JP2010048352A - クラッチ機構、クラッチ付減速機、および減速機付モータ - Google Patents

クラッチ機構、クラッチ付減速機、および減速機付モータ Download PDF

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Abstract

【課題】小型化を図ることができ、かつ製造コストを抑えることができるクラッチ機構、クラッチ付減速機、および減速機付モータを提供する。
【解決手段】電動モータ2の回転が入力されるウォームホイール16と、ウォームホイール16と係合し、電動モータ2の回転を出力するドライブプレート41と、これらウォームホイール16とドライブプレート41とを収容するケーシング11とを備え、ケーシング11に設けられたセンターシャフト28の周囲に、複数の円柱コロ38を設け、ウォームホイール16が回転するとき、ウォームホイール16によってドライブプレート41と円柱コロ38とが同時に回転される一方、ウォームホイール16よりも先にドライブプレート41が回転するとき、円柱コロ38がセンターシャフト28とドライブプレート41とに挟持され、これによって生じる摩擦力がドライブプレート41の回転を阻止するように構成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、車両等に搭載されるクラッチ機構、クラッチ付減速機、および減速機付モータに関するものである。
車両に搭載される減速機付モータとしては、例えば、自動車のパワーウインド装置に用いられるものがある。この種の減速機付モータは、ウォーム減速機と電動モータとが連結されている。ウォーム減速機は、電動モータの回転軸に連結されるウォームと、このウォームに噛合されるウォームホイールとを備えている。そして、このウォームホイールをパワーウインド装置の出力軸に連結することにより、ウインドガラスの開閉動作を行うことができるようになっている。
ところで、電動モータの回転軸にウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力による回転力が作用し、ウインドガラスが開いてしまう場合がある。そこで、外力による回転力によって電動モータの回転軸が回転してしまうことを防止するために、電動モータとウォーム減速機との間にクラッチ機構を設ける技術が提案されている。
クラッチとしては、例えば、電動モータの回転軸の一端に設けられ回転軸と共回りする駆動回転体と、駆動回転体に係合すると共に出力軸に連結される従動回転体と、これら駆動回転体と従動回転体とを収容する外輪と、従動回転体と外輪との間に設けられた複数の円柱状のコロとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種のクラッチは、電動モータによって駆動回転体が回転したとき、コロはフリー状態に維持されつつ駆動回転体の軸心の周りで周回する。このため、従動回転体と駆動回転体とが一体となって回転し、ウインドガラスの開閉動作が行われる。
一方、ウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力により従動回転体が回転すると、コロは従動回転体と外輪との間に挟持された状態になり、これによって従動回転体の回転が阻止される。このため、ウインドガラスが自重や車両走行時の振動等によって開いてしまうことを防止できる。
特開2003−143804号公報
ところで、上述の従来技術にあっては、従動回転体と外輪との間にコロを挟持させることによって従動回転体の回転を阻止している。つまり、従動回転体によりコロを径方向外側に位置する外輪に押し当てることで従動回転体の回転を阻止している。このため、外輪は、コロを押し当てても変形不可能な剛性を確保する必要があり、結果的にクラッチ機構が大型化してしまうという課題がある。
