JP2007147544A - 超音波探傷方法および超音波探傷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検査材ごとの異なる断面寸法に拘わらず、微小な内部欠陥を確実に検出できる超音波探傷方法、およびこれに用いる超音波探傷装置を提供する。
【解決手段】アレイ探触子2,10を用いると共に、内部の欠陥を検出すべき鋼材(被検査材)Wのうち、断面寸法が大きな鋼材Wに対しては、垂直探傷法と斜角探傷法とを併用するギャップ法を適用し、断面寸法が小さな鋼材Wに対しては、局部水浸法を適用する、超音波探傷方法。また、内部の欠陥を検出すべき鋼材Wを回転可能に支持する複数組のローラRと、上記鋼材Wの表面に水膜を介して配置される上記ギャップ法用のアレイ探触子2と、上記鋼材Wの表面に水室(14)を介して配置される局部水浸法用のアレイ探触子10と、を含む、超音波探傷装置1も含まれる。
【選択図】 図1
【解決手段】アレイ探触子2,10を用いると共に、内部の欠陥を検出すべき鋼材(被検査材)Wのうち、断面寸法が大きな鋼材Wに対しては、垂直探傷法と斜角探傷法とを併用するギャップ法を適用し、断面寸法が小さな鋼材Wに対しては、局部水浸法を適用する、超音波探傷方法。また、内部の欠陥を検出すべき鋼材Wを回転可能に支持する複数組のローラRと、上記鋼材Wの表面に水膜を介して配置される上記ギャップ法用のアレイ探触子2と、上記鋼材Wの表面に水室(14)を介して配置される局部水浸法用のアレイ探触子10と、を含む、超音波探傷装置1も含まれる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被検査材である鋼材の内部欠陥の有無やその位置を検出するアレイ探触子を用いる超音波探傷方法、およびこれに用いるアレイ探触子を使用した超音波探傷装置に関する。
一般に、被検査材の内部欠陥を非破壊で検出するため、超音波探触子をホルダ内に装着し、係るホルダを被検査材に接近させ、上記探触子と被検査材の表面との間の距離を一定に保ちながら探傷する超音波探傷法が広く行われている。
例えば、レールなどの形鋼の内部欠陥を検出するため、複数のアレイ探蝕子ごとにおける振動子の励振タイミングを所定時間ずつずらしながら振動させて、上記アレイ探蝕子の表面に直角からある角度をもった進行方向の超音波を発生させ、係る超音波の1回の照射ごとに、形鋼の断面形状に合わせて欠陥ゲートの設定を行う超音波探傷方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、レールなどの形鋼の内部欠陥を検出するため、複数のアレイ探蝕子ごとにおける振動子の励振タイミングを所定時間ずつずらしながら振動させて、上記アレイ探蝕子の表面に直角からある角度をもった進行方向の超音波を発生させ、係る超音波の1回の照射ごとに、形鋼の断面形状に合わせて欠陥ゲートの設定を行う超音波探傷方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、製鋼工程では、各種サイズの鋼材の品質を保証するため、垂直探傷法と斜角探傷法との組み合わせにより、上記鋼材における全ての断面について、超音波探傷法をインラインで行っている。
ところで、上記鋼材が太径の場合、その表面から断面の中心部付近までの距離が長いことや、低鍛錬比による結晶粒径が比較的大きいことなどに起因して、超音波(振幅)の減衰が著しいため、結晶粒界に阻止されにくい比較的低周波数の超音波を用いている。その結果、検出すべき限界欠陥径が大きくなるため、信頼性に乏しくなる、という問題点があった。
一方、検出すべき限界欠陥径を小さくして検出能を高めるには、高い周波数の超音波を用いれば良いが、係る超音波の減衰が大きくなるため、探傷可能な範囲が小さくなり、太径の鋼材の探傷法には適用しにくい、という問題点もあった。
ところで、上記鋼材が太径の場合、その表面から断面の中心部付近までの距離が長いことや、低鍛錬比による結晶粒径が比較的大きいことなどに起因して、超音波(振幅)の減衰が著しいため、結晶粒界に阻止されにくい比較的低周波数の超音波を用いている。その結果、検出すべき限界欠陥径が大きくなるため、信頼性に乏しくなる、という問題点があった。
