JP5107286B2 - ホスホニルイミデートを求核剤とする方法 - Google Patents

ホスホニルイミデートを求核剤とする方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホスホニルイミデートの求核剤としての使用を提供するものである。より詳細には、本発明は、後記の一般式(1)で表されるホスホニルイミデートを求核剤として使用し、求核反応生成物を製造する方法に関する。
医薬品産業や農薬産業においては新たな活性化合物の開発のために多数の化合物が製造されてきている。また、近年では有機EL素子などの素子材料として多くの有機化合物が製造されてきている。
このような有機化合物の製造においては、新しい有機化合物の合成手法の開発が望まれてきている。求核反応は有機化合物を製造する際の代表的な化学反応のひとつとして知られており、多くの産業分野で利用されてきている。特に、求核付加反応は、新たなC−C結合やC−N結合を生成させるための化学反応として開発が進められてきている(非特許文献1〜8参照)。しかし、これらの反応にはほぼ等量という多量の塩基が必要とされたり、また求核反応基質化合物の反応性を確保するために反応サイトに隣接する位置に電子吸引基を有していることが必要とされてきた(例えば、非特許文献9〜11参照)。
このために本発明者らは、スルホニルイミデートを用いた触媒的マンニッヒ型反応やパラジウムの存在下の触媒的アリル位置換反応などを報告してきた(非特許文献12及び13参照)。
また、ホスホニルイミデートは、リン系の殺虫剤としても使用されているが、求核試薬としては使用されていなかった。
Alcaide, B. et al., Eur. J. Org. Chem., 2002, 1595. List, B., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 548. Notz, W., et al., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 580. Shibasaki, M., et al., Chem. Commun., 2002, 1989. Shibasaki, M., et al., Chem. Rev., 2002, 102, 2187. Cordova, A., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 102. Marques, M., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 348. Shibasaki, M., etal., J. Organomet. Chem., 2006, 691, 2089. Saito, S., et al., J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 8704. Saito, S., et al., Chem. Commun., 2007, 1236. Morimoto, H., et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 9588. Kobayashi, S., et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 1804. Kobayashi, S., et al., Chem. Commun., 2008, 6354.
本発明は、塩基の使用量が少なく、かつ一般性の高い新しい求核試薬を提供するものである。本発明は、本発明の求核試薬を用いた求核反応による各種の有機化合物の製造方法を提供する。
本発明者らは、塩基の使用量が少なく、かつ一般性の高い新しい求核試薬(求核剤)を開発してきており、このような新しい求核試薬(求核剤)としてスルホニルイミデートを用いた求核反応を開発してきた。そして、より効率的な求核試薬(求核剤)の開発を検討してきた。ホスホニルイミデートは従来から知られていたが、これを求核剤として用いることは知られていなかった。本発明者らは、ホスホニルイミデートの求核性を検討してきたところ、ホスホニルイミデートが求核試薬(求核剤)としての反応性を有することを初めて見出した。本発明は、ホスホニルイミデートを炭素求核剤として用いる初めての反応を提供するものである。
即ち、本発明は、次の一般式(1)
Figure 0005107286
(式中、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で表されるホスホニルイミデートを、塩基の存在下で求核反応基質化合物と反応させて求核反応生成物を製造する方法に関する。
また、本発明は、前記した本発明の方法で製造された求核反応生成物のホスホニルイミデート部分を、加水分解又は還元的加水分解して、対応するエステル、アミド、又はアルデヒドを製造する方法に関する。
さらに、本発明は、前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートを、求核反応における求核試薬(求核剤)として使用する方法に関する。また、本発明は、前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートの、求核反応における求核試薬(求核剤)として使用に関する。さらに本発明は、求核反応における求核試薬(求核剤)としての前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートに関する。
本発明をより詳細に説明すれば以下のとおりとなる。
[1]前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートを、塩基の存在下で求核反応基質化合物と反応させて求核反応生成物を製造する方法。
[2]求核反応基質化合物が、次の一般式(2)
Y=Z−R (2)
(式中、YはR−CH、R−C(R)、RO−CO−N、又はR−CO−Nを表し、ZはN、又はC−CO−OR10を表し、Rは置換基を有してもよい炭化水素基、−CORa、−COORa、又は−SO−Ra(式中、Raは置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)を表し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を表し、R及びR10はそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
