JP5109747B2 - 超音波探傷装置および超音波探傷方法 - Google Patents

超音波探傷装置および超音波探傷方法 Download PDF

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本発明は、超音波探傷装置および超音波探傷方法に関するものであり、特に好適には、鋼材などの被測定材(被探傷材)の内部状態を、超音波を用いることにより当該被測定材を破壊することなく測定する超音波探傷装置および超音波探傷方法に関するものである。
鋼材などの被測定材の状態、たとえば表面きずや内部きずなどを測定する装置および方法としては、超音波探傷装置および超音波探傷方法が広く用いられている。超音波探傷装置には、配列形探触子(アレイ探触子とも称する)を備え、配列形探触子に設けられる各超音波振動子を励起するパルス電圧の位相を変えることにより、被測定材の内部を超音波ビームが移動するようにできるものがある。そして超音波探傷方法には、配列形探触子の超音波振動子が発する超音波を被測定材の内部に伝搬させ、その反響波(エコー)を検出することにより、被測定材の表面や内部に存する異常な不連続部、すなわち「きず(表面きずおよび/または内部きず)」を測定する方法がある。
超音波探傷装置および超音波探傷方法を用いて被測定材に存するきずを測定し、当該測定されたきずが欠陥であるか否かを判別するためには、測定感度を最適な値に設定するとともに、精度の高い測定を行う必要がある。このため、被測定材の健全部の底面エコーを用いて測定感度を調整する方法(底面エコー方式の感度調整方法)や、感度標準試験片または対比試験片を用いて測定感度を調整する方法(試験片方式の感度調整方法)などが行われる。
また、被測定材と探触子との位置関係が正確でないと、探傷の感度が低下することがある。このため、正確にかつ感度よく探傷するためには、被測定材と探触子との位置関係を正確に維持する必要がある。しかしながら実際には、被測定材と探触子との位置関係を正確に維持することが困難な場合がある。
たとえば、棒材などの長尺の被測定材を探傷する場合において、被測定材と探触子とを被測定材の長手方向に相対的に移動させながら、被測定材の複数の箇所を連続的にまたは間欠的に探傷する方法が用いられることがある。このような場合には、被測定材に曲がりや捻れが存在すると、被測定材と探触子との相対移動に伴って、被測定材と探触子との位置関係が変化する。そうすると、被測定材の位置によっては探傷感度が低下するおそれがある。
このため、被測定材と探触子との位置関係が変化した場合であっても、測定の感度低下を防止する構成が提案されている。たとえば特許文献1には、被測定材(被検体)が所定の位置から偏心した場合に、この偏心量に応じて感度補正を行う構成が開示されている。具体的には、表面エコーから被測定材と探触子との間の距離を測定して偏心量を求め、偏心量と感度の関係データにより、偏心量相当分の感度補正を行うものである。これはたとえば、探触子が受信したエコーのデータに、偏心量に応じた所定の補正係数を乗ずることにより、探傷感度を高める構成であると考えられる。このような構成によれば、被測定材(被検体)と探触子との位置関係が変化しても、探傷感度が低下することを防止できる。
しかしながら、探触子が受信したエコーデータを補正する構成では、探触子が受信したエコーデータに「きず」のエコーが含まれていなければ、このエコーデータを補正したとしても、当該「きず」を検出することはできない。すなわち、このような構成は、探触子が本来の探傷感度を有していたならば受信できたであろう「きず」のエコーを、探傷感度の低下により受信できなかった場合までは考慮されていない。加えて、エコーデータに補正係数を乗じても、ノイズ部分も増加するため、検出能は向上しない。
したがってこのような構成では、被測定材と探触子との位置関係の変化に起因する探触子の探傷感度の低下によって、本来であれば検出できるはずの(または検出すべき)「きず」が検出できないおそれがある。
特開平3−84454号公報
前記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、被測定材と探触子との位置関係が変化した場合であっても、高い感度で探傷を行うことができる超音波探傷装置および超音波探傷方法を提供すること、特に、被測定材と探触子との位置関係が変化した場合であっても、「きず」のエコーを高い感度で受信することができる超音波探傷装置および超音波探傷方法を提供すること、または「きず」のエコーの受信の感度の低下を防止もしくは抑制することができる超音波探傷装置および超音波探傷方法を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、超音波のセクタスキャン角度を設定して被測定材を超音波探傷する超音波探傷装置であって、超音波を送受信可能な超音波振動子が配列される配列形探触子と、前記配列形探触子と前記被測定材のズレ量を測定する偏心量測定手段と、前記被測定材のズレ量と送信した超音波のセクタスキャン角度と受信した超音波エコーの強度との関係を示すセクタスキャン角度テーブルを作成するセクタスキャン角度テーブル作成手段と、被測定材のズレ量を入力とし超音波エコーの強度が高くなるセクタスキャン角度を出力とするセクタスキャン角度関数を前記作成したセクタスキャン角度テーブルに基づいて導出するセクタスキャン角度関数導出手段と、を備え、前記セクタスキャン角度関数導出手段がセクタスキャン角度を導出した以後のセクタスキャン角度の制御として、前記偏心量測定手段が測定した被測定材のズレ量を前記セクタスキャン角度関数に入力し出力されたセクタスキャン角度に向けて前記配列形探触子が超音波を送信して探傷を行うことを要旨とするものである。
