以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
図1から図6は本発明の実施形態1を示したものであり、図1は撮像装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この撮像装置は、撮影光学系1と、シャッタ2と、ストロボ3と、撮像部4と、本体部5と、を備えている。
撮影光学系1は、被写体の光学像を撮像部4の画素部11に結像するものである。
シャッタ2は、撮影光学系1からの光束が画素部11に照射される時間を規定することにより、露光時間を制御するためのものである。
ストロボ3は、撮影用の照明光を被写体へ向けて照射するものである。
撮像部4は、撮像に係る動作を行うための機能部であり、画素部11と、信号処理部12と、シリアル信号変換部13と、シリアル信号送信部14と、駆動制御部15と、撮像同期信号生成部16と、撮像モード切替信号受信部17と、消費電力制御部18と、撮像同期信号送信部19と、を備えている。
画素部11は、光電変換を行う画素が2次元状に配置されたものである。すなわち、撮影光学系1により被写体の光学像が結像されると、画素部11は、光電変換を行い、画像信号を出力する。
信号処理部12は、画素部11から出力される画像信号に、相関二重サンプリング処理やオフセット補正処理、増幅処理等を行い、アナログ信号からデジタル信号に変換して出力するものである。この信号処理部12から出力されるデジタル信号は、1画素当たりのデータ量が複数ビット(例えば12ビット)でなるパラレル信号となっている。
シリアル信号変換部13は、信号処理部12からパラレル信号として出力される画像信号を、シリアル信号に変換するものである。このとき、シリアル信号変換部13は、撮像同期信号生成部16からの後述する撮像同期信号も参照しながら、フレーム毎の同期コード(フレーム同期コード)とライン毎の同期コード(ライン同期コード)とを生成して、生成した同期コードをシリアル信号に変換し、シリアル信号化した画像信号の直前に合成する処理も行う。
シリアル信号送信部14は、シリアル信号変換部13からのシリアル信号を、本体部5へ送信するものである。ここに、シリアル信号送信部14は、後述するように、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)等の低電圧差動伝送方式を用いて、差動シリアルデータ送信を行うものとなっている。
撮像モード切替信号受信部17は、本体部5から制御データとしての撮像モード切替信号を受信するものである。
撮像同期信号生成部16は、撮像モード切替信号受信部17が撮像モード切替信号を受信したら、受信した撮像モード切替信号に応じて撮像同期信号を生成して、シリアル信号変換部13と、駆動制御部15と、消費電力制御部18と、撮像同期信号送信部19と、へ出力するものである。また、撮像同期信号生成部16は、フレーム毎の撮像同期信号(撮像垂直同期信号)とライン毎の撮像同期信号(撮像水平同期信号)とを生成して、シリアル信号変換部13と、駆動制御部15と、消費電力制御部18と、撮像同期信号送信部19と、へ出力する処理も行う。
駆動制御部15は、本体部5から制御データとして送信される各種のパラメータと、撮像同期信号生成部16からの撮像垂直同期信号および撮像水平同期信号とに基づき、画素部11の画素リセットタイミングや画素信号を読み出すタイミング等を制御するものである。また、駆動制御部15は、撮像同期信号生成部16から撮像モード切替信号に応じた撮像同期信号を受信したら、撮像モードの切り替えを行い、受信した撮像同期信号を基準にして撮像モードに応じたタイミング制御を行う。
消費電力制御部18は、撮像同期信号生成部16から受信する撮像同期信号を基準タイミングとして、シリアル信号変換部13から出力されるシリアル信号において画像信号が無効である期間に、シリアル信号送信部14の消費電力を低減またはオフするように制御するものである。
撮像同期信号送信部19は、本体部5から撮像モード切替信号を受信したことを受けて撮像同期信号生成部16が生成した撮像同期信号を、パラレル信号として本体部5へ送信するものである。
本体部5は、画像データの処理や撮像装置の制御などを行うための機能部であり、シリアル信号受信部21と、画像処理部22と、表示部23と、記録部24と、撮像同期信号受信部25と、撮像モード切替信号送信部26と、消費電力制御部27と、露光量制御部28と、ユーザインターフェース部29と、制御部30と、を備えている。
