以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図1は、本発明の第1の実施の形態のパチンコ機の遊技盤1を示す正面図である。図示を省略しているけれども、遊技盤1はパチンコ機の遊技盤取付枠に取付けられ、遊技盤取付枠の前面側に前扉が取付けられる。前扉には透明な窓板としてガラス板が設けられ、ガラス板は、前扉を閉扉したときに、遊技盤1と略平行になる。ガラス板は遊技球が転動可能な遊技領域2の前方Y1側を覆うように設けられ、遊技者はガラス板を通して前方Y1側から遊技領域2での遊技球の動きを見ることができる。以下、ガラス板の厚み方向を前後方向Yと称する。またガラス板の厚み方向に対して垂直な方向のうち、厚み方向に垂直な投影面に投影した場合に、遊技盤1の表面の長辺に沿って延びる方向を上下方向Zと称する。また前後方向Yおよび上下方向Zに対してともに垂直な方向を左右方向Xと称する。パチンコ機が店舗などに設置され、遊技可能な状態では、上下方向Zは鉛直方向と略平行であり、左右方向Xおよび前後方向Yは水平方向と略平行にとなるように設定される。
図1に示すように、遊技盤1の前面側には、発射された遊技球を案内するためのガイドレール3が設けられ、ガイドレール3に囲まれた遊技領域2の上部に遊技球が案内される。遊技領域2には、遊技球を転動させるための釘4が打設されるとともに、通過チャッカー5、およびアウト口6の各種構造物が配設される。
さらに、図1に示す遊技盤1を前後方向Y一方の前方Y1から見て、遊技領域2の中央から上下方向Z一方の上方Z1側に入賞装置7が設けられる。入賞装置7は、発射された遊技球が通常通過する通常領域8とは区画された入賞領域9が形成され、予め定める入賞条件で、入賞装置7の上部にある遊技球流入部10に備えられた可動部材11が開放することによって、遊技球が入賞装置7内の入賞領域9に流入可能になる。図1に示す入賞装置7の場合の入賞条件は、通過チャッカー5を遊技球が通過することである。遊技球が通過チャッカー5を通過すると、入賞装置7は可動部材11を開放し、遊技球が入賞領域9に入り難い状態から遊技球が入り易い状態に切換わり、遊技球が入り易い状態が数秒間だけ維持される。
図2は、入賞装置7を前方Y1の上方Z1側から見て示す斜視図である。図3は、入賞装置7を前方Y1の下方Z2側から見て示す斜視図である。図4は、入賞装置7を後方Y2の上方Z1側から見て示す斜視図である。図5は、入賞装置7を後方Y2の下方Z2側から見て示す斜視図である。図6は、入賞装置7を示す正面図である。図7は、入賞装置7を示す側面図である。図1も参照しつつ、入賞装置7について説明する。入賞装置7の内部の構成は、パチンコ機の機種によって様々である。本実施の形態のパチンコ機は、アナログ式の抽選機能を有している。このようなパチンコ機では、入賞装置7には入賞領域9に「Vゾーン」と呼ばれる特別入賞口12が設けられる。パチンコ機は、特別入賞口12に遊技球が入賞することで大当りを生起する。大当りとは、パチンコ機の動作態様が遊技者にとって有利な状態になることをいう。大当りになったときのパチンコ機の動作態様は機種によって様々であるが、本実施の形態のパチンコ機では、遊技球流入部10に備えられた可動部材11の開放状態が維持され、遊技球が入賞装置7内に流入可能な状態が継続され、さらに特別入賞口12に再び遊技球が進入することによって、多くの賞球を獲得することが可能になる。
入賞装置7は、特別入賞口12が形成される回転体13、遊技球を入賞領域9から排出する球排出通路14、回転体13まで遊技球を案内する第1通路15と第2通路16、第1通路15と第2通路16とに遊技球を振分けるシーソー型振分装置17、遊技球を吸着可能な吸着装置21、シーソー型振分装置17に遊技球を落下させる遊技球流入部10、および各部を駆動する駆動部31を含んで構成される。シーソー型振分装置17は、遊技球流入部10の下方Z2に設けられる。遊技球流入部10から流入した遊技球は、最初に、入賞領域9の上方Z1に設けられたシーソー型振分装置17によって、左右の第1通路15または第2通路16に振分けられる。シーソー型振分装置17は、平板状であって、前後方向Yに延びる揺動軸線L1まわりに揺動することによって、左右方向Xに遊技球を振分ける。中央に設けられた液晶表示装置(図示せず)よりも左方X2に振分けられた遊技球は、第1通路15を通り抜けて回転体13の左方X2から右方X1に向かって転動して回転体13に至る。中央に設けられた液晶表示装置よりも右方X1に振分けられた遊技球は、第2通路16を通り抜けて回転体13の上方Z1から落下されて回転体13に至る。このように第1通路15と第2通路16とでは、回転体13に至る遊技球の経路が異なるので、回転体13の特別入賞口12に入る確率が各通路15,16によって異なる。