また、複数のコロを満遍なく外輪に押し当てるためには、外輪の内周面を精度よく加工する必要がある。このため加工コストが増大してしまうという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、小型化を図ることができ、かつ製造コストを抑えることができるクラッチ機構、クラッチ付減速機、および減速機付モータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、電動モータの回転が入力される駆動回転体と、前記駆動回転体と係合し、前記電動モータの回転を出力する従動回転体と、これら駆動回転体と従動回転体とを収容するケーシングとを備え、前記ケーシングに設けられたセンターシャフトに前記駆動回転体と前記従動回転体とを回転自在に軸支すると共に、前記センターシャフトと前記従動回転体との間で、かつ前記センターシャフトの周囲に、複数の逆転防止部材を設けたクラッチ機構であって、前記電動モータの回転によって前記駆動回転体が回転するとき、該駆動回転体によって前記従動回転体と前記逆転防止部材とが同時に回転される一方、前記駆動回転体よりも先に前記従動回転体が回転するとき、前記逆転防止部材が前記センターシャフトと前記従動回転体とに挟持され、これによって生じる摩擦力が前記従動回転体の回転を阻止するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、センターシャフトと従動回転体とで逆転防止部材を挟持させることができる。つまり、従動回転体により逆転防止部材を径方向内側に位置するセンターシャフトに向かって押し当てることで従動回転体の回転を阻止することができる。このため、従来のようにクラッチ機構に外輪を設ける必要がない。しかも、センターシャフトに逆転防止部材を押し当てるので、従来のように外輪を押し広げる場合と比較してセンターシャフトの耐荷重性を向上し易い。
また、センターシャフトに逆転防止部材を満遍なく接触させるにあたって、センターシャフトの外周面を精度よく加工すればよい。
請求項2に記載した発明は、前記駆動回転体と前記従動回転体とを軸方向に重なり合うように配置し、前記従動回転体に、軸方向に突出する複数の凸部を周方向に沿って形成すると共に、前記駆動回転体に、前記凸部を受け入れる第一凹部と、この第一凹部から前記センターシャフトの外周面に至る間に形成され前記逆転防止部材を受け入れる第二凹部とを形成し、前記逆転防止部材を円柱状に形成する一方、前記従動回転体の前記凸部には、前記逆転防止部材の対向面に楔状の凹部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、簡単な構造で外力による従動回転体の回転を阻止できる。
請求項3に記載した発明は、前記従動回転体の前記楔状の凹部と前記逆転防止部材との接触角度をδ、前記センターシャフトと前記逆転防止部材との間の摩擦係数をμとしたとき、接触角度δは、
δ≦tan−1μ
を満たすように設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、外力による従動回転体の回転をより確実に阻止できる。
請求項4に記載した発明は、前記逆転防止部材と前記楔状の凹部との最大隙間をX、前記逆転防止部材の直径をY、前記センターシャフトの直径をZ、前記従動回転体の前記楔状の凹部と前記逆転防止部材との接触角度をδとしたとき、
接触角度δは、
cos−1{(Y+Z/2)/(Y+Z/2+X)}<δ<cos−1{(Y/2)/(Y/2+X)}
を満たすように設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、逆転防止部材と従動回転体の楔状の凹部とを確実に接触させることができる。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載のクラッチ機構の駆動回転体をウォームホイールとし、このウォームホイールに噛合い、かつ前記電動モータに連結されるウォーム軸を設けたことを特徴とするクラッチ付減速機とした。
このように構成することで、部品点数を減少させることができる。
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載のクラッチ付減速機に前記電動モータを取り付け、前記電動モータの回転軸と前記ウォーム軸とを相対回転不能に連結したことを特徴とする減速機付モータとした。
このように構成することで、小型化を図ることができ、かつ製造コストを抑えることができる減速機付モータを提供できる。
請求項1に記載した発明によれば、センターシャフトと従動回転体とで逆転防止部材を挟持させることができる。つまり、従動回転体により逆転防止部材を径方向内側に位置するセンターシャフトに向かって押し当てることで従動回転体の回転を阻止することができる。このため、従来のようにクラッチ機構に外輪を設ける必要がない。しかも、センターシャフトに逆転防止部材を押し当てるので、従来のように外輪を押し広げる場合と比較してセンターシャフトの耐荷重性を向上し易い。よって、センターシャフトの軸径を細径化し易く、結果的にクラッチ機構、クラッチ付減速機、および減速機付モータの小型化を図ることが可能になる。
