JP4211128B2 - 多チャネル高周波信号供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミリ波帯やマイクロ波帯の高周波信号を利用する各種装置、特に送受信器等に用いられる多チャネル高周波信号供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高周波信号の伝送線路にて使用する高周波スイッチとして、例えば、特開平2−63201号公報や特開平5−55804号公報に開示されているように、トランジスタにて構成された増幅器(以下、スイッチ増幅器という)を利用したものが知られている。
【0003】
このようなスイッチ増幅器は、近年では、例えば、車載用レーダ装置の送受信器等への応用、即ち、送信ビームが互いに異なる領域を指向するよう配置された複数の送信アンテナの何れかに送信信号を供給する多チャネルの高周波信号供給装置や、受信器の構成を簡略化するため複数の受信アンテナにてミキサを共有し、いずれかの受信アンテナからの受信信号のみをミキサに供給するセレクタ等に用いることが考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の多チャネルの高周波信号供給装置にて複数の送信アンテナに送信信号を供給する場合、送信信号の生成源としては、ガンダイオード等を用いた高出力の発振器が用いられるが、このような発振器で生成された電力の大きい送信信号が、上述のスイッチ増幅器に入力された場合、スイッチ増幅器のスイッチング性能が劣化してしまうという問題があった。
【0005】
即ち、スイッチ増幅器のスイッチング性能は、導通時と遮断時とで出力に現れる信号強度の差(オン・オフ比)にて評価され、特に遮断時の信号強度は、トランジスタのオフ時の信号透過率に基づいて決まり、その信号透過率は入力電力の大きさに関わらず一定である。従って、スイッチ増幅器の入力に対して出力が線形的に変化する領域では、入力電力の増大に応じて、導通時及び遮断時の信号強度は同じ割合で増加するため、一定のオン・オフ比が得られるが、スイッチ増幅器の出力が飽和する領域では、入力電力の大きさに関わらず導通時の信号強度はほぼ一定となり、遮断時の信号強度のみ入力電力に応じて増加するため、入力電力が大きいほどオン・オフ比が劣化し、スイッチとしての性能が劣化してしまうのである。
【0006】
また、この種の装置は、小型化のためにMMIC化されることが多いが、MMICでは、使用可能な電力の範囲がより制限されることになるため、このような問題が発生しやすかった。
本発明は、上記問題点を解決するために、大出力の信号源を用いた場合でも、スイッチ性能の低下を確実に防止できる多チャネル高周波信号供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1記載の多チャネル高周波信号供給装置では、ガンダイオードを用いて構成された発振器が、高周波信号を生成し、この高周波信号を分岐回路が、複数設けられた出力ポートに到る分岐線路のそれぞれに供給する。そして、各分岐線路は、外部からの制御信号に応じて動作するスイッチング手段により導通,遮断され、導通した分岐線路の出力ポートを介して高周波信号の供給が行われる。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
そして、本発明では、スイッチング手段が、第2分岐回路,スイッチ増幅器,合成回路からなり、第2分岐回路が、分岐線路に供給された高周波信号を電力分配して、複数設けられた第2分岐線路のそれぞれに供給し、これら第2分岐線路のそれぞれに設けられたスイッチ増幅器が、第2分岐回路から第2分岐線路に供給される高周波信号を、制御信号に従って、反射,或いは増幅して通過させ、更に、合成手段が、第2分岐線路毎に設けられたスイッチ増幅器の出力を合成して、当該スイッチング手段の出力としている。
【0031】
つまり、本発明では、複数のスイッチ増幅器が、一つの出力ポートに供給される高周波信号の導通,遮断を並列に分担して行うことにより、各スイッチ増幅器が扱う電力が低減されることになる。このため、スイッチ増幅器の出力が飽和しない程度まで入力が小さくなるよう、発振器の出力に応じて分岐数を設定することにより、スイッチング手段でのオン・オフ比の劣化を確実に防止することができる。
【0032】
また、本発明では、スイッチ増幅器への入力を歪ませてしまうことがないため、各出力ポートを介して歪みのない高品質な高周波信号を供給することができる。