第1通路15および第2通路16には、遊技球の回転体13に向かう速度を変化させる減速手段18、または加速手段が設けられる。本実施の形態では、減速手段18が設けられ、減速手段18として、各通路内に障害物となる段差が設けられる。第1通路15または第2通路16に振分けられた遊技球は、段差に衝突することによって減速される。したがって減速された遊技球が、回転体13に案内される。また他の減速手段18として、通路内にコイル状のばね部材が設け、遊技球がばね部材の内側に衝突しながら、落下させて減速させてもよい。
図8は、入賞装置7を前方Y1の上方Z1側から見て示す斜視図であって、回転体13付近を拡大して示す斜視図である。図9は、入賞装置7の回転体13付近を示す平面図である。第2通路16に関連する構成に関してさらに説明する。図2〜図7も参照して、回転体13は、入賞領域9の右方X1側に設けられる。第2通路16の下方Z2の端部に振分クルーン19が設けられる。振分クルーン19は、上方Z1に臨んで開口し、下方Z2に2つの落下口20a,20bが左右方向Xに離間して形成される。第2通路16によって振分クルーン19まで案内される遊技球は、2つの落下口20a,20bのいずれか一方から下方Z2に落下される。これによって回転体13の上方Z1から、回転体13に遊技球が案内される。
吸着装置21は、永久磁石が設けられ、振分クルーン19に案内された遊技球を上方Z1から磁力によって吸着する。また吸着装置21は、左右方向Xに往復運動可能に構成され、往復運動の変位距離は、振分クルーン19の上方Z1の開口する部分の左右方向Xの寸法より大きくなるように設定される。これによって振分クルーン19に案内された遊技球を吸着した状態で、左右方向Xに変位駆動されると、振分クルーン19の左右方向Xの端部に設けられる壁部に衝突する。したがって吸着装置21に吸着された遊技球は、下方Z2に落下して、左右いずれかの落下口20a,20bから、回転体13に落下される。このように2つの異なる落下口20a,20bから落下させるので、図8に示すような回転体13の位置では、左方X2の落下口20bから落下される遊技球は、回転体13に形成される特別入賞口12に入りやすく、また右方X1の落下口20aから落下される遊技球は、特別入賞口12に入りにくい。また回転体13が図8に示す状態から180度回転すると、左方X2の落下口20bから落下される遊技球は、特別入賞口12に入りにくく、また右方X1の落下口20aから落下される遊技球は、特別入賞口12に入りやすくなる。また回転体13が図8に示す状態から90度回転すると、左方X2の落下口20bから落下される遊技球と、右方X1の落下口20aから落下される遊技球とは、特別入賞口12に入る確率が略等しくなる。このように回転体13の角度位置によって、どちらの落下口20a,20bが遊技球によって有利になるかが変化する。
次に、回転体13について説明する。回転体13は、入賞領域9の下方Z2側に、上下方向Zに向く予め定める軸線L2まわりに回転可能に設けられており、かつ、遊技球を転動させる転動面23が設けられる。本実施の形態では、回転体13は、上下方向Zに略平行な軸線L2まわりに回転可能に設けられる。また回転体13には、回転体13の外周および上方Z1から進入した遊技球が通過可能な貫通孔22が、転動面23である回転体13の上方Z1に臨む面23から、遊技者にとって有利な球通路14に向けて形成されている。回転体13の外周とは、本実施の形態では、回転体13が略円板状に形成されるので、回転体13の半径方向外方と同義である。換言すると、回転体13には、遊技球が通過可能な貫通孔22が形成され、その上方Z1に臨んで開口する。貫通孔22の上方Z1の一端部が特別入賞口12(Vゾーン)となる。貫通孔22の他端部は、予め定める球通路であり、遊技者にとって有利な球排出通路14に向けて形成される。回転体13に至った遊技球は、回転体13に衝突することによって不規則に転動しながら特別入賞口12の上方Z1に進み、タイミングよく特別入賞口12に入れば、入賞となり大当りになる。回転体13は、略円板状に形成され、回転体13の上方Z1に臨む面23(以下、「回転体13の上面23」ということがある)の表面に、半径方向外方から半径方向内方に向かう遊技球を特別入賞口12に案内可能な複数の案内壁24が設けられる。
