JP5111614B2 - 周波数可変増幅器 - Google Patents
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Description
周波数や変調方式をはじめとして、無線通信方式が多様化しており、今日、数多くの無線通信方式が混在している。
複数の無線通信方式に対応するには、各周波数や変調方式毎にハードウェアが必要となるため、無線機が大型化する傾向にある。
そのため、ソフトウェアによって周波数や変調方式を変更することで、複数の無線通信方式に対応することが可能なソフトウエア無線機が望まれている。
ソフトウエア無線機では、各周波数や変調方式毎にハードウェアを用意する必要がないため、無線機の小型化を図ることができる。
このような電力増幅器を単一の増幅器で実現しようとする場合において、高効率特性・高出力特性・広帯域特性を得るための手法として、周波数毎に電力増幅器の整合回路を切り替える手法などが提案されている。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による周波数可変増幅器を示す構成図である。
図1において、入力端子1は増幅対象の信号を入力する端子である。
方向性結合器2は入力端子1から入力された信号(以下、「入力信号」と称する)を方向性結合器3とパワーメータ16に分配する分配器である。
方向性結合器3は方向性結合器2により分配された入力信号を主増幅器系4と注入増幅器系9に分配する分配器である。
なお、方向性結合器3は信号分配手段を構成している。
主増幅器系4のアイソレーション抵抗5は一端が接地され、他端が3dB方向性結合器6の入力側と接続されている抵抗である。
3dB方向性結合器6は入力側がアイソレーション抵抗5及び方向性結合器3と接続されており、方向性結合器3により分配された入力信号を単位増幅器7a,7bに分配する分配器である。
3dB方向性結合器8は入力側が単位増幅器7a,7bと接続され、かつ、出力側が方向性結合器13,15を介して出力端子14及び注入増幅器系9と接続されており、注入増幅器系9の出力信号の注入を受けながら、単位増幅器7a,7bによる増幅後の信号を出力端子14に出力する分配器である。
注入増幅器系9の移相器10は外部から与えられる設定値にしたがって入力信号の位相を調整する移相手段である。
減衰器11は外部から与えられる設定値にしたがって入力信号の振幅を調整する減衰手段である。
注入増幅器12は減衰器11による振幅調整後の信号を増幅して、増幅後の信号を注入増幅器系9の出力側に注入する。
出力端子14は方向性結合器13により分配された信号を出力する端子である。
方向性結合器15は注入増幅器系9の出力信号を主増幅器系4の出力側とパワーメータ18に分配する分配器である。
パワーメータ16は入力信号の電力を測定して、その入力信号の電力を表示する表示機器である。
パワーメータ17は主増幅器系4の出力信号の電力を測定して、その出力信号の電力を表示する第1の表示機器である。
パワーメータ18は注入増幅器系9の出力信号の電力を測定して、その出力信号の電力を表示する第2の表示機器である。
図2は図1の周波数可変増幅器の動作に関する模式図である。
方向性結合器2は、入力端子1から信号が入力されると、その入力信号を方向性結合器3とパワーメータ16に分配する。
方向性結合器3は、方向性結合器2から分配された入力信号を受けると、その入力信号を主増幅器系4と注入増幅器系9に分配する。
即ち、主増幅器系4の3dB方向性結合器6は、方向性結合器3から分配された入力信号を受けると、その入力信号を単位増幅器7a,7bに分配する。
主増幅器系4の単位増幅器7a,7bは、3dB方向性結合器6から分配された入力信号を受けると、その入力信号を増幅して、増幅後の信号を3dB方向性結合器8に出力する。
主増幅器系4の3dB方向性結合器8は、単位増幅器7a,7bから増幅後の信号を受けると、その増幅後の信号を出力端子14に出力する。
主増幅器系4の出力端において、注入増幅器系9の出力信号が注入されない場合の主増幅器系4の出力側から負荷側を見込んだ反射係数Γは、下記の式(1)のように定義される。