本発明において「セクタスキャン角度」とは、配列形探触子から真っ直ぐに超音波を送信したときの超音波ビームの軸線と、所定の角度をつけて超音波を送信したときの超音波ビームのなす角をいうものとする。
ここで、前記被測定材のズレ量は、前記配列形探触子が送信した超音波の表面エコーに基づいて算出される構成であってもよい。すなわち、前記配列形探触子が前記偏心量測定手段の機能を有する構成であってもよい。
本発明は、配列形探触子が送信する超音波のセクタスキャン角度を設定して被測定材を超音波探傷する超音波探傷方法であって、既知の位置に既知の寸法および形状の人工きずを有するセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材を用いて配列形探触子と前記セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材とのズレ量および配列形探触子が送信する超音波のセクタスキャン角度をさまざまに変えて超音波の送信および超音波エコーの受信を行う段階と、受信した超音波エコーに基づいてセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材のズレ量と送信された超音波のセクタスキャン角度と受信した超音波エコーの強度との関係を示すセクタスキャン角度テーブルを作成する段階と、作成したセクタスキャン角度テーブルに基づいて超音波探傷の対象である被測定材のズレ量を入力とし超音波エコーの強度が高くなるセクタスキャン角度を出力とするセクタスキャン角度関数を導出する段階と、を備えるとともに、前記セクタスキャン角度関数を導出した以後は、被測定材のズレ量を導出したセクタスキャン角度関数に入力し出力されたセクタスキャン角度に向けて超音波を送信して前記被測定材の探傷を行うことを要旨とするものである。
本発明によれば、超音波を送信する向き(すなわちセクタスキャン角度)は、被測定材の実際の偏心量に応じて決定される。セクタスキャン角度が、被測定材の実際の偏心量に応じて決定される構成であると、超音波エコーの強度が強くなるような向きに向けて超音波ビームを送信することができる。このため、感度の高い超音波エコーを受信することができる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置は、「フェイズドアレイ法」により被測定材の状態を測定し、被測定材に存在する異常な不連続部を検出することができる。なお、この「異常な不連続部」と、本発明においては「きず(表面きずおよび/または内部きず)」と称する。「きず」には、切欠、亀裂、気泡、介在物などが含まれる。
「フェイズドアレイ法」の超音波探傷装置および超音波探傷方法については、公知であることから、以下簡単に説明し、詳細な説明は省略する。フェイズドアレイ法を用いた超音波探傷装置および超音波探傷方法の詳細は、たとえばIntroduction to Phased Array Ultrasonic Technology Applications(OlympusNDT制作・頒布(2006年8月))などに開示されているとおりである。
フェイズドアレイ法の超音波探傷装置および超音波探傷方法には、配列形探触子が用いられる。配列形探触子は、超音波を送受信可能な複数の超音波振動子を有し、これら複数の超音波振動子が所定の方向に略直列に配列される。そして各超音波振動子が超音波を発信するタイミングを変更することができる。このような構成によれば、各超音波振動子の超音波の発信タイミングを調節することにより、複数の超音波振動子から発信される超音波の合成波(すなわち、各超音波振動子が発する超音波の包絡線が波面となるような超音波)を、任意の形状にすることができる。このためたとえば、配列形探触子からみて所定の距離および方向に焦点を有するような超音波を合成することができる。
図1は、本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置の構成を、模式的に示したブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置1は、配列形探触子101(「アレイ探触子」とも称する)と、偏心量測定手段120と、セクタスキャン角度設定手段103と、超音波パルス発生手段102と、超音波エコー受信手段104と、A/D変換手段105と、超音波エコー記憶手段106と、セクタスキャン角度テーブル作成手段107と、セクタスキャン角度テーブル記憶手段108と、セクタスキャン角度関数導出手段109と、セクタスキャン角度記憶手段110と、を備える。
配列形探触子(アレイ探触子)101は、それぞれ独立して動作可能な所定の数の超音波振動子1011を備える。各超音波振動子1011は、超音波の送受信が可能な素子である。これらの超音波振動子1011には、たとえば水晶やセラミックスなどの、公知の各種超音波振動子が適用できる。これらの超音波振動子1011は、超音波探傷の対象物である被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3。セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3については後述する。)の表面に対向するように配列される。
そして複数の配列形探触子101(図1においては省略)が、被測定材2の外周を取り囲むように配列される。このような構成によれば、被測定材2の全周から超音波を送信して探傷を行うことができる。これらの複数の配列形探触子101は、たとえば被測定材2の長手方向(軸線方向)にずらして配設される。複数の配列形探触子101が被測定材2の長手方向にずらして配設されると、配列形探触子101どうしで超音波の干渉が発生することを防止できる。