また回転体13の前方Y1には、図8および図9を参照して、他の球通路であり、遊技者にとって不利な球排出通路14が2つ設けられ、その一端部が排出口25として上方Z1に臨んで開口している。各球排出通路14は、回転体13の前方Y1の領域によって、その排出口25の開口部分が左右に分断されて構成される。回転体13の前方Y1の領域には、左右方向Xに遊技球を振分ける山形状の斜面26が形成される。回転体13を可及的に大きくするため、回転体13の前方Y1の領域は、回転体13の外周部27とガラス板との距離が、遊技球より小さくなる。このような領域に、山形状の斜面26を形成することによって、回転体13の前方Y1に転動してきた遊技球をいずれか一方の排出口25に案内することができる。
また回転体13の周辺には、入賞領域9を形成する底壁28が設けられる。底壁28は、図7を参照して、水平方向に対して傾斜するように構成される。本実施の形態では、底壁28は、前方Y1に進むにつれて下方Z2に進むように傾斜する。また回転体13の上面23は、回転体13の中央付近から外周へ遊技球を転動可能とすべく、水平方向に対して傾斜するように形成される。本実施の形態では、回転体13の上面23は、前方Y1に進むにつれて下方Z2に進むように傾斜する部分を有する。また回転体13の下面29は、前方Y1に進むにつれて下方Z2に進むように傾斜する。これによって回転体13に至った遊技球のうち、特別入賞口12に入らずに、回転体13および底壁28の傾斜によって前方Y1へこぼれ落ちた遊技球は、前述のように排出口25に入り、球排出通路14によって入賞装置7の後方Y2側から遊技領域2の外部に排出される。また回転体13の上面23の水平方向である前後方向Yに対する傾斜角度α2は、底壁の水平方向に対する傾斜角度α1と異なる。本実施の形態では、回転13の上面23は、上方Z1に凸となるような山形状であるので、底壁28の傾斜角度α1は、回転体13の下面29の傾斜角度α2より大きくなるように設定される。底壁28の傾斜角度α1は、たとえば8度に設定され、回転体13の下面29の傾斜角度α2は、たとえば5度に設定される。これによって回転体13の後方Y2では、底壁28と回転体13の上面23との高さ位置を略同位置に設定することができる。したがって回転体13の後方Y2にて、回転体13が底壁28から上方Z1に凸となることによって、遊技球が引っかかることを確実に防ぐことができる。
各球排出通路14には、遊技球が通過の有無を検出するセンサ30が設けられる。したがって特別入賞口12を通過した遊技球の数、排出口25を通過した遊技球の数、およびアウト口6を通過した遊技球の数をそれぞれカウント可能に構成される。これによって遊技者の操作によって遊技領域2に与えられた遊技球と、遊技領域2から排出された遊技球との数を比較することができる。したがって遊技球の過不足によって、遊技の不正および遊技球詰まりを検出することができる。
駆動部31は、駆動手段であって、吸着装置21、遊技球流入部10に備えられた可動部材11、および回転体13をそれぞれ駆動する。吸着装置21は、往復運動するように駆動され、可動部材11は、開閉運動するように駆動される。また回転体13は、回転軸線L2まわりに回転駆動される。回転体13の回転周期は、予め定める周期となるように設定される。駆動部31は、モータならびに電磁ソレノイドなどのアクチュエータ、およびラック、ピニオンならびに歯車などの伝達手段によって適宜構成される。このような駆動部31は、制御部(図示せず)によって予め定める動作をするように制御される。
