエラストマーマトリックスは、生物学的環境において長時間安定である。そのような製品は、生物学的環境および/または身体ストレスに製品使用に相応した期間中曝されたときに、破壊、分解、腐蝕または製品使用に関連する機械的性質の有意な劣化の有意な兆候を示さない。しかしながら、幾分かの量の亀裂、割れ目または強靭性および剛性の損失(ESC、即ち、環境ストレスクラッキングとも称する)は、本明細書において説明する血管内および他の用途には関連しない。多くの生体内用途、例えば、エラストマーマトリックス10を血管異常の治療に使用する場合、あったとしても機械的ストレスに曝されることは殆んどなく、従って、重大な患者結果に至る機械的欠損を生ずることはありそうもない。従って、ESCのないことは、本発明が意図するそのような用途における適切なエラストマーの生体耐久性に対する必要条件ではあり得ない;何故ならば、エラストマー特性は、エンドチエロゼーション(endothielozation)、封入化、並びに細胞の内殖および増殖が進行するにつれて、あまり重要でなくなるからである。
さらにまた、ある種の埋込み用途においては、エラストマーマトリックス10は、時間の途中で、例えば、2週間ないし1年において、組織または瘢痕組織等により取り囲まれるかまたは封入され、或いは、例えば、修復される組織または治療する内腔中に取り込まれるかまたは完全に組み込まれるようになることが見込まれる。この状態においては、エラストマーマトリックス10は、移動性または循環性生物学的流体への暴露を減じる。従って、生化学的分解または望ましくない毒性の可能性のある生成物の宿主生物体への放出の確率は、排除されない場合も小さくなる。
1つの態様においては、上記エラストマーマトリックスは、そのエラストマーが生体内での有害反応をあったとしても僅かにしか誘発しないような良好な生体適合性を伴う良好な生体耐久性を有する。そのためには、本発明において使用する別の態様は、意図する埋込み部位に意図する埋込み時間居留するとき、そのような有害な反応または作用を生体内で誘発させ得る生物学的に望ましくないまたは有害な物質または構造を含まないエラストマーまたは他の材料である。従って、そのようなエラストマーは、細胞毒素、突然変異誘発原、発癌物質および/または催奇形物質を全く含まないか或いは極めて低い生物学的許体積しか含有すべきでない。別の態様においては、エラストマーマトリックス10の製造において使用するエラストマーの生体耐久性における生物学的特性としては、生物学的分解に対する抵抗性、並びに細胞毒性、血液毒性、癌原性、突然変異原性または催奇形原性のないことまたは極めて低いことの少なくとも1つがある。
本発明の方法の局面
以下、図2に関しては、示した略ブロック流れ図は、生体耐久性で多孔質の網状化したエラストマーマトリックス10を含む埋込み可能な装置を原料エラストマーまたはエラストマー試薬から幾つかの異なるプロセス経路の1つまたは他の1つにより製造できる広範囲の総覧的な本発明に従う方法を示している。
第1の経路においては、本明細書において説明するような本発明に従う方法によって製造したエラストマーを、その製造中に使用する、例えば、発泡剤(1種以上)を使用することによって複数の気泡を含むようにする。詳細には、例えば、ポリオール成分、イソシアネート、任意成分としての架橋剤、および界面活性剤等のような任意の所望の添加剤を含み得る出発物質40を使用して所望の弾性ポリマーを合成する(有意な発泡化または他の孔生成活性を含むまたは含まないいずれかの重合工程42)。出発物質は、所望の機械的性質を得るようにまた生体耐久性および生体適合性を増強するように選定する。
その後、工程42の弾性ポリマー生成物を、工程48において、化学性および純度、物理的および機械的性質に関して、さらにまた、必要に応じて、生物学的特性に関しても特性決定して(全て前述したようにして)、充分に特性決定されたエラストマー50を得る。
必要に応じて、特性決定データは、分岐型矢印51で示しているように、工程42を制御または改変してプロセスまたは生成物を向上させるのに使用し得る。エラストマー50を溶媒可溶性であるように、例えば、架橋されていないことを確認することによって選定することは、エラストマー50を有効なプロセス制御および生成物特性決定について綿密に分析することを可能にする。
また、第2の経路においては、出発物質40中で使用する弾性ポリマー試薬を有害な副生成物および残留物を回避するように選定し、必要ならば精製する(工程52)。その後、ポリマー合成(工程54)を選定し精製した出発物質において実施して有害な副生成物および残留物の生成を回避する。次に、工程54で製造した弾性ポリマーを、工程48において説明したようにして、特性決定して(工程56)、高品質の良好に明確にされた生成物、即ち、充分に特性決定されたエラストマー50の製造を容易にする。別の態様においては、特性決定結果は、分岐型矢印58で示すように、プロセス制御のためにフィードバックして、高品質の良好に明確にされた生成物、即ち、充分に特性決定されたエラストマー50の製造を容易にする。
第3の経路によれば、充分に特性決定されたエラストマー50は、出発物質40から生成されて、販売業者60により加工施設に供給される。そのようなエラストマーは、公知の方法によって合成され、引続き、多孔質にされる。このタイプのエラストマーの例は、BIONATE(登録商標) 80Aポリウレタンエラストマーである。エラストマー50は、例えば、重合反応中にまたは重合後工程中に使用する発泡剤により、多孔質にし得る。
本発明は、1つの態様においては、生物医学埋込みの目的で特別に設計されている高分子要素を含む網状生体耐久性エラストマーマトリックスを提供する。該要素は、生体耐久性高分子材料を含み、ポリマーの化学変化、望ましくない副生成物の生成、および望ましくない未反応出発物質を含む残留物を回避する1つ以上の方法によって製造される。ある場合には、ポリウレタンを含み公知の方法で生成させた発泡体は、例えば、望ましくない未反応出発物質および望ましくない副生成物の存在故に、長期の血管内、整形外科および関連用途に適し得ない。
1つの態様においては、充分に特性決定されたエラストマー50は、約120℃よりも低いビカー軟化温度を有する熱可塑性物であり、溶媒または溶融加工を容易にする分子量を有する。別の態様においては、充分に特性決定されたエラストマー50は、約100℃よりも低いビカー軟化温度を有する熱可塑性物であり、溶媒または溶融加工を容易にする分子量を有する。エラストマー50は、この段階で、分割された形状で、例えば、ペレットとして好都合に供給され、後の加工を容易にし得る。
充分に特性決定されたエラストマー50は、孔形成工程(工程62)において多孔質とし、多孔質エラストマー64を得る。1つの態様においては、工程62は、生体耐久性に対し有害な残留物のような望ましくない残留物を残さず、エラストマー50の化学性を変化させない方法を使用する。別の態様においては、多孔質生体耐久性エラストマー64は、溶媒、例えば、ヘキサンまたはイソプロパノールのような稀発性有機物で洗浄して、風乾させ得る。作製工程62は、例えば、多孔質生体耐久性エラストマー64のストリップ、ロール、またはブロック等の形のバルクストックを提供するための多少複雑な成形工程または特徴を含み得る。
多孔質生体耐久性エラストマー64を使用して、エラストマーマトリックス10を、例えば、必要に応じて、所望の形状とサイズに切断することによって製造し得る。
別の態様においては、エラストマーマトリックス10の作製において使用するエラストマーの生体耐久性のための化学特性としては、以下の1つ以上がある:良好な酸化安定性;生物学的分解を受けやすい結合、例えば、ポリエーテルまたはポリエステルポリオール成分をポリウレタンに混入させることによって導入され得るポリエーテル結合または加水分解性エステル結合を含まないまたは実質的に含まない化学性;比較的に精製され純化され、有害な不純物、反応物、副生成物、オリゴマー類等を含まないまたは実質的に含まない化学的に良好に明確にされた生成物;エラストマーを架橋させない限りにおいての、良好に明確にされた分子量;および、勿論、エラストマーを架橋させない限りにおいての、生体適合性溶媒中での溶解性。
別の態様においては、エラストマーマトリックス10の作製において使用するエラストマーの生体耐久性のための、固相12のエラストマーの製造において使用するプロセスに関連してのプロセス関連特性としては、以下の1つ以上がある:プロセス再現性;生成物一貫性のためのプロセス制御;および、有害な不純物、反応物、副生成物、オリゴマー類等の回避または実質的な除去。
以下で説明する本発明の孔形成、網状化および他の重合後加工は、ある態様においては、注意深く設計し、制御してポリマーの化学性の変化を回避する。このためには、ある態様においては、本発明の方法は、望ましくない残留物の導入或いは出発物質(1種以上)の望ましい生体耐久特性への悪影響を回避する。別の態様においては、出発物質(1種以上)をさらに処理および/または特性決定して、生体耐久性に関連する特性を増強し、付与しまたは立証し得る。別の態様においては、エラストマーの必須の性質を適切なものとして特性決定し得、プロセス特性を、本明細書の教示に従い、適合化または制御して生体耐久性を増強し得る。
エラストマー重合、架橋および発泡化によるエラストマーマトリックス
さらなる態様においては、本発明は、多孔質生体耐久性エラストマー、および本明細書において説明するような生体耐久性網状エラストマーマトリックスを製造するのに使用し得るその重合、架橋および発泡化方法を提供する。別の態様においては、網状化は後になる。
さらに詳細には、別の態様においては、本発明は、生体耐久性弾性ポリウレタンマトリックスの製造方法を提供し、この方法は、上記マトリックスを、ポリカーボネートポリオール成分とイソシアネート成分から重合により合成し、架橋し、発泡化、それによって孔を形成し、その後、発泡体を網状化して網状生成物を調製することを含む。該生成物は、例えば、上記ポリカーボネートポリオール成分のヒドロキシル基と上記イソシアネート成分のイソシアネート基とから形成されたウレタン基を含むポリマーであるポリカーボネートポリウレタンと表記する。この態様においては、上記方法は、良好な生体耐久特性を有する網状エラストマー生成物が得られる制御された化学法を使用する。本発明によれば、上記重合を、重合中の生物学的に望ましくないまたは毒性の成分を回避する化学法を使用して、発泡生成物を得るように実施する。
1つの態様においては、1つの出発物質として、上記方法は、少なくとも1種のポリオール成分を使用する。本出願の目的において、用語“ポリオール成分”は、平均で、分子当り約2個のヒドロキシル基を含む分子、即ち、二官能性ポリオールまたはジオール、並びに、平均で、分子当り約2個よりも多いヒドロキシル基を含む分子、即ち、ポリオールまたは多官能性ポリオールを包含する。例としてのポリオール類は、平均で、分子当り約2〜約5個のヒドロキシル基を含み得る。1つの態様においては、1つの出発物質として、上記方法は、二官能性ポリオール成分を使用する。この態様においては、上記ジオールのヒドロキシル基官能性は約2であるので、軟質セグメント架橋を有するいわゆる“軟質セグメント”を与えない。別の態様においては、ポリオール成分の1つの出発物質として、上記方法は、充分量の多官能性ポリオール成分を使用してある程度制御された軟質セグメント架橋を与える。別の態様においては、上記方法は、充分な軟質セグメント架橋を与えて安定な発泡体を得る。別の態様においては、軟質セグメントは、比較的低分子量、典型的には約1,000〜約6,000ダルトンを一般に有するポリオール成分からなる。即ち、これらのポリオール類は、一般に、液体または低融点固形物である。この軟質セグメントポリオールは、第1級または第2級いずれかのヒドロキシル基により終結している。別の態様においては、軟質セグメントポリオール成分は、分子当り約2個のヒドロキシル基を有する。別の態様においては、軟質セグメントポリオール成分は、分子当り約2個よりも多いヒドロキシル基を有する;ポリオール分子当り約2個よりも多いヒドロキシル基は、軟質セグメント架橋を与える幾つかのポリオール分子において必要である。
1つの態様においては、ポリオール成分中の分子当りの平均ヒドロキシル基数は、約2である。別の態様においては、ポリオール成分中の分子当りの平均ヒドロキシル基数は、約2よりも多い。別の態様においては、ポリオール成分中の分子当りの平均ヒドロキシル基数は、2よりも多い。1つの態様においては、ポリオール成分は、第3級炭素結合を含む。1つの態様においては、ポリオール成分は、複数の第3級炭素結合を含む。
1つの態様においては、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、ポリシロキサンポリオール、ポリ(エーテル-コ-エステル)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-カーボネート)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(エステル-コ-カーボネート)ポリオール、ポリ(エステル-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(エステル-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオール、またはこれらの混合物である。
ポリエーテルタイプのポリオールは、例えば、グリコールまたは多価アルコール(後者は、2よりも多いヒドロキシル官能性を生じて軟質セグメント架橋を可能にする)と重合させたエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドのようなアルキレンオキサイドのオリゴマーである。ポリエステルタイプポリオールは、例えば、エチレングリコールアジペート、プロピレングリコールアジペート、ブチレングリコールアジペート、ジエチレングリコールアジペート、フタレート類、ポリカプロラクトンおよびヒマシ油のような、カルボン酸とグリコールまたはトリオールとの反応生成物のオリゴマー類であり、反応物としては2よりも大きいヒドロキシル官能性を有するもの、例えば、多価アルコール類であり、軟質セグメント架橋が可能である。
ポリカーボネートタイプポリオールは、生体耐久性であり、1つのタイプの炭化水素ジオールまたは複数のジオールにおける各々がヒドロキシル基間で異なる炭化水素鎖長を有する炭化水素ジオール類のカーボネートモノマーによる反応に典型的に由来する。隣接カーボネート間の炭化水素鎖の長さは、元のジオール(1種以上)の炭化水素鎖長と同じである。例えば、二官能性ポリカーボネートポリオールは、1,6-ヘキサンジオールを炭酸水素ナトリウムのようなカーボネートと反応させてポリカーボネートタイプポリオールの1,6-ヘキサンジオールカーボネートを得ることによって製造し得る。この反応の商業的に入手し得る製品の分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンで変動する。ポリカーボネートポリオールは、25℃で固形物である場合、さらに加工する前に典型的に溶融する。また、1つの態様においては、液状ポリカーボネートポリオール成分は、炭化水素ジオール類の混合物、例えば、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノールおよび1,4-ブタンジオールの全て3種または任意の2成分混合物からも調製し得る。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、そのような炭化水素ジオール類の混合物は、生成物ポリカーボネートポリオール成分の結晶化度を崩壊させて該成分を25℃で液体とし、それによって、該成分を含む発泡体において、比較的軟質な発泡体が得られるものと考えられる。
ポリカーボネートポリオールを調製するのに使用する反応物が2よりも大きいヒドロキシル官能性を有する反応物、例えば、多価アルコールを含む場合、軟質セグメント架橋が可能である。2個よりも多い分子当りの平均ヒドロキシル基数を有するポリカーボネートポリオール、例えば、ポリカーボネートトリオールは、例えば、ヘキサントリオールをポリカーボネートポリオール成分の調製において使用することによって調製し得る。液状ポリカーボネートトリオール成分を調製するには、他のヒドロキシル含有物質、例えば、シクロヘキシルトリメタノールおよび/またはブタントリオールとの混合物を、上記ヘキサントリオールを一緒に含むカーボネートと反応させ得る。
市販の炭化水素タイプポリオール類は、ジエン類のビニルモノマー類によるフリーラジカル重合に典型的に由来し、従って、これらのポリオールは、典型的に、二官能性ヒドロキシル末端物質である。
ポリシロキサンポリオールは、例えば、ヒドロキシル末端基を含む、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはメチルフェニルシロキサンのようなアルキルおよび/またはアリール置換シロキサン類のオリゴマーである。2個よりも多い分子当りの平均ヒドロキシル基数を有するポリシロキサンポリオール、例えば、ポリシロキサントリオールは、例えば、メチルヒドロキシメチルシロキサンをポリシロキサンポリオール成分の調製において使用することによって調製し得る。
勿論、特定のタイプのポリオールを、単一モノマー単位から形成されたポリオールに限定する必要はない。例えば、ポリエーテルタイプポリオールは、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの混合物から調製し得る。
さらに、別の態様においては、コポリマーまたはコポリオールも、当業者にとって公知の方法によって上述の任意のポリオールから調製し得る。即ち、以下の2成分ポリオールコポリマーを使用し得る:ポリ(エーテル-コ-エステル)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-カーボネート)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(エステル-コ-カーボネート)ポリオール、ポリ(エステル-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(エステル-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオールおよびポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオール。例えば、ポリ(エーテル-コ-エステル)ポリオールは、エチレングリコールアジペートを含むポリエステル単位を共重合させた、エチレンオキサイドから形成させたポリエーテル単位から調製し得る。別の態様においては、上記コポリマーは、ポリ(エーテル-コ-カーボネート)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオールまたはこれらの混合物である。別の態様においては、上記コポリマーは、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオールまたはこれらの混合物である。別の態様においては、上記コポリマーは、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオールである。例えば、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオールは、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオールおよび炭化水素タイプポリオールをカーボネートと重合させることによって調製し得る。
別の態様においては、上記ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、ポリシロキサンポリオール、ポリ(エーテル-コ-カーボネート)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(エーテル-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオールまたはこれらの混合物である。別の態様においては、上記ポリオール成分は、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、ポリシロキサンポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオールまたはこれらの混合物である。別の態様においては、上記ポリオール成分は、ポリカーボネートポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオール、ポリ(炭化水素-コ-シロキサン)ポリオールまたはこれらの混合物である。別の態様においては、上記ポリオール成分は、ポリカーボネートポリオール、ポリ(カーボネート-コ-炭化水素)ポリオール、ポリ(カーボネート-コ-シロキサン)ポリオールまたはこれらの混合物である。別の態様においては、上記ポリオール成分は、ポリカーボネートポリオールである。
さらにまた、別の態様においては、ポリオール類とコポリオール類との混合物および/またはブレンドも、本発明のエラストマーマトリックスにおいて使用し得る。別の態様においては、ポリオールの分子量は変化する。別の態様においては、ポリオールの官能性は変化する。
別の態様においては、二官能性ポリカーボネートポリオールまたは二官能性炭化水素ポリオールは、それら自体では、軟質セグメント架橋を誘発し得ないので、それよりも高い官能性を約2よりも大きいヒドロキシル基官能性を有する連鎖延長剤成分の使用によって配合物中に導入する。別の態様においては、それよりも高い官能性は、約2よりも高いイソシアネート基官能性を有するイソシアネート成分の使用により導入する。
約2,000〜約6,000ダルトンの分子量を有する市販のポリカーボネートジオール類は、Stahl社(オランダ)およびBayer社(ドイツ国、レベルクーゼン)から入手し得る。市販の炭化水素ポリオール類は、Sartomer社(ペンシルベニア州エクストン)から入手し得る。BASF社(ミシガン州ワイアンドット)からのPLURACOL(登録商標)、例えば、官能性3を有するPLURACOL(登録商標) GP430およびLUPRANOL(登録商標)系列;Dow Chemical社(ミシガン州ミッドランド)からのVORANOL(登録商標);Bayer社およびHuntsman社(ミシガン州マディソンハイツ)からのBAYCOLL(登録商標)B、DESMOPHEN(登録商標)およびMULTRANOL(登録商標)のような市販のポリエーテルポリオール類は、容易に入手可能である。BASF社からのLUPRANOL(登録商標);Dow社からのTONE(登録商標)ポリカプロラクトンおよびVORAPHEN;Bayer社およびHuntsman社からのBAYCOLL AおよびDESMOPHEN(登録商標)群のような市販のポリエステルポリオールの容易に入手可能である。市販のポリシロキサンポリオール類は、Dow社からのように容易に入手可能である。
また、上記方法は、少なくとも1種のイソシアネート成分および任意成分により少なくとも1種の連鎖延長成分を使用して、いわゆる“硬質セグメント”を調製し得る。本出願の目的において、用語“イソシアネート成分”は、平均で分子当り約2個のイソシアネート基を含む分子、並びに、平均で分子当り約2個よりも多いイソシアネート基を含む分子を包含する。イソシアネート成分のイソシアネート基は、他の構成成分の反応性水素基、例えば、ポリオール成分、連鎖延長剤、架橋剤および/または水中のヒドロキシル基中の酸素と結合した水素およびアミン基中の窒素と結合した水素と、反応性である。とりわけ、水が、例えば発泡剤またはその成分として存在する場合、水はイソシアネート成分のイソシアネート基と反応してアミンを形成し得、このアミンが別のイソシアネート基と反応して尿素部分を形成し得る。即ち、最終ポリマーは、該ポリマーがウレタン部分と尿素部分を含有し得るので、ポリウレタン-尿素である。本出願の目的において、イソシアネート成分から形成された“ポリウレタン”としては、ポリウレタン、ポリウレタン-尿素およびこれらの混合物が挙げられる。1つの態様においては、イソシアネート成分から発泡剤として水を使用して形成された本発明のポリウレタンは、平均で、尿素部分よりもウレタン部分を多く含む。
1つの態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、約2である。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、約2よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、2よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、2.05よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、約2.05よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、2.1よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の分子当りの平均数は、約2.1よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、2.2よりも多い。別の態様においては、イソシアネート成分中の分子当りのイソシアネート基の平均数は、約2.2よりも多い。
当業者にとって周知の分量であるイソシアネート指数は、反応に利用し得る配合物中のイソシアネート基の数とこれらイソシアネート基と反応し得る配合物中の基、例えば、存在する場合のジオール(1種以上)、ポリオール成分(1種以上)、連鎖延長剤(1種以上)および水の反応性基とのモル比である。1つの態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜約1.1である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜1.029である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜1.028である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜1.025である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜1.02である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.98〜約1.02である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜約1.0である。別の態様においては、イソシアネート指数は、約0.9〜約0.98である。
ジイソシアネート類の例としては、脂肪族ジイソシアネート類、芳香族基を含むイソシアネートであるいわゆる“芳香族ジイソシアネート”類、およびこれらの混合物がある。脂肪族ジイソシアネート類としては、テトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレン-ビス-(p-シクロヘキシルイソシアネート) (“H12MDI”)、およびこれらの混合物が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、p-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(“4,4'-MDI”)、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(“2,4'-MDI”)、2,4-トルエンジイソシアネート(“2,4-TDI”)、2,6-トルエンジイソシアネート(“2,6-TDI”)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびこれらの混合物がある。
分子当り平均で約2よりも多いイソシアネート基を含むイソシアネート成分の例としては、Bayer社からDESMODUR(登録商標) N100として商業的に入手可能な約3個のイソシアネート基を含むヘキサメチレンジイソシアネートと水とのアダクト、およびBayer社からMONDUR(登録商標) N3390として商業的に入手可能な約3個のイソシアネート基を含むヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーがある。
1つの態様においては、イソシアネート成分は、少なくとも約5質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有し、それによってBradyの550号よって開示された3質量%未満の2,4'-MDIを有するポリエーテルまたはポリカーボネートポリウレタンを除外する。別の態様においては、イソシアネート成分は、少なくとも5質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有する。別の態様においては、イソシアネート成分は、約5〜約50質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有する。別の態様においては、イソシアネート成分は、5〜約50質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有する。別の態様においては、イソシアネート成分は、約5〜約40質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有する。別の態様においては、イソシアネート成分は、5〜約40質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有する。別の態様においては、イソシアネート成分は、5〜約35質量%の2,4'-MDIと残りの4,4'-MDIとの混合物を含有する。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、4,4'-MDIとのブレンドにおける2,4'-MDIの高量の使用は、不斉2,4'-MDI構造に由来する硬質セグメントの結晶化度の破壊のためにより軟質のエラストマーマトリックスを生ずるものと考えられる。
適切なジイソシアネートとしては、ISONATE(登録商標) 125M、Dow社からのPAPI(登録商標)群のある種のメンバーおよびBayer社からのMONDUR MのようなMDI;各々Huntsman社からのRUBINATE(登録商標) 9433およびRUBINATE(登録商標) 9258、およびDow社からのISONATE 50 OPのような2,4'-MDIと4,4'-MDIとの混合物を含有するイソシアネート類;例えば、Lyondell社(テキサス州ヒューストン)からのTDI;Degussa社(ドイツ)からのVESTAMAT(登録商標)のようなイソホロンジイソシアネート;Bayer社からのDESMODUR WのようなH12MDI;およびBASF社からの各種ジイソシアネート類がある。
平均で分子当り約2個よりも多いイソシアネート基を含む適切なイソシアネート成分としては、各々Dow社から入手し得る以下の偏性ジフェニルメタンジイソシアネートタイプがある:約3のイソシアネート基官能性を有するISOBIND(登録商標) 1088;約2.1のイソシアネート基官能性を有するISONATE 143L;約2.7のイソシアネート基官能性を有するPAPI 27;約2.3のイソシアネート基官能性を有するPAPI 94;約3のイソシアネート基官能性を有するPAPI 580N;および約3.2のイソシアネート基官能性を有するPAPI 20。平均で分子当り約2個よりも多いイソシアネート基を含む他のイソシアネート成分としては、各々Huntsman社から入手し得る以下のものがある:約2.01のイソシアネート基官能性を有するRUBINATE(登録商標) 9433;および約2.33のイソシアネート基官能性を有するRUBINATE 9258。
連鎖延長剤の例としては、ジオール類、ジアミン類、アルカノールアミン類およびこれらの混合物がある。1つの態様においては、連鎖延長剤は、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族ジオールである。別の態様においては、ジオール連鎖延長剤は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびこれらの混合物から選択する。別の態様においては、連鎖延長剤は、2〜10個の炭素原子を有するジアミンである。別の態様においては、ジアミン連鎖延長剤は、エチレンジアミン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、イソホロンジアミンおよびこれらの混合物から選択する。別の態様においては、連鎖延長剤は、2〜10個の炭素原子を有するアルカノールアミンである。別の態様においては、アルカノールアミン連鎖延長剤は、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンおよびこれらの混合物から選択する。
商業的に入手可能な連鎖延長剤としては、Huntsman社から入手し得るJEFFAMINE(登録商標)群のジアミン類、トリアミン類およびポリエーテルアミン類;Creanova社からのVERSAMIN(登録商標)イソホロンジアミン;Air Products社(ペンシルベニア州アレンタウン)から入手し得るVERSALINK(登録商標)群のジアミン類;Dow社から入手し得るエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンおよびイソプロパノールアミン;およびBayer社、BASF社およびUOP社(イリノイ州デスプレーンズ)からの各種連鎖延長剤がある。
1つの態様においては、少量の、2よりも大きい官能性を有する多官能性ヒドロキシル化合物または他の架橋剤、例えば、グリセリンのような任意構成成分が架橋を可能にするために存在する。別の態様においては、任意成分としての多官能性架橋剤は、安定な発泡体、即ち、つぶれて非発泡状にならない発泡体を得るのにちょうど充分な量で存在する。また、或いはそれに加えて、脂肪族および脂環式イソシアネート類の多官能性アダクトを使用して芳香族イソシアネート類と併用して架橋を付与することもできる。また、或いはそれに加えて、脂肪族および脂環式イソシアネート類の多官能性アダクトを使用して脂肪族ジイソシアネート類と併用して架橋を付与することもできる。
必要に応じて、本発明方法は、ある態様においては、発泡用触媒、例えば、第3級アミン;ゲル化用触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレートおよびこれらの混合物から選択した少なくとも1種の触媒を使用する。さらにまた、第3級アミン触媒がゲル化作用も有して、即ち、発泡およびゲル化用触媒として作用し得ることは、当該技術において知られている。第3級アミン触媒の例としては、Toyo Soda社(日本)からのTOTYCAT(登録商標)系列;Texaco Chemical社(テキサス州オースティン)からのTEXACAT(登録商標)系列;Th. Goldschmidt社(ドイツ)からのKOSMOS(登録商標)およびTEGO(登録商標)系列;Rohm and Haas社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)からのDMP(登録商標)系列;Kao社(日本)からのKAO LIZER(登録商標)系列;およびEnterprise Chemical社(フロリダ州アルタモントスプリングス)からのQUINCAT(登録商標)系列がある。有機錫触媒の例としては、Witco Corporation社(コネチカット州ミドルベリ)からのFOMREZ(登録商標)およびFOMREZ UL(登録商標)系列;Cosan Chemical社(ニュージャージー州カールスタット)からのCOCURE(登録商標)およびCOSCAT(登録商標)系列;およびAir Products社からのDABCO(登録商標)およびPOLYCAT(登録商標)系列がある。
ある態様においては、本発明方法は、少なくとも1種の界面活性剤を使用する。界面活性剤の例には、Dow Corning社(ミシガン州ミッドランド)からのDC 5241、およびDow Corning社、Air Products社およびGeneral Electric社(ニューヨーク州ウォーターフォード)から入手し得るポリジメチルシロキサンタイプのような他の非イオンオルガノシリコーン類がある。
架橋ポリウレタンは、プレポリマー法およびワンショット法を含む方法によって調製し得る。プレポリマーを含む態様は、以下のとおりである。先ず、プレポリマーを、少なくとも1種のイソシアネート成分(例えば、MDI)と少なくとも1種の2よりも大きい官能性を有する多官能性軟質セグメント物質(例えば、官能性3を有するポリエーテル系軟質セグメント)とから、通常の方法により調製する。その後、プレポリマー、任意成分としての少なくとも1種の触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート)および少なくとも1種の二官能性連鎖延長剤(例えば、1,4−ブタンジオール)を混合容器内で混合して混合物を硬化または架橋させる。別の態様においては、架橋は、モールド内で起こる。別の態様においては、架橋および発泡、即ち、孔形成は、一緒に生ずる。別の態様においては、架橋と発泡は、モールド内で一緒に生ずる。
また、いわゆる“ワンショット”法も使用し得る。ワンショット態様は、別途のプレポリマー製造工程を必要としない。1つの態様においては、前記パラグラフにおいて説明したもののような出発物質を混合容器内で混合し、次いで、発泡させ、架橋させる。別の態様においては、諸成分を混合する前に加熱する。別の態様においては、諸成分は、混合するときに加熱する。別の態様においては、架橋はモールド内で行なわれる。別の態様においては、架橋と発泡は一緒に行なわれる。別の態様においては、架橋と発泡はモールド内で一緒に行なわれる。別の態様においては、イソシアネート成分を除いた成分全てを混合容器内で混合する。イソシアネート成分は、例えば高速攪拌しながら、加えると、その結果、架橋と発泡が続いておこる。別の態様においては、この発泡性混合物をモールド内に注入し、膨張させる。
別の態様においては、ポリオール成分をイソシアネート成分および他の任意成分としての添加剤、例えば、粘度調整剤、界面活性剤および/または気泡開放剤と混合して第1の液体を調製する。別の態様においては、ポリオール成分は、混合温度において或いは混合温度範囲に亘って液体である。別の態様においては、ポリオール成分は固体であり、従って、ポリオール成分は、混合前に、例えば、加熱により液化する。別の態様においては、ポリオール成分は固体であり、従って、混合温度または混合温度範囲を上昇させて、ポリオール成分を混合前に液化する。次に、第2の液体を、発泡剤と任意成分としての添加剤、例えば、ゲル化用触媒および/または発泡用触媒を混合することによって調製する。その後、第1液体と第2液体を混合容器内で混合し、発泡させ、架橋させる。
1つの態様においては、本発明は、ポリカーボネートポリオール成分とイソシアネート成分出発物質をベースとする網状化させ得る可撓性ポリウレタン生体耐久性マトリックスの製造方法を提供する。別の態様においては、弾力性ポリウレタンマトリックス製造のための多孔質生体耐久性エラストマー重合方法を提供し、該方法は、ポリカーボネートポリオール成分と脂肪族イソシアネート成分、例えば、H12MDIを混合することを含む。
別の態様においては、上記発泡体は、イソシアヌレート結合を実質的に含まず、それによってBradyの550号により開示されたイソシアヌレート結合を有するポリエーテルまたはポリカーボネートポリウレタンを除外する。別の態様においては、上記発泡体は、イソシアヌレート結合を有しない。別の態様においては、上記発泡体は、ビューレット結合を実質的に含まない。別の態様においては、上記発泡体は、ビューレット結合を有しない。別の態様においては、上記発泡体は、アロファネート結合を実質的に含まない。別の態様においては、上記発泡体は、アロファネート結合を有しない。別の態様においては、上記発泡体は、イソシアヌレートおよびビューレット結合を実質的に含まない。別の態様においては、上記発泡体は、イソシアヌレートおよびビューレット結合を有しない。別の態様においては、上記発泡体は、イソシアヌレートおよびアロファネート結合を実質的に含まない。別の態様においては、上記発泡体は、イソシアヌレートおよびアロファネート結合を含まない。 別の態様においては、上記発泡体は、アロファネートおよびビューレット結合を実質的に含まない。別の態様においては、上記発泡体は、アロファネートおよびビューレット結合を有しない。別の態様においては、上記発泡体は、アロファネート、ビューレットおよびイソシアヌレート結合を実質的に含まない。別の態様においては、上記発泡体は、アロファネート、ビューレットおよびイソシアヌレート結合を有しない。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、アロファネート、ビューレットおよび/またはイソシアヌレート結合が存在しないことにより、硬質セグメントの低めの架橋のために、増進された度合の可撓性がエラストマーマトリックスにもたらされたものと考えられる。
ある態様においては、安定な発泡体を得るのに有用な添加剤、例えば、界面活性剤および触媒類を含ませ得る。そのような添加剤の量を各添加剤の機能性を維持しながら望ましい最少量に抑えることにより、製品の毒性に対するインパクトを制御し得る。
1つの態様においては、種々の密度、例えば、約0.005〜約0.15g/cc (約0.31〜約9.4 lb/ft3)のエラストマーマトリックスを製造する。密度は、例えば、発泡剤の量、イソシアネート指数、配合物中のイソシアネート成分含有量、反応熱、および/または発泡環境の圧力によって調整する。
発泡剤の例には、水および物理的発泡剤、例えば、炭化水素、エタノールおよびアセトンのような揮発性有機化学物、並びに各種フルオロカーボン類およびそのより環境適応性の代替物、例えば、ヒドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボンおよびヒドロクロロフルオロカーボンがある。水とイソシアネート基の反応は二酸化炭素を発生させ、これが発泡剤として作用する。さらにまた、水とフルオロカーボンとのような発泡剤の組合せも、ある態様においては使用し得る。別の態様においては、水を発泡剤として使用する。市販のフルオロカーボン発泡剤は、Huntsman, E.I. DuPont de Nemours and Co.社(デラウェア州ウィルミントン)、Allied Chemical社(ミネソタ州ミネアポリス)およびHoneywell社(ニュージャージー州モリスタウン)から入手し得る。
本発明の目的において、発泡および架橋によってエラストマーマトリックスを製造するのに使用するポリオール成分(例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール)の100質量部(または100グラム)毎に対しての、配合物中に存在する他の成分の量(質量部)は、以下のとおりである:約10〜約90部(またはグラム)の約0.85〜約1.10のイソシアネート指数を有するイソシアネート成分(例えば、MDI類、その混合物、H12MDI);約0.5〜約5.0部(またはグラム)の発泡剤(例えば、水);約0.1〜約0.8部(またはグラム)の発泡用触媒(例えば、第3級アミン);約0.5〜約2.5部(またはグラム)の界面活性剤;および約0.3〜約1.0部(またはグラム)の気泡開放剤。勿論、使用するイソシアネート成分の実際の量は、特定の配合物におけるイソシアネート指数の大小に関連し、依存する。さらに、発泡および架橋によってエラストマーマトリックスを製造するのに使用するポリオール成分の100質量部(または100グラム)毎に対し、配合物中に存在する場合の以下の任意構成成分の量は、以下のとおりである(質量部):約20部(またはグラム)までの連鎖延長剤、約20部(またはグラム)までの架橋剤、約0.3部(またはグラム)までのゲル化用触媒(例えば、錫を含む化合物)、約10.0部(またはグラム)までの物理的発泡剤(例えば、炭化水素、エタノール、アセトン、フルオロカーボン類)、および約8部(またはグラム)までの粘度調整剤。
試験により測定したとき、本発明の目的における適切な特性、例えば、許容し得るヒト体温での圧縮永久歪み、空気流、引張強度および圧縮特性を有するマトリックスは、その後、網状化することができる。
別の態様においては、ゲル化用触媒、例えば、錫触媒を省き、必要に応じて、他の触媒、例えば、第3級アミンで置換える。1つの態様においては、第3級アミン触媒は、1種以上の非芳香族アミンを含む。別の態様においては、反応を、使用する場合の第3級アミン触媒をポリマー中に全体的反応させ、その残留を回避するようにして実施する。別の態様においては、ゲル化用触媒を省き、代りに、より高温の発泡化温度を使用する。
別の態様においては、生体耐久性および生体適合性を向上させるために、重合過程における各成分を選定して、最終生成物エラストマーマトリックス中の生物学的に有害な物質または生物学的侵食に感受性の物質の存在を回避するかまたは最小限にする。
本発明による別の製造態様は、発泡剤としての水を水溶性の球体、充填剤または粒子で部分的にまたは完全に置換えることを含み、これらは、マトリックスの充分な架橋後、例えば、洗浄、抽出または溶融によって除去する。
エラストマーマトリックスの網状化
エラストマーマトリックス10は、その利用性を高める種々の後加工処理のいずれかに供し得る(これらの処理の幾つかを本明細書において説明するが、他は当業者にとって自明であろう)。1つの態様においては、本発明の多孔質生成物の網状化は、上記で説明した製造方法の既に1部分でないこともないが、存在し得る内部“窓”、即ち、図1に示した残留気泡壁22の少なくとも1部分を除去するのに使用し得る。網状化は、多孔性と液体透過性を増強する性向を有する。
ある量の破壊された気泡壁を有する多孔質または発泡材料は、一般に、“連続気泡”材料または発泡体として知られている。対照的に、多数、即ち、少なくとも50%の気泡壁を除去した多孔質材料は、“網状化”または“少なくとも部分的に網状化”されたものとして知られている。より多く、即ち、少なくとも約65%の気泡壁を除去した多孔質材料は、“さらに網状化”されたものとして知られている。殆ど、即ち、少なくとも約80%、または実質的に全て、即ち、少なくとも約90%の気泡壁を除去した場合、残存する多孔質材料は、それぞれ、“実質的に網状化”または“完全に網状化”されたものとして知られている。この技術的用法によれば、網状材料または発泡体は、少なくとも部分的に連続相互連結した気泡ネットワークを含み、それによってBradyの550号により開示された非網状化ポリエーテルまたはポリカーボネートポリウレタンが除外されること理解されたい。
“網状化”は、圧潰(crushing)法により気泡壁を単に破壊することではない、上記のような気泡壁の除去方法を一般に称する。さらにまた、望ましくない圧潰は、さらなる処理によって除去しなければならない細片を発生させる。網状化は、例えば、“化学網状化”または“溶媒網状化”として種々知られている気泡壁の溶解除去により;或いは、“焼却網状化”、“熱的網状化”または“衝撃網状化”として種々知られている気泡壁の焼却または破裂除去により実施し得る。1つの態様においては、そのような手順は、本発明方法において、エラストマーマトリックス10を網状化するのに使用し得る。別の態様においては、網状化は、複数の網状化工程により実施する。別の態様においては、2回の網状化工程を使用する。別の態様においては、最初の焼却網状化の後、2回目の焼却網状化を行う。別の態様においては、焼却網状化の後、化学網状化を行う。別の態様においては、化学網状化の後、焼却網状化を行う。別の態様においては、最初の化学網状化の後、2回目の科学網状化を行う。
血管奇形用途等に関する1つの態様においては、上記エラストマーマトリックスを網状化させて相互連結孔構造を付与し得、それらの孔は、少なくとも約100μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する。別の態様においては、上記網状エラストマーマトリックスは、少なくとも約150μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を有する。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、少なくとも約250μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約250μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、250μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、少なくとも約275μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約275μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、275μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、少なくとも約300μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約300μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、300μmよりも大きい平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。
血管奇形用途等に関する別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約900μmよりも大きくない平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約850μmよりも大きくない平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約800μmよりも大きくない平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約700μmよりも大きくない平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約600μmよりも大きくない平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約500μmよりも大きくない平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。
血管奇形用途等に関する別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約100μm〜約900μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。血管奇形用途等に関する別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約100μm〜約850μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。血管奇形用途等に関する別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約100μm〜約800μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。血管奇形用途等に関する別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約100μm〜約700μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約150μm〜約600μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約200μm〜約500μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約250μmよりも大きく約900μmまでの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約250μmよりも大きく約850μmまでの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約250μmよりも大きく約800μmまでの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約250μmよりも大きく約700μmまでの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約250μmよりも大きく約600μmまでの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約275μm〜約900μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約275μm〜約850μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約275μm〜約800μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約275μm〜約700μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。別の態様においては、上記エラストマーマトリックスは、約275μm〜約600μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する孔を付与するように網状化させ得る。
必要に応じて、上記網状エラストマーマトリックスは、例えば、溶媒抽出により、網状化の前または後に精製し得る。1つの態様においては、そのような溶媒抽出または他の精製方法は、いずれも、本発明の目的を満たすのに必要であり得る上記エラストマーマトリックスの機械的または物理的性質に対する潜在的に有害なインパクトを回避または最小限にするように実施する比較的穏やかな方法である。
1つの態様は、無機酸を含む酸浴でエラストマーマトリックスを網状化する、化学網状化を使用する。別の態様は、無機塩基を含む苛性浴でエラストマーマトリックスを網状化する、化学網状化を使用する。別の態様は、昇温での化学網状化を使用する。別の化学網状化態様は、残留物を残さない揮発性溶媒をその方法において使用する、溶媒網状化としても知られている溶媒を使用する。別の態様においては、ポリカーボネートポリウレタンを、テトラヒドロフラン(“THF”)、ジメチルアセトアミド(“DMAC”)、ジメチルスルホキシド(“DMSO”)、ジメチルホルムアミド(“DMF”)、N-メチル-2-ピロリドン(m-ピロールとしても知られている)およびこれらの混合物から選択した溶媒によって溶媒網状化する。別の態様においては、ポリカーボネートポリウレタンをTHFで溶媒網状化する。別の態様においては、ポリカーボネートポリウレタンをN-メチル-2-ピロリドンで溶媒網状化する。別の態様においては、ポリカーボネートポリウレタンを強塩基で化学網状化する。別の態様においては、強塩基のpHは、少なくとも約9である。
これらの化学網状化態様のいずれにおいても、網状発泡体は、必要に応じて洗浄し得る。これらの化学網状化態様のいずれにおいても、網状発泡体は、必要に応じて乾燥させ得る。
1つの態様においては、可燃性雰囲気、例えば、水素と酸素の混合物を、例えば、スパークで発火させる、焼却網状化を使用し得る。別の態様においては、焼却網状化を圧力チャンバーにおいて実施する。別の態様においては、上記圧力チャンバー内の圧力を、水素、酸素またはこれらの混合物を導入する前に、少なくとも約2分間の排気によって、例えば、約20.0〜13.3 Pa (約150〜100ミリトール)以下に実質的に減圧する。別の態様においては、上記圧力チャンバー内の圧力を2サイクル以上で実質的に減圧する、例えば、圧力を実質的に減圧し、アルゴンまたは窒素のような非反応性ガスを導入し、次いで、水素、酸素またはこれらの混合物を導入する前に、圧力を再度実質的に減圧する。網状化が生ずる温度は、例えば、チャンバーが維持される温度によりおよび/またはチャンバー内の水素/酸素比により影響され得る。別の態様においては、焼却網状化の後、アニーリング期間が続く。これらの焼却網状化態様のいずれにおいても、網状発泡体は、必要に応じて洗浄し得る。これらの焼却網状化態様のいずれにおいても、網状発泡体は、必要に応じて乾燥させ得る。
1つの態様においては、網状化工程は、マトリックス内部中への細胞の内殖および増殖に有利に作用するエラストマーマトリックス形状を付与するように実施する。別の態様においては、網状化工程は、本明細書において説明しているように、埋込み用に形作りしたエラストマーマトリックス全体に亘る細胞の内殖および増殖に有利に作用するエラストマーマトリックス形状を付与するように実施する。
用語“形状”およびその派生用語は、当該用語を当てはめるそれぞれの構造の配置、形状および寸法を示すのに使用する。即ち、1つの目的において“形状化”されているときの構造についての言及は、関連する構造の全体的空間形状、または説明された目的を果たすように選定若しくは設計されたときの構造の1部分を参照するものとする。
犠牲的成形法による網状エラストマーマトリックス
一般に、1つの態様においては充分満足に特性決定された本発明の実施において使用する適切なエラストマー材料は、本明細書において説明する所望の機械的性質を有する或いは有するように配合され且つ適切な生体耐久性についての納得し得る予測性を提供するような生体適合性に対する好ましい化学性を有するエラストマーを含む。
とりわけ興味があるのは、例えば、その化学性良好な生体耐久特性を伴っているポリウレタンのような熱可塑性エラストマーである。1つの態様においては、そのような熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリシロキサンポリウレタン、炭化水素ポリウレタン(即ち、平均で分子当り約2個のイソシアネート基を含む少なくとも1種のイソシアネート成分と少なくとも1種のヒドロキシ末端炭化水素オリゴマーおよび/または炭化水素ポリマーとから形成された熱可塑性エラストマーポリウレタン)、いわゆる“混合”軟質セグメントを有するポリウレタンおよびこれらの混合物がある。混合軟質セグメントポリウレタンは、当業者にとって公知であり、例えば、ポリカーボネート-ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネート-ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネート-ポリシロキサンポリウレタン、ポリカーボネート-炭化水素ポリウレタン、ポリカーボネート-ポリシロキサン-炭化水素ポリウレタン、ポリエステル-ポリエーテルポリウレタン、ポリエステル-ポリシロキサン-ポリウレタン、ポリエステル-炭化水素ポリウレタン、ポリエーテル-ポリシロキサンポリウレタン、ポリエーテル-炭化水素ポリウレタン、ポリエーテル-ポリシロキサン-炭化水素ポリウレタンおよびポリシロキサン-炭化水素ポリウレタンがある。別の態様においては、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリシロキサンポリウレタン、炭化水素ポリウレタン、これらの混合軟質セグメントを有するポリウレタン、またはこれらの混合物がある。別の態様においては、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、ポリカーボネートポリウレタン、ポリシロキサンポリウレタン、炭化水素ポリウレタン、これらの混合軟質セグメントを有するポリウレタン、またはこれらの混合物がある。別の態様においては、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリカーボネートポリウレタンまたはその混合物である。別の態様においては、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリシロキサンポリウレタンまたはその混合物がある。別の態様においては、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリシロキサンポリウレタンまたはその混合物である。別の態様においては、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、イソシアネート成分中の少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種の連鎖延長剤、および少なくとも1種のジオールを含み、上記で詳細に説明したジイソシアネート類、二官能性連鎖延長剤類およびジオール類の任意の組合せから形成させ得る。
1つの態様においては、上記熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、約30,000〜約500,000ダルトンである。別の態様においては、上記熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、約50,000〜約250,000ダルトンである。
1つの態様において本明細書において説明するようにして適切に特性決定された本発明を実施するための幾つかの適切な熱可塑性物としては、Pinchuk等によって米国特許第5,741,331号(およびその分割米国特許第6,102,939号および第6,197,240号)に開示されているような、交互の第2級および第4級炭素を含むポリオレフィン系ポリマー;Pinchuk等によって米国特許出願公報第2002/0107330 A1号に開示されているような、エラストマーブロック、例えば、ポリオレフィンと熱可塑性ブロック、例えば、スチレンを有するブロックコポリマー;Penhasiによって米国特許出願公報第2003/0208259 A1号(〔0035〕参照)に開示されているような、熱可塑性セグメント化ポリエーテルエステル、熱可塑性ポリジメチルシロキサン、ジ-ブロックポリスチレンポリブタジエン、トリ-ブロックポリスチレンポリブタジエン、ポリ(アクリレンエーテルスルホン)-ポリ(アクリルカーボネート)ブロックコポリマー、ポリブタジエンとポリイソプレンのジ-ブロックコポリマー、エチレン酢酸ビニルのコポリマー(EVA)、セグメント化ブロックコ-ポリスチレンポリエチレンオキサイド、ジ-ブロックコ-ポリスチレンポリエチレンオキサイド、およびトリ-ブロックコ-ポリスチレンポリエチレンオキサイド;Meijs等によって米国特許第6,313,254号に開示されているような、ポリエーテルおよび/またはポリカーボネート成分と一緒にポリシロキサンを含む混合軟質セグメントを有するポリウレタン類;および、DiDomenico等によって米国特許第6,149,678号、第6,111,052号および第5,986,034号に開示されているような、ポリウレタン類がある。しかしながら、Bradyの550号を注意深く読むと、それに開示されているイソシアヌレート結合を有するポリエーテルまたはポリカーボネートポリウレタン類は、なかんずく、これらのポリウレタン類が熱可塑性ではないので、適切ではないことが示唆されている。また、本発明の実施において使用するのに適するのは、本明細書において説明するような本発明に従う方法で合成した新規または既知のエラストマー類である。別の態様においては、任意成分としての治療剤を、本発明の実施において使用する他のエラストマーの適切なブロック中に充填し得る。
本発明の実施において使用するのに適する幾つかの商業的に入手可能な熱可塑性エラストマーとしては、The Polymer Technology Group社(カリフォルニア州バークレー)から商品名BIONATE(登録商標)として供給されているポリカーボネートポリウレタン系列がある。例えば、極めて充分に特性決定された等級のポリカーボネートポリウレタンポリマーBIONATE(登録商標) 80A、55および90は、THF中に可溶性であり、加工性があり、伝えられたところでは良好な機械的性質を有し、細胞毒性がなく、変異原性がなく、発癌性がなく、非溶血性である。本発明の実施において使用するのに適する別の商業的に入手可能なエラストマーは、Cardio Tech International社(マサチューセッツ州ウォーバーン)から入手し得る生体耐久性医薬級ポリカーボネート芳香族ポリウレタン熱可塑性エラストマー類のCHRONOFLEX(登録商標) C系列である。本発明の実施において使用するのに適するさらに別の商業的に入手可能なエラストマーは、Dow Chemical社(ミシガン州ミッドランド)により供給されるPELLETHANE(登録商標)系列の熱可塑性ポリウレタンエラストマー、とりわけ2363群の製品、とりわけ81Aおよび85Aと標示されている製品である。これらの市販ポリウレタンポリマー類は、線状で架橋されてないポリマーであり、従って、これらのポリウレタンエラストマーは、可溶性であり、容易に分析でき、容易に特性決定できる。
犠牲的成形方法
以下の犠牲的成形方法は、上記で説明した熱可塑性エラストマーのいずれかを流動性高分子材料としてまたはその成分として使用して、実施し得る。1つの態様においては、犠牲的成形方法における流動性高分子材料は、ポリカーボネートポリウレタンを含む。
以下、図3に例示する網状生体耐久性エラストマーマトリックス製造のための犠牲的成形方法に関しては、該方法は、外部連結性の相互連結性内部通路で貫かれた犠牲モールド即ち基体を作製する初期工程70を含み、上記内部通路は、所望の網状ミクロ構造形状を有するエラストマーマトリックスを構成しまたは成形するように形状化され、設定され、寸法合せされている。
上記基体即ち犠牲モールドは、ネットワークの形で各粒子の複数の点で互いに凝集または相互連結した複数の固形または中空ビーズまたは粒子を含む。別の態様においては、上記モールドは、各粒子が、内部粒子(即ち、モールドの内部にある粒子で表面にある粒子ではない)において、その近隣粒子と複数の点、例えば、4〜8ヶ所の点で接触するように一緒に圧縮した複数のワックス粒子を含有する。別の態様においては、上記粒子は対称形であるが、これらの粒子は、任意の適切な形状、例えば、等方的に対称の形状、例えば、12面体形、20面体形または球形を有し得る。1つの態様においては、圧縮前、上記粒子は、各々が約0.5mm〜約6mmの直径を有する球体である。別の態様においては、上記モールドは、水溶性を有する物質、例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カルシウムのような無機塩、或いはトウモロコシ、ポテト、コムギ、タピオカ、マニオカまたはコメ澱粉のような澱粉を含む複数の粒子を含み得る。
澱粉は、例えば、トウモロコシ(コーンまたはマイズ)、ポテト類、コムギ、タピオカ、マニオカおよび/またはコメから当業者にとって既知の方法により得ることができる。1つの態様においては、澱粉は、澱粉混合物である。別の態様においては、澱粉は、約99質量%〜約70質量%のアミロペクチンを含有する。別の態様においては、澱粉は、約80質量%のアミロペクチンと約20質量%のアミロースを含有する。適切な粒状澱粉としては、変性コメ澱粉REMYLINE DR (スウェーデン国マルメのABR Lundberg社から入手し得る)およびMIKROLYS 54 (スウェーデンのLyckeby Starkelse社から入手し得る);Carsill社のCerestar Food & Pharma ディビジョン(アイオワ州シーダーラピッズ)から入手し得るPHARMGEL系列の澱粉および変性澱粉類;コムギ澱粉 ABRASTARCH (ABR Foods社、英国ノーサンプトンシャー州);およびコーンスターチ類HYLON VII、HYLON VおよびAMIOCA (各々、ニュージャージー州ブリッジウォーターのNational Starch and Chemical社から)がある。所望の澱粉粒度は、当業者にとって公知の方法によって達成し得る。例えば、澱粉粒子を、例えば、米国特許第5,726,161号に開示されているようにして、所望粒度に篩分け得、水を使用して小澱粉粒子をより大きい粒子に凝集させ得、或いは、バインダーを使用して小澱粉粒子をより大きい粒子に凝集させ得る。別の態様においては、澱粉粒子の水溶液または懸濁液を網状発泡構造体(“ポジティブ”)、例えば、ポリウレタンから形成した非医薬級市販発泡体の孔内に入れ、澱粉を後述するようにしてゼラチン化し、サンプルを減圧下に乾燥させおよび/またはベーキングして水分を除去し、そして、上記発泡体を、ポリウレタン発泡体用の溶媒、例えば、THF(澱粉に対しては非溶媒)により溶解させることによって除去し、それによって澱粉アッセンブリ(“ネガティブ”)を得ることができ、このアッセンブリは、出発網状発泡構造体の孔直径の平均付近の平均直径を有する澱粉粒子として容易に作製し得る。
必要に応じて、上記粒子は、加熱および/または圧力を使用して、例えば、焼結または融合により、相互連結させ得る。しかしながら、圧力下での接触点で何らかの形態(conformation)が存在する場合、加熱の適用は必要ではない。1つの態様においては、上記粒子は、焼結により、融合により、接着剤の使用により、減圧の適用により、またはこれらの任意の組合せにより、相互連結させる。1つの態様においては、ワックス粒子は、その温度を上昇させることにより、一緒に融合させ得る。別の態様においては、澱粉粒子は、その温度を上昇させることによって一緒に融合させる。別の態様においては、無機塩粒子は、これら粒子を湿気、例えば、90%相対湿度に暴露させることによって一緒に融合させる。別の態様においては、澱粉粒子は、例えば、米国特許第6,169,048 B1号の第4欄、1〜7行に記載されているような水性澱粉溶液または懸濁液を、1つの態様においては約2時間〜約4時間、1つの態様においては約50℃〜約100℃、別の態様においては約70℃〜約90℃で加熱することによって、融合またはっゼラチン化する。別の態様においては、弾力性粒子を使用し得るが、これら粒子が、例えば、その温度を上昇させてこれら粒子を液化させることにより、これら粒子を溶媒または溶媒混合物により溶解させることにより、或いはこれら粒子の温度を上昇させてこれら粒子を溶解させることにより、マトリックスから溶出させ得ることを条件とする。別の態様においては、上記モールドは、有意な三次元的広がりを有し、複数の粒子が各次元に広がっている。別の態様においては、上記高分子材料を上記相互連結粒子間の間隙内に含ませる。別の態様においては、上記高分子材料が上記相互連結粒子間の間隙を満たす。
1つの態様においては、上記粒子は、間隙内に含ませたポリマーの軟化温度よりも少なくとも5℃低い融点を有する物質を含む。別の態様においては、上記粒子は、間隙内に含ませたポリマーの軟化温度よりも少なくとも10℃低い融点を有する物質を含む。別の態様においては、上記粒子は、間隙内に含ませたポリマーの軟化温度よりも少なくとも20℃低い融点を有する物質を含む。別の態様においては、上記粒子は、間隙内に含ませたポリマーのビーカー軟化温度よりも少なくとも5℃低い融点を有する物質を含む。別の態様においては、上記粒子は、間隙内に含ませたポリマーのビカー軟化温度よりも少なくとも10℃低い融点を有する物質を含む。別の態様においては、上記粒子は、間隙内に含ませたポリマーのビカー軟化温度よりも少なくとも20℃低い融点を有する物質を含む。例えば、上記モールドの粒子は、炭化水素ワックスであり得る。別の態様においては、除去した粒子物質は、溶融後回収して、再使用のための粒子として再形成させ得る。
別の態様においては、上記粒子は無機塩を含み、この塩は、水中に溶解させることによって除去し得る。別の態様においては、上記粒子は澱粉を含み、この澱粉は、澱粉用の溶媒中に溶解させることによって除去し得る。別の態様においては、上記粒子は澱粉を含み、この澱粉は、水中に溶解させることによって除去し得る。別の態様においては、上記粒子は澱粉を含み、この澱粉は、NaOH水溶液のような塩基水溶液中に溶解させることによって除去し得る。別の態様においては、上記粒子は澱粉を含み、この澱粉は、約1〜5 MのNaOH水溶液、別の態様においては約2.5〜3 MのNaOH、別の態様においては約2.5 MのNaOH中に溶解させることによって除去し得る。別の態様においては、上記塩基水溶液は、硫酸ナトリウムをさらに含む。別の態様においては、上記粒子は澱粉を含み、この澱粉は、当業者にとって既知であるような酵素の酵素作用によって除去し得る。例えば、酵素は、アルファ-アミラーゼ(E.C. 3.2.1.1)、プルラナーゼ(E.C. 3.2.1.41)、イソアミラーゼ(E.C. 3.2.1.68)、グルコアミラーゼとしても知られるアミログルコシダーゼ(E.C. 3.2.1.3)等、およびこれらの混合物であり得る。そのような酵素は、例えば、米国特許第6,569,653 B1号および米国特許第6,448,049 B1号の第1欄50行〜第2欄14行に記載されている。適切なアルファ-アミラーゼとしては、TERMAMYL 120L S、LおよびLSタイプ(Novo Nordisk Bioindusries S.A.社、フランス国ナンテール)、SPEZYME AAおよびAAL (Genencor社、オランダ国デルフト)、およびNERVANASEおよびG-ZYME G995 (Rhodia社、英国チェシャー州)があり;適切なプルラナーゼとしては、AMBAZYME P20 (Rhodia社)、PROMOZYME 200L (Novo Nordisk社)、およびPPTIMAX L300 (Genencor社)があり;適切なアミログルコシダーゼとしては、OPTIDEX L300およびOPTIMAX 7525 (Genencor社)、AMG 300L (Novo Nordisk社)、および米国特許第6,569,653 B1号の第5蘭7〜19行に引用されている他の酵素類がある。
基体が疎水性である態様においては、基体に両親媒性コーティングを施して、凝固するときのエラストマー表面に親水性を誘発させ得る。例えば、炭化水素ワックス粒子は、清浄剤、レシチン、官能化シリコーン類等でコーティングし得る。
1つの態様においては、基体は、2つの相、即ち、基体材料相および空間相を含む。基体材料相は、1つの粒子から次の粒子へと連続的に相互連結し、これもまた互いに連続的に相互連結し且つ高分子材料で満たされる間質腔の三次元的に広がっているネットワークが組み込まれている基体粒子の三次元的に広がっているネットワークを含み、多孔質エラストマーマトリックスを構成する単構造マトリックスを提供する。
基体は、最終製品網状エラストマーマトリックス内の孔を構成する空間を決定する。
次の工程(工程72)においては、当該方法は、モールドを装填すること、即ち、基体を流動性高分子材料で含浸させることを含む。流動性高分子材料は、ポリマー溶液、エマルジョン、微細エマルジョン、懸濁液、分散液、液状ポリマー、またはポリマー溶融物であり得る。例えば、流動性高分子材料は、揮発性有機溶媒、例えば、THF中のポリマー溶液を含み得る。
1つの態様においては、上記高分子材料は熱可塑性エラストマーを含み得、上記流動性高分子材料は該熱可塑性エラストマー溶液を含み得る。別の態様においては、上記高分子材料は、本明細書において説明するような、生体耐久性熱可塑性エラストマーを含み得、上記流動性高分子材料は該生体耐久性熱可塑性エラストマー溶液を含み得る。別の態様においては、上記高分子材料は溶媒可溶性生体耐久性熱可塑性エラストマーを含み得、上記流動性高分子材料は該溶媒可溶性生体耐久性熱可塑性エラストマー溶液を含み得る。その後、溶媒を除去し或いは蒸発させて高分子材料を凝固させ得る。適切なエラストマーとしては、BIONATE(登録商標)系列のポリウレタンエラストマーがある。他は、本明細書において説明しており、また、当業者にとっては既知または自明であろう。
1つの態様においては、溶媒は、生体適合性であり、充分に揮発して容易に除去される。1つの適切な溶媒は、勿論ポリマーの溶解性にもよるが、THFである。他の適切な溶媒としては、DMAC、DMF、DMSOおよびN-メチル-2-ピロリドンがある。さらに、溶媒混合物、例えば、THF、DMAC、DMF、DMSOおよびN-メチル-2-ピロリドンの少なくとも2つの混合物も使用し得る。さらなる適切な溶媒は、当業者にとっては既知であろう。
犠牲的成形方法は、高分子材料の凝固(工程74)をさらに含み、この工程は、任意の所望の方法で、例えば、溶媒交換により、或いは必要に応じて真空および/またはポリマーまたは基体材料の軟化温度よりも低い温度への加熱により促進された蒸発による溶媒除去により、実施し得る。充分に揮発性である場合、溶媒は、例えば、1夜で蒸発除去せしめ得る。工程74からの生成物は、組み込まれたポリマー物質と基体を含む固形複合体である。
例えば、基体を溶融し、溶解し、昇華しまたは酵素により除去することにより基体を除去することによって(工程76)、網状エラストマーマトリックス78が得られる。1つの態様においては、上記マトリックスは、各々除去粒子の1つのよって形成された相互連結気泡を含む。気泡の大部分または多くは、良好な流体透過性を有するマトリックス78を提供する開放壁型である。別の態様においては、マトリックス78を網状化して、網状マトリックスを得る。別の態様においては、血管内用途において、上記マトリックスを、残留気泡壁があったとしても僅かであるように充分に網状化する。
上述の犠牲的成形方法の多くの態様においては、別途の網状化加工工程の必要なしで製造されるエラストマーマトリックス10の構造は、1つの態様においては、“網状”または“少なくとも部分的な網状”構造であり、即ち、少なくとも約50%の気泡壁は存在しない。別の態様においては、別途の網状化加工工程の必要なしで製造されるエラストマーマトリックス10の構造は、“さらなる網状”構造であり、即ち、少なくとも約65%の気泡壁は存在しない。別の態様においては、別途の網状化加工工程の必要なしで製造されるエラストマーマトリックス10の構造は、“実質的な網状”構造であり、即ち、少なくとも約80%の気泡壁は存在しない。別の態様においては、別途の網状化加工工程の必要なしで製造されるエラストマーマトリックス10の構造は、“完全な網状”構造であり、即ち、少なくとも約90%の気泡壁は存在しない。しかしながら、別の態様においては、必要に応じての網状化加工工程を、本明細書において説明するいずれかの方法により製造したマトリックスにおいて実施し、小さめの孔を開放し、少なくとも幾分かの残留気泡壁を除去し得る。例えば、特定の態様において、ポリマー溶液の粘度により、ポリマー溶液が粒子80間幾つかの小さめのチャネルに浸透し得る度合が制限された場合、粒子の焼結または融合は制限され得、結果として生ずる“窓”即ち気泡壁は、必要に応じて、後述するように、網状化により消失させ得る。
必要に応じて、上記犠牲的成形法により得られるエラストマーマトリックス10は、構造安定化のためおよび/またはその結晶化度を増大させるためおよび/またはその結晶溶融点を上昇させるためにアニーリングし得る。アニーリング条件の例としては、エラストマーマトリックスの約35℃〜約150℃の温度への加熱およびエラストマーマトリックスのこの温度範囲での約2時間〜約24時間の維持がある。