シリアル信号受信部21は、シリアル信号送信部14からの差動シリアルデータを受信して、デコードし、パラレルデータへ変換するものである。
画像処理部22は、シリアル信号受信部21からの画像データに、各種の画像処理を施すものである。
表示部23は、画像処理部22により表示用に処理された画像データを表示するものである。この表示部23は、静止画像を再生表示することができると共に、撮像される範囲をリアルタイムに表示するライブビュー(LV)表示を行うことができるようになっている。
記録部24は、画像処理部22により記録用に処理された画像データを記録するものである。
撮像同期信号受信部25は、撮像同期信号送信部19からパラレル信号として送信された撮像同期信号を受けて、受信結果を制御部30へ出力するものである。
撮像モード切替信号送信部26は、制御部30の制御に基づいて、撮像モード切替信号や各種のパラメータを含む制御データを撮像部4へ送信するものである。ここに、撮像モード切替信号は、撮像モード切替信号受信部17へ送信され、各種のパラメータは、駆動制御部15へ送信されるようになっている。
消費電力制御部27は、撮像同期信号受信部25を介して撮像同期信号を受信した制御部30の制御に基づいて、撮像モード切替信号送信部26からの撮像モード切替信号も参照しながら、画像信号が無効である期間に、シリアル信号受信部21の消費電力を低減またはオフするように制御するものである。
露光量制御部28は、撮像同期信号を受信した制御部30の制御に基づいて、撮像部4に対する露光量を制御するものである。具体的には、露光量制御部28は、制御部30が撮像同期信号受信部25から受信した撮像同期信号を基準とするタイミングで、撮影光学系1に含まれる絞り、シャッタ2、ストロボ3などの駆動制御を行い、撮像部4に対する露光量の制御を行う。
ユーザインターフェース部29は、この撮像装置に対する各種の操作入力を行うためのものである。このユーザインターフェース部29に含まれる操作部材の例としては、撮像装置の電源をオン/オフするための電源スイッチ、静止画撮影を指示入力するためのレリーズボタン、撮像装置をライブビューモードに設定するためのライブビューモード設定ボタンなどが挙げられる。ここに、ライブビューを行っている最中にレリーズボタンがオン操作されて静止画の撮影が開始されることは、撮像モードをライブビューモードから静止画撮影モードへ切り替えることに該当する。同様に、静止画撮影が終了した後に再びライブビューモードへ復帰することも、撮像モードの切り替えに該当する。撮像モードの切り替えに該当するその他の例としては、スタンバイモード(撮像を待機する状態のモード)からライブビューモードや静止画撮影モードへの切り替え、ライブビューモードから後述するプリ発光モードへの切り替え、コントラストAF用に画像データを取得する状態から静止画撮影モード等への切り替え、あるいはこれらの逆の切り替え、などが挙げられる。このように、撮像モードの切り替えは、画素部11から読み出す画像のフレームレートの変更や、画素部11から1フレームとして読み出す画像の画素数(例えば読出ライン数)の変更などを伴うことがある。
制御部30は、ユーザインターフェース部29や撮像同期信号受信部25からの入力を受けて、画像処理部22、表示部23、記録部24、撮像モード切替信号送信部26、消費電力制御部27、露光量制御部28、ユーザインターフェース部29を含むこの撮像装置全体を統合的に制御するものである。
なお、図1においては、撮像部4と本体部5とを別のブロックとして図示したが、これは単に機能的に分別して示しただけであり、別体のユニット構成である等を意味するものではない。従って、撮像部4と本体部5とが一体であっても構わない。
図2は、シリアル信号送信部14およびシリアル信号受信部21の回路構成例をより詳細に示す図である。
シリアル信号送信部14およびシリアル信号受信部21は、一対となって、低電圧差動伝送方式(例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)の規格)に基づく回路構成を有している。
すなわち、シリアル信号送信部14は、第1の電流源SC1と第2の電流源SC2とを直列に接続しており、第2の電流源SC2はグランドへ接続されている。第1の電流源SC1と第2の電流源SC2との間には、トランジスタTr1およびトランジスタTr3が直列に接続されている。さらに、これらのトランジスタTr1およびトランジスタTr3に並列となるように、第1の電流源SC1と第2の電流源SC2との間には、トランジスタTr2およびトランジスタTr4が直列に接続されている。
