JP5110449B2 - 回転式アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、電動機と減速機とを組み合わせた回転式アクチュエータに関する。
例えば自動変速機のシフトレンジを切り換えるシフトバイワイヤシステムには、その駆動部に回転式アクチュエータを用いたものが知られている。このような回転式アクチュエータの中には、電動機と減速機とを軸方向に隣接して配置することにより薄型化を図り、しかも、出力トルクの向上を図ったものがあった(例えば、特許文献1参照)。
回転式アクチュエータの減速機には、出力軸に対し偏心した偏心部が形成されており、この偏心部にサンギアが支持されている。このサンギアは、その外周に外歯を有しており、偏心部に支持されることで外周のリングギアに噛み合い、偏心部を軸とする自転運動を行うと共に、リングギアの内周に沿った公転運動を行う。このサンギアの回転は、サンギアから突出する突部が出力軸のフランジ部に形成された嵌合穴に遊嵌することにより、出力軸へ伝えられる。
特開2009−177982号公報
ところで、サンギアはベアリングにより偏心部に軸支されるのであるが、リングギアとの噛み合いによって、あるいは、突部を介した出力軸との当接によって、回転方向とは異なる方向のモーメントが発生する。結果として、ベアリングでのサンギアの傾き低減効果が不十分になる虞があり、ギア効率が低下することが懸念される。近年では特に、回転式アクチュエータの小型化や軽量化が求められており、回転式アクチュエータのギア効率を向上させることが望まれている。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、サンギアの傾きを低減させ、ギア効率を向上させることが可能な回転式アクチュエータを提供することを目的とする。
上記目的を解決するためになされた請求項1に記載の回転式アクチュエータは、円筒状のステータと、ステータの径方向内側に回転可能に軸支されるロータとを備えている。ロータはロータ軸を有しており、このロータ軸には、ロータ軸の中心に対し偏心する軸中心を持つ偏心部が形成されている。
また、回転式アクチュエータは、円板状のサンギアと、円環状のリングギアと、サンギアの回転を取り出す出力軸とを備えている。
サンギアは、軸受を介して偏心部に回転可能に軸支されている。サンギアには、外周に外歯が形成されている。また、軸方向へ回転を伝達するための嵌合部が形成されている。サンギアの嵌合部は、出力軸へ向けて軸方向に突出する突部である。軸受は、軸方向に並ぶ2つのベアリングで構成されている。
このサンギアの径方向外側に配置されるのが、リングギアである。リングギアには、サンギアの外歯に噛み合う内歯が内周に形成されている。
出力軸は、サンギアの軸方向に配置されている。また、出力軸には、サンギアの嵌合部に遊嵌する被嵌合部が形成されている。そして、嵌合部と被嵌合部との回転方向における当接により、出力軸によって、サンギアの回転が取り出される。
ここで特に本発明では、軸方向において、サンギアの軸受の中心位置が、サンギアの嵌合部と出力軸の被嵌合部との重なり範囲に含まれている。例えば、図3に示すように「軸受」としてのミドルベアリング53の軸方向における中心位置(記号cで示す位置)が、サンギア50の「嵌合部」としての突部55と出力軸60の「被嵌合部」としての嵌合穴65との軸方向における重なり範囲(記号bで示す範囲)に含まれるという具合である。
このようにすれば、サンギアの軸受の中心位置と出力軸に対する当接位置との軸方向における「ずれ」が小さくなるため、サンギアに対し回転方向と異なるモーメントが発生することを低減することができる。その結果、サンギアの傾きを低減させ、ギア効率を向上させることができる。
さらに請求項に示すように、サンギアの軸受の中心位置が、サンギアの外歯とリングギアの内歯との重なり範囲に含まれるようにするとよい。例えば、図3に示すように「軸受」としてのミドルベアリング53の軸方向における中心位置(記号cで示す位置)が、サンギア50の外歯54とリングギア70の内歯73との軸方向における重なり範囲(記号aで示した範囲)にも含まれるという具合である。
