JP2018077097A - 超音波探傷方法および超音波探傷装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記超音波探傷方法では、前記角ビレットの内部に入射した超音波の現実の焦点を設定していない。
更に、1組の前記リニアアレイ探触子と倣い機構とによって前記角ビレットの内部を超音波探傷する場合、欠陥の異方性(欠陥の形状に基づく方向ごとの感度)を考慮すると、1パスごとに探傷領域を角ビレットの中心付近から対向する底面に設定しているので、辺別に4パスで行うことが必要となっていた。
即ち、本発明の超音波探傷方法(請求項1)は、熱間圧延により断面が正方形状に成形された長尺な鋼材における中心軸付近の検査領域の欠陥を検出する超音波探傷方法であって、前記検査領域を、上記鋼材で隣接する2つの表面ごとから、個別に且つ時差を付けて垂直探傷するに際し、上記検査領域を上記2つの表面ごとからの深さ方向に沿って複数の探傷領域に区分すると共に、上記2つの表面ごとに、上記中心軸に直交する方向に沿って複数の探触子を直線状に配列したリニアアレイ探触子を配置し、前記探触子ごとから送信される複数の超音波の焦点位置を上記複数の探傷領域ごとに変化させる、ことを特徴とする。
(1)熱間圧延により断面が正方形状に成形された鋼材の中心軸付近に偏析し易い空隙などの欠陥を2パスあるいは1パスにより正確に検出することができる。
(2)断面形状および全体形状が特定の方向に長い異方性を有する欠陥であっても、比較的高いSN比(例えば、4以上)により確実に検出することができる。
(3)前記鋼材の四辺ごとの比較的表面側で生じ易い表面反射ノイズ(表層不感帯)による悪影響を可及的に抑制できるので、前記欠陥の検出を精度良く行うことができる。
また、前記鋼材における中心軸付近の検査領域は、四辺の表面側に比べて空隙や非金属介在物が偏析し易い領域であり、例えば、上記鋼材の全断面積に対し、該鋼材の中心軸を中心とした約20〜80%の領域である。
更に、前記探触子は、圧電素子であり、前記リニアアレイ探触子は、複数の探触子を前記鋼材の中心軸と直交する方向に沿って直線状に配列したものてある。
また、前記複数の探傷領域は、互いに隣接する形態の他、隣接する一部同士が違いに重複する形態として設定しても良い。
加えて、前記複数の探触子と前記鋼材の表面との間には、水が常時供給され、かかる水膜を透過して超音波が上記鋼材の内部に送信される。
これによれば、前記焦点位置が、複数の探傷領域ごとにおける前記鋼材の表面からの深さ方向における中間位置、前記表面側の区分位置、あるいは、上記鋼材の表面と反対側の区分位置の何れかに設定されているので、前記効果(2),(3)を一層確実に奏することが可能となる。
これによれば、前記鋼材における表面からの探傷領域ごとの深さに応じて、前記リニアアレイ探触子から超音波を送信する探触子を、上記表面側の探傷領域では比較的少なくし、且つ深くなるに連れて比較的多くしているので、前記表面反射ノイズ(表層不感帯)による悪影響を確実に抑制できる。従って、前記効果(3)を一層顕著に奏することが可能となる。
しかも、比較的は簡素な構造と比較的少ない部材構成からなるので、低コストで製作可能することも容易となる(効果(4))。
尚、前記超音波探傷装置を鋼材における2つの表面ごとの長手方向に沿って移動させる手段は、人手でも良く、あるいは、後述するスライド機構などによって自動化しても良い。
これによれば、前記鋼材において隣接する2つの表面の長手方向で異なる位置ごとに、リニアアレイ探触子を内設する2つのプローブホルダを個別に配置し、これらの外側ごとに前記複数のローラを支持する支持片が配設されている。そのため、上記鋼材における中心軸付近の領域の欠陥を1パスにより正確に検出できるので、前記効果(1)を一層確実に奏することが可能となる。
尚、前記連結片の長さは、前記鋼材において隣接する2つの表面ごとから発信される超音波が互いに干渉しない(一方の超音波が減衰する)時間差に対応して設定される。
これによれば、1組または2組の上記探傷ユニットを、リニアモーター機構またはスライディング機構により、前記鋼材の長手方向に沿って自動的に移動させられるので、超音波探傷の検査効率を確実に高められる(効果(5))。
尚、前記スライディング機構には、ボールネジ、チェーンとスプロケット、ピニオンとラック、ベルトまたはワイヤーロープとプーリーなどが含まれる。
