JP5796762B2 - 光学活性なシクロヘキセン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)β−フルオロアルキル−α,β−不飽和ケトンとジエンのディールス・アルダー反応を用いる方法(非特許文献1)。
(2)(Z)−4,4,4−トリフルオロブテン酸エステルとフランのディールス・アルダー反応を用いる方法(非特許文献2)。
(3)1,1,1−トリフルオロ−2−ペンテン−4−オンとシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応を用いる方法(非特許文献3)。
(4)フルオロクロトン酸誘導体とシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応を用いる方法(非特許文献4)。
(5)下式(12)で示された光学活性オキサザボロリジン誘導体とルイス酸を用いる不斉ディールス・アルダー反応(非特許文献5)
(7)下式(13)で示された光学活性オキサザボロリジン誘導体とルイス酸を用いる不斉ディールス・アルダー反応(非特許文献7)
また、上記(5)〜(7)の不斉ディールス・アルダー反応では、含フッ素炭化水素基を有するオレフィン類を用いた反応は全く報告されていない。
これらの従来技術が示すとおり、シクロヘキセン骨格に含フッ素炭化水素を置換基として有する光学活性なシクロヘキセン誘導体は、医薬、農薬、電子材料等の中間体として有用であるにもかかわらず、不斉炭素上への立体選択的な含フッ素炭化水素基の導入法は限られており、これまで、不斉ディールス・アルダー反応により、含フッ素炭化水素基を有する光学活性なシクロヘキセン誘導体を製造する方法は全く知られていなかった。
本発明は、更に、上記新規な光学活性シクロヘキセン誘導体を用いた光学活性シクロヘキサジエン誘導体の製造方法、及びそれにより得られた抗インフルエンザウィルス薬などの中間体として有用な新規な光学活性シクロヘキサジエン誘導体を提供するものである。
<1> 下式(1)に示す含フッ素炭化水素基を有するオレフィン類と下式(2)に示すジエン類を触媒量の不斉源の存在下、ルイス酸を用いて不斉ディールス・アルダー反応を行うことを特徴とする下式(3)に示す光学活性なシクロヘキセン誘導体の製造方法。
R3及びR6は、それぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、シロキシ基、アシロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基もしくは保護されたアミノ基であるか、または、R3とR6がアルキレン基、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)もしくはアミン(−N(Q)−)により互いに結合して環を形成していても良い。ただし、Qはアルキル基、アルアルキル基、アリール基、またはアミノ基の保護基を表し、−は単結合を表す。
R4及びR5はそれぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、シロキシ基、アシロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または保護されたアミノ基を表す。
Zはアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基またはホルミル基を表す。
<3> R1及びR2の少なくともいずれか一方が、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基またはフルオロメチル基である、上記<1>または<2>に記載の製造方法。
<4> Zが、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基またはホルミル基である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5> R3及びR6が互いに結合し、−X−(CH2)n−で表される環を形成している、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。(ただし、−X−は−CH2−、−O−、−S−、または−N(Q)−を表す。ここで、Qはアルキル基、アルアルキル基、アリール基、またはアミノ基の保護基を表し、nは0または1を表し、−は単結合を表す。)
<7> 上記光学活性化合物が下式(4)で示される光学活性オキサザボロリジン誘導体であることを特徴とする、上記<6>に記載の製造方法。
R8は、アルアルキル基、アルキル基、アリール基もしくは水素原子を表すか、または、アルキレン基であってR7と結合して環を形成していてもよい。
R9は、アリール基、アルアルキル基またはアルキル基を表す。
Ar1及びAr2は、それぞれアリール基を表す。
<9> 上記ルイス酸が四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化鉄、塩化アルミニウムまたは臭化アルミニウムであることを特徴とする、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の製造方法。
<11> 下式(7)または(8)で示される絶対構造を有する光学活性なシクロヘキセン誘導体。
<12> 下式(9)または(10)で示される絶対構造を有する光学活性なシクロヘキセン誘導体。
<13> 上記式(9)で示される絶対構造を有する光学活性なシクロヘキセン誘導体に塩基を作用させることを特徴とする下式(11)で示す光学活性シクロヘキサジエン誘導体の製造方法。
<14> 上記式(11)で示される絶対構造を有する光学活性なシクロヘキサジエン誘導体。