このようにすれば、サンギアの軸受の中心位置と出力軸に対する当接位置との軸方向における「ずれ」が小さくなることに加え、サンギアの軸受の中心位置とリングギアに対する噛み合い位置との軸方向における「ずれ」も小さくなる。その結果、サンギアに対し回転方向と異なるモーメントが発生することを低減することができ、サンギアの傾きを低減させ、ギア効率を向上させることができる。
ところで、請求項に示すように、出力軸の被嵌合部は、突部が遊嵌される穴部であることが考えられる。
反対に、出力軸の被嵌合部を、サンギアへ向けて突出する突部であることとしてもよい。このときは、サンギアの嵌合部は、突部が遊嵌される穴部であることが考えられる。
実施形態の回転式アクチュエータを示す断面図である。 実施形態の回転式アクチュエータを分解して示す分解断面図である。 実施形態の回転式アクチュエータの特徴部分を示す拡大断面図である。 別実施形態の回転式アクチュエータを示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動変速機のシフトレンジを切り換えるシフトバイワイヤシステムの駆動部となる回転式アクチュエータに発明を適用したものである。図1は、実施形態の回転式アクチュエータを示す断面図である。図2は、回転式アクチュエータを分解して示す分解断面図である。なお、図2では、煩雑になることを避けるため、ハッチングなどを適宜省略して示した。
回転式アクチュエータは、図1中に矢印Jで示す軸方向に、スイッチトリラクタンス(以下「SR」と記述する)モータ、及び、減速機を備えている。また、これらSRモータ及び減速機を収容し、外郭を構成するハウジングを備えている。ハウジングは、樹脂製であり、SRモータ側を覆うリヤハウジング10及び、減速機側を覆うフロントハウジング20を有している。
リヤハウジング10は、深皿状であり、底部中央に開口11が形成されている。この開口11には、リヤベアリング12が配置される。また、側方に、コネクタ部13が形成されており、底部に、ターミナル14が形成されている(図1参照)。このとき、コネクタ部13を介してターミナル14へ電力が供給される。さらにまた、インサートモールドされた金属性のプレート15を有している。
フロントハウジング20は、後述する減速機に合わせた形状となっており、リヤハウジング10へ向かって開口し、リヤハウジング10から離れるに従って段階的に径が小さくなる円筒形状となっている。フロントハウジング20は、減速機を内部に収容すると共に、SRモータの一部を収容する。フロントハウジング20の先端側の内周には、減速機を回転可能に支持するための円筒状のメタルベアリング21が配置されている。
リヤハウジング10及びフロントハウジング20は、ボルト23にて螺着される。ハウジング10,20同士の当接部には円環状の弾性部材16が挟み込まれた状態で、SRモータ及び減速機が内部に収容される。
SRモータは、駆動力を発生するブラシレスモータであり、ステータ30及びロータ40を有している。
ステータ30は、ステータコア31及びコイル32を有しており、略円筒状を呈している。このステータ30は、リヤハウジング10のプレート15に圧入されることにより、リヤハウジング10に固定される。
ステータコア31は、複数の薄板が板厚方向に積層されることで形成されており、径方向内側へ向けて所定角度(例えば30度)毎に突設されたステータティースを有している。コイル32は、これらステータティースに対して巻回されている。
コイル32のリヤハウジング10側には、バスバー33が設けられている。このバスバー33は、上述したリヤハウジング10のターミナル14に電気的に接続される。これにより、コイル32へ、ECUからの駆動信号に基づく電力がターミナル14を介して供給される。
ロータ40は、ステータ30の径方向内側に設けられている。ロータ40は、ロータ軸41及びロータコア42からなる。
ロータ軸41は、リヤハウジング10に近い側から、基端部43、圧入部44、偏心部45、及び、先端部46で構成されている。
基端部43及び先端部46は、相対的に小径の軸である。また、圧入部44には、ロータコア42が圧入固定されている。さらにまた、基端部43、圧入部44、及び、先端部46は同軸上に設けられているのに対し、偏心部45だけが、偏心して設けられている。