また、センターシャフトに逆転防止部材を満遍なく接触させるにあたって、センターシャフトの外周面を精度よく加工すればよい。ここで、従来のように外輪の内周面を加工する場合と比較してセンターシャフトの外周面は加工し易い。このため、容易にセンターシャフトの外周面を高精度に加工することができ、製造コストを抑えることが可能になる。
請求項2に記載した発明によれば、簡単な構造で外力による従動回転体の回転を阻止できる。このため、製造コストを抑えたクラッチ機構を提供できる。
請求項3に記載した発明によれば、外力による従動回転体の回転をより確実に阻止できる。このため、信頼性の高いクラッチ機構を提供できる。
請求項4に記載した発明によれば、逆転防止部材と従動回転体の楔状の凹部とを確実に接触させることができる。このため、より信頼性の高いクラッチ機構を提供することができる。
請求項5に記載した発明によれば、部品点数を減少させることができる。このため、低コスト、かつ確実に外力による従動回転体の回転を確実に阻止できるクラッチ付減速機を提供できる。
請求項6に記載した発明によれば、小型化を図ることができ、かつ製造コストを抑えることができる減速機付モータを提供できる。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、減速機付モータ1は、例えば、車両のパワーウインド装置等に用いられるものであって、電動モータ2と電動モータ2に連結されたウォーム減速機3とを備え、ウォーム減速機3にクラッチ機構4が内装されている。
電動モータ2としては、例えば、ブラシ付直流モータなどが用いられものであって、複数の永久磁石(例えば、6極)が配設されている有底筒状のヨーク5と、ヨーク5の内側に回転自在に設けられたアーマチュア6とを備えている。アーマチュア6は、回転軸7と、回転軸7に外嵌固定されているアーマチュアコア(不図示)と、回転軸7の一端側に設けられるコンミテータ(不図示)とを有している。アーマチュアコアには、巻線を巻装するための複数のスロット(例えば、9スロット)が形成されている。回転軸7の一端には、ウォーム減速機3が連結されている。
図1、図2に示すように、ウォーム減速機3は、アーマチュア6の一端側を受け入れるホルダ部8と、ウォームギア9、およびクラッチ機構4を収納するギア収納部10とが一体成形されたケーシング11を有している。
ホルダ部8は電動モータ2側に開口部8aを有する箱状に形成されたものであって、アーマチュア6に設けられている不図示のコンミテータや、このコンミテータに摺接するブラシを収納するようになっている。
電動モータ2は、ホルダ部8の開口部8aをヨーク5で閉塞するように設けられている。ホルダ部8の周壁8bにはボルト座20が複数突設されており、ここに雌ネジ部21が刻設されている。一方、電動モータ2のヨーク5には、開口縁にホルダ部8のボルト座20に対応するように外フランジ部22が形成されている。この外フランジ部22にボルト12を挿通し、このボルト12をボルト座20の雌ネジ部21に螺入することによって、ホルダ部8にヨーク5が締結固定される。
また、ホルダ部8の周壁8bには、不図示の外部電源と接続可能なコネクタ13が設けられている。コネクタ13の端子14は、ホルダ部8に収納されている不図示のブラシと電気的に接続されており、これによって外部電源の電力を電動モータ2のアーマチュア6に供給できるようになっている。
ケーシング11のギア収納部10は、ウォームギア9の一方を構成するウォーム軸15を収納するウォーム軸収納部17と、ウォームギア9の他方を構成するウォームホイール16を収納すると共に、クラッチ機構4を収納するクラッチ収納部18とが一体成形されたものである。ウォーム軸収納部17は略円筒状に形成されており、外周面のクラッチ収納部18とは反対側に、ボルト座23が外側に向かって突設されている。
ここで、電動モータ2の回転軸7は、ホルダ部8を貫通してウォーム軸収納部17内に突出している。そして、回転軸7は、ウォーム軸収納部17に収納されているウォーム軸15と相対回転不能に連結されており、回転軸7とウォーム軸15とが一体となって回転するようになっている。
クラッチ収納部18は有底筒状に形成されており、外周面に径方向外側に向かって突出する2つのボルト座24,24が設けられている。これらウォーム軸収納部17のボルト座23とクラッチ収納部18のボルト座24には、それぞれ貫通孔25が形成されている。各貫通孔25には、それぞれインサートナット26が設けられている。インサートナット26は、減速機付モータ1を外部機器に取り付けるために用いられる。