で表される不飽和化合物であって、求核反応生成物が次の一般式(3)
Figure 0005107286
(式中、R、R、R、R、Y、Z、及びRは、前記一般式(1)及び(2)で示したものと同じである。)
である化合物である前記[1]に記載の方法。
[3]求核反応基質化合物が、次の一般式(4)
Figure 0005107286
(式中、R11は置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよい複素環基、又は炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基を表し、R12は置換基を有してもよい炭化水素オキシカルボニル基又は置換基を有してもよい炭化水素スルホニル基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(5)
Figure 0005107286
(式中、R、R、R、R、R11、及びR12は、前記一般式(1)及び(4)で示したものと同じである。)
で表されるアミノ化合物である前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]一般式(4)で表されるイミン化合物が、アルデヒドと一般式HN−R12(式中、R12は前記一般式(4)で示したものと同じである。)で表されるアミノ化合物から、反応系中で生成されるものである前記[3]に記載の方法。
[5]求核反応基質化合物が、次の一般式(6)
Figure 0005107286
(式中、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(7)
Figure 0005107286
(式中、R、R、R、R、R13、R14、R15、及びR16は、前記一般式(1)及び(6)で示したものと同じである。)
で表されるカルボニル化合物である前記[1]又は[2]に記載の方法。
[6]求核反応基質化合物が、次の一般式(8)
Figure 0005107286
(式中、R17及びR18は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよい炭化水素オキシ基を表す。)
であって、求核反応生成物が次の一般式(9)
Figure 0005107286
(式中、R、R、R、R、R17、及びR18は、前記一般式(1)及び(8)で示したものと同じである。)
で表されるヒドラジン化合物である前記[1]又は[2]に記載の方法。
[7]塩基が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド又はヘキサアルキルジシラジドである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]塩基が、アルカリ金属ヘキサアルキルジシラジドである前記[7]に記載の方法。
[9]塩基の量が、一般式式(1)で表されるホスホニルイミデートに対して0.01〜20モル%である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]求核反応生成物が、立体選択的生成物である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]前記[1]〜[10]いずれかに記載の方法で製造された求核反応生成物のホスホニルイミデート部分を加水分解又は還元的加水分解して、対応するエステル、アミド、又はアルデヒドを製造する方法。
[12]前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートを、求核反応における求核試薬として使用する方法。
本発明は、前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートからなる新規な求核試薬(求核剤)を提供するものであり、本発明の方法は、本発明が提供する新規な求核試薬(求核剤)を求核反応に適用することを特徴とするものである。
したがって、本発明の方法は、前記一般式(1)で表されるホスホニルイミデートからなる求核試薬(求核剤)を用いる全ての方法を包含するものであり、本発明における求核反応基質化合物としては、求核反応において本発明の求核試薬との反応性を有する化合物のことを意味する。
本発明の方法における好ましい求核反応としては、マンニッヒ型反応やミカエル付加反応のような求核付加反応が挙げられる。本発明の求核付加反応における、付加される不飽和結合としては、C=C結合、C=N結合、及びN=N結合などが挙げられる。
本発明の方法における好ましい求核反応基質化合物としては、前記した一般式(2)で表される化合物が挙げられる。より好ましい求核反応基質化合物としては、当該一般式(2)で表される化合物のうちの前記した一般式(4)、一般式(6)、又は一般式(8)で表される化合物が挙げられる。さらに好ましい求核反応基質化合物としては、一般式(4)で表されるイミノ型の化合物が挙げられる。
本発明における一般式(1)〜(9)における「炭化水素基」としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などの飽和又は不飽和の炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基が挙げられる。このようなアルケニル基の例としては、ビニル基、1−メチル−ビニル基、2−メチル−ビニル基、n−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−ビニル基、1−メチル−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜15、好ましくは炭素数3〜10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2.]オクチル基、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.1]デカニル基)、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル基、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニル基、などが挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1〜20のアルキル基が結合した、炭素数7〜40、好ましくは炭素数7〜20、炭素数7〜15のアラルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)が挙げられる。このような基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチル−メチル基などが挙げられる。