上記犠牲的成形方法は、実施例1〜実施例5においてさらに説明する。
二重ロストワックス法
また、本発明は、網状生体耐久性エラストマーマトリックス10を製造するための、簡略化のためまた限定することなしに、いわゆる“二重ロストワックス法”とみなされ得る方法も提供する。この方法を簡単に限定することなく要約すれば、所望の製品形のテンプレートを取得し、第1のコーティングでコーティングする。テンプレートを除去し、次いで、上記コーティングを最終ポリマー材料の第2コーティングでコーティングする。第1コーティングを除去したとき、所望の最終のポリマー材料から製造した製品が残存する。2つの材料のテンプレートと第1コーティングは各々別の加工工程で除去するので、そのような方法は、テンプレートも第1コーティングも必ずしもワックス含む必要はないものの、いわゆる“二重ロストワックス法”として知られている。例えば、第1コーティングは、前述したような澱粉から、澱粉水溶液または懸濁液をテンプレート上またはテンプレート中に付着させ、次いで、前述したようにして、澱粉ゼラチン化工程を実施し、その後、必要に応じて水分を除去することによって製造し得る。
望ましいテンプレートは、市販の網状架橋発泡体、例えば、非生体耐久性ポリウレタンであろう。しかしながら、このテンプレートは、実際的でない;何故ならば、そのような架橋発泡体を、例えば、前述したようなBIONATE(登録商標)またはCHRONOFLEX(登録商標)製品系列からのエラストマーのような流動性熱可塑性エラストマーで直接コーティングした場合、架橋されている網状架橋テンプレートは、容易に除去することはできないからである。架橋発泡体テンプレートの強酸または苛性抽出を試み、それによって該テンプレートを破壊的に溶液に転化させたとしても、そのような抽出は、上記熱可塑性エラストマーコーティングも溶解し或いは破壊する。本発明の1つの態様は、この問題を、直接ロストワックスコーティングを使用することによって解決する。このいわゆる二重ロストワックス法態様においては、発泡体テンプレート、例えば、非生体耐久性であり得る網状ポリウレタン発泡体を、流動性耐久性材料、例えば、該発泡体テンプレートの溶解において使用する強高温酸または塩基による侵食に対し抵抗性の材料を含む溶液または液体形の耐久性材料で先ずコーティングする。例えば、第1コーティングの耐久性材料は、溶媒可溶性であるが酸または塩基不溶性の熱可塑性ポリマーまたはワックスを含み得る。その後、発泡体テンプレートを、例えば、高温酸または塩基による抽出によって除去し、シェル様耐久性材料成形体を残存させ、その後、これを、流動形の所望固体相12、例えば、溶媒中の生体耐久性ポリウレタン溶液のような流動性高分子材料で、第2コーティングとしてコーティングする。例えば、溶媒抽出、溶融除去またはワックスの昇華除去による上記耐久性第1コーティング材料の除去によって、網状生体耐久性ポリウレタンエラストマーマトリックスが得られる。
この方法の例は、図5に図式的に示している。
以下の二重ロストワックス法は、前述した熱可塑性エラストマーのいずれかを流動性エラストマー高分子材料としてまたはその成分として使用して、実施し得る。1つの態様においては、二重ロストワックス法における上記流動性エラストマー高分子材料は、ポリカーボネートポリウレタンを含む。
図5に関して、図示した二重ロストワックス法は、例えば、ポリウレタンCREST FORMTM 等級S-20 (ニュージャージー州モーナチエのCrest Foam社から入手し得る)から形成された網状発泡体テンプレートを、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、パラフィンワックス等のような、溶媒可溶性、溶融容易性または昇華性の熱可塑性物またはワックスで、これら熱可塑性物またはワックスの溶融物または溶液から適用してコーティングする初期工程90を含む。図5において示すように、例えば、工程90のコーティング発泡体製品の円筒状支柱断面92の断面図は、発泡体テンプレートのコア96の周りのワックスのリング94を含む。
次の工程(工程98)においては、溶媒全てを、例えば、乾燥により除去し、コーティング網状発泡体テンプレートのポリウレタンコア材料の表面を、例えば、切断により露出させる。
工程100においては、上記ポリウレタン発泡体テンプレートを、例えば、該テンプレートを高温酸または塩基を使用して溶解させることによって除去し、網状発泡体コアのワックス注型物を得る。図5に示すように、例えば、この注型物の円筒状支柱断面102の断面図は、ワックスの中空リング94を含む。
次の加工工程(工程102)は、上記ワックス注型物を、生体耐久性ポリウレタンエラストマー、例えば、商品名CHRONOFLEX(登録商標)またはBIONATE(登録商標)として供給されている等級のエラストマーの溶液または溶融物のような流動性エラストマー高分子材料でコーティングする。工程102のエラストマーコーティングワックス注型製品の、例えば、円筒状支柱断面104の断面図は、ワックスリング94を含むコアの周りの生体耐久性エラストマーリング106を含む。その後、流動性エラストマー高分子材料を、例えば、溶液の溶媒を除去するかまたはポリマー溶融物を冷却することによって凝固させる。
次の工程(工程108)は、上記熱可塑性物またはワックスを、例えば、上記エラストマーポリマーマトリックスを切断することによって露出させることを含む。
工程110においては、上記熱可塑性物またはワックスを、例えば、上記注型物を溶融し、溶解しまたは昇華除去することによって除去し、例えば、円筒状支柱断面の断面図として示された弾性ポリマーマトリックスをリング112として得る。
凍結乾燥による網状エラストマーマトリックス
1つの態様においては、本発明の生体耐久性網状エラストマーマトリックスは、流動性高分子材料を凍結乾燥することによって製造し得る。別の態様においては、上記高分子材料は、溶媒中の溶媒可溶性生体耐久性エラストマーの溶液を含む。上記流動性高分子材料を、上記流動性高分子材料を、例えば、溶液を冷却することにより固化して固形物を形成し、その後、非高分子材料を、例えば、溶媒を固形物から減圧下に昇華させることにより除去して、少なくとも部分的に網状化したエラストマーマトリックスを得ること含む凍結乾燥工程に供する。少なくとも部分的に網状化したエラストマーマトリックスの密度は、出発高分子材料の密度よりも小さい。別の態様においては、溶媒中の生体耐久性エラストマーの溶液を実質的に(必ずしも完全ではなく)固化し、その後、該溶媒を上記材料から昇華させて少なくとも部分的に網状化したエラストマーマトリックスを得る。適切な溶媒または溶媒混合物を選定し、ポリマーを、攪拌および/または加熱の適用により、溶解させることによって、凍結乾燥を受けやすい均質な溶液を適切な混合プロセスにより得ることができる。別の態様においては、上記溶液を冷却する温度は、上記溶液の凍結温度よりも低い。別の態様においては、上記溶液を冷却する温度は、その固形分の見掛けのガラス転移温度よりも高く、上記溶液の凍結温度よりも低い。
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、凍結乾燥中、ポリマー溶液は、制御された形で、2つの明確な相、例えば、1つの相、即ち、連続する溶媒とこの連続相中に分散している他の相のとしてまたは2つの二重連続相としてのいずれかに分離するものと考えられる。各々の場合において、その後の溶媒相の除去により、ある範囲または分布の孔サイズを有する多孔質構造体が生ずる。これらの孔は、通常相互連結している。その形状、サイズおよび配向は、溶液の性質および凍結乾燥処理条件に通常の形で依存する。例えば、凍結乾燥製品は、例えば、凍結温度、凍結速度、核形成密度、ポリマー濃度、ポリマー分子量および溶媒(1種以上)を当業者にとって既知の方法で変えることによって変化させ得る寸法を有するある範囲の孔サイズを有する。
本発明における凍結乾燥を実施するのに使用する幾つかの商業的に入手可能な熱可塑性エラストマーとしては、限定するものではないが、犠牲的成形法によって網状エラストマーマトリックスを得ることに関連して前記で説明したものがある。さらにまた、別の態様においては、米国特許第6,313,254号においてMeijs等によって開示されているような、ポリシロキサンをポリエーテルおよび/またはポリカーボネート成分と一緒に含む混合軟質セグメントを有するポリウレタン熱可塑性エラストマーも使用し得る。
本発明における凍結乾燥を実施するのに使用する溶媒としては、限定するものではないが、THF、DMAC、DMSO、DMF、シクロヘキサン、エタノール、ジオキサン、N-メチル-2-ピロリドン、およびこれらの混合物がある。一般に、溶液中のポリマーの量は、溶媒中でのポリマーの溶解性およびエラストマー網状マトリックスの最終所望特性によるが、1つの態様においては、溶液の約0.5質量%〜約30質量%である。別の態様においては、溶液中のポリマーの量は、溶液の約0.5質量%〜約15質量%である。
さらに、ポリマー-溶媒溶液中には、添加剤、例えば、緩衝剤を存在させ得る。1つの態様においては、添加剤は、上記ポリマーまたは溶媒と反応しない。別の態様においては、添加剤は、組織の再生または再増殖を促進させる固形物質、緩衝剤、補強用材料、多孔性改良剤または医薬活性剤である。
別の態様においては、上記ポリマー溶液は、フィルム、プレート、発泡体、スクリム、織布、不織布、編物または組物繊維構造体、または平滑でない表面を有するインプラントのような、溶液と一緒に混入した各種挿入物を含み得る。別の態様においては、上記溶液は、整形外科用、泌尿器科用または血管用インプラントのような構造的挿入物と一緒に調製し得る。別の態様においては、これらの挿入物は、少なくとも1種の生体適合性物質を含み、非吸収性および/または吸収性局面を有し得る。
凍結工程中に固定されるようになり且つ溶媒を除去した後に残存する網状エラストマーマトリックス中に存在する孔形態のタイプは、例えば、溶液熱力学、溶液を冷却する凍結速度と温度、溶液中のポリマー濃度、および核生成のタイプ、例えば、均質または不均質の関数である。1つの態様においては、ポリマー溶液用の凍結乾燥機を約-80℃に冷却する。別の態様においては、ポリマー溶液用の凍結乾燥機を約-70℃に冷却する。別の態様においては、ポリマー溶液用の凍結乾燥機を約-40℃に冷却する。別の態様においては、凍結乾燥機は、ポリマー溶液を置く棚を含み、この棚を約-80℃に冷却する。別の態様においては、上記の棚を約-70℃に冷却する。別の態様においては、上記の棚を約-40℃に冷却する。ポリマー溶液を凍結させる冷却速度は、約0.2℃/分〜約2.5℃/分であり得る。
凍結乾燥工程の開始時に、ポリマー溶液をモールド内に入れ、モールドを凍結乾燥機内に置く。モールドの各壁は、凍結乾燥機内で、例えば、モールド壁が凍結乾燥機棚と接触するときに、冷却を受ける。凍結乾燥機の温度は、所望の冷却速度で、最終冷却温度に達するまで低下させる。例えば、モールドを冷却棚上に置く凍結乾燥機においては、熱伝達最前部は、凍結乾燥棚から上方にモールド壁を介してポリマー溶液中に移動する。この最前部が前進する速度は、核形成および凍結構造の配向に影響する。この速度は、例えば、冷却速度およびモールドの熱伝導度に依存する。溶液温度がゲル化および/または溶媒の凍結点よりも低くなったとき、溶液は、前述したように、2つの明確な相としてまたは二重連続相として相分離する。相分離した系の形態は、凍結乾燥工程の凍結段階中に所定の位置に固定される。孔の発生は、凍結物質を減圧に暴露させたときの溶媒の昇華によって開始される。
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、一般に、溶液中のポリマー濃度が高く、粘度が高く(高濃度またはポリマーの高分子量に起因し得る)または冷却速度が速いほど、小さい孔サイズがもたらされるものと考えられ、一方、溶液中のポリマー濃度が低く、粘度が低く(低濃度またはポリマーの低分子量に起因し得る)または冷却速度が遅いほど、凍結乾燥製品中で大きい孔サイズがもたらされるものと考えられる。
凍結乾燥法は、実施例18においてさらに説明する。
孔内特性の付与
孔20内において、エラストマーマトリックス10は、必要に応じて、前述した空隙およびガス充填体積以外の特徴を有し得る。1つの態様においては、エラストマーマトリックス10は、本明細書において“孔内”特徴と称する何かを、即ち、“その孔内”に見出されるエラストマーマトリックス10の特徴を有し得る。1つの態様においては、孔20の内部表面は、“孔内コーティングされ”、即ち、コーティングまたは処理されて、それら表面にある程度の所望特性、例えば、親水性が付与される。コーティングまたは処理媒体は、活性成分を輸送または結合するさらなる能力を有し得、その場合、活性成分は、孔20に優先的に送達される。1つの態様においては、このコーティング媒体または処理は、例えば、同時係属出願において記載されているように、内部孔表面への物質の共有結合を容易にするのに使用し得る。別の態様においては、上記コーティングは、生分解性ポリマーおよびヒドロキシアパタイトのような無機成分を含む。親水性処理は、作製した網状エラストマーマトリックス10に対しての化学または放射線処理により、エラストマーをエラストマー固化中に親水性、例えば、水性雰囲気に暴露させることにより或いは当業者にとって既知の他の手段により実施し得る。
さらにまた、1以上のコーティングを、液体コーティング溶液中または溶融状態のいずれかのフィルム形成性生体適合性ポリマーと生体適合性ポリマーフィルムの形成を行うのに適する条件下に接触させることによって、孔内に施し得る。1つの態様においては、そのようなコーティングにおいて使用するポリマーは、ワックス状または粘着性ではないように充分な高分子量を有するフィルム形成性生体適合性ポリマーである。また、このポリマーは、固相12にも付着すべきである。別の態様においては、結合強度は、ポリマーフィルムが網状エラストマーマトリックス10の取扱いまたは展開中に亀裂または剥離しないほどの強度である。
適切な生体適合性ポリマーとしては、ポリアミド類、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、非吸収性ポリエステル類(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、および生体吸収性脂肪族ポリエステル類(例えば、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド(glycolide)、パラ-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトンのホモポリマーおよびコポリマー、並びにそれらのブレンド)がある。さらに、生体適合性ポリマーとしては、フィルム形成性生体吸収性ポリマーがあり;これらには、脂肪族ポリエステル類、ポリ(アミノ酸)類、コポリ(エーテル-エステル)類、ポリアルキレンオキサレート類、ポリアミド類、ポリ(イミノカーボネート)類、ポリオルソエステル類、アミド基を含有するポリオキサエステル類のようなポリオキサエステル類、ポリアミドエステル類、ポリアンハイドライド類、ポリホスファゼン類、生体分子類およびこれらの混合物がある。本発明の目的において、脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸d-、l-およびメソラクチドのような)、ε-カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラ-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(およびそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン-2-オン、1,5-ジオキセパン-2-オン、6,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2-オンのポリマーおよびコポリマー、並びにこれらのブレンドがある。
生体適合性ポリマーとしては、さらに、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリ(メタ)アクリレート類、ポリエステル類、ポリアルキルオキサイド類(例えば、ポリエチレンオキサイド)、ポリビニルアルコール類、ポリエチレングリコール類およびポリビニルピロリドンのような、比較的低い慢性組織応答性を有するフィルム形成性生体適合性ポリマー類、並びに架橋されたポリビニルピロリドンとポリエステルから形成されたもののようなヒドロゲル類がある。勿論、他のポリマー類も、これらポリマーを溶解し、硬化させ或いは重合させ得ることを条件として、生体適合性ポリマーとして使用し得る。そのようなポリマーおよびコポリマーとしては、ポリオレフィン類、ポリイソブチレンおよびエチレン-α-オレフィンコポリマー類;アクリルポリマー(メタクリレート類を含む)およびコポリマー類;ポリ塩化ビニルのようなビニルハライドポリマーおよびコポリマー類;ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル類;ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンのようなポリビニリデンハライド類;ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン類;ポリスチレンのようなポリビニル芳香族類;ポリ酢酸ビニルのようなポリビニルエステル類;エチレン-メチルメタクリレートコポリマーおよびエチレン-酢酸ビニルコポリマーのような、ビニルモノマーと他の各々とのおよびα-オレフィン類とのコポリマー類;アクリロニトリル-スチレンコポリマー類;ABS樹脂類;ナイロン66およびポリカプロラクタムのようなポリアミド類;アルキッド樹脂類;ポリカーボネート類;ポリオキシメチレン類;ポリイミド類;ポリエーテル類;エポキシ樹脂;ポリウレタン類;レーヨン;レーヨン-トリアセテート;セロファン;セルロースおよびその誘導体、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、セルロースプロピオネートおよびセルロースエーテル類(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロース);およびこれらの混合物がある。本発明の目的において、ポリアミド類としては、下記の一般式を有するポリアミド類がある:
-N(H)-(CH2)n-C(O)- および -N(H)-(CH2)x-N(H)-C(O)-(CH2)y-C(O)-
(式中、nは、約4〜約13の整数であり;xは、約4〜約12の整数であり;yは、約4〜約16の整数である)。
勿論、上記の物質目録は、例示であって、限定するものではないと理解すべきである。
網状エラストマーマトリックス10から製造した装置は、治療薬または薬物のような医薬活性剤を必要に応じて含むポリマーによる単純な浸漬またはスプレーコーティングにより、一般にコーティングする。1つの態様においては、上記コーティングは溶液であり、コーティング溶液中のポリマー含有量は約1〜約40質量%である。別の態様においては、コーティング溶液中のポリマー含有量は、約1〜約20質量%である。別の態様においては、コーティング溶液中のポリマー含有量は、約1〜約10質量%である。
コーティング溶液用の溶媒および溶媒混合物は、とりわけ、当業者にとっては既知であるような、粘度の適切な均衡化、ポリマーの付着量、固相12を適切にコーティングするための溶媒の湿潤速度および蒸発速度を考慮することによって選択する。1つの態様においては、溶媒は、ポリマーが溶媒中で可溶性であるように選定する。別の態様においては、溶媒を、コーティングから実質的に完全に除去する。別の態様においては、溶媒は、無毒性で、非発癌性であり、環境的に良性である。混合溶媒系は、粘度および蒸発速度を調整するのに有利であり得る。全ての場合において、溶媒は、コーティングポリマーと反応してはならない。溶媒類には、限定するものではないが、アセトン、N-メチルピロリドン(“NMP”)、DMSO、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2-トリクロロエタン(“TCE”)、各種フレオン類、ジオキサン、酢酸エチル、THF、DMF、DMAC、およびこれらの混合物がある。
別の態様においては、フィルム形成性コーティングポリマーは、溶融させている熱可塑性ポリマーであり、エラストマーマトリックス10の孔20に入り、冷却または固化時に、エラストマーマトリックス10の固形材料12の少なくとも1部分上にコーティングを形成する。別の態様においては、溶融形の熱可塑性コーティングポリマーの加工温度は、約60℃よりも高い。別の態様においては、溶融形の熱可塑性コーティングポリマーの加工温度は、約90℃よりも高い。別の態様においては、溶融形の熱可塑性コーティングポリマーの加工温度は、約120℃よりも高い。
本発明のさらなる態様においては、後でより詳細に説明するように、エラストマーマトリックス10の孔20の幾つかまたは全てを細胞内殖促進剤(cellular ingrowth promoter)でコーティングまたは充填する。別の態様においては、上記促進剤は、発泡化させ得る。別の態様においては、上記促進剤は、フィルムとして存在し得る。促進剤は、生体内におけるエラストマーマトリックス10の細胞侵入を増進させる生分解性物質であり得る。促進剤としては、フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、キトサンのような吸収性生体適合性多糖類、澱粉、脂肪酸(およびそのエステル類)、グリコソ-グリカン類およびヒアルロン酸のような、人体内で酵素により分解し得る或いは人体内で加水分解的に不安定である天然産物質がある。幾つかの態様においては、エラストマーマトリックス10の孔表面を、前章で説明したようにして、コーティングし或いは含浸させて細胞の内殖および増殖を促進させる;但し、前記生体適合性ポリマーの代りに上記促進剤を使用するか、上記促進剤を前記生体適合性ポリマーに添加する。
1つの態様においては、上記コーティングまたは含浸方法は、本明細書において使用するような、製品“複合エラストマー埋込み可能な装置”、即ち、網状エラストマーマトリックスとコーティングが、それを圧縮して送達装置による送達、例えば、カテーテル、シリンジまたは内視鏡送達をなし得た後に、充分な弾力性を保持するのを確実にするように実施する。そのような複合エラストマー埋込み可能な装置のいくつかの態様を、非限定的な例として、コラーゲンを使用して以下で説明するが、他の物質も、上述したようにしてコラーゲンの代りに使用し得ることを理解されたい。
本発明の1つの態様は、
a) 水性コラーゲンスラリーを、必要に応じて生体耐久性エラストマー製品であり得るエラストマーマトリックス10のような網状多孔質エラストマーの孔中に浸潤させ;そして、
b) 水分を、必要に応じて凍結乾燥させることによって除去して、コラーゲンコーティングを付与すること;
含み、上記コラーゲンコーティングが、上記網状多孔質エラストマーの孔表面の少なくとも1部分上に、孔の相互連結ネットワークを必要に応じて含むことを特徴とする複合エラストマー埋込み可能な装置の製造方法である。
コラーゲンは、水性コラーゲンスラリー、懸濁液または溶液をエラストマーマトリックスの孔内に、例えば、圧力により押し込むことによって浸潤させ得る。コラーゲンは、タイプI、IIもしくはIII、またはこれらの混合物であり得る。1つの態様においては、コラーゲンタイプは、少なくとも90%のコラーゲンIを含む。コラーゲン濃度は約0.3質量%〜約2.0質量%であり、上記スラリー、懸濁液または溶液のpHは凍結乾燥時に約2.6〜約5.0に調整する。また、コラーゲンは、エラストマーマトリックスをコラーゲンスラリー中に浸漬することによっても浸潤させ得る。
コーティングしていない網状エラストマーと比較して、上記複合エラストマー埋込み可能な装置は、体積を僅かに減じた空隙相14を有する。1つの態様においては、上記複合エラストマー埋込み可能な装置は、線維芽細胞または他の細胞の内殖および増殖のための良好な流体透過性と充分な多孔性を保持している。
必要に応じて、凍結乾燥させたコラーゲンは、架橋させて、コラーゲンコーティングの生体内酵素分解の速度を調整し且つエラストマーマトリックス10に結合するコラーゲンコーティングの能力を調整することができる。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、上記複合エラストマー埋込み可能な装置を埋込んだとき、線維芽細胞のような、コラーゲンに対し高親和性を有する組織形成性因子は、コーティングしていないマトリックスよりも上記コラーゲン含浸エラストマーマトリックス10の方をより容易に侵入するものと考えられる。さらに、この場合も何ら特定の理論によって拘束するものではないが、コラーゲンは酵素により分界するので、新たな組織は、分解中のコラーゲンが残っている空隙に侵入して、それを満たすとともに、エラストマーマトリックス10の他の利用可能な空間にも浸潤し満たすものと考えられる。そのようなコラーゲンコーティングまたは含浸エラストマーマトリックス10は、何ら特定の理論によって拘束するものではないが、エラストマーマトリックス10の孔20内でのコラーゲンの補強効果によって与えられた構造的一体性(この一体性は、種々の形状のエラストマーマトリックス10により大きい剛性および構造的安定性を付与する)のためにさらに有利であると考えられる。
コラーゲンコーティング複合エラストマー埋込み可能な装置およびそれから形成させたスリーブの製造方法は、実施例10および11において、例として説明している。他の方法は、当業者にとっては自明であろう。
コーティングした埋込み可能な装置
ある用途においては、エラストマーマトリックス10から製造された装置は、表面の下の各孔の内部表面積がもはや受入れ可能ではないので、より小さい最外表面積を存在させるためのコーティングされたまたは融合した表面を有し得る。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、この減少した表面積は、送達装置内の長い蛇行チャネルを経てのより予測的でより容易な送達および輸送、並びに動脈瘤、動静脈機能不全、動脈塞栓または他の血管異常のような血管奇形の治療のための経皮による最小限に侵襲的な手順によって導入された送達装置内の長い蛇行チャネルを経ての輸送を与えるものと考えられる。さらに、この増大した表面積およびエラストマーマトリックス10の硬度は、何ら特定の理論によって拘束するものではないが、より迅速な炎症応答を誘発させ、凝集カスケードの発生を活性化させ、緊密な増殖を誘発させ、内皮細胞移動および再狭窄の早期発症を刺激するものと考えられる。表面コーティングまたは融合は、表面の多孔度を変化させ、即ち、表面に開口した孔の割合を少なくとも部分的に減じ、或いは、境界内では、コーティングまたは融合表面の孔を完全に閉じる、即ち、その表面は、コーティングまたは融合表面上に残存する孔を実質的に有さないので、非多孔質である。しかしながら、表面積コーティングまたは融合は、エラストマーマトリックス10の内部相互連結多孔質構造を依然として可能にしており、内部的にまた他の非コーティングまたは非融合表面上で開放したままである;例えば、コーティングしたまたは融合させた孔のその表面上ではない部分は、他の孔と相互連結したままであり、それらの開放したままの表面は、細胞の内殖および増殖を助長し得る。1つの態様においては、コーティングした表面とコーティングしていない表面は、互いに対して直交する。別の態様においては、コーティングした表面とコーティングしていない表面は、互いに対して傾斜角度で存在する。別の態様においては、コーティング表面とコーティングしていない表面は、隣接している。別の態様においては、コーティング表面とコーティングしていない表面は、隣接していない。別の態様においては、コーティング表面とコーティングしていない表面は、互いに接触している。別の態様においては、コーティング表面とコーティングしていない表面は、互いに接触していない。
他の用途においては、網状エラストマーマトリックス10から製造した埋込み可能な装置の1以上の表面をコーティングし、融合させまたは溶融させて、取付け手段、例えば、アンカーまたは縫合糸へのその取付け効率を改善し、取付け手段が上記埋込み可能な装置から抜け落ちまたは離脱しないようにし得る。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、上述したように、上記埋込み可能な装置上でのさらなる接触固定用表面(1以上)の創生は、少なめの空隙およびより大きな抵抗を与えることによって抜け落ちまたは離脱を抑制しているものと考えられる。
エラストマーマトリックス10の外側層の融合および/または選択的溶融は、数種の異なる方法で実施し得る。1つの態様においては、エラストマーマトリックス10のブロックを最終の埋込み可能な装置製造のためのサイズと形状に切断するのに使用するナイフまたはブレードは、例えば、実施例7において説明するように昇温に加熱し得る。別の態様においては、所望の形状とサイズの装置は、エラストマーマトリックス10の大きめのブロックから、レーザー切断装置を使用して切断し、この方法において、レーザービームと接触する表面積を融合させる。別の態様においては、寒冷レーザー切断装置を使用して、所望のサイズと形状の装置を切断する。さらに別の態様においては、加熱モールドを使用し、加熱圧縮法により、所望のサイズと形状を装置に付与し得る。大き目のブロックから切断した、少し過サイズのエラストマーマトリックス10を、加熱モールド内に入れ得る。モールドは、例えば、実施例8で説明するようにして、切断片を封じ込めてその全体的寸法を所望の形状とサイズに減少させ、加熱モールドと接触した表面を融合させる。上述した態様の各々において、成形し寸法合せするための加工温度は、1つの態様においては、約15℃よりも高い。別の態様においては、成形し寸法合せするための加工温度は、約100℃を越える。別の態様においては、成形し寸法合せするための加工温度は、約130℃を越える。別の態様においては、融合させない最外表面の層(1以上)および/または部分は、最外表面の融合の間上記の層および表面に覆いをすることによって暴露から保護する。
外表面上のコーティングは、生体適合性ポリマーから調製し得、生分解性ポリマーおよび非生体耐久性ポリマーの双方を含み得る。適切な生体適合性ポリマーとしては、前章で開示した生体適合性ポリマーがある。勿論、その材料目録は、例示であって限定するものではないと理解されたい。1つの態様においては、表面孔は、成形したエラストマーマトリックス上へ吸収性ポリマー溶融物コーティングを適用することによって閉鎖される。一緒になって、上記エラストマーマトリックスとコーティングは、装置を構成する。別の態様においては、表面孔は、装置を構成する成形したエラストマーマトリックス上へ吸収性ポリマー溶液コーティングを適用することによって閉鎖される。別の態様においては、上記コーティングとエラストマーマトリックスは、まとまって、コーティングされていないエラストマーマトリックス単独よりも大きい容積を占める。
エラストマーマトリックス10上のコーティングは、例えば、ポリマーまたは医薬活性剤と混合したポリマーを含むコーティング溶液を浸漬またはスプレーすることによって適用し得る。別の態様においては、上記コーティング溶液中のポリマー含有量は、約1質量%〜約40質量%である。別の態様においては、上記コーティング溶液中のポリマー含有量は、約1質量%〜約20質量%である。別の態様においては、上記コーティング溶液中のポリマー含有量は、約1質量%〜約10質量%である。別の態様においては、溶液コーティングしない最外表面の層(1以上)および/または部分は、最外表面の溶液コーティングの間上記の層および表面に覆いをすることによって暴露から保護する。溶液コーティング用の溶媒または溶媒混合物は、例えば、前章(即ち、“孔内特性の付与”の)章において説明した考察に基づき選定する。
1つの態様においては、エラストマーマトリックス10上のコーティングは、フィルム形成性コーティングポリマーを溶融し、溶融ポリマーをエラストマーマトリックス10上に、例えば、実施例9で説明するようにして、浸漬コーティングすることにより適用することによって、適用し得る。別の態様においては、エラストマーマトリックス10上のコーティングは、フィルム形成性コーティングポリマーを溶融し、溶融ポリマーを、ダイにより、押出しまたは同時押出しのような方法で、エラストマーマトリックス10により形成されたマンドレル上への溶融ポリマーの薄層として適用するよって、適用し得る。これらの態様のいずれにおいても、溶融ポリマーは、最外表面をコーティングし、その表面の孔をブリッジするかまたは封鎖するが、内部に有意な深さまで浸透することはない。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、これは、溶融ポリマーの高粘度によるものと考えられる。即ち、最外表面から除去したエラストマーマトリックスの部分および溶融ポリマーと接触していない最外エラストマーマトリックス表面の部分の網状化性質は、維持される。冷却し固化するとき、上記溶融ポリマーは、エラストマーマトリックス10上に固形コーティングの層を形成する。1つの態様においては、上記溶融熱可塑性コーティングポリマーの加工温度は、少なくとも約60℃である。別の態様においては、上記溶融熱可塑性コーティングポリマーの加工温度は、少なくとも約90℃よりも高い。別の態様においては、上記溶融熱可塑性コーティングポリマーの加工温度は、少なくとも約120℃よりも高い。別の態様においては、溶融コーティングしない最外表面の層(1以上)および/または部分は、最外表面の溶融コーティングの間上記の層および表面に覆いをすることによって暴露から保護する。
本発明の別の態様は、埋込み可能な装置の周りに延びているスリーブとして形作られた、前述したような、コラーゲンコーティング複合エラストマー埋込み可能な装置を使用する。コラーゲンマトリックススリーブは、血管奇形部位に、該部位と隣接してまたは接触してのいずれかで埋込み得る。そのように位置させて、コラーゲンマトリックススレーブは、エラストマーマトリックス10の保持を助長し、組織シールの形成を容易にし、漏出の防止を助長するのに有用であり得る。エラストマーマトリックス10内でのコラーゲンの存在は、線維芽細胞のコラーゲンへの結合を促進させることによって、1つの態様においては、細胞の内殖および増殖を促進させ、機械的安定性を改善させ得る。コラーゲンの存在は、エラストマーマトリックス10の相互連結孔の早期および/またはより完全な浸潤を刺激し得る。
医薬活性剤の送達
1つの態様においては、網状エラストマーマトリックス10をコーティングするのに使用するフィルム形成性ポリマーは、各同時係属出願において記載されているように、医薬活性剤、例えば、薬物の送達および/または制御放出のためのビヒクルを提供する。別の態様においては、医薬活性剤を、エラストマーマトリックス10のコーティングと混合し、該コーティングに共有結合させおよび/または該コーティング中または上に吸着させて、医薬組成物を調製する。別の態様においては、発泡体を形成させるのに使用する成分、ポリマーおよび/または混合物が、医薬活性剤を含む。これらの発泡体を形成させるには、前述した成分、ポリマーおよび/または混合物を医薬活性剤と発泡体を形成させる前に混合するか、或いは医薬活性剤を形成させた後の発泡体中に取り込ませる。
1つの態様においては、上記コーティングポリマーと医薬活性剤は、共通溶媒を有する。それによって、溶液であるコーティングを提供し得る。別の態様においては、医薬活性剤は、溶媒中コーティングポリマー溶液中に、固形分散体として存在し得る。
医薬活性剤を含む網状エラストマーマトリックス10は、1種以上の医薬活性剤と、当該発泡体を製造するのに使用するポリマー、溶媒またはポリマー-溶媒混合物と混合することによって配合し、発泡させ得る。また、医薬活性剤を、当該発泡体上に、1つの態様においては、製薬上許容し得る担体を使用してコーティングさせることもできる。溶融コーティングを使用し得るならば、その場合は、別の態様において、医薬活性剤は、その有効性の実質的な消失なしで、溶融加工温度に耐えるものである。
医薬活性剤を含む配合物は、1種以上の医薬活性剤を網状エラストマーマトリックス10のコーティングと混合し、該コーティングに共有結合させ、および/または該コーティングに吸着させることにより、或いは医薬活性剤をさらなる疎水性または親水性コーティング中に混入させることによって調製し得る。医薬活性剤は、液体、微分割固形物または他の適切な物理的形状で存在し得る。典型的には、必要に応じてではあるが、上記マトリックスは、希釈剤、担体、賦形剤、安定剤等のような1種以上の通常の添加剤を含み得る。
別の態様においては、トップコーティングを、医薬活性剤の遅延放出のために適用し得る。別の態様においては、トップコーティングは、第2の医薬活性剤送達のためのマトリックスとして使用し得る。急速-および遅延-加水分解性ポリマーのそれぞれの層を含む多層型コーティングは、医薬活性剤の段階放出のためにまたは別個の層に入れた別個の医薬活性剤の制御放出のために使用し得る。ポリマーブレンド類も、種々の医薬活性剤の放出速度を制御するため、またはコーティング特性(例えば、弾力性、強靭性)と薬物送達特性(例えば、放出プロフィール)の所望の均衡を付与するために使用し得る。異なる溶媒溶解性を有する各ポリマーは、別個の各医薬活性剤を送達するのに使用し得る別個の各ポリマー層を構築するため、または各医薬活性剤の放出プロフィールを制御するために使用し得る。
存在する医薬活性剤の量は、使用する特定の医薬活性剤および治療する医学的症状に依存する。1つの態様においては、医薬活性剤は、有効量で存在する。別の態様においては、医薬活性剤の量は、コーティングの約0.01質量%〜約60質量%を示す。別の態様においては、医薬活性剤の量は、コーティングの約0.01質量%〜約40質量%を示す。別の態様においては、医薬活性剤の量は、コーティングの約0.1質量%〜約20質量%を示す。
多くの種々の医薬活性剤を上記網状エラストマーマトリックスと一緒に使用し得る。一般に、本発明の医薬組成物により投与し得る医薬活性剤としては、限定することなしで、本発明の医薬組成物による埋込み部位への適用または投与において所望の生理学的特性を有する任意の治療薬または医薬活性剤(限定するものではないが、核酸、たんぱく質、脂質、および炭水化物類のような)がある。治療薬には、限定することなしに、抗生剤および抗ウィルス剤のような抗感染薬;化学療法薬(例えば、抗癌剤);抗拒絶剤;鎮痛薬および鎮痛併用薬;抗炎症剤;ステロイド類のようなホルモン類;成長因子類(限定するものではないが、サイトカイン類、ケモカイン類およびインターロイキン類のような)および他の天然由来または遺伝子操作たんぱく質類、多糖類、糖たんぱく質およびリポたんぱく質がある。上記の成長因子は、R. G. Landes CokPany社によって出版されたThe Cellular and Molecular Basis of Bone Formation and Repair by Vicki Rosen and R. Scott Thiesに記載されており、該文献は、参考として本明細書に合体させる。さらなる治療薬としては、トロンビンインヒビター、抗血栓薬、血栓溶解薬、線維素溶解薬、血管痙攣インヒビター、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、降圧薬、抗菌剤、抗生剤、表面糖たんぱく質レセプターのインヒビター類、抗血小板薬、細胞分裂抑制剤、微小管インヒビター、抗分泌薬、アクチンインヒビター、リモデリング(remodeling)インヒビター、アンチセンスヌクレオチド、代謝拮抗薬、抗増殖性物質、抗癌化学療法薬、抗炎症ステロイド類、非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、成長ホルモン拮抗薬、成長因子、ドーパミン作用薬、放射線治療薬、ペプチド類、たんぱく質類、酵素類、細胞外マトリックス成分、アンギオテンシン転換酵素(ACE)インヒビター、フリーラジカルスカベンジャー、キレート化剤、酸化防止剤、抗ポリメラーゼ類、抗ウィルス剤、光線力学療法剤および遺伝子療法剤がある。
さらに、各種たんぱく質類(短鎖ペプチド類を含む)、成長因子、化学走化剤、成長因子レセプター類またはセラミック粒子も、加工中の発泡体に添加し、表面に吸着させ、或いは発泡体を製造した後の発泡体中に裏込め(back-fill)し得る。例えば、1つの態様においては、発泡体の孔は、生体適合性再吸収性合成ポリマーまたはバイオポリマー(コラーゲンまたはエラスチンのような)、生体適合性セラミック材料(ヒドロキシアパタイトのような)およびこれらの組合せで部分的にまたは完全に充填し得、また、必要に応じて、上記装置により組織増殖を促進させる物質も含有し得る。そのような組織増殖物質としては、限定するものではないが、自家移植片、同種移植片または異種移植片骨、骨髄および形態形成たんぱく質がある。また、バイオポリマーは、導電性または化学走化性物質として、或いは成長因子用の送達ビヒクルとしても使用し得る。例としては、組換えコラーゲン、動物由来コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロン酸がある。医薬活性コーティングまたは表面処理は、上記材料の表面上にも存在し得る。例えば、生物活性ペプチド配列(RGD's)を表面上に結合させてたんぱく質吸着およびその後の細胞組織結合を容易にし得る。
生物活性分子としては、限定なしで、たんぱく質類、コラーゲン類(タイプIVおよびXVIIIを含む)、微小繊維コラーゲン類(タイプI、II、III、V、XIを含む)、FACITコラーゲン(タイプIX、XII、XIV)、他のコラーゲン(タイプVI、VII、XIII)、短鎖コラーゲン(タイプVIII、X)、エラスチン、エンタクチン-1、フィブリリン、フィブロネクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブログリカン、フィブロモジュリン、フィブリン、グリピカン(glypican)、ビトロネクチン、ラミニン、ニドゲン(nidogen)、マトリリン(matrilin)、パーレカン(perlecan)、ヘパリン、ヘパラン、スルフェートプロテオグリカン、デコリン(decorin)、フィラグリン、ケラチン、シンデカン(syndecan)、アグリン、インテグリン、アグリカン、ビグリカン、骨シャロたんぱく質、軟骨基質たんぱく質、Cat-301プロテオグリカン、CD44、コリンエステラーゼ、HB-GAM、ヒアルロナン、ヒアルロナン結合性たんぱく質、ムチン類、オステオポンチン、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン、アクチベーターインヒビター類、レストリクチン(restrictin)、セルグリシン(serglycin)、テネイシン、トロンボスポンジン(thrombospondin)、組織タイププラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼタイププラスミノーゲンアクチベーター、バーシカン、フォン・ヴィルブランド因子、デキストラン、アルビノガラクタン、キトサン、ポリアクチド-グリコリド、アルギネート類、プルラン、ゼラチンおよびアルブミンがある。
さらなる生物活性分子としては、限定することなしで、免疫グロブリンの分子(Ig;モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む)、カドヘリン、インテグリン、セレクチンおよびH-CAM上科群のような、細胞接着分子およびマトリックス細胞間たんぱく質がある。例としては、限定するものではないが、AMOG、CD2、CD4、CD8、C-CAM (CELL-CAM 105)、細胞表面ガラクトシルトランスフェラーゼ、コネクシン類、デスモコリン(desmocollin)類、デスモグレイン(desmoglein)、ファスシクリン(sasciclin)類、F11、GP Ib-IX複合体、細胞間接着分子、白血球共通抗原たんぱく質チロシンホスフェート(LCA、CD45)、LFA-1、LFA-3、マンノース結合性たんぱく質(MBP)、MTJC18、ミエリン関連糖たんぱく質(MAG)、神経細胞接着分子(NCAM)、ニューロファシン(neurosfascin)、ニューログリアン(neuroglian)、ニューロタクチン(neurotactin)、ネトリン(netrin)、PECAM-1、PH-20、セマホリン(semaphoring)、TAG-1、VCAM-1、SPARC/オステオネクチン、CCN1 (CYR61)、CCN2 (CTGF;結合組織増殖因子)、CCN3 (NOV)、CCN4 (WISP-1)、CCN5 (WISP-2)、CCN6 (WISP-3)、オクルジン(occludin)およびクラウジン(claudin)がある。成長因子としては、限定することなしで、BMP類(1-7)、BMP様たんぱく質(GFD-5、-7、-8)、上皮成長因子(EGF)、エリスロポイエチン(EPO)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、成長ホルモン(GH);成長ホルモン放出因子(GHRF);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インシュリン、インシュリン様成長因子(IGF-I、IGF-II)、インシュリン様成長因子結合性たんぱく質(IGFBP)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、Multi-CSF (II-3)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍増殖因子(TGF-アルファ、TGF-ベータ)、腫瘍壊死因子(TNF-アルファ)、血管内皮成長因子(VEGF)類、アンギオポイエチン類、胎座成長因子(PIGF),インターロイキン類、およびこれらの因子と結合することが知られているレセプターたんぱく質または他の分子がある。短鎖ペプチド類には、限定するものではないが、RGD、EILDV、RGDS、RGES、RFDS、GRDGS、GRGS、GRGDTPおよびQPPRARIがある(単文字アミノ酸コードによる表示)。
網状エラストマーマトリックスの他の後加工
エラストマーマトリックス10は、網状化および孔内特性付与以外に、すでに説明しているように、さらなる加工工程(1工程以上)を受け得る。例えば、エラストマーマトリックス10は、前述したように、後処理によりまたは上記エラストマーマトリックスを親水性環境内に置くことにより、孔内親水性化してそのミクロ構造表面をより一層化学的に反応性とすることができる。1つの態様においては、生物学的に有用な化合物、またはそれらを含有する制御放出配合物は、局所送達と放出のために孔内表面結合させることができ、この態様は、同時係属出願中に記載されている。
別の態様においては、本発明のエラストマーマトリックス10から製造した製品は、アニーリングしてその構造を安定化させ得る。昇温下でのアニーリングは、半結晶性ポリウレタン中の結晶度を増進させる。この構造安定化および/またはさらなる結晶度は、エラストマーマトリックス10から製造した埋込み可能な装置に増強された貯蔵安定性を付与し得る。1つの態様においては、アニーリングは、約50℃を越える温度で実施する。別の態様においては、アニーリングは、約100℃を越える温度で実施する。別の態様においては、アニーリングは、約125℃を越える温度で実施する。別の態様においては、アニーリングは、少なくとも約2時間実施する。別の態様においては、アニーリングは、約4〜約8時間実施する。架橋ポリウレタンにおいては、昇温下での硬化も、構造安定化および長時間貯蔵安定性を増進させ得る。
エラストマーマトリックス10は、その形成または製造中に、広範囲の任意の形状およびサイズに成形し得る。形状は、同時係属出願において記載されている形状または輪郭のいずれかのような作動形状であり得るか、或いは形状は、バルクストック用であり得る。ストック品は、その後、最終用途用に、切断し、トリミングし、パンチングし、または別途形状化し得る。サイズ合せおよび成形化は、例えば、ブレード、パンチ、ドリルまたはレーザーを使用することにより実施し得る。これらの各態様においては、形状化およびサイズ合せにおける加工温度または切断具の温度は、約100℃よりも高くあり得る。別の態様においては、形状化およびサイズ合せにおける切断具の加工温度(1回以上)は、約130℃よりも高くあり得る。仕上げ工程としては、1つの態様においては、生物学的組織を刺激し得る支柱等のようなマクロ構造表面突起のトリミングがあり得る。別の態様においては、仕上げ工程は、加熱アニーリングを含み得る。アニーリングは、最終の切断および形状化の前後において実施し得る。
形状化およびサイズ合せは、画像形成または他の当業者にとって既知の方法によって判定するような、特定の患者の特定の治療部位に埋込み可能な装置を整合させるための特注の形状化およびサイズ合せを含み得る。とりわけ、エラストマーマトリックス10の1つまたは少数、例えば、1つの態様における約15未満、別の態様における約6未満は、望ましくない空孔、例えば、血管奇形の治療用の埋込み可能な装置系を含み得る。
エラストマーマトリックス10から製造され、形状化しサイズ合せした装置の寸法は、治療する特定の血管奇形に依存して変動し得る。1つの態様においては、圧縮し送達する前の装置の外寸法は、約1mm〜約100mmである。別の態様においては、圧縮し送達する前の装置の外寸法は、約1mm〜約7mmである。別の態様においては、圧縮し送達する前の装置の外寸法は、約7mm〜約10mmである。別の態様においては、圧縮し送達する前の装置の外寸法は、約10mm〜約30mmである。別の態様においては、圧縮し送達する前の装置の外寸法は、約30mm〜約100mmである。エラストマーマトリックス10は、圧縮し、送達装置、例えば、カテーテル、シリンジまたは内視鏡により輸送したときに、圧縮永久歪みを示し得る。別の態様においては、圧縮永久歪みとその標準偏差は、装置の圧縮前寸法を設計するときに考慮される。
1つの態様においては、患者は、装置系が居留するターゲット空腔または他の部位を、その部位への入口内の確定容積を参照にして、それ自体で完全には満たさない埋込み可能な装置または装置系を使用して治療される。1つの態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系は、該埋込み装置が居留するターゲット空腔または他の部位を、エラストマーマトリックスの孔が生物学的流体または組織によって占拠された後でさえも、完全に充分には満たさない。別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系の充分に膨張したin situ体積は、部位体積の少なくとも1%未満である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系の充分に膨張したin situ体積は、部位体積の少なくとも15%未満である。別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系の充分に膨張したin situ体積は、部位体積の少なくとも30%未満である。
上記埋込み可能な装置または装置系は、上記空腔内の中央位置を占める1個以上のエラストマーマトリックス10を含み得る。上記埋込み可能な装置または装置系は、上記空腔への入口または門脈に位置する1個以上のエラストマーマトリックス10を含み得る。別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系は、1個以上の可撓性でおそらくはシート状のエラストマーマトリックス10を含み得る。別の態様においては、そのようなエラストマーマトリックスは、埋込み部位での適切な流体力学に助けられ、移動して空腔壁に隣接して居留する。
別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系の充分に膨張したin situ体積は、上記空腔の体積よりも約1〜約40%大きい。別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系の充分に膨張したin situ体積は、上記空腔の体積よりも約5〜約25%大きい。別の態様においては、埋込み可能な装置体積対血管奇形の占める体積の比は、約70〜約90%である。別の態様においては、埋込み可能な装置体積対血管奇形の占める体積の比は、約90〜約100%である。別の態様においては、埋込み可能な装置体積対血管奇形の占める体積の比は、約90〜約100%未満である。別の態様においては、埋込み可能な装置体積対血管奇形の占める体積の比は、約100〜約140%である。
生体耐久性網状エラストマーマトリックス10またはそのようなマトリックスを含む埋込み可能な装置は、ガンマ照射、オートクレーブ処理、エチレンオキサイド滅菌、赤外線照射および電子ビーム照射のような当該技術において既知の任意の方法によって滅菌し得る。1つの態様においては、エラストマーマトリックス10を作製するのに使用する生体耐久性エラストマーは、そのような滅菌を、有用な物理的および機械的性質を喪失することなく許容する。ガンマ照射の使用は、さらなる架橋を潜在的に与えて装置の性能を増強し得る。
別の態様においては、滅菌製品は、紙、ポリマーまたは他の適切な材料からなる滅菌パッケージ中に包装し得る。別の態様においては、そのようなパッケージ内で、エラストマーマトリックス10を保持部材内で圧縮して、カテーテルまたは内視鏡のような送達装置中へのその圧縮形状での装着を容易にする。別の態様においては、エラストマーマトリックス10は、その圧縮前体積の実質的割合まで、例えば、25℃でその圧縮前体積の少なくとも50%まで膨張するのを可能にする圧縮永久歪みを有するエラストマーを含む。別の態様においては、膨張は、エラストマーマトリックス10がそのようなパッケージ内で典型的な商業的貯蔵および販売時間の間圧縮されたままである後に起こる;そのような時間は、製造から使用までに一般に3ヶ月を越えるであろうし、1〜5年までであり得る。
放射線不透過像
1つの態様においては、埋込み可能な装置は、例えば、放射線不透過性物質の粒子をエラストマーマトリックス自体に付着させ、共有結合させ、および/またはその中に混入させることによって、放射線不透過性にして、生体内画像形成を容易にし得る。放射線不透過性物質としては、チタン、タンタル、タングステン、硫酸バリウムまたは当業者にとって既知の他の適切な物質がある。
埋込み可能な装置の使用
網状エラストマーマトリックス10、およびこれを含む埋込み可能な装置系は、同時継続出願中に記載されているようにして使用できる。1つの非限定的な例においては、1個以上の網状エラストマーマトリックス10を与えられた部位に対して選定する。続いて、各々を、圧縮して、カテーテル、内視鏡またはシリンジ等のような送達装置中に装着する。送達装置を意図する患者宿主の脈管構造または他の脈管系中にくねらせて通し、網状エラストマーマトリックス10をターゲット部位に放出する。その部位に放出されると直ぐに、網状エラストマーマトリックス10は、およそその元の緩和サイズと形状に、勿論、その圧縮永久歪み限界および埋込み可能な装置が取り得る部位生体構造に対する可能な所望の屈曲、覆込み(draping)または他の立体構造まで弾力的に膨張する。
何ら特定の理論によって拘束するものではないが、脈動血圧のようなin situの流体力学により、適切な形状の網状エラストマーマトリックス10においては、該エラストマーマトリックスが、上記部位の、例えば、壁に近い周辺に移動せしめられるものと考えられる。網状エラストマーマトリックス10は、導管、例えば、体液が通る内腔または脈管内に入りまたは運ばれたとき、血液のような体液の流れに対し直接の抵抗を与えるであろう。このことは、炎症応答および血栓応答による栓子形成に至る凝集カスケードの活性化に関連するであろう。即ち、埋込み可能な装置表面により誘発された局所的な乱流および淀み点は、血小板活性化、凝集、トロンビン形成および血液凝固に至り得る。
1つの態様においては、線維芽細胞のような細胞存在物および組織は、網状エラストマーマトリックス10中に侵入して増殖し得る。やがて、そのような内殖は、挿入した網状エラストマーマトリックス10の内部孔20および間隙中に拡大し得る。最終的には、エラストマーマトリックス10は、増殖中の細胞内殖で実質的に満たされるようになり得、内殖物は、エラストマーマトリックス10中の部位または空隙空間を占め得る塊を与える。可能性ある組織内殖のタイプには、限定するものではないが、線維組織および内皮組織がある。
別の態様においては、上記埋込み可能な装置または装置系は、細胞の内殖および増殖を、部位全体に亘って、部位境界全体に亘ってまたは露出表面の幾らかを通して生じさせ、それによって部位を密閉する。時間とともに、組織内殖に由来するこの誘発維管束存在物は、埋込み可能な装置を導管中に一体化させ得る。組織内殖は、埋込み可能な装置の経時的な移動に対する極めて有効な抵抗をもたらし得る。また、組織内殖は、導管の再チャネル化も阻止する。別の態様においては、組織内殖は、長時間持続性で、無害でおよび/または機械的に安定であり得る瘢痕組織である。別の態様においては、時間の途中で、例えば、2週間から3ヶ月ないし1年の間で、埋込み網状エラストマーマトリックス10は、組織、繊維組織または瘢痕組織等により完全に満たされおよび/または封入されるようになる。
上記埋込み可能な装置の特徴、その機能性および体内の導管、内腔および空腔との相互作用は、上述したように、多くの動静脈機能不全(“AVM”)または他の血管異常の治療において有用であり得る。これらには、AVM類、供給および排出用静脈の異常、動静脈フィステル、例えば、大動静脈連結部の異常、腹部大動脈瘤内挿人工血管エンドリーク(endoleaks) (例えば、人工血管内挿患者におけるタイプIIエンドリーク発症を伴う下腸間膜動脈および腰動脈)、胃腸出血、偽動脈瘤、精索静脈瘤閉塞および女性管閉塞がある。
別の態様においては、動脈瘤の治療において、網状エラストマーマトリックス10を部位壁と動脈瘤治療のために内挿されている移植片要素との間に配置する。典型的には、移植片要素を単独で使用して動脈瘤を治療する場合、移植片要素は内殖組織に部分的に取り囲まれて、動脈瘤が再生し得るか或いは二次的動脈瘤が形成し得る部位を提供し得る。ある場合には、移植片を埋込んで動脈瘤を治療した後でさえも、望ましくない閉塞、流体の取込みまたは流体の溜りは生じ、それによって埋込み移植片の有効性を低下させ得る。本明細書において説明するような本発明の網状エラストマーマトリックス10を使用することにより、何ら特定の理論によって拘束するものではないが、そのような閉塞、流体の取込みまたは流体の溜りは回避し得、且つ治療部位は、繊維組織および/または内皮組織のような組織により完全に内殖され、血液漏出または出血のリスクに対して安全となり、有効に収縮され得るものと考えられる。1つの態様においては、上記埋込み可能な装置は、繊維封入によって固定され得、上記部位はおおよそ永久的に密封されるようなり得る。
別の態様においては、埋込み部位および周囲の導管を、動脈血管造影によって画像化し得る。別の態様においては、上記埋込み部位および周囲の導管を画像化して、意図する部位の三次元的断層撮影をマップ化しモデル化して網状エラストマーマトリックス10の選定を容易にすることもできる。その場合、埋込み可能な装置のサイズおよび形状は、埋込み可能な装置をターゲット部位に送達前に、推測し得る。また、網状エラストマーマトリックス10は、適切な画像形成法、例えば、磁気共鳴画像形成法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CTスキャン)、コントラスト物質または超音波を使用するX線画像形成法を使用して、意図する部位に適合させまたはその部位内で適応するように特注作製することもできる。他の適切な画像形成方法は、当業者にとっては既知であろう。
さらなる態様においては、本明細書において開示する埋込み可能な装置は、薬物送達ビヒクルとしても使用し得る。例えば、生体耐久性固相12を治療薬中に混合し、それに共有結合させ、および/またはそれに吸着させることができる。任意の種々の治療薬、例えば、本明細書において前記で説明した治療薬を上記埋込み可能な装置によって送達し得る。
実施例
以下の実施例は、本発明のある種の態様をさらに具体的に説明する。これらの実施例は、単に例示目的で提示するものであり、本発明の範囲を如何なる形においても限定しない。
実施例1
犠牲的成形法によるポリカーボネートポリウレタンマトリックスの作製
図4に示すように、基体を、粒子80、例えば、Baker Petrolite社(テキサス州シュガーランド)から入手したVYBARR 260炭化水素ポリマーから形成させた球形ワックス粒子80を、例えば、適度の温度および圧力下に、一緒に融合させることによって製造した。粒子80は、使用前に、直径で約3mm〜約5mmの比較的狭い直径分布にスクリーニングした。約20mLのスクリーニング粒子を、開孔底部を有する100 mLのポリプロピレン使い捨てビーカー、即ち、容器82に注入し、ビーカー内で有意な高さを有するコンパクトな三次元の塊状物を得るようにした。ビーカーを、ブフナーフラスコと連結しているシーラントスリーブ中に入れ、次いで、ブフナーフラスコを低圧源に連結した。
約20.7〜34.5 KPa [約3〜5 psi (約2,100〜3,500 kg/m2)]の圧力を、ワックス粒子上にある荷重拡散用のプレート84上に支持された重りWを使用して粒子80に圧縮力を加えるようにすることによって、ワックス粒子80に加えた。ビーカーを約50℃〜約55℃の温度に温めた。ワックス粒子は、ビーカー内で緊密にパックされて、粒子毎に約5〜8個の接触点86で互いに接触していた。圧縮を粒子界面の平坦化が生ずるまで続け、平坦化を、透明ビーカー壁に対する粒子平坦化を目視観察することにより、ビーカーを引っくり返して、塊状物から落ちる粒子が無いかを注視することにより、或いはこれらの方法の双方により判定した。過圧縮を回避するように注意し、それによって、適切な容積の間隙通路が粒子間に確実に残存するようにした。
THF中の等級80AのBIONETERポリカーボネートポリウレタンの10質量%溶液を、THF中のBIONETERペレットを5rpmで回転する回転スパイダーを使用して3日間タンブリングし攪拌することによって調製した。溶液は、密閉容器内で調製して溶媒の損失を最低限にした。
約60mLの上記10%ポリマー溶液を上記ワックス粒子の頂部層上に注いだ。約16932 Pa (約5インチHg)の減圧を上記ブフナーフラスコに適用した。ポリマー溶液がワックス粒子中に吸引されると直ぐに、追加の20mLの粒子を骨格上部層上に注ぎ入れ、ビーカーの内径よりも僅かに小さい荷重拡散用のプレートを粒子頂部上に置いた。その後、約20.7〜34.5 KPa [約3〜5 psi (約2,100〜3,500 kg/m2)]の圧力を上記プレート上に加えた。ブフナーフラスコへの減圧の適用は、粒子からの空気音が聞こえると直ぐに中止し、圧縮を解除し、その後、得られた“プラグ”を約1時間固化させた。この期間の後、ビーカーを引っくり返して、あり得る過剰の粒子をプラグから除去した。
プラグを空気流中のステンレススチールバスケット内に約16時間置いて残留THFを除去し、それによってワックス粒子を含むポリカーボネートポリウレタン間の間隙を有する固形ブロックを得た。乾燥させたとき、プラグを、ポリマー中に埋込まれていないすべてのワックス粒子をほぐすように変形させ、ステンレススチールバスケットに入れ、バスケットを約85℃〜90℃に維持したオーブン中に約1時間置き、ワックスを溶融除去した。必要に応じて、プラグを圧縮して過剰の液体ワックスの除去を促進させてもよい。多孔質ポリマーブロックをヘキサン中で繰返し洗浄して残留ワックスを除去し、風乾させた。
上記エラストマーマトリックスの平均孔径、走査型電子顕微鏡(“SEM”)観察により測定したとき、約200μm〜約500μmであった。上記エラストマーマトリックスは、残留気泡壁が全く、殆んどまたはほんの僅かしか無い網状構造を有するようであった。この特徴は、細胞の内殖および増殖に対し極めて好ましい潜在力を提供している。
直径10、15および20mmと長さ5、8および10mmを計測した円筒体、各10mm辺を有する立方体を上記網状材料ブロックから切断して、プロトタイプ装置を形成させた。
実施例2
犠牲的成形法によるポリカーボネートポリウレタンマトリックスの作製
実施例1を、各回毎に小さくなる、即ち、それぞれ、1.5、1および0.5mmの平均粒度を有する粒子を使用して3回繰返した。実施例1に匹敵する結果が各場合において得られた。
実施例3
犠牲的成形法の別法によるポリカーボネートポリウレタンマトリックスの作製
THF中のBIONETER 80A溶液を実施例1に従って調製したが、その濃度は7質量%のポリカーボネートポリウレタンポリマーであった。実施例1においても述べているように、VYBAR 260炭化水素ポリマー粒子を使用したが、粒子は、使用前に、直径で約1mm〜約2mmの比較的狭い直径分布にスクリーニングした。
実施例1においても述べているように、約20mLの上記7%ポリマー溶液を上記ワックス粒子の頂部層上に注いだ。しかしながら、この実施例においては、ビーカー内のワックス粒子は、加熱もせず、上記溶液と接触させる前に圧縮もしなかった。約16932 Pa (約5インチHg)の減圧をブフナーフラスコに適用した。ポリマー溶液がワックス粒子中に吸引されると直ぐに、追加の20mLの粒子を骨格上部層上に注ぎ入れ、ビーカーの内径よりも僅かに小さい荷重拡散用のプレートを粒子頂部上に置いた。その後、約20.7〜34.5 KPa [約3〜5 psi (約2,100〜3,500 kg/m2)]の圧力を上記プレート上に加えた。ブフナーフラスコへの減圧の適用は、粒子からの空気音が聞こえると直ぐに中止し、圧縮を解除し、その後、得られた“プラグ”を約1時間固化させた。この期間の後、ビーカーを引っくり返して、あり得る過剰の粒子をプラグから除去した。その後、THFとワックスを実施例1で述べているようにして除去し、多孔質ポリマーブロックをヘキサン中で繰返し洗浄して残留ワックスを除去し、風乾させた。
上記ポリマーブロックは、図6の該ブロックの代表的なSEM像から明らかなように、残留気泡壁が全く、殆んどまたはほんの僅かしか無い網状構造を有するようであった。図6のSEM像は、多くの同じ特徴、例えば、網状固相12、連続相互連結空隙相14、多くの交差点18間に延び、それらを相互連結させている多数の支柱16、および図1に略図的に示している複数の孔20を示していることに注目すべきである。上記ポリマーブロックの網状性質は、細胞の内殖および増殖に対し極めて好ましい潜在能力を提供している。
上記網状エラストマーマトリックス材料の密度は、既知容積(この場合、13.75 cc)の材料を正確に秤量し、その質量を上記容積で割ることによって測定し、0.045 gm/cc、即ち、2.8 lbs/ft3の密度を得た。空隙体積は、約96%であると測定した。
引張試験は、50mm長×25mm幅×12.5mm厚の寸法を有するサンプルについて実施した。ゲージ長は25mmであり、クロスヘッド速度は25mm/分であった。上記網状エラストマーマトリックス材料の引張強度は133.1 KPa [約19.3 psi (13,510 kg/cm2)]であり、破壊までの伸びは466%であった。
直径10、15および20mmと長さ5、8および10mmを計測した円筒体、各辺10mmを有する立方体を上記網状材料ブロックから切断して、プロトタイプ装置を形成させた。
実施例4
共溶媒を使用する犠牲的成形法よるポリカーボネートポリウレタンマトリックスの作製
Baker Petrolite社から入手したVYBAR 260枝分れ炭化水素ポリマーの粒子を溶融させ、90℃〜105℃の温度で、0.75インチ(19mm)直径の紡糸用ノズルにより押出した。押出物は、15℃〜30℃の温度に維持した90質量%イソプロパノール/10質量%水の混合物を満たしたビーカー中に通した。上記混合物の表面の高さは、混合物の頂上がノズル底部の22インチ(560mm)下にあるように調整した。固化ビーズを、#25 (710μm)よりも小さいメッシュサイズの篩にビーズ/混合物スラリーを通すことによって集めた。ビーズを含む篩をHEPA濾過空気流中に置き、ビーズを少なくとも4時間乾燥させた。乾燥ビーズを再び篩分けした。直径で1.7mm〜4mmの範囲の2回篩分けしたビーズを使用した。
共溶媒を使用して、ポリカーボネートポリウレタン/タンタル溶液を調製した。97質量%THF/3質量%DMF混合物中のBIONETEの10質量%を秤量した、即ち、全体で0.5質量%のタンタル粉末と一緒の5質量%のBIONATE 80Aポリカーボネートポリウレタン溶液を、5rpmで回転する回転スパイダーを使用して各成分を3日間タンブリングし攪拌することによって調製した。溶液は、密閉容器内で調製して溶媒の損失を最低限にした。325メッシュサイズの99.9%純度のタンタル粉末は、Aldrich Chemical社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手した。その後、上記混合物を60℃のオーブン内で24時間加熱し、次いで、約25℃に冷却した。溶液粘度は、約25℃で310センチポイズと測定した。
約500mLの上述の2回篩分けビーズを、開孔底部を有する透明な1Lポリプロピレン使い捨てビーカーに注入した。ビーズ充填ビーカーを真空チャンバー内に入れ、真空ポンプを使用して圧力を低下させ、16932〜33864 Pa (5〜10インチHg)のチャンバー圧を維持しながら、ビーズを125mLの上記5質量%BIONATEポリマー溶液で覆った。真空ポンプは、上記溶液がビーズの上部表面の下に沈むと直ぐに中断させた。ビーズを追加のおよそ100mLの2回篩分けビーズで覆い、清浄なビーカーの底を使用して、穏やかな圧力を上記ビーズ層の上部に加えた。
その後、上記溶液含有ビーズをドラフトの下の乾燥ラック上に約3〜4時間置き、THF/DMF混合物を蒸発させた。次いで、ビーズを減圧下に約40℃で22〜48時間乾燥させて、あり得る残留溶媒を除去した。ポリマーとワックスとからなるプラグを得た。プラグは、必要に応じて、水中で洗浄し、必要ならば、減圧下に約40℃でさらに12時間保って水分およびあり得る残留溶媒を除去してもよい。
乾燥後、プラグを穏やかに機械的に変形させて、あり得るポリマー中に埋込まれていないワックス粒子をほぐし、これを除去した。その後、プラグをステンレススチールラックに入れ、トレー上に置いた。アッセンブリを約80℃〜85℃に維持したオーブン内に約1〜3時間置いてワックスを溶融させ、ワックスをプラグからトレーへ流す。必要ならば、プラグを圧縮して、液化ワックスのプラグからの除去を促進させる。得られたエラストマーマトリックスをヘキサン中で繰返し洗浄し、ヘキサン洗浄液を新鮮ヘキサンで少なくとも2回取替える。その後、エラストマーマトリックスを、75〜80℃ヘプタン中での約2時間の追加の洗浄に供して、あり得る残存ワックスを除去する。エラストマーマトリックスを約25℃で風乾させる。
エラストマーマトリックスは、残留気泡壁が殆どまたは全くない網状構造を有しているようである。この局面は、細胞の内殖および増殖を促進させるのに好ましい。
実施例5
犠牲的成形法によるCHRONOFLEX R ポリウレタンマトリックスの作製
実施例3を、BIONATERポリカーボネートポリウレタンの代りにCHRONOFLEXR Cポリウレタンエラストマーを使用し、THFの代りにN-メチル-2-ピロリドンを使用して繰返す。実施例3に匹敵する結果が得られる。
実施例6
組織内殖の判定
本発明の網状エラストマーマトリックス埋込み可能な装置を使用しての細胞の内殖および増殖の程度を判定するために、そのような網状埋込み可能な装置をSprague-Dawleyラットの皮下組織中に入れて、手術を行った。
各々約375g〜約425gで秤量した8匹のSprague-Dawleyラットに、麻酔を60 mg/kgのペントバルビタールナトリウムの腹腔内注入によって誘発させる前は、自由な給餌、給水を受けさせた。
麻酔後、各動物を加熱用パッド上に置き、処置全体および直ぐの回復期間に亘って37℃の温度に維持した。仰向け位置の動物において、小中央線腹部壁切開を15番外科用メスで実施した。皮膚と皮下組織を切開し、表在筋膜と筋肉層を皮下組織から鈍的切開により分離した。その後、実施例3に従って製造し、直径約5mm、長さ8mmと計測した1個の円筒状ポリウレタン網状エラストマーマトリックス埋込み可能な装置を、各動物の腹部皮下ポケット中に挿入した。皮膚を永久縫合糸で閉じた。各動物をケ−ジに戻し回復させた。
動物は、次の14日間、自由な給餌、給水を受けさせ、その後、上記埋込み可能な装置を皮膚および筋肉組織と一緒に腹部壁から集めた。14日目の終りで、各動物は、安楽死させた。麻酔は60 mg/kgのペントバルビタールナトリウムの腹腔内注入によって誘発させ、動物は二酸化炭素で死亡させた。前の切開部を露出させた。上記埋込み可能な装置を含有する腹部壁セグメントを取出した。各動物において、上記埋込み可能な装置と充分な厚さの腹部壁を保存のためホルマリン中に入れた。
腹部壁内の上記埋込み可能な装置の組織病理学検査を通常のH&E染色により実施した。組織学スライドの検査から、1例の上記埋込み可能な装置を提示する図7は、維管束内殖、粘液様ストローマ、新たなコラーゲン繊維形成および外科インプラント処方に一致する早期炎症細胞応答の証拠を実証している。上記埋込み可能な装置は、組織内殖を助長し、永久組織置換、空腔または血管閉塞および組織増強に対するその能力および潜在力を実証していた。
実施例7
選択的非多孔質表面を有する埋込み可能な装置
実施例3に従い製造した網状材料の一片を使用する。ナイフ端を有する加熱ブレードを使用して、上記一片から直径10mmおよび長さ15mmの円筒体を切断する。ブレード温度は、130℃よりも上である。加熱ブレードと接触した上記一片の表面は、加熱ブレードとの接触により、融合され、非多孔質であるようである。多孔質を残す、即ち、融合させないことを意図する片表面は、加熱ブレードに暴露させていない。
実施例8
選択的非多孔質表面を有する埋込み可能な装置
実施例3に従い製造した網状材料の僅かに過サイズの一片を使用する。この僅かに過サイズの一片を130℃よりも上の温度に加熱したモールド内に入れる。その後、モールドを上記一片上で閉じ、全体寸法を所望サイズに減じる。上記一片をモールドから取出したところ、モールドと接触した上記一片の表面は、モールドとの接触により、融合され、非多孔質であるようである。多孔質を残す、即ち、融合させないことを意図する片表面は、加熱モールドへの暴露から保護する。ナイフ端を有する加熱ブレードを使用して、上記一片から直径10mmおよび長さ15mmの円筒体を切断する。
実施例9
選択的非多孔質表面を有する浸漬コーティング埋込み可能な装置
実施例3に従い製造した網状材料の一片を使用する。90モル%のPGAと10モル%のPLAを含有するコポリマーのコーティングを、次のようにして、外表面に塗布する。PGA/PLAコポリマーを押出機内で205℃にて溶融させ、上記一片を溶融物中に浸漬して上記一片をコーティングする。多孔性を残すべき、即ち、上記溶融物でコーティングしない片表面は、カバーをして表面を保護し、溶融物に暴露させない。取出すと、上記溶融物は、固化し、接触表面上に薄い非多孔質コーティング層を形成する。
実施例10
コラーゲンコーティングエラストマーマトリックスの作製
牛皮からの抽出により得られたコラーゲンを洗浄し、微小繊維に細断する。1質量%のコラーゲン水性スラリーを、コラーゲンと水を激しく攪拌し、無機酸を添加して約3.5のpHとすることによって調製する。
実施例1に従って製造した網状ポリウレタンマトリックスを、60mm×60mm×2mmと計測する一片に切断する。この一片を浅いトレーに入れ、コラーゲンスラリーをその上に注いで上記一片がスラリー中に完全に浸漬されるようにし、必要に応じて、トレーを振盪させる。必要であれば、過剰のスラリーを上記一片からデカンテーションし、スラリー含浸片をプラスチックトレー上に置き、このトレーを10℃に保持した凍結乾燥機トレー上に置く。凍結乾燥機トレー温度を、約1℃/分の冷却速度で、10℃から−35℃に低下させ、凍結乾燥機内の圧力を約10 Pa (約75ミリトール)に低下させる。−35℃に8時間保持した後、上記トレーの温度を約1℃/時の速度で10℃に、次いで、約2.5℃/時の速度で25℃の温度に達するまで上昇させる。凍結乾燥中、水分は、凍結コラーゲンスラリーから昇華し、網状ポリウレタンマトリックス片の孔内に付着した多孔質コラーゲンマトリックスを残す。圧力を1気圧に戻す。
必要に応じて、上記多孔質コラーゲンコーティングポリウレタンマトリックス片を窒素ガス流内での約110℃、24時間のさらなる加熱処理に供してコラーゲンを架橋させ、それによってさらなる構造的一体性を付与する。
実施例11
コラーゲンコーティングエラストマーマトリックスチューブの作製
直径10mmおよび長さ30mmと計測した、実施例3に従って製造した網状ポリウレタンマトリックスの円筒状片を、直径50mmおよび長さ100mmの円筒状プラスチックモールド中に入れる。実施例10に記載した工程の後、水性コラーゲンスラリーを上記モールド内に注ぎ込み、網状ポリウレタンマトリックスの上記円筒状片を完全に浸漬する。
上記スラリー含有モールドを実施例10におけるようにして冷却し、減圧下に置く。水を実施例10におけるようにして昇華により除去し、モールドから取出すと、多孔質円筒状プラグが形成されている。この円筒状コラーゲンコーティングエラストマープラグは、必要に応じて、実施例10で述べたようにして、加熱処理により架橋させ得る。直径5mmと計測した穴がプラグ中心を貫いており、チューブ、即ち、中空円筒体を形成している。
上記チューブを血管奇形、例えば、動脈瘤の治療に使用しなければならない場合、その外径を血液搬送血管の内径と実質的に合せるように選定し、その長さを動脈瘤の口部に重ね合せるように選定する。
実施例12
架橋網状ポリウレタンマトリックスの作製
2種類の芳香族イソシアネート、即ち、RUBINATER 9433とRUBINATE 9258 (各々Huntsman社から入手;各々、4,4'-MDIおよび2,4'-MDIの混合物を含む)をイソシアネート成分として使用した。RUBINATE 9433は、約65質量%の4,4'-MDI、約35質量%の2,4'-MDIを含有し、約2.01のイソシアネート官能性を有する。RUBINATE 9258は、約68質量%の4,4'-MDI、約32質量%の2,4'-MDIを含有し、約2.33のイソシアネート官能性を有する。変性1,6-ヘキサンジオールカーボネート (PESX-619;Hodogaya Chemical社、日本)、即ち、約2,000ダルトンの分子量を有するジオールをポリオール成分として使用した。これらの成分の各々は、25℃で液体である。使用する架橋剤は、三官能性であるグリセリンであった。水は、発泡剤として使用した。ゲル化用触媒は、ジブチル錫ジラウレート (DABCO T-12、Air Products社から供給)であった。発泡用触媒は、ジプロピレングリコール中の第3級アミン、33%トリエチレンジアミン(DABCO 33LV、Air Products社から供給)であった。シリコーン系界面活性剤を使用した(TEGOSTABR BF 2370、Goldschmidt社から供給)。気泡開放剤は、ORTEGOLR 501であった(Goldschmidt社から供給)。使用した成分の割合を下記の表2に示す。