そして、本発明の製造方法により、医薬、農薬、電子材料等の中間体として有用な、シクロヘキセン骨格に含フッ素炭化水素を置換基として有する、新規な光学活性なシクロヘキセン誘導体を得ることができる。
更に、上記新規な光学活性なシクロヘキサン誘導体から簡便な方法で光学活性シクロヘキサジエン誘導体を製造することができる。またこれにより、抗インフルエンザウィルス薬などの中間体として有用な、新規な光学活性シクロヘキサジエン誘導体を得ることができる。
アルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよい。アルキル基は特に記載しないかぎり炭素数が1〜6である低級アルキル基が好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
「含フッ素炭化水素基」とは、1価の炭化水素基の一ないし複数の水素原子がフッ素原子で置換された基を表す。炭化水素基としては脂肪族および芳香族の炭化水素基が含まれる。
置換アリール基としては、アリール基中の水素原子の1個以上が、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化(低級アルキル)基等で置換された基が好ましく、置換位置は特に限定されない。具体的には、メチル基、エチル基、メトキシ基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基が挙げられる。置換アリール基としては、置換フェニル基が好ましく、ハロフェニル基(たとえばクロロフェニル基、フルオロフェニル基、ブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基等)、(ハロゲン化低級アルキル)置換フェニル基(たとえばトリフルオロメチルフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等)、(低級アルコキシ)フェニル基(たとえばメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基等)、トリル基等が挙げられる。
「保護されたアミノ基」とは、上記「アミノ基の保護基」で保護されたアミノ基をいう。具体的には、アルコキシカルボニルアミノ基、ベンジロキシカルボニルアミノ基、アシルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリチルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
R1及びR2は、同じであっても異なっていてもよいが、それぞれ含フッ素炭化水素基、水素原子、フッ素原子またはアルキル基を表す。ただし、R1及びR2の少なくともいずれか一方は含フッ素炭化水素基である。
R1、R2としては、含フッ素炭化水素基または水素原子が好ましい。ただし、R1が水素原子の場合はR2は含フッ素炭化水素基でなければならず、R2が水素原子の場合はR1は含フッ素炭化水素基でなければならない。含フッ素炭化水素基としては、低級フッ化アルキル基が好ましく、具体的にはトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられ、特にトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基が好ましく、とりわけトリフルオロメチル基が好ましい。
R3及びR6は、それぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、シロキシ基、アシロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基もしくは保護されたアミノ基であるか、または、R3とR6がアルキレン基、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)もしくはアミン(−N(Q)−)により互いに結合して環を形成していても良い。ただし、Qはアルキル基、アルアルキル基、アリール基、またはアミノ基の保護基を表す。−は単結合を表す。
アルコキシ基としては低級アルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、またはt−ブトキシ基等が挙げられる。
シロキシ基としては、トリオルガノシロキシ基が好ましく、特にトリメチルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基が好ましい。
保護されたアミノ基としては、ベンジルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンジロキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。
アルキレン基は炭素数1又は2のアルキレン基が好ましい。
アルキル基としては低級アルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては低級アルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、またはt−ブトキシ基等が挙げられる。
シロキシ基としては、トリオルガノシロキシ基が好ましく、特にトリメチルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基が好ましい。
溶媒は、1種からなる溶媒であっても2種以上の混合溶媒であってもよい。
溶媒としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類等が挙げられる。
有機溶媒の量は、通常、基質であるジエン類に対して1〜200倍質量を用いるのが好ましい。特に5〜50倍質量を用いるのが好ましい。