一方、シリアル信号受信部21は、低電圧差動伝送方式に基づく回路の終端側となっていて、差動アンプDAが設けられている。この差動アンプDAの第1の入力端と第2の入力端との間には、終端抵抗Rが接続されている。
そして、トランジスタTr2とトランジスタTr4との間が、差動アンプDAの第1の入力端および終端抵抗Rの一端側へ接続され、トランジスタTr1とトランジスタTr3との間が、差動アンプDAの第2の入力端および終端抵抗Rの他端側へ接続されている。
このような構成において、トランジスタTr1とトランジスタTr4は第1のスイッチング素子群を構成し、トランジスタTr2とトランジスタTr3は第2のスイッチング素子群を構成している。すなわち、シリアル信号変換部13から出力される1ビット単位のシリアル信号は、トランジスタTr1およびトランジスタTr4にそのまま入力されると共に、反転されてトランジスタTr2およびトランジスタTr3に入力される。
これにより、トランジスタTr1およびトランジスタTr4がオフしたときには、トランジスタTr2およびトランジスタTr3はオンする。このときには、第1の電流源SC1からの電流は、トランジスタTr2、終端抵抗R、トランジスタTr3を順に介して、第2の電流源SC2からグランド側へ流れる。従って、差動アンプDAの第1の入力端が+、第2の入力端が−となる。
また、トランジスタTr1およびトランジスタTr4がオンしたときには、トランジスタTr2およびトランジスタTr3はオフする。このときには、第1の電流源SC1からの電流は、トランジスタTr1、終端抵抗R、トランジスタTr4を順に介して、第2の電流源SC2からグランド側へ流れる。従って、差動アンプDAの第1の入力端が−、第2の入力端が+となる。
このような差動電圧に基づく信号が、差動アンプDAにより増幅されて電圧Voutの信号として出力され、シリアル信号が復元される。このシリアル信号は、図示はしないが、シリアル信号受信部21内においてさらにデコードされ、パラレルデータが復元される。すなわち、シリアル信号受信部21は、連続しているシリアルデータ中の、連続するあるビットからあるビットまでを、入力順にパラレルデータに変換する処理(いわゆるシリパラ変換処理)を行う。つまり、シリアル信号受信部21は、シリアルデータがある固有値(この固有値としては、画素データとして取り得ない値などが選ばれる)を示すビット順序で入力されたことを検出すると、その後のシリアルデータを特定のビット数毎にパラレルデータ化する処理を行う。このときの固有値が、上述した同期コードである。この同期コードは、数値を変えることにより、フレームの最初の画素を出力するタイミングを示すコード(フレーム同期コード)や、各ラインの最初の画素を出力するタイミングを示すコード(ライン同期コード)、あるいは、フレームの最後の画素を出力するタイミングを示すコード(フレーム終端同期コード)や、各ラインの最後の画素を出力するタイミングなどを示すコード(ライン終端同期コード)などとして使用することができる。
このような構成において、消費電力制御部18は、例えば、トランジスタTr1〜Tr4のオン/オフを制御することができるようになっている。そして、消費電力制御部18は、撮像同期信号生成部16から撮像同期信号を受信すると、受信した撮像同期信号に基づいて、シリアル信号変換部13から出力されるシリアル信号において画像信号が無効である期間を判断し(すなわち、画素部11が撮像同期信号に基づき実際に駆動される時点と、シリアル信号変換部13から有効なシリアル画像データが出力される時点とでは、信号処理部12による処理時間等の遅延によるずれがあり、このずれを加味して判断する)、この期間にトランジスタTr1〜Tr4を全てオフするように制御する。これにより、低電圧差動伝送方式に基づく回路の終端に付加された終端抵抗Rに流れる電流が遮断され、消費電流がオフされる。
また、消費電力制御部27は、撮像モード切替信号送信部26からの撮像モード切替信号も参照しながら、撮像同期信号を受信した制御部30の制御に基づいて、画像信号が無効である期間に、差動アンプDAに供給する電流や、シリアルデータからパラレルデータを復元する回路等に供給する電流などを、低減またはオフするように機能する。
なお、ここでは、終端抵抗Rに流れる電流の遮断を、シリアル信号送信部14のトランジスタTr1〜Tr4をオフすることにより行ったが、これに代えて、シリアル信号受信部21の終端抵抗Rの部分に別途のスイッチを追加して、このスイッチを消費電力制御部27が制御してオフすることにより行うようにしても構わない。