図1(A),(B)は、本発明の超音波探傷方法の一形態を示す概略図である。
上記超音波探傷方法は、図1(A),(B)に示すように、断面が正方形状で且つ長手方向(図示の前後方向)に沿って長尺な鋼材(被検体)TPにおける中心軸(図示せず)付近に生成し易い欠陥dの有無および位置を検出する。上記鋼材TPは、熱感圧延によって断面が正方形状に圧縮成形されており、例えば、断面の一辺Lが約150mmで且つ長手方向が約10〜12mのサイズを有する。
また、上記欠陥dは、例えば、空隙やアルミナなどの非金属介在物であり、溶鋼の原料を鋳造して鋳片とした際に、前記非金属介在物は、前記鋳片の中心軸付近に析出する傾向を有している。更に、上記空隙は、前記鋳片を熱感圧延して断面を正方形状に圧縮成形した際に、得られた鋼材TPの中心軸付近に残留していることが多い。尚、上記欠陥dは、図示のように、特定の方向に沿って長く且つ他の方向に沿って短い不規則な形状である異方性を呈する場合がある。
次に、図1(A)に示すように、前記鋼材TPの上面(表面)に本発明の超音波探傷装置1を配置し、該超音波探傷装置1に内設されたリニアアレイ探触子5の送信方向(図中の白抜き矢印の方向)に沿って、上記検査領域EAを複数(3つ)の探傷領域a1〜a3に区分(3分割)する。尚、これらの探傷領域a1〜a3は、図示のように、上・下辺(一部)が互いに重複している方が望ましい。
次いで、図1(B)に示すように、前記鋼材TPの上面に隣接する右辺(表面)に上記超音波探傷装置1を配置し、リニアアレイ探触子5の発信方向(図中の白抜き矢印の方向)に沿って、上記検査領域EAを複数(3つ)の探傷領域a4〜a6に区分(3分割)する。尚、これらの探傷領域a4〜a6も、図示のように、左右の辺(一部)が互いに重複している方が望ましい。
前記超音波探傷装置1は、図1(A),(B)に示すように、全体が板状のプローブホルダ2に設けたアレイプローブ6の底面側に細長い凹部3が形成され、該凹部3に複数の探触子(圧電素子)4を有するリニアアレイ探触子5が、前記鋼材TPの中心軸と直交する幅方向に沿って内設されている。上記リニアアレイ探触子5は、32個、64個、あるいは128個の探触子4を直線状に有している。また、上記リニアアレイ探触子5と鋼材TPの表面との間には、水wが常時供給されており、係る水wは、水膜となってプローブホルダ2の底面に沿って外側に溢流する。尚、図1(A),(B)中の符号Rは、電源接続ケーブルを示す。
先ず、図2(A)に示すように、鋼材TPの上面に最接近する探傷領域a1内の欠陥dを検出するため、リニアアレイ探触子5のうち、比較的その中央側に位置する少数(例えば、総数が64個のうちの32個)の探触子4から、即ち、狭い開口幅g1から、例えば、周波数1MHzの超音波を順次鋼材TPの内部に向けて順次送信する。そのため、リニアアレイ探触子5の開口幅g1を比較的狭くしている。
図2(A)中の細い実線のうち、左右の実線は、各探触子4から発信された超音波の放射範囲と、左右両端での集束位置とを示し、中央の実線は、各探触子4から送信された超音波が中央で集束したことを例示している。図示のように、前記探傷領域a1の上辺と同じ深さの位置で複数の超音波が集束するように、焦点位置f1が予め設定されている。この場合、図示のように、欠陥dは、探傷領域a1内にはないので、欠陥エコーは検出されにくい。
図示のように、前記探傷領域a2の中間深さの位置に複数の超音波が集束するように、焦点位置f2が予め設定されている。この場合、図示のように、欠陥dは、探傷領域a2内にあるので、後述する欠陥エコーが確実に検出される。
図示のように、前記探傷領域a3の下辺において複数の超音波が集束するように、焦点位置f3が予め設定されている。この場合、図示のように、欠陥dは、探傷領域a3内にはないので、欠陥エコーは検出されにくい。
引き続いて、前記図1(B)で示したように、前記鋼材TPの右辺(表面)に前記超音波探傷装置1を配置し、前記探傷領域a4〜a6についても、前述した図2(A)〜(C)の場合と同様の超音波探傷を順次行う。この際、前記探傷領域a5内にも、前記欠陥dが位置しているが、当該欠陥dの形状が超音波の送信方向とほぼ平行な異方性であるため、欠陥エコーとして検出されにくいか、不鮮明なエコーになり易い。
以上のような探傷領域a1〜a3,a4〜a6について、個別に行った前記超音波探傷方法の結果を、前記鋼材TPにおける送信深さと、送信パルスT、欠陥エコーF、底面エコーB、およびノイズの各強度との関係を示すグラフとして、図3(A)、(B)のグラフに示す。