ロータコア42は、複数の薄板が板厚方向に積層されることで形成されており、上述したように、ロータ軸41の圧入部44に圧入固定されている。また、ロータコア42は、その外周に、ステータ30に向けて所定角度(例えば45度)毎に突設された複数の突極を有している。
次に減速機の構成を説明する。減速機は、遊星歯車の一種であるサイクロイド減速機であり、サンギア50、出力軸60、及び、リングギア70を備えている。
サンギア50は、円筒状の中央部51と、中央部51から径外方向へ張り出す円板部52とを有している。中央部51の内周には、ミドルベアリング53が設けられている。ミドルベアリング53は、軸方向に並ぶ2つのベアリングで構成されている。このミドルベアリング53に支持されるのが、ロータ軸41の偏心部45である(図1参照)。円板部52は、その外周に、外歯54を有している。また、円板部52は、出力軸60側の面に、出力軸60側へ突出する複数の突部55を有している。突部55は、円板部52の周方向に所定間隔で形成されている。
出力軸60は、ロータ軸41の先端部46を支持する支持部61と、支持部61に連続しサンギア50側へ開口するカップ状のカップ部62と、カップ部62の開口縁から径方向外側へ張り出すフランジ部63とを有している。
支持部61にはフロントベアリング64が配置されている。このフロントベアリング64によって、ロータ軸41の先端部46が支持される。また、フランジ部63には、軸方向に貫通する嵌合穴65が設けられている。これにより、サンギア50の突部55が、嵌合穴65に遊嵌する。
リングギア70は、サンギア50よりも一回り大きな円環状の環状基部71を有している。環状基部71には、そのフロントハウジング20側の周縁が径方向内側へ折り曲げられるようにして、開口72が形成されている(図2参照)。この開口72には、径方向内側へ突出する内歯73が形成されている。また、環状基部71の外周には、径方向外側へ突出する耳部74が所定間隔で形成されている。
リングギア70は、上述した耳部74によってフロントハウジング20に圧入固定される。このとき、サンギア50がロータ軸41の偏心部45に支持されることにより、サンギア50の外歯54と、リングギア70の内歯73とが噛み合う。
このような状態で、ロータ軸41が回転すると、サンギア50は、偏心部45を軸として自転運動を行いつつ、リングギア70の内側に接した状態で、公転運動を行う。このサンギア50の回転は、円板部52に設けられた突部55が出力軸60の嵌合穴65に対し回転方向に当接することで、出力軸60へ伝達される。
ここで特に、本実施形態では、図3に示すように、軸方向において、サンギア50を支持するミドルベアリング53の中心位置(記号cで示す位置)が、サンギア50の外歯54とリングギア70の内歯73との重なり範囲(記号aで示す範囲)、及び、サンギア50の突部55と出力軸60の嵌合穴65との重なり範囲(記号bで示す範囲)に含まれるように構成した。
これにより、サンギア50のミドルベアリング53の中心位置と出力軸60に対する当接位置との軸方向における「ずれ」が小さくなると共に、サンギア50のミドルベアリング53の中心位置とリングギア70に対する噛み合い位置との軸方向における「ずれ」も小さくなる。その結果、サンギア50に対し回転方向と異なるモーメントが発生することを低減することができ、サンギア50の傾きを低減させ、ギア効率を向上させることができる。
なお、本実施形態におけるステータ30が「ステータ」に相当し、ロータ40が「ロータ」に相当し、ロータ軸41が「ロータ軸」に相当し、偏心部45が「偏心部」に相当する。
また、サンギア50が「サンギア」に相当し、外歯54が「外歯」に相当し、突部55が「嵌合部」が具現化された「突部」に相当する。
さらにまた、リングギア70が「リングギア」に相当し、内歯73が「内歯」に相当する。
また、出力軸60が「出力軸」に相当し、嵌合穴65が「被嵌合部」が具現化された「穴部」に相当する。
以上、本発明は、上述の実施形態に何等限定されるものではなく、その技術思想の範囲において種々なる形態で実施可能である。