光学活性オキサザボロリジン誘導体としては、種々の誘導体が知られている。たとえば、前述の式(12)、(13)で示されるもののほか、上記式(4)で示される誘導体、下式(14)〜(17)で示される誘導体等が知られている。
R7は、アルキル基、アリール基もしくはアルアルキル基を表すか、または、アルキレン基であってR8と結合して環を形成してもよい。
アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基が好ましい。
アルアルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
アルキレン基であって、R7がR8と結合して環を形成する場合、アルキレン基はプロピレンが好ましい。
特に好ましいR7は、アルキル基であり、とりわけイソプロピル基が好ましい。
アルアルキル基としては、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、ベンジル基が好ましい。
アルキル基としては、直鎖アルキル基が好ましく、オクチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ノニル基が挙げられる。
アリール基としてはフェニル基が好ましい。
アルキレン基であって、R7がR8と結合して環を形成する場合、アルキレン基はプロピレンが好ましい。
特に好ましいR8は、アルアルキル基であり、とりわけ1−ナフチルメチル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、3,5−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
アルアルキル基としては、ベンジル基が挙げられる。
アルキル基としては、n−ブチル基、メチル基、エチル基等が挙げられる。
好ましいR9は、フェニル基または2−トリル基であり、とりわけフェニル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、3,5−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
好ましいAr1及びAr2は、それぞれフェニル基または3,5−ジメトキシフェニル基であり、とりわけフェニル基が好ましい。
式(5)〜(10)において、好ましいR10は炭素数1〜4のアルキル基または水素原子であり、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。炭素数1〜4のアルキル基としては、エチル基、メチル基が好ましい。
たとえば、式(9)で示され光学活性なシクロヘキセン誘導体に塩基を作用させることにより、上記式(11)で示す光学活性シクロヘキサジエン誘導体を製造することができる。式(11)におけるR10の好ましい基は上記と同様である。
上記式(11)の製造方法に関しては、以下の条件が好ましい。
溶媒としては、非反応性の溶媒が用いられる。通常、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、またはこれらの混合溶媒が用いられる。好ましくはエーテル系溶媒が用いられ、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテルなどが挙げられ、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等が好ましい。
反応温度としては、−100〜+20℃が好ましく、−80〜0℃が特に好ましい。
純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。
1H−NMRスペクトルは400MHzの装置を用いて測定し、内部標準にテトラメチルシランを用いた。19F−NMRスペクトルは376MHzの装置を用いて測定し、内部標準にトリクロロフルオロメタンを用いた。ケミカルシフトはppmで示し、sはシングレット、tはトリプレット、mはマルチプレットであることを示し、カップリング定数(J)の単位はHzである。
乾燥したシュレンクフラスコにアルゴン雰囲気で0.1M (4S)−4−(1−メチルエチル)−3−(1−ナフタレニルメチル)−2,5,5−トリフェニル−1,3,2−オキサザボロリジンの0.1Mジクロロメタン溶液にジクロロメタン0.4mlを加え、−78℃に冷却した。この溶液に四塩化スズの1.0Mジクロロメタン溶液を加え、−78℃で15分間攪拌した。この溶液に(E)−4,4,4−トリフルオロ−2‐ブテン酸エチル 29.3mg(0.17mmol)とシクロペンタジエン 66mg(1.0mmol)を加えた。−78℃で8時間攪拌したのち、トリエチルアミン 10mg(0.1mmol)を加え、室温まで昇温した。飽和重そう水 15mlを加え、ジクロロメタン 15mlで3回抽出した。抽出液を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル 30:1)で精製し、表題化合物(エキソ体) 25.7mg、収率63%、光学純度99%ee、および表題化合物(エンド体) 7.2mg、収率19%、光学純度 99%eeを得た。
エンド体:1H NMR (CDCl3) δ 6.35-6.32 (m, 1H), 6.09-6.07 (m, 1H), 4.16-4.10 (m, 2H), 3.29 (s, 1H), 3.07 (s, 1H), 3.02-3.00 (m, 1H) 2.57-2.48 (m, 1H), 1.73-1.48 (m, 2H), 1.25 (t, 3H, J = 7.2 Hz); 19F NMR (CDCl3) δ -68.0 (d, J = 10.1 Hz).