表2
Figure 0005111731
ワンショット法を使用して発泡体を製造した。この方法においては、イソシアネート成分を除く全成分をビーカー中で25℃にて混合した。その後、イソシアネート成分を高速攪拌により添加した。その後、発泡性混合物をボール紙成形体内に注ぎ込み、発泡させ、その後、100℃で4時間後硬化させた。発泡化プロフィールは、次のとおりである:10秒の混合時間、15秒のクリーム時間、28秒の発泡時間、100秒の無粘着時間。
発泡体の平均孔径は、光学顕微鏡で観察したとき、300〜400μmであった。
以下の発泡体試験をASTM D3574に従い実施した。密度は、50mm×50mm×25mmと計測した試験片により測定した。密度は、サンプルの質量を試験片の容積で割ることによって測定する;2.5 lbs/ft3 (0.040 g/cc)の値が得られた。
引張試験は、発泡体立上り方向に対し平行および垂直双方に切断したサンプルにおいて実施した。ドッグ・ボーン(犬用ホネ)型引張試験片は、各々約12.5m厚、約25.4mm幅および約140mm長の発泡体ブロックから切断した。引張特性(強度および破壊時伸び)は、INSTRON Universal Testing Instrument Model 1122を使用して、19.6インチ/分(500mm/分)のクロスヘッド速度により測定した。発泡体立上りに対し2つの直交方向において測定した引張強度は、約276 KPa [約40 psi (28,000 kg/m2)]〜約483 KPa [約70 psi (49,000 kg/m2)]の範囲であった。破壊までの伸びは、方向にかかわりなくおよそ76%であった。
発泡体の圧縮強度は、50mm×50mm×25mmと計測した試験片により測定した。試験は、INSTRON Universal Testing Instrument Model 1122を使用して、0.4インチ/分(10mm/分)のクロスヘッド速度により測定した。50%および75%圧縮時での圧縮強度は、それぞれ、約290 KPa [約42 psi (29,400 kg/m2)]および約910 KPa [約132 psi (92,400 kg/m2)]であった。
発泡体の引裂抵抗強度は、およそ152mm×25mm×12.7mmと計測した試験片により測定した。40mm切断を各試験片の1面で行った。引裂試験は、INSTRON Universal Testing Instrument Model 1122を使用して、19.6インチ/分(500mm/分)のクロスヘッド速度により測定した。引裂強度は、約2.3 lbs/インチ (約411 g/cm)であると測定した。
その後の網状化手順においては、発泡体のブロックを圧力チャンバー内に入れ、チャンバーのドアを閉じ、気密密閉を維持する。圧力を下げてチャンバー内の実質的に全ての空気を除去する。可燃比の水素対酸素ガスをチャンバー内に導入する。その後、チャンバー内のガスをスパークプラグより発火させる。発火により、発泡体気泡構造内のガスを爆発させる。この爆発は、発泡体気泡窓の多くを吹き飛ばし、それによって網状エラストマーマトリックス構造を発生させる。
実施例13
架橋網状ポリウレタンマトリックスの作製
実施例12の未網状化発泡体の化学網状化を、該発泡体を30質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に25℃で2週間浸漬することによって実施する。その後、サンプルを繰返し水洗し、100℃のオーブン内で24時間乾燥させる。得られるサンプルは、網状化されている。
実施例14
架橋網状ポリウレタンマトリックスの作製
イソシアネート成分は、実施例12で述べているようなRUBINATE 9258であった。ポリオール成分は、約2,000ダルトンの分子量を有する1,6-ヘキサンジオールカーボネート (PCDN-980R;Hodogaya Chemical社、日本)であった。このポリオールは25℃で固体であるが、上記イソシアネートはこの温度では液体である。水を発泡剤として使用した。実施例12のゲル化用触媒、発泡用触媒、界面活性剤および気泡開放剤を使用した。使用する成分の割合を下記の表3に示す。