一方、検出すべき限界欠陥径を小さくして検出能を高めるには、高い周波数の超音波を用いれば良いが、係る超音波の減衰が大きくなるため、探傷可能な範囲が小さくなり、太径の鋼材の探傷法には適用しにくい、という問題点もあった。
本発明は、前記背景技術において説明した問題点を解決し、被検査材ごとの異なる断面寸法に拘わらず、微小な内部欠陥を確実に検出できるアレイ探触子を用いる超音波探傷方法、およびこれに用いるアレイ探触子を使用した超音波探傷装置を提供する、ことを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するため、発明者らの鋭意研究および調査の結果、探傷すべき被検査材の断面寸法に応じて、異なる超音波探傷法を使い分けることで、小さな径の内部欠陥を確実に検出する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の超音波探傷方法(請求項1)は、アレイ探触子を用いると共に、内部の欠陥を検出すべき被検査材のうち、断面寸法が大きな被検査材に対しては、垂直探傷法と斜角探傷法とを併用するギャップ法を適用し、断面寸法が小さな被検査材に対しては、局部水浸法を適用する、ことを特徴とする。
即ち、本発明の超音波探傷方法(請求項1)は、アレイ探触子を用いると共に、内部の欠陥を検出すべき被検査材のうち、断面寸法が大きな被検査材に対しては、垂直探傷法と斜角探傷法とを併用するギャップ法を適用し、断面寸法が小さな被検査材に対しては、局部水浸法を適用する、ことを特徴とする。
これによれば、被検査材が太径などの大きな断面寸法の場合には、係る被検査材の表面に接近させたアレイ探触子による垂直探傷法と斜角探傷法とを併用するギャップ法が適用され、細径などの小さな断面寸法の場合には、上記被検査材の表面に水を介して、アレイ探触子を配設する局部水浸法が適用される。このため、太径などの被検査材の場合、次述するように、断面の周辺部と中心部とで、垂直探傷法と斜角探傷法とを使い分けることにより、比較的高い周波数の超音波により、上記鋼材の断面全体における微小な内部欠陥を確実に検出できる。一方、細径などの被検査材の場合、局部水浸法により、表層からのノイズや表層部の不感帯を低減できるため、上記被検査材の断面全体における微小な内部欠陥を正確に検出することが可能となる。
また、本発明には、前記ギャップ法は、前記断面寸法が大きな被検査材の周辺部に対し垂直探傷法を行えると共に、係る被検査材における断面の中心部側に対し斜角探傷法を行えるアレイ探触子を用いる、超音波探傷方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、断面寸法の大きな被検査材の中心部を垂直探傷法により、表面寄りの周辺部を斜角探傷法により、係る被検査材に含まれ得る微小な内部欠陥を正確に検出できるため、被検査材の検査効率および保証精度を向上させることができる。
これによれば、断面寸法の大きな被検査材の中心部を垂直探傷法により、表面寄りの周辺部を斜角探傷法により、係る被検査材に含まれ得る微小な内部欠陥を正確に検出できるため、被検査材の検査効率および保証精度を向上させることができる。
一方、本発明の超音波探傷装置(請求項3)は、内部の欠陥を検出すべき被検査材の表面に水膜を介して配置され且つ垂直探傷法および斜角探傷法を併用できるギャップ法用のアレイ探触子と、上記被検査材の表面に水室を介して配置される局部水浸法用のアレイ探触子と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、上記各アレイ探触子を併有することで、検査すべき被検査材である鋼材の断面寸法に応じて、ギャップ法と局部水浸法とを、同じ検査工程で使い分けることができる。従って、検査効率が高められると共に、超音波探傷装置の設置スペースを少なくし且つ有効活用することが可能となる。