次に、回転体13の構成に関してさらに詳細に説明する。図10は、回転体13を上方Z1から見て示す斜視図である。図11は、回転体13を下方Z2から見て示す斜視図である。図12は、回転体13を示す平面図である。図13は、回転体13を示す下面図である。図14は、回転体13を示す正面図である。図15は、図12の切断面線S1−S1から見て示す断面図である。図16は、図12の切断面線S2−S2から見て示す断面図である。図17は、入賞装置7を前方Y1の上方Z1側から見て示す斜視図であって、回転体13を除いた状態を拡大して示す斜視図である。図18は、入賞装置7を後方Y2の下方Z2側から見て示す斜視図であって、回転体13を除いた状態を拡大して示す斜視図である。回転体13は、図11に示すように、下方Z2から見て、略有底筒状に形成される。このような回転体13は、図17に示す円状の支持台32に嵌合して設けられる。
回転体13には、図12に示すように、特別入賞口12が回転体13の上面23の中央付近であって、回転体13の中心から偏心した位置に形成される。換言すると、回転体13の外周部27から特別入賞口12までの最短距離が異なる。したがって遊技球の回転体13への進入方向によって、特別入賞口12への距離が変化するので、特別入賞口12に入る確率が変化する。
回転体13の上面23には、回転体13の外周部27から特別入賞口12に案内する案内壁24が少なくとも1つ設けられ、本実施の形態では、8つ設けられる。案内壁24は、回転体13の上面23から上方Z1に凸であって、回転体13の半径方向外方(以下、「外方」ということがある)の端部から半径方向内方(以下、「内方」ということがある)に延びるように設けられる。特別入賞口12は、回転体13の中心から偏心した位置に形成されるので、案内壁24もそれぞれその一端部から他端部までの長さ寸法が異なる。案内壁24の高さ寸法は、遊技球に基づいて設定され、本実施の形態では遊技球の直径よりも小さくなるように設定される。これによって案内壁24に衝突するときの遊技球の速度によって、遊技球が案内壁24を乗り越える場合もあり、また案内壁24によって案内される場合もあり、遊技球の動きに変化をもたせることができる。
案内壁24は、上方Z1から見て、回転軸線L2に直交する放射方向に対して傾斜する部分を有する。本実施の形態では、案内壁24は、上方Z1から見て、回転体13の外周部27から貫通孔22に向けて湾曲して延びるように設けられる。具体的には、案内壁24は、上方Z1から見て、外方から内方に向かうにつれて、反時計回りになるように湾曲するように構成される。したがって回転体13の外方から進入してくる遊技球は、案内壁24に衝突しながら、内方に案内される。回転体13の回転方向が、上方Z1から見て時計回りの場合は、遊技球は中央付近に案内されやすいが、回転方向が反時計回りの場合は、遊技球は中央付近には案内されにくい。また案内壁24の外方側の端部33は、図14に示すように、外方に進むにつれて、下方Z2に傾斜するように構成される。これによって回転体13の外方から回転体13に進入する遊技球は、外周部分で跳ね返されることなく、内方側まで進む可能性を高くすることができる。
回転体13の内方に位置する案内壁24の端部34には、上方Z1から見て、放射方向に対して直交する隔壁35が連結されている。隔壁35は、隣接する2つの案内壁24を一対として、これら一対の案内壁24を連結するように設けられる。したがって本実施の形態では、4つの隔壁35が周方向に間隔をあけて設けられる。隔壁35は、放射方向に対して直交するので、外方から内方に向かう遊技球の障害となり、また内方から外方に向かう遊技球の障害となる。したがって遊技球は、隣接する案内壁24の間であって、隔壁35が設けられない部分の4つの経路T1が、残余の経路T2に比べて遊技球が容易に外方と内方とを行き来可能である。
このような4つの経路T1は、回転体13の外周部27から特別入賞口12までの距離が互いに異なる。また一対の案内壁24間の距離は、特別入賞口12までの距離が大きい一対の案内壁24が最も大きく、順次、特別入賞口12までの距離が小さくなるに従って、一対の案内壁24間の距離も小さくなる。また外周部27における4対の案内壁24間の距離の合計は、4つの経路T1を除く残余の領域の距離よりも小さくなるように設定される。これによって回転体13の外方から回転体13に進入してくる遊技球は、前記残余の領域に至る可能性が大きい。このような4つの経路T1の幅寸法は、入賞確率に基づいて適宜設定される。