配列形探触子101と被測定材2との間には、水などの媒体の層111が形成されている。この媒体の層111によって、配列形探触子101(すなわち、各超音波振動子1011)と被測定材2とが音響結合する。この媒体の層111(すなわち音響結合の媒体)としては、水のほかに、マシン油やグリセリン、あるいは個体の媒体などが適用できる。
偏心量測定手段120は、被測定材2の偏心量を測定することができる。ここで「偏心量」とは、超音波探傷を実施する際における被測定材2の正しい位置からのズレ量をいうものとする。たとえば、被測定材2の断面形状が略円形であり、配列形探触子101に円弧状に超音波振動子1011が配列されている場合には、被測定材2の中心と、超音波振動子1011が形成する円弧の曲率中心とが一致する位置からの被測定材のズレ量をいうものとする。特に偏心量測定手段120は、被測定材2の長手方向(図1においてはZ軸方向)および超音波ビームの進行方向(図1においてはX軸方向)に直角な方向(図1においてはY軸方向)の成分を測定することができる。なお、以下、「偏心量のY軸方向成分」という場合には、被測定材2の偏心量のうち、被測定材2の長手方向および超音波ビームの進行方向に略直角な方向の成分をいうものとする。
この偏心量測定手段120には、公知の各種変位計が適用できる。たとえば超音波変位計やレーザ変位計などが適用できる。また、配列形探触子101が偏心量測定手段120の機能を有する構成であってもよい。配列形探触子101により超音波の送受信を行うと、超音波を送信してから被測定材2の表面エコーを受信するまでの時間に基づいて、配列形探触子101と被測定材2の表面までの距離を算出することができる。したがって、配列形探触子101によって、偏心量を測定することができる。このように、配列形探触子101のほかに別個の偏心量測定手段120を設ける構成のほか、配列形探触子101が偏心量測定手段120の機能を有する構成であってもよい。
セクタスキャン角度設定手段103は、配列形探触子101が有する各超音波振動子1011を励振するタイミングを設定することにより、セクタスキャン角度を所定の角度に設定することができる。図2はセクタスキャン角度を模式的に示した図である。図2に示すように、フェイズドアレイ法の超音波探傷装置および超音波探傷方法によれば、各超音波振動子1011の励振のタイミングを設定することにより、配列形探触子101からみて所定の距離および方向に焦点を有するような超音波ビームを合成することができる。本発明において、「セクタスキャン角度」とは、配列形探触子から真っ直ぐに超音波を送信したときの超音波ビームBの軸線と、所定の角度をつけて超音波を送信したときの超音波ビームのなす角θをいうものとする。
図1に戻って説明すると、超音波パルス発生手段102は、セクタスキャン角度設定手段103が設定したタイミングで超音波パルスを生成し、各超音波振動子1011を、設定した所定のタイミングで励振することができる。励振された各超音波振動子1011は、外部(すなわち被測定材2またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)に向けて超音波を送信することができる。
また、配列形探触子101に設けられる各超音波振動子1011は、超音波エコーを受信することができる。超音波エコー受信手段104は、各超音波振動子1011が受信した超音波エコーを増幅することができる。A/D変換手段105は、各超音波振動子1011が受信して超音波エコー受信手段104が増幅した超音波エコーの値を、アナログ値からディジタル値に変換することができる。超音波エコー記憶手段106は、受信した超音波エコーを記憶することができる。
セクタスキャン角度テーブル作成手段107は、超音波エコー記憶手段106に記憶される超音波エコーと、セクタスキャン角度設定手段103が設定したセクタスキャン角度と、偏心量測定手段120が測定した被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分とに基づいて、セクタスキャン角度テーブルを作成する。
セクタスキャン角度テーブルは、受信した超音波エコーの強度と、被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分および送信した超音波のセクタスキャン角度との関係を示したテーブルである。図3は、セクタスキャン角度テーブルの一例を示す。図3に示すように、セクタスキャン角度テーブルは、横軸に被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分をとり、縦軸に送信した超音波のセクタスキャン角度をとるテーブルである。そして、黒色は超音波エコー強度が0%、白色は超音波エコーの強度が100%であることを示し、中間の値はグレースケールで示す。ここで、キャリブレーション用のきず(人工きず)が正しい位置にあり、セクタスキャン無しの状況下において、キャリブレーション用のきずの超音波エコーの強度を100%とする。
このセクタスキャン角度テーブルは、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3を用いることにより作成される。セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3は、実際に探傷を行う被測定材と略同一の断面形状および寸法を有するとともに、所定の既知の位置に所定の既知の寸法および形状の人工きず(たとえば孔など)が形成される被測定材である。このセクタスキャン角度テーブルは、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3の偏心量のY軸方向成分およびセクタスキャン角度をさまざまに変化させて超音波探傷を行い、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3の偏心量のY軸方向成分およびセクタスキャン角度ごとに超音波エコーの強度をプロットすることにより得られる。