これによれば、上記各アレイ探触子を併有することで、検査すべき被検査材である鋼材の断面寸法に応じて、ギャップ法と局部水浸法とを、同じ検査工程で使い分けることができる。従って、検査効率が高められると共に、超音波探傷装置の設置スペースを少なくし且つ有効活用することが可能となる。
また、本発明には、内部の欠陥を検出すべき被検査材の表面に接する水を貯溜する水室と、係る水室における上記被検査材と反対側の奥側のホルダに組み込まれるアレイ探触子と、を含み、上記水室の側壁には、上記アレイ探触子から発信される超音波の発信方向にほぼ沿った凹凸が形成されている、超音波探傷装置(請求項4)も含まれる。
上記水室の側壁に形成する凹凸は、凹溝と凸条とを交互に連設したものであり、これらの断面は、へ字形とV字形との組からなるネジ形状や、ほぼ半円形で交互に逆向きの組からなる波形状が含まれる。係る断面形状を有することにより、水室内での乱反射を低減し、SN比を向上させることができる。
上記水室の側壁に形成する凹凸は、凹溝と凸条とを交互に連設したものであり、これらの断面は、へ字形とV字形との組からなるネジ形状や、ほぼ半円形で交互に逆向きの組からなる波形状が含まれる。係る断面形状を有することにより、水室内での乱反射を低減し、SN比を向上させることができる。
付言すれば、前記ギャップ法は、アレイ探触子を用い、前記被検査材の表面に対し、垂直に発信する垂直超音波と、左右対称の斜め方向に個別に発信する2つの斜角超音波と、を交互に発信するものである、超音波探傷方法も本発明に含まれ得る。
これによる場合、太径の被検査材における断面全体の欠陥を漏れなく確実に検出することが可能となる。また、大きな断面寸法の被検査材における断面全体の欠陥を漏れなく確実に検出することが可能となる。
これによる場合、太径の被検査材における断面全体の欠陥を漏れなく確実に検出することが可能となる。また、大きな断面寸法の被検査材における断面全体の欠陥を漏れなく確実に検出することが可能となる。
更に、ギャップ法用の前記アレイ探触子は、上記垂直超音波と、上記2つの斜角超音波と、をそれぞれ1秒間に1000回またはそれ以上交互に発信するアレイプ探触子である、超音波探傷装置も本発明に含まれ得る。
これによる場合、大きな断面寸法の被検査材における断面全体の欠陥を漏れなく精緻に検出することが可能となる。
加えて、ギャップ法用の前記アレイ探触子は、複数の超音波をタイミング制御により探傷すべき部位に焦点を合わせて発信する、超音波探傷装置も本発明に含まれ得る。これによる場合、複数の超音波を被検査材の全断面における欠陥ごとに焦点が集束するように発信できるため、検出漏れを低減することが可能となる。
これによる場合、大きな断面寸法の被検査材における断面全体の欠陥を漏れなく精緻に検出することが可能となる。
加えて、ギャップ法用の前記アレイ探触子は、複数の超音波をタイミング制御により探傷すべき部位に焦点を合わせて発信する、超音波探傷装置も本発明に含まれ得る。これによる場合、複数の超音波を被検査材の全断面における欠陥ごとに焦点が集束するように発信できるため、検出漏れを低減することが可能となる。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の超音波探傷装置1を示す概略図である。
係る超音波探傷装置1は、図1に示すように、内部欠陥の有無を検出すべき断面円形の鋼材(被検査材、以下鋼材という)Wを回転可能に支持する複数のローラRと、鋼材Wの上方において当該鋼材Wの軸方向に沿って移動可能に配置されたギャップ法用のアレイ探触子2と、局部水浸法用のアレイ探触子10と、を備えている。複数のローラRは、鋼材Wの断面方向に沿って係る鋼材Wを回転可能に支持し、図1の前後一対ずつで且つ鋼材Wの軸方向の離れた位置に配置されている。
尚、図1は、上記ギャップ法用のアレイ探触子2を図示しない水膜を介して鋼材Wの表面に接触させ、図1中の実線の矢印で示すように、係る鋼材Wの軸方向に沿って移動させることにより、超音波探傷法の一種であるギャップ法を実行している状態を示している。
図1は、本発明の超音波探傷装置1を示す概略図である。