表3
Figure 0005111731
ポリオール成分を80℃に予備加熱し、次いで、イソシアネート成分、粘度調整剤(プロピレンカーボネート、これは、本配合物においては粘度抑制剤として作用する)、界面活性剤および気泡開放剤と混合して粘稠液体を形成させた。その後、水、ゲル化用触媒および発泡用触媒の混合物を激しく混合しながら添加した。その後、発泡性混合物をボール紙成形物内に注ぎ込み、発泡させ、その後、100℃で4時間後硬化させた。発泡化プロフィールは、次のとおりである:10秒の混合時間、15秒のクリーム時間、60秒の発泡時間、120秒の無粘着時間。
上記発泡体の密度、引張特性、および圧縮強度は、実施例12に記載しているようにして測定した。発泡体の密度は、2.5 lbs/ft3 (0.040 g/cc)であった。発泡体立上りに対し2つの直交方向において測定した引張強度は、約193 KPa [約28 psi (約19,600 kg/m2)]〜約296 KPa [約43 psi (約30,100 kg/m2)]の範囲であった。破壊までの伸びは、方向にかかわりなくおよそ230%であった。50%および75%圧縮での圧縮強度は、それぞれ、約117 KPa [約17 psi (約11,900 kg/m2)]および約234 KPa [約34 psi (約23,800 kg/m2)]であった。
上記発泡体を実施例12に記載した手順により網状化させる。
実施例15
架橋ポリウレタンマトリックスの作製
芳香族イソシアネートRUBINATE 9258をイソシアネート成分として使用した。RUBINATE 9258は、25℃で液体である。ポリオール,1,6-ヘキサメチレンポリカーボネート(Desmophen LS 2391、Bayer Polymers社)、即ち、約2,000ダルトンの分子量を有するジオールをポリオール成分として使用し、25℃で固体であった。蒸留水を発泡剤として使用した。使用した発泡用触媒は、第3級アミンDABCO 33LVであった。TEGOSTABR BF 2370をシリコーン系界面活性剤として使用した。ORTEGOLR 501を気泡開放剤として使用した。粘度調整剤プロピレンカーボネート(Sigma-Aldrich社から供給)は、粘度を下げるために存在した。使用した成分の割合を下記の表4に示す。