なお、図3に示すセクタスキャン角度テーブルは、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3の偏心量のY軸方向成分およびセクタスキャン角度ごとの超音波エコーの強度を、階調で表現しているが、セクタスキャン角度テーブルは、このような構成に限定されるものではない。たとえば、超音波エコーの強度を等高線で表したグラフのようなものであってもよい。
このセクタスキャン角度テーブルを参照すると、被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分の値ごとに、セクタスキャン角度をどのような値とすれば、超音波エコーの強度が強くなるかを見出すことができる。換言すると、偏心量のY軸成分の値ごとに、超音波エコーの強度が強くなるようなセクタスキャン角度を見出すことができる。
セクタスキャン角度テーブル記憶手段108は、セクタスキャン角度テーブル作成手段107が作成したセクタスキャン角度テーブルを記憶することができる。
セクタスキャン角度関数導出手段109は、セクタスキャン角度テーブル記憶手段108が記憶するセクタスキャン角度テーブルに基づいて、セクタスキャン角度関数を作成することができる。
このセクタスキャン角度関数は、被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分の値を入力値(定義域)とし、セクタスキャン角度を出力値(値域)とする関数である。そしてこのセクタスキャン角度関数は、被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分の値が入力されると、当該入力された被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分の値について、最も超音波エコーの強度が高くなるようなセクタスキャン角度を出力する。
セクタスキャン角度関数の導出方法は次のとおりである。作成されたセクタスキャン角度テーブルにおいて、被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分の値ごとに、超音波エコーの強度が最も高くなるようなセクタスキャン角度を選択する。そして、選択したセクタスキャン角度を最もよく表している関数を導出する。すなわち、セクタスキャン角度テーブル上において、測定材の偏心量のY軸方向成分の値ごとに、超音波エコーの強度が最も高くなるようなセクタスキャン角度をプロットし、プロットされた各点(セクタスキャン角度)を結ぶような線を描く。そしてこの描いた線をよく表しているような関数を推測する。この関数の導出方法には、最小二乗法など、公知の各種関数を推測する方法が適用できる。
なお、この関数の推定方法は、得られたセクタスキャン角度テーブルのプロットに応じて適当な方法を選択すればよく、特定の方法に限定されるものではない。また、推定される関数の種類も限定されるものではない。
セクタスキャン角度関数記憶手段110は、セクタスキャン角度関数導出手段109が導出したセクタスキャン角度関数を記憶することができる。
そして、セクタスキャン角度設定手段103は、セクタスキャン角度関数(セクタスキャン角度関数記憶手段110に記憶される)に、偏心量測定手段120が測定した被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分の値を入力し、その出力結果をセクタスキャン角度の設定値とすることができる。そして、超音波パルス発生手段102は、セクタスキャン角度設定手段103がセクタスキャン角度関数に基づいて設定したタイミングで超音波パルスを生成し、各超音波振動子1011を設定した所定のタイミングで励振する。励振された各超音波振動子1011は、外部(すなわち被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3))に向けて超音波を送信する。
このような構成によれば、セクタスキャン角度は、偏心量測定手段120が測定した被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量のY軸方向成分を、セクタスキャン角度関数記憶手段110が記憶するセクタスキャン角度関数に代入することにより得られる。セクタスキャン角度関数は、入力した被測定材2(またはセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3)の偏心量(のY軸方向成分)に対して、超音波エコーの強度が最も高くなるようなセクタスキャン角度を出力する関数である。このため、セクタスキャン角度を、セクタスキャン角度関数により算出された値に設定すれば、超音波エコーの受信強度が高い方向に向けて超音波を送信することができる。したがって、被測定材が偏心した場合であっても、超音波エコーの受信感度の向上を図ることができる。
なお、超音波エコー記憶手段106、セクタスキャン角度テーブル作成手段107、セクタスキャン角度テーブル記憶手段108、セクタスキャン角度関数導出手段109、セクタスキャン角度関数記憶手段110は、たとえばパーソナルコンピュータによって具現化される。