ただし、Vrは負荷側から主増幅器系4の出力側に向かう信号の電圧振幅、θrは負荷側から主増幅器系4の出力側に向かう信号の位相を表している。
また、Viは主増幅器系4の出力側から負荷側に向かう信号の電圧振幅、θiは主増幅器系4の出力側から負荷側に向かう信号の位相を表している。
反射係数Γは、式(1)に示すように、負荷側から主増幅器系4の出力側に向かう信号と、主増幅器系4の出力側から負荷側に向かう信号との電圧振幅・位相比で表されるので、負荷側から主増幅器系4の出力側に向かう信号の電圧振幅及び位相が変われば、反射係数Γが変化することが分かる。
負荷側から主増幅器系4の出力側に向かう信号は、注入増幅器系9から注入される信号と、主増幅器系4の出力インピーダンスと負荷インピーダンスの不一致により発生した反射波の和で表されるので、主増幅器系4の出力信号注入時の反射係数Γは、下記の式(2)のように定義される。
主増幅器系4が整合されている状態では、注入増幅器系9から注入される信号の電力を除いた主増幅器系4の出力が最大となるので、主増幅器系4の出力が最大となるように、注入増幅器系9の移相器10及び減衰器11を設定すればよいことが分かる。
また、注入増幅器系9から主増幅器系4に注入される信号の電力は、パワーメータ18により測定されて表示される。
注入増幅器系9から注入される信号の電力を除いた主増幅器系4の出力は、パワーメータ17により表示されている電力と、パワーメータ18により表示されている電力との差で求めることができる。
以上より、パワーメータ17により表示されている電力と、パワーメータ18により表示されている電力との差が最大となるように、注入増幅器系9の移相器10及び減衰器11を設定すれば、任意の周波数で主増幅器系4の整合を取ることができることが分かる。
図3は主増幅器系4の入出力反射特性の計算結果を示す説明図である。図3中の曲線は入力反射特性の計算結果であり、右上がりの略直線は出力反射特性の計算結果である。
主増幅器系4の出力側の反射特性は、0GHz〜8GHzにおいて、概ね“−3dB”が得られている。この増幅器を用いて周波数可変増幅器を構成する。
図4は、5.4GHzにおいて、主増幅器系4の出力が最大となるように、注入増幅器系9の移相器10及び減衰器11を設定した場合の周波数可変増幅器の主増幅器系端での出力反射特性の計算結果を示す説明図である。図4中の曲線は周波数可変増幅器の主増幅器系端での反射特性の計算結果であり、右上がりの略直線は主増幅器系の出力反射特性の計算結果である。
図4から明らかなように、5.4GHzにおいて、主増幅器系4の出力側の反射係数と同じ反射係数が得られていることが確認できる。
図5は注入増幅器系9から注入される信号の電力を除いた主増幅器系4の出力電力の周波数依存性の計算結果を示す説明図である。
図5から明らかなように、5.4GHz近傍において、最大出力電力が得られていることが分かる。
図6は周波数可変増幅器の主増幅器系端での出力反射特性の計算結果を示す説明図である。図6中の曲線は周波数可変増幅器の主増幅器系端での反射特性の計算結果であり、右上がりの略直線は主増幅器系の出力反射特性の計算結果である。
図6から明らかなように、4.5GHzにおいて、主増幅器系4の出力側の反射係数と同じ反射係数が得られていることが確認できる。
図7は注入増幅器系9から注入される信号の電力を除いた主増幅器系4の出力電力の周波数依存性の計算結果を示す説明図である。
図7から明らかなように、4.5GHz近傍において、最大出力電力が得られていることが分かる。
以上より、図1の周波数可変増幅器が任意の周波数で整合が取れることが、計算上で確認される。
主増幅器系4の単位増幅器7a,7bには、帯域6GHz〜18GHz、出力インピーダンス50Ωにおいて、約20dBmの飽和出力電力が得られるMMIC増幅器を用いている。
MMIC増幅器の出力側の反射係数は、6GHz近傍で、−3dB程度であり、18GHz近傍では、−20dB程度である。
図8は注入増幅器系9から注入される信号の電力を除いた主増幅器系4の出力電力の測定結果を示す説明図である。