さらに、上述では、終端抵抗Rに流れる電流を遮断して消費電力削減を図る構成を示したが、これに代えて、終端抵抗Rに流れる電流を低減して消費電力削減を図る構成を採用することも可能である。例えば、電流源SC1および電流源SC2として、それぞれ電流値の異なる複数種類のものを用意しておき、画像信号が有効である期間には規格に沿った電流値の電流源SC1,SC2を用い、画像信号が無効である期間には規格よりも電流値の低い電流源SC1,SC2を用いるようにするなどが考えられる。ここに、規格よりも電流値の低い電流源SC1,SC2を用いると、終端抵抗Rの両端に生じる電圧が規格で定められた入力差動電圧範囲よりも低くなって、シリアル信号受信部21において正しく信号を受信することができなくなる場合が生じるが、画像信号が無効である期間であればシリアル信号を受信することは不要であるために、実用上の不都合が生じることはない。
次に、図3は同期コードおよび画像データを合成して得られるパラレルデータの例を示すタイミングチャート、図4は撮像部4から本体部5へ送信される差動シリアルデータの例を示す図である。これら図3および図4においては、図面左側が時間的に先(従って、図面右側が時間的に後)となっている。なお、図4においては、図面を記載する都合上、データを途中で改行している。また、以下の説明においては、画素部11における1ラインの画素数がk個であり、1つの画素データがnビットのパラレルデータであるものとして説明する。
撮像同期信号生成部16は、1フレーム毎にフレーム同期信号を、1ライン毎にライン同期信号を、それぞれ生成して出力している。そして、ブランキング期間は、フレーム同士の間と、フレーム内におけるライン同士の間と、に生じることになる。
シリアル信号変換部13は、撮像同期信号生成部16からフレーム同期信号を受信すると、このフレーム同期信号を受信した時点から所定の遅延時間後における画像信号が有効である期間の直前のブランキング期間の最後に、図3に示すように、同期コード(フレーム同期コード)を合成する。
また、シリアル信号変換部13は、撮像同期信号生成部16からフレーム同期信号を受信することなくライン同期信号だけを受信すると、このライン同期信号を受信した時点から所定の遅延時間後における画像信号が有効である期間の直前のブランキング期間の最後に、同期コード(ライン同期コード)を合成する。
これらの同期コードは、画素出力タイミングを示すコードである。従って、これらの同期コードの合成時点は、今説明したように画像信号が有効である期間の直前であり、撮像同期信号生成部16により生成された撮像垂直同期信号(VD)や撮像水平同期信号(HD)(図5等も参照)に基づいて駆動制御部15が画素部11を実際に駆動するタイミングとは異なる。
このように、同期コードを画像信号が有効である期間の直前に合成した場合のデータ出力順序は、
無効データ→同期コード→有効画素データ→無効データ→…
となる。
シリアル信号変換部13は、さらに、図3に示したようなパラレルデータを図4に示すようなシリアルデータに変換する。
すなわち、C1〜Cmは、同期コード(フレーム同期コード)を示している。ここに、同期コードはmビットのビット長であるものとしている。
続くk組のデータD1〜Dnは、1画素がnビットで構成される画素データの1ライン分を示している。
その後は、ブランキング期間が続いている。
さらにその後に、C’1〜C’mで示す同期コード(ライン同期コード)、1ライン分の画素データが続いている。
シリアル信号受信部21は、図4に示すような1ビット単位で入力されるシリアル信号を解釈して、フレーム同期コードに対応する固有値を示すビット順序で入力されたことを検出すると、フレーム同期コードを受信したと判定して、パラレルデータとしてのフレーム同期信号およびライン同期信号を図3に示したように復元する。これにより、シリアル信号受信部21は、このフレーム同期コードに引き続いて、1フレームの画像に係る有効な画像データが開始され、まず(k×n)ビットのデータが1ライン分の有効な画像データであることを認識することができる(すなわち、シリアル信号受信部21は、フレーム同期コードに基づいて、1フレーム分の画像データの開始位置を認識することができ、また、1ライン分の有効な画像データの開始位置および終了位置を認識することができる(終了位置を認識することができるのは、1ライン分のビット量が予め分かっているため。以下、同様。))。従って、シリアル信号受信部21は、フレーム同期コードの後に連続して出力されるシリアルデータをnビット毎にパラレルデータ化して、k画素分のパラレルデータを復元する処理を行う。