更に、本発明では、信号を強制的に飽和させたり減衰させたりしていないため、投入した電力が無駄になることがなく、電力の利用効率の優れた装置を構成できる。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
[第1実施例]
図1は、第1実施例の2チャネル高周波信号供給装置を用いて構成したミリ波帯のレーダ波を送信する送信器を表す構成図である。
【0038】
図1に示すように、本実施例の2チャネル高周波信号供給装置(以下、単に信号供給装置という)2は、ガンダイオードを利用してミリ波帯(本実施例では76GHz〜77GHz帯)の高周波信号を生成する高出力(本実施例では+15dBm〜+20dBm)の発振器4と、発振器4の出力を2等分に電力分配する分岐回路6とを備えている。
【0039】
また、信号供給装置2は、分岐回路6から、送信アンテナA(A1,A2)が接続される出力ポートP(P1,P2)に到る一対の分岐線路L(L1,L2)上に、分岐線路Lを導通,遮断するためのスイッチ増幅器8(8a,8b)と、スイッチ増幅器8に入力される高周波信号の上限電力を制限するためのリミット増幅器10(10a,10b)とがそれぞれ接続されている。
【0040】
以下、分岐線路L1,スイッチ増幅器8a,リミット増幅器10a,出力ポートP1をチャネルCH1、分岐線路L2,スイッチ増幅器8b,リミット増幅器10b,出力ポートP2をチャネルCH2と呼ぶ。
このうち、スイッチ増幅器8は、高電子移動度電界効果トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor )20を中心に構成され、HEMT20のソース端子は接地されている。また、スイッチ増幅器8は、一端がHEMT20のゲート端子に接続され、他端が当該スイッチ増幅器8の入力端子TISに接続された高周波線路21、及び一端が直流カット用のコンデンサ27を介して接地され、他端が入力端子TISに接続されたスタブ22からなる入力整合回路23と、一端がHEMT20のドレイン端子に接続され、他端が当該スイッチ増幅器8の出力端子TOSに接続された高周波線路24、及び一端が直流カット用のコンデンサ28を介して接地され、他端が出力端子TOSに接続されたスタブ25からなる出力整合回路26とを備えている。なお、スタブ25とコンデンサ28との間には、HEMT20をオンオフ制御する制御信号として、ドレインバイアス電圧を印加するための制御端子TCSが設けられている。
【0041】
一方、リミット増幅器10は、スイッチ増幅器8と同様の構成をしており、ソース端子が接地されたHEMT30と、一端がHEMT30のゲート端子に接続され、他端が当該リミット増幅器10の入力端子TILに接続された高周波線路31、及び一端が直流カット用のコンデンサ37を介して接地され、他端が入力端子TILに接続されたスタブ32からなる入力整合回路33と、一端がHEMT30のドレイン端子に接続され、他端が当該リミット増幅器10の出力端子TOLに接続された高周波線路34、及び一端が直流カット用のコンデンサ38を介して接地され、他端が出力端子TOLに接続されたスタブ35からなる出力整合回路36とを備えており、スタブ35とコンデンサ38との間には、HEMT30をオンオフ制御する制御信号として、ドレインバイアス電圧を印加するための制御端子TCLが設けられている。
【0042】
そして、各分岐線路L毎に、リミット増幅器10の出力端子TOLがスイッチ増幅器8の入力端子TISに接続されると共に、リミット増幅器10の入力端子TILに分岐回路6にて電力分配された高周波信号が印加されるよう接続され、スイッチ増幅器8の出力端子TOSが出力ポートPに接続されている。
【0043】
また、各増幅器8,10の入力整合回路23,33は、それぞれHEMT20,30の入力インピーダンスと整合するように設定されており、更に、リミット増幅器10の出力整合回路36は、スイッチ増幅器8の入力インピーダンスと整合し、スイッチ増幅器8の出力整合回路26は、出力ポートPに接続される送信アンテナAの入力インピーダンスと整合するように設定されている。
【0044】
なお、スイッチ増幅器8及びリミット増幅器10では、同一特性を有するHEMT20,30が用いられており、また、入力整合回路23,33も同一特性に設定されている。そして、両増幅器8,10の特性は、出力整合回路26,36を適宜設定することにより、リミット増幅器10の飽和出力電力Pmax が、スイッチ増幅器8の小信号利得が1dB低下する際の入力電力である利得圧縮電力P以下(P≧Pmax )となるように設定されている。
【0045】
このように構成された本実施例の信号供給装置2では、発振器4が生成した高周波信号を、分岐回路6が2等分に電力分配して、各チャネルCH1,CH2に供給する。すると、各チャネルCH1,CH2では、供給された高周波信号が入力端子TILを介してリミット増幅器10に入力される。