また回転体13の上面23は、図15および図16に示すように、特別入賞口12と回転体13の外周縁27との間に、隆起部分36を有する。隆起部分36を境に、回転体13の外周縁27または特別入賞口12への遊技球を転動すべく傾斜する斜面が形成されている。外周縁27は、本実施の形態では、回転体13の最も半径方向外方の縁であり、外周部27と同義である。回転体13の上面23は、特別入賞口12と回転体13の外周部27との間の予め定める隆起部分36までは、外周部27から内方に進むにつれて上方Z1に進むように傾斜し、隆起部分36から特別入賞口12までは、内方に進むにつれて、下方Z2に進むように傾斜するように形成される。換言すると、回転体13の上面23には、特別入賞口12と回転体13の外周部27との間の特定の隆起部分36を、全周にわたって最も上方Z1に隆起させ、隆起部分36から特別入賞口12に進むにつれて、下方Z2に進むような斜面が形成される。隆起部分36は、各案内壁24の内方側の端部34よりやや外方に設定される。また4つの経路T1における隆起部分36の位置は、特別入賞口12までの距離が大きい一対の案内壁24が最も特別入賞口12から遠く、順次、特別入賞口12までの距離が小さくなるに従って、近くなる。したがって4つの隔壁35から内方の領域は、隆起部分36より内方の領域となり、特別入賞口12に向かって下方Z2に傾斜する、いわゆるすりばち状の傾斜面によって構成される。4つの隔壁35から内方の領域は、隔壁35によって内方から外方への遊技球が転動しにくく、また特別入賞口12に向かって傾斜するので、遊技球が隆起部分36の内方の領域にある場合は、特別入賞口12に遊技球が入る可能が高くなる。
次に、図17および図18を参照して、回転体13を支持する構成に関して説明する。図17に示す円状の支持台32には、上下方向Zに貫通する支持台孔37が形成される。支持台孔37は、遊技球が挿通可能に構成される。回転体13が支持台32に嵌合した状態で、回転体13が予め定める角度位置に配置されると、回転体13の貫通孔22と支持台32の支持台孔37とが同軸となるように、支持台孔37の位置は設定される。したがって回転体13が予め定める角度位置を除く残余の位置に有る場合、回転体13の特別入賞口12に入った遊技球は、その下方Z2が支持台32の上面38によって支持される。支持台32の上面38から回転体13の上面23までの高さ寸法は、遊技球よりもやや小さく設定される。したがって特別入賞口12に遊技球がはまり込んだまま状態では、遊技球が遊技者は容易に視認することができる。このような遊技球がはまり込んだ状態で、回転体13が回転され、回転体13が予め定める角度位置に配置されると、貫通孔22が支持台孔37と上下方向Zに同位置となる。これによって回転体13の貫通孔22と支持台32の上面38によって保持されていた遊技球が、支持台孔37を通過する。支持台孔37を通過したことを検出すると、大当りとなる。これによって遊技者は、特別入賞口12に入る瞬間を視認することができる。また支持台孔37を通過した遊技球は、予め定める球通路である球排出通路14によって入賞装置7の後方Y2側から遊技領域2の外部に排出される。
回転体13の下方Z2には、外方に向かって凸となるリブ39が設けられる。このリブ39には、ギヤ(図示せず)が形成される。回転体13のギヤは、底壁28の下方Z2に設けられる歯車47を介して駆動部31に連結される。これによって駆動部、たとえばモータが回転駆動することによって、回転体13は支持台32の外周に沿って回転する。
また回転体13には、下方Z2に凸となる被検出部40が設けられる。この被検出部40の位置を、フォトセンサなどの検出手段41によって検出することによって、回転体13の角度位置を検出することができる。これによって回転体13の角度位置を高精度に制御することができる。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機では、入賞装置7には、特別入賞口12と排出口25に遊技球を振分ける球振分装置として機能する回転体13を備える。回転体13は、遊技球が通過可能な貫通孔22であって、一端部が上方Z1に臨んで開口する特別入賞口12が形成される。これによって回転体13に案内される遊技球が貫通孔22に進入した場合、進入した遊技球を球排出通路14に導くことができる。また回転体13の上面23が、水平方向に対して傾斜するように形成される。