表4
Figure 0005111731
ポリオール成分を再循環送風炉内で70℃にて液化し、その150gをポリエチレンカップ中に秤量した。8.7gの粘度調整剤をポリオール成分に添加して粘度を低下させ、各成分をドリルミキサーの混合用シャフトにより3100rpmで15秒間混合した。3.3gの界面活性剤を添加し、各成分を上述のようにして15秒間混合した。その後、0.75gの気泡開放剤を添加し、各成分を上述のようにして15秒間混合した。80.9gのイソシアネート成分を添加し、各成分を60±10秒間混合して“システムA”を調製した。
4.2gの蒸留水を0.66gの発泡用触媒と小プラスチックカップ内でガラス棒により60秒間混合して“システムB”を調製した。
システムBを、システムA中に、こぼれを回避しながらできるだけ速く注入した。各成分を上述のようにしてドリルミキサーにより10秒間激しく混合し、その後、アルミニウムホイルでカバーした内表面を有する22.9cm×20.3cm×12.7cm (9インチ×8インチ×5インチ)ダンボール箱内に注ぎ込んだ。発泡プロフィールは、次のとおりである:10秒の混合時間、18秒のクリーム時間、および85秒の発泡時間。
発泡開始、即ち、システムAとBを混合した時点の2分後、発泡体を100〜105℃に維持した再循環送風炉内に入れ、1時間硬化させた。その後、発泡体を炉から取出し、15分間で約25℃に冷却した。皮膜を、帯鋸を使用して、各面から除去し、手圧を発泡体の各面に加えて気泡窓を開放させた。発泡体を再循環送風炉内に写し、100〜105℃でさらに5時間後硬化させた。
上記発泡体の平均孔径は、光学顕微鏡観察により測定して、約150μm〜約450μmであった。
以下の発泡体試験をASTM D3574に従い実施した。密度は、寸法50mm×50mm×25mmの試験片を使用して測定した。密度は、サンプルの質量を試験片の容積で割ることによって測定する;2.5 lbs/ft3 (0.040 g/cc)の密度値が得られた。
引張試験は、発泡体立上り方向に対し平行または垂直のいずれかで切断したサンプルにおいて実施した。ドッグ・ボーン型引張試験片は、発泡体ブロックから切断した。各ブロックは、約12.5m厚、約25.4mm幅および約140mm長と計測した。引張特性(引張強度および破壊時伸び)は、INSTRON Universal Testing Instrument Model 1122を使用して、19.6インチ/分(500mm/分)のクロスヘッド速度を使用して測定した。発泡体立上りに対し2つの直交方向からの測定値を併せることによって測定した平均の引張強度は、169.89±16.20 KPa [24.64±2.35 psi (17,250±1,650 kg/m2)]の範囲であった。破壊までの伸びは、215±12%であった。
圧縮試験は、50mm×50mm×25mmと計測した試験片を使用して実施した。試験は、INSTRON Universal Testing Instrument Model 1122を使用して、0.4インチ/分(10mm/分)のクロスヘッド速度により実施した。50%圧縮での圧縮強度は、82.74±20.68 KPa [12±3 psi (8,400±2,100 kg/m2)]であった。サンプルを50%圧縮に40℃で22時間供し、その後、圧縮応力を解除した後の圧縮永久歪みは、約2%であると測定した。
発泡体の引裂抵抗強度は、およそ152mm長×25mm幅×12.7厚mmと計測した試験片により測定した。各試験片の長さ方向での40mm長の切断を、試験への厚さを通し1つの25mm幅面の中心から始めて行った。引裂試験は、INSTRON Universal Testing Instrument Model 1122を使用して、19.6インチ/分(500mm/分)のクロスヘッド速度を使用して測定した。引裂強度は、2.9±0.1 lbs/インチ (1.32±0.05 g/cm)であると測定した。
孔構造およびその内部連結度は、Liquid Extrusion Porosimeter (Porous Materials社、ニューヨーク州イサカ)を使用して特性決定した。この試験において、25.4mm直径の4mm厚円筒体サンプルの孔を約19×10-6 N (約19ダイン)/cmの表面張力を有する湿潤液で満たし、次いで、このサンプルを、直径約27μmの孔を有する微孔質膜(サンプルの下に置く)を有するサンプル室に装入した。その後、サンプル上の空気圧をゆっくり上昇させてサンプルから液を押出した。使用する液のような低表面張力湿潤液においては、サンプルの孔を自然に満たした湿潤液は、サンプル上の圧力が上昇し始めたときに、サンプルの下の微孔質膜の孔も自然に満たしていた。圧力が上昇し続けるにつれ、サンプルの最大の孔が最も速く空になった。サンプル上の圧力のさらなる上昇は、圧力が上昇し続けるにつれてのより小さめのサンプル孔の増分的空虚化をもたらしていた。排出された液は上記膜を通過し、その体積を測定した。即ち、排出液の体積は、液体に対する受入れ可能な内部体積、液体侵入体積を得ること可能にしていた。さらにまた、上昇中の圧力下ではあるがサンプルの下の微孔質膜が無い場合(この場合、上記液として水を使用する)の液流の測定は、液体透過性の測定を可能にした。上記発泡体の液体進入体積は4 cc/gであると測定し、発泡体を通る水の透過度は1L/分/psi/cc (0.00142 L/分/(kg/m2)/cc)であると測定した。
実施例16
架橋ポリウレタン発泡体の網状化
実施例15に記載した発泡体の網状化を、以下の手順により実施した。15.25cm×15.25cm×7.6cm(6インチ×6インチ×2インチ)と計測した発泡体ブロックを圧力チャンバーに入れ、チャンバーのドアを閉鎖し、周辺雰囲気に対する気密密閉を維持した。チャンバー内の圧力を少なくとも約2分間の排気により約13.3 Pa (約1000ミリトール)よりも低く低下させて、発泡体内の実質的に全ての空気を除去した。燃焼を維持するのに十分な比率で存在する水素対酸素ガス混合物を、約3分に亘って導入した。その後、チャンバー内のガスをスパークプラグにより発火させた。発火により、ガス混合物を発泡体内で爆発させた。爆発により、隣接孔間の気泡壁の多くが吹き飛ばされ、それによって網状エラストマーマトリックス構造を形成するものと信じられた。
引張試験を実施例15で述べたようにして行った。平均引張強度は、約162 KPa [約23.5 psi (約16,450 kg/m2)]であると測定した。破壊までの伸びは、約194%であると測定した。
発泡体の網状化後圧縮強度を実施例15で述べたようにして実施した。50%圧縮時の圧縮強度は、約44.8 KPa [約6.5 psi (約4,550 kg/m2)]であると測定した。
上記孔構造およびその内部連結度を、実施例15に記載しているようなLiquid Extrusion Porosimeterを使用して特性決定する。上記網状発泡体の液体進入体積は28 cc/gであると測定し、上記網状発泡体を通る水の透過度は、413 L/分/psi/cc (0.59 L/分/(kg/m2)/cc)であると測定した。これらの結果は、例えば、上記網状発泡体の相互連結性および連続孔構造を実証している。
実施例17
軟質セグメント架橋網状ポリウレタンマトリックスの作製
約2.3のイソシアネート官能性を有する高分子4,4'-MDI (PAPI 901、Dow社より供給)をイソシアネート成分として使用する。2種類の各々おおよそ3官能性であるポリエーテルポリオールVORANOL 4703とVORANOL 4925 (Dow社より供給)をポリオール成分として使用する。アルカノールアミン連鎖延長剤ジエタノールアミン(Eastman Kodak社から供給)を使用する。水を発泡剤として使用する。発泡およびゲル化用触媒は、2,2'-オキシビス(N,N-ジメチルエチルアミン)/グリコール混合物(NIAXR A-1、OSI Specialties社から供給)である。発泡剤用触媒は、ジプロピレングリコール中33%第3級アミン、トリエチレンジアミン(DABCO 33LV)である。シリコーン系界面活性剤を使用する(DC 5241、Dow Corning社から供給)。使用する成分の割合は、下記の表5に示す。
Figure 0005111731
発泡体を製造するためには、イソシアネート成分を除く全ての成分を最初に混合する。その後、攪拌しながら、イソシアネート成分を添加し、発泡性混合物をボール紙成形体中に注ぎ込み、発泡させる。
発泡体を、実施例13に記載した手順により網状化させる。
実施例18
凍結乾燥による網状ポリカーボネートポリウレタンマトリックスの作製
DMSO中の10質量%のBIONATER 80A級ポリカーボネートポリウレタンの均質溶液を、DMSO中のBIONATEペレットを5rpmで回転する回転スパイダーを使用して3日間タンブリングし、攪拌することによって調製する。溶液は、密閉容器内で実施して溶媒損失を最小限にする。
溶液を浅いプラスチックトレーに入れ、27℃で30分間保持する。凍結乾燥機トレー温度を1.0℃/分の冷却速度で-10℃に低下させ、凍結乾燥機内の圧力を6.7 Pa(50ミリトール)に低下させる。24時間後、トレーの温度を約0.5℃/時の速度で8℃に上昇させ、その温度で24時間保つ。その後、トレーの温度を、約1℃/時の速度で、25℃の温度に達するまでさらに上昇させる。その後、トレーの温度を、約2.5℃/時の速度で、35℃の温度に達するまで上昇させる。凍結乾燥中、DMSOは昇華して、網状ポリカーボネートポリウレタンマトリックス片を残す。圧力を1大気圧に戻して、上記片を凍結乾燥機から回収する。
残存し得るDMSOは、上記片を繰返し水洗することにより、上記片から洗い出す。洗浄した片を風乾させる。
開示事項の組入れ
本明細書においてまたは本特許出願において参照した米国特許および特許出願の各々、外国および国際特許公報の各々、他の公開物の各々、並びに未公開特許出願の各々の開示事項は、その全体を本明細書に合体させる。
本発明の具体的な態様を上記で説明してけれども、勿論、多くの種々の修正が当業者にとって明らかであろうし、或いは技術の発展につれて明らかになり得ることを理解されたい。そのような修正は、本明細書において開示された発明の精神および範囲に属するものとする。
本発明に従う1つの態様の多孔質生体耐久性エラストマー製品のミクロ構造部分の1つの可能性ある形態を示す略図である。 本発明に従う多孔質生体耐久性エラストマー埋込み可能な装置の製造方法の略ブロック流れ図である。 本発明に従う網状生体耐久性エラストマー埋込み可能な装置の製造のための犠牲的成形方法の略ブロック流れ図である。 図3に示した犠牲的成形方法を実施するための装置の略図である。 本発明に従う網状生体耐久性エラストマー埋込み可能な装置の製造のための2重消失ワックス法の略ブロック流れ図を製品断面図と一緒に示す。 実施例3に従って製造した網状エラストマー埋込み可能な装置の走査電子顕微鏡画像である。 Sprague-Dawlyラットの皮下組織中に14日間埋め込んだ後に取出した後の、実施例3に従って製造した網状の埋込み可能な装置の組織学的スライドである。
符号の説明
10 多孔質生体耐久性エラストマーマトリックス
12 網状固相
14 連続相互連結空隙相
16 支柱
18 交差点
20 孔
22 気泡壁
80 粒子
82 容器
84 荷重拡散用プレート
86 粒子の接触点