ウォームホイール16、およびクラッチ機構4は、クラッチ収納部18に突設されクラッチ機構4の一部を構成しているセンターシャフト28によって回転自在に支持されている。クラッチ収納部18のエンド部(底部)18aには、径方向略中央に貫通孔29が形成されており、ここにセンターシャフト28が挿入されている。センターシャフト28の基端側には、外フランジ部30が形成されている。
この外フランジ部30がクラッチ収納部18のエンド部18aに当接することによって、センターシャフト28の軸方向の位置決めが行われる。センターシャフト28の先端側には、段差により縮径された縮径部31が設けられ、ここに雄ネジ部32が刻設されている。雄ネジ部32には、ウォームホイール16、およびクラッチ機構4のセンターシャフト28からの抜けを規制するためのナット33が螺入される。
図2、図3に示すように、ウォームホイール16は、略円板状に形成されたものであって、外周面にウォーム軸15に噛合う歯部34が形成されている。
ウォームホイール16の径方向中央には、センターシャフト28を挿通するための挿通孔35が形成されている。この挿通孔35の周囲には、クラッチ収納部18のエンド部18aとは反対側の上面に、3つの係合凹部36が周方向に等間隔で形成されている。この係合凹部36は、軸方向平面視で略扇状に形成された収容部36aと、この収容部36aと挿通孔35との間に形成され両者36a,35を連通する連通部36bとで構成されている。
ここで、ウォームホイール16は、ウォームギア9の他方を構成していると共に、クラッチ機構4の一部を構成している。クラッチ機構4は、ウォームホイール16、センターシャフト28の他に、円柱コロ38、およびドライブプレート41を備えている。
円柱コロ38は、この向きを軸方向に沿うようにしてウォームホイール16の3つの連通部36bにそれぞれ収納されている。
図2、図4に示すように、ウォームホイール16の上面には、ドライブプレート41が設けられている。ドライブプレート41は、略円板状に形成されたプレート本体50を有している。プレート本体50の径方向略中央には、センターシャフト28を挿通するための挿通孔51が形成されている。
プレート本体50のウォームホイール16側の面には、ウォームホイール16に形成されている係合凹部36の収容部36aに対応する部位に、軸方向平面視略扇状の凸部52が3箇所設けられている。凸部52は係合凹部36の収容部36aに挿入された状態で収容されるようになっており、凸部52の周方向の幅は収容部36aの周方向の幅よりもやや小さく設定されている。
係合凹部36の収容部36aにドライブプレート41の凸部52が挿入されているので、ウォームホイール16が回転すると凸部52と係合凹部36とが係合し、ドライブプレート41とウォームホイール16とが共回りする。各凸部52の内周面側には、周方向中央から周方向外側に向かうに従って徐々に末広がりとなるように形成された楔状の凹部52aが設けられている。
プレート本体50の凸部52とは反対側の面には、略立方体状に形成された接続部53が設けられている。接続部53は、例えば、パワーウインド装置等に連結される部分であって、中央にプレート本体50の挿通孔51が連通されている。
すなわち、クラッチ機構4のうち、ウォームホイール16は、電動モータ2の回転軸7の回転がウォーム軸15を介して入力される駆動回転体の役割を有している。一方、ドライブプレート41は、駆動回転体であるウォームホイール16の回転をパワーウインド装置に出力する従動回転体の役割を有している。
図2、図5、図6に示すように、クラッチ機構4のウォームホイール16、およびドライブプレート41を貫通しているセンターシャフト28の先端は、ドライブプレート41の接続部53から突出した状態になっている。このセンターシャフト28の先端には、スラストプレート54が挿入され、センターシャフト28の雄ネジ部32にナット33が締結固定される。
これによって、ウォームホイール16、およびドライブプレート41のセンターシャフト28からの抜けが規制されると共に、それぞれセンターシャフト28に回転可能に軸支された状態になる。
また、円柱コロ38は、この周囲をウォームホイール16の連通部36b、ドライブプレート41の凸部52に形成されている凹部52a、およびセンターシャフト28の外周面に取り囲まれた状態で配置される。そして、円柱コロ38の軸方向への移動は、ウォームホイール16とドライブプレート41のプレート本体50とによって規制された状態になる。