図3(A)は、金属組織が超音波の透過が比較的容易な鋼種(例えば、構造用鋼)を鋼材TPとし、且つ前記探傷領域a2における送信パルスTおよび全ての反射エコーを示したもの、あるいは、前記探傷領域a1〜a3における送信パルスTと、全ての反射エコーとを合成して示したものである。
図示のように、送信パルスTと底面エコーBとの間に、前記欠陥dに起因する欠陥エコーFが明瞭に出現していた。尚、前記探傷領域a4〜a6の場合は、何れも欠陥エコーFが不明瞭であった。
図示のように、送信深さの全体において、表層不感帯や、超音波の減衰によるノイズが分布していたが、前記同様に、発信パルスTと底面エコーBとの間に、前記欠陥dに起因する欠陥エコーFが明瞭に出現していた。尚、前記探傷領域a4〜a6の場合では、何れも欠陥エコーFが上記ノイズの影響で一層不明瞭となっていた。
以上において説明した本発明の超音波探傷方法によれば、前記効果(1)〜(3)を奏し得ることが容易に理解されよう。
上記超音波探傷装置1は、図4(A)に示すように、前記鋼材TPをその一対の対角線が水平あるいは垂直となる姿勢に、図示しない保持手段上で保持し、該鋼材TPの左上の表面に、前記リニアアレイ探触子5およびアレイプローブ6を含むプローブホルダ2に配置する。この際、上記鋼材TPの表面と前記プローブホルダ2の凹部3との間には、アレイプローブ6の前後に位置する複数の給水管7から、水wが連続して供給されて水膜を形成されている。かかる水wは、プローブホルダー2の外側に上記鋼材TPの表面上に順次溢れ出している。
尚、上記給水管7ごとには、図示しない給水ホースが個別に接続されている。
更に、図4(B)で拡大して示すように、上記可動片9と支持片8との間における上記ボルト12の周囲には、コイルバネ14が軸方向に沿って圧縮された状態で巻装されている。尚、該コイルバネ14に替えて、上記可動片9と支持片8との間に板バネを圧縮させつつ挟み込んでも良い。
尚、前記鋼材TPの右上の表面にも、前記超音波探傷装置1を反対向きにして配置することで、臨接する2つの表面における超音波探傷を2パスにより行える。
更に、図4(A)中の一点鎖線で示すように、前記支持片8の上端から外側に水平に延び且つ先端に断面ほぼT字形状を呈する磁気スライダ15が取り付けられている。該磁気スライダ15は、図示の前後方向および前記鋼材TPの長手方向に沿ったリニア磁気路16にスライド可能に保持されている。尚、該リニア磁気路16と上記磁気スライダ15とは、リニアモータ機構を構成している。
以上のような超音波探傷装置1によれば、前記効果(1)〜(3)の効果を奏する前記超音波探傷方法が確実に行えると共に、前記効果(4),(5)を奏することも容易に理解される。
尚、前記リニアモータ機構に替えて、例えば、ボールネジ、チェーンとスプロケット、ピニオンとラック、ベルトまたはワイヤーロープとプーリーなどからなるスライディング機構により、前記超音波探傷装置1を移動可能としても良い。
上記超音波探傷装置20は、図5(A),(B)に示すように、前記鋼材TPを前記同様の姿勢で保持させ、該鋼材TPの左上の表面に前記超音波探傷装置1と同様の探傷ユニット1aを配置し、上記鋼材TPの右上で且つ長手方向にずれた位置の表面に前記同様の探傷ユニット1bを、上記探傷ユニット1aと側面視で互いに対称に配置している。これら2つの探傷ユニット1a,1bは、両者の上端部同士を、上記鋼材TPの長手方向に沿った連結片18により連結されている。かかる連結片18の長さは、上記2つの探傷ユニット1a,1bから個別に送信される超音波が互いに干渉せず、双方の超音波がそれぞれ減衰する距離(時間差)と同じか、それよりも長く設定されている。
以上のような超音波探傷装置20は、前記連結片18の中間部分を手で掴み人手より、前記鋼材TPの長手方向に沿って移動させても良い。あるいは、上記連結片18の中間部分において、前記リニアモータ機構15,16により移動可能に支持したり、あるいは前記スライディング機構により移動可能に支持しても良い。即ち、超音波探傷装置20は、前記鋼材TPに対する前記超音波探傷方法を、1パスで人手により、あるいは自動的に行うことが可能となる。
以上のような超音波探傷装置20によっても、前記効果(1)〜(3)の効果を奏する前記超音波探傷方法が確実に行えると共に、前記効果(4),(5)を発揮することも容易に理解されよう。