次に、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法について説明する。本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法は、本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置を用いて実現できる。本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法は、第一段階と第二段階とに分けられる。第一段階は、セクタスキャン角度関数を導出し、記憶する段階である。第二段階は導出したセクタスキャン角度関数を用いて被測定材2の探傷を行う段階である。
図4は、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法の第一段階の処理の流れを示したフローチャートである。第一段階においては、まず、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3(所定の人工きずが形成される被測定材)を用い、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3の偏心量のY軸方向成分とセクタスキャン角度とを様々に変えて超音波の送受信を行う。そしてその結果から、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3の偏心量のY軸方向成分およびセクタスキャン角度ごとの超音波エコーの受信強度を算出し、セクタスキャン角度テーブルを作成する。そして作成したセクタスキャン角度テーブルに基づいてセクタスキャン角度関数を導出する。
セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3は、前記のように、実際に探傷を行う対象である被測定材2と略同一の形状および寸法を有する。そしてその内部の所定の位置には、所定の形状および寸法の人工きずが形成される。
ステップS1−1においては、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3が、本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置1にセッティングされて位置合わせされる。具体的には、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3が、配列形探触子101に対して所定の偏心量(のY軸方向成分)を有するように位置合わせされる。
ステップS1−2からステップS1−5にかけては、所定の偏心量(のY軸成分)を有するように位置合わせされたセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3に対して、セクタスキャン角度を様々に変えて超音波探傷(すなわち超音波の送受信)を行う。そして受信した超音波エコーを蓄積的に記憶していく。具体的には、ステップS1−2において、配列形探触子101の各超音波振動子1011は、位置合わせされたセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3に対して超音波を送信し、超音波エコーを取得する。ステップS1−3において、超音波エコー記憶手段106は、各超音波振動子1011が受信した超音波エコーを記憶する。そしてステップS1−4において、所定のすべてのセクタスキャン角度について超音波エコーの記憶が完了したかが判定される。まだ完了していない場合には(ステップS1−4において「No」)、ステップS1−5において、セクタスキャン角度を変更し、ステップS1−2およびステップS1−3の処理を行う。
そして、ある偏心量について、すべてのセクタスキャン角度の超音波エコーを取得し記憶した場合には(ステップS1−4において「Yes」)、ステップS1−6において、所定の範囲内のすべての偏心量についての超音波エコーを取得したか否かが判断される。まだすべての偏心量についての超音波エコーの取得が完了していない場合には、ステップS1−7に進み、偏心量を変更し、ステップS1−1に戻る。そして変更した偏心量について、ステップS1−2からステップS1−5の処理を行う。
所定の範囲内のすべての偏心量について、セクタスキャン角度を様々に変えた超音波エコーを取得した場合には(ステップS1−6において「Yes」)、ステップS1−8に進む。ステップS1−8においては、取得した超音波エコーに基づいて、セクタスキャン角度テーブル作成手段107がセクタスキャン角度テーブルを作成する。そして、作成されたセクタスキャン角度テーブルは、ステップS1−9において、セクタスキャン角度テーブル記憶手段108に記憶される。
ステップS1−10において、セクタスキャン角度関数導出手段109は、セクタスキャン角度記憶手段108が記憶するセクタスキャン角度テーブルに基づいて、セクタスキャン角度関数を導出する。セクタスキャン角度関数の導出方法は次の通りである。作成されたセクタスキャン角度テーブルにおいて、被測定材の偏心量のY軸方向成分の値ごとに、超音波エコーの強度が最も高くなるようなセクタスキャン角度を選択する。そして、選択したセクタスキャン角度を最もよく表している関数を導出する。すなわち、セクタスキャン角度テーブル上において、測定材の偏心量のY軸方向成分の値ごとに、超音波エコーの強度が最も高くなるようなセクタスキャン角度をプロットし、プロットされた各点(セクタスキャン角度)を結ぶような線を描く。そしてこの描いた線をよく表しているような関数を推測する。この関数の導出方法には、最小二乗法など、公知の各種関数を推測する方法が適用できる。