これによって回転体13に案内される遊技球が貫通孔22に進入しなかった場合、回転体13の上面23によって、遊技球を下方Z2に転動させることができる。したがって回転体13に案内される遊技球を、貫通孔22に進入した場合としなかった場合とで、異なる球排出通路14に振分けることができる。また回転体13の周辺には、入賞領域9を形成し、水平方向に対して傾斜する底壁28が設けられる。したがって回転体13の上面23によって下方Z2に転動させられた遊技球を、底壁28によってさらに下方Z2に転動させることができ、回転体13の前方Y1に設けられる排出口25に遊技球を案内することができる。したがって前述した従来の技術のように、球を振分けるために、回転体13に2つの異なる孔を形成する必要がない。これによって本発明のように回転体13の1つの貫通孔22を形成するという簡単な構成で、遊技球を振分けることができる球振分装置を実現することができる。
また本実施の形態では、回転体13の上面23は、前述のような隆起部分36が形成される。これによって回転体13の外方から内方に進入する遊技球は、外周部27から隆起部分36までは上り坂になるので、減速されて隆起部分36に至る前に、再び外方に向かって転動する可能性があり、また隆起部分36から内方では、いわゆる下り坂になるので、加速して特別入賞口12に案内される可能性が高くなる。したがって遊技球は、回転体13の上面23の部分によって、転動する方向が異なる。これによって遊技者は、遊技球の挙動が予測しがたくなる。また隆起部分36を設ける位置によって、特別入賞口12に入る確率、いわゆる入賞確率を変更することができる。
また本実施の形態では、回転体13の上面23には、上方Z1に開口し、回転体13の外周部27から特別入賞口12に案内する案内壁24が少なくとも1つ設けられる。これによって回転体13の外方から内方に進入する遊技球は、案内壁24によって特別入賞口12に案内される可能性を高くすることができる。また案内壁24は、上方Z1から見て、放射方向に対して傾斜する部分を有する。これによって回転体13の回転方向によって、回転体13の外方から内方に進入する遊技球の衝突形態が異なるので、特別入賞口12に案内される可能性を回転方向に基づいて変化させることができる。
また本実施の形態では、案内壁24の内方側の端部34には、上方Z1から見て、放射方向に対して直交する隔壁35が連結されている。これによって回転体13の外方から内方に進入する遊技球が隔壁35に衝突する可能性があるので、貫通孔22に案内される可能性を隔壁35によって小さくすることができる。また逆に、上方Z1から隔壁35の内方側に落下して遊技球が進入した場合、隔壁35によって外方へ転動することが防止されるので、特別入賞口12に入る可能性を隔壁35によって大きくすることができる。これによって特別入賞口12に入る可能性を、遊技球の進入方向に基づいて変化させることができる。したがって回転体13の回転方向、回転数を制御して入賞確率を可変させることができる。
また本実施の形態では、第1通路15には、遊技球の回転体13に向かう速度を変化させる減速手段18が設けられる。これによって遊技球の回転体13の向かう進入速度を、一定の範囲となるように適宜設定することができる。したがって第1通路15からの遊技球の入賞確率の設定が容易となる。
また本実施の形態では、回転体13によって振分けられるので、回転体13を駆動するモータは、可動部材11などを駆動するソレノイドに比べて耐久性が高い。したがってソレノイドなどによって振分ける構成に比べて、動作の信頼性を確保することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態のパチンコ機に関して説明する。図19は、本実施の形態の回転体13Aを上方Z1から見て示す斜視図である。本実施の形態のパチンコ機は、前述の第1の実施の形態のパチンコ機とは、回転体13Aの構成が一部異なる。具体的には、図19に示すように、回転体13Aの特別入賞口12の形状が異なる。回転体13Aの上面23には、特別入賞口12よりも一回り大きい円形の凹部41が形成され、凹部41の底部分42に特別入賞口12を構成する貫通孔22が形成される。凹部41は、隆起部分36の内方に設けられるので、隆起部分36の内方に案内された遊技球は、凹部41に向かって転動する。