【0046】
そして、同一チャネルの両増幅器8,10の制御端子TCS,TCLに、いずれも制御信号(ドレインバイアス電圧)が印加されている場合、以下に説明するように、分岐線路Lは導通状態となる。
即ち、リミット増幅器10では、入力端子TILから入力された高周波信号は、入力整合回路33の整合作用により、反射することなくHEMT30に入力され、HEMT30にて増幅される。この時、HEMT30への入力電力が飽和領域に達していれば、その出力電力は、上限電力Pmax に制限される。そして、出力端子TOLを介してスイッチ増幅器8へ供給されるHEMT30の出力は、出力整合回路36の整合作用により、反射することなくスイッチ増幅器8に入力される。
【0047】
すると、スイッチ増幅器8では、リミット増幅器10と同様に、入力端子TISを介して入力された高周波信号は、入力整合回路23の整合作用により、反射することなくHEMT20に入力され、HEMT20にて増幅される。この時、HEMT20への入力電力は、リミット増幅器10によって上限電力Pmax 以下、即ち利得圧縮電力P以下に制限されているため、線形領域のみを用いて増幅が行われる。そして、出力端子TOSを介して出力ポートPに接続された送信アンテナAに供給されるHEMT20の出力は、出力整合回路26の整合作用により、反射することなく送信アンテナAに入力される。なお、リミット増幅器10により波形歪みが生じている場合には、この歪みにより生じた高調波成分は、狭帯域増幅器として構成されるスイッチ増幅器8のフィルタ作用により除去されるため、スイッチ増幅器8からは整形された出力が得られる。
【0048】
一方、同一チャネルの両増幅器8,10の制御端子TCS,TCLに、いずれもドレインバイアス電圧が印加されていない場合、入力端子TIL,TISを介して入力された高周波信号は、HEMT30,20にて反射されるため、分岐線路Lは遮断状態となる。
【0049】
従って、このような信号供給装置2を用いて構成した送信器では、各制御端子TCS,TCLへの制御信号の供給を制御する電圧供給装置DSを、同一チャネルに属する両増幅器8,10の制御端子TCS,TCL毎に、制御信号を同時に印加するように構成すればよい。
【0050】
以上説明したように、本実施例の信号供給装置2においては、分岐線路Lを導通遮断するスイッチ増幅器8の前段に、スイッチ増幅器8への入力電力を制限するリミット増幅器10が設けられており、スイッチ増幅器8が線形領域でのみ動作するようにされている。
【0051】
従って、本実施例の信号供給装置2によれば、分岐回路6を介して各チャネルCH1,CH2に供給される高周波信号の電力が大きくても、スイッチ増幅器8でのオン・オフ比が劣化してしまうことがなく、しかも、スイッチ増幅器8と同時に、リミット増幅器10をオンオフ動作させているので、オン・オフ比の大きい高性能なスイッチングを行うことができる。
【0052】
また、本実施例の信号供給装置2では、スイッチ増幅器8及びリミット増幅器10を、同一特性を有するHEMT20,30、及び同一特性に設定された入力整合回路23,33を用い、出力整合回路26,36の特性のみが異なるように構成されているので、スイッチング性能を均一にできると共に、設計,製造を容易化することができる。
【0053】
このように、電力の大きな高周波信号が入力されてもオンオフ比が劣化せず、また、構成の共通化が可能であるため、MMIC化に適しており、装置の小型化が要求される車載用レーダ装置の送信器等に好適に用いることができる。
更に、本実施例の信号供給装置2では、各チャネルCH1,CH2に供給される電力が小さいときは、リミット増幅器10は線形領域のみで動作して通常の増幅器として動作するため、リミット増幅器10がない場合と比較して、より電力が小さい場合にでも好適に動作させることができる。
【0054】
なお、本実施例では、リミット増幅器10にも制御端子TCLを設け、制御信号によりオンオフ制御しているが、リミット増幅器10には、一定のドレインバイアス電圧を印加して、スイッチ増幅器8でのみオンオフ動作を行うようにしてもよい。
[第1参考例]
次に、第1参考例について説明する。
【0055】
本参考例の信号供給装置2aは、第1実施例の信号供給装置2と構成が一部異なるだけであるため、同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略し、構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本参考例の信号供給装置2aでは、図2に示すように、リミット増幅器10(10a,10b)の代わりに可変利得増幅器11(11a,11b)を用いている以外は、第1実施例の信号供給装置2と全く同様に構成されている。