こうして有効な画像データが終了した後は、シリアル信号受信部21は、次の同期コード(ここでは、ライン同期コード)を受信するまでは、ブランキング期間であることを認識することができる。
同様にして、シリアル信号受信部21は、図4に示すような1ビット単位で入力されるシリアル信号を解釈して、ライン同期コードに対応する固有値を示すビット順序で入力されたことを検出すると、ライン同期コードを受信したと判定して、パラレルデータとしてのライン同期信号を図3に示したように復元する。これにより、シリアル信号受信部21は、このライン同期コードに引き続く(k×n)ビットのデータが、1ライン分の有効な画像データであることを認識することができる(すなわち、シリアル信号受信部21は、ライン同期コードに基づいて、1ライン分の有効な画像データの開始位置および終了位置を認識することができる)。従って、シリアル信号受信部21は、ライン同期コードの後に連続して出力されるシリアルデータをnビット毎にパラレルデータ化して、k画素分のパラレルデータを復元する処理を行う。
そして、消費電力制御部18および/または消費電力制御部27は、ブランキング期間に、シリアル信号送信部14および/またはシリアル信号受信部21の電源を例えば上述したようにオフするように制御する。なお、図3には全てのブランキング期間に電源オフすることを示しているが、ブランキング期間は電源オフ可能期間であるので全てを電源オフする必要はない。例えば、各処理部におけるタイムラグ等を考慮して、図3に示したよりもやや短い期間だけ電源オフするようにしても構わない。
こうして撮像部4から本体部5へ送信される差動シリアルデータがブランキング期間中に停止したとしても、非同期での撮像モードの切り替えがなければ、シリアル信号受信部21により復元された同期信号に基づいて、有効な画像データの取り込みや画像処理部22による画像処理を行うことが可能である。
これに対して、撮像モードの切り替えが任意のタイミングで(非同期で)本体部5から撮像部4へ指令された場合には、画像信号が有効である期間を本体部5が把握することができなくなってしまう。このために、差動シリアルデータとは別に撮像同期信号(撮像モードの切り替えがあったことを検出するための信号)を撮像部4から本体部5へ送信している。そして、本体部5は、この撮像同期信号に基づいて、撮像モード切替時の露光量に係るタイミング制御を行うようになっている。
まず、図5は、撮像装置におけるライブビューモード中の静止画撮影の様子を示すタイミングチャートである。この図5は、撮像モードが、ライブビューモードから静止画撮影モードへ切り替えられたときの例を示している。
撮像モードがライブビューモードであるときには、撮像同期信号生成部16により生成された撮像垂直同期信号(VD)および撮像水平同期信号(HD)に基づいて、駆動制御部15が画素部11を駆動する。この駆動により、画像データがライン単位で画素部11からローリング読み出しされる(ライブビュー画像ローリング読出LVRD)。
この駆動制御部15による画素部11の駆動とは異なるタイミング、すなわち、画像信号が有効である期間の直前のブランキング期間の最後に、シリアル信号に同期コードが合成される。そして、同期コードおよび画像データは、差動シリアルデータとして撮像部4から本体部5へ送信される。
シリアル信号受信部21は、受信したシリアルデータから、同期コードに基づき垂直同期信号(VD)および水平同期信号(HD)を生成する。これらの同期信号は、上述したように、画像の取り込みや画像処理のタイミング制御に利用される。
そして、ライブビューモード中のブランキング期間は、上述したように、消費電力制御部18,27による消費電力の削減を行っている。
一方、ユーザインターフェース部29のレリーズボタンがオン操作されると、制御部30の指令に基づき、撮像モード切替信号送信部26は、撮像モード切替信号MCを撮像モード切替信号受信部17へ送信する。
撮像モード切替信号受信部17が撮像モード切替信号MCを受信したことに応答して、撮像同期信号生成部16は、撮像モードの切り替えがあったことを検出するための撮像同期信号(撮像垂直同期信号(VD))を生成して、シリアル信号変換部13と、駆動制御部15と、消費電力制御部18と、撮像同期信号送信部19と、へ出力する。また、撮像同期信号生成部16は、撮像垂直同期信号(VD)を基準とするタイミングであって、切り替えられた撮像モードに応じた適宜のタイミングで、撮像水平同期信号(HD)も生成して出力する。
この撮像垂直同期信号(VD)(ここでは、ライブビューモードから静止画撮影モードへの切り替えがあったことを検出するための信号となる)を受けると、駆動制御部15は、画素部11の全画素リセットRSTを行う。