セクタスキャン角度関数導出手段109が導出したセクタスキャン角度関数は、ステップS1−11において、セクタスキャン角度関数記憶手段110に記憶される。記憶されたセクタスキャン角度関数は、セクタスキャン角度設定手段103により読み出すことができる。
このように、第一段階においては、セクタスキャン角度関数が導出されて記憶される。次いで、第二段階について説明する。第二段階は、実際の探傷の対象である被測定材2に対して超音波探傷を行う段階である。本実施形態にかかる超音波探傷方法においては、被測定材2と配列形探触子101とが被測定材の長手方向に沿って相対的に移動しながら、連続的にまたは間欠的に超音波探傷を行う。
ステップS2−1においては、偏心量測定手段120が被測定材2の偏心量を測定し、被測定材2の偏心量のY軸方向成分を算出する。ステップS2−2において、算出した被測定材の偏心量のY軸方向成分を、第一段階において導出し記憶されているセクタスキャン角度関数に代入する。この処理により、入力した被測定材の偏心量のY軸方向成分に対して、超音波エコーの受信感度が最も高くなるようなセクタスキャン角度が算出される。セクタスキャン角度設定手段103は、配列形探触子101から送信される超音波が、算出されたセクタスキャン角度となるように、セクタスキャン角度を設定する。そしてステップS2−4において、設定されたセクタスキャン角度で超音波を送信し、超音波探傷を行う。
このような構成によれば、セクタスキャン角度は、偏心量測定手段120が測定した被測定材2の実際の偏心量のY軸方向成分に基づいて算出されることになる。このため、被測定材2に曲がりや捻れがあった場合であっても、これらに追随して超音波エコーの受信感度が高くなるような角度に超音波を送信することができる。したがって、被測定材2が偏心した場合(被測定材に曲がりや捻れがあり、配列形探触子101と被測定材2との位置関係が変化した場合)であっても、超音波エコーの受信感度の向上を図ることができる。
前記実施形態においては、セクタスキャン角度関数を、被測定材の偏心量のY軸方向成分を入力値とする関数としたが、セクタスキャン角度関数はこのような関数に限定されるものではない。たとえば、被測定材2が断面略円形の材料である場合には、被測定材2の直径と偏心量のY軸方向成分を入力値とする関数としてもよい。このような構成であれば、一つの関数で種々の径の被測定材2に対応することができる。たとえば種々の径のセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材3を用い、各径ごとにセクタスキャン角度テーブルを作成し、被測定材の径ごとに偏心量のY軸方向成分とセクタスキャン角度との関係(関数の傾き)を求める。そして各被測定材の径に対する関数の傾きの関係を求める。この関係より、実験的な関数を導出できる。
具体的には、まず、被測定材の偏心量のY軸方向成分の値と各セクタスキャン角度に信号強度をプロットしたグラフにおいて、各偏心量のY軸方向成分の値と各セクタスキャン角度における信号強度ピークをプロットし、それらを繋ぐ。これにより得られる各被測定材の径ごとのセクタスキャン角度関数を一次関数とすると、これらの一次関数式の傾きは、φ25mmにおいては傾きが16、φ45mmにおいては傾きが10.1、φ60mmにおいては傾きが5.71となった。これらより、横軸に各被測定材の径をとり、縦軸に各被測定材の前記一次関数の傾きの値をとるグラフをプロットする。そうすると、(一次関数の傾き)=−0.294×(被測定材の径(mm))+23.35が得られる。すなわち、一次関数(セクタスキャン角度関数)の傾きが、被測定材の径を入力値とする関数で与えられる。したがって、全体とすると、(セクタスキャン角度(DEG))=(−0.294×(被測定材の径(mm))+23.35)×(偏心量のY軸方向成分の値(mm))が得られる。
次いで、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例にかかる超音波探傷装置は、断面が略円形の円柱状の被測定材を探傷することができる構成を有する。具体的には、被測定材の表面に沿うように円弧状に超音波振動子が配列される8組の配列形探触子を有する。そして、これらの8組の配列形探触子が、被測定材の全周を取り囲むように配設される。これにより、本発明の実施例にかかる超音波探傷装置は、全体として、被測定材の全周から超音波探傷を行うことができる。なお、各配列形探触子が発する超音波どうしの干渉を防止するため、各配列形探触子は、被測定材の軸線方向(長手方向)にずらして配設される。
本発明の実施例においては、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材として、材質がS25Cでφ60mmの円柱状の鋼材が用いられる。その中心には、φ0.3mmの孔が人工きずとして形成される。
図4を参照して説明すると、ステップS1−1において、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材が、本発明の実施例にかかる超音波探傷装置にセッティングされて位置合わせされる。具体的には、セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材偏心量が、Y軸方向に−2.5mm〜+2.5mmの範囲において0.2mmごとに位置合わせされる。
ステップS1−2からステップS1−5にかけては、前記の範囲内で所定の偏心量(のY軸方向成分)を有するように位置合わせされたセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材に対して、セクタスキャン角度をさまざまに変えて超音波探傷を行う。具体的には、セクタスキャン角度を−20°〜+20°の範囲において1°ごとに変えて超音波探傷を行う。