ここで、ウォームホイール16に形成されている収容部36aの周方向の幅は、ドライブプレート41の凸部52がウォームホイール16に対して周方向に移動した際、凸部52に形成されている凹部52aとセンターシャフト28とで円柱コロ38を挟持することができるような幅に設定されている。すなわち、この設定された幅の範囲内において、ドライブプレート41は、ウォームホイール16に対して回転移動することができる。
一方、ウォームホイール16に形成されている連通部36bは、収容部36aよりも段差により周方向に狭く形成されている。このため、ウォームホイール16が回転した際、収容部36a、および連通部36bの壁面がそれぞれドライブプレート41の凸部52と円柱コロ38とに同時に接触するようになっている。
この他に、ケーシング11のクラッチ収納部18には、開口部を閉塞する略円環状のボトムカバー56が設けられている。ボトムカバー56は、クラッチ収納部18内への塵埃の浸入を防止するためのものである。ボトムカバー56の中央からは、ドライブプレート41のプレート本体50の軸方向略中央から先端側に至る部位が突出した状態になる。
ボトムカバー56の内周縁には、クラッチ収納部18の内部の密閉性を高めるためにゴム製のシール部材57が設けられている。ドライブプレート41のプレート本体50は、シール部材57と摺動する。
次に、図7(a)、図7(b)、図7(c)に基づいて、クラッチ機構4の作用について説明する。なお、以下の説明において、減速機付モータ1を車両に搭載されているパワーウインド装置に用いた場合について説明する。
まず、図7(a)に示すように、減速機付モータ1の電動モータ2を停止させた状態にあっては、ウォームホイール16の係合凹部36内で円柱コロ38、およびドライブプレート41の凸部52がフリーな状態になっている。
図7(b)に示すように、電動モータ2を駆動させると、回転軸7、およびウォーム軸15を介してウォームホイール16が回転する(図7(b)の矢印参照)。すると、ウォームホイール16の係合凹部36のうち、収容部36aの壁面はドライブプレート41の凸部52に接触する。これと同時に係合凹部36の連通部36bの壁面は円柱コロ38に接触する。
そして、このままの状態で、ウォームホイール16、円柱コロ38、およびドライブプレート41が共回りする。ドライブプレート41が回転すると、ドライブプレート41の接続部53に連結されているパワーウインド装置(不図示)に電動モータ2の回転が出力される。これによってパワーウインド装置が駆動し、車両のウインドガラスの開閉動作が行われる。
一方、ウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力によりウインドガラスが開こうとすると、パワーウインド装置を介してドライブプレート41に回転力が作用する。
図7(c)に示すように、電動モータ2が停止状態であって、かつドライブプレート41に回転力が作用すると、ウォームホイール16、および円柱コロ38は停止したままの状態でドライブプレート41のみが回転し始める(図7(c)の矢印参照)。
すると、円柱コロ38が停止したままであるので、ドライブプレート41の凸部52に設けられている楔状の凹部52aと円柱コロ38とが接触する。
ドライブプレート41は、凹部52aが円柱コロ38に接触した後、さらに回転しようとする。ここで、凹部52aが楔状に形成されていることから、ドライブプレート41の凸部52が円柱コロ38をセンターシャフト28に向かって押し付ける。このため、ドライブプレート41の凸部52とセンターシャフト28とで円柱コロ38を挟持した状態になる。このときに生じる摩擦力がドライブプレート41の回転力よりも大きくなり、ドライブプレート41の回転が阻止される。
ここで、ドライブプレート41の回転力よりも円柱コロ38をドライブプレート41の凸部52とセンターシャフト28とで挟持した場合に生じる摩擦力を大きくするためには、センターシャフト28が有する摩擦係数に基づいて、ドライブプレート41の凸部52と円柱コロ38との接触角度δを決定する必要がある。
より具体的に、図8、図9に基づいて説明する。
ドライブプレート41の凸部52と円柱コロ38との接触角度をδ、センターシャフト28が有する摩擦係数をμ、ウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力により生じるドライブプレート41の回転力をFとしたとき、ドライブプレート41が回転することによって円柱コロ38に作用するセンターシャフト28側に向かう力Pは、