【0056】
また、可変利得増幅器11は、HEMT30のゲートと入力整合回路33との間に、利得調整信号として、ゲートバイアス電圧を印加するための利得調整端子TGLが設けられている以外は、リミット増幅器10と全く同様に構成されている。
【0057】
このように構成された本参考例の信号供給装置2aでは、第1実施例の信号供給装置2と全く同様に動作するだけでなく、調整端子TGLに印加するゲートバイアス電圧を適宜設定することにより、可変利得増幅器11の小信号利得を調整することができる。
【0058】
従って、本参考例の信号供給装置2aによれば、第1実施例と同様の効果が得られるだけでなく、可変利得増幅器11への入力電力の大きさに応じて、小信号利得を、出力電力がスイッチ増幅器8の利得圧縮電力P以下となり、且つ当該可変利得増幅器11が線形領域でのみ動作するよう調整すれば、スイッチ増幅器8に入力される高周波信号の上限電力の制限を波形を歪ませることなく行うことができ、歪みの小さい高品質な高周波信号を出力ポートPを介して外部に供給することができる。
[第2参考例]
次に、第2参考例について説明する。
【0059】
本参考例の信号供給装置2bは、第1実施例の信号供給装置2と構成が一部異なるだけであるため、同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略し、構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本参考例の信号供給装置2bでは、図3に示すように、リミット増幅器10(10a,10b)の代わりに可変利得増幅器12(12a,12b)を用いている以外は、第1実施例の信号供給装置2と全く同様に構成されている。
【0060】
また、可変利得増幅器12(12a,12b)は、HEMT30のドレイン端子と出力整合回路36との間に、ゲート端子が直流カット用のコンデンサ41を介して接地されたHEMT40が接続されると共に、スタブ35とコンデンサ38との間に設けられていた制御端子TCLが省略され、代わりにHEMT40とコンデンサ41との間に、利得調整信号としてのゲートバイアス電圧を印加するための利得調整端子TGLが設けられている以外は、リミット増幅器10と全く同様に構成されている。
つまり、本参考例の可変利得増幅器12は、信号増幅用の素子として、単独のHEMT30の代わりに、カスコード接続した一対のHEMT30,40(以下、カスコードトランジスタと呼ぶ)を用いて構成されている。
【0061】
このように構成された本参考例の信号供給装置2bでは、可変利得増幅器12が、スイッチ増幅器8のオンオフに関わらず常に動作状態にあり、スイッチ増幅器8の制御端子TCSに印加する制御信号のみにより、各チャネルCH1,CH2の導通,遮断が制御される以外は第1実施例と全く同様に動作するだけでなく、第1参考例と同様に、利得調整端子TGLに印加する利得調整信号を適宜設定することにより、可変利得増幅器12の小信号利得を調整することができる。
【0062】
従って、本参考例の信号供給装置2bによれば、第1実施例及び第1参考例と同様の効果が得られるだけでなく、増幅用の素子として、一対のHEMT30,40からなるカスコードトランジスタを用いているので、小信号利得の可変範囲を20dB以上確保でき、第1及び第1参考例の信号供給装置2,2aと比較して、より広い範囲の入力電力に対応することができる。
【0063】
なお、本参考例では、可変利得増幅器12の小信号利得を調整する利得調整信号として、カスコードトランジスタを構成する一対のHEMT30,40のうち、出力側のHEMT40のゲートバイアス電圧を変化させているが、カスコードトランジスタに負帰還回路を追加し、この負帰還回路での帰還量を変化させることにより、小信号利得を調整してもよい。
【0064】
そして、負帰還回路は、例えば図4に示す可変利得増幅器13(13a,13b)のように、ドレイン端子がHEMT40のソース端子に接続され、ソース端子が直流カット用のコンデンサ43を介してHEMT30のゲート端子に接続され、ゲート端子が直流カット用のコンデンサ44を介して接地されたHEMT42により構成することができ、この場合、HEMT43とコンデンサとの間に利得調整端子TGLを設け、HEMT42のゲートバイアス電圧を利得調整信号とすればよい。
【0065】