係る超音波探傷装置1は、図1に示すように、内部欠陥の有無を検出すべき断面円形の鋼材(被検査材、以下鋼材という)Wを回転可能に支持する複数のローラRと、鋼材Wの上方において当該鋼材Wの軸方向に沿って移動可能に配置されたギャップ法用のアレイ探触子2と、局部水浸法用のアレイ探触子10と、を備えている。複数のローラRは、鋼材Wの断面方向に沿って係る鋼材Wを回転可能に支持し、図1の前後一対ずつで且つ鋼材Wの軸方向の離れた位置に配置されている。
尚、図1は、上記ギャップ法用のアレイ探触子2を図示しない水膜を介して鋼材Wの表面に接触させ、図1中の実線の矢印で示すように、係る鋼材Wの軸方向に沿って移動させることにより、超音波探傷法の一種であるギャップ法を実行している状態を示している。
この際、ギャップ法用のホルダ(図示せず)に設けられたアレイ探触子2とは別に、局部水浸法用のホルダ(図示せず)に設けられたアレイ探触子10を準備しておき、各ホルダごとに取替可能としている。尚、局部水浸法用のホルダに取付けられるアレイ探触子10は、鋼材Wの上方に待避する構造としても良い。この場合、係るアレイ探触子10は、上記アレイ探触子2と入れ替わり、複数のローラRに支持された検査すべき鋼材Wの中心部を局部水浸法で探傷するため、鋼材Wの表面に接触して、図1中の一点鎖線の矢印で示すように、係る鋼材Wの軸方向に沿って移動する。
ギャップ法用のアレイ探触子2は、図2の垂直断面図に示すように、底面が開口する箱形のケース3と、係るケース3の内側面に沿った給水路5を介して内蔵される圧電体4と、係る圧電体4の底面に突設された複数の圧電素子(探触子)6と、を備えている。ケース3の上側には、給水路5に水を供給するホース8が接続されており、係る水は、給水路5から複数の圧電素子6の底面側に回り込み、前記鋼材Wの表面と当該アレイ探触子2との間に水膜を形成する。
図3は、上記アレイ探触子2を用いて、鋼材Wを垂直探傷する状態を示す概略図である。複数の圧電素子6は、図3中の垂直の太い矢印で示すように、超音波s1〜s6を発信するタイミングを互いにずらすように予め制御されている。
尚、上記アレイ探触子2は、後述するように、図示しないホルダに内蔵され、係るホルダには、左右の両側面から対称に延びる一対ずつの支持脚と、これらの先端に姿勢変更が可能で且つ鋼材Wの表面に当接するボールと、が取り付けてある。
尚、上記アレイ探触子2は、後述するように、図示しないホルダに内蔵され、係るホルダには、左右の両側面から対称に延びる一対ずつの支持脚と、これらの先端に姿勢変更が可能で且つ鋼材Wの表面に当接するボールと、が取り付けてある。
図3で左右両側に位置し且つ鋼材Wの表面から比較的離れた圧電素子6は、比較的早いタイミングで超音波s6を発信し、中央寄りに位置し且つ鋼材Wの表面から比較的接近した圧電素子6は、比較的遅いタイミングで超音波s6を発信する。各圧電素子6から発信された超音波s6は、図3に示すように、断面円形の鋼材Wの表面に同時に到達し且つ直角に入射する。これらの超音波s6は、先に発信された超音波s1〜s5のように、互いに干渉することなく合成された単一の超音波となって、焦点を合わせるように鋼材Wの中心部に位置する欠陥k付近に達する。その結果、係る欠陥kによる反射エコーを検知することで、当該欠陥kと位置とを検出することができる。
尚、この間において、アレイ探触子2と鋼材Wとの間には、前記給水路5から順次供給される水による水膜が形成されている。
尚、この間において、アレイ探触子2と鋼材Wとの間には、前記給水路5から順次供給される水による水膜が形成されている。
図4は、前記アレイ探触子2を用いて、鋼材Wを斜角探傷する状態を示す概略図である。複数の圧電素子6は、図4中の垂直の太い矢印で示すように、超音波s1〜s6を発信するタイミングを互いにずらすように予め制御されている。
図4において、アレイ探触子2のやや右側寄りに位置し且つ鋼材Wの表面から比較的接近した圧電素子6は、比較的遅いタイミングで超音波s6を発信し、これらから左右に離れた圧電素子6は、各位置に応じて比較的早いタイミングで超音波s6を発信する。各圧電素子6から発信された超音波s6は、図4に示すように、断面円形の鋼材Wの表面に同時に到達し且つそれぞれ斜めに入射する。