Claims (32)

  1. 弾力的に圧縮可能な網状エラストマーマトリックスであって、その中で空隙空間を規定する固形構造体の連続ネットワークを含むエラストマーマトリックスであって、前記空隙空間が前記マトリックスの内部から外側表面に延長された相互連結通路の連続ネットワークを形成する相互連結された複数の孔を含み、前記マトリックスが、(i)ポリカーボネートポリオールと、及び(ii)2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート成分を少なくとも5質量%含む前記イソシアネート成分とを含む混合物の反応により形成される生体適合性であり、架橋されたポリカーボネートポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン−尿素又はこれらの混合物を含む前記マトリックスを含む、その中で組織内殖を促進させるための埋込み可能な装置。
  2. 該埋込み可能な装置が少なくとも29日間は生体耐久性である、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  3. 該エラストマーマトリックスがポリカーボネートポリウレタンを含む、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  4. 該埋込み可能な装置が少なくとも6ヶ月間は生体耐久性である、請求項3記載の埋込み可能な装置。
  5. 複数の孔を含む網状エラストマーマトリックスを含み、前記孔が少なくとも100μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  6. 孔が250μm〜900μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する、請求項3記載の埋込み可能な装置。
  7. 複数の孔を含む網状エラストマーマトリックスを含み、前記孔が275μm〜700μmの平均直径または他の最大横断寸法を有する、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  8. 複数の孔を含む網状エラストマーマトリックスを含み、前記孔が300μmより大きく900μm以下の平均直径または他の最大横断寸法を有する、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  9. 該埋込み可能な装置を緩和形状から送達装置を介する送達のための第1のコンパクト形状へ圧縮すると、生体外で、少なくとも1の次元において前記緩和形状の少なくとも50%のサイズ、場合により、少なくとも80%のサイズの第2の作動形状まで膨張するような、弾力的に圧縮可能なエラストマーマトリックスを含む、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  10. 該エラストマーマトリックスの回復特性は、緩和寸法の90%〜10%まで圧縮した後に、第2の作動形状の寸法が緩和形状の緩和寸法の50%以内であるような特性であり、前記エラストマーマトリックスが、6.9 kPa[1 psi (700 kg/m2)]〜1379 kPa [200 psi (140,000 kg/m2)]の50%圧縮時圧縮強度、6.9 kPa [1 psi (700 kg/m2)]〜517 kPa [75 psi (52.500 kg/m2)]の引張強度および少なくとも76%の極限引張伸びを有する、請求項9記載の埋込み可能な装置。
  11. 該エラストマーマトリックスが、1の方向でその厚さの50%まで25℃で22時間圧縮した後に、30%以下、場合により10%以下の圧縮永久歪みを有する、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  12. 前記イソシアネート成分が、更に、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  13. 網状エラストマーマトリックスが、網状エラストマーマトリックス中での細胞の内殖および増殖が可能であるように形状化されている、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  14. 該ポリカーボネートポリオールが二官能性ポリカーボネートジオールを含む、請求項1記載の埋め込み可能な装置。
  15. 二官能性ポリカーボネートジオールが1,6-ヘキサメチレンポリカーボネートジオールである、請求項14記載の埋め込み可能な装置。
  16. 該イソシアネート成分が、更にテトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレン-ビス-(p-シクロヘキシルイソシアネート)、p-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはこれらの混合物を含む、請求項1記載の埋め込み可能な装置。
  17. 該イソシアネート成分がイソシアネート指数を有し、前記イソシアネート指数が0.9〜1.029である、請求項16記載の埋め込み可能な装置。
  18. 該イソシアネート指数が0.98〜1.02である、請求項17記載の埋め込み可能な装置。
  19. 該イソシアネート指数が0.9〜1.029である、請求項17記載の埋め込み可能な装置。
  20. 血管奇形を治療するための請求項1記載の埋込み可能な装置であって、
    緩和形状から第1のコンパクト形状に圧縮され、送達装置によって、生体内の血管奇形の部位まで送達され、前記生体内部位で第2の作動形状に膨張される、前記装置。
  21. 該埋込み可能な装置が複数のエラストマーマトリックスを含む、請求項20記載の装置。
  22. 該エラストマーマトリックスが、1の次元においてその厚さの50%まで25℃で22時間圧縮した後に、5%以下の圧縮永久歪みを有する、請求項11記載の埋込み可能な装置。
  23. 該イソシアネート成分が、ジフェニルメタンジイソシアネートを含み、前記ジフェニルメタンジイソシアネートが少なくとも5質量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートと残りの主成分4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物である、請求項12記載の埋込み可能な装置。
  24. 該イソシアネート成分における分子当りのイソシアネート基の平均数が2より大きい、請求項23記載の埋込み可能な装置。
  25. 該イソシアネート成分における分子当りのイソシアネート基の平均数が2.2より大きい、請求項24記載の埋込み可能な装置。
  26. 該埋込み可能な装置が、その埋込み可能な装置が存在する生物学的部位を充填する、請求項1記載の埋込み可能な装置。
  27. 該網状エラストマーマトリックスが、修復又は置き換えられる組織へ組込まれる、請求項13記載の埋込み可能な装置。
  28. 外科切開送達装置によって挿入される、血管奇形を治療するための請求項1記載の埋込み可能な装置。
  29. 送達装置によって挿入される、血管奇形を治療するための請求項1記載の埋込み可能な装置。
  30. 医薬活性剤を含んでいる埋込み可能な網状エラストマーマトリックス装置を製造する方法であって、
    少なくとも1の医薬活性剤とポリカーボネートポリオール及び少なくとも5質量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート成分を含むイソシアネート成分とを混合して、前記混合物からエラストマーマトリックスを形成し、網状化方法によって前記エラストマーマトリックスを網状化して網状エラストマーマトリックスを提供すること;を含む前記方法。
  31. 更に少なくとも1の医薬活性剤を、前記網状エラストマーマトリックス上にコーティングする工程を含む、請求項30記載の方法。
  32. 請求項30記載の方法によって得られる製品。
JP2004566663A 2003-01-03 2003-12-31 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用 Expired - Fee Related JP5111731B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US43795503P 2003-01-03 2003-01-03
US60/437,955 2003-01-03
US47152003P 2003-05-15 2003-05-15
US60/471,520 2003-05-15
PCT/US2003/033750 WO2004078023A2 (en) 2002-10-23 2003-10-23 Aneurysm treatment devices and methods
USPCT/US03/33750 2003-10-23
PCT/US2003/041759 WO2004062531A1 (en) 2003-01-03 2003-12-31 Reticulated elastomeric matrices, their manufacture and use in implantable devices