注入増幅器系9の出力信号を主増幅器系4の出力側に注入し、主増幅器系4の出力反射係数を変化させることで、6GHz近傍での出力電力が大きく改善されていることが確認できる。
一方、18GHz近傍では、ほとんど出力が変化していないことが確認できる。
これは、6GHzは、主増幅器系4の出力反射特性が悪く、整合が取れていない一方、18GHzでは、出力反射特性が良好で整合が取れているためであると考えられる。
以上より、図1の周波数可変増幅器が任意の周波数で整合が取れることが、計算・実測上で確認される。
また、従来例のように、スイッチを使用しないため、整合回路損失が小さい利点を有する。
さらに、注入増幅器系9から主増幅器系4に注入する信号の電力は、主増幅器系4の出力端で反射されて、周波数可変増幅器の出力端に導かれるため、出力整合回路での損失が発生しない利点を有する。
この他にも、スイッチを使用しないため、耐久性の問題がない利点や、周波数の切り替え時間が短いなどの利点がある。
即ち、別々の信号源から同一の信号を主増幅器系4及び注入増幅器系9に供給するようにしてもよい。
上記実施の形態1では、注入増幅器系9が注入増幅器12を実装しているものについて示したが、注入増幅器系9が減衰器11及び注入増幅器12の代わりに、利得可変増幅器を実装しているようにしてもよい。
これにより、注入増幅器系9の構成を簡略化することができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、注入増幅器系9が移相器10を実装し、移相器10が入力信号の位相を調整するものについて示したが、注入増幅器系9の注入増幅器12として、バイアス電圧の制御が可能な増幅器を使用し、その増幅器のバイアス電圧を制御することで、入力信号の通過位相を調整するようにしてもよい。
これにより、注入増幅器系9が移相器10を実装する必要がなくなるため、注入増幅器系9の構成を簡略化することができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、方向性結合器3が入力信号を主増幅器系4及び注入増幅器系9に分配するものについて示したが、方向性結合器3が入力信号を分配する際、主増幅器系4及び注入増幅器系9に対する入力信号の分配比を調整するようにしてもよい。
この場合、注入増幅器系9が移相器10及び減衰器11を実装していなくても、損失の増加を招くことなく、任意の周波数で整合を取ることができる。
そのため、注入増幅器系9の構成を簡略化することができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、方向性結合器3が入力信号を主増幅器系4及び注入増幅器系9に分配するものについて示したが、方向性結合器3が入力信号を分配する際、主増幅器系4及び注入増幅器系9に分配する入力信号の位相を調整するようにしてもよい。
この場合、注入増幅器系9が移相器10及び減衰器11を実装していなくても、損失の増加を招くことなく、任意の周波数で整合を取ることができる。
そのため、注入増幅器系9の構成を簡略化することができる効果を奏する。
図9はこの発明の実施の形態6による周波数可変増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
サーキュレータ19は主増幅器系4の出力側に接続されており、サーキュレータ19のアイソレーションポートには、注入増幅器系9の出力側が接続されている。
また、主増幅器系4の出力側にサーキュレータ19が接続されるため、主増幅器系4の反射特性が外部の影響を受け難くなり、注入増幅器系9における振幅や位相の設定値の誤差を小さくすることができる。
上記実施の形態1では、主増幅器系4及び注入増幅器系9に遅延回路が実装されていないものを示したが、主増幅器系4及び注入増幅器系9の遅延時間を一致させる遅延回路(例えば、遅延線路や遅延フィルタなどから構成される遅延回路)を、主増幅器系4又は注入増幅器系9の少なくとも一方に実装するようにしてもよい。