なお、HEMT43は、可変抵抗器として動作し、即ちゲートバイアス電圧に応じてドレイン・ソース間の抵抗値が変化して帰還量が変化することにより、カスコードトランジスタの小信号利得が変化するのである。
このようにカスコードトランジスタに負帰還回路を付加した可変利得増幅器13でも、負帰還回路のない可変利得増幅器12と同様に、小信号利得の可変範囲を20dB以上確保することができ、広い範囲の入力電力に対応することができる。
[第3参考例]
次に、第3参考例について説明する。
【0066】
本参考例の信号供給装置2cは、第1実施例の信号供給装置2と構成が一部異なるだけであるため、同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略し、構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち、本参考例の信号供給装置2cでは、図5に示すように、リミット増幅器10(10a,10b)の代わりに可変減衰器14(14a,14b)を用いている以外は、第1実施例の信号供給装置2と全く同様に構成されている。
【0067】
そして、可変減衰器14は、その入力端子TILと出力端子TOLとの間に直列接続された一対の高周波線路50,51と、一端が高周波線路50,51の間に接続されたスタブ52と、スタブ52の他端(以下、制御端という)にドレイン端子が接続され、ソース端子が接地されたHEMT53とを備え、HEMT53のゲート端子に、減衰調整信号として、ゲートバイアス電圧を印加するための減衰調整端子TRLが設けられている。
【0068】
なお、スタブ52の長さは、発振器4が生成する高周波信号の線路内波長をλとして、λ/4+n・λ/2(n:0又は正整数)に設定されており、制御端が開放状態の時には、高周波信号を高周波線路51へそのまま通過させ、一方、制御端が接地状態の時には、高周波線路51へ通過する高周波信号を反射により減衰させる。
つまり、減衰調整端子TRLに負電圧の減衰調整信号を印加してHEMT53をオフすると、スタブ52の制御端は開放状態となるため、高周波信号は減衰せず、逆に、正電圧の減衰調整信号を印加してHEMT53をオンすると、スタブ52の制御端は接地状態となるため、高周波信号は減衰することになる。
【0069】
従って、各チャネルCH1,CH2に供給される高周波信号の入力電力が、スイッチ増幅器8の利得圧縮電力Pより大きい場合に、可変減衰器14に信号の減衰を行わせるよう減衰調整信号を設定すればよい。
以上のように構成された本参考例の信号供給装置2cによれば、可変減衰器14にて高周波信号を減衰した時に、高周波信号が歪んでしまうことがないため、出力ポートPを介して高品質な高周波信号を供給することができる。
【0070】
なお、本参考例では、スタブ52の長さを、λ/4+n・λ/2に設定しているが、n・λ/2に設定してもよい。但し、この場合に、高周波信号は、制御端が開放状態の時に減衰し、接地状態の時にそのまま通過するため、減衰調整信号の極性を反対にして制御する必要がある。
【0071】
また、本参考例では、スタブ52の制御端の状態を切り替えるために、HEMT53を用いているが、図6に示す可変減衰器15(15a,15b)のように、スタブ52の制御端にカソードが接続され、アノードが接地されたダイオードを用い、スタブ52とダイオードとの間に減衰調整端子TRLを設けてもよい。
【0072】
この場合、減衰調整端子TRLに負電圧の減衰調整信号を印加してダイオードをオンすると、スタブ52の制御端は接地状態となり、一方、正電圧の減衰調整信号を印加してダイオードをオフすると、スタブ52の制御端は開放状態となり、HEMT53を設けた場合と、同様の作用効果を得ることができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。
【0073】
本実施例の信号供給装置2dは、第1実施例の信号供給装置2と構成が一部異なるだけであるため、同じ構成部分については同一符号を付して説明を省略し、構成の相違する部分を中心に説明する。
即ち本実施例の信号供給装置2dでは、各チャネルCH1,CH2に設けられたスイッチング手段としての構成が、分岐線路L(L1,L2)に供給された高周波信号を電力分配して一対の第2分岐線路LL1,LL2に供給する第2分岐回路7と、第2分岐線路LL1,LL2のそれぞれに設けられた一対のスイッチ増幅器81,82と、スイッチ増幅器81,82の出力を合成して出力ポートP(P1,P2)に供給する合成回路9とからなる。
【0074】
なお、スイッチ増幅器81,82は、第1実施例のスイッチ増幅器8と全く同様に構成されている。