(イ)例えば図4に示すような、サンギア500及び出力軸600を採用してもよい。この場合、サンギア500は、円筒状の中央部501と、中央部501から径外方向へ張り出す円板部502とを有している。中央部501の内周には、ミドルベアリング503が設けられている。円板部502は、その外周に、外歯504を有している。ここで特に、サンギア500は、円板部502に、軸方向へ貫通する嵌合穴505を有している。
一方、出力軸600は、ロータ軸41の先端部46を支持する支持部601と、支持部601に連続しサンギア500側へ開口するカップ状のカップ部602と、カップ部602の開口縁から径方向外側へ張り出すフランジ部603とを有している。ここで特に、フランジ部603には、サンギア500側へ突出し、サンギアの嵌合穴505に遊嵌される突部605が形成されている。
つまり、上記実施形態ではサンギア50に突部55が形成されており出力軸60に嵌合穴65が形成されていたが、これとは反対に、サンギア500に嵌合穴505を形成し、出力軸600に突部605を形成したのである。このようにしても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
なお、この場合、サンギア500が「サンギア」に相当し、外歯504が「外歯」に相当し、嵌合穴505が「嵌合部」が具現化された「穴部」に相当する。
また、出力軸600が「出力軸」に相当し、突部605が「被嵌合部」が具現化された「突部」に相当する。
10・・・リヤハウジング
11・・・ 開口
12・・・ リヤベアリング
13・・・ コネクタ部
14・・・ ターミナル
15・・・ プレート
16・・・ 弾性部材
20・・・フロントハウジング
21・・・ メタルベアリング
23・・・ ボルト
30・・・ステータ
31・・・ ステータコア
32・・・ コイル
33・・・ バスバー
40・・・ロータ
41・・・ ロータ軸
42・・・ ロータコア
43・・・ 基端部
44・・・ 圧入部
45・・・ 偏心部
46・・・ 先端部
50・・・サンギア
51・・・ 中央部
52・・・ 円板部
53・・・ ミドルベアリング
54・・・ 外歯
55・・・ 突部
60・・・出力軸
61・・・ 支持部
62・・・ カップ部
63・・・ フランジ部
64・・・ フロントベアリング
65・・・ 嵌合穴
70・・・リングギア
71・・・ 環状基部
72・・・ 開口
73・・・ 内歯
74・・・ 耳部
500・・・サンギア
501・・・ 中央部
502・・・ 円板部
503・・・ ミドルベアリング
504・・・ 外歯
505・・・ 嵌合穴
600・・・出力軸
601・・・ 支持部
602・・・ カップ部
603・・・ フランジ部
605・・・ 突部

Claims (2)

  1. 円筒状のステータと、
    前記ステータの径方向内側に回転可能に軸支され、当該軸中心に対し偏心する軸中心を持つ偏心部が形成されたロータ軸を有するロータと、
    前記偏心部に軸受を介して回転可能に軸支され、外周に外歯が形成されるとともに、軸方向へ回転を伝達するための嵌合部が形成された円板状のサンギアと、
    前記偏心部に軸支されることで偏心して回転するサンギアの径方向外側に配置され、前記外歯に噛み合う内歯が内周に形成された円環状のリングギアと、
    前記サンギアの軸方向に配置され、前記嵌合部に遊嵌する被嵌合部が形成されて、前記嵌合部と前記被嵌合部との回転方向における当接により、前記サンギアの回転を取り出す出力軸と、を備え、
    前記軸受は、軸方向に並ぶ2つのベアリングで構成され、
    前記サンギアの前記嵌合部は、前記出力軸へ向けて軸方向に突出する突部であり、
    軸方向において、前記軸受の中心位置、前記サンギアの前記嵌合部と前記出力軸の前記被嵌合部との重なり範囲に含まれており、
    軸方向において、前記軸受の中心位置は、前記サンギアの前記外歯と前記リングギアの前記内歯との重なり範囲に含まれていること
    を特徴とする回転式アクチュエータ。
  2. 請求項に記載の回転式アクチュエータにおいて、
    前記出力軸の前記被嵌合部は、前記突部が遊嵌される穴部であること
    を特徴とする回転式アクチュエータ。
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