尚、探傷ユニット1a,1bにおける前記プローブホルダ2と支持片8との間は、ロック機構を併設したヒンジにより接続した形態としても良い。
例えば、前記鋼材TPの検査領域EAは、該鋼材TPの中心軸を中心とするほぼ正方形または長方形を呈し、且つ当該鋼材TPの断面積の約2分の1乃至約8分の1の範囲で適宜設定することができる。
また、前記探傷領域a1〜nは、前記鋼材TPにおいて隣接する2つの表面ごとからそれらの深さ方向ごとに沿って、前記検査領域EAを2分割、あるいは4分割以上の区分したものでも良い。
更に、前記リニアアレイ探触子5において、所望とする複数の探触子4から超音波を発信するための前記開口幅gxは、電気的方法あるいは物理的手段によって、任意数の探触子4を選択できるようにしても良い。
加えて、前記超音波探傷装置1,20は、これらを位置固定し、且つ前記鋼材TPをその長手方向に沿って移動可能に構成した形態としても良い。
1a,1b…探傷ユニット
2……………プローブホルダ
4……………探触子
5……………リニアアレイ探触子
8……………支持片
10…………ローラ
15,16…リニアモーター機構
18…………連結片
TP…………鋼材(被検体)
EA…………検査領域
a1〜a6…探傷領域
d……………欠陥
f1〜f3…焦点位置
Claims (6)
- 熱間圧延により断面が正方形状に成形された長尺な鋼材における中心軸付近の検査領域の欠陥を検出する超音波探傷方法であって、
上記検査領域を、上記鋼材で隣接する2つの表面ごとから、個別に且つ時差を付けて垂直探傷するに際し、
上記検査領域を上記2つの表面ごとからの深さ方向に沿って複数の探傷領域に区分すると共に、
上記2つの表面ごとに、上記中心軸に直交する方向に沿って複数の探触子を直線状に配列したリニアアレイ探触子を配置し、前記探触子ごとから送信される複数の超音波の焦点位置を上記複数の探傷領域ごとに変化させる、
ことを特徴とする超音波探傷方法。 - 前記焦点位置は、前記探傷領域ごとの前記鋼材の表面からの深さ方向における中間位置、前記表面側の区分位置、あるいは、上記鋼材の表面と反対側の区分位置の何れかである、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷方法。 - 前記リニアアレイ探触子における複数の探触子から送信される超音波は、前記複数の探傷領域のうち、前記鋼材の表面側の探傷領域には、上記複数の探触子における中央側の比較的少ない探触子から送信され、上記表面から離れた探傷領域には、上記表面側の探傷領域の探触子よりも多い探触子から送信される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷方法。 - 熱間圧延により断面が四角形状に成形された長尺な鋼材における中心軸付近の領域の欠陥を検出する超音波探傷装置であって、
上記鋼材における1つの表面に配設され、該鋼材の中心軸と直交する方向に沿って直線状に複数の探触子を配列したリニアアレイ探触子を内設したプローブホルダと、
上記プローブホルダの一端から上記鋼材の表面に隣接する表面に沿って直角に延在する支持片と、
上記隣接する表面に対して相対的に接近および離間可能に上記支持片に支持され、且つ上記隣接する表面に周面が転動する複数のローラと、含む、
ことを特徴とする超音波探傷装置。 - 前記プローブホルダを、前記鋼材で互いに隣接する2つの表面ごとに配設し、該2つのプローブホルダの他端同士を上記鋼材の中心軸に沿った連結片で連結すると共に、上記2つのプローブホルダの一端側ごとに前記支持片および複数のローラを個別に受けてなる、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波探傷装置。 - 前記プローブホルダ、支持片、および複数のローラからなる1組または2組の探傷ユニットは、前記長尺な鋼材における中心軸に沿って駆動可能とされたリニアモーター機構またはスライディング機構によって移動可能とされている、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の超音波探傷装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200908 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210309 |