このように、ステップS1−1からステップS1−7にかけて、偏心量(のY軸方向成分)を−2.5mm〜+2.5mmの範囲で0.2mmごとに変更し、セクタスキャン角度を−20°〜+20°の範囲で1°ごとに変更して、超音波探傷を行う。そして、これらのそれぞれの超音波エコーを受信し記憶する。
そしてステップS1−8において、記憶した超音波エコーに基づいてセクタスキャン角度テーブルを作成する。図6は作成されたセクタスキャン角度テーブルを示す。図6に示すように、偏心量(のY軸方向成分)が0mmの場合にはセクタスキャン角度を0°とすると超音波エコーは最も高くなる。また、偏心量(のY軸方向成分)の絶対値が大きくなるにしたがって、セクタスキャン角度を比例的に大きくすると、強い超音波エコーが取得できるという傾向がみられる。
作成されたセクタスキャン角度テーブルは、ステップS1−9において、セクタスキャン角度テーブル記憶手段に記憶される。そしてステップS1−10において、セクタスキャン角度関数導出手段は、セクタスキャン角度記憶手段が記憶するセクタスキャン角度テーブルに基づいて、セクタスキャン角度関数を導出する。図6に示すように、作成されたセクタスキャン角度テーブルに、超音波エコー強度が高い点を結ぶような線を描く。この線が、セクタスキャン角度関数となる。本発明の実施例においては、セクタスキャン角度関数F(x)としてF(x)=5.71x(xは偏心量のY軸方向成分)が得られた。
セクタスキャン角度関数導出手段が導出したセクタスキャン角度関数は、ステップS1−11において、セクタスキャン角度関数記憶手段に記憶される。
次いで、実際に超音波探傷を行った結果について説明する。図7は、実際に探傷を行った結果を示したグラフであり、(a)は、セクタスキャン角度を0度に設定したもの、(b)はセクタスキャン角度をセクタスキャン角度関数により算出した値に設定したものである。前記セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材を用い、偏心量(のY軸方向成分)を1.5mmに設定して実際に探傷を行った。セクタスキャン角度関数F(x)はF(x)=5.71x(xは偏心量のY軸方向成分)であるから、セクタスキャン角度関数により算出されるセクタスキャン角度は、偏心量のY軸方向成分が1.5mmに設定された場合には、8.6°(=5.71×1.5)となる。そこで、セクタスキャン角度を8°に設定して超音波探傷を実施した。
図7(a)に示すように、セクタスキャン角度を0度に設定して超音波の送受信を行った場合には、人工きずのエコーは22%となった。これに対して、セクタスキャン角度を8°に設定して超音波の送受信を行った場合には、人工きずのエコーは59%となった。このように、セクタスキャン角度をセクタスキャン角度関数に基づいて設定して超音波の送受信を行うと、超音波エコーが高くなることが確認された。
図8は、セクタスキャン角度関数に基づいてセクタスキャン角度を設定した場合における超音波エコーの強度と、セクタスキャン角度を0°に設定した場合の超音波エコーの強度を示したグラフである。図8に示すように、セクタスキャン角度をセクタスキャン角度関数に基づいて設定して超音波の送受信を行った場合には、被測定材の偏心量のY軸方向成分が大きくなっても、超音波エコーは50%以上の高い値を示している。これに対して、被測定材の偏心量のY軸方向成分の変化にかかわらずセクタスキャン角度を0°に維持して超音波の送受信を行った場合には、被測定材の偏心量のY軸方向成分が大きくなるにしたがって、超音波エコーが20%よりも小さくなる。
このように、セクタスキャン角度関数に基づいてセクタスキャン角度を設定して超音波探傷を行うと、セクタスキャン角度を一定に維持する場合に比較して、被測定材の偏心量のY軸方向成分が大きくなっても、超音波エコーの受信感度が小さくなることを抑制できる。このため、被測定材の偏心量のY軸方向成分が大きくなっても、高い感度で超音波探傷を行うことができる。
以上、本発明の各種実施形態および実施例について説明したが、本発明は、前記実施形態または実施例に何ら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能であることはいうまでもない。
たとえば、前記実施形態および実施例においては、被測定材が断面略円形の柱状体に適用する構成を示したが、被測定材の断面形状は略円形に限定されるものではない。たとえば楕円、その他の曲面、多角形など、任意の断面形状の被測定材に適用できる。そしてその場合には、配列形探触子を被測定材の表面に対向するような形状にすればよく、より好ましくは配列形探触子を被測定材の表面に沿うような形状にすればよい。
図9は、本発明を角柱状の被測定材の超音波探傷に適用した構成を模式的に示した断面図である。それぞれ(a)は配列形探触子101’と被測定材2’の位置関係が正しい状態を示し、(b)は被測定材2’が配列形探触子101’に対してY軸方向(矢印Yの向き)に偏心している状態を示す。
図9(a)に示すように、配列形探触子101’と被測定材2’とが正しい位置関係にある場合に、超音波ビームのセクタスキャン角度を0°に設定すると、きず201のエコーが高くなる。これに対して、図9(b)に示すように、被測定材2’が配列形探触子101’に対してY軸方向に偏心していると、超音波ビームBはきず201を充分に捉えることができず、きず201のエコー強度が低くなおそれがある。そこで、本発明のように、セクタスキャン角度関数に基づいてセクタスキャン角度ηを設定すると、超音波ビームB’はきず201を充分に捉えることができるようになり、きず201のエコー強度が高くなる。したがって、高い感度で超音波探傷を実施することができる。