一方、撮像同期信号送信部19および撮像同期信号受信部25を介して撮像垂直同期信号(VD)を受け取った制御部30は、受け取った撮像垂直同期信号(VD)が、撮像モード切替信号送信部26を介して撮像モード切替信号を送信してから所定時間(この所定時間は、撮像モード切替信号を送信してから、撮像モード切替信号に対応する撮像垂直同期信号(VD)を受信するまでの遅延時間に設定される)を経た後に、最初に受信した撮像垂直同期信号(VD)であるか否かを判定する。このとき、最初に受信した撮像垂直同期信号(VD)である場合には、制御部30は、受信した撮像垂直同期信号(VD)が、撮像モードの切り替えがあったことを検出するための撮像同期信号であると判断する。そして、制御部30は、本体部5のクロックを参照しながら(そして、撮像水平同期信号(HD)も参照してタイミング修正を行いながら)、露光量の制御を行う。
すなわち、制御部30は、撮像垂直同期信号(VD)から所定の時間Tfcが経過した後に、露光量制御部28を介してシャッタ2の先幕を閉から開へ走行させる(先幕走行FC)(なお、実際の幕走行には時間を要するが、図5においては垂直の線で簡略化して示している。以下同様。)。
また、制御部30は、撮像垂直同期信号(VD)から所定の時間Tst(この時間は、シャッタ2の先幕が完全に開いた後の時間である)が経過した後に、露光量制御部28を介してストロボ3を例えば発光させる(ストロボ発光ST)。
さらに、制御部30は、撮像垂直同期信号(VD)から所定の時間Trcが経過した後に、露光量制御部28を介してシャッタ2の後幕を開から閉へ走行させる(後幕走行RC)。このときの先幕走行FCから後幕走行RCまでの期間が、露光時間Texである。
その後、駆動制御部15は、本体部5から送信された制御データ(露光時間Tex等のデータ、あるいはシャッタ2の後幕が閉じたことを示す信号など)に基づいて、露光が完了した後のタイミングで、画素部11の画像データをライン単位でローリング読み出しする(静止画像ローリング読出STLRD)。
なお、画素部11の第1ラインの電荷蓄積時間Tex1は、全画素リセットRSTから第1ラインが静止画像ローリング読出STLRDされるまでの時間である。一方、画素部11の最終ラインの電荷蓄積時間Texnは、全画素リセットRSTから最終ラインが静止画像ローリング読出STLRDされるまでの時間である。従って、ラインによって電荷蓄積時間が異なるが、撮影光学系1からの光束が画素部11に照射される時間は全ラインについて先幕走行FCから後幕走行RCまでの期間である露光時間Texとなるために、露光ムラが生じることはない。
こうしてローリング読み出しが行われると、同期コードと画素データとが合成されて、差動シリアルデータとして撮像部4から本体部5へ送信される(画像信号が有効である期間)。
一方、画像データがローリング読み出しされる前の露光期間は、ブランキング期間、すなわち画像信号が無効である期間である。従って、静止画撮影モードにおけるこのブランキング期間も、消費電力制御部18および/または消費電力制御部27によりシリアル信号送信部14および/またはシリアル信号受信部21の電流を低減またはオフして、消費電力の削減を図ることが可能であり、そのように処理している。
このようにして、本体部5は、シリアル信号として受信する同期コードを基準にして、画像データの取り込みや各種の画像処理を行っている一方で、パラレル信号として受信する撮像同期信号を基準にして、画素部11を撮像駆動しているタイミングを検出し、各種の露光量制御(シャッタ2やストロボ3のタイミング制御)を行っている。
図6は、撮像装置におけるライブビューモード中のストロボのプリ発光の様子を示すタイミングチャートである。
ストロボ3のプリ発光は、ストロボ3を本発光して静止画像を撮影する前に、ストロボ3を予備的に発光させて、被写体の測光をより正確に行うためのものである。また、ストロボ3のプリ発光は、赤目現象(暗いところでは瞳孔が開いているために、ストロボの光が網膜により反射されて撮像装置側へ戻り、赤目として撮影される現象)を防止するためにも行われることがある。
この図6では、ライブビューモード中に、ユーザインターフェース部29のレリーズボタンがオン操作されると、制御部30の指令に基づき、撮像モードをライブビューモードからプリ発光モードへ移行して、ストロボ3をプリ発光する例を示している。従って、このプリ発光によって得られたライブビュー画像に基づき測光演算等が行われた後に、図5に示したような静止画撮影モードへさらに移行することになる。
