JP5106309B2 - 投写型表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ光源と光ファイバを搭載した投写型表示装置において、光ファイバの安全機能に関するものである。
従来の投写型表示装置では、水銀ランプや発光ダイオード(LED:light emitting diode)などのインコヒーレント(非干渉性)で比較的低輝度の光源が用いられてきた(水銀ランプを光源とする薄型光学系の例としては特許文献1参照)。一方、レーザ光は指向性に優れ、高輝度であるため、投写型表示装置の光源として有望である。レーザ光源を搭載することにより、光学系をコンパクトにして、投写型表示装置の薄型化に適したコンパクトな光学エンジンを得ることができる(レーザを光源とする投写型表示装置の例としては特許文献2参照)。
特開2006−91867号公報(第6項、第2図) 特開2000−131665号公報(第4項、第1図)
投写型表示装置の光源として集光性に優れるレーザ光源を用いると、光学エンジンをコンパクトにできる。しかしレーザ光源と光学エンジンは直線上に配置する必要があるため、投写型表示装置内で部品の設置位置の自由度が低く、このことが投写型表示装置全体の薄型化を妨げていた。これを解決するためにレーザ光源と光学エンジンを光ファイバで連結すれば、光ファイバは曲げても光を伝達できるため、光ファイバで連結しているレーザ光源と光学エンジンを直線上に配置する必要がなくなり、部品の配置位置の自由度が向上する。その結果、投写型表示装置全体の薄型化を実現することができる。
しかしながらレーザ光を光ファイバに通光する場合には、局所的な発熱等で光ファイバが損傷する可能性があるため、温度上昇に対する安全性の確保が必要になる。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、光ファイバとその周辺の温度上昇に対する安全性を向上させることを目的とする。
本発明に係る投写型表示装置においては、光ファイバの出射端に温度センサを備え、設定値以上の温度上昇を検出した場合にはレーザ光源の出力を制御するようにした。
本発明に係る投写型表示装置によれば、温度上昇に対する安全性を向上させることができる。
実施の形態1
図1は実施の形態1に係る投写型表示装置の構成図である。この実施の形態に係る投写型表示装置は、レーザ光源5と、光学エンジン6と、それらを接続する光ファイバ群1と、レーザ光源5の出力を制御する制御手段71と、光ファイバ群1の光学エンジン6側の端(出射端)に備えられたホルダー3と、ホルダー3の外面に接触して設置された温度センサ4とで構成される。光ファイバ群1は、出射端がホルダー3の内部に挿入されて、光学エンジン6に固定されている。レーザ光源5は複数の色光レーザに対応した光源ユニット51、52、および53を備える。光ファイバ群1は、光源ユニット51、52および53にそれぞれ接続される光ファイバ11、12および13を途中で束ねて1本にしたもので、単一の出射端を有する。光学エンジン6内には、レンズ手段61、反射ミラー62などの光学素子と、表示デバイス7、拡大投写レンズ63が配置されている。また、装置全体を覆うように筐体9が設けられ、その側面のうち1面には、大画面のスクリーン8が備えられている。
次に動作について説明する。レーザ光源5から出射されたレーザ光はレーザ伝達光路である光ファイバ群1を経由し、光学エンジン6内に入る。光学エンジン6内に入ったレーザ光は、レンズ手段61を通過し、反射ミラー62によって折り返された後、表示デバイス7に照射され、拡大投写レンズ63を介してスクリーン8に拡大投影される。
ホルダー3の外面には温度センサ4が接触して設置されており、ホルダー3の温度を検出し、制御手段71に温度を知らせる信号を出力している。制御手段71は、温度センサ4が設定値以上の温度を検出した場合、レーザ光源5の出力を小さくする、あるいは停止する。ここで、温度センサ4は設定値以上の温度上昇を検出した場合にのみ信号を出力して制御手段71に設定値以上の温度上昇があったことを知らせるようにしてもよい。また、温度を直接検出されるホルダー3は、金属などの導熱性の高い材質で構成するのが望ましい。
この実施の形態で用いる光ファイバの種類の候補としては、コア部もクラッド層もガラスで作られた光ファイバが考えられるが、この種の光ファイバはコア部とクラッド層の屈折率差を大きくすることが困難である。したがってここでは投写型表示装置の光学系のFナンバーを小さくすることができるプラスチックファイバを用いるのが好適である。
さらにコストも考慮すると、レーザ光を通光するコア部には石英ガラス(546nmで屈折率約1.46)を用い、クラッド層には光学用UV硬化型樹脂等のプラスチックを用いたプラスチックファイバを用いるのが望ましい。光学用UV硬化型樹脂は、例えば589nmで1.38から1.47の屈折率を示す。クラッド層の材料はこのような材料の中から光ファイバとして石英ガラスよりも十分に屈折率が低い樹脂材料を選択するとよい。