各超音波s6は、図4に示すように、先に発信された超音波s1〜s5のように、互いに干渉することなく合成された単一の超音波となり、焦点を合わせるように鋼材Wの周辺部に位置する欠陥k付近に達する。その結果、係る欠陥kによる反射エコーを検知することで、当該欠陥kとその位置を検出することができる。
図4において、アレイ探触子2のやや右側寄りに位置し且つ鋼材Wの表面から比較的接近した圧電素子6は、比較的遅いタイミングで超音波s6を発信し、これらから左右に離れた圧電素子6は、各位置に応じて比較的早いタイミングで超音波s6を発信する。各圧電素子6から発信された超音波s6は、図4に示すように、断面円形の鋼材Wの表面に同時に到達し且つそれぞれ斜めに入射する。
各超音波s6は、図4に示すように、先に発信された超音波s1〜s5のように、互いに干渉することなく合成された単一の超音波となり、焦点を合わせるように鋼材Wの周辺部に位置する欠陥k付近に達する。その結果、係る欠陥kによる反射エコーを検知することで、当該欠陥kとその位置を検出することができる。
図5は、例えば直径が約280mmと比較的太径の鋼材Wにおける周辺部fと中心部mとの境界付近を斜角探傷および垂直探傷する状態を示す模式図である。
上記鋼材Wのうち、例えば、図5中の破線で示す直径が200〜230mmの位置を境界とし、これよりも内側の中心部mには前記垂直探傷法が適用され、上記境界よりも外側の周辺部fには斜角探傷法が適用される。尚、上記境界の直径は、鋼材Wの鋼種や製鋼過程の鍛錬比などにより、適宜に選定される。
上記鋼材Wのうち、例えば、図5中の破線で示す直径が200〜230mmの位置を境界とし、これよりも内側の中心部mには前記垂直探傷法が適用され、上記境界よりも外側の周辺部fには斜角探傷法が適用される。尚、上記境界の直径は、鋼材Wの鋼種や製鋼過程の鍛錬比などにより、適宜に選定される。
図5に示すように、ギャップ法用のアレイ探触子2を鋼材Wの表面に、図示しない水膜を介して接触するように配置し、係るアレイ探触子2における複数の前記圧電素子6から超音波sから、鋼材Wの表面に向かって垂直および斜めに発信される。
上記アレイ探触子2は、鋼材Wの表面に対し、垂直に発信する垂直超音波と、左右対称の斜め方向に個別に発信する2つの斜角超音波と、1秒間に1000回またはそれ以上を交互に発信する。これらの超音波sは、複数の前記圧電素子6から前記のようにタイミング制御されて発信される。
上記アレイ探触子2は、鋼材Wの表面に対し、垂直に発信する垂直超音波と、左右対称の斜め方向に個別に発信する2つの斜角超音波と、1秒間に1000回またはそれ以上を交互に発信する。これらの超音波sは、複数の前記圧電素子6から前記のようにタイミング制御されて発信される。
図5に基づき、ギャップ法における斜角探傷法について説明する。
鋼材Wの表面に対し、やや左側に斜めに到達した斜角超音波の超音波sは、その一部が反射すると共に、図5に示すように、所定の屈折角で鋼材W中に入射する。上記鋼材Wの表面での反射や内部の結晶粒界での反射は、図5の右上方に示す大きな振幅のノイズnとなって検出される。尚、図5の右側は、例えば、オシロスコープの波形を示す。
鋼材Wの内部に入射した超音波sが、周辺部fと中心部mとの境界付近に位置する欠陥kに達した場合、図5の右方に示すように、係る欠陥kによる反射エコーが検出され、係る位置に欠陥kが存在することがされる。更に、減衰しつつ鋼材Wの内部を通過した超音波sは、図5で下方の鋼材Wの表面から所定の屈折角で外部に放射され、これ以降においては、反射エコーは生じなくなる。
鋼材Wの表面に対し、やや左側に斜めに到達した斜角超音波の超音波sは、その一部が反射すると共に、図5に示すように、所定の屈折角で鋼材W中に入射する。上記鋼材Wの表面での反射や内部の結晶粒界での反射は、図5の右上方に示す大きな振幅のノイズnとなって検出される。尚、図5の右側は、例えば、オシロスコープの波形を示す。