アリールアルケニル基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数2〜20のアルケニル基が結合した、炭素数8〜40、好ましくは炭素数8〜20、炭素数8〜15のアリールアルケニル基が挙げられる。このような基としては、例えば、スチリル基、2−ナフチル−ビニル基などが挙げられる。
また、本発明における炭化水素基は、求核反応に悪影響を与えない範囲で、前記してきた炭化水素基における1個又は2個以上の炭素原子が、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子などの異種原子で置換されたものであってもよい。
一般式(4)におけるR11の複素環基としては、1個〜4個、好ましくは1〜3個又は1〜2個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3〜8員、好ましくは5〜8員の環を有する単環式、多環式、又は縮合環式の複素環基が挙げられる。このような複素環基としては、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピロリル基、2−ピリジル基、2−インドール基、ベンゾイミダゾリル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基や複素環基は、求核反応に悪影響を与えない各種の官能基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、前記してきたアルキル基、前記してきたアルケニル基、前記してきたシクロアルキル基、前記してきたアリール基、前記してきたアラルキル基、塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、1個〜4個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3〜8員の環を有する複素環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜21のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜37のアリール−カルボニルオキシ基、炭素数8〜41のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜21のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜37のアリールオキシカルボニル基、炭素数8〜41のアラルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアミノ基、アルキルシリル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)における好ましいRとしては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。
一般式(1)における好ましいR及びRとしては、それぞれ独立して水素原子又は前記したアルキル基が挙げられる。
一般式(1)における好ましいRとしては、それぞれ独立して炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。
一般式(2)におけるR、及び一般式(4)におけるR11の好ましい基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数3〜15、好ましくは炭素数3〜10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又はシクロアルキル基;炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基;炭素数8〜40、好ましくは炭素数8〜20、炭素数8〜15のアリールアルケニル基;1個〜4個、好ましくは1〜3個又は1〜2個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3〜8員、好ましくは5〜8員の環を有する単環式、多環式、又は縮合環式の複素環基;炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。より好ましい基としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられる。
これらの基はアルキル基、ハロゲン、アルケニル基、などの置換基で置換されていてもよい。
一般式(2)におけるR及びR、及び一般式(6)におけるR13及びR14の好ましい基としては、水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。
一般式(2)における−OR、及び一般式(8)におけるR17の好ましい基としては、炭素数1〜20のアルキル基に酸素原子結合したアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
一般式(2)における−OR10、及び一般式(6)におけるR16の好ましい基としては、炭素数1〜20のアルキル基に酸素原子結合したアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
一般式(2)における好ましい=Z−Rとしては、一般式(4)における=N−R12基、一般式(6)における=C−R15基、及び一般式(8)における=N−COR18基が挙げられる。