これによって凹部41に進入した遊技球は、凹部41の上下方向Zに延びる壁部分43によって、再び、凹部41から離脱する可能性が低くなり、逆に、特別入賞口12に入る可能性が大きくなる。したがって前述の第1の実施の形態の回転体13よりも、入賞確率を高くすることができる。このように凹部41の形状を適宜設定することによって、入賞確率を設定することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態のパチンコ機に関して説明する。図20は、本実施の形態の回転体13Bを上方Z1から見て示す斜視図である。本実施の形態のパチンコ機は、前述の第1の実施の形態のパチンコ機とは、回転体13Bの構成が一部異なる。具体的には、図20に示すように、回転体13Bの案内壁24の形状が異なる。案内壁24は、回転体13の外周部27ではなく、外周部27から内方へ予め定める間隔をあけた位置から、内方に延びるように設けられる。したがって案内壁24によって案内される距離を、第1の実施の形態の案内壁24に比べて短くすることができる。したがって前述の第1の実施の形態の回転体13よりも、入賞確率を低くすることができる。このように案内壁24の形状を適宜設定することによって、入賞確率を設定することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態のパチンコ機に関して説明する。図21は、本実施の形態の回転体13Cを上方Z1から見て示す斜視図である。図22は、回転体13Cを下方Z2から見て示す斜視図である。図23は、回転体13Cを示す平面図である。図24は、回転体13Cを示す下面図である。図25は、回転体13Cを示す正面図である。図26は、図23の切断面線S3−S3から見て示す断面図である。本実施の形態のパチンコ機は、前述の第1の実施の形態のパチンコ機とは、回転体13Cの構成が一部異なる。具体的には、図22に示すように、回転体13Cを回転させるための下方Z2側の形状が異なり、第1の実施の形態の支持台32を用いずに回転可能に構成される。
本実施の形態の回転体13Cの上面23を形成する面部の反対側の下面44には、中空状の回転軸体45が、上下方向Zに沿って設けられる。貫通孔22に入った遊技球は、回転軸体45の内部を通過可能に構成される。回転軸体45の下方Z2には、外方に向かって凸となるリブ46が設けられる。このリブ46には、ギヤ(図示せず)が形成される。回転軸体45のギヤは、前述したように底壁28の下方Z2に設けられる歯車47を介して駆動部31に連結される。このように構成であっても、前述の実施の各形態と同様の作用および効果を達成することができる。
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。回転体13は、通常領域8に設けてもよい。回転体13の下面29は、水平方向と略平行に設け、回転体1の上面23を、遊技球が転動するように水平方向に対して傾斜するように設けてもよい。回転体13に上面23に凹となる溝部を設けて、溝部を案内壁24として機能するように構成してもよい。回転体13の部分によって、摩擦係数が変わるように構成してもよい。これによって摩擦係数によって、遊技球が転動しやすい領域と、転動しにくに領域とが設けられ、このような領域によって入賞確率を適宜設定することができる。また回転体13の外方から遊技球が回転体13に進入する球経路に、所定の周期で変位して、遊技球の進路を変更する可動部を設けてもよい。可動部は、たとえば底壁28に設けられ、上下方向Zに沿って往復運動する障害物によって実現される。これによって第1通路15によって案内される遊技球が、回転体13に至る確率を変更することができる。
回転体13は、回転し、かつ上下方向Zにスライド変位可能に構成してもよい。これによって回転体13が上方Z1寄りに位置する場合、回転体13の外周部27が障害となって、回転体13の外方から回転体13に遊技球が進入しにくくなるが、第2通路16からの落下距離が短くなるので、上方Z1からの遊技球には入賞確率が高くなる。したがって入賞確率を変更することができる。
1…遊技盤、2…遊技領域、7…入賞装置、12…特別入賞口、13,13A,13B,13C…回転体、14…球排出通路、22…貫通孔、24…案内壁、28…底壁、31…駆動部、35…隔壁、36…隆起部分