P=F×cotδ
となる。
したがって、円柱コロ38とセンターシャフト28との間に生じる摩擦力(逆転力)Mは、
M=μ×P
となる。
このとき、摩擦力Mがドライブプレート41の回転力F以上になればよいので、
F≦M=μ×P
F=P×tanδ
を満たせばよいことになる。
すなわち、接触角度δは、
δ≦tan−1μ・・・(1)
を満たすように決定すればよい。
図9は、摩擦係数μと、これに基づいて決定した接触角度δの最大角度の一例を示す表である。同図に示すように、センターシャフト28が有する摩擦係数μに基づいて接触角度δの最大角度を決定することで、ウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力によるドライブプレート41の回転を確実に阻止することが可能になる。
なお、摩擦係数μが小さい場合、例えば、摩擦係数μ=0.10の場合に決定した接触角度δ(例えば、接触角度δ=5.7°)を満たす凹部52aであれば摩擦係数μが0.10よりも大きい場合にも使用できると考えられる。しかしながら、接触角度δが小さくなればなるほど加工が難しくなる。また、接触角度δを小さくすればするほどドライブプレート41の凹部52aと円柱コロ38との径方向のクリアランスを精度よく管理しなければ、両者52a,38が互いに接触し難くなってしまう。このクリアランスの大きさは、クラッチ機構4を構成する各部品の加工精度の公差によって決定されるので、必要以上に楔角δを小さくすると加工コストが増大してしまう。よって、これらを考慮しつつ接触角度δを決定することが望ましい。
さらに、凹部52aの周方向中心と円柱コロ38との間の距離である最大隙間Xは、組み付け易さなどの理由から所定の距離を確保する必要がある。
このとき、図10〜図12に示すように、ドライブプレート41の凹部52aの楔角ω、および凹部52aの周方向中心と円柱コロ38との間の最大隙間Xの大きさが変化することによって、ドライブプレート41の凹部52aと円柱コロ38との周方向の接触位置が変化したり、凹部52aと円柱コロ38とが互いに接触不可能な状態になったりする場合がある。そこで、最大隙間Xに基づいて、凹部52aの楔角ωの角度範囲を設定する必要がある。
ここで、円柱コロ38の直径をY、センターシャフト28の直径をZ、凹部52aの周方向中心と円柱コロ38との間の最大隙間をXとしたとき、
凹部52aの最大楔角度εは、
cosε=(Y/2)/(Y/2+X)
を満たせばよい。すなわち、凹部52aの最大楔角度εは、
ε=cos−1{(Y/2)/(Y/2+X)}・・・(2)
を満たすように決定される。
一方、凹部52aと円柱コロ38とが互いに接触不可能となるのを防止するため、凹部52aの最小楔角度λは、
cosλ=(Y+Z/2)/(Y+Z/2+X)
を満たせばよい。すなわち、凹部52aの最小楔角度λは、
λ=cos−1{(Y+Z/2)/(Y+Z/2+X)}・・・(3)
を満たすように決定される。
すなわち、接触角度δは、
λ<δ<ε
を満たすように設定される。
図11は、凹部52aの周方向中心と円柱コロ38との間の最大隙間Xと、これに基づいて決定した凹部52aの最大楔角度ε、および最小楔角度λの一例を示す表である。同図に示すように、最大隙間Xに基づいて凹部52aの最大楔角度ε、および最小楔角度λが決定されることが確認できる。
また、図12に示すように、ドライブプレート41の凸部52が円柱コロ38に接触する位置(図12における2点鎖線参照)までに回転する回転角度αは、ドライブプレート41の凸部52と円柱コロ38との接触角度δ、および凸部52に形成されている凹部52aの楔角ωに基づいて決定される。これは、許容されるガタから回転角度αが決定され、式(1)〜(3)を満たすように接触角度δが決定され、次式に基づいてωが決定されるということである。
すなわち、
楔角ω=回転角度α+接触角度δ
となる。
ここで、回転角度αの角度は、クラッチ機構4のドライブプレート41の回転が阻止されるまでのガタということになる。クラッチ機構4のガタは極力抑えることが望ましいが、凹部52aの楔角ωを決定するにあたって、回転角度α、接触角度δ、最大隙間Xに基づいて決定される凹部52aの最大楔角度ε、最小楔角度λ、およびクラッチ機構4の組み付け性などを考慮して決定する必要がある。