鋼材Wの内部に入射した超音波sが、周辺部fと中心部mとの境界付近に位置する欠陥kに達した場合、図5の右方に示すように、係る欠陥kによる反射エコーが検出され、係る位置に欠陥kが存在することがされる。更に、減衰しつつ鋼材Wの内部を通過した超音波sは、図5で下方の鋼材Wの表面から所定の屈折角で外部に放射され、これ以降においては、反射エコーは生じなくなる。
また、次の超音波sが、鋼材Wの表面に対し右側やや斜めに入射する斜角超音波sとして発信され、図5の軌跡とはほぼ線対称にして鋼材Wの内部を通過する。係る途中で、周辺部fや前記境界付近に位置する別の欠陥kに達すると、その反射エコーによって、当該欠陥kの存在とその位置とを検出することができる。
更に、別の超音波sが、鋼材Wの表面に対し垂直に入射する垂直超音波sとして発信され、図5中の円形の破線で囲まれた中心部mに位置する別個の欠陥kに達すると、その反射エコーによって、当該欠陥kを検出することができる。
更に、別の超音波sが、鋼材Wの表面に対し垂直に入射する垂直超音波sとして発信され、図5中の円形の破線で囲まれた中心部mに位置する別個の欠陥kに達すると、その反射エコーによって、当該欠陥kを検出することができる。
以上のような垂直超音波sと、左右対称の2つの斜角超音波sとが、前記アレイ探触子2から鋼材Wに対し、交互に1000回/秒以上で発信される。同時に、鋼材Wは、図5に示すように、左右一対のローラRにより、断面の円周方向に沿って、例えば1rpm程度の回転数で回転している。しかも、アレイ探触子2は、図示しないガイドに支持されつつ鋼材Wの軸方向に沿って順次移動されて行く。即ち、前記アレイ探触子2は、鋼材Wの全表面(周面)に対し、ピッチの小さな螺旋形の移動軌跡を描きつつ、前記3種類の超音波sを1000回/秒以上で発信する。
従って、断面寸法が比較的大きな鋼材Wに対し、本発明の超音波探傷装置1およびこれを用いる超音波探傷方法によれば、全断面における内部欠陥kの有無と欠陥kの位置とを正確且つ確実に検出できるため、検査工数を効率化することができる共に、品質保証も安定させることも可能となる。
従って、断面寸法が比較的大きな鋼材Wに対し、本発明の超音波探傷装置1およびこれを用いる超音波探傷方法によれば、全断面における内部欠陥kの有無と欠陥kの位置とを正確且つ確実に検出できるため、検査工数を効率化することができる共に、品質保証も安定させることも可能となる。
図6は、比較的断面寸法が小さい細径の鋼材(被検査材)W′について、前記超音波探傷装置1を用いて局部水浸法を行っている状態を示す概略図で、上記鋼材W′の表面には、局部水浸法用のホルダ(図示せず)に設けられたアレイ探触子10が接近しつ且つ鋼材W′の軸方向に沿って移動可能とされている。この際、ギャップ法用のホルダ(図示せず)に設けられたアレイ探触子2は、当該ホルダごと取り替えられている。上記鋼材W′の直径は、例えば220mm乃至200mm、あるいはこれ以下である。
尚、ギャップ法用のアレイ探触子2は、局部水浸法用のアレイ探触子10の移動に対して支障のないように、鋼材W′の上方に待避するようにしても良い。
上記アレイ探触子10は、図7の垂直断面図に示すように、探傷ユニット11の金属製で全体がほぼ四角柱を呈するホルダ12に組み込まれている。係る探傷ユニット11は、上記ホルダ12に囲まれ全体がほぼ四角錐を呈する水室14と、係る水室14の鋼材W′と反対の奥側に組み込まれている前記アレイ探触子2と同様なアレイ探触子10と、を含んでいる。
上記アレイ探触子10は、図7の垂直断面図に示すように、探傷ユニット11の金属製で全体がほぼ四角柱を呈するホルダ12に組み込まれている。係る探傷ユニット11は、上記ホルダ12に囲まれ全体がほぼ四角錐を呈する水室14と、係る水室14の鋼材W′と反対の奥側に組み込まれている前記アレイ探触子2と同様なアレイ探触子10と、を含んでいる。
図7に示すように、上記水室14の鋼材W′側は、当該鋼材Wの表面に開口し、且つ係る開口部のうち図7中で前後一対の辺は、鋼材W′の表面に倣った円弧形となっている。また、水室14の鋼材W′と反対の奥側には、上記アレイ探触子10を収容する中空室13が位置している。係る水室14における四辺の側壁には、図8の斜視図で示すように、アレイ探触子10から鋼材Wの表面に向かう方向、即ち超音波の発信方向にほぼ沿って、断面がへ字形とV字形との複数組からなる凹凸15が全面に形成されている。