図2は光ファイバ1とその入出射端の具体的な構成を示す図である。出射端側は、図1では明示されていないホルダー3の内部の構造を示すために断面図となっている。2は複数の光ファイバ11、12および13を束ねる結束部材、15、16および17は光ファイバ11、12、13のレーザ光源5側端(入射端)に取り付けられたコネクタ部品である。他の符号は図1と同一であり、説明を省略する。
ここで、レーザ光源5と光ファイバ11、12、13の入射端側の構造について詳しく説明する。各光源ユニット51、52および53は各色のレーザ光を発するエミッタと、エミッタから発せられた光を集めて収束するカップリング光学系を内包しており、光が収束した光スポット部に光ファイバの入射端面が位置するようになっており、効率よく光エネルギーが伝達するような構成となっている。カップリング光学系を介して光ファイバ11、12、13に伝達されたレーザ光は光伝達作用により光学エンジン6に導かれる。
光ファイバ11、12、13の入射端に取り付けられたコネクタ部品15、16、17には、入射端から一定の寸法だけプラスチッククラッド部が除去された光ファイバ11、12、13が挿入され、入射端から一定の距離離れたクラッド層が残っている部分においてこれを外側から機械的にクランプして金属コネクタが取り付けられる構造を有する。そのため、レーザ光が入射する端部にはガラスのコア部だけが存在することとなり、この入射端側においては、過熱による部品の損傷の可能性を著しく低減することができる。
一方、光ファイバ群1の出射端での温度上昇の対策として、入射端側と同様の方法で光学エンジン6に接続するのは困難である。出射端の断面積は光学エンジンの光学設計によって決定されるので、光伝達効率をよくするためには、できるだけ光ファイバを密着させて、その面積内に光ファイバを押し込まなければならない。そのため、プラスチッククラッド部を除去して、入射端側で用いたようなコネクタ部品を光ファイバひとつひとつに取り付けるスペースがない場合が多いからである。したがって、出射端側では光ファイバ群1の出射端側では温度上昇に対する対策が別に必要となる。そこで、ここに温度センサ4を取り付け、設定値以上の温度上昇を検知した場合にはレーザ光源の出力を小さくする、あるいは停止するようにした。
図3、4は図2の出射端をABで切り取った断面の断面図であり、簡単のためホルダー3と温度センサ4を省略して示した図である。図3は直径の等しい光ファイバ11、12、13を束ねる場合の図であり、図4は他の光ファイバ11、12、13に加え、直径が異なる光ファイバ14を追加した図である。直径の等しい複数のファイバを用いる場合には、図3(a)のように接着剤21で結束部材2に固定することができるだけでなく、図3(b)に示すように密接して束ねた光ファイバ11、12、13に外接するような形状を持つクランプ部品22を用いることによって、接着剤を用いることなく複数の光ファイバを束ねてもよい。
一方直径の異なる複数のファイバを束ねる場合には、組み立て作業を簡素化ならびに短時間化し組立コストを圧縮するためには、図4に示すように、接着剤21を用いる方法が望ましい。クランプ部品を用いて束ねる方法では、クランプ部品による結束作業が煩雑で、作業効率が劣る。
以上のように、作業性の観点から、光ファイバ群1を結束部材2に固定する手段としては接着剤が有望である。接着剤を用いるときは、光ファイバ11、12、13に損傷が生じた場合に備えて、温度上昇に対する対策が重要になる。以下、このことについて説明する。
コア部とクラッド層の界面における全反射作用でコア内部に閉じ込められるはずの光も、光ファイバに何らかの原因で損傷が生じた場合には両者の界面を通過してクラッド層に進入する可能性がある。このときクラッド層の外側に付着している接着剤21が光クラッド層を形成する材料よりも大きな屈折率を有する場合には、レーザ光が漏れ出し、周辺を加熱してさらに損傷を拡大させてしまう。したがって接着剤を用いる場合には、万一に備えて安全性の確保が重要となる。接着剤としてはシリコン系のものやエポキシ系のものを用いることができるが、とくに接着力の高いエポキシ系の場合、結束の強度や作業性の点で有利であるものの、屈折率が1.5を超えるものが殆どであるため、上記光漏れによって接着剤の温度が上昇して焼損に至る可能性がある。
図5は図2の出射端をABで切り取った断面の断面図であり、ホルダー3と温度センサ4を省略せず示した図である。31、32はホルダー3の内部に設けられた空間に挿入された結束部材2を図中の矢印の方向に押し当てるような力を加えるネジである。他の符号は図2と同一であるので説明を省略する。このような構成によれば、ネジ31、32による力で結束部材2の外壁とホルダー3の内壁を少なくともひとつの大きな面積の面で接触させることが可能となり、熱を効率的に伝達できる。光ファイバ11、12および13とその周りの接着剤21における温度上昇を短時間で検出することが可能となる。ここで、結束部材2、ホルダー3は、金属などの導熱性の高い材質で構成するのが望ましい。