一般式(4)における好ましいR12としては、炭素数6〜36、好ましくは炭素数6〜18、炭素数6〜12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基からなるアリールホスホニル基;炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基が挙げられる。これらの基はアルキル基、ハロゲン、アルケニル基、などの置換基で置換されていてもよい。
一般式(6)における好ましいR15としては、水素原子又はアルキル基が挙げられる。
一般式(8)における好ましいR18としては、炭素数1〜20のアルキル基に酸素原子結合したアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などが挙げられる。
本発明の方法は、塩基の存在下で行われる。塩基としては、強塩基が好ましい。好ましい塩基としては、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属ヘキサアルキルジシラジド、アルカリ土類金属ヘキサアルキルジシラジドなどが挙げられる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、バリウム、ストロンチウムなどが挙げられる。アルコキシドやヘキサアルキルジシラジドにおけるアルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
本発明の好ましい塩基としてはアルカリ金属ヘキサアルキルジシラジド、アルカリ土類金属ヘキサアルキルジシラジドなどが挙げられる。好ましいジシラジドとしては、ヘキサメチルジシラジドが挙げられる。
本発明の好ましい塩基の例としては、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)、Sr(HMDS)などが挙げられる。なお、HMDSはヘキサメチルジシラジド基を示す。
また、本発明の方法は、モレキュラーシーブ(好ましく4オングストロームのもの)の存在下に行うこともできる。
塩基の使用量は特に制限はないが、従来の方法のように等量使用する必要が無いことが本発明の方法の特徴のひとつである。好ましい塩基の量は、一般式(1)で表されるホスホニルイミデートに対して0.01〜20モル%、より好ましくは1〜15モル%程度である。
本発明の方法は溶媒の存在下で行うのが好ましい。好ましい溶媒としては、DMF(ジメチルホルムアミド)、DCM(ジクロロメタン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMA(ジメチルアセトアミド)、THF(テトラヒドロフラン)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(2)などで表される求核反応基質化合物は、一般式(1)で表されるホスホニルイミデートに対して等量で行うことができるが、好ましくは0.8〜2当量、0.9〜1.5当量で行うことができる。
反応温度は、特に制限はなく−45℃〜溶媒の沸点までの範囲で選択することができる。好ましい反応温度は0〜室温が上げられる。反応時間は適宜選定することができるが、反応温度が低い場合には10〜50時間程度、好ましくは24〜48時間程度が挙げられる。
本発明の方法で製造された生成物は、クロマトグラフィーなどの精製手段により適宜精製することができる。
本発明の方法で製造された化合物は、ホスホニルイミデート部分のβ位が不斉炭素となり、アンチ体とシン体が存在する。本発明の方法は、立体選択的に進行し、いすれかの異性体が多量に生成する。通常の場合にはアンチ体が60%以上、又は80%以上で生成する。また、多くの場合には90%、又は95%以上でアンチ体を選択的に生成させることもできる。
本発明の方法で製造された生成物は、ホスホニルイミデート部分(−C(OR)=N−PO(OR)を有しており、この部分を公知の手法で分解することにより、N−ホスホニルアミド、エステル、アルデヒドなどに誘導することができる。
−C(OR)=N−PO(OR → −CO−NH−PO(OR
−C(OR)=N−PO(OR → −COOR
−C(OR)=N−PO(OR → −CHO
N−ホスホニルアミドとする場合には、本発明の方法よる生成物を、含水アルコール(例えば、i−Prアルコール)中で硫酸などの酸の存在下で、加水分解することにより製造することができる。
エステルとする場合には、本発明の方法よる生成物を、酸又は塩基の存在下で加水分解することにより製造することができる。
アルデヒドとする場合には、水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤の存在下に反応させることにより製造することができる。
このようにして製造されたN−ホスホニルアミド、エステル、アルデヒドは、β位に本発明の方法により導入された窒素原子又は炭素原子を有しており、β−アミノ酸誘導体などとすることができ、本発明の方法により産業上有用な化合物を簡便に製造することができる。さらに、前記したように本発明の方法は立体選択的に行うことができるので、片方の異性体を選択的に製造することができる。
本発明は、反応に富んだ新規な求核試薬を提供するものであり、本発明の方法によれば、通常カルボニル化合物由来炭素求核剤は、等量以上の強塩基を用いて発生させるのが常であるが、本発明の方法においては触媒量の塩基を使用するだけで反応を進行させることができ効率的に行うことができる。また、本発明の方法は、立体選択的であり、光学活性体を選択的に製造することができる。
また、ホスホニルイミデートは殺虫剤として使用されている化合物であり、本発明の方法により簡便にその誘導体の合成が可能になるため、殺虫剤などに有用となる新規な有用物質の探索を簡便に高収率で立体選択的に行うことができるようになる。
さらに、本発明の方法は、使用する塩基の量が触媒量でも反応が進行するため、工業的な製造にも適している。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
H−NMRと13C−NMRは、JEOL JNM−ECX−400、JNM−ECX−500又はJNM−ECX−600を使用し、CDClを溶媒とし(他の溶媒を使用した場合は個別に記載)、テトラメチルシラン(δ=0、H−NMR)又はCDCl(δ=77.0、13C−NMR)を内部標準物質として測定した。