更に、図7に示すように、前記局部水浸法用のアレイ探触子10を内蔵しているホルダ12には、その左右の両側面から対称に延びる一対ずつの支持脚16と、これらの先端16に姿勢変更が可能に取付られ且つ鋼材W′の表面に接触して転動するボール18を保持する軸受17と、が取り付けられている。4つの軸受17の姿勢を変更することにより、直径が異なる複数の鋼材W′に対しても、ホルダ12の水室14の開口部を、常に当該鋼材W′の表面に倣ってほぼ接触可能な姿勢に保つことが可能となる。
図6,7に示すように、複数組のローラRに支持されつつ回転される鋼材W′の表面に対し、ほぼ接触する姿勢で局部水浸法用のアレイ探触子10のホルダ12が水室14の水wを介して配置され且つ当該鋼材W′の軸方向に沿って移動される。
図9の垂直部分断面図で示すように、ホルダ12内のアレイ探触子10から発信された比較的高周波数の超音波sは、水室14内の水w中を伝播して、鋼材W′の表面に向かう。この際、水室14を構成する四辺の側壁には、超音波sの発信方向にほぼ沿った凹凸15が位置することで、当該超音波sは、水室14内で乱反射せずに鋼材W′側に伝播するため、その反射エコーにおけるSN比を高めることができる。
図9の垂直部分断面図で示すように、ホルダ12内のアレイ探触子10から発信された比較的高周波数の超音波sは、水室14内の水w中を伝播して、鋼材W′の表面に向かう。この際、水室14を構成する四辺の側壁には、超音波sの発信方向にほぼ沿った凹凸15が位置することで、当該超音波sは、水室14内で乱反射せずに鋼材W′側に伝播するため、その反射エコーにおけるSN比を高めることができる。
図9に示すように、鋼材W′の表面に到達した超音波sは、所定の角度屈折で入射した後、係る鋼材W′の内部を斜めに通過する。この際、超音波sが欠陥k付近に達すると、その反射エコーにより当該欠陥kの存在とその位置とを検出することができる。
局部水浸法用のホルダ12に組み込まれたアレイ探触子10は、発信した超音波sを、水室14の水w中を前記凹凸15により乱反射を受けることなく伝播するため、係る水室14の広範な開口部全体から鋼材W′内に良好に伝播できる。この結果、比較的高い周波数の超音波sを所要の発信周期により、比較的断面が小さな鋼材W′の断面全体に伝達できるため、微小な欠陥kを正確に検出することができる。
従って、上記アレイ探触子10を用いることにより、比較的細径の鋼材W′に対する検査精度を高められる共に、鋼材W′の品質保証も安定させることも可能となる。
局部水浸法用のホルダ12に組み込まれたアレイ探触子10は、発信した超音波sを、水室14の水w中を前記凹凸15により乱反射を受けることなく伝播するため、係る水室14の広範な開口部全体から鋼材W′内に良好に伝播できる。この結果、比較的高い周波数の超音波sを所要の発信周期により、比較的断面が小さな鋼材W′の断面全体に伝達できるため、微小な欠陥kを正確に検出することができる。
従って、上記アレイ探触子10を用いることにより、比較的細径の鋼材W′に対する検査精度を高められる共に、鋼材W′の品質保証も安定させることも可能となる。
図10は、異なる形態の超音波探傷装置1aを示す概略図である。
超音波探傷装置1aは、図10に示すように、回転可能な複数組の鼓形ローラrと、係るローラr,r間で且つ互いに離して配置したリングL1,L2と、これらの各ガイドg1,g2に沿って円運動が可能に支持されるギャップ法用のホルダ(図示せず)に組み込まれたアレイ探触子2と、局部水浸法用のホルダ(図示せず)に組み込まれたアレイ探触子10と、を含んでいる。
太径または細径の鋼材W(W′)は、複数組の鼓形ローラrの鞍部に支持されると共に、図10中の実線の矢印で示すように、その軸方向に沿って移動可能とされている。