光学純度はガスクロマトグラフィー(chiral beta DEX 120, 80℃)で分析した。エキソ体:60.2分、光学異性体:52.0分、エンド体:57.2分、光学異性体:56.2分。
(E)−4,4,4−トリフルオロ−2‐ブテン酸エチル 29.3mg(0.17mmol)とフラン 61mg(0.9mmol)を用い、0.1M (4S)−4−(1−メチルエチル)−3−(1−ナフタレニルメチル)−2,5,5−トリフェニル−1,3,2−オキサザボロリジンと四塩化スズをそれぞれ基質に対して30mol%用いて、例1と同様にして、表題化合物 38.5mgをエキソ体/エンド体 76:24の混合物として得た。エキソ体:光学純度99%ee、エンド体:光学純度99%ee
エンド体: 1H NMR (CDCl3) δ 6.55 (dd, 1H, J = 5.6, 2.4 Hz), 6.39-6.37 (m, 1H), 5.27-5.14 (m, 2H), 4.19-4.11 (m, 2H), 3.21 (t, 1H, J = 4.8 Hz), 2.73-2.65 (m, 1H), 1.27 (t, 3H, J = 7.2 Hz);19F NMR (CDCl3) δ -68.6 (d, J = 9.5 Hz)。
光学純度はガスクロマトグラフィー(chiral beta DEX 325, 90℃)で分析した。エキソ体:37.0分、光学異性体:39.1分、エンド体:42.5分、光学異性体:38.6分。
(E)−4,4−ジフルオロ−2‐ブテン酸エチル 28mg(0.19mmol)とシクロペンタジエン 62mg(0.93mmol)を用い、0.1M (4S)−4−(1−メチルエチル)−3−(1−ナフタレニルメチル)−2,5,5−トリフェニル−1,3,2−オキサザボロリジンと四塩化スズをそれぞれ基質に対して10mol%用いて、例1と同様にして、表題化合物 36.3mgをエキソ体/エンド体 57:43の混合物として得た。エキソ体:光学純度99%ee、エンド体:光学純度99%ee
エンド体: 1H NMR (CDCl3) δ 6.32-6.30 (m, 1H), 6.09-6.07 (m, 1H), 5.85 (dd, 1H, J= 56.4, 4.6 Hz), 4.15-4.07 (m, 2H), 3.26 (s, 1H), 2.98 (s, 1H) 2.89(dd, 1H, J = 5.2, 3.6 Hz), 2.31-2.20 (m, 1H), 1.24 (t, 3H, J = 7.2 Hz); 19F NMR (CDCl3) δ -117.6 (ddd, J = 280.1, 57.2, 16.9 Hz), -119.3 (ddd, J = 280.1, 57.2, 14.7 Hz)。
光学純度はガスクロマトグラフィー(chiral beta DEX 325, 100℃)で分析した。エキソ体:37.2分、光学異性体:36.1分、エンド体:40.7分、光学異性体:41.6分。
(E)−4,4−ジフルオロ−2‐ブテン酸エチル 28mg(0.19mmol)とフラン 64mg(0.94mmol)を用い、0.1M (4S)−4−(1−メチルエチル)−3−(1−ナフタレニルメチル)−2,5,5−トリフェニル−1,3,2−オキサザボロリジンと四塩化スズをそれぞれ基質に対して30mol%用いて、例1と同様にして、表題化合物 40.3mgをエキソ体/エンド体 53:47の混合物として得た。エンド体:光学純度99%ee
エンド体: 1H NMR (CDCl3) δ 6.51 (dd, 1H, J = 6.0, 2.0 Hz), 6.36 (dd, 1H, J = 6.0, 1.6 Hz), 5.74 (dd, 1H, J = 56.4, 6.8 Hz), 5.23-5.22 (m, 1H), 5.03 (s, 1H), 4.16-4.10 (m, 2H) 3.03-3.00 (m, 1H), 2.51-2.42 (m, 1H), 1.25 (t, 3H, J = 7.2 Hz); 19F NMR (CDCl3) δ -116.6 (ddd, J = 283.9, 57.5, 13.9 Hz), -120.3 (ddd, J = 282.8, 56.0, 10.5 Hz)。
光学純度はガスクロマトグラフィー(chiral beta DEX 325, 110℃)で分析した。エンド体:29.4分、光学異性体:33.3分。
(Z)−4,4,4−トリフルオロ−2‐ブテン酸エチル 28.8mg(0.17mmol)とフラン 57.3mg(0.84mmol)を用い、0.1M (4S)−4−(1−メチルエチル)−3−(1−ナフタレニルメチル)−2,5,5−トリフェニル−1,3,2−オキサザボロリジンと四塩化スズをそれぞれ基質に対して30mol%用いて、例1と同様にして24時間反応し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 8:1)で精製し、表題化合物(エンド体)20.6mg(収率51%、光学純度99%ee)を得た。