このように構成された本実施例の信号供給装置2dでは、発振器4が生成した高周波信号を、分岐回路6が2等分に電力分配して、一対の分岐線路L(L1,L2)に供給する。すると、各分岐線路Lでは、供給された高周波信号を、第2分岐回路7が更に2等分に電力分配して、一対の第2分岐線路LL1,LL2に供給し、各第2分岐線路LL1,LL2に設けられたスイッチ増幅器81,82に入力する。
【0075】
そして、各スイッチ増幅器81,82は、制御端子TCSに印加される制御信号に応じて、それぞれ第2分岐線路LL1,LL2を導通,遮断し、合成回路9が、各スイッチ増幅器8からの出力を合成して、出力ポートP(P1,P2)に接続された送信アンテナA(A1,A2)に供給する。
【0076】
なお、電圧供給装置DSは、いずれか一方のチャネルの一対のスイッチ増幅器81,82が同時にオンするように、制御端子TCSに印加する制御信号を生成する。
以上説明したように、本実施例の信号供給装置2dでは、各チャネルCH1,CH2毎に一対のスイッチ増幅器8が、高周波信号の導通,遮断を並列に分担して行っているので、各スイッチ増幅器81,82への入力電力は、各チャネルCH1,CH2への入力電力の半分の大きさとなる。
【0077】
従って、発振器4が生成する高周波信号の出力電力が、スイッチ増幅器81,82の利得圧縮電力Pの2倍以下であれば、オン・オフ比を劣化させることなくスイッチ増幅器81,82を動作させることができ、また、スイッチ増幅器81,82は線形領域のみを用いて増幅を行うため、歪みの小さい高品質な高周波信号を出力ポートP1,P2を介して供給することができる。
【0078】
また、本実施例では、高周波信号を強制的に飽和させたり減衰させたりしていないため、投入した電力が無駄になることがなく、電力の利用効率の優れた装置を構成できる。
なお、本実施例では、各チャネルCH1,CH2毎に、一対のスイッチ増幅器81,82を設けているが、このスイッチ増幅器の数、即ち、第2分岐回路7での分岐数は、各チャネルCH1,CH2への入力電力の大きさに応じて、各スイッチ増幅器への入力電力が、いずれも利得圧縮電力P以下となるように設定されていれば、いくつであってもよい。
【0079】
以上、本発明のいくつかの実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記各実施例では、2チャネルの高周波信号を供給するように構成したが、3チャネル以上、即ち分岐回路6での分岐数を3以上にして構成してもよい。
【0080】
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の2チャネル高周波信号供給装置の構成図である。
【図2】 第1参考例の2チャネル高周波信号供給装置の構成図である。
【図3】 第2参考例の2チャネル高周波信号供給装置の構成図である。
【図4】 第2参考例の変形例である。
【図5】 第3参考例の2チャネル高周波信号供給装置の構成図である。
【図6】 第3参考例の変形例である。
【図7】 第2実施例の2チャネル高周波信号供給装置の構成図である。
【符号の説明】
2,2a〜2d…2チャンネル高周波信号供給装置 4…発振器 6…分岐回路 7…第2分岐回路 8,81,82…スイッチ増幅器 9…合成回路 10…リミット増幅器
11,12,13…可変利得増幅器 14,15…可変減衰器 22,25,32,35,52…スタブ 21,24,31,34,50,51…高周波線路 23,33…入力整合回路 26,36…出力整合回路 27,28,37,38,41,43,44…コンデンサ A1,A2…アンテナ DS…電圧供給装置 L1,L2…分岐線路 LL1,LL2…第2分岐線路 P1,P2…出力ポート
Claims (1)
- ガンダイオードを用いて高周波信号を生成する発振器と、
該発振器が生成した高周波信号を、複数設けられた出力ポートに到る分岐線路のそれぞれに供給する分岐回路と、
前記分岐線路のそれぞれに設けられ、外部からの制御信号に応じて前記分岐線路を導通,遮断するスイッチング手段と、
を備えた多チャネル高周波信号供給装置において、
前記スイッチング手段は、
前記分岐線路に供給された高周波信号を、複数設けられた第2分岐線路のそれぞれに供給する第2分岐回路と、
前記第2分岐線路のそれぞれに設けられ、前記第2分岐回路から前記第2分岐線路に供給される高周波信号を、前記制御信号に従って、反射,或いは増幅して通過させるスイッチ増幅器と、
該第2分岐線路毎に設けられたスイッチ増幅器の出力を合成して、当該スイッチング手段の出力とする合成回路と、
からなることを特徴とする多チャネル高周波信号供給装置。
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