超音波探傷装置1aは、図10に示すように、回転可能な複数組の鼓形ローラrと、係るローラr,r間で且つ互いに離して配置したリングL1,L2と、これらの各ガイドg1,g2に沿って円運動が可能に支持されるギャップ法用のホルダ(図示せず)に組み込まれたアレイ探触子2と、局部水浸法用のホルダ(図示せず)に組み込まれたアレイ探触子10と、を含んでいる。
太径または細径の鋼材W(W′)は、複数組の鼓形ローラrの鞍部に支持されると共に、図10中の実線の矢印で示すように、その軸方向に沿って移動可能とされている。
係る鋼材W(W′)の表面の円周方向に沿って、図10中の一点鎖線の矢印で示すように、前記アレイ探触子2またはアレイ探触子10を所定の速度(例えば、1回/分)で旋回させることにより、上記鋼材W(W′)の全表面に沿って、垂直探傷法および斜角探傷法を併用するギャップ法と、局部水浸法とを、鋼材W(W′)の断面寸法に応じて、能率良く容易に使い分けることができる。
従って、上記超音波探傷装置1aによっても、各種サイズの鋼材W(W′)に対する検査効率を高められ、それらの品質保証も安定させることが可能となる。
従って、上記超音波探傷装置1aによっても、各種サイズの鋼材W(W′)に対する検査効率を高められ、それらの品質保証も安定させることが可能となる。
本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、1台の前記超音波探傷装置1,1aに、2個以上のアレイ探触子2,10を併設することも可能である。これにより、ギャップ法や局部水浸法による超音波探傷を、長尺な被検査材である鋼材に対しても効率良く行うことが可能となる。
更に、前記アレイ探触子10の水室14の側壁に設ける凹凸は、断面がほぼ半円形で且つ交互に向きが逆となる波形状としても良い。
例えば、1台の前記超音波探傷装置1,1aに、2個以上のアレイ探触子2,10を併設することも可能である。これにより、ギャップ法や局部水浸法による超音波探傷を、長尺な被検査材である鋼材に対しても効率良く行うことが可能となる。
更に、前記アレイ探触子10の水室14の側壁に設ける凹凸は、断面がほぼ半円形で且つ交互に向きが逆となる波形状としても良い。
1,1a…超音波探傷装置
2…………ギャップ法用のアレイ探触子
10………局部水浸法用のアレイ探触子
12………ホルダ
14………水室
15………凹凸
W,W′…鋼材(被検査材)
2…………ギャップ法用のアレイ探触子
10………局部水浸法用のアレイ探触子
12………ホルダ
14………水室
15………凹凸
W,W′…鋼材(被検査材)
Claims (4)
- アレイ探触子を用いると共に、内部の欠陥を検出すべき被検査材のうち、断面寸法が大きな被検査材に対しては、垂直探傷法と斜角探傷法とを併用するギャップ法を適用し、断面寸法が小さな被検査材に対しては、局部水浸法を適用する、
ことを特徴とする超音波探傷方法。 - 前記ギャップ法は、前記断面寸法が大きな被検査材の中心部に対し垂直探傷法で行うと共に、係る被検査材における断面の周辺部側に対し斜角探傷法で行うアレイ探触子を用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷方法。 - 内部の欠陥を検出すべき被検査材の表面に水膜を介して配置され且つ垂直探傷法および斜角探傷法を併用できるギャップ法用のアレイ探触子と、
上記被検査材の表面に水室を介して配置される局部水浸法用のアレイ探触子と、を含む、
ことを特徴とする超音波探傷装置。 - 内部の欠陥を検出すべき被検査材の表面に接する水を貯溜する水室と、
上記水室における上記被検査材と反対側の奥側のホルダに組み込まれる局部水浸法用のアレイ探触子と、を含み、
上記水室の側壁には、上記アレイ探触子から発信される超音波の発信方向にほぼ沿った凹凸が形成されている、
ことを特徴とする超音波探傷装置。
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- 2005-11-30 JP JP2005345256A patent/JP2007147544A/ja active Pending
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