したがって、上述の実施形態によれば、ウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力によりドライブプレート41に回転力が作用した場合、センターシャフト28とドライブプレート41の凸部52とで円柱コロ38を挟持させることができる。つまり、ドライブプレート41により円柱コロ38を径方向内側に位置するセンターシャフト28に向かって押し当てることでドライブプレート41の回転を阻止することができる。このため、従来のようにクラッチ機構4に外輪を設ける必要がない。しかも、センターシャフト28に円柱コロ38を押し当てるので、従来のように外輪を押し広げる場合と比較してセンターシャフト28の耐荷重性を向上し易い。よって、センターシャフト28の軸径を細径化しやすく、簡単な構造でクラッチ機構4、減速機付モータ1の小型化を図ることが可能になる。
また、センターシャフト28に円柱コロ38を満遍なく接触させるにあたって、センターシャフト28の外周面を精度よく加工すればよい。このため、製造コストを抑えることが可能になる。さらに、ドライブプレート41の凸部52と円柱コロ38との接触角度をδ、センターシャフト28が有する摩擦係数をμとしたとき、
接触角度δを
δ≦tan−1μ
を満たすように設定しているので、外力によるドライブプレート41の回転をより確実に阻止できる。このため、信頼性の高いクラッチ機構4を提供できる。
そして、ドライブプレート41の凸部52に設けられた楔状の凹部52aの最大楔角度εを
ε=cos−1{(Y/2)/(Y/2+X)}
を満たすように決定する一方、
最小楔角度λを
λ=cos−1{(Y+Z/2)/(Y+Z/2+X)}
を満たすように決定し、接触角度δを
λ<δ<ε
を満たすように設定している。このため、円柱コロ38と凹部52aとを確実に接触させることができ、より信頼性の高いクラッチ機構4を提供することができる。
また、ウォームホイール16がウォームギア9の他方を構成していると共に、クラッチ機構4の一部として駆動回転体の役割を有しているので、従来のように駆動回転体を別途設ける必要がない。このため、部品点数を減少させることができ、製造コストの低減化を図ることができると共に、より減速機付モータ1の小型化を図ることが可能になる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
また、上述の実施形態では、クラッチ機構4において、ドライブプレート41の凸部52とセンターシャフト28との間に円柱コロ38を配置し、円柱コロ38の周囲をウォームホイール16の連通部36b、ドライブプレート41の凸部52に形成されている凹部52a、およびセンターシャフト28により取り囲んだ状態とした場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図13に示すように、ドライブプレート41の凸部52とセンターシャフト28との間であって、円柱コロ38の周方向両側に円柱コロ38を支持するホルダ72を設けてもよい。この場合、ウォームホイール16に形成されている係合凹部36を収容部36aと、連通部36bとで構成せずに、全体的に軸方向平面視略扇状となるように形成してもよいし、連通部36bに代わってホルダ72を収容するホルダ収容部を形成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、ドライブプレート41の凸部52に設けられた凹部52aを周方向中央から周方向外側に向かうに従って徐々に末広がりとなるように楔状に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、凹部52aを弧状に形成してもよい。
そして、上述の実施形態では、ウォームホイール16に3つの係合凹部36を形成する一方、ドライブプレート41に3つの凸部52を設け、凸部52とセンターシャフト28との間にそれぞれ円柱コロ38を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、係合凹部36、凸部52、円柱コロ38をそれぞれ少なくとも1つ設けてあればよく、また3つ以上設けてもよい。