レリーズボタンがオン操作されると、制御部30の指令に基づき、撮像モード切替信号送信部26は、撮像モード切替信号MCを撮像モード切替信号受信部17へ送信する。
撮像モード切替信号受信部17が撮像モード切替信号MCを受信したことに応答して、撮像同期信号生成部16は、撮像モードの切り替えがあったことを検出するための撮像垂直同期信号(VD)を生成して、シリアル信号変換部13と、駆動制御部15と、消費電力制御部18と、撮像同期信号送信部19と、へ出力する。
撮像同期信号送信部19および撮像同期信号受信部25を介して撮像垂直同期信号(VD)を受け取った制御部30は、受け取った撮像垂直同期信号(VD)が、撮像モード切替信号送信部26を介して撮像モード切替信号を送信してから上記所定時間を経た後に、最初に受信した撮像垂直同期信号(VD)であるか否かを判定する。このとき、最初に受信した撮像垂直同期信号(VD)である場合には、制御部30は、受信した撮像垂直同期信号(VD)が、撮像モードの切り替えがあったことを検出するための撮像同期信号(ここでは、ライブビューモードからプリ発光モードへの切り替えがあったことを検出するための信号となる)であると判断する。そして、制御部30は、本体部5のクロックを参照しながら(そして、撮像水平同期信号(HD)も参照してタイミング修正を行いながら)、ストロボ3をプリ発光させるまでの時間Tstpを計測し、時間Tstpが経過したところで露光量制御部28を介してストロボ3をプリ発光させる(ストロボプリ発光STP)。
ここに、プリ発光モードにおけるストロボ3のプリ発光は、露光時間を電子シャッタのシンクロ速度に該当する時間よりも長く設定した上で、画素部11の画素がライン毎にリセット(ローリングリセットRST)されて全画素のリセットが終了した後のタイミングであって、かつ、露光完了後に画素部11の画像データをライン単位でローリング読み出し(ライブビュー画像ローリング読出LVRD)開始する前のタイミングで行われる。従って、ストロボ3を発光させるまでの時間Tstpは、このタイミングとなるような時間に設定される。
ストロボプリ発光STPは、有効な画像データが出力されていないとき、つまり画像信号が無効である期間(ブランキング期間)に行われ、このときには、上述したように、消費電力制御部18および/または消費電力制御部27によりシリアル信号送信部14および/またはシリアル信号受信部21の電流を低減またはオフして、消費電力の削減を図っている。それ故に、本体部5において同期コードから同期信号を生成することはできず、シリアル信号に基づいてタイミングを正確に制御することは不可能である。そこで、本体部5は、上述したように、パラレル信号として受信する撮像同期信号に基づいてタイミング制御を行うようにしている。
なお、プリ発光モードやライブビューモードにおいては、ローリングリセットRSTからライブビュー画像ローリング読出LVRDまでの期間が、電荷蓄積時間であってかつ露光時間となる。そして、ローリングリセットRSTおよびライブビュー画像ローリング読出LVRDの動作タイミングは、全ラインの電荷蓄積時間が同一となるように制御されるために、画素部11の第1ラインの電荷蓄積時間Tex1と最終ラインの電荷蓄積時間Texnとは基本的に同一である。
こうしてローリング読み出しが行われると、同期コードと画素データとが合成されて、差動シリアルデータとして撮像部4から本体部5へ送信され、上述したように測光演算等が行われることになる。
このような実施形態1によれば、画像信号が無効である期間は、シリアル信号送信部14および/またはシリアル信号受信部21の電流を低減またはオフするようにしたために、消費電力の削減を図ることが可能となる。このとき、画像データに同期コードを合成する位置を、有効な画像データの直前の位置としたために、同期コードを例えば画像データが無効である期間の途中に合成する場合よりも、画像データが無効である期間を連続して長く確保することができる。従って、継続して長い時間、電流の低減またはオフが可能となり、消費電力の削減を効果的に行うことができる。
また、シリアル信号として送信する画像信号とは別に、撮像同期信号をパラレル信号として撮像部4から本体部5へ送信するようにしたために、本体部5は、パラレル信号として受信した撮像同期信号を基準タイミングとして時間計測を行うことが可能である。従って、消費電力の削減によりシリアル信号が送信されない期間が生じたとしても、本体部5は、撮像部4の駆動状態に応じた露光量制御や撮像装置のその他各種の制御を正確なタイミングで行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。