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012048503A Division JP2012130761A (ja) 2003-01-03 2012-03-05 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006512171A JP2006512171A (ja) 2006-04-13
JP2006512171A5 JP2006512171A5 (ja) 2007-03-01
JP5111731B2 true JP5111731B2 (ja) 2013-01-09

Family

ID=35006174

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004566663A Expired - Fee Related JP5111731B2 (ja) 2003-01-03 2003-12-31 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用
JP2012048503A Pending JP2012130761A (ja) 2003-01-03 2012-03-05 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012048503A Pending JP2012130761A (ja) 2003-01-03 2012-03-05 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用

Country Status (9)

Country Link
US (2) US20050043585A1 (ja)
EP (1) EP1589899A4 (ja)
JP (2) JP5111731B2 (ja)
CN (1) CN1756515B (ja)
AU (2) AU2003300465A1 (ja)
BR (1) BR0317913A (ja)
CA (1) CA2512072A1 (ja)
HK (1) HK1089646A1 (ja)
WO (1) WO2004062531A1 (ja)

Families Citing this family (132)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040185108A1 (en) * 2003-03-18 2004-09-23 Short Robert E. Method of preparing gas-filled polymer matrix microparticles useful for delivering drug
ES2660627T3 (es) * 2003-05-15 2018-03-23 Biomerix Corporation Matrices elastoméricas reticuladas, su fabricación y su utilización en dispositivos implantables
US8389588B2 (en) 2003-12-04 2013-03-05 Kensey Nash Corporation Bi-phasic compressed porous reinforcement materials suitable for implant
US8133500B2 (en) 2003-12-04 2012-03-13 Kensey Nash Bvf Technology, Llc Compressed high density fibrous polymers suitable for implant
US7723395B2 (en) 2004-04-29 2010-05-25 Kensey Nash Corporation Compressed porous materials suitable for implant
US20050137687A1 (en) 2003-12-23 2005-06-23 Sadra Medical Heart valve anchor and method
US7959666B2 (en) * 2003-12-23 2011-06-14 Sadra Medical, Inc. Methods and apparatus for endovascularly replacing a heart valve
US7763077B2 (en) 2003-12-24 2010-07-27 Biomerix Corporation Repair of spinal annular defects and annulo-nucleoplasty regeneration
US20050165480A1 (en) * 2004-01-23 2005-07-28 Maybelle Jordan Endovascular treatment devices and methods
US20070190108A1 (en) * 2004-05-17 2007-08-16 Arindam Datta High performance reticulated elastomeric matrix preparation, properties, reinforcement, and use in surgical devices, tissue augmentation and/or tissue repair
DE102004027657A1 (de) * 2004-06-07 2006-02-02 Zow Ag Gekammerter Werkstoff als Implantat, Knochenersatz und allgemein als Werkstoff
CA2581939C (en) * 2004-09-27 2013-01-08 Joseph A. Hrabie Nitric oxide-releasing diazeniumdiolated acrylonitrile-based polymers, and compositions, medical devices, and uses thereof
BRPI0515934B8 (pt) * 2004-09-29 2021-07-27 Aortech Biomaterials Pty Ltd gel químico, seu processo de preparação, biomaterial, dispositivo, artigo ou implante, implante mamário, e material de enchimento para um implante médico
US20060116714A1 (en) * 2004-11-26 2006-06-01 Ivan Sepetka Coupling and release devices and methods for their assembly and use
US8771294B2 (en) 2004-11-26 2014-07-08 Biomerix Corporation Aneurysm treatment devices and methods
AU2005321543A1 (en) * 2004-12-30 2006-07-06 Cinvention Ag Combination comprising an agent providing a signal, an implant material and a drug
US20070150051A1 (en) * 2005-01-10 2007-06-28 Duke Fiduciary, Llc Vascular implants and methods of fabricating the same
US8287583B2 (en) * 2005-01-10 2012-10-16 Taheri Laduca Llc Apparatus and method for deploying an implantable device within the body
PT1836239E (pt) * 2005-01-13 2009-02-02 Cinv Ag Materiais compósitos contendo nanopartículas de carbono
DE102005003632A1 (de) 2005-01-20 2006-08-17 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Katheter für die transvaskuläre Implantation von Herzklappenprothesen
WO2006077256A1 (en) * 2005-01-24 2006-07-27 Cinvention Ag Metal containing composite materials
US9452001B2 (en) * 2005-02-22 2016-09-27 Tecres S.P.A. Disposable device for treatment of infections of human limbs
WO2006097503A2 (en) * 2005-03-18 2006-09-21 Cinvention Ag Process for the preparation of porous sintered metal materials
US7637941B1 (en) * 2005-05-11 2009-12-29 Advanced Cardiovascular Systems, Inc. Endothelial cell binding coatings for rapid encapsulation of bioerodable stents
JP2006314521A (ja) * 2005-05-12 2006-11-24 Olympus Medical Systems Corp 内視鏡用可撓管
JP2009500054A (ja) * 2005-07-01 2009-01-08 シンベンション アーゲー 網状複合材料を含む医療装置
US20070078193A1 (en) * 2005-08-31 2007-04-05 Gilder Stephen D Strut-reinforced, reduced VOC polyurethane foam
US20070066697A1 (en) * 2005-08-31 2007-03-22 Gilder Stephen D Strut-reinforced polyurethane foam
US20100174006A1 (en) * 2005-09-20 2010-07-08 Sleep Innovations, Inc. Strut-Reinforced, Reduced VOC Polyurethane Foam
WO2007045616A1 (en) * 2005-10-18 2007-04-26 Cinvention Ag Thermoset particles and methods for production thereof
WO2007053955A1 (en) * 2005-11-14 2007-05-18 Corporation De L'ecole Polytechnique De Montreal Porous nanosheath networks, method of making and uses thereof
US20070112420A1 (en) * 2005-11-14 2007-05-17 Duke Fiduciary Llc Detachable therapeutic tube
US20080033366A1 (en) * 2006-01-30 2008-02-07 Surgica Corporation Compressible intravascular embolization particles and related methods and delivery systems
US20070219585A1 (en) * 2006-03-14 2007-09-20 Cornet Douglas A System for administering reduced pressure treatment having a manifold with a primary flow passage and a blockage prevention member
CA2647321A1 (en) * 2006-03-24 2008-05-02 Biomerix Corp Self-expandable endovascular device for aneurysm occlusion
AU2007242052B2 (en) 2006-04-20 2012-09-13 Aortech International Plc Gels
KR101443926B1 (ko) 2006-06-15 2014-10-02 마이크로벤션, 인코포레이티드 팽창성 중합체로 제조된 색전술용 장치
EP2097115B1 (en) 2006-11-13 2017-01-25 Elastagen Pty Ltd Use of tropoelastin for repair or restoration of tissue
WO2008074027A1 (en) * 2006-12-13 2008-06-19 Biomerix Corporation Aneurysm occlusion devices
BRPI0807260A2 (pt) * 2007-02-09 2014-06-10 Taheri Laduca Llc "stent implantável e método de fabricação de um enxerto tubular"
JP5111901B2 (ja) * 2007-03-13 2013-01-09 株式会社東芝 X線撮影装置
US7896915B2 (en) 2007-04-13 2011-03-01 Jenavalve Technology, Inc. Medical device for treating a heart valve insufficiency
AU2008262113A1 (en) * 2007-06-07 2008-12-18 Smith & Nephew, Inc. Reticulated particle porous coating for medical implant use
US7637940B2 (en) * 2007-07-06 2009-12-29 Boston Scientific Scimed, Inc. Stent with bioabsorbable membrane
US20090130174A1 (en) * 2007-08-20 2009-05-21 Vanderbilt University Poly (ester urethane) urea foams with enhanced mechanical and biological properties
US20090084539A1 (en) * 2007-09-28 2009-04-02 Ping Duan Downhole sealing devices having a shape-memory material and methods of manufacturing and using same
US8313527B2 (en) 2007-11-05 2012-11-20 Allergan, Inc. Soft prosthesis shell texturing method
WO2009086208A2 (en) 2007-12-21 2009-07-09 Microvention, Inc. Hydrogel filaments for biomedical uses
US9044318B2 (en) 2008-02-26 2015-06-02 Jenavalve Technology Gmbh Stent for the positioning and anchoring of a valvular prosthesis
ES2903231T3 (es) 2008-02-26 2022-03-31 Jenavalve Tech Inc Stent para el posicionamiento y anclaje de una prótesis valvular en un sitio de implantación en el corazón de un paciente
US20100068171A1 (en) * 2008-05-27 2010-03-18 Vanderbilt University Injectable bone/polymer composite bone void fillers
WO2010017177A1 (en) * 2008-08-06 2010-02-11 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Ultrasonically induced release from polymer vesicles
US8506627B2 (en) 2008-08-13 2013-08-13 Allergan, Inc. Soft filled prosthesis shell with discrete fixation surfaces
US9050184B2 (en) 2008-08-13 2015-06-09 Allergan, Inc. Dual plane breast implant
CA2735741A1 (en) * 2008-09-04 2010-03-11 Bayer Materialscience Ag Tcd based hydrophilic polyurethane dispersions
EP2385960B1 (en) * 2009-01-12 2020-03-11 University Of Massachusetts Lowell Polyisobutylene-based polyurethanes
US20100291182A1 (en) * 2009-01-21 2010-11-18 Arsenal Medical, Inc. Drug-Loaded Fibers
EP2391395A4 (en) * 2009-02-02 2014-04-09 Biomerix Corp COMPOSITE NETWORKING DEVICE AND METHOD FOR SOFTWARE SAVING
US20100234483A1 (en) * 2009-03-10 2010-09-16 Tyco Healthcare Group Lp Foam seal formulation
WO2010114633A1 (en) 2009-04-03 2010-10-07 Biomerix Corporation At least partially resorbable reticulated elastomeric matrix elements and methods of making same
US10639396B2 (en) 2015-06-11 2020-05-05 Microvention, Inc. Polymers
US9265633B2 (en) * 2009-05-20 2016-02-23 480 Biomedical, Inc. Drug-eluting medical implants
JP5634042B2 (ja) * 2009-08-20 2014-12-03 株式会社イノアックコーポレーション 骨再生医療材料
US20110202016A1 (en) * 2009-08-24 2011-08-18 Arsenal Medical, Inc. Systems and methods relating to polymer foams
US10420862B2 (en) 2009-08-24 2019-09-24 Aresenal AAA, LLC. In-situ forming foams for treatment of aneurysms
US9173817B2 (en) 2009-08-24 2015-11-03 Arsenal Medical, Inc. In situ forming hemostatic foam implants
US9044580B2 (en) 2009-08-24 2015-06-02 Arsenal Medical, Inc. In-situ forming foams with outer layer
US20110093069A1 (en) 2009-10-16 2011-04-21 Allergan, Inc. Implants and methdos for manufacturing same
BR112012009287A2 (pt) 2009-10-26 2017-06-06 Microvention Inc dispositivo de embolização feito de polímero expansível
WO2011054932A1 (en) * 2009-11-05 2011-05-12 Nonwotecc Medical Gmbh Non-woven fabric for medical use and process for the preparation thereof
BR112012014316A2 (pt) * 2009-12-16 2016-07-05 Bayer Materialscience Ag poliuretano-uréia para revestimentos de stent
US20110196488A1 (en) * 2010-02-03 2011-08-11 Allergan, Inc. Degradation resistant implantable materials and methods
US8877822B2 (en) 2010-09-28 2014-11-04 Allergan, Inc. Porogen compositions, methods of making and uses
US9044897B2 (en) 2010-09-28 2015-06-02 Allergan, Inc. Porous materials, methods of making and uses
US9138308B2 (en) 2010-02-03 2015-09-22 Apollo Endosurgery, Inc. Mucosal tissue adhesion via textured surface
US8889751B2 (en) 2010-09-28 2014-11-18 Allergan, Inc. Porous materials, methods of making and uses
CA2788265A1 (en) 2010-02-05 2011-08-11 Allergan, Inc. Biocompatible structures and compositions
US9205577B2 (en) 2010-02-05 2015-12-08 Allergan, Inc. Porogen compositions, methods of making and uses
US9138309B2 (en) 2010-02-05 2015-09-22 Allergan, Inc. Porous materials, methods of making and uses
US8679570B2 (en) * 2010-04-27 2014-03-25 Allergan, Inc. Foam-like materials and methods for producing same
EP2569473B1 (en) * 2010-05-10 2019-10-16 Allergan, Inc. Porous materials, methods of making and uses
JP2013528067A (ja) * 2010-05-11 2013-07-08 アラーガン、インコーポレイテッド ポロゲン材料、製造方法、および使用
US11202853B2 (en) 2010-05-11 2021-12-21 Allergan, Inc. Porogen compositions, methods of making and uses
BR112012029896A2 (pt) 2010-05-25 2017-06-20 Jenavalve Tech Inc válcula cardíaca protética para endoprótese e endoprótese
US8979926B2 (en) * 2010-06-08 2015-03-17 Smith & Nephew, Inc. Implant components
US20120143228A1 (en) * 2010-08-30 2012-06-07 Agency For Science Technology And Research Adhesive structure with stiff protrusions on adhesive surface
US9492952B2 (en) 2010-08-30 2016-11-15 Endo-Surgery, Inc. Super-hydrophilic structures
US20120058698A1 (en) * 2010-09-03 2012-03-08 Agy Holding Corp. Sizing composition, glass strand, and fabric
SE535629C2 (sv) * 2010-10-28 2012-10-23 Novus Scient Pte Ltd Elastiskt deformerbart och resorberbart medicinskt nätimplantat
US8679279B2 (en) 2010-11-16 2014-03-25 Allergan, Inc. Methods for creating foam-like texture
US20120143347A1 (en) * 2010-12-03 2012-06-07 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Elastomeric, Polymeric Bone Engineering and Regeneration Compositions and Methods of Making
WO2012097381A1 (en) * 2011-01-14 2012-07-19 Biomerix Corporation At least partially resorbable reticulated elastomeric matrix elements and methods of making same
US9194058B2 (en) 2011-01-31 2015-11-24 Arsenal Medical, Inc. Electrospinning process for manufacture of multi-layered structures
US9034240B2 (en) 2011-01-31 2015-05-19 Arsenal Medical, Inc. Electrospinning process for fiber manufacture
US8968626B2 (en) 2011-01-31 2015-03-03 Arsenal Medical, Inc. Electrospinning process for manufacture of multi-layered structures
WO2012145431A2 (en) 2011-04-18 2012-10-26 Microvention, Inc. Embolic devices
US20130089576A1 (en) * 2011-10-04 2013-04-11 The Texas A&M University System Implantable embolic scaffolds that promote healing
US8993831B2 (en) 2011-11-01 2015-03-31 Arsenal Medical, Inc. Foam and delivery system for treatment of postpartum hemorrhage
EP2797607B1 (en) 2011-12-29 2018-11-07 Ethicon, Inc. Adhesive structure with tissue piercing protrusions on its surface
US8449904B1 (en) 2012-03-26 2013-05-28 Mosci, Corp. Bioactive glass scaffolds, and method of making
US11225430B2 (en) 2012-03-26 2022-01-18 Steven Jung Bioactive glass scaffolds, and method of making
US9045362B2 (en) 2013-03-15 2015-06-02 Mosci Corp. Bioactive glass scaffolds, and method of making
WO2013158781A1 (en) 2012-04-18 2013-10-24 Microvention, Inc. Embolic devices
AU2013359158B2 (en) 2012-12-13 2018-08-02 Allergan, Inc. Device and method for making a variable surface breast implant
WO2015028209A1 (en) 2013-08-30 2015-03-05 Jenavalve Technology Gmbh Radially collapsible frame for a prosthetic valve and method for manufacturing such a frame
CN103614785A (zh) * 2013-10-31 2014-03-05 安徽东锦化纤科技有限公司 再生涤纶制备工艺
CN103709360B (zh) * 2013-12-14 2016-03-02 常熟市永利化工有限公司 低熔点生物降解聚氨酯弹性体
WO2015100408A1 (en) * 2013-12-26 2015-07-02 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Fluid-driven bubble actuator arrays
US10124090B2 (en) 2014-04-03 2018-11-13 Terumo Corporation Embolic devices
CN106456836B (zh) 2014-04-29 2019-12-06 微仙美国有限公司 包含活性剂的聚合物
US10092663B2 (en) 2014-04-29 2018-10-09 Terumo Corporation Polymers
JP2017514902A (ja) * 2014-04-30 2017-06-08 ファンダション・ペドロ・バーリー・デ・ラ・マザ・コンデ・デ・フェノーサFundacion Pedro Barrie De La Maza, Conde De Fenosa 薬剤、産物および使用
AU2015258842B2 (en) 2014-05-16 2020-01-02 Allergan, Inc. Soft filled prosthesis shell with variable texture
US10092392B2 (en) 2014-05-16 2018-10-09 Allergan, Inc. Textured breast implant and methods of making same
JPWO2016068292A1 (ja) * 2014-10-31 2017-08-17 富士フイルム株式会社 管状構造物、管状構造物を製造するための装置、及び管状構造物の製造方法
US10912701B2 (en) 2015-01-07 2021-02-09 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Fluid-driven actuators and related methods
RU2604844C2 (ru) * 2015-02-24 2016-12-10 Российская Федерация, от имени которой выступает Государственная корпорация по атомной энергии "Росатом" - Госкорпорация "Росатом" Способ изготовления полимерного открытопористого материала
US10709555B2 (en) 2015-05-01 2020-07-14 Jenavalve Technology, Inc. Device and method with reduced pacemaker rate in heart valve replacement
WO2016200956A1 (en) * 2015-06-08 2016-12-15 Maguire Francis P Process for the preparation of polyurethane solutions based on silicon-polycarbonate diols
US10647037B2 (en) 2015-08-10 2020-05-12 Lawrence Livermore National Security, Llc Mechanical reticulation of polymeric-based closed cell foams
CN109475419B (zh) 2016-05-13 2021-11-09 耶拿阀门科技股份有限公司 用于通过引导鞘和装载系统来递送心脏瓣膜假体的心脏瓣膜假体递送系统和方法
WO2018098463A1 (en) 2016-11-28 2018-05-31 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Dual-layer insole apparatuses for diabetic foot lesion prevention and related methods
WO2018102684A1 (en) 2016-12-01 2018-06-07 The Board Of Regent Of The University Of Texas System Variable stiffness apparatuses using an interconnected dual layer fluid-filled cell array
CN110392557A (zh) 2017-01-27 2019-10-29 耶拿阀门科技股份有限公司 心脏瓣膜模拟
WO2018195444A1 (en) 2017-04-20 2018-10-25 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Pressure modulating soft actuator array devices and related systems and methods
EP4338689A2 (en) 2017-12-21 2024-03-20 The Texas A&M University System Vascular prosthesis for leak prevention during endovascular aneurysm repair
CN111479596B (zh) 2018-01-17 2023-04-07 心脏起搏器股份公司 封端聚异丁烯聚氨酯
US11926091B2 (en) 2018-03-27 2024-03-12 UNITED STATES OF AMERICA has certain rights in the invention from DOE Grant No. DE-SC0008581 In situ partially degradable separation interface for fabrication of complex near net shape objects by pressure assisted sintering
EP3756850A1 (en) * 2019-06-24 2020-12-30 Mölnlycke Health Care AB High throughput manufacture of polyurethane foam layers
CN114450084A (zh) 2019-09-23 2022-05-06 博滤克斯公司 烧结多孔弹性体材料及其应用
WO2023195039A1 (ja) * 2022-04-04 2023-10-12 テルモ株式会社 医療用留置物
CN115651391A (zh) * 2022-11-07 2023-01-31 西安交通大学 一种非离子水性聚氨酯/壳聚糖半互穿网络弹性体及制备方法