本発明の実施形態における減速機付モータの斜視図である。 本発明の実施形態におけるウォーム減速機の分解斜視図である。 本発明の実施形態におけるウォームホイールの斜視図である。 本発明の実施形態におけるドライブプレートの斜視図である。 本発明の実施形態におけるクラッチ機構の側面図である。 図5のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施形態におけるクラッチ機構の作用説明図であって、(a)は電動モータ停止時を示し、(b)は電動モータ駆動時を示し、(c)はドライブプレート回転時を示す。 本発明の実施形態におけるクラッチ機構の説明図である。 本発明の実施形態における摩擦係数と接触角度との関係の一例を示す表である。 本発明の実施形態におけるクラッチ機構の説明図である。 本発明の実施形態におけるドライブプレートの凹部−円柱コロ間の距離と、ドライブプレートの凹部の最大楔角度、および最小楔角度との関係の一例を示す表である。 本発明の実施形態におけるクラッチ機構の説明図である。 本発明の他の実施形態におけるクラッチ機構の横断面図である。
符号の説明
1 減速機付モータ
2 電動モータ
3 ウォーム減速機(クラッチ付減速機)
4 クラッチ機構
7 回転軸
11 ケーシング
15 ウォーム軸
16 ウォームホイール(駆動回転体)
17 ウォーム軸収納部
18 クラッチ収納部
28 センターシャフト
36 係合凹部
36a 収容部(第一凹部)
36b 連通部(第二凹部)
38 円柱コロ(逆転防止部材)
41 ドライブプレート(従動回転体)
52 凸部
52a 凹部
μ 摩擦係数
δ 接触角度
X 最大隙間
Y,Z 直径

Claims (6)

  1. 電動モータの回転が入力される駆動回転体と、
    前記駆動回転体と係合し、前記電動モータの回転を出力する従動回転体と、
    これら駆動回転体と従動回転体とを収容するケーシングとを備え、
    前記ケーシングに設けられたセンターシャフトに前記駆動回転体と前記従動回転体とを回転自在に軸支すると共に、
    前記センターシャフトと前記従動回転体との間で、かつ前記センターシャフトの周囲に、複数の逆転防止部材を設けたクラッチ機構であって、
    前記電動モータの回転によって前記駆動回転体が回転するとき、該駆動回転体によって前記従動回転体と前記逆転防止部材とが同時に回転される一方、
    前記駆動回転体よりも先に前記従動回転体が回転するとき、前記逆転防止部材が前記センターシャフトと前記従動回転体とに挟持され、これによって生じる摩擦力が前記従動回転体の回転を阻止するように構成されていることを特徴とするクラッチ機構。
  2. 前記駆動回転体と前記従動回転体とを軸方向に重なり合うように配置し、
    前記従動回転体に、軸方向に突出する複数の凸部を周方向に沿って形成すると共に、
    前記駆動回転体に、
    前記凸部を受け入れる第一凹部と、この第一凹部から前記センターシャフトの外周面に至る間に形成され前記逆転防止部材を受け入れる第二凹部とを形成し、
    前記逆転防止部材を円柱状に形成する一方、前記従動回転体の前記凸部には、前記逆転防止部材の対向面に楔状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ機構。
  3. 前記従動回転体の前記楔状の凹部と前記逆転防止部材との接触角度をδ、前記センターシャフトと前記逆転防止部材との間の摩擦係数をμとしたとき、
    接触角度δは、
    δ≦tan−1μ
    を満たすように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のクラッチ機構。
  4. 前記逆転防止部材と前記楔状の凹部との最大隙間をX、前記逆転防止部材の直径をY、前記センターシャフトの直径をZ、前記従動回転体の前記楔状の凹部と前記逆転防止部材との接触角度をδとしたとき、
    接触角度δは、
    cos−1{(Y+Z/2)/(Y+Z/2+X)}<δ<cos−1{(Y/2)/(Y/2+X)}
    を満たすように設定されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のクラッチ機構。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載のクラッチ機構の駆動回転体をウォームホイールとし、
    このウォームホイールに噛合い、かつ前記電動モータに連結されるウォーム軸を設けたことを特徴とするクラッチ付減速機。
  6. 請求項5に記載のクラッチ付減速機に前記電動モータを取り付け、
    前記電動モータの回転軸と前記ウォーム軸とを相対回転不能に連結したことを特徴とする減速機付モータ。

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