IRスペクトルの測定はJASCO FT/IR−610を使用した。
旋光度の測定はJASCO P−1010を使用した。
融点測定にはYAZAWA BY−1を使用した。
カラムクロマトグラフィーにはSilica gel 60(Merck)を、調製用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5Fを使用した。
全ての反応はアルゴン雰囲気下で実施し、溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。
参考例1
イミデートHCl塩の製造
次に示す反応式にしたがって各種のイミデート塩酸塩を製造した。
Figure 0005107286
ニトリル(400mmol)とアルコール(400mmol)の混合液にHClガスを10−20分間吹き込んだ。反応液をそのまま3−10時間アルゴン雰囲気下で放置した後、減圧濃縮することにより、ほぼ純粋なイミデートHCl塩をそれぞれ得た(収率 40−80%)。
参考例2
ホスホニルイミデートの製造
次に示す反応式にしたがってホスホニルイミデートを製造した。
Figure 0005107286
参考例1で製造したイミデートHCl塩Aの塩化メチレン(82.5mL)溶液にトリエチルアミン(15.0mL,106.72mmol)を室温下滴下した。得られたけん濁液に(EtO)(O)PCl(4,75mL,35.57mmol)とジメチルアミノピリジン(367.5mg,3.557mmol)を加えた。24時間撹拌した後、水に反応混合物を流し込み、塩化メチレンで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し反応粗生成物を得た。中性シリカゲルクロマトグラフィーにて精製した後、目的のホスホニルイミデート6gを得た(7.087g,収率86%)。
イミンとスルホニルイミデートとの反応
次に示す反応式にしたがってホスホニルイミデートの求核反応を行った。
Figure 0005107286
4オングストロームのモレキュラーシーブ(以下、MS4Aという。)(50mg)の入っている容器に、参考例2で製造したホスホニルイミデート(75.3mg,0.3mmol)のDMF(WAKO,0.4mL)溶液とイミン1(89μl,0.45mmol)を加えた。その混合物を0℃に冷却した後、カリウムヘキサメチルジシラザジド(KHMDS)(6.2mg,10mol%)のDMF(0.2mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃にて48時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(1mL)を加え反応を停止した。1分間撹拌した後、EtO(2mL)と水(1mL)を加えた後、有機層を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH−NMRにて決定した(アンチ/シン=96/4)。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物を得た(116mg,収率88%)。
主生成物は、次式、
Figure 0005107286
で表されるアンチ体であった。
H−NMR(C)δ=
7.61 (1H, d, J = 9.7 Hz), 7.51 (2H, app d, J = 7.5 Hz),
7.06 (2H, app t, J = 7.5 Hz), 6.97 (1H, app t, J = 7.5 Hz),
5.18 (1H, app quint, J = 6.3 Hz), 5.00 (1H, dd, J = 9.7, 9.7 Hz),
4.11-4.22 (2H, m), 3.88-4.03 (3H, m), 1.32 (9H, s),
1.21-1.28 (6H, m), 1.06 (3H, d, J = 6.3 Hz),
1.03 (3H, t, J = 6.9Hz), 0.94 (3H, d, J = 6.9 Hz)
本発明は、ホスホニルイミデートからなる新規な求核試薬を提供するものである。有機合成分野における新規な反応を提供することができることから、有機合成産業において極めて有用な方法を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 次の一般式(1)
    Figure 0005107286
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表されるホスホニルイミデートを、塩基の存在下で次の一般式(4)
    Figure 0005107286
    (式中、R 11 は炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基を表し、R 12 はアルコキシカルボニル基又はアリールホスホニル基を表す。)で表わされる求核反応基質化合物と反応させて次の一般式(5)
    Figure 0005107286
    (式中、R 、R 、R 、R 、R 11 、及びR 12 は、前記一般式(1)及び(4)で示したものと同じである。)で表わされる求核反応生成物を製造する方法。
  2. 一般式(4)で表されるイミン化合物が、アルデヒドと一般式HN−R12(式中、R12は前記一般式(4)で示したものと同じである。)で表されるアミノ化合物から、反応系中で生成されるものである請求項に記載の方法。
  3. 塩基が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド又はヘキサアルキルジシラジドである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 塩基の量が、一般式(1)で表されるホスホニルイミデートに対して0.01〜20モル%である請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 求核反応生成物が、立体選択的生成物である請求項1〜のいずれかに記載の方法。
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