光学純度はガスクロマトグラフィー(chiral beta DEX 325, 110℃)で分析した。目的物:24.7分、光学異性体:27.3分。
実施例5で得られたethyl 3-(trifluoromethyl)-7-oxabicyclo[2.2.1]hept-5-ene-2-carboxylate 33mg(0.14mmol)にテトラヒドロフラン0.8mlに溶解し、1.0Mリチウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン溶液 0.19ml(0.19mmol)を−78℃で加えた。0℃に昇温し、0.5時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水 20mlを加え、ジクロロメタン 20mlで3回抽出した。抽出液を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル 10:1)で精製し、表題化合物 19.4mgを得た(収率58%)。
また、本発明の製造方法によれば、特殊な設備、装置、操作が不要であり、簡便な操作で光学活性なシクロヘキセン誘導体を高収率、高純度で製造できる。よって、本発明の製造方法は、工業的方法として有用である。
そして、本発明の製造方法により、新規で有用な光学活性なシンクロヘキセン誘導体を得ることができ、更に、かかる新規な光学活性なシクロヘキセン誘導体を中間体として用いることにより、抗インフルエンザウィルス薬などの中間体として有用な新規な光学活性シクロヘキサジエン誘導体を簡便に製造することができる。
Claims (8)
- 下式(1)に示す含フッ素炭化水素基を有するオレフィン類と下式(2)に示すジエン類を、触媒量の光学活性オキサザボロリジン誘導体の存在下、ルイス酸を用いて不斉ディールス・アルダー反応を行うことを特徴とする下式(3)に示す光学活性なシクロヘキセン誘導体の製造方法。
R3及びR6は、それぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、シロキシ基、アシロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基もしくは保護されたアミノ基であるか、または、R3とR6がアルキレン基、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)もしくはアミン(−N(Q)−)により互いに結合して環を形成していても良い。ただし、Qはアルキル基、アルアルキル基、アリール基、またはアミノ基の保護基を表し、−は単結合を表す。
R4及びR5はそれぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、シロキシ基、アシロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または保護されたアミノ基を表す。
Zはアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基またはホルミル基を表す。 - R1及びR2の少なくともいずれか一方が、炭素原子6個以下のフッ化アルキル基である、請求項1に記載の製造方法。
- R1及びR2の少なくともいずれか一方が、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基またはフルオロメチル基である、請求項1または2に記載の製造方法。
- Zが、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基またはホルミル基である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
- R3及びR6が互いに結合し、−X−(CH2)n−で表される環を形成している、請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法。(ただし、−X−は−CH2−、−O−、−S−、または−N(Q)−を表す。ここで、Qはアルキル基、アルアルキル基、アリール基、またはアミノ基の保護基を表し、nは0または1を表し、−は単結合を表す。)
- R7がアルキル基であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
- 上記ルイス酸が四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化鉄、塩化アルミニウムまたは臭化アルミニウムであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の製造方法。
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