このように、被測定材の断面形状は限定されるものではなく、本発明は種々の断面形状を有する被測定材に適用できる。
本実施形態および本実施例においては、被測定材の偏心量に応じてセクタスキャンを行うフェイズドアレイ法について説明したが、アレイ探触子が取得した被測定材内部の信号強度を後に再合成して、所定のセクタスキャン角度での探傷を行うダイナミックフォーカス法を用いてもよい。
また、本実施形態および本実施例においては、配列形探触子と被測定材とは同心円となる構成を採ったが、必ずしも同心円で構成する必要はない。
本発明の第一実施形態にかかる超音波探傷装置の構成を模式的に示したブロック図である。 セクタスキャン角度の概念を模式的に示した断面図である。 セクタスキャン角度テーブルの一例を示した図である。 本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法の第一段階の処理の流れを示したフローチャートである。 本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法の第二段階の処理の流れを示したフローチャートである。 本発明の実施例にかかるセクタスキャン角度テーブルとセクタスキャン角度関数を示した図である。 本発明の実施例にかかる超音波エコーの一例を示したグラフであり、(a)はセクタスキャン角度を0°に設定した場合の超音波エコーを示し、(b)はセクタスキャン角度をセクタスキャン角度関数に基づいて設定した場合の超音波エコーを示す。 セクタスキャン角度をセクタスキャン角度関数に基づいて設定した場合の超音波エコーの強度と、一定(=0°)に設定した場合の超音波エコーの強度を示したグラフである。 本発明の変形例を模式的に示した断面図であり、(a)は配列形探触子と被測定材とが正しい位置関係にある状態を示し、(b)は被測定材が偏心した状態を示す。
符号の説明
1 本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置
101 配列形探触子
102 超音波パルス発生手段
103 セクタスキャン角度設定手段
104 超音波エコー受信手段
105 A/D変換手段
106 超音波エコー記憶手段
107 セクタスキャン角度テーブル作成手段
108 セクタスキャン角度テーブル記憶手段
109 セクタスキャン角度関数導出手段
110 セクタスキャン角度関数記憶手段
120 偏心量測定手段
2 被測定材
3 セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材

Claims (3)

  1. 超音波のセクタスキャン角度を設定して被測定材を超音波探傷する超音波探傷装置であって、
    超音波を送受信可能な超音波振動子が配列される配列形探触子と、
    前記配列形探触子と前記被測定材のズレ量を測定する偏心量測定手段と、
    前記被測定材のズレ量と送信した超音波のセクタスキャン角度と受信した超音波エコーの強度との関係を示すセクタスキャン角度テーブルを作成するセクタスキャン角度テーブル作成手段と、
    前記作成したセクタスキャン角度テーブルに基づいて被測定材のズレ量を入力とし超音波エコーの強度が高くなるセクタスキャン角度を出力とするセクタスキャン角度関数を導出するセクタスキャン角度関数導出手段と、
    を備え、
    前記セクタスキャン角度関数導出手段がセクタスキャン角度を導出した以後のセクタスキャン角度の制御として、前記偏心量測定手段が測定した被測定材のズレ量を前記セクタスキャン角度関数に入力し出力されたセクタスキャン角度に向けて前記配列形探触子が超音波を送信して探傷を行うことを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 前記被測定材のズレ量は、前記配列形探触子が送信した超音波の表面エコーに基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置。
  3. 配列形探触子が送信する超音波のセクタスキャン角度を設定して被測定材を超音波探傷する超音波探傷方法であって、
    既知の位置に既知の寸法および形状の人工きずを有するセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材を用いて配列形探触子と前記セクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材とのズレ量および配列形探触子が送信する超音波のセクタスキャン角度をさまざまに変えて超音波の送信および超音波エコーの受信を行う段階と、
    受信した超音波エコーに基づいてセクタスキャン角度テーブル作成用の被測定材のズレ量と送信された超音波のセクタスキャン角度と受信した超音波エコーの強度との関係を示すセクタスキャン角度テーブルを作成する段階と、
    作成したセクタスキャン角度テーブルに基づいて超音波探傷の対象である被測定材のズレ量を入力とし超音波エコーの強度が高くなるセクタスキャン角度を出力とするセクタスキャン角度関数を導出する段階と、
    を備えるとともに、
    前記セクタスキャン角度関数を導出した以後は、被測定材のズレ量を導出したセクタスキャン角度関数に入力し出力されたセクタスキャン角度に向けて超音波を送信して前記被測定材の探傷を行うことを特徴とする超音波探傷方法。
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