このように、主増幅器系4及び注入増幅器系9の遅延時間を一致させることで、周波数可変増幅器の広帯域化を図ることができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、パワーメータ17により表示されている電力と、パワーメータ18により表示されている電力との差が最大となるように、注入増幅器系9の移相器10及び減衰器11を設定することで、任意の周波数で主増幅器系4の整合を取るものについて示したが、単位増幅器7a(または単位増幅器7b)と3dB方向性結合器8の間に接続されているパワーメータ(図示せず)であって、そのパワーメータが、単位増幅器7a(または単位増幅器7b)の出力信号の電力を測定して、その電力を表示するものであれば、そのパワーメータにより表示されている電力と、パワーメータ18により表示されている電力との差が最大となるように、注入増幅器系9の移相器10及び減衰器11を設定することで、任意の周波数で主増幅器系4の整合を取るようにしてもよい。
Claims (6)
- 入力信号を分配する信号分配手段と、上記信号分配手段により分配された一方の入力信号を増幅して増幅後の信号を出力する主増幅手段と、外部から与えられる設定値にしたがって、上記信号分配手段により分配された他方の入力信号の振幅又は位相の少なくとも一方を調整するとともに、上記入力信号を増幅して増幅後の信号を上記主増幅手段の出力側に注入する注入増幅手段とを備え、
上記注入増幅手段は、外部から与えられる設定値にしたがって入力信号の振幅を調整する減衰器、または、外部から与えられる設定値にしたがって上記入力信号の位相を調整する移相器、または、入力信号の利得の調整が可能な利得可変増幅器、または、バイアス電圧が制御されることで上記入力信号の通過位相が調整可能な増幅器の少なくとも1つを用いて構成され、
上記主増幅手段と上記注入増幅手段の遅延時間を一致させる遅延回路が、上記主増幅手段又は上記注入増幅手段の少なくとも一方に実装されていることを特徴とする周波数可変増幅器。 - 入力信号を増幅して増幅後の信号を出力する主増幅手段と、外部から与えられる設定値にしたがって、上記入力信号と同期が取られている上記入力信号と同一の信号を入力して、上記同一の信号である入力信号の振幅又は位相の少なくとも一方を調整するとともに、上記入力信号を増幅して増幅後の信号を上記主増幅手段の出力側に注入する注入増幅手段とを備え、
上記注入増幅手段は、外部から与えられる設定値にしたがって入力信号の振幅を調整する減衰器、または、外部から与えられる設定値にしたがって上記入力信号の位相を調整する移相器、または、入力信号の利得の調整が可能な利得可変増幅器、または、バイアス電圧が制御されることで上記入力信号の通過位相が調整可能な増幅器の少なくとも1つを用いて構成され、
上記主増幅手段と上記注入増幅手段の遅延時間を一致させる遅延回路が、上記主増幅手段又は上記注入増幅手段の少なくとも一方に実装されていることを特徴とする周波数可変増幅器。 - 信号分配手段は、主増幅手段及び注入増幅手段に対する入力信号の分配比、または、主増幅手段及び注入増幅手段に分配する入力信号の位相を調整することを特徴とする請求項1記載の周波数可変増幅器。
- 主増幅手段は、出力側のアイソレーションポートから注入増幅手段の出力信号が注入されるバランス型増幅器を用いて構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の周波数可変増幅器。
- 主増幅手段の出力側にサーキュレータが接続されており、注入増幅手段の出力側が上記サーキュレータのアイソレーションポートと接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の周波数可変増幅器。
- 主増幅手段の出力信号の電力を測定して、上記電力を表示する第1の表示機器と、注入増幅手段から上記主増幅手段の出力側に注入される信号の電力を測定して、上記電力を表示する第2の表示機器とを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の周波数可変増幅器。
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