なお、温度センサ4としては、サーミスタを用いることができる。また、レーザ光源5のレーザの出力を小さくする、あるいは停止する温度上昇の設定値は、要求される安全性のレベルや、光ファイバ1の材料などに応じて適当に設定する。また、レーザ光源5の光源ユニット51、52、53としては、W級のレーザなど出力の大きなものを用いることができる。
以上のような投写型表示装置の構成によれば、光源として集光性に優れるレーザ光源を用いるため、光学エンジンをコンパクトにできる。さらにレーザ光源と光学エンジンを光ファイバで連結するため、レーザ光源と光学エンジンの配置位置の自由度が増し、投写型表示装置の薄型化を実現することができる。
また、光ファイバの出射端に温度センサを備え、設定値以上の温度上昇を検知した場合にはレーザ光源の出力を小さくする、あるいは停止できるようにしたため、温度上昇に対する安全性を向上させることができる。
また、複数の単芯ファイバを束ねて密着させることにより、光伝達効率を高めることができる。
また、光ファイバが光学エンジンに備えられた導熱性ホルダーに支持されて光学エンジンに接続される構成にしたことにより、温度センサの取り付けを容易にすることができる。
また、光ファイバの終端を角柱状の導熱性結束部材で覆い、角柱状の内空間を有する導熱性ホルダーにこれを挿入して大きな面積の面で互いに接触させることにより、光ファイバ出射端における温度上昇を速やかに検知でき、安全で、取り付け性に優れ、信頼性の高い投写型表示装置を提供することができる。
また、ガラスコアとプラスチッククラッドで構成される光ファイバを用いることによりコストを抑え、安価な投写型表示装置を提供することができる。
また、この投写型表示装置の構成は大量生産に適し、安価に構成できる。
本発明の利用例としては、高出力のレーザを光源とする民生のTV、産業用途のリアプロジェクション装置などに利用できる。
この発明の実施例1を示す投写型表示装置の構成図である。 この発明の実施例1における光ファイバの入出射端の構成の詳細を示す図である。 この発明の実施例1において、同じ直径の複数の光ファイバを束ねる場合の出射端の断面図であり、ホルダーと温度センサを省略した図である。 この発明の実施例1において、異なる直径の光ファイバを束ねる場合で、出射端の断面図であり、ホルダーと温度センサを省略した図である。 この発明の実施例1において、異なる直径の光ファイバを束ねる場合で、出射端の断面図である。
符号の説明
1 光ファイバ群
2 結束部材
3 ホルダー
4 温度センサ
5 レーザ光源
6 光学エンジン
7 表示デバイス
8 スクリーン
9 筐体
11 光ファイバ
12 光ファイバ
13 光ファイバ
21 接着剤
22 クランプ部品
31 ネジ
32 ネジ
51 光源ユニット
52 光源ユニット
53 光源ユニット
61 レンズ手段
62 反射ミラー
63 拡大投写レンズ
71 制御手段

Claims (4)

  1. レーザ光を出力する複数のレーザ光源と、
    像を拡大して出力する光学エンジンと、
    前記各レーザ光源からの前記レーザ光を前記光学エンジンに伝達する複数の光ファイバと、
    前記光ファイバの温度を検出する温度センサと、
    前記温度センサの出力に応じて前記レーザ光源の出力を制御する制御手段と
    を備え
    前記光ファイバの出射端は、
    前記複数の光ファイバを束ねて接着剤を介して固定する導熱性結束部材と、
    前記導熱性結束部材の少なくともひとつの外壁面と面接触する内壁面を有する導熱性ホルダーと、
    を有し、
    前記温度センサは、前記導熱性結束部材と面接触する側の前記導熱性ホルダーの外壁面に設けられることを特徴とする投写型表示装置。
  2. 前記光ファイバは、クラッド層にプラスチックを用いたプラスチックファイバであり、
    前記接着剤はエポキシ系であることを特徴とする請求項1に記載の投写型表示装置。
  3. 前記光ファイバの出射端は、前記導熱性結束部材を前記導熱性ホルダーの前記内壁面側に向かって押し当てる押し当て部材をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の投写型表示装置。
  4. 前記導熱性結束部材は、外形が角柱状を有し、
    前記導熱性ホルダーは、前記導熱性結束部材よりも大きな角柱状の内空間を有することを特徴とする請求項3に記載の投写型表示装置。
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