Family Cites Families (103)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1896071A (en) * 1931-04-24 1933-02-07 George A Clark Pessary
US2546754A (en) * 1947-11-19 1951-03-27 Jones John Leslie Vaginal applicator
US3789841A (en) * 1971-09-15 1974-02-05 Becton Dickinson Co Disposable guide wire
US3946106A (en) * 1974-10-24 1976-03-23 G. D. Searle & Co. Microsealed pharmaceutical delivery device
US4315844A (en) * 1980-07-08 1982-02-16 J. M. Huber Corporation Organic elastomers containing kaolin clay modified with isocyanate coupling agents and mercaptoethanol
US4643184A (en) * 1982-09-29 1987-02-17 Mobin Uddin Kazi Embolus trap
US4503569A (en) * 1983-03-03 1985-03-12 Dotter Charles T Transluminally placed expandable graft prosthesis
GB8428109D0 (en) * 1984-11-07 1984-12-12 Biocompatibles Ltd Biocompatible surfaces
AU617667B2 (en) * 1986-11-04 1991-12-05 Allergan, Inc. Open-cell, silicone-elastomer medical implant and method for making
US5002556A (en) * 1986-11-29 1991-03-26 Terumo Kabushiki Kaisha Balloon catheter assembly
EP0299068B1 (en) * 1987-01-22 1993-11-03 Kuraray Co., Ltd. Process for producing polyurethane
US4890612A (en) * 1987-02-17 1990-01-02 Kensey Nash Corporation Device for sealing percutaneous puncture in a vessel
US4813934A (en) * 1987-08-07 1989-03-21 Target Therapeutics Valved catheter device and method
DK163713C (da) * 1987-09-02 1992-09-07 Ole Gyring Nieben Anordning til anbringelse af et partielt kateter i et legemshulrum
US5092877A (en) * 1988-09-01 1992-03-03 Corvita Corporation Radially expandable endoprosthesis
US4994069A (en) * 1988-11-02 1991-02-19 Target Therapeutics Vaso-occlusion coil and method
US4985467A (en) * 1989-04-12 1991-01-15 Scotfoam Corporation Highly absorbent polyurethane foam
US5934284A (en) * 1989-08-18 1999-08-10 Endovascular Instruments, Inc Method for increasing blood flow in vessels
US6083220A (en) * 1990-03-13 2000-07-04 The Regents Of The University Of California Endovascular electrolytically detachable wire and tip for the formation of thrombus in arteries, veins, aneurysms, vascular malformations and arteriovenous fistulas
US5098440A (en) * 1990-08-14 1992-03-24 Cordis Corporation Object retrieval method and apparatus
US5350397A (en) * 1992-11-13 1994-09-27 Target Therapeutics, Inc. Axially detachable embolic coil assembly
US5382259A (en) * 1992-10-26 1995-01-17 Target Therapeutics, Inc. Vasoocclusion coil with attached tubular woven or braided fibrous covering
US5690666A (en) * 1992-11-18 1997-11-25 Target Therapeutics, Inc. Ultrasoft embolism coils and process for using them
US5380334A (en) * 1993-02-17 1995-01-10 Smith & Nephew Dyonics, Inc. Soft tissue anchors and systems for implantation
DE69426414T2 (de) * 1993-09-24 2001-05-03 Takiron Co Implantatmaterial
US5487385A (en) * 1993-12-03 1996-01-30 Avitall; Boaz Atrial mapping and ablation catheter system
US5709934A (en) * 1994-11-22 1998-01-20 Tissue Engineering, Inc. Bipolymer foams having extracellular matrix particulates
US5814062A (en) * 1994-12-22 1998-09-29 Target Therapeutics, Inc. Implant delivery assembly with expandable coupling/decoupling mechanism
US6143007A (en) * 1995-04-28 2000-11-07 Target Therapeutics, Inc. Method for making an occlusive device
US5820917A (en) * 1995-06-07 1998-10-13 Medtronic, Inc. Blood-contacting medical device and method
US6019757A (en) * 1995-07-07 2000-02-01 Target Therapeutics, Inc. Endoluminal electro-occlusion detection apparatus and method
US5601600A (en) * 1995-09-08 1997-02-11 Conceptus, Inc. Endoluminal coil delivery system having a mechanical release mechanism
US5716413A (en) * 1995-10-11 1998-02-10 Osteobiologics, Inc. Moldable, hand-shapable biodegradable implant material
US5882334A (en) * 1995-12-04 1999-03-16 Target Therapeutics, Inc. Balloon/delivery catheter assembly with adjustable balloon positioning
US5749894A (en) * 1996-01-18 1998-05-12 Target Therapeutics, Inc. Aneurysm closure method
US6168622B1 (en) * 1996-01-24 2001-01-02 Microvena Corporation Method and apparatus for occluding aneurysms
US5702361A (en) * 1996-01-31 1997-12-30 Micro Therapeutics, Inc. Method for embolizing blood vessels
US5894843A (en) * 1996-02-20 1999-04-20 Cardiothoracic Systems, Inc. Surgical method for stabilizing the beating heart during coronary artery bypass graft surgery
US5871496A (en) * 1996-03-20 1999-02-16 Cardiothoracic Systems, Inc. Surgical instrument for facilitating the detachment of an artery and the like
US6171298B1 (en) * 1996-05-03 2001-01-09 Situs Corporation Intravesical infuser
US5980514A (en) * 1996-07-26 1999-11-09 Target Therapeutics, Inc. Aneurysm closure device assembly
US6054142A (en) * 1996-08-01 2000-04-25 Cyto Therapeutics, Inc. Biocompatible devices with foam scaffolds
US5906234A (en) * 1996-10-22 1999-05-25 Johnson & Johnson Professional, Inc. Investment casting
US6984240B1 (en) * 1996-10-25 2006-01-10 Target Therapeutics, Inc. Detachable multidiameter vasoocclusive coil
TW528600B (en) * 1996-11-20 2003-04-21 Yasuhiko Shimizu Artificial neural canal
US6019771A (en) * 1996-12-02 2000-02-01 Cardiothoracic Systems, Inc. Devices and methods for minimally invasive harvesting of a vessel especially the saphenous vein for coronary bypass grafting
US6190311B1 (en) * 1997-05-02 2001-02-20 Cardiothoracic Systems, Inc. Retractor and instrument platform for a less invasive cardiovascular surgical procedure
US5928260A (en) * 1997-07-10 1999-07-27 Scimed Life Systems, Inc. Removable occlusion system for aneurysm neck
JP4127960B2 (ja) * 1997-08-05 2008-07-30 ボストン サイエンティフィック リミテッド 着脱可能な動脈瘤頸部ブリッジ
US5863627A (en) * 1997-08-26 1999-01-26 Cardiotech International, Inc. Hydrolytically-and proteolytically-stable polycarbonate polyurethane silicone copolymers
US5984929A (en) * 1997-08-29 1999-11-16 Target Therapeutics, Inc. Fast detaching electronically isolated implant
AU729736B2 (en) * 1997-11-07 2001-02-08 Salviac Limited Biostable polycarbonate urethane products
SE511312C2 (sv) * 1997-12-22 1999-09-06 Sandvik Ab Sätt att tillverka whiskerförstärkt keramik s
US6011995A (en) * 1997-12-29 2000-01-04 The Regents Of The University Of California Endovascular device for hyperthermia and angioplasty and method for using the same
US6015422A (en) * 1998-02-18 2000-01-18 Montefiore Hospital And Medical Center Collapsible low-profile vascular graft implantation instrument and method for use thereof
US6183491B1 (en) * 1998-03-10 2001-02-06 Cordis Corporation Embolic coil deployment system with improved embolic coil
US6379374B1 (en) * 1998-10-22 2002-04-30 Cordis Neurovascular, Inc. Small diameter embolic coil hydraulic deployment system
US6183461B1 (en) * 1998-03-11 2001-02-06 Situs Corporation Method for delivering a medication
IE980241A1 (en) * 1998-04-02 1999-10-20 Salviac Ltd Delivery catheter with split sheath
US6190357B1 (en) * 1998-04-21 2001-02-20 Cardiothoracic Systems, Inc. Expandable cannula for performing cardiopulmonary bypass and method for using same
US6679915B1 (en) * 1998-04-23 2004-01-20 Sdgi Holdings, Inc. Articulating spinal implant
US6015424A (en) * 1998-04-28 2000-01-18 Microvention, Inc. Apparatus and method for vascular embolization
US6168615B1 (en) * 1998-05-04 2001-01-02 Micrus Corporation Method and apparatus for occlusion and reinforcement of aneurysms
US6277126B1 (en) * 1998-10-05 2001-08-21 Cordis Neurovascular Inc. Heated vascular occlusion coil development system
US6540780B1 (en) * 1998-11-23 2003-04-01 Medtronic, Inc. Porous synthetic vascular grafts with oriented ingrowth channels
US6102932A (en) * 1998-12-15 2000-08-15 Micrus Corporation Intravascular device push wire delivery system
US6183518B1 (en) * 1999-02-22 2001-02-06 Anthony C. Ross Method of replacing nucleus pulposus and repairing the intervertebral disk
US6368338B1 (en) * 1999-03-05 2002-04-09 Board Of Regents, The University Of Texas Occlusion method and apparatus
AU3844599A (en) * 1999-05-07 2000-11-21 Salviac Limited Biostable polyether polyurethane product
AU4606700A (en) * 1999-05-07 2000-11-21 Salviac Limited A tissue engineering scaffold
US6306424B1 (en) * 1999-06-30 2001-10-23 Ethicon, Inc. Foam composite for the repair or regeneration of tissue
US6883520B2 (en) * 1999-08-18 2005-04-26 Intrinsic Therapeutics, Inc. Methods and apparatus for dynamically stable spinal implant
US6617014B1 (en) * 1999-09-01 2003-09-09 Hydrophilix, Llc Foam composite
US6383171B1 (en) * 1999-10-12 2002-05-07 Allan Will Methods and devices for protecting a passageway in a body when advancing devices through the passageway
US6592625B2 (en) * 1999-10-20 2003-07-15 Anulex Technologies, Inc. Spinal disc annulus reconstruction method and spinal disc annulus stent
DE10010840A1 (de) * 1999-10-30 2001-09-20 Dendron Gmbh Vorrichtung zur Implantation von Occlusionswendeln
US6346117B1 (en) * 2000-03-02 2002-02-12 Prodesco, Inc. Bag for use in the intravascular treatment of saccular aneurysms
US6689125B1 (en) * 2000-04-04 2004-02-10 Spinalabs, Llc Devices and methods for the treatment of spinal disorders
US6673285B2 (en) * 2000-05-12 2004-01-06 The Regents Of The University Of Michigan Reverse fabrication of porous materials
US6514264B1 (en) * 2000-06-01 2003-02-04 Cordis Neurovascular, Inc. Embolic coil hydraulic deployment system with purge mechanism
US7766921B2 (en) * 2000-06-29 2010-08-03 Concentric Medical, Inc. Systems, methods and devices for removing obstructions from a blood vessel
US6663650B2 (en) * 2000-06-29 2003-12-16 Concentric Medical, Inc. Systems, methods and devices for removing obstructions from a blood vessel
US6638312B2 (en) * 2000-08-04 2003-10-28 Depuy Orthopaedics, Inc. Reinforced small intestinal submucosa (SIS)
AU2002211602A1 (en) * 2000-10-11 2002-04-22 Johns Hopkins University Polymer controlled delivery of a therapeutic agent
US6689141B2 (en) * 2000-10-18 2004-02-10 Microvention, Inc. Mechanism for the deployment of endovascular implants
JP4130126B2 (ja) * 2000-10-27 2008-08-06 ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド 線維輪の修復システムおよび方法
US6545097B2 (en) * 2000-12-12 2003-04-08 Scimed Life Systems, Inc. Drug delivery compositions and medical devices containing block copolymer
US6852330B2 (en) * 2000-12-21 2005-02-08 Depuy Mitek, Inc. Reinforced foam implants with enhanced integrity for soft tissue repair and regeneration
JP2002322232A (ja) * 2001-04-24 2002-11-08 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 硬質ポリウレタンフォーム用組成物、及びこれを用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法
US6692510B2 (en) * 2001-06-14 2004-02-17 Cordis Neurovascular, Inc. Aneurysm embolization device and deployment system
US20030014075A1 (en) * 2001-07-16 2003-01-16 Microvention, Inc. Methods, materials and apparatus for deterring or preventing endoleaks following endovascular graft implanation
WO2004032791A2 (en) * 2002-09-20 2004-04-22 Flowmedica, Inc. Method and apparatus for selective material delivery via an intra-renal catheter
AU2003278858A1 (en) * 2002-09-20 2004-04-08 Flowmedica, Inc. Method and apparatus for selective drug infusion via an intraaortic flow diverter delivery catheter
US20060015182A1 (en) * 2003-02-25 2006-01-19 Tsou Paul M Patch material for intervertebral disc annulus defect repair
ES2660627T3 (es) * 2003-05-15 2018-03-23 Biomerix Corporation Matrices elastoméricas reticuladas, su fabricación y su utilización en dispositivos implantables
US6997929B2 (en) * 2003-05-16 2006-02-14 Spine Wave, Inc. Tissue distraction device
US20050021023A1 (en) * 2003-07-23 2005-01-27 Scimed Life Systems, Inc. System and method for electrically determining position and detachment of an implantable device
US7918872B2 (en) * 2004-07-30 2011-04-05 Codman & Shurtleff, Inc. Embolic device delivery system with retractable partially coiled-fiber release
US20060025801A1 (en) * 2004-07-30 2006-02-02 Robert Lulo Embolic device deployment system with filament release
US20060025802A1 (en) * 2004-07-30 2006-02-02 Sowers William W Embolic coil delivery system with U-shaped fiber release mechanism
US7476249B2 (en) * 2004-08-06 2009-01-13 Frank Robert E Implantable prosthesis for positioning and supporting a breast implant
US7708754B2 (en) * 2005-06-02 2010-05-04 Codman & Shurtleff, Pc Stretch resistant embolic coil delivery system with mechanical release mechanism
JP5179089B2 (ja) * 2006-07-28 2013-04-10 テルモ株式会社 医療用長尺体

Also Published As

Publication number Publication date
HK1089646A1 (en) 2006-12-08
JP2006512171A (ja) 2006-04-13
US20050043585A1 (en) 2005-02-24
BR0317913A (pt) 2005-11-29
EP1589899A4 (en) 2010-11-17
AU2010202585A1 (en) 2010-07-15
CN1756515B (zh) 2012-04-18
JP2012130761A (ja) 2012-07-12
US20100249913A1 (en) 2010-09-30
CN1756515A (zh) 2006-04-05
AU2003300465A1 (en) 2004-08-10
CA2512072A1 (en) 2004-07-29
WO2004062531A1 (en) 2004-07-29
EP1589899A1 (en) 2005-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5111731B2 (ja) 網状エラストマーマトリックス、その製造および埋込み可能な装置での使用
JP2009530042A (ja) 動脈瘤閉塞用自己拡張型血管内デバイス
US7803395B2 (en) Reticulated elastomeric matrices, their manufacture and use in implantable devices
US9050176B2 (en) At least partially resorbable reticulated elastomeric matrix elements and methods of making same
US8801801B2 (en) At least partially resorbable reticulated elastomeric matrix elements and methods of making same
US20100318108A1 (en) Composite mesh devices and methods for soft tissue repair
JP2009540923A (ja) 高性能網状エラストマーマトリックスの調製、特質、強化、並びに外科的装置、組織増大及び/又は組織修復における使用
US11896488B2 (en) Reinforced bone scaffold

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061228

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100705

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20101005

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20101013

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110905

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120910

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